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明細書 :廃液処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5610198号 (P5610198)
公開番号 特開2011-251255 (P2011-251255A)
登録日 平成26年9月12日(2014.9.12)
発行日 平成26年10月22日(2014.10.22)
公開日 平成23年12月15日(2011.12.15)
発明の名称または考案の名称 廃液処理装置
国際特許分類 C02F   3/34        (2006.01)
C02F   3/28        (2006.01)
C02F   3/10        (2006.01)
FI C02F 3/34 101D
C02F 3/28 ZABB
C02F 3/28 A
C02F 3/34 Z
C02F 3/34 101A
C02F 3/34 101B
C02F 3/10 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 16
出願番号 特願2010-127141 (P2010-127141)
出願日 平成22年6月2日(2010.6.2)
審査請求日 平成25年5月9日(2013.5.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
発明者または考案者 【氏名】古川 憲治
【氏名】馬 永光
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
審査官 【審査官】富永 正史
参考文献・文献 特開2008-023485(JP,A)
特開2006-122839(JP,A)
特開2004-074111(JP,A)
特開2002-346593(JP,A)
特開2005-238166(JP,A)
特開2006-289347(JP,A)
特開2006-000785(JP,A)
調査した分野 C02F 3/00-3/34
特許請求の範囲 【請求項1】
亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液とアナモックス菌のグラニュールとを収容可能な処理槽と、前記処理槽内に収容された前記アナモックス菌のグラニュールを前記廃液とともに流動させる液流発生手段と、を備え
前記処理槽の全体形状は略円筒形状であり、その中心軸が鉛直をなすように立設され、
前記処理槽は、それぞれ略円筒形状をした撹拌槽、中間槽及び分離槽を前記中心軸と同軸上に直列に接続して形成され、
前記処理槽の最下部分に位置する前記撹拌槽内には、前記液流発生手段として、動力源によって回転し前記廃液を旋回させながら上昇させる撹拌部材が配置され、
前記撹拌槽の上部に位置する前記中間槽内には、前記アナモックス菌が付着可能な微生物付着担体が配置され、
前記中間槽の上部に前記分離槽が位置することを特徴とする廃液処理装置。
【請求項2】
前記微生物付着担体として不織布を用いたことを特徴とする請求項記載の廃液処理装置。
【請求項3】
前記処理槽内の前記液流発生手段より上方の領域に位置する前記中間槽内に倒立漏斗形状の仕切部材を配置したことを特徴とする請求項1または2記載の廃液処理装置。
【請求項4】
前記撹拌部材の回転中心軸が前記処理槽内で鉛直方向を成すように前記撹拌部材を配置するとともに前記処理槽内の前記撹拌部材より上方の領域に位置する前記中間槽内に前記撹拌部材の回転中心軸と同軸をなす筒形状の整流部材を配置した請求項1~3のいずれかに記載の廃液処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液中に含まれる亜硝酸性窒素やアンモニア性窒素を窒素ガスとして除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
我々のライフスタイルは20世紀の大量生産、大量消費、大量廃棄のスタイルから、循環型、低負荷型へのライフスタイルへの変換を余儀なくされている。下廃水処理システムの普及により公共用水域に放出される廃水の水質は年々改善されてきているが、湖沼や内海のような閉鎖性水域における窒素やリンなどの栄養塩の濃度が上昇傾向にあり、赤潮等の富栄養化の問題が頻発し、社会問題化している。そこで、これまでの有機物の処理のみならず、窒素やリン等の栄養源も処理することが可能であって、効率的かつ経済的な高度な廃水処理技術が求められている。
【0003】
一般に、廃水中の窒素を生物学的に除去する方法としては、微生物自身に摂取させる方法と、硝化・脱窒による窒素サイクルを用いる方法とが代表的である。前者の方法は、具体的には、所定の処理装置内において微生物を増殖させることによって廃水中の窒素を細菌内に同化させる方法であるが、処理が進行するにつれて処理装置内の微生物量が増加していくため、その都度、微生物を除去したり、廃棄したりする必要があり、新たな廃棄物が発生する等の問題が生じている。
【0004】
このような状況において、アナモックス菌と呼ばれる独立栄養性脱窒微生物を用いた窒素除去プロセスが脚光を浴びている。アナモックス菌は、嫌気性アンモニア酸化(Anaerobic Ammonium Oxidation)菌の呼称からAnammox菌と略称されており、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液を効率良く脱窒する性質を有する。
【0005】
本発明者は、かかるアナモックス菌を用いた脱窒反応に関する研究を継続して行っており、その一例として、アナモックス菌を不織布などで形成された網状物に担持させることにより、アナモックス菌による脱窒反応を安定的に進行させることができる「廃水処理システム」を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
一方、アナモックス菌による脱窒処理速度を高めることを目的として様々な方面から研究、開発が行われ、例えば、グラニュール化したアナモックス菌を使用した各種脱窒処理システムが提案されている(特許文献2,3,4参照。)。これらの脱窒処理システムにおいては、所定の反応容器内にグラニュール化したアナモックス菌が充填され、この反応容器内に導入された被処理液がグラニュール化したアナモックス菌に接触しながら上昇する間に脱窒反応が行われる方式(USB:Upflow Sludge Bed方式)が採用されている。
【0007】
一方、特許文献5においては、アナモックス菌による脱窒処理速度を高めるため、反応容器内に有機凝集剤を添加しながら脱窒反応を進行させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-272625号公報
【特許文献2】特開2002-346593号公報
【特許文献3】特開2003-24981号公報
【特許文献4】特開2009-285640号公報
【特許文献5】特開2003-24988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、特許文献1記載の廃水処理システムは、脱窒処理反応が安定しているという点において優れているが、脱窒処理速度に限界があるので、処理速度の更なる向上が要請されている。また、特許文献2,3,4記載の脱窒処理システムにおいても、アナモックス菌のグラニュールの強度が低いため、脱窒処理速度を上げることができないという問題がある。これらの問題の原因は、アナモックス菌は独立栄養性の菌であるため、増殖速度が遅いことによるものであると考えられている。
【0010】
さらに、特許文献5記載の生物脱窒方法においては、脱窒処理を行う反応槽内に添加される有機凝集剤がこの反応槽内に蓄積していき、時間の経過とともに、脱窒反応速度が徐々に低下していくおそれがある。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、アナモックス菌のグラニュールを用いて、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液を効率良く脱窒処理することのできる廃液処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の廃液処理方法は、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液中においてアナモックス菌のグラニュールを流動させながら前記廃液中の窒素成分を窒素ガスとして除去することを特徴とする。以下、前記「アナモックス菌のグラニュール」を「アナモックスグラニュール」と記載する。
【0013】
このような構成とすれば、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液とアナモックスグラニュールとがほぼ完全に混合され、前記廃液中に前記グラニュールが均一に分散した状態となるので、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素が高濃度に含まれた廃液においても脱窒反応が効率的に進行し、脱窒反応に伴って生成した窒素ガスが前記グラニュールから速やかに離脱して除去されるので、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液を効率良く脱窒処理することができる。また、脱窒反応に伴って生成した窒素ガスがアナモックス菌に抱き込まれ難くなるので、アナモックス菌の浮上も大幅に減少する。
【0014】
ここで、前記アナモックス菌が付着可能な微生物付着担体を前記廃液中に配置すれば、廃液中のアナモックス菌が微生物付着担体に付着して、廃液中を浮遊するアナモックス菌が減少するので、脱窒処理を終えた処理廃液とともにアナモックス菌が流出するのを抑制することができる。
【0015】
この場合、前記廃液に旋回流を発生させることにより前記アナモックス菌を流動させる構成とすれば、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液とアナモックスグラニュールとを所定の反応槽内に収容した状態で、アナモックスグラニュールを万遍なく流動させることができるので、脱窒処理の効率化に有効である。
【0016】
次に、本発明の廃液処理装置は、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液とアナモックスグラニュールとを収容する処理槽と、前記処理槽内に収容された前記アナモックスグラニュールを前記廃液とともに流動させる液流発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
このような構成とすれば、前述した本発明の廃液処理方法を好適に実施することが可能となり、アナモックスグラニュールを用いて、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液を効率良く脱窒処理することができる。
【0018】
ここで、前記アナモックス菌が付着可能な微生物付着担体を前記処理槽内に配置すれば、廃液中のアナモックス菌が微生物付着担体に付着して、廃液中を浮遊するアナモックス菌が減少するので、脱窒処理を終えた処理廃液とともにアナモックス菌が流出するのを抑制することができる。
【0019】
ここで、前記液流発生手段として、動力源によって回転する撹拌部材を前記処理槽内に配置することが望ましい。このような構成とすれば、撹拌部材の回転により廃液中に旋回流が発生し、処理槽内に収容された亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液中においてアナモックスグラニュールが万遍なく流動し続けるので、脱窒処理反応の促進に有効である。
【0020】
一方、前記処理槽内において前記水流発生手段より上方の領域に前記微生物付着担体を配置することが望ましい。このような構成とすれば、処理槽内の廃液中において浮上するアナモックス菌を効率良く微生物付着担体に付着させることができるので、アナモックス菌の流出をさらに減少させることができる。
【0021】
また、前記微生物付着担体として不織布を用いれば、アナモックス菌の付着性を高めることができるとともに、付着したアナモックス菌の生育状態も良好となる。
【0022】
また、前記処理槽内の前記液流発生手段より上方の領域に倒立漏斗形状の仕切部材を配置することが望ましい。このような仕切部材を配置することにより、沈降性に優れたアナモックスグラニュールを攪拌槽内に安定的に維持することができる。
【0023】
さらに、前記撹拌部材の回転中心軸が前記処理槽内で鉛直方向を成すように前記撹拌部材を配置するとともに前記処理槽内の前記撹拌部材より上方の領域に前記撹拌部材の回転中心軸と同軸をなす筒形状の整流部材を配置することが望ましい。このような整流部材を配置すれば、攪拌槽からの流出液が、微生物付着担体を充填した中間槽内にて循環するようになるため、攪拌槽からの流出液中に含まれる浮遊性のアナモックス汚泥が微生物付着担体に吸着除去され、透明な処理液を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、アナモックスグラニュールを用いて、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液を効率良く脱窒処理することのできる廃液処理技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態である廃液処理装置を示す垂直断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】図2の矢線A-A方向から見た図である。
【図4】図2に示す漏斗部材の拡大図である。
【図5】図4の矢線B-B方向から見た図である。
【図6】図1に示す廃液処理装置における被処理液の流動状態を示す図である。
【図7】図1に示す廃液処理装置におけるアナモックス菌の流動状態を示す図である。
【図8】図1に示す廃液処理装置における窒素ガスの流動状態を示す図である。
【図9】図1に示す廃液処理装置における窒素負荷、窒素除去速度及びT-N除去率の経日変化を示すグラフである。
【図10】図1に示す廃液処理装置におけるアナモックスグラニュール径の経日変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すように、本発明の実施形態である廃液処理装置10は、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を含む廃液ERとアナモックスグラニュールAGとを収容可能な処理槽11と、処理槽11内に収容されたアナモックスグラニュールAGを廃液ERとともに流動させる液流発生手段である回転式の撹拌部材12,13と、を備えている。撹拌部材12,13は、動力源であるモータ15で駆動された回転軸16に取り付けられている。処理槽11内には、アナモックス菌ANが付着可能な微生物付着担体である複数の不織布14が、撹拌部材12,13より上方の領域に配置されている。

【0027】
処理槽11の全体形状は略円筒形状であり、その中心軸11cが鉛直をなすように立設され、撹拌部材12,13の回転軸16が中心軸11cと同軸上に配置されている。処理槽11は、それぞれ略円筒形状をした撹拌槽21、中間槽22及び分離槽23を中心軸11cと同軸上に直列に接続して形成されている。また、撹拌槽21内において撹拌部材12より下方に位置する撹拌部材13の外径は撹拌部材12の外径より大である。

【0028】
処理槽11の最下部分に位置する撹拌槽21の下部には漏斗形状の底板17が取り付けられ、底板17の中心に円管状の廃液供給口18が設けられている。撹拌槽21の内周の上端部分には、撹拌部材12,13の回転軸1に向かって突出した突条19が設けられており、処理槽11側面の中心軸11c方向の中央部分及びその上下部分には、撹拌槽21内の廃液ERなどをサンプルとして取り出し可能な開閉式の取出口21a,21b,21cが設けられている。処理槽11内において、突条19の下方に撹拌部材12が配置され、底板17の上方に撹拌部材13が配置されている。

【0029】
また、撹拌槽21の外周には、上下方向に配置された複数の通液口20a,20bを有する温度調整用の外被筒20が設けられている。通液口20a(または20b)から外被筒20内へ水などの液体を導入し、通液口20b(または20a)から排出することにより、撹拌槽21の温度を所定温度に保つことができる。

【0030】
処理槽11の中央部分(撹拌槽21の上部)に位置する中間槽22は両端部分が開口した円筒形状の部材であり、その内径は撹拌槽21の内径と等しく、中間槽22側面の中心軸11c方向の上下部分には、中間槽22内の廃液ERなどをサンプルとして取り出し可能な開閉式の取出口22a,22bが設けられている。また、中間槽22の外周には、上下方向に配置された複数の通液口2a,2bを有する温度調整用の外被筒24が設けられている。外被筒24は、前述した外被筒20と同様、中間槽22の温度を所定温度に保つ機能を有する。


【0031】
中間槽22内には、倒立漏斗形状の仕切り部材25と、仕切り部材25に連接された通液管27と、分離槽23から垂下されたドラフトチューブ26の下方部分と、複数の不織布14と、が配置されている。図2,図3に示すように、仕切り部材25は、下方に向かって円錐形状に拡径した漏斗本体部25aと、漏斗本体部25aに連通する管状部25bと、で形成され、管状部25bに通液管27が接続されている。図4,5に示すように、漏斗本体部25aの下端周縁部25cの周方向に沿って複数の係止片25dが等間隔に突設されている。

【0032】
図2,図3に示すように、中間槽22の下端部の内周には、漏斗本体部25aの係止片25dを把持可能な複数の取付部22cが周方向に沿って等間隔に設けられている。係止片25d及び取付部22cの配置個数及び配置間隔は同じであるため、係止片25dをそれぞれ取付部22cに把持させることにより、仕切り部材25及び通液管27が中心軸11cと同軸上に起立状態に保持されている。図3に示すように、漏斗本体部25aの下端周縁部25cの外径は、中間槽22の内径より小さいので、漏斗本体部25aの下端周縁部25cと中間槽22の内周面22dとの間には、廃液ER等が通過可能な略リング状の隙間Sが形成されている。

【0033】
図1に示すように、中間槽22の上部には、略円筒形状の分離槽23が中心軸11cと同軸上に接続されている。分離槽23の内径は中間槽22の内径より大であり、中間槽22の上端開口部と分離槽23の下端開口部との境界部分には、中間槽22の内周面から分離槽23の内周面に向かって連続的に拡径した内周面28aを有する略リング形状の連接部材28が介在している。分離槽23の外周上方には、脱窒処理された廃液を排出するための処理液取出口29が設けられている。また、分離槽23の外周において、処理液取出口29と中心軸11cを挟んで対向する位置より少し低い位置に、予備用取出口30が設けられている。

【0034】
分離槽23の上端開口部には略円板状のカバー31が装着され、カバー31の中心に開設された開口部31aにドラフトチューブ26の上端開口部26aを接続することにより、ドラフトチューブ26が、中心軸11c及び通液管27と同軸上で、分離槽23内から中間槽22内に向かって垂下状に保持されている。分離槽23の上端開口部にカバー31を装着することにより、反応系温度を一定温度に保持し、反応雰囲気を嫌気性に保つことができる。また、カバー31の下面から分離槽23内に向かって略円筒状のガスセパレータ32が垂下状に配置されている。ガスセパレータ32は中心軸11cと同軸上でドラフトチューブ26を包囲するように配置され、ガスセパレータ32の下縁部32aは下方に向かって拡径している。

【0035】
カバー31には複数の排気口33,34が設けられ、排気口33は、分離槽23内のドラフトチューブ26外周とガスセパレータ32内周との間隙に連通し、排気口34は、分離槽23内のガスセパレータ32外周と分離槽23内周との間隙に連通している。ガスセパレータ32の下縁部32aは連接部材28より上方に位置し、通液管27の上端開口部27aはガスセパレータ32の下縁部32aより上方であって処理液取出口29より下方に位置している。

【0036】
ドラフトチューブ26の下端開口部26bは、中間槽22における中心軸11c方向の中央部分であって仕切り部材25の漏斗本体部25aより上方に位置している。また、中間槽22の上端開口部からドラフトチューブ26の外周面と中間槽22の内周面との間隙内に向かって複数の不織布14が吊り下げ状態で保持されている。

【0037】
回転数変更可能なモータ15によって駆動される回転軸16はカバー31の開口部31aと同位置に開口しているドラフトチューブ26の上端開口部26aから撹拌槽21内に向かって中心軸11cと同軸上に挿入され、その下端部に撹拌部材12が取り付けられ、撹拌部材12より上方であって突条19より下方に撹拌部材13が取り付けられている。撹拌部材12,13の形状は限定しないが、アナモックスグラニュールAGに対する剪断力が小さく、旋回流発生能力の大きいものが望ましく、例えば、アンカー翼、バドル翼、プロペラ翼などが好適である。また、撹拌部材は上下2段配置に限定しないので、1段配置若しくは回転軸16の長さ方向に3段以上配置してもよい。撹拌部材を複数段配置すると、脱窒処理対象である廃液ERの上下移動を容易化し、脱窒反応速度が増大するという効果が得られる。

【0038】
処理槽11を構成する撹拌槽21,中間槽22,分離槽23及びカバー31などの材質は特に限定しないが、廃液ERなどに対する耐久性、断熱性及び強度に優れたポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂が好適である。また、本実施形態の廃液処理装置10においては、処理槽11内の廃液ERの温度を適切範囲に保つため、温度管理された温水を外被筒20,24内に循環させる自動温度調節機構(図示せず)を設けている。さらに、廃液処理装置10においては、また、処理槽11内の廃液ERのpH値を測定するとともに、その測定結果に対応してpH値を自動若しくは手動で適正範囲内に調節することができるようになっている。

【0039】
廃液処理装置10の処理槽11内に収容されているアナモックス菌群の集合体であるグラニュールAGの平均粒径は0.25mm~2mmの範囲が好適であるが、好ましくは0.3mm~1.5mmの範囲、より好ましくは0.5mm~1.0mmの範囲である。また、アナモックスグラニュールAGの平均比重は1.01~2.5の範囲が好適であるが、好ましくは1.1~2.0であることが望ましい。

【0040】
このようなアナモックスグラニュールAGの調製方法は限定しないが、例えば、アナモックス菌を不織布などの微生物固定担体に付着させてアナモックス菌群を生育させ、生育後のアナモックス菌群を微生物固定担体から剥離させた後、適度な撹拌雰囲気下でさらに生育させることにより調製することができる。このように撹拌雰囲気下で生育させたアナモックスグラニュールAGは撹拌力に対して破損しにくいので、廃液処理装置10において好適に使用することができる。

【0041】
なお、アナモックスグラニュールAGを調製する過程において、グラニュールの形成を促進するための核となるもの、例えば、アナモックス菌以外の微生物のグラニュールや非生物的な担体などを添加することができる。なお、核となる微生物のグラニュールとしては、例えば、メタン菌のグラニュールや従属栄養性脱窒菌のグラニュールなどを使用することができる。また、核となる非生物的な担体としては、例えば、活性炭、ゼオライト、ケイ砂、ケイソウ土、焼成セラミック、イオン交換樹脂など、好ましくは活性炭、ゼオライトなどの微粒子を用いることができる。

【0042】
一方、アナモックス菌の生育速度は、処理対象液または培養液に無機塩を添加することにより顕著に改善されるので、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、EDTAの金属塩など、あるいは、これらの混合物を添加することもできる。また、無機塩を含む液体として、海水を処理対象液に添加することもできる。これらの無機塩の添加量は0.1g/L~5g/Lの範囲が望ましい。

【0043】
次に、廃液処理装置10を使用した廃液ERの脱窒処理について説明する。図1に示す廃液処理装置10において、処理槽11内に導入された亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素とを含む廃液ERとアナモックスグラニュールAGとを、撹拌部材12,13の回転で発生する旋回流下にて接触させると、独立栄養性脱窒菌であるアナモックスグラニュールAGによる脱窒反応(アナモックス反応)が生じ、廃液ER中から窒素ガスを発生しながら脱窒処理が進行する。

【0044】
アナモックス反応は、嫌気的条件下において、NH4+を電子供与体とし、NO2-を電子受容体として、N2ガスに還元する独立栄養性の脱窒反応である。アナモックス反応によって窒素除去を行う場合、その前処理として亜硝酸化を行わなければならない。この場合、脱窒処理対象液中に存在するNH4+の約半分量を酸化して、NO2-にする必要がある。このような嫌気的アンモニア酸化反応は、下記の反応式(1)に基づいて進行すると考えられている。
NH4++NO2-→N2+2H2O・・・・・・(1)

【0045】
本実施形態の廃液処理装置10において処理対象とする廃液ERは、アンモニア性窒素を高度に含有する産業廃液あるいは生活廃液であれば特に限定されないが、例えば、家畜の糞尿などの廃棄物に活性汚泥法などの一次処理を施して有機物を除去することにより、BOD(生物的酸素要求量)を300mg/L以下とするとともに、アンモニア性窒素を高度に含有するC/N比を低くし、さらに、残存するアンモニア性窒素の一部をアンモニア酸化菌(亜硝酸化菌)により亜硝酸性窒素に変化させる二次処理を施した後の廃液が好適である。

【0046】
この場合、廃液ER中に含まれるアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との割合は、モル比でアンモニア性窒素1に対して亜硝酸性窒素0.5~2、特に1~1.5とすることが好ましい。廃液中のアンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度はそれぞれ5~1000mg/L及び5~200mg/Lであることが好ましいが、脱窒処理終了後の処理水を循環して希釈すれば、この限りではない。

【0047】
廃液処理装置10による脱窒処理においては、処理槽11内に供給される廃液ERは、予めアンモニア性窒素を、好気状態にて、独立栄養性アンモニア酸化細菌による亜硝酸化作用によって一部が亜硝酸に酸化されたものである。この亜硝酸化反応は下記の反応式(2)で表される。
NH4++1.5O2-→NO2-+H2O+2H+・・・・・・(2)

【0048】
図1に示す廃液処理装置10による廃水処理方法においては、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素とを含んだ廃液ERを、処理槽11の下端部分の廃液供給口18から処理槽11内へ供給する。供給は連続的であってよい。廃液ERの供給割合は、処理条件によって異なるが、一般には1kg~10kg-NH4-N/m3/day、及び1kg~10kg-NO2-N/m3/dayの範囲である。なお、前記「kg」は流入する廃液ER中のNH4-N、若しくはNO2-Nの総量、前記「m3」は処理槽11の容量を表している。

【0049】
廃液処理装置10においては、撹拌部材12,13の回転によって処理槽11内に発生する旋回流下で、アナモックスグラニュールAGを廃液ERと接触させることにより脱窒処理する。この場合の旋回流の回転数は、アナモックスグラニュールAGと廃液ERとの接触機会を増大させ且つグラニュールを破損しない範囲であること、例えば、1~100rpmの範囲、好ましくは10~50rpmの範囲であることが望ましい。また、旋回流の周速は、例えば、0.1~10m/分、特に好ましくは0.5~5m/分の範囲であることが望ましい。

【0050】
廃液ERの生物脱窒条件としては、例えば、処理槽11の廃液ERの温度については10~40℃、特に20~35℃の範囲が望ましく、pHについては5~9特に6~8の範囲が望ましく、溶存酸素濃度については0~2.5mg/L特に0~0.2mg/Lの範囲が望ましく、BOD濃度については0~50mg/L特に0~20mg/Lの範囲が望ましく、窒素負荷については0.1~10kg-N/m3・day特に1~5kg-N/m3・dayの範囲とすることが望ましい。

【0051】
廃液処理装置10の処理槽11内における脱窒反応は、主として、廃液ERの供給量、廃液ERのpH値及び処理槽11内の廃液ERの温度に基づいて調整する。従って、廃液処理装置10に流入する廃液ERの状態、特にアンモニア窒素濃度を予め検出しておき、それに合わせて前記ファクターを変化させることにより、脱窒処理が終わった後の処理液の窒素濃度を一定レベル以下に自動的に保持することができることが望ましい。

【0052】
廃液処理装置10の処理槽11内におけるアナモックスグラニュールAGによる脱窒反応は、pHが7~9、好ましくは7.5~8.5の範囲で速やかに進行する。これは、アナモックス菌は、前述したpHの範囲内において反応活動が旺盛となることに起因すると推定される。

【0053】
処理槽11内の廃液ERのpH値を前述した範囲内に調整するために使用される無機化合物としては、例えば、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、亜硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、亜硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを挙げることができるが、炭酸水素ナトリウムが最も好ましい。これらの無機化合物はいずれも水溶液として処理槽11内に供給される。

【0054】
廃液処理装置10を用いた脱窒処理において、アナモックス反応の効率化を図るためには、廃液ERの温度、即ち反応温度も反応速度を高める上で重要なファクターとなる。本実施形態における反応温度(廃液ERの温度)としては、通常15~50℃、好ましくは25℃~45℃、より好ましくは、30℃~40℃、特に好ましくは32℃~38℃の範囲である。

【0055】
廃液処理装置10において、廃液ERの処理槽11内平均滞留時間は、装置のサイズ、形状あるいは負荷量などによって変動するが、一般に10分~10時間、好ましくは20分~5時間、特に好ましくは、30分~3時間である。処理槽11内における廃液ERの滞留時間を前述した時間とすれば、この時間内に進行する脱窒反応によって廃液ER中のアンモニア性窒素の大部分は窒素ガスに変換され、処理槽11の最上部に設けられた排気口33,34を経由して廃液処理装置10の外へ排出される。

【0056】
脱窒処理が終わった処理液は、処理槽11の上方に設けられた処理液取出口29から排出される。本実施形態の廃液処理装置10で脱窒処理を終えた処理液は、その後、リンを除去する処理を施してもよい。この場合、リン除去方法としては、通常、金属化合物、好ましくはマグネシウム化合物を前記処理液に添加することによって、前記処理液中の残存アンモニア性窒素とリンとを反応させ、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)として析出させ、前記処理液から除去する方法を採用することができる。

【0057】
なお、前述したリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)を生成させるためのマグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、海水、ドロマイトなどが挙げられる。マグネシウムは前記処理液中のリン濃度に対し、モル比で1~1.2が好適である。

【0058】
本実施形態の廃液処理装置10を使用した場合、脱窒処理前の廃液ER中に含まれていた窒素成分の5~10%程度はNO3-Nとして残存するが、アンモニア性窒素は90%程度が窒素ガスとして除去される。廃液処理装置10においては、従来の活性汚泥法のように菌体の量が大幅に増加することがないので、余剰汚泥を頻繁に引きぬく必要がなく、廃液処理装置10の連続運転が可能であるため、脱窒処理効率が大幅に向上する。

【0059】
次に、図6,図7及び図8に基づいて、稼働中の廃液処理装置10における廃水ERの流動状態、アナモックスグラニュールAGの流動状態及び脱窒反応で発生した窒素ガスの流動状態について説明する。

【0060】
図6に示すように、廃液供給口18から処理槽11の最下部の撹拌槽21内へ流入した廃液ERは、回転軸16によって回転する撹拌部材12,13の撹拌作用によって回転軸16を中心に旋回しながら撹拌槽21内を徐々に上昇していく。この過程において、廃液ERに含まれる亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素がアナモックスグラニュールAGの作用により窒素ガスへ変換され、脱窒反応が進行する。撹拌槽21内を上昇する廃液ERは、突条19によって縮径した部分を通過して仕切り部材25の漏斗本体部25aへ向かい、漏斗本体部25aの下端周縁部25cと中間槽22の内周面との隙間S(図3参照)を通過して中間槽22内へ流入する。

【0061】
中間槽22内へ流入した廃液ERは仕切り部材25と中間槽22の内周面との間を上昇していき、ドラフトチューブ26の下端開口部26bからドラフトチューブ26内周面と通液管27外周面との隙間S1へ流入し、そのまま上昇していく。隙間S1内を上昇して通液管27の上端開口部27aに達した廃液ERは、この上端開口部27aを越えて通液管27内へ流入し、通液管27内を下降して仕切り部材25の漏斗本体部25a内へ流入し、撹拌槽21内を上昇してきた廃液ERと混合され、隙間S(図3参照)を通過して前述と同様に流動していく。

【0062】
一方、隙間S(図3参照)を通過して中間槽22内を上昇する廃液ERの一部は中間槽22内周面とドラフトチューブ26外周面との間隙を上昇しながら、前記間隙に配置されている不織布14に付着しているアナモックス菌ANによってさらに脱窒処理され、連接部材28内を通過して分離槽23内へ流入する。脱窒処理を終えて分離槽23内へ流入した処理液TRは、分離槽23内を流動しながら、その中に含まれている窒素ガスの気泡NBを放出した後、処理液取出口29から外部へ排出される、この分離槽23内において処理液TRの液面から放出された窒素ガスの気泡NBは、排気口33,34から外部へ排出される。

【0063】
図7に示すように、撹拌槽21内に収容されているアナモックスグラニュールAGは撹拌部材12,13の回転によって生じる廃液ERの旋回流とともに流動しながら、廃液ERに含まれる亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を窒素ガスへと変換する。撹拌槽21内を廃液ERとともに流動するアナモックスグラニュールAGの大部分は撹拌槽21内に滞留しているが、一部のグラニュールAGは仕切り部材25の漏斗本体部25aの下端周縁部25cと中間槽22の内周面との隙間S(図3参照)を通過して中間槽22内へ流入する。

【0064】
中間槽22内へ流入した微細なアナモックスグラニュールAGは中間槽22内に設置された複数の不織布14の間を循環することによって不織布14に捕捉されるので、最終的には、SS(Suspended Solid:懸濁物質)の無い、透明な処理液TRを得ることができる。

【0065】
図8に示すように、処理槽11内を流動する廃液ERに含まれる亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素はアナモックスグラニュールAGやアナモックス菌ANの脱窒作用により窒素ガスに変換され、廃液ER中や処理水TR中に窒素ガスの気泡NBとなって現れるが、これらの気泡NBはグラニュールAGやアナモックス菌ANから離脱して上昇する。分離槽23中の処理液TR中まで上昇した窒素ガスの気泡NBは、処理液TRの液面から放出され、排気口33,34を通過して外部へ排出される。また、撹拌槽21内おける脱窒反応によって廃液ER中に現れた窒素ガスの気泡NRの一部は仕切り部材25内及び通液管27内を上昇してドラフトチューブ26の上端開口部26aから外部へ排出される。

【0066】
図1に示す廃液処理装置10においては、脱窒処理対象である廃液ERと、粒子径が均一なアナモックスグラニュールAGと、が、ほぼ完全に混合された状態となるので、亜硝酸性窒素及びアンモニア性窒素を高濃度に含有する廃液ERの脱窒処理にも対応することができる。また、廃液処理装置10においては、アナモックス菌がグラニュール化する特性を利用して、処理槽11内のアナモックス菌濃度を高く維持することができるので、従来の硝化-脱窒法よりも5~10倍程度速い窒素除去速度を達成することができる。

【0067】
さらに、廃液処理装置10においては、処理槽11の下方に位置する撹拌槽21内にアナモックスグラニュールAGを配置し、その上方に位置する中間槽22内にアナモックス菌ANが付着可能な不織布14を配置し、アナモックスグラニュールAGの配置領域である撹拌槽21内に回転式の撹拌部材12,13を配置しているため、微細なアナモックス菌ANは不織布14に付着して、そこに固定される結果、アナモックス菌ANの浮上が少なく、5~10kg-N/m3/day程度の比較的速い反応速度を維持しながら、安定した脱窒処理を行うことができる。

【0068】
一方、撹拌部材12,13は廃液ERに旋回流を発生させるだけでなく、グラニュールAGの外径を均一化する作用も発揮する。また、分離槽23から中間槽22の上部に至る領域の中心軸11cにドラフトチューブ26を配置したことにより、撹拌部材12,13の回転で撹拌槽21内に発生した旋回流が分離槽23内及び中間槽22内においても維持されるので、脱窒反応に活かすことができる。

【0069】
次に、図9,図10を参照して図1に示す廃液処理装置10を使用した脱窒処理結果について説明する。廃液処理装置10を使用して、NH4-N,NO2-Nを主成分とする廃液ERの脱窒処理を行い、窒素負荷(NLR)、窒素除去速度(NRR)及びT-N除去率の経日変化を計測すると図9に示す結果が得られた。

【0070】
なお、廃液処理装置10に導入する処理対象液である廃液ER中のアンモニア性窒素濃度は100~500mg/L、亜硝酸性窒素の濃度は100~500mg/L、脱窒処理中の廃液ERの液温は32~38℃、撹拌槽21内の廃液ERのpHは7.5~8.3、撹拌槽21内の廃液ER中のアナモックスグラニュールAGの濃度は10~30g/L、撹拌部材12,13の回転数は30~100rpmである。

【0071】
図9に示す結果から以下に示す事項を確認することができた。
(1)廃液処理装置10の運転スタート後、30日経過した時点で、3.0kg/m3/dayの窒素除去速度を得ることができた。
(2)運転スタート後、250日経過した時点においては、8.0kg/m3/dayの窒素除去速度を得ることができた。
(3)最終的には、窒素負荷が16kg/m3/dayのとき、最大の窒素除去速度14.0kg/m3/dayの窒素除去速度を達成することができた。
(4)窒素処理期間の全時間を通じて、70%の窒素除去率を達成することができた。特に、脱窒処理期間後半における、窒素負荷の高い期間中は80%を超える高い窒素除去率を得ることができた。

【0072】
また、廃液処理装置10により廃液ERの脱窒処理を行っている過程において、以下に示す事項が判明した。
(1)アナモックスグラニュールAGは長期間にわたって連続的に機械攪拌されるが、後述する図10に示すように、アナモックスグラニュールAGは解体されることがない。
(2)攪拌槽21内の廃液ERなどが乱流状態となるので、脱窒反応に伴って発生する窒素ガスがアナモックスグラニュールAGに取り込まれることがなく、汚泥の浮上も発生しない。
(3)攪拌部材12,13により、撹拌槽21内から中間槽22内へ向かう上昇流が形成され、この上昇流によりドラフトチューブ26を介して中間槽22内に大きな循環流が発生するので、中間槽22内に配置された不織布14によって微細なアナモックスグラニュールAGを捕捉することができる。
(4)攪拌槽21内において廃液ERとアナモックスグラニュールAGとは、ほぼ完全に混合されるので、高濃度基質(特に、亜硝酸性窒素)による阻害を受けることなく、脱窒反応が滞りなく進行する。
(5)撹拌槽21内から中間槽22内へ流入した廃液ERは、不織布14が配置された中間槽22内を循環するので、廃液ER中のフリーSS(懸濁物質)を不織布14に捕捉することができる。

【0073】
また、前記脱窒処理を行ったときの廃液処理装置10におけるアナモックスグラニュールAGの経日変化を計測すると図10に示す結果が得られた。図10を見ると、アナモックスグラニュールAGは、撹拌槽21内において機械的に撹拌されてもグラニュールAGの解体が発生せず、グラニュール径が0.5~0.7mm程度の均一なグラニュールAGが形成されていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、部分亜硝酸化処理した高濃度のNH4-Nを含む廃水の窒素除去技術として、都市下水処理場における返流水の処理、屎尿処理、埋め立て地浸出水の処理、バイオガス脱離液の処理、廃かん水などの脱窒処理手段として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 廃液処理装置
11 処理槽
11c 中心軸
12,13 撹拌部材
14 不織布
15 モータ
16 回転軸
17 底板
18 廃液供給口
19 突条
20,24 外被筒
20a,20b,24a,24b 通液口
21 撹拌槽
21a,21b,21c,22a,22b 取出口
22 中間槽
22c 取付部
22d,28a 内周面
23 分離槽
25 仕切り部材
25a 漏斗本体部
25b 管状部
25c 下端周縁部
25d 係止片
26 ドラフトチューブ
26a,27a 上端開口部
26b 下端開口部
27 通液管
28 連接部材
29 処理液取出口
30 予備取出口
31 カバー
31a 開口部
32 ガスセパレータ
32a 下縁部
33,34 排気口
AG アナモックスグラニュール
ER 廃液
S,S1 隙間
TR 処理液
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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