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明細書 :膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌の検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5589216号 (P5589216)
公開番号 特開2008-241703 (P2008-241703A)
登録日 平成26年8月8日(2014.8.8)
発行日 平成26年9月17日(2014.9.17)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌の検出方法
国際特許分類 G01N  33/574       (2006.01)
C12N   5/07        (2010.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
FI G01N 33/574 A
C12N 5/00 E
C12Q 1/02
請求項の数または発明の数 5
全頁数 30
出願番号 特願2008-045507 (P2008-045507)
出願日 平成20年2月27日(2008.2.27)
優先権出願番号 2007049374
優先日 平成19年2月28日(2007.2.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年2月9日(2011.2.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
発明者または考案者 【氏名】粂 昭苑
【氏名】吉田 哲
【氏名】白木 伸明
【氏名】粂 和彦
【氏名】松尾 顕
個別代理人の代理人 【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
審査官 【審査官】赤坂 祐樹
参考文献・文献 Spazierer D et al,Epiplakin gene analysis in mouse reveals a single exon encoding a 725-kDa protein with expression restricted to epithelial tissues,J Biol Chem,2003年 8月22日,278(34),31657-31666
Mitsuru Sato et al,Involvement of Epiplakin in HeLa Cell Clustering and Liver Reorganization after Partial Hepatectomy,日本結合組織学会学術大会抄録集,2005年,37,page 50
調査した分野 G01N 33/53-33/68
C12Q 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
エピプラキン1(EPPK1)遺伝子の発現を検出することを含む、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出する方法。
【請求項2】
対象細胞におけるエピプラキン1(EPPK1)遺伝子の発現を検出し、エピプラキン1(EPPK1)を発現している細胞を膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌として同定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エピプラキン1(EPPK1)に対する抗体を用いてエピプラキン1(EPPK1)遺伝子の発現を検出する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
エピプラキン1(EPPK1)遺伝子を発現する細胞を選択することを含む、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を分離する方法。
【請求項5】
(a)膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を含む細胞試料を調製する工程、(b)該細胞試料にエピプラキン1(EPPK1)に対する抗体を添加する工程、及び(c)該抗体が結合した細胞を分離する工程を含む、請求項4に記載の膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を分離する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌の検出及び分離方法に関す
る。より詳細には、本発明は、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌の新規マ
ーカー分子の発現を指標とした膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌の検出及
び分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織幹細胞は、自己再生能および特定組織の成熟細胞への多分化能を有する細胞と定義
されている(非特許文献1)。組織幹細胞の同定は膵臓の発生及び再生の研究における重
要な課題である。この課題を解決するためには、幹細胞で特異的または選択的に発現して
いる「マーカー分子」を見いだすことが特に重要である。
【0003】
組織幹細胞に関する情報は、造血幹細胞の研究から最も多く得られる。side-populati
on subsetとCD34-、cKit+、Sca1+、Lin-というマーカー分子の組み合わせで定義される1
個の細胞を移植することによってマウスの血液系が再構成され得ることが報告された。神
経系では、ニューロンは著しい自己修復能や再生能は持たないと長年にわたり信じられて
きた。しかし、Nestin、Musashi1などの神経幹細胞マーカーの発見は、自己再生する神経
幹/前駆細胞がマウス、ラットおよびヒトの成体脳の脳室帯と海馬に存在することの証明
において重要な役割を果たした。また、虚血傷害を受けたマウスの脳室内に増殖因子を投
与すると、内因性の前駆細胞の増殖が促進されて神経細胞が再生することによって症状の
回復が促される可能性がある。したがって、組織幹細胞の同定により再生医療の新たな戦
略デザインが可能となる。
【0004】
成体の膵臓に幹/前駆細胞が存在することが示唆されている。インスリンを産生するβ
細胞は定期的にターンオーバーされて、新しいβ細胞が生成されるが、これはβ細胞の量
を維持するために不可欠である。再生機序を研究して再生医療に応用するためには、これ
らの細胞の由来を同定することが特に重要である。
【0005】
胎児膵臓では、Pdx1(pancreatic and duodenal homeobox gene 1:膵臓および十二指
腸のホメオボックス遺伝子1)が膵前駆細胞のマーカー分子として既知である。(非特許
文献1及び2)。胎児のPdx1発現細胞は、内分泌細胞、外分泌細胞および膵管細胞に分化
して、成体膵に存在するあらゆる種類の細胞を生じる(非特許文献3及び4)。しかし、
Pdx1は出生後の膵臓のインスリンを産生するβ細胞でも発現しているので(非特許文献5
及び6)、Pdx1は、成体膵前駆細胞の特異的なマーカー分子とは言えない。部分膵切除し
た膵臓(非特許文献7)、化学物質の投与により誘発した急性膵炎(非特許文献8)、ま
たは、分化細胞が培養した増殖前駆細胞に由来すると推定されるex vivo培養系(非特許
文献9及び10)などの再生マウスモデルの増殖細胞を検討することにより、幹/前駆細
胞であると推定される細胞が成体膵に存在するという一連のエビデンスが示されてきた。
膵臓に軽度な損傷または障害のある生理的条件下で膵再生が起こる実験系が存在しないの
で、結果の解釈はさらに困難である。従って、成体膵でβ細胞を生じる幹/前駆細胞が確
かに存在するか、またはβ細胞の増殖がβ細胞増加の唯一の機序であるかについては、未
だに一定の見解が得られていない(非特許文献11及び12)。
【0006】

【非特許文献1】Jonsson J, Carlsson L, Edlund T, Edlund H: Insulin-promoter-factor 1 is required for pancreas development in mice. Nature 371:606-9, 1994
【非特許文献2】Offield MF, Jetton TL, Labosky PA, Ray M, Stein RW, MagnusonMA, Hogan BL, Wright CV: PDX-1 is required for pancreatic outgrowth and differentiation of the rostral duodenum. Development 22:983-95, 1996
【非特許文献3】Guz Y, Montminy MR, Stein R, Leonard J, Gamer LW, Wright CV,Teitelman G: Expression of murine STF-1, a putative insulin gene transcriptionfactor, in beta cells of pancreas, duodenal epithelium and pancreatic exocrineand endocrine progenitors during ontogeny. Development 121:11-8, 1995
【非特許文献4】Gu G, Dubauskaite J, Melton DA: Direct evidence for the pancreatic lineage: NGN3+ cells are islet progenitors and are distinct from duct progenitors. Development 129:2447-57, 2002
【非特許文献5】Edlund H: Pancreatic organogenesis--developmental mechanismsand implications for therapy. Nat Rev Genet 3:524-32, 2002
【非特許文献6】Kume S: The molecular basis and prospects in pancreatic development. Dev Growth Differ 47:367-74, 2005
【非特許文献7】Bonner-Weir S, Baxter LA, Schuppin GT, Smith FE: A second pathway for regeneration of adult exocrine and endocrine pancreas. A possible recapitulation of embryonic development. Diabetes 42:1715-20, 1993
【非特許文献8】Jensen JN, Cameron E, Garay MV, Starkey TW, Gianani R, Jensen J: Recapitulation of elements of embryonic development in adult mouse pancreatic regeneration. Gastroenterology 128:728-41, 2005
【非特許文献9】Bonner-Weir S, Taneja M, Weir GC, Tatarkiewicz K, Song KH, Sharma A, O'Neil J: In vitro cultivation of human islets from expanded ductal tissue. Proc Natl Acad Sci U S A 97:7999-8004, 2000
【非特許文献10】Gershengorn MC, Hardikar AA, Wei C, Geras-Raaka E, Marcus-Samuels B, Raaka BM: Epithelial-to-mesenchymal transition generates proliferative human islet precursor cells. Science 306:2261-4, 2004
【非特許文献11】Bonner-Weir S, Sharma A: Are there pancreatic progenitor cells from which new islets form after birth? Nat Clin Pract Endocrinol Metab 2:240-1, 2006
【非特許文献12】Dor Y: beta-Cell proliferation is the major source of new pancreatic beta cells.Nat Clin Pract Endocrinol Metab 2:242-3, 2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌のマーカー分子を同定し、
それを利用した膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出する方法及び膵臓
幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を分離する方法を提供することを解決すべき課題とし
た。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、膵幹/前駆細胞の分子マーカーとしてエピプラキン1(EPPK1)という分
子に注目した。胎児および成体の膵臓でのEPPK1の発現パターンから、EPPK1は胎児のPdx
1発現膵前駆細胞、胎仔のNgn3陽性内分泌前駆細胞および未成熟な外分泌細胞、ならびに
成体の膵管細胞、特に腺房中心細胞で強く認められることが示された。本発明者らは、軽
度の膵再生を示すマウスの20%膵切除モデルを確立した。膵切除後の再生期にEPPK1発現
膵管細胞が増加し、外分泌細胞に分化した。また、化生によって内分泌細胞と外分泌細胞
の両方に分化する幹/前駆細胞であると以前に報告された「duct in foci(病巣の膵管)
」細胞でもEPPK1は発現していた。上記の結果より、EPPK1は膵幹細胞のマーカー分子であ
ることが実証された。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0009】
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) エピプラキン1(EPPK1)遺伝子の発現を検出することを含む、膵臓幹細胞、肺絨
毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出する方法。
(2) 対象細胞におけるエピプラキン1(EPPK1)遺伝子の発現を検出し、エピプラキン
1(EPPK1)を発現している細胞を膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌として
同定することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3) エピプラキン1(EPPK1)に対する抗体を用いてエピプラキン1(EPPK1)遺伝子の
発現を検出する、(1)又は(2)に記載の方法。
【0010】
(4) エピプラキン1(EPPK1)遺伝子を発現する細胞を選択することを含む、膵臓幹細
胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を分離する方法。
(5) (a)膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を含む細胞試料を調製する工程、
(b)該細胞試料にエピプラキン1(EPPK1)に対する抗体を添加する工程、及び(c)該
抗体が結合した細胞を分離する工程を含む、(4)に記載の膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又
は肝幹細胞を分離する方法。
(6) エピプラキン1(EPPK1)に対する抗体を含む、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝
幹細胞を検出又は分離するための試薬。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、エピプラキン1は再生時に誘導され、組織内での局在パターンが幹細胞
マーカー遺伝子としての定義を満たしていることが見出された。すなわち、エピプラキン
1は膵臓の初期発生においては、胎仔の膵臓前駆細胞のマーカーであるPdx1遺伝子に先立
ち発現する。また再生膵のモデルである膵切除マウスでは、増生する中心外分泌細胞、そ
して、膵島ではα細胞、またβ細胞から脱分化したβ細胞の幹細胞と認められる細胞にも
発現することが認められた。これらの結果により、エピプラキン1が膵幹細胞マーカーで
あることが実証された。ヒトなどの発生によって形成される臓器では体性幹細胞が少数で
はあるが、存在していると考えられている。こういった体性幹細胞が膵臓においても存在
することが報告されている。膵臓の幹細胞を同定し、それについての研究を進めることが
できれば、幹細胞の賦活化の際の指標、あるいは幹細胞を分離する際の指標として用いる
ことができるので、幹細胞を用いた再生医学、あるいは創薬において広範囲な応用が考え
られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明による膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出する方法において
は、エピプラキン1(EPPK1)遺伝子の発現を指標とする。EPPK1はプラキンファミリーに
属する遺伝子であり、形質膜関連の接着ジャンクションで細胞骨格線維とアンカータンパ
ク質を互いに結合させる(Jefferson JJ, Leung CL, Liem RK: Plakins: goliaths that
link cell junctions and the cytoskeleton. Nat Rev Mol Cell Biol 5:542-53, 2004
;及びRoper K, Gregory SL, Brown NH. The 'spectraplakins': cytoskeletal giants
with characteristics of both spectrin and plakin families. J Cell Sci 115:4215-
25, 2002)。EPPK1は当初、皮膚細胞で発現する遺伝子として、また水疱症を引き起こす
自己抗原としてクローニングされたが、内胚葉に由来するさまざまな臓器でも発現してい
ることが後になって明らかにされた(Fujiwara S, Takeo N, Otani Y, Parry DA, Kunim
atsu M, Lu R, Sasaki M, Matsuo N, Khaleduzzaman M, Yoshioka H: Epiplakin, a nov
el member of the Plakin family originally identified as a 450-kDa human epiderm
al autoantigen. Structure and tissue localization. J Biol Chem 276:13340-7, 200
1)。EPPK1は成体膵でも発現していることが報告されたが(Spazierer D, Fuchs P, Pro
ll V, Janda L, Oehler S, Fischer I, Hauptmann R, Wiche G: Epiplakin gene analys
is in mouse reveals a single exon encoding a 725-kDa protein with expression re
stricted to epithelial tissues. J Biol Chem. 278:31657-66, 2003)、EPPK1が発現し
ている細胞の種類や胎児膵前駆細胞でのEPPK1発現の有無は不明である。
【0013】
EPPK1の発現パターンを図8に要約する。E10.5の段階では、膵上皮細胞のほとんどがE
PPK1、Pdx1ダブル陽性膵前駆細胞であった(図2A~C、図8)。E15.5ではEPPK1は外分泌細
胞および内分泌前駆細胞で認められたが、いずれの前駆細胞でもPdx1の発現はもはやみら
れなかった(図2、図8)。Pdx1はE9~10の膵前駆細胞で発現していたが、外分泌細胞お
よび内分泌細胞ではいったん発現が消失し、その後、成熟した(細胞では再び発現がみら
れた(図8)。β細胞は最終分化した細胞なので、Pdx1は本当の意味では膵前駆細胞マー
カーとはみなされない。一方EPPK1は、E10.5のPdx1陽性膵前駆細胞、E15.5のNgn3陽性外
分泌前駆細胞およびアミラーゼ陽性内分泌前駆細胞など、あらゆる種類の胎児前駆細胞で
認められた。生後マウスの膵臓では、EPPK1は腺房中心細胞などの膵管細胞で主に発現し
ており(図3、図8)、腺房細胞や膵島では発現していなかった。これらの細胞が膵臓の
ターンオーバーに関与するかを検討するため、膵切除を行った(図4)。20%膵切除によ
り、病巣領域だけでなく遠位部での再生過程の観察も可能であった。一方、90%または70
%膵切除では、残存膵のほとんどが生理的条件での再生とは異なる経路を経て病巣領域に
変化した。BudU標識実験からは、同程度の増殖が病巣領域だけでなく遠位部でも起こるこ
とが明らかになった。EPPK1、Hes1ダブル陽性腺房中心細胞を詳細に調べたところ、これ
らの細胞はBrdUを取り込んだ後、アミラーゼおよびEPPK1陽性の分化途中の細胞を経て、
アミラーゼ発現細胞を生じることが明らかになった。以上のデータは、EPPK1発現腺房中
心細胞は増殖能が高い腺房前駆細胞であることを強く示唆する(図5、図6、図8)。以
上より、腺房中心細胞でのHes1の発現からNotchシグナル伝達が腺房細胞の再生過程を制
御している可能性があることが示された。膵切除、膵炎、IFNγトランスジェニックマウ
スなど、膵臓に傷害があるときに「focal region(病巣領域)」という化生領域に出現す
る「duct in foci(病巣の膵管)」と呼ばれる膵管細胞では他の再生経路が働くという報
告がいくつか存在する。傷害直後に、サイトケラチン陽性の病巣の膵管の細胞が病巣領域
に出現した。これらの細胞は膵管細胞、外分泌細胞または腺房中心細胞に由来する可能性
がある(図8)。その後、Pdx1陽性細胞が出現した。データを裏付ける細胞系譜追跡実験
はまだ実施されていないが、このPdx1陽性細胞は(細胞、(細胞、外分泌細胞に分化する再
生の幹/前駆細胞であると考えられる(図8)。本明細書の実施例における免疫組織化学
的分析により、EPPK1はPdx1の発現に先立ち病巣部の膵管で発現し、それ以後は病巣領域
でPdx1と共発現していることが明らかになった(図7、図8)。
【0014】
以上より、EPPK1は、胎生期と成体期の膵臓で、幹/前駆細胞であると考えられるあら
ゆる種類の細胞で発現していることが判明した。EPPK1発現細胞の増殖は、急性の膵病変
または腺房細胞の再生に伴って増加する。上記の通り、EPPK1は膵幹/前駆細胞のマーカ
ーとしての基準を満たすものである。
【0015】
本発明における「EPPK1」は、特にその由来を記載しない限り、脊椎動物由来であり、
好ましくは哺乳動物由来である。例えばヒトEPPK1遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列
は、DNA: NM 031308.1、アミノ酸: NP 112598に示されており、ラットEPPK1遺伝子の塩
基配列およびアミノ酸配列は、DNA: XM 001074770、アミノ酸: XP 001074770、DNA: XM
001059215、アミノ酸: XP 001059215(両方ともGenes similar to Epiplakinとして登録
されている。これら2つの遺伝子は同一のものと思われる)に示されており、マウスEP
PK1遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列は、DNA: NM 144848.2、アミノ酸: NP 659097に
示されている。
【0016】
本発明におけるEPPK1遺伝子としては、例えば(a)上記に示したEPPK1蛋白質をコード
する塩基配列を含む核酸、(b)EPPK1蛋白質において1または複数のアミノ酸が置換、
欠失、および/または付加したアミノ酸配列をコードする核酸、(c)EPPK1蛋白質をコ
ードする塩基配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、よ
り好ましくは90%以上の相同性を有する塩基配列を含む核酸、(d)EPPK1蛋白質のア
ミノ酸配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ま
しくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸、または(e)EPPK1
蛋白質をコードする核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸などが含ま
れる。上記(b)において、改変されるアミノ酸数は、通常1から15個、好ましくは1
から10個、より好ましくは1から7個、より好ましくは1から5個である。また、上記
の(e)の核酸は、ヒトなどのEPPK1遺伝子の蛋白質コード配列を含む核酸、または対象
とする核酸のどちらかからプローブを調製し、それが他方の核酸にハイブリダイズするか
を検出することにより同定することができる。例えば、ヒトなどのEPPK1遺伝子の蛋白質
コード配列中の任意の連続する部分配列または全長からなる核酸(DNAまたはRNA)
とストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸を含むものでもよい。あるいはヒト
などのEPPK1遺伝子の蛋白質コード配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブ
リダイズする核酸を含むものであってもよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーショ
ンの条件としては、例えば例えば5×SSC、7%(W/V)SDS、100μg/ml
変性サケ精子DNA、5×デンハルト液を含む溶液中、48℃から52℃程度の温度でハ
イブリダイゼーションを行い、その後、48℃から68℃で2×SSC(又は1×SSC
中、又は0.5×SSC中、又は0.1×SSC)中で、1時間洗浄する条件などを挙げ
ることができる。
【0017】
「膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌の検出」としては、例えば、細胞画
分に膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌が含まれているかを検出したり、そ
の割合を定量することなどが含まれる。また膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵
臓癌の検出には、該細胞の「同定」も含まれる。また、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝
幹細胞を「分離する」とは、細胞集団中を、該細胞または該細胞を含む細胞集団とそれ以
外の細胞集団とに分離することを言う。本発明において膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝
幹細胞の分離は、細胞集団中の該細胞の割合を高めることであってよい。
【0018】
膵臓幹細胞とは、膵臓細胞への分化能を持つ未分化細胞を言う。肺絨毛細胞は、喘息の
ときに粘液分泌細胞になる細胞である。肝幹細胞とは、肝細胞への分化能を持つ未分化細
胞を言う。
【0019】
本発明は、EPPK1遺伝子の発現を指標とする、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又
は膵臓癌の検出方法および分離方法を提供する。本発明者らは、EPPK1遺伝子が膵臓幹細
胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌のマーカーであることを見出した。EPPK1遺伝子
を発現する細胞(EPPK1陽性細胞)を検出または選択することにより、膵臓幹細胞、肺絨
毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出・同定したり、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹
細胞を特異的に分離することができる。本発明においてEPPK1遺伝子の発現は、EPPK1 m
RNAの産生および/またはEPPK1蛋白質の産生であってよい。すなわち、EPPK1 mRN
AまたはEPPK1蛋白質を検出することにより、EPPK1遺伝子の発現を検出することができる
。例えば、EPPK1 mRNAの検出は、EPPK1 cDNA断片またはオリゴヌクレオチドを用
いたノーザンハイブリダイゼーション、RNAプロテクションアッセイ、またはRT-P
CRなどの公知の方法により実施することが可能である。EPPK1蛋白質の検出は、抗EPPK
1抗体等を用いたウェスタンブロッティング、免疫沈降、ELISA、免疫組織化学、F
ACS(fluorescence activated cell sorting;蛍
光活性化細胞分離)を用いる方法等の公知の方法により検出することができる。
【0020】
本発明の検出方法および分離方法においては、EPPK1蛋白質を検出することによりEPPK
1遺伝子の発現を検出することが好ましい。また、FACS等のセルソーターを用いるこ
とで、効率的に細胞を検出または分画することもできる。
【0021】
本発明の検出または分離に用いる細胞としては特に制限はなく、膵臓幹細胞、肺絨毛細
胞、肝幹細胞、又は膵臓癌が含まれると予想される組織または細胞などを用いることがで
きる。例えば、生体膵臓の細胞などから膵臓幹細胞を検出または回収することができる。
細胞は脊椎動物由来の細胞であり、好ましくは哺乳動物細胞(例えば、マウス、ラットな
どのげっ歯類、サル、ヒトなどの霊長類等の細胞)である。ヒトへの応用を考えた場合に
は、ヒト細胞が好ましい。
【0022】
細胞試料の調製は公知の方法に従って行うことができる。例えば組織から膵臓幹細胞、
肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を含む試料を調製するには、組織などを回収してミン
ス後、コラゲナーゼ、ディスパーゼを含む酵素溶液で処理し細胞を分散させる。このよう
にして調製した細胞から膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出・分離す
ることができる。
【0023】
また、本発明の方法は株化細胞に適用することもできる。哺乳動物胎児もしくは新生児
の膵臓から調製した細胞を不死化し、本発明の方法により例えば成熟膵臓細胞への分化能
を持つ膵臓幹細胞を選択することもできる。ES細胞由来の細胞を用いてEPPK1陽性細胞
を単離することも可能である。また、本発明の方法を、新生児および成人の組織、例えば
臍帯、胎盤、羊膜、または骨髄などから得た細胞試料に適用することによって、膵臓幹細
胞を得ることもできる。
【0024】
膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出する本発明の方法は、具体的に
は、(a)細胞におけるEPPK1遺伝子の発現を検出する工程、および(b)EPPK1遺伝子を
発現する細胞を膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌と同定する工程により実
施することができる。例えば、EPPK1陽性細胞の存在または割合を測定する工程により、
それぞれ膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹細胞、又は膵臓癌の存在または割合を知ることが
できる。EPPK1陽性細胞を高い割合で含む細胞集団には、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、肝幹
細胞、又は膵臓癌が高い割合で含まれていると判断される。従って、EPPK1遺伝子を発現
する細胞を選択する工程により、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を選択すること
ができる。例えば、(a)細胞におけるEPPK1遺伝子の発現を検出する工程、および(b
)EPPK1遺伝子を発現する細胞を分離する工程、により膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝
幹細胞を分離することができる。あるいは予め細胞を分画しておき、分画された細胞にお
いてEPPK1遺伝子の発現を検出し、EPPK1遺伝子を発現する細胞を選択することにより膵臓
幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を分離・選択することができる。
【0025】
膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞の分離は、好ましくは細胞表面に発現するEPP
K1蛋白質に結合する抗体を用いて、(a)膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を含む
細胞試料を調製する工程、(b)該細胞試料にエピプラキン1(EPPK1)に対する抗体を添
加する工程、及び(c)該抗体が結合した細胞を分離する工程により行うことができる。
【0026】
分離した細胞を回収することにより、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞を回収す
ることができる。例えば、ビーズやマトリックス等の水不溶性担体に抗EPPK1抗体または
EPPK1蛋白質に結合するリガンドを固定化し、これに細胞を直接的または間接的に結合さ
せる方法、免疫吸着カラムによる分離、蛍光抗体標識細胞分離法、免疫磁気ビーズによる
分離法などがある。また、上記の工程(c)は、FACSなどのセルソーターを用いて行
うことができる。セルソーターを用いた細胞の分離は公知の方法により行うことができる

【0027】
本発明において調製された細胞は、適当な培地を用いて培養したり保存したりすること
ができる。培地は、血清や増殖・分化因子などを補うことができる。培地としては、例え
ば、約10%ウシ胎仔血清(FCS)またはこれと同等の補剤を含むDMEMなどが挙げ
られるがこれに限定されない。例えば、アクチビン10ng/mlとbFGF 5ng/ml(in 10%FBS
/DMEM,又は15%KSR/DMEM)の存在下で培養でき、あるいは下記の培地で培養できる。
(培地組成)
F12/DMEM(without glucose)=1:1 100mL
L-Glu 1mL
PS 1mL
NEAA 1mL
0.1M 2-ME 100μL
MITO(+) 100μL
Forskolin(40mM) 2.5μL
BPE 500μL
Ethanolamine(1mM) 100μL
Trypsine Inhibitor(2.5mg/mL) 1mL
なお、
MITO(+) Serum Extender : (BD, Cat.No. 50006)
BPE: Bovine Pituitary Extract (Invitrogen, Cat.No. 13028-014))
また、下記の細胞外基質の上で培養できる:
Matrigel (MATRIGEL TM Matrix) (BD, 354234) >
Collagen Type IV; from Human Placenta, Acid soluble
【0028】
細胞の培養としては、細胞の維持、インキュベート、増殖、または保存などであってよ
く、例えばin vitroであれば、適当な培地中、37℃、5%CO2、湿環境下でイ
ンキュベートすることが挙げられる。
【0029】
また、EPPK1が膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞のマーカーとなることから、EP
PK1遺伝子の発現を指標として膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞をモニターするこ
とが可能である。これを基に、例えば様々な薬剤や遺伝子の発現、その他の刺激などが膵
臓幹細胞に及ぼす影響を評価することができる。例えば、被検試料がEPPK1の発現に及ぼ
す効果を検出することにより、膵臓幹細胞、肺絨毛細胞、又は肝幹細胞に作用する様々な
薬剤をアッセイすることも可能である。
【0030】
本発明はさらに、エピプラキン1(EPPK1)に対する抗体を含む、膵臓幹細胞、肺絨毛細
胞、肝幹細胞、又は膵臓癌を検出又は分離するための試薬に関する。エピプラキン1(EP
PK1)に対する抗体は、EPPK1蛋白質またはその部分ペプチドを免疫原として用いたり、あ
るいはEPPK1蛋白質を発現する細胞を免疫原として用いることによって製造することがで
きる。
【0031】
免疫原としてのEPPK1蛋白質が由来する動物の種類に特に制限はなく、ヒト、サル、マ
ウス、ラット、ウシ、ウサギ、その他の脊椎動物由来のEPPK1蛋白質を用いることができ
る。抗体は、公知の方法に従って作製することが可能である。例えば、モノクローナル抗
体であれば、公知の細胞融合法により製造することができる。
【0032】
上記抗体は、適宜生理食塩水、緩衝液、塩、安定剤などと組み合わせて膵臓幹細胞の検
出用試薬または分離用試薬とすることができる。例えばこの抗体を用いて組織中の膵臓幹
細胞の分布や量を検査したり、細胞試料中の膵臓幹細胞の濃度を測定したりすることがで
きる。抗体は蛍光標識されていてもよい。
【0033】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定
されるものではない。
【実施例】
【0034】
実施例1:
(A)方法
(1)動物
トランスジェニックマウスPdx1/GFP(Gu G, Wells JM, Dombkowski D, Preffer F, Ar
onow B, Melton DA: Global expression analysis of gene regulatory pathways durin
g endocrine pancreatic development. Development 131:165-79, 2004)はハーバード大
学Melton博士とバンダービルト大学G. Gu博士から供与された。野生型ICRマウスはSLC社
(日本、神奈川県)から入手した。受胎日を腟栓の存在で確認してE0.5と記録した。8週
齢のマウスを成体として用いた。
【0035】
(2)抗体
ウサギ抗EPPK1抗体はウィーン大学G. Wiche博士から供与された(Spazierer D, Fuchs
P, Proll V, Janda L, Oehler S, Fischer I, Hauptmann R, Wiche G: Epiplakin gene
analysis in mouse reveals a single exon encoding a 725-kDa protein with expres
sion restricted to epithelial tissues. J Biol Chem. 278:31657-66, 2003)。モルモ
ット抗Hes1抗体はR. Kageyama博士(京都大学)から供与された。マウス抗Ngn3抗体(Ca
t #F25A1B3、Zahn S, Hecksher-Sorensen J, Pedersen IL, Serup P, Madsen O: Generation of monoclonal antibodies against mouse neurogenin 3: a new im
munocytochemical tool to study the pancreatic endocrine progenitor cell. Hybrid
Hybridomics 23:385-8, 2004)はDevelopmental Studies Hybridoma Bankから入手した
。使用した他の一次抗体は、マウス抗BrdU抗体(Cat #B-2531、シグマ社、ミズーリ州セ
ントルイス)、マウス抗GFP抗体(Cat #11814460001、ロシュ社、インディアナ州、イン
ディアナポリス)、ウサギ抗GFP抗体(Cat #598、MBL社、日本、名古屋)、ウサギ抗Pdx
1抗体(Cat #KAL-KR059、株式会社トランスジェニック社、日本、熊本)、ヤギ抗アミラ
ーゼ抗体(Cat #sc-12821、Santa Cruz Biotechnology社、カリフォルニア州、サンタク
ルーズ)である。フルオレセイン標識DBAレクチン(Vector Laboratories社、カリフォル
ニア州バーリンゲーム)も使用した。
【0036】
(3)組織学的分析
凍結標本のパラフィン包埋とO.C.T.(Tissue Tek、Miles社、インディアナ州エルクハ
ート)包埋を行う前に、4%パラホルムアルデヒドで組織を固定した。パラフィン包埋標
本から厚さ6μmの切片を調製し、HE染色した。凍結標本の免疫組織化学は、基本的に既報
(Yoshida T, Tokunaga A, Nakao K, Okano H: Distinct expression patterns of spli
cing isoforms of mNumb in the endocrine lineage of developing pancreas. Differe
ntiation 71:486-95, 2003)に従って行った。簡単に説明すると、まず抗原を賦活化させ
るために、抗原賦活化溶液(Dako Cytomation社、デンマーク、グロストルップ)中、10
5℃で標本を10分間加熱した。次に、0.1%Triton X-100を含むPBSで試料を可溶化し、M.
O.M. Immunodetection Kit(Vector社)でブロッキングした後、一次抗体を加えて4℃で
一晩インキュベートした。Alexa488または568標識した適当な二次抗体(Invitrogen社、
カリフォルニア州カールズバッド)で、結合した抗体を発色させた。核はDAPIで対比染色
した。顕微鏡観察用標本は共焦点レーザー走査イメージング装置(TCSSP2 AOBS、ライカ
社)を用いて観察した。非共焦点画像はオリンパスIX-71型顕微鏡(Olympus Optical社、
日本、東京)にニコンdigital sight DS-5M(日本、東京)を接続して撮影した。画像は
Adobe Photoshop 7.0(Adobe Systems社、カリフォルニア州、サンノゼ)を用いて処理し
た。
【0037】
(4)膵切除、およびin vivoでのBrdUパルス標識または長時間標識
図5Aに示した方法で、野生型ICRマウスまたはPdx1/GFPマウスから膵臓の一部(20%
)を切除した。膵切除は既報の外科的手法に従って行った。擬似手術は、膵切除する代わ
りに膵臓の組織を指先ではさんで1分間ごく軽くこする以外は同じ手順で行った(Bonner
-Weir S, Baxter LA, Schuppin GT, Smith FE: A second pathway for regeneration of
adult exocrine and endocrine pancreas. A possible recapitulation of embryonic
development. Diabetes 42:1715-20, 1993)。
【0038】
in vivoパルス標識は、マウスを屠殺する3時間前に100μg/kg体重の5-ブロモデオキシウリジン(BrdU、Sigma社)水溶液を腹腔内投与して行った。長時間標識は、給水ボトルを1mg/ml BrdUを含むボトルと交換することにより行った。給水ボトルはアルミホイルで完全に覆って遮光し、BrdU水溶液は新しく調製した溶液に週1回以上交換した(Teta M, Long SY, Wartschow LM, Rankin MM, Kushner JA: Very slow turnover of beta-cells in aged adult mice. Diabetes 54:2557-67, 2005)。
【0039】
BrdU陽性細胞数の計測は以下の手順で行った。膵切除または擬似手術したPdx1/GFPマウ
スをBrdU取り込みから2週間後に屠殺した。膵尾部および膵頭部の切片を作製し、25枚ご
とに1枚の切片を抗BrdU抗体と抗GFP抗体で各1枚ずつ染色した。5枚ごとに1枚で計測した
結果と25枚ごとに1枚で計測した結果で、統計学的な差はみられなかった。膵島のBrdU陽
性細胞の計測は、免疫染色撮影後にBrdU/GFPダブル陽性細胞を計測することにより行った
。全領域のBrdU陽性細胞を蛍光顕微鏡下で計測し、総細胞数はLumina Vision softwear(
三谷商事、日本、東京)で区切った区画の面積に係数1777を乗じて算出した。係数1777は
、一定枚数の凍結切片1mm2中の細胞数を計測して推定した。
【0040】
(B)結果
(1)胎児および成体の膵臓におけるエピプラキン1(EPPK1)発現の解析
本実施例では、膵幹/前駆細胞マーカー分子の候補として、発生段階でのエピプラキン
1(EPPK1)の発現パターンを免疫組織化学的分析により詳細に検討した。Pdx1/GFPマウ
スの免疫組織化学的分析から、E10.5の膵上皮のPdx1陽性膵前駆細胞でEPPK1が検出される
ことが示された(図1A~C)。Pdx1発現細胞でのEPPK1の発現は、EPPK1の発現とPdx1の
発現に相違がみられ始めるE15.5の二次転換の時点まで継続した(図1D~F)。EPPK1は
それ以後は成体膵では検出されなかったが、Pdx1は成体膵のβ細胞で発現していることが
知られている(図1G~I)。次いで、EPPK1が検出される細胞の種類について検討した
。内分泌前駆細胞および外分泌前駆細胞は、E15.5でPdx1陽性の共通の膵前駆細胞から生
じ、それぞれNgn3とアミラーゼを発現していた。次に、これらの内分泌前駆細胞(図2A
~C)および外分泌前駆細胞(図2D~F)でEPPK1が発現しているかを検討した。その
結果、Pdx1を発現していない両方の前駆細胞でもEPPK1は発現していたが、E10.5よりもそ
の発現量は少なかった。次に、成体膵のEPPK1発現細胞の種類の決定を試みた。成体マウ
スの膵島以外のEPPK1発現細胞の種類を決定するため、抗EPPK1抗体および膵管細胞に結合
するDolichos biflorus由来凝集素(DBA)を用いて免疫組織化学的分析を行った。膵管は
形状と性質によって、主膵管、副膵管、分岐膵管の3種類に分類されるが、これらの膵管
全てがEPPK1を発現していることが明らかになった。EPPK1は主膵管および分岐膵管(図3
A~C、三角印)では強く発現しており、副膵管では弱く発現していた(図3A~C、矢
印)。分岐膵管はDBAで弱く染色され、副膵管がDBAで強く染色されたのと対照的であった
(図3A~C)。分岐膵管のEPPK1陽性細胞のほとんどがbHLH転写因子Hes1も発現してい
た(図3D~G)。これは、腺房細胞の幹/前駆細胞であると以前に報告された腺房中心
細胞(Gasslander T, Ihse I, Smeds S: The importance of the centroacinar region
in cerulein-induced mouse pancreatic growth. Scand J Gastroenterol 27:564-70, 1
992)でもEPPK1の発現が確認されたことを意味する。DBAに親和性を示すという点で、腺
房中心細胞は膵管細胞と性質が類似している(Miyamoto Y, Maitra A, Ghosh B, Zechne
r U, Argani P, Iacobuzio-Donahue CA, Sriuranpong V, Iso T, Meszoely IM, Wolfe M
S, Hruban RH, Ball DW, Schmid RM, Leach SD: Notch mediates TGF alpha-induced ch
anges in epithelial differentiation during pancreatic tumorigenesis. Cancer Cel
l 3:565-76, 2003)。
【0041】
(2)20%膵切除モデルでは、生理的条件下で膵再生が起こる
膵幹/前駆細胞は、げっ歯類の膵切除した膵臓および急性膵炎を発症している膵臓など
のような再生中の膵臓中で他の種類の細胞に分化する増殖細胞と定義されている。本実施
例では、再生中の膵臓中にEPPK1陽性増殖細胞が存在することを実証することを試みた。
【0042】
一般的にはラット膵臓の90%またはマウス膵臓の70%を切除して膵再生を誘導する方法
が採用される(Bonner-Weir S, Baxter LA, Schuppin GT, Smith FE: A second pathway
for regeneration of adult exocrine and endocrine pancreas. A possible recapitu
lation of embryonic development. Diabetes 42:1715-20, 1993;及びDor Y, Brown J,
Martinez OI, Melton DA: Adult pancreatic beta-cells are formed by self-duplica
tion rather than stem-cell differentiation. Nature 429:41-6, 2004)。しかしこの
場合、残存領域の大部分は「病巣領域(focal region)」となる。この領域では、大半の
細胞が化生を起こし、二次経路による再生が起こる。化学物質の投与で誘発される急性膵
炎も生理的条件とみなすことはできない。本発明者らは、膵細胞の生理的代謝によるター
ンオーバーを反映した代わりの実験動物モデルが確立できれば膵再生の分析に有用である
と考えた。そこで、より小規模に膵臓を切除する膵切除を行った。BrdUの取り込みで評価
したところ、結果として20%膵切除(図4A、切除した領域を四角で示す)を行えば、「
病巣領域(focal region)」に相当する病変部(図4B、三角印)だけでなく、病巣領域
よりもはるかに大きな残りの正常領域(図4B)でも増殖率の増加を誘発するのに十分で
あることが明らかになった。さらに、切除近位部(膵尾部)だけでなく遠位部(膵頭部)
でも、正常領域での細胞増殖が促進された。本実施例の20%膵切除モデルでは、2週間連
続のBrdU投与後では、BrdUを取り込んだ細胞の全細胞に対する割合は、膵尾部では2.52%
(n=387,730)、膵頭部では1.61%(n=656,296)であった。擬似手術した膵臓では、Brd
Uの取り込みは膵尾部では0.27%(n=598,877)、膵頭部では0.61%(n=442,959)であっ
た。BrdUを取り込んだ細胞の割合は、膵尾部(近位部)と膵頭部(遠位部)でそれぞれ9
.33倍および2.64倍に増加した。切除膵尾部の方が取り込んだ細胞の割合が高かったので
、以下の組織化学的分析は膵尾部(近位部)で行った。
【0043】
(3)再生膵のEPPK1発現細胞
膵切除から4日後、膵切除した膵臓の大部分(病巣領域以外)でEPPK1陽性腺房中心細胞
の数が増加し、管状構造(図5A~Fの三角印)を形成した。EPPK1陽性腺房中心細胞は
DBA(図5A~C)およびHes1(図5D~F)も陽性であった。これらEPPK1陽性腺房中心
細胞の一部ではアミラーゼの発現もみられたが、手術を行わなかった対照用の膵臓ではア
ミラーゼの染色は全くみられなかった(図5G~I、三角印)。この特徴は、これらの細
胞が腺房中心細胞に由来する分化途中の細胞であることを示す。従って、腺房細胞は腺房
中心細胞に由来することが強く示唆された。この仮説はBrdU取り込み実験によっても裏付
けられた。BrdUパルス標識実験から、BrdUを取り込んだ細胞の約10%がEPPK1陽性腺房中
心細胞であることが示された(図6A-C、三角印)。腺房中心細胞は膵細胞全体の1%
以下に過ぎないことを考慮すると、この値は著しく高い。BrdUを取り込んだ残りの90%の
細胞は腺房細胞であった。BrdU長時間標識実験から、BrdUを取り込んだ細胞はEPPK1陽性
腺房中心細胞(図6D~F)の周辺の外分泌細胞(図6G~I)であることが示された。
これらのデータはEPPK1が少なくとも成体膵の外分泌細胞の幹/前駆細胞で認められるこ
とを示している。
【0044】
(4)病巣領域におけるEPPK1の発現パターン
次に、病巣領域のEPPK1陽性細胞に注目した。膵切除から1日後には、ほぼ全ての細胞
が死滅し、病巣領域に好中球が浸潤した(図4B、三角印)。膵切除から4日後には、病
巣領域に多くの病巣がみられ、「duct in foci(病巣の膵管)」と呼ばれる病巣の管壁細
胞でEPPK1が発現していた(図7A~C)。病巣の管壁細胞はCK20を発現していることが
示され、幹/前駆細胞であることが報告されている(Bonner-Weir S, Baxter LA, Schup
pin GT, Smith FE: A second pathway for regeneration of adult exocrine and endoc
rine pancreas. A possible recapitulation of embryonic development. Diabetes 42:
1715-20, 1993、及びBouwens L, Braet F, Heimberg H: Identification of rat pancre
atic duct cells by their expression of cytokeratins 7, 19, and 20 in vivo and a
fter isolation and culture. J Histochem Cytochem 43:245-53, 1995)。膵切除から7
日後には、病巣領域からの再生の幹/前駆細胞であると示唆されているPdx1陽性細胞のク
ラスターが病巣領域に数多く出現することを確認した(図7D~F)。Pdx1の発現増加に
先立ってEPPK1細胞が病巣領域に早期に出現することは、化生など異常な機序による再生
が起こる病巣領域におけるEPPK1の幹/前駆細胞のマーカーとしての特徴を強く示唆する
ものである。
【0045】
実施例2:
(A)方法
(1)ナフタレン投与
ナフタレンをコーンオイルに溶解させ、マウス体重1kgあたり275 mgを腹腔内投与した

(2)抗体
肺クララ細胞を染色するためにヒツジ抗CC10抗体(S20) (#SC9773 ,Santa Cruz Bio
technology)を用いた。大脳上衣細胞を染色するためにマウス抗S100・抗体(SB6) (#a
b16959, Abcam)を用いた。
【0046】
(3)各組織凍結ブロックの作成
野生型マウスおよび膵切除などの処置を行ったマウスは、4%パラホルムアルデヒド
(PFA)/PBSを用いて還流固定を行った。その後、各組織を取り出し、4度にて4% PFA/P
BSに一晩つけておくことで後固定を行った。固定した組織は、4度にて15%スクロース
/PBSに一晩つけ、さらに4度にて30%スクロース/PBSにつけた。スクロースに置換した
組織は、OCTコンパウンド(Tissue Tek)に置換し、-80度で凍結させる事により凍結ブ
ロックを作成した。
【0047】
(4)免疫染色
凍結ブロックは、クライオスタット(Leica)を用いて厚さ10mmに薄切し、MASコート
したスライドグラス(Matsunami Glass)にはりつけた。凍結切片は、Target Retrieva
l Solution (DACO)につけ、105度5分間、熱処理を行うことにより抗原をふ活化した。
その後、MOM Immunodetection Kitを用いてブロッキングを行った後、1次抗体を4度
で一晩反応させた。翌日、2次抗体を反応させる事により、各タンパク質を可視化し
た。
【0048】
(5)CDE肝炎モデルマウスの作製法
動物はマウスC57BL/6, ICRの5週齢マウスを使用した。動物の管理は、熊本大学生命
資源研究・支援センターで明暗12時間周期で管理している。CDE処理は、Choline Def
icient Diet with DL-Ethionine (Catalog number 960214,MP Biomedicals,Inc.)を固
形飼料として、通常飲料水と共に与えた。CD+E処理は、Choline Dificient Diet、Mo
dified (Catalog number 960210, MP Biomedicals,Inc.)を固形飼料として、また飲料
水にはDL-Ethionine (Sigma)を0.15%の濃度になるようにして与えた。実験に用いた肝
臓は、処理し始めて2週間後にマウスを解剖し、肝臓を摘出し、実験に用いた。参考文
献は(Jelenes et al ., 2007)(Akhurst et al., 2003)
【0049】
(B)結果
(1)Eppk1は膵癌細胞に発現している(図9)
Eppk1は膵導管細胞癌の80%以上をしめる初期症状である、膵上皮内腫瘍性病変細胞
(PanIN)に発現していた(図9)。膵上皮内腫瘍性病変は、進行状況により3段階
に分けられ (PanIN1-3)、PanIN1ではDolichos biflorus agglutinin (DBA) 結合
性を持つ粘液が円柱状の細胞の大部分を示すが(A-F)、細胞は分裂して多層構造
を形成し(PanIN2; G-L)、徐々に湾曲する(PanIN3; M-S)。Eppk1は、すべての段
階においてすべての膵上皮内腫瘍性病変細胞に発現が認められた。A, G, MはHE染
色像、B, H, OはEppk1、C, I, PはDBAの免疫染色像、D, J, QはEppk1とDBAを合わ
せた像、E, K, RはさらにDAPIで核を染色した像を重ねたものである。F, L, Sは
、E, K, Rの概略図である。膵上皮内腫瘍性病変は腺房中心細胞由来である事が報
告されている(Hezel et al., Genetics and biology of pancreatic ductal adenoca
rcinoma. Genes Dev 20:1218-1249, 2006)。癌細胞は、組織幹細胞に突然変異がおこ
る事により発生するため、初期癌細胞で発現している遺伝子は組織幹細胞で発現
している可能性がある。
【0050】
(2)Eppk1はマウス胎生10.5日胚の肝芽細胞に弱く発現している(図10)
肝臓の発生は、マウス胎生9.5 日胚の腸管の予定肝領域において、出芽がおき
、肝芽と呼ばれる肝芽細胞からなる細胞塊が形成される事から開始される。Eppk
1は、マウス胎生10.5 日胚において腸管(G)で強い発現が認められるが、肝芽(L)
においても弱いながら発現が認められた(図10)。
【0051】
(3)Eppk1は再生肝において楕円形細胞に発現している(図11)
成体の肝臓において、肝細胞は通常の細胞分裂で増殖している。しかし、特殊
な状況下では総胆管細胞から、幹細胞と胆管細胞の両方に分化する事ができる楕
円形細胞とよばれる幹細胞が脱分化して出現する事が報告されている (Santoni-
Rugiu et al., Progenitor cells in liver regeneration: molecular responses con
trolling their activation and expansion. APMIS. 2005 Nov-Dec;113(11-12):876-902
. Review.)。その細胞は通常、成体の肝臓には見られないが (Control)、CDE食(C
holine deficient diet with ethionine)を与える事により楕円形細胞を脱分化に
より生じさせる事ができる。楕円細胞はA6抗体により染色されるが、A6陽性細胞
にEppk1が発現している事が確認された(図11)。
【0052】
(4)肺におけるEppk1の発現パターン(図12)
成体の肺は、1型肺胞細胞、2型肺胞細胞(Surfactatnt protein-A (SP-A)陽性)、ク
ララ細胞(Clara cell 10-kD protein (CC10)陽性)、肺神経内分泌細胞(Calcitonin g
ene related protein (CGRP)陽性)、絨毛細胞などからなる。これらの細胞はすべて、S
P-A, CC10, CGRP三重陽性の内胚葉上皮細胞から分化することが報告されている (Wuensc
hell et al., Embryonic mouse lung epithelial progenitor cells co-express immuno
histochemical markers of diverse mature cell lineages. J Histochem Cytochem. 19
96 Feb;44(2):113-23)。胎生14.5日胚の肺 (E14.5)において、CC10陽性内胚葉上皮細胞に
Eppk1は発現していた。一方、成体の肺においてはEppk1はCC10陽性クララ細胞に発現して
いなかった(図12)。
【0053】
(5)成体の肺におけるEppk1陽性細胞は絨毛細胞である(図13)
マウスにナフタレンを投与すると、1部を除いて大部分のクララ細胞が死に、生き残っ
たクララ細胞からクララ細胞が再生する事が報告されている (Rawlins and Hogan, Epit
helial stem cells of the lung: privileged few or opportunities for many? Develo
pment. 2006 Jul;133(13):2455-65. Epub 2006 May 30. Review.)。その際、絨毛細胞が
扁平細胞に変形し、気管から空気を漏れないようにする事が報告されている (Transdiff
erentiation of ciliated cells during repair of the respiratory epithelium. Am J
Respir Cell Mol Biol. 2006 Feb;34(2):151-7. Epub 2005 Oct 20.)。ナフタレン投与
後1日目(d1)において、Eppk1陽性細胞は扁平状になっていた事から、成体の肺において
Eppk1は絨毛細胞に発現している事が示唆された(図13)。繊毛細胞は、この再生に関
与していない事が報告されている (Rawlins et al., Lung development and repair: co
ntribution of the ciliated lineage. Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 Jan 9;104(2)
:410-7. Epub 2006 Dec 28)。
【0054】
(6)Eppk1は神経系において上衣細胞に発現している(図14)
胎生16.5日胚(E16.5)と成体(Adult)の脳を抗Eppk1抗体で染色した(図14のA)。そ
れぞれの右側の写真は、左側の写真内部の四角で囲んだ部分を拡大したものである。胎生
16.5日胚の脳にEppk1は発現していないが、成体脳の脳室周辺部にEppk1の発現が認められ
た。上衣細胞は、以前神経幹細胞であると報告された (Johansson et al., Identificat
ion of a neural stem cell in the adult mammalian central nervous system. Cell.
1999 Jan 8;96(1):25-34)が、その直後に神経幹細胞はアストロサイトであるという報告
(Doetsch et al., Subventricular zone astrocytes are neural stem cells in the a
dult mammalian brain. Cell. 1999 Jun 11;97(6):703-16)がなされ、現在は後者の説が
趨勢である。
【0055】
成体脳について、Eppk1と上衣細胞マーカーであるS100βの発現を調べたところ、両者
は同じ細胞に発現していた事から、Eppk1は上衣細胞に発現している事が示唆された(図
14のB)。アスタリスクは脳室を示している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、膵臓におけるEPPK1の発現パターンを示す。EPPK1の免疫組織学的分析をPdx1/GFP発現マウスの膵臓で行った。(A~C)E10.5、(D~F)E15.5、(G~I)成体。挿入した写真は四角で囲んだ領域の高倍率像である。C、F、Iは合成画像であり、青く染色された部分はDAPI染色した核である。スケールバー、200μm(A~C、G~I)、100μm(D~F)、25μm(D~Fに挿入した写真)。
【図2】図2は、EPPK1の内分泌前駆細胞および外分泌前駆細胞での発現を示す。E15.5の胎児で二重免疫染色による分析を行った。EPPK1(A、D)、Ngn3(B)およびアミラーゼ(E)の発現を示す。CとFは合成画像であり、青く染色された部分はDAPI染色した核である。挿入した写真は四角の領域の高倍率像である。スケールバー、100μm、25μm(挿入した写真)。
【図3】図3は、EPPK1の成体膵の腺房中心細胞などの膵管細胞での発現を示す。(A~C)EPPK1の発現(A)。副膵管(矢印)および分岐膵管(三角印)のDBA染色(B)。(D~G)EPPK1(D)およびHes1(E)の二重免疫染色。Gは三次元画像である。CとFは合成画像であり、青い点はDAPI染色した核である。スケールバー、100μm。
【図4】図4は、膵臓のごく一部のみを切除する20%膵切除法の確立を示す。(A)擬似手術後の膵臓(左)、および膵臓摘出後の膵臓(右)。(B)膵切除した膵臓のHE染色標本の写真。Aの四角で囲まれた領域。病巣領域を三角印で示す。スケールバー:2cm(A)、2μm(B)。
【図5】図5は、膵切除から4日後、EPPK1陽性腺房中心細胞から、膵切除した膵臓の外分泌細胞が分化したことを示す。(A~C)EPPK1の発現(A)。膵管細胞のDBA染色(B)。(D~F)EPPK1(D)およびHes1(E)の二重免疫染色。A~Fの三角印は管状構造を示す。(G~I)EPPK1(G)およびアミラーゼ(H)の二重免疫染色。一部の領域はEPPK1とアミラーゼ両方の抗体と反応する(三角印)。スケールバー:100μm(A~I)。
【図6】図6は、膵切除した膵臓によるBrdUの取り込みを示す。膵切除から4日後の膵臓から標本を作製した。パルス標識した膵臓(A~C)および長時間標識した膵臓(D~I)のEPPK1(A、D)、アミラーゼ(G)およびBrdU(B、E、H)の免疫染色。A~Cの三角印および矢印はそれぞれ、EPPK、BrdUダブル陽性細胞、BrdUシングル陽性細胞を示す。C、F、Iは合成画像であり、青い点はDAPI染色した核である。スケールバー、100μm。
【図7】図7は、膵切除した膵臓の再生病巣領域でのEPPK1発現を示す。EPPK1(A、D)、Pdx1/GFP(B、E)の発現パターン。(A~C)膵切除から4日後には「duct in foci(病巣の膵管)」はEPPK1陽性でPdx1陰性である。(D~F)膵切除から7日後には「duct in foci(病巣の膵管)」はEPPK1、Pdx1ダブル陽性である。CとFは合成画像であり、青い点はDAPI染色した核である。スケールバー、200μm。
【図8】図8は、EPPK1およびPdx1の発現の概要を示す。黒い矢印は胚発生、赤い矢印は出生後のプロセスを示す。実線は分化、点線は化生を示す。
【図9】図9は、Eppk1は膵癌細胞に発現していることを示す実験結果である。
【図10】図10は、Eppk1はマウス胎生10.5日胚の肝芽細胞に弱く発現していることを示す実験結果である。
【図11】図11は、Eppk1は再生肝において楕円形細胞に発現していることを示す実験結果である。
【図12】図12は、肺におけるEppk1の発現パターンを示す。
【図13】図13は、成体の肺におけるEppk1陽性細胞は絨毛細胞であることを示す実験結果である。
【図14】図14は、Eppk1は神経系において上衣細胞に発現していることを示す実験結果である。
図面
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【図3】
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