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明細書 :ナビゲーション装置およびナビゲーション方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4892741号 (P4892741)
登録日 平成24年1月6日(2012.1.6)
発行日 平成24年3月7日(2012.3.7)
発明の名称または考案の名称 ナビゲーション装置およびナビゲーション方法
国際特許分類 G01C  21/00        (2006.01)
G08G   1/005       (2006.01)
G09B  29/10        (2006.01)
G09B  29/00        (2006.01)
G06T   3/00        (2006.01)
FI G01C 21/00 Z
G08G 1/005
G09B 29/10 A
G09B 29/00 A
G06T 3/00 300
請求項の数または発明の数 8
全頁数 12
出願番号 特願2007-512494 (P2007-512494)
出願日 平成18年3月24日(2006.3.24)
国際出願番号 PCT/JP2006/305976
国際公開番号 WO2006/109527
国際公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
優先権出願番号 2005098880
2005264703
優先日 平成17年3月30日(2005.3.30)
平成17年9月13日(2005.9.13)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成21年3月4日(2009.3.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
発明者または考案者 【氏名】内村 圭一
【氏名】胡 振程
個別代理人の代理人 【識別番号】100098785、【弁理士】、【氏名又は名称】藤島 洋一郎
【識別番号】100109656、【弁理士】、【氏名又は名称】三反崎 泰司
審査官 【審査官】竹下 晋司
参考文献・文献 特開2000-149193(JP,A)
特開平07-063572(JP,A)
特開2003-254775(JP,A)
特開2003-274482(JP,A)
特開平11-108684(JP,A)
特開2003-121167(JP,A)
調査した分野 G01C 21/00 - 25/00
G06T 3/00
G08G 1/00 - 99/00
G09B 29/00 - 29/14
特許請求の範囲 【請求項1】
出発地点から目的地までの経路を含む地図情報を格納するための記憶装置と、
前記記憶装置に格納された地図情報から、出発地点から目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部によって探索された経路の情報を表示するための画像データを生成・処理する経路情報処理部と、
風景の静止画像を撮影する静止画像撮影装置と、
前記静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定する現在位置・方位特定部と、
前記静止画像撮影装置の姿勢を特定する姿勢特定部と、
前記探索された経路の情報における現在位置をプロットする現在位置プロット部と、
前記現在位置から目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成する誘導指示マーク生成部と、
前記誘導指示マークを透視変換したのち前記静止画像に重畳して合成する透視変換画像合成部と、
前記透視変換画像合成部で合成された画像データに基づいた画像を出力する画像出力部と
を備え、
前記現在位置が前記探索結果の経路から所定の距離または範囲以上に外れた場合には、
前記経路探索部は、前記探索を行い直し、
前記経路情報処理部は、前記画像データの生成・処理を行い直し、
前記現在位置・方位特定部は、前記静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定し直し、
前記姿勢特定部は、前記静止画像撮影装置の姿勢を特定し直し、
前記現在位置プロット部は、前記探索された経路の情報における現在位置をプロットし直し、
前記誘導指示マーク生成部は、前記現在位置から目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成し直し、
前記透視変換画像合成部は、前記誘導指示マークを透視変換して、前記静止画像撮影装置で撮影し直した風景の静止画像に重畳して合成し直し、
前記画像出力装置は、前記透視変換画像合成部にて合成してなる画像データに基づいた画像を出力し直す
ことを特徴とする携帯型ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図情報として、歩行者用のデジタル地図のデータを用いる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記記憶装置内の地図情報は、外部の地図サーバから通信により取得する
ことを特徴とする請求項1または2記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記誘導指示マーク生成部は、前記経路の途中に複数個の交差点や分岐路が存在している場合には、前記誘導指示マークを、前記現在位置から前記経路の画像の交差点または分岐点までを結ぶ直線と、前記経路の画像の交差点または分岐点からその先へと向かう直線とからなるL型として表示し、前記L型の誘導指示マークの長さには閾値を予め決めておき、当該閾値と比較して前記L型の長さが長い場合には、前記L型を途中で区切って表示するように前記指示マークのデータを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記誘導指示マークの表示に連動して音声誘導による道案内情報を提供する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記音声誘導を道案内情報の優先順位に従って行う
ことを特徴とする請求項5記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記透視変換画像合成部で合成された画像データに基づいた画像に加えて、二次元地図および三次元CG地図による画像のうち少なくとも一方を表示する機能を有し、各画像を場面に応じて切り換えて出力する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型ナビゲーション装置。
【請求項8】
携帯型ナビゲーション装置が実行するナビゲーション方法であって、
出発地点から目的地までの経路を含む地図情報を、外部の地図サーバから通信によって携帯型ナビゲーション装置の記憶装置に取得すると共に、前記記憶装置内に格納された地図情報から出発地点から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
前記経路探索ステップによって探索された経路の情報を表示するための画像データを生成・処理する経路情報処理ステップと、
風景の静止画像を、前記携帯型ナビゲーション装置に付設または内蔵された静止画像撮影装置によって撮影する静止画像撮影ステップと、
前記静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定する現在位置・方位特定ステップと、
前記静止画像撮影装置の姿勢を特定する姿勢特定ステップと、
前記探索された経路の情報における現在位置をプロットする現在位置プロットステップと、
前記現在位置から前記目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成する誘導指示マーク生成ステップと、
前記誘導指示マークを透視変換したのち前記静止画像に重畳して合成する透視変換画像合成ステップと、
前記透視変換画像合成ステップにて合成してなる画像データに基づいた画像を出力する画像出力ステップと、
前記現在位置が前記探索結果の経路から所定の距離または範囲以上に外れた場合には、前記探索を行い直し、前記画像データの生成・処理を行い直し、前記静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定し直し、前記静止画像撮影装置の姿勢を特定し直し、前記探索された経路の情報における現在位置をプロットし直し、前記現在位置から目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成し直し、前記誘導指示マークを透視変換して、前記静止画像撮影装置で撮影し直した風景の静止画像に重畳して合成し直し、前記透視変換画像合成部にて合成してなる画像データに基づいた画像を出力し直す修正ステップと
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
[0001]
本発明は、出発地点から目的地までの経路を指示する誘導指示マークを実写画像に合成して出力する携帯型ナビゲーション装置およびナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
[0002]
例えば鉄道やその他の交通機関の最寄駅あるいは地下街の出入口からユーザの所望する目的地までの道案内が欲しい場合が往々にしてある。このような場合、GPS(Global Positioning System)付き携帯電話に二次元地図を表示させて道案内を行う、というナビゲーション方法およびそのためのシステムが一般に実用化されている。
[0003]
しかし二次元地図上での道案内では、ユーザにとって、周りの実際の景観と地図とのマッチングを即座に実感的に把握することは困難である。このため、直観的に分かりやすい実写映像と実際の景観とを照らし合わせて道案内を行う、という方法およびシステムが提案されている(例えば、特許文献1~4)。
[0004]
このような従来提案されている技術では、実写映像を予め画像データ記録部に蓄えておき、道案内を行う際に、その位置に適合した実写映像を画像データ記録部から読み出して用いるようにしている。
[0005]
また、いわゆるカーナビと呼ばれる車載ナビゲーションシステムでは、例えば駐車場に固定されたカメラから通信されて来る実写映像信号に基づいて、その駐車場の状況を実写映像としてナビゲーション画面内に表示する、といった技術が提案されている(例えば、特許文献5)
【特許文献1】
特開2003-194567号公報
【特許文献2】
特開2002-277275号公報
【特許文献3】
特開2002-221433号公報
【特許文献4】
特開2004-226140号公報
【特許文献5】
特開2001-21368号公報
[0006]
しかしながら、上記のような従来の方法およびシステムでは、実写映像を予め画像データとして画像データ記録部に蓄えておく必要がある。このため、たとえば同じ一つの風景でも、季節、天候、時刻等の撮影条件が異なると、ユーザにとってはかなり異なった映像として見えるため、それらの撮影条件の変化も含めると、ナビゲーション可能領域を限定したとしても、その領域内の各位置ごとでの映像のそれぞれに異なった季節、天候、時刻ごとでの画像データを用意しなければならないので、結局、実際には実現不可能なほどに膨大な量の画像データの撮影・蓄積が必要となってしまう。従って、甚だしくは、上記のようなシステムは、その膨大な量の画像データの蓄積の非現実性のために、実現不可能なものとなるという、実際上の致命的な問題があった。あるいは、そのような膨大な量の画像データの蓄積は何とか実現できたとしても、そのためには極めて煩雑で莫大な手間およびそのためのコストが掛かってしまうという不都合もある。
[0007]
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易なデータ処理によって実写映像に道案内情報を合成・出力することが可能な携帯型ナビゲーション装置およびナビゲーション方法を提供することにある。
【0008】
本発明の携帯型ナビゲーション装置は、出発地点から目的地までの経路を含む地図情報を格納するための記憶装置と、記憶装置に格納された地図情報から、出発地点から目的地までの経路を探索する経路探索部と、経路探索部によって探索された経路の情報を表示するための画像データを生成・処理する経路情報処理部と、風景の静止画像を撮影する静止画像撮影装置と、静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定する現在位置・方位特定部と、静止画像撮影装置の姿勢を特定する姿勢特定部と、探索された経路の情報における現在位置をプロットする現在位置プロット部と、現在位置から前記目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成する誘導指示マーク生成部と、誘導指示マークを透視変換したのち静止画像に重畳して合成する透視変換画像合成部と、透視変換画像合成部で合成された画像データに基づいた画像を出力する画像出力装置と、を備えたものである。
さらに、この携帯型ナビゲーション装置は、現在位置が探索結果の経路から所定の距離または範囲以上に外れた場合には、経路探索部において、探索を行い直し、経路情報処理部において、画像データの生成・処理を行い直し、現在位置・方位特定部において、静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定し直し、姿勢特定部において、静止画像撮影装置の姿勢を特定し直し、現在位置プロット部において、探索された経路の情報における現在位置をプロットし直し、誘導指示マーク生成部において、現在位置から目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成し直し、透視変換画像合成部において、誘導指示マークを透視変換して、静止画像撮影装置で撮影し直した風景の静止画像に重畳して合成し直し、画像出力装置において、透視変換画像合成部にて合成してなる画像データに基づいた画像を出力し直すようになっている。
【0009】
また、本発明のナビゲーション方法は、携帯型ナビゲーション装置が実行する方法であって、出発地点から目的地までの経路を含む地図情報を、外部の地図サーバから通信によって携帯型ナビゲーション装置の記憶装置に取得すると共に、前記記憶装置内に格納された地図情報から出発地点から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、経路探索ステップによって探索された経路の情報を表示するための画像データを生成・処理する経路情報処理ステップと、風景の静止画像を、携帯型ナビゲーション装置本体に付設または組み込まれた静止画像撮影装置によって撮影する静止画像撮影ステップと、静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定する現在位置・方位特定ステップと、静止画像撮影装置の姿勢を特定する姿勢特定ステップと、探索された経路の情報における現在位置をプロットする現在位置プロットステップと、現在位置から目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成する誘導指示マーク生成ステップと、誘導指示マークを透視変換したのち静止画像に重畳して合成する透視変換画像合成ステップと、透視変換画像合成ステップにて合成してなる画像データに基づいた画像を出力する画像出力ステップと、を含んでいる。
さらに、このナビゲーション方法は、現在位置が探索結果の経路から所定の距離または範囲以上に外れた場合には、探索を行い直し、画像データの生成・処理を行い直し、静止画像撮影装置の現在の位置および方位を特定し直し、静止画像撮影装置の姿勢を特定し直し、探索された経路の情報における現在位置をプロットし直し、現在位置から目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成し直し、誘導指示マークを透視変換して、静止画像撮影装置で撮影し直した風景の静止画像に重畳して合成し直し、透視変換画像合成部にて合成してなる画像データに基づいた画像を出力し直す修正ステップを含んでいる。
[0010]
本発明の携帯型ナビゲーション装置またはナビゲーション方法では、装置本体に付設または組み込まれた静止画像撮影装置によって、その都度、その位置での風景の静止画像がリアルタイムに撮影され、その静止画像に誘導指示マークが合成されて、直観的に把握可能な道案内画像が表示される。
[0011]
ここで、地図情報として、車載ナビゲーション用の地図ではなく、歩行者用のデジタル地図のデータを用いるようにすることが望ましい。
[0012]
また、記憶装置内の地図情報は、外部の地図サーバから、その都度通信により取得するようにすれば、メモリ容量が少なくてすむ。
[0014]
このようにすることにより、たとえ一時的にユーザの現在位置から外れた道案内情報が出力されても、直ちに現在位置に即した道案内情報を出力し直すことが可能となる。
[0015]
また、出力される道案内の画像をさらに見易いものとするためには、誘導指示マーク生成部が、誘導指示マークを経路の画像の交差点または分岐点までを表示するL型とし、L型の誘導指示マークの長さには閾値を予め決めておき、当該閾値と比較してL型の長さが長い場合には、L型を途中で区切って表示するように指示マークのデータを生成するような構成としてもよい。
[0016]
更に、誘導指示マークの表示に連動して音声誘導による道案内情報(例えば、車線変更指示、曲がる先のランドマークと目的地指示、関連施設指示あるいは道路規制指示など)を提供するようにしてもよい。この場合、音声誘導は道案内情報の優先順位に従って行うことが望ましい。また、透視変換画像合成部で合成された画像データに基づいた画像に加えて、二次元地図および三次元CG地図による画像のうち少なくとも一方を表示する機能を有し、各画像を場面に応じて切り換えて出力するようにしてもよい。
[0017]
本発明によれば、ナビゲーションが行われる際に、その都度、その位置での風景の静止画像がリアルタイムに撮影され、その静止画像に誘導指示マークが合成されて、直観的に把握可能な道案内の画像が出力(例えば表示)されるので、従来のナビゲーションシステムでは困難または不可能であった、簡易なデータ処理によって実写映像に道案内情報を合成・出力するナビゲーション装置およびナビゲーション方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
[0018]
[図1]本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置の主要部の構成を表すブロック図である。
[図2]図1のナビゲーション装置が組み込まれた携帯電話機の外観図である。
[図3]ナビゲーション動作を説明するための流れ図である。
【図4】位置情報Xの取得方法を表した模式図である。
【図5】誘導指示マークの形状の一例を表した模式図である。
【図6】現在地点が探索結果の経路から大幅に外れていない場合の一例を表す模式図である。
【図7】現在地点が探索結果の経路から大幅に外れている場合の一例を表す模式図である。
【図8】世界座標系とカメラ座標系との空間幾何学的な関係を表す図である。
【図9】実存の点P´から投影面上の点Pへの透視変換の一例を表す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置のブロック構成を表したものである。このナビゲーション装置は、経路探索部1、経路情報処理部2、実写画像撮影装置3、現在位置・方位特定部4、姿勢特定部5、現在位置プロット部6、誘導指示マーク生成部7、透視変換画像合成部8、画像表示装置9および記憶装置10を、その主要部として備えており、例えば、図2に一例を表したようなカメラ付き携帯電話機100に組み込まれる。
【0021】
経路探索部1は、ユーザーが入力指定した出発地点から目的地までの経路を、記憶装置10に格納された地図情報から探索するものである。その地図情報としては、車載用のデジタル地図ではなく、歩行者用のデジタル地図のデータを用いる。これにより、車道上ではなく歩道上での道案内が行われる。なお、記憶装置10内の地図情報は、カメラ付き携帯電話機100の通信機能を利用してその都度外部の地図サーバから通信により取得するものとする。
【0022】
経路情報処理部2は、経路探索部によって探索された経路の情報を表示するための画像データを生成・処理するものである。実写画像撮影装置3は、このナビゲーション装置に組み込まれた撮像素子および映像信号処理回路を含んだ撮影装置で、道案内を行うに際して、現在位置の風景の実写画像を撮影する。
【0023】
現在位置・方位特定部4は、実写画像撮影装置3を含めてこのナビゲーション装置の現在の位置および方位を特定するものである。姿勢特定部5は、実写画像撮影装置3の姿勢を特定する機能を有している。現在位置プロット部6は、探索された経路の情報における現在位置をプロットする。
【0024】
誘導指示マーク生成部7は、現在位置から前記目的地へと向かう方向に誘導指示マークを生成する。この誘導指示マーク生成部7は、誘導指示マークを経路の画像の交差点または分岐点までを表示するL型とするものであり、この誘導指示マークの長さには、閾値が予め定められており、その閾値よりも生成されるL型の長さが長い場合には、そのL型を途中で区切った態様で表示するように誘導指示マークのデータを生成するという機能も有している。
【0025】
透視変換画像合成部8は、誘導指示マークを透視変換したのち実写映像に重畳して合成する機能を有している。画像表示装置9は、透視変換画像合成部8で合成された画像データに基づいた画像を表示出力するものである。
【0026】
次に、このナビゲーション装置の作用を図3の流れ図を参照しつつ説明する。
【0027】
まず、経路探索ステップS1では、出発地点から目的地までの経路を含む地図情報を、外部の地図サーバから通信によって記憶装置10に取得し、この記憶装置10に格納された地図情報から出発地点から目的地までの経路を探索する。ここでは、ユーザが出発地および目的地をデジタル地図上での位置指定入力、電話番号入力、郵便番号入力などによって指定する。出発地が現在位置である場合には、このナビゲーション装置が組み込まれている携帯電話機100自体の位置情報を利用することができる。この経路探索には、例えば一般的な最短距離経路探索アルゴリズムであるダイキストラ( Dijkstra) 法を用いることが可能である。このダイキストラ法は、途中で寄り道を挿入する場合などでも用いることができる。また、大通りや路地のみを利用するといった歩道の選択・経路探索などができるようにしてもよい。
【0028】
次に、経路情報処理ステップS2では、経路探索ステップS1によって探索された経路の情報を表示するための画像データを生成・処理する。そして、実写画像撮影ステップS3では、ユーザが現在いる位置における風景の実写画像を、実写画像撮影装置3によって撮影する。具体的には、ユーザは、このナビゲーション装置が組み込まれている携帯電話機100を顔にかざし、その携帯電話機100に設けられた実写画像撮影装置3のレンズ系の光軸を地面とほぼ平行にして、歩道や道路を含めた風景を撮影する。また、このとき、現在位置特定部4によって、実写画像撮影装置3を含めてこのナビゲーション装置の現在位置を特定するための情報として、緯度,経度,高度等の要素を有する位置情報(位置ベクトルのデータ)Χを、例えば図4に模式的に表したように、GPS41や3箇所の中継地点42a,42b,42cから得る。更に、電子コンパスにより方位情報Nを得る(ステップS4)。
【0029】
またそれと並行して、姿勢特定部5によって、実写画像撮影装置3の姿勢を特定するための姿勢情報として、例えば3自由度を有するヨー(yaw)角度、ロール(roll)角度およびピッチ(pitch)角度からなる姿勢角度情報(姿勢角度ベクトルのデータ)Θをジャイロセンサから得る(ステップS5)。
【0030】
次に、現在位置・方位特定ステップS6において、上記のようにして得られた位置情報Xおよび方位情報Nに基づいて、実写画像撮影装置3の現在位置・方位を特定する。続いて、姿勢特定ステップS7において、上記のようにして得られた姿勢角度情報Θに基づいて、実写画像撮影装置3の姿勢を特定する。
【0031】
更に、現在位置プロットステップS8では、探索された経路の情報における現在位置をデジタル地図上にプロットする。続いて、誘導指示マーク生成ステップS9において、現在位置から目的地へと向かう方向に誘導指示マークMを生成する。この誘導指示マークMの形状および終点は、次のようにして決定する。
【0032】
(1)経路探索の結果、例えば、図5に表したような、道路網51における経路の途中に複数個の交差点や分岐路が存在している場合には、どちらに進むべきかを明示するために、経路の折れ曲がる位置までを表示する。すなわち、誘導指示マークMの形状は、図5(A)に一例を表したようにL型を基本とする。このL型の長さには閾値を予め定めておき、それよりも長くなる場合には、図5(B)に一例を表したように途中で区切ってしまう(ステップS9)。
【0033】
(2)図6に示したように、現在地点Rの、探索結果の経路からの誤差またはずれが許容範囲以内の場合(ステップS10;Y)には、そのときまでにS9で生成されたデータに基づいて、現在位置から交差点角までの誘導指示マークMを表示する。しかし、図7に示したように、現在地点Rが探索結果の経路から所定の許容値を逸脱して大幅に外れた場合(ステップS10;N)には、再探索を行う。換言すれば、上記のステップS1~S9を(および場合によっては後述するようなS11以降のステップも含めて)やり直す。そのようにやり直した結果、現在地点が探索結果の経路から大幅に外れていないようになれば(ステップS10;Y)、次のステップに進む。なお、図6および図7において、「二次元地図」は衛星から見た実写画像、「表示画像」は道路上の同じ場所に立って見たときの実写画像を誘導指示マークMと共に模式的に表したものである。
【0034】
透視変換画像合成ステップS11では、誘導指示マークを透視変換して経路の情報の画像内に合成する。ここでの透視変換は、より具体的には、次に述べるような3次元座標変換と透視変換とによって達成することが可能である。
【0035】
いま、世界座標系O-XYZで表現された、ある点P=(x,y,z)を別のカメラ座標系O´-X´Y´Z´で表現することを考える。O-XYZとO´-X´Y´Z´との正規直交基底を、それぞれE=(e1 ,e2 ,e3 ),E´=(e'1,e'2,e'3)とする。ここで、世界座標系では、Z軸方向は地面からの高さ、Y方向は真北の方向とする。
【0036】
実写画像撮影装置(カメラ)3の中心位置Rは、GPSにより世界座標系で与えられている。与えられた位置情報は、緯度・経度から平面直交系に変換されているものとする。またジャイロと電子コンパスとによって、現在位置のYZ平面との方向角度差θ(地図的にどの方角を向いているか)、そのときのカメラの水平方向と地面との傾きφ、実写画像撮影装置3の並進方向と地面との傾き(俯角)ρが得られているとする。
【0037】
このとき、世界座標系O-XYZからカメラ座標系O´-X´Y´Z´への変換の回転行列Aは、次式(1)で表される。
【数1】
JP0004892741B2_000002t.gif【0038】
いま、点Pが、世界座標系O-XYZでは、次式(2)で与えられているとする。このとき、カメラ座標系O´-X´Y´Z´を用いて点Pは、式(3)で与えられる。
P=R+x・e1 +y・e2 +z・e3 …(2)
P=R+x・e'1+y・e'2+z・e'3 …(3)
【0039】
ところで、図8に表したような世界座標系O-XYZとカメラ座標系O´-X´Y´Z´との空間幾何学的な関係性に基づけば、E´はEに回転行列Aを掛け合わせたもので、次式(4)のように表現できる。
E´=E・A …(4)
【0040】
ここで、e1 =[1,0,0]T ,e2 =[0,1,0]T T,e3 =[0,0,1]T とすると、次式(5)が成立する。
E´=A …(5)
【0041】
よって、上記から次式(6)が成立する。
P-R=[x' ,y' ,z' ]T [e'1,e'2,e'3]=[x' ,y' ,z' ]T A …(6)
【0042】
Aは直交行列であるので、A-1=AT であることから、次式(7)によりP´を得ることができる。
P´=(P-R)A-1=(P-R)AT …(7)
【0043】
そして、図9に模式的に表したように、焦点f101に対して、ある点P´=(x' ,y' ,z' )102からカメラ投影面103に射影した点をp(px,py,0)とすると、このとき、簡単な比例計算によって、点pの位置座標は、次式(8),(9)と表すことができる。この点(px,py)が、求める座標値である。
px=fx' /(f+y' ) …(8)
py=fz' /(f+y' ) …(9)
【0044】
最後に、画像表示出力ステップS12では、透視変換画像合成ステップS12において得られた画像データに基づいて画像を表示出力する。
【0045】
このようにして、本実施の形態に係るナビゲーション装置では、ユーザによって出発地と目的地とが指定入力されると、その都度、その位置での風景の実写画像がリアルタイムに撮影され、その実写映像に誘導指示マークが合成され、直観的に把握可能な道案内の画像が表示出力される。従って、従来のナビゲーションシステムでは困難または不可能であった、簡易なデータ処理によって実写映像に道案内情報を合成・出力するナビゲーション装置およびナビゲーション方法を実現することができる。
【0046】
また、上記実施の形態では、本発明のナビゲーション装置を携帯電話機に組み込んだ場合の一例について説明したが、装置の構成および方法の応用あるいは用途は、これのみに限定されるものではないことは言うまでもない。この他にも、例えばスタンドアローンの歩行者用ハンディーナビゲーション端末とすること、あるいは例えばノートブック型パーソナルコンピュータのような携帯可能な電子機器などに組み込むことなども可能であり、さらには車載用のナビゲーション装置に適用することも可能である。
【0047】
なお、道案内情報の出力としては、表示装置による視覚的な画像情報(誘導指示マークM)のみに限定されものではなく、この誘導指示マークMに連動して例えば音声情報や文字情報などを付加情報として出力するようにしてもよい。例えば、車載用のナビゲーション装置においては、車線変更指示、曲がる先のランドマークと目的地指示、関連施設指示あるいは道路規制指示などの道案内情報を、誘導指示マークおよびそれに連動する音声誘導によりドライバーに提供することができる。ここで、音声誘導は情報の優先順位に従うようにすることが好ましい。
【0048】
また、透視変換画像合成部8で合成された画像データに基づいた画像(実写映像のナビゲーション画像)を常時表示するような構成に限らず、場面に応じて二次元地図および三次元CG地図(三次元CGバードビュー地図)などを併用するようにしてもよい。これにより、例えば、目的地設定には二次元地図、現在地周辺施設一覧等には三次元CG地図をそれぞれ利用し、経路の折点あるいは目的地周辺でのみ自動的に実写映像のナビゲーション画像に切り替えて表示することができる。
【0049】
さらに、ナビゲーション装置を構成する各部については、必ずしも同一の端末内に組み込まれる必要はない。例えば、経路探索部1、誘導指示マーク生成部7等については、外部のサーバ等に組み込まれるようにすることで、端末内の記憶容量および計算容量を小さくすることができる。具体的には、デジタル地図を外部サーバ等で保持して経路探索を行い、あるいは外部サーバにおいて誘導指示マークの生成および透視変換を行って、その結果を端末側に通信手段を用いて送信するような形態である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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