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明細書 :新規核酸誘導体およびそれを用いたヌクレアーゼ耐性核酸の調製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5357883号 (P5357883)
登録日 平成25年9月6日(2013.9.6)
発行日 平成25年12月4日(2013.12.4)
発明の名称または考案の名称 新規核酸誘導体およびそれを用いたヌクレアーゼ耐性核酸の調製方法
国際特許分類 C12P  19/34        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C07H  21/00        (2006.01)
FI C12P 19/34 ZNAA
C12N 15/00 A
C07H 21/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 29
出願番号 特願2010-525700 (P2010-525700)
出願日 平成21年8月19日(2009.8.19)
国際出願番号 PCT/JP2009/064522
国際公開番号 WO2010/021344
国際公開日 平成22年2月25日(2010.2.25)
優先権出願番号 2008214016
優先日 平成20年8月22日(2008.8.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年10月29日(2010.10.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】▲桑▼原 正靖
【氏名】小比賀 聡
個別代理人の代理人 【識別番号】100163647、【弁理士】、【氏名又は名称】進藤 卓也
審査官 【審査官】幸田 俊希
参考文献・文献 特表2002-521310(JP,A)
KUWAHARA,M. et al.,Systematic analysis of enzymatic DNA polymerization using oligo-DNA templates and triphosphate analogs involving 2',4'-bridged nucleosides.,Nucleic Acids Res.,2008年 6月26日, Vol.36, No.13,pp.4257-65
KUWAHARA,M. et al.,Smart conferring of nuclease resistance to DNA by 3'-end protection using 2',4'-bridged nucleoside-5'-triphosphates.,Bioorg. Med. Chem. Lett.,2009年 6月 1日,Vol.19, No.11,pp.2941-3
萩原慶彦ら,2',4'-架橋型ヌクレオシドの酵素的DNA末端標識とヌクレアーゼ耐性の評価,日本化学会講演予稿集,2009年 3月13日,Vol.89th, No.2,pp.1385
調査した分野 C12P 19/00-19/34
C07H 19/00-19/20
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Thomson Innovation
特許請求の範囲 【請求項1】
ヌクレアーゼ耐性核酸の調製方法であって、
少なくとも3つの塩基からなる核酸と、末端デオキシヌクレオチド転移酵素と、2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸とを混合してインキュベートする工程を含み、
該2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸が、以下の式IIまたは式III:
【化1】
JP0005357883B2_000028t.gif
【化2】
JP0005357883B2_000029t.gif
(式中、
Baseは、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基であり;
Rは、水素原子であり;
およびRのいずれか一方は水素原子であり、他方はフェニル基であり;そして
nは、1である)
で表される構造を有する、方法。
【請求項2】
末端デオキシヌクレオチド転移酵素、および2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸を含む、ヌクレアーゼ耐性核酸の調製用キットであって、
該2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸が、以下の式IIまたは式III:
【化3】
JP0005357883B2_000030t.gif
【化4】
JP0005357883B2_000031t.gif
(式中、
Baseは、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基であり;
Rは、水素原子であり;
およびRのいずれか一方は水素原子であり、他方はフェニル基であり;そして
nは、1である)
で表される構造を有する、キット。
【請求項3】
以下の式II’または式III’で表される2’,4’-架橋型ヌクレオチド:
【化5】
JP0005357883B2_000032t.gif
【化6】
JP0005357883B2_000033t.gif
(式中、
Baseは、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基であり;
Rは、水素原子であり;
およびRのいずれか一方は水素原子であり、他方はフェニル基であり;
そして
nは、1である)
を3’末端に有する、ヌクレアーゼ耐性核酸。
【請求項4】
請求項1に記載の方法により調製された、ヌクレアーゼ耐性核酸。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規核酸誘導体およびそれを用いたヌクレアーゼ耐性核酸の調製方法に関する。より詳細には、既存の機能性核酸に対して、後からヌクレアーゼ耐性を付与するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸分子は、分子生物学や化学生物学などの種々の分野で使用され、医薬・診断薬への応用も盛んに検討されている。核酸分子をインビボで使用する場合、ヌクレアーゼ(核酸分解酵素)耐性を考慮しなくてはならない。そのため、インビトロで機能を十分に果たすという治験が得られた核酸分子であっても、改めて分子設計を行って、その核酸分子に耐性を付与しなければならない。
【0003】
これまでの研究で、架橋型ヌクレオチドを機能性核酸(アンチセンス、アプタマーなど)に導入することによって、ヌクレアーゼ耐性が向上することが知られている。例えば、二環系の糖部分を有するロックト核酸(Locked Nucleic Acid:LNA)が化学合成され、このLNAを有するオリゴヌクレオチドは、天然型のオリゴヌクレオチドよりもヌクレアーゼへの耐性が向上しており、したがって体内での安定性が改善される可能性が示唆されている(非特許文献1)。さらに、ヌクレアーゼ耐性を付与することが可能な架橋型核酸(Bridged Nucleic Acid)が、種々設計および合成されている(非特許文献2~4)。また、このような架橋型ヌクレオチドの三リン酸アナログを含むプライマーについて、DNAポリメラーゼに対する影響が検討されており、糖部分の改変が、ポリメラーゼ反応に大きく影響を及ぼすことが報告されている(非特許文献5)。
【0004】
しかし、これらの架橋型ヌクレオチドおよびそのアナログを核酸(オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)中に付与または導入するためには、いずれも化学合成により(例えば、自動化DNA合成機を用いて)作成する必要がある。そのため、配列未知のDNA鎖や100残基を超える長い塩基長のDNA鎖について、従来法でヌクレアーゼ耐性を付与することは、非常に手間がかかる。
【0005】
上記架橋型ヌクレオチドであるLNAについては、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)によって認識され、DNAオリゴヌクレオチドに組込まれること、およびそれによってDNAオリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性が付与されることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2002-521310号公報
【0007】

【非特許文献1】C. Wahlestedtら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,2000年,97巻,10号,5633-5638頁
【非特許文献2】Y. Hariら、Bioorg. Med. Chem.,2006年,14巻,1029-1038頁
【非特許文献3】K. Miyashitaら、Chem. Commun.,2007年,3765-3767頁
【非特許文献4】S.M.A. Rahmanら、J. Am. Chem. Soc.,2008年,130巻,14号,4886-4896頁
【非特許文献5】M. Kuwaharaら、Nucleic Acids Res.,2008年,36巻,13号,4257-4265頁
【非特許文献6】S. Obikaら、Bioorg. Med. Chem.,2001年,9巻,1001-1011頁
【非特許文献7】S. K. Singhら、Chem. Commun.,1998年,455-456頁
【非特許文献8】R. D. Youssefyehら、J. Org. Chem.;1979年,44巻,1301-1309頁
【非特許文献9】K. Morihiroら、ChemBioChem,2009年,10巻,1784-1788頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、既存の機能性核酸に対して、後から簡単に優れたヌクレアーゼ耐性を付与する方法を提供すること、ならびにそれに用いるための新規な核酸誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)および2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸を用いることにより、一本鎖のデオキシリボヌクレオチド(DNA)の3’末端に架橋型ヌクレオチドを効率よく付加できること、ならびにこのようにして生成した3’末端修飾DNAが非常に高いヌクレアーゼ耐性を示すことを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、ヌクレアーゼ耐性核酸の調製方法を提供し、該方法は、
少なくとも3つの塩基からなる核酸と、末端デオキシヌクレオチド転移酵素と、2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸とを混合してインキュベートする工程を含み、
該2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸が、以下の式I、式IIまたは式III:
【0011】
【化1】
JP0005357883B2_000002t.gif

【0012】
【化2】
JP0005357883B2_000003t.gif

【0013】
【化3】
JP0005357883B2_000004t.gif

【0014】
(式中、
Baseは、以下のα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなり;
Rは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルキニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表すか、あるいはRおよびRは一緒になって、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい炭素数2から10のアルキレン基またはアルケニレン基を表し、ただし、RおよびRは同時に水素原子ではなく;
mは、1から5の整数であり;そして
nは、1から5の整数である)
で表される構造を有する。
【0015】
1つの実施態様では、上記式I、式IIまたは式IIIにおいて、上記Baseは、6-アミノプリン-9-イル基、2,6-ジアミノプリン-9-イル基、2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-フルオロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ブロモプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-メトキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル基、6-アミノ-2-フルオロプリン-9-イル基、2,6-ジメトキシプリン-9-イル基、2,6-ジクロロプリン-9-イル基、6-メルカプトプリン-9-イル基、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-フルオロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-クロロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メトキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メルカプト-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2,4-ジヒドロキシピリミジン-1-イル基、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基、または4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基である。
【0016】
1つの実施態様では、上記式IIにおいて、上記Rは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、またはベンジル基である。
【0017】
1つの実施態様では、上記式I、式IIまたは式IIIにおいて、上記mは1であり、そして上記nも1である。
【0018】
1つの実施態様では、上記式I、式IIまたは式IIIにおいて、上記Baseは、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基である。
【0019】
1つの実施態様では、上記式IIIにおいて、上記RおよびRのいずれか一方は、水素原子である。
【0020】
1つの実施態様では、上記式IIIにおいて、上記RおよびRのいずれか一方は、フェニル基である。
【0021】
本発明はまた、末端デオキシヌクレオチド転移酵素、および2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸を含む、ヌクレアーゼ耐性核酸の調製用キットを提供し、
ここで、該2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸は、以下の式I、式IIまたは式III:
【0022】
【化4】
JP0005357883B2_000005t.gif

【0023】
【化5】
JP0005357883B2_000006t.gif

【0024】
【化6】
JP0005357883B2_000007t.gif

【0025】
(式中、
Baseは、以下のα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなり;
Rは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルキニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表すか、あるいはRおよびRは一緒になって、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい炭素数2から10のアルキレン基またはアルケニレン基を表し、ただし、RおよびRは同時に水素原子ではなく;
mは、1から5の整数であり;そして
nは、1から5の整数である)
で表される構造を有する。
【0026】
本発明はまた、以下の式IIIで表される2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸を提供する:
【0027】
【化7】
JP0005357883B2_000008t.gif

【0028】
(式中、
Baseは、以下のα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルキニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表すか、あるいはRおよびRは一緒になって、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい炭素数2から10のアルキレン基またはアルケニレン基を表し、ただし、RおよびRは同時に水素原子ではなく;
そして
nは、1から5の整数である)。
【0029】
本発明はまた、以下の式I’、式II’または式III’で表される2’,4’-架橋型ヌクレオチド:
【0030】
【化8】
JP0005357883B2_000009t.gif

【0031】
【化9】
JP0005357883B2_000010t.gif

【0032】
【化10】
JP0005357883B2_000011t.gif

【0033】
(式中、
Baseは、以下のα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなり;
Rは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルキニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表すか、あるいはRおよびRは一緒になって、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい炭素数2から10のアルキレン基またはアルケニレン基を表し、ただし、RおよびRは同時に水素原子ではなく;
そして
nは、1から5の整数である)
を3’末端に有する、ヌクレアーゼ耐性核酸を提供する。
【0034】
本発明はさらに、上記のいずれかの方法により調製された、新規なヌクレアーゼ耐性核酸を提供する。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、既存の核酸に対してだけでなく、配列未知のDNA鎖や100残基を超える長い塩基長のDNA鎖に対しても、非常に簡便に高いヌクレアーゼ耐性を付与することが可能である。したがって、医薬および診断薬の分野、ゲノム研究の分野、特にゲノム研究用試薬の調製に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】架橋型ヌクレオシド三リン酸(KTP、LTPまたはMTP)とTdTとのインキュベートにより得られた一本鎖DNAおよび未処理の一本鎖(ODN1)の電気泳動写真である。
【図2】架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加された一本鎖DNA(ODN1#K、ODN1#L、ODN1#M、およびODN1#Q)および未処理の一本鎖(ODN1)の、ヌクレアーゼ処理による反応液の電気泳動写真である。
【図3】架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加された一本鎖DNA(ODN1#K、ODN1#L、ODN1#M、およびODN1#Q)および未処理の一本鎖(ODN1)の、ヌクレアーゼ処理による残存率の経時変化を示すグラフである。
【図4】架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合アプタマー(TBA1#K、TBA1#L、TBA1#M、およびTBA1#Q)および未処理のトロンビン結合アプタマー(TBA1)の、ヌクレアーゼ処理による残存率の経時変化を示すグラフである。
【図5】架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合アプタマー(TBA1#K、TBA1#L、TBA1#M、およびTBA1#Q)および未処理のトロンビン結合アプタマー(TBA1)の、血清中での残存率の経時変化を示すグラフである。
【図6】架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合アプタマー(TBA1#K、TBA1#L、TBA1#M、およびTBA1#Q)および未処理のトロンビン結合アプタマー(TBA1)とトロンビンとをインキュベートした反応液についてのキャピラリー電気泳動によるエレクトログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
まず、本明細書中で用いられる用語を定義する。

【0038】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキル基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基をいい、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、またはn-ヘキシル基をいう。

【0039】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基を有するアルコキシ基を包含する。例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n-プロピルオキシ基などが挙げられる。

【0040】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基を有するアルキルチオ基を包含する。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基などが挙げられる。

【0041】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基を有するアルキルアミノ基を1つまたは2つ有するアルキルアミノ基を包含する。例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられる。

【0042】
本明細書において、用語「分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基」は、炭素数1~7の任意の直鎖アルキル基、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルキル基、および炭素数3~7の任意の環状アルキル基を包含する。例えば、炭素数1~7の任意の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、およびn-ヘプチル基が挙げられ、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基などが挙げられ、そして炭素数3~7の任意の環状アルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。

【0043】
本明細書において、用語「分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基」は、炭素数2~7の任意の直鎖アルケニル基、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルケニル基、および炭素数3~7の任意の環状アルケニル基を包含する。例えば、炭素数2~7の任意の直鎖アルケニル基としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基などが挙げられ、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルケニル基としては、イソプロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-2-ブテニル基などが挙げられ、そして炭素数3~7の任意の環状アルケニル基としては、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。

【0044】
本明細書において、用語「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基」は、炭化水素のみで構成された炭素数6~12の任意の芳香族炭化水素および環構造にヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、または硫黄原子)を含む炭素数3~12の任意の複素芳香族化合物を包含する。炭化水素のみで構成された炭素数6~12の芳香族炭化水素としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基などが挙げられ、そして環構造にヘテロ原子を含む炭素数3~12の任意の複素芳香族化合物としては、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基などが挙げられる。

【0045】
本明細書において、用語「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基」の例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、3-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、2-フェニルブチル基、ピリジルメチル基、インドリルメチル基、フリルメチル基、チエニルメチル基、ピロリルメチル基、2-ピリジルエチル基、1-ピリジルエチル基、3-チエニルプロピル基などが挙げられる。

【0046】
本明細書において、用語「炭素数2から10のアルキレン基またはアルケニレン基」の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ビニレン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基などが挙げられる。

【0047】
以下、本発明について詳述する。

【0048】
本発明のヌクレアーゼ耐性核酸の調製方法は、少なくとも3つの塩基からなる核酸と、末端デオキシヌクレオチド転移酵素と、2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸とを混合してインキュベートする工程を含む。

【0049】
本発明において、ヌクレアーゼ耐性を付与する対象となる核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)のいずれであってもよい。核酸の塩基長は、少なくとも3つの塩基長であれば、特に限定されない。核酸は、天然物から単離した核酸、組換え発現させた核酸、化学的に合成した核酸、酵素的に合成した核酸のいずれの由来であってもよい。また、核酸中に、人工的に改変された塩基および修飾塩基(メチル化など)を含んでいてもよい。また、蛍光物質などの標識物質が結合されていてもよい。本発明においては、好適な対象となり得る核酸としては、アンチセンスDNA分子、アンチジーンDNA分子、DNAアプタマー、DNAザイム、siRNAなどの種々の機能性核酸が挙げられる。

【0050】
本発明においてヌクレアーゼとは、DNAまたはRNAの糖とリン酸の間のホスホジエステル結合を加水分解してヌクレオチドとする核酸分解酵素をいう。ヌクレアーゼは、生体内または細胞中に遍在するため、外因性の核酸が生体内または細胞中に入ると、この酵素によって分解され得る。本発明においては、このようなヌクレアーゼによる分解を防止するために、核酸にヌクレアーゼ耐性を付与する。

【0051】
ヌクレアーゼとしては、DNA特異的なデオキシリボヌクレアーゼ、RNA特異的なリボヌクレアーゼ、ならびにDNAおよびRNAのいずれにも作用するヌクレアーゼが挙げられる。また、一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖RNA、ならびにDNA-RNAハイブリッドのいずれに作用するヌクレアーゼも挙げられる。本発明においては、好ましくは、核酸配列の外側から、すなわち、核酸の5’末端または3’末端から分解するエキソヌクレアーゼ、より好ましくは3’末端から分解するエキソヌクレアーゼに対して、耐性が付与され得る。

【0052】
本発明の方法に用いられる末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)は、鋳型に依存せずに、二本鎖および一本鎖DNAの3’-OH末端へ、デオキシリボースを有するヌクレオチドを連結させる(付加する)反応を触媒する酵素である。TdTは、放射性標識ヌクレオチドやジゴキシゲニンやビオチンのようなハプテンで標識されたヌクレオチドも基質として利用し得る。本発明において用いるTdTの由来は、特に限定されず、市販のTdTを用い得る。

【0053】
TdTの1ユニットは、通常、d(pT)をプライマーとして用いて、120μLの反応液(120mMのカコジル酸カリウム、1mMのCoCl、1mMのdTTP、0.1ODのd(pT)、および6.25pmolの[H]-dTTP)中、37℃にて30分間の反応させた場合に、1nmolのdAMPを酸沈殿産物に取り込む活性量として表される。

【0054】
本発明の方法で用いられる2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸は、以下の式I、式IIまたは式III:

【0055】
【化11】
JP0005357883B2_000012t.gif

【0056】
【化12】
JP0005357883B2_000013t.gif

【0057】
【化13】
JP0005357883B2_000014t.gif

【0058】
(式中、
Baseは、以下のα群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなり;
Rは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルキニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表すか、あるいはRおよびRは一緒になって、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい炭素数2から10のアルキレン基またはアルケニレン基を表し、ただし、RおよびRは同時に水素原子ではなく;
mは、1から5の整数であり;そして
nは、1から5の整数である)
で表される構造を有する。

【0059】
上記式I、式IIまたは式IIIにおいて、Baseは、プリン塩基(すなわち、プリン-9-イル基)またはピリミジン塩基(すなわち、2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基)である。これらの塩基は、水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなるα群より選択される任意の置換基を1以上有していてもよい。

【0060】
上記の塩基(Base)の具体例としては、6-アミノプリン-9-イル基(アデニニル基)、2,6-ジアミノプリン-9-イル基、2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-フルオロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ブロモプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基(グアニニル基)、6-アミノ-2-メトキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル基、6-アミノ-2-フルオロプリン-9-イル基、2,6-ジメトキシプリン-9-イル基、2,6-ジクロロプリン-9-イル基、6-メルカプトプリン-9-イル基、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基(シトシニル基)、4-アミノ-2-オキソ-5-フルオロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-クロロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メトキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メルカプト-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2,4-ジヒドロキシピリミジン-1-イル基(ウラシリル基)、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基(チミニル基)、および4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基が挙げられる。

【0061】
中でも、Baseは、TdTのより好適な基質となり得る点で、以下の構造式:

【0062】
【化14】
JP0005357883B2_000015t.gif

【0063】
でそれぞれ表される、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基(チミニル基)、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基(シトシニル基)、6-アミノプリン-9-イル基(アデニニル基)、および2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基(グアニニル基)が好適であり、特に、2,4-ジヒドロキシ-5-メチルピリミジン-1-イル基(チミニル基)が好適である。

【0064】
上記式IIにおいて、Rは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、または該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基である。より好適には、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、またはベンジル基であり、さらに好適には、Rは、水素原子またはメチル基である。

【0065】
上記式IIIにおいて、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルキニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を有するスルホニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基を表すか、あるいはRおよびRは一緒になって、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよい炭素数2から10のアルキレン基またはアルケニレン基を表し、ただし、RおよびRは同時に水素原子ではない。より好適には、上記RおよびRのいずれか一方は、水素原子であり、他方は、フェニル基である。

【0066】
上記式I、式IIまたは式IIIにおいて、nは、1から5の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。

【0067】
上記式Iにおいて、mは、1から5の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。

【0068】
上記式I、式IIおよび式IIIで表される2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸の代表的な例として、Baseがチミニル基であり、Rが水素原子であり、RおよびRがそれぞれ水素原子およびフェニル基であり、そしてmおよびnがいずれも1である場合のそれぞれの構造式(それぞれLTP、MTP、QTPと称する)を以下に示す。

【0069】
【化15】
JP0005357883B2_000016t.gif

【0070】
【化16】
JP0005357883B2_000017t.gif

【0071】
【化17】
JP0005357883B2_000018t.gif

【0072】
このような2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸は、非特許文献1~4または6に記載の方法によって任意のヌクレオシド(天然型あるいは非架橋型)から2’,4’-架橋型ヌクレオシドを調製し、さらに非特許文献5に記載の方法に従って三リン酸化することによって調製することができる。2’,4’-架橋型ヌクレオシドは、市販のものを用いてもよい。

【0073】
本発明の方法では、少なくとも3つの塩基からなる核酸と、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)と、2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸とを混合してインキュベートする工程により、ヌクレアーゼ耐性核酸を調製することができる。

【0074】
このインキュベートする工程において、耐性を付与すべき核酸に対する、2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸の量は特に限定されないが、効率よく確実に核酸の3’末端に付加するために過剰量であることが好ましい。また、TdTの使用量も特に限定されず、核酸の量に応じて適宜設定され得る。反応液の組成も、TdTの活性が発揮されれば特に限定されない。市販のTdTを用いる場合は、TdTに添付されているバッファー溶液を用いることが好ましい。

【0075】
また、インキュベート条件も、通常TdTの活性を発揮させるに適する条件であれば、特に限定されず、用いるTdTに応じて適宜設定される。例えば、インキュベート温度は、30℃~40℃、好適には37℃であり得る。インキュベート時間も、TdTの量、核酸および2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸の量に応じて適宜設定される。

【0076】
このようにして、入手の容易なTdTと、2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸とを用いて、当業者が一般的に用いる条件下でインキュベートするという極めて簡単な操作により、任意の核酸の3’末端に2’,4’-架橋型ヌクレオチドを付加することができる。

【0077】
また、ヌクレアーゼ耐性核酸の調製のために、2’,4’-架橋型ヌクレオシド三リン酸とTdTとは、キットの形態で提供されてもよい。このようなキットには、上記のインキュベートを行うために適切なバッファー溶液、使用指示書なども含まれ得る。

【0078】
上記方法により得られる生成物は、以下の式I’、式II’または式III’

【0079】
【化18】
JP0005357883B2_000019t.gif

【0080】
【化19】
JP0005357883B2_000020t.gif

【0081】
【化20】
JP0005357883B2_000021t.gif

【0082】
を3’末端に有する核酸である。

【0083】
これらの2’,4’-架橋型ヌクレオチドが付加した核酸は、ヌクレアーゼに対する耐性が付与された新規な核酸である。したがって、ヌクレアーゼが存在するインビボにおいて、所望の核酸の機能をより効果的に発揮させることができる。
【実施例】
【0084】
(参考調製例1:5-メチル-2’-O,4’-C-メチレンウリジン-5’-三リン酸(KTP)の調製)
【実施例】
【0085】
【化21】
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【実施例】
【0086】
非特許文献5の記載に従ってKTPを調製した。まず、5-メチル-2’-O,4’-C-メチレンウリジン(ヌクレオシド1:非特許文献6に従って合成)(100mg,0.370mmol)およびN,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン(Proton Sponge(登録商標):119mg;0.555mmol;1.5当量)をフラスコに入れ、真空下で一晩乾燥させた。次いで、トリメチルリン酸(2.6mL)をアルゴン雰囲気下でフラスコに入れ、混合物を0℃まで冷却した。次いで、オキシ塩化リン(42μL;0.444mmol;1.2当量)を滴下し、反応混合物を0℃にて攪拌した。45分後、n-トリブチルアミン(328μL;1.37mmol;3.7当量)およびn-ピロリン酸n-トリブチルアミン(0.5MのDMF溶液を3.7mL;1.85mmol;5当量)を0℃にて添加し、反応混合物を室温まで温め、さらに1時間攪拌した後、炭酸水素トリエチルアンモニウム(1.0M水溶液)で反応をクエンチした。溶媒を真空下で除去し、そして残渣を水に溶解した。この残渣を、0.05~1.0Mの炭酸水素トリエチルアンモニウム緩衝液(pH8)の直線グラジエントでSephadex(登録商標)DEAE A-25カラムを用いて精製した。対応する画分を合わせ、減圧下でエバポレートした。過剰のピロリン酸を除去するために、残渣を、10mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(pH7)中0%(v/v)~20%(v/v)アセトニトリルの直線グラジエントでの逆相MPLCにより精製した。さらなる精製を、50mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液中0%(v/v)~4.9%(v/v)アセトニトリルの直線グラジエントでの逆相HPLC(φ20×250mm)で行い、架橋型ヌクレオシド三リン酸KTPを得た(24.8μmol:収率6.7%)。
【実施例】
【0087】
得られたKTPのスペクトルデータは、以下のとおりであった:1H NMR (500 MHz, D2O)δ7.55 (s, 1H), 5.48 (s, 1H), 4.36-4.12 (m, 4H), 3.95-3.75 (m, 2H), 1.75 (s, 3H);31P NMR (500 MHz, D2O)δ-10.35 (d), -11.17 (d), -22.81 (t);ESI-MS(ネガティブイオンモード)m/z,実測値=508.8,計算値 [(M-H)-]=508.98。
【実施例】
【0088】
(調製例1:5-メチル-2’-O,4’-C-(メチレンオキシメチレン)ウリジン-5’-三リン酸(LTP)の調製)
【実施例】
【0089】
【化22】
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【実施例】
【0090】
非特許文献5の記載に従ってLTPを調製した。ヌクレオシド1の代わりに5-メチル-2’-O,4’-C-(メチレンオキシメチレン)ウリジン(ヌクレオシド2:非特許文献2に従って合成)(106mg,0.353mmol)を用いたこと以外は、上記参考調製例1と同様の手順で、架橋型ヌクレオシド三リン酸LTPを得た(18.7μmol:収率5.3%)。
【実施例】
【0091】
得られたLTPのスペクトルデータは、以下のとおりであった:1H NMR (500 MHz, D2O)δ7.67 (s, 1H), 5.84 (s, 1H), 5.06-4.99 (m, 2H), 4.49-4.48 (m, 1H), 4.30-4.23 (m, 1H), 4.30-4.23 (m, 1H), 4.13-3.97 (m, 2H), 3.73-3.65 (m, 2H), 1.75 (s, 3H);31P NMR (500 MHz, D2O)δ-12.42 (d), -14.44 (d), -25.39 (t);ESI-MS(ネガティブイオンモード)m/z,実測値=538.8,計算値[(M-H)-]=538.99。
【実施例】
【0092】
(調製例2:5-メチル-2’-O,4’-C-(アミノメチレン)ウリジン-5’-三リン酸(MTP)の調製)
【実施例】
【0093】
【化23】
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【実施例】
【0094】
非特許文献5の記載に従ってMTPを調製した。まず、トリエチルアミン三フッ化水素(313μL;1.91mmol;5当量)を、ヌクレオシド3(非特許文献4に従って合成)(201mg;0.381mmol)のTHF溶液(4.1mL)に攪拌しながら加えた。反応混合物を、室温で3時間攪拌した。エバポレーション後、残渣を、逆相カラムクロマトグラフィー(0%(v/v)~5%(v/v)のアセトニトリル水溶液)により精製した。ヌクレオシド4を含む残渣を、メタノールに溶解し、結晶化して、ヌクレオシド4を定量的収率で得た(108mg;0.379mmol)。
【実施例】
【0095】
得られたヌクレオシド4のスペクトルデータは、以下のとおりであった:1H NMR (300MHz, CD3OD)δ8.13 (d, J = 1 Hz, 1H), 6.24 (s, 1H), 4.23 (d, J = 3 Hz, 1H), 4.16 (d, J = 3 Hz, 1H), 3.71 (q, J = 13 Hz, 2H), 3.55 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.51 (d, J = 13 Hz, 1H), 1.87 (d, J = 1 Hz, 3H);ESI-MS(ポジティブイオンモード)m/z,実測値=308.1,計算値[(M+Na)+]=308.1。
【実施例】
【0096】
次いで、ヌクレオシド1の代わりにヌクレオシド4(57.8mg,0.203mmol)を用いたこと以外は、上記参考調製例1と同様の手順で、架橋型ヌクレオシド三リン酸MTPを得た(3.19μmol:収率1.6%)。
【実施例】
【0097】
得られたMTPのスペクトルデータは、以下のとおりであった:1H NMR (500 MHz, D2O)δ7.75 (s, 1H), 6.06 (s, 1H), 4.36-4.33 (m, 1H), 4.14-3.95 (m, 3H), 3.50 (d, J = 13 Hz, 1H), 2.71 (d, J = 14 Hz, 1H), 1.75 (s, 3H); 31P NMR (500 MHz, D2O)δ-13.51 (d), -14.46 (d), -25.90 (t);ESI-MS(ネガティブイオンモード)m/z,実測値=523.9,計算値[(M-H)-]=524.0。
【実施例】
【0098】
(実施例1:末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)による架橋型ヌクレオチドのDNA3’末端への付加反応)
5’末端を蛍光標識化した26merの一本鎖DNA(ggcgttgagtgagtgaatgagtgagt:配列番号1)(ODN1;0.4μM)(株式会社日本バイオサービスより購入)、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT;0.125、0.150、または0.175ユニット/μL)(タカラバイオ株式会社より購入)、この酵素に添付のバッファー溶液(1×)および200μMの上記調製例1~3で得た架橋型ヌクレオシド三リン酸(KTP、LTPまたはMTP)を含む20μLの反応液をそれぞれ調製し、37℃で60分間インキュベートした。反応終了後、反応液に0.4μLの色素液(0.1%(v/v)ブロモフェノールブルー)および2.4μLの7Mの尿素溶液(3mMのEDTA)を加えた後、94℃で熱変性させ、20%(w/v)ポリアクリルアミド変性ゲルを用いて電気泳動を行った(変性PAGE;300V、49℃、150分)。泳動後、モレキュラー・イメージャー(BioRad社製)を用いてレーザー照射(488nm)し、ゲルを可視化した。得られたゲルの写真を図1に示す。
【実施例】
【0099】
図1からわかるように、一本鎖DNA(ODN1)を架橋型ヌクレオシド三リン酸とTdTとで処理することにより、分子量がわずかに大きなDNA、すなわち、架橋型ヌクレオチドが付加されたDNAが得られることがわかった。また、この付加されたDNAは、酵素TdTの用量依存的に生じることもわかった。
【実施例】
【0100】
(調製例3:5-メチル-2’-O,4’-C-(ベンジルオキシメチレン)ウリジン-5’-三リン酸(QTP)の調製)
【実施例】
【0101】
【化24】
JP0005357883B2_000025t.gif
【実施例】
【0102】
非特許文献7~9に従って、ヌクレオシド5からヌクレオシド6を合成した。窒素気流下、得られたヌクレオシド6(370mg;0.698mmol)の無水ベンズアルデヒド溶液(3.7mL)に塩化亜鉛(114mg;0.838mmol)を加え、室温で14時間攪拌した。氷冷下、飽和重曹水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v))により精製し、ヌクレオシド7(338mg:収率78%)を白色泡状物質として得た。
【実施例】
【0103】
得られたヌクレオシド7の物性データは、以下のとおりであった:融点:103~105℃;[α]D26 -7.5 (c 1.00, CHCl3);IR νmax (KBr):1271, 1464, 1693, 2868, 2946, 3035, 3176 cm-11H NMR (270 MHz, CDCl3): δ1.08-1.12 (28H, m), 1.92 (3H, d, J = 1 Hz), 3.70 (1H, d, J = 13 Hz), 3.76 (1H, d, J = 13 Hz), 3.93 (1H, d, J = 12 Hz), 4.05 (1H, d, J = 13 Hz), 4.43 (1H, d, J = 6 Hz), 4.71 (1H, d, J = 6 Hz), 6.22 (1H, s), 6.24 (1H, s), 7.36-7.64 (6H, m), 8.02 (1H, brs);13C NMR (67.8 MHz, CDCl3): δ12.4, 12.6, 12.6, 12.7, 13.4, 16.9, 17.1, 17.2, 17.2, 17.3, 17.4, 60.2, 68.8, 70.6, 79.0, 88.9, 92.7, 103.9, 110.1, 126.1, 128.3, 128.9, 135.5, 139.1, 149.7, 163.9;MS (FAB): m/z 619 (M+H)+;HRMS (FAB):計算値 C30H47N2O8Si2[(M+H)+]=619.2871, 実測値=619.2908。
【実施例】
【0104】
次いで、ヌクレオチド7(22.0mg;0.0356mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.9mL)に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(テトラヒドロフラン中1.0M;0.0712ml;0.0712mmol)を加え、氷冷下で1時間攪拌した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製し、ヌクレオシド8(12.9mg:収率96%)を白色固体として得た。
【実施例】
【0105】
得られたヌクレオシド8の物性データは、以下のとおりであった:融点:122~125℃;[α]D24 +17.9 (c 1.00, メタノール);IR νmax (KBr):1273, 1470, 1694, 3348 cm-11H NMR (270 MHz, CD3OD):δ1.87 (3H, d, J = 1 Hz), 3.69 (1H, d, J = 12 Hz), 3.77 (1H, d, J = 12 Hz), 3.78 (1H, d, J = 13 Hz), 3.97 (1H, d, J = 13 Hz), 4.30 (1H, d, J = 6 Hz), 4.59 (1H, d, J = 6 Hz), 6.26 (1H, s), 6.32 (1H, s), 7.31-7.50 (5H, m), 7.95 (1H, d, J = 1 Hz);13C NMR (67.8 MHz, CD3OD):δ12.6, 60.9, 69.3, 71.6, 81.2, 90.5, 93.2, 104.7, 110.8, 127.3, 129.1, 129.6, 137.8, 141.4, 152.2, 166.5;MS (FAB): m/z 377 (M+H)+;HRMS (FAB):計算値 C18H21N2O7[(M+H)+]=377.1349, 実測値=377.1366。
【実施例】
【0106】
次に、ヌクレオシド1の代わりにヌクレオシド8(106mg;0.282mmol)を用いたこと以外は、上記参考調製例1と同様の手順で、架橋型ヌクレオシド三リン酸QTPを得た(6.580μmol:収率2.3%)。
【実施例】
【0107】
得られたQTPのスペクトルデータは、以下のとおりであった:31P NMR (500MHz,D2O),-10.56(d), -11.369(d), -22.94(t);ESI-MS(ネガティブイオンモード)m/z, 実測値=615.1,計算値[(M-H)-]=615.03。
【実施例】
【0108】
(実施例2:架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加された一本鎖DNAのヌクレアーゼ耐性の評価)
上記実施例1と同様の手順で架橋型ヌクレオチドKTP、LTP、MTP、およびQTPをそれぞれ3’末端に付加した一本鎖DNA(それぞれODN1#K、ODN1#L、ODN1#MおよびODN1#Qという)および未処理の一本鎖(ODN1)のうち、いずれか1つの一本鎖DNAを含む水溶液(1μM)を2μLと、蛇毒ホスホジエステラーゼIを含む水溶液(25μユニット/μL)を2μLと、5×濃度の反応緩衝液(250mMのTris-HCl、50mMのMgCl、pH8.0)を1μLとを混ぜ合わせた反応液(5μL)を調製し、37℃でインキュベートし、反応開始10分後、20分後、30分後、60分後、および120分後に反応液をそれぞれ取り出した。取り出した反応液に色素液(0.1%(v/v) ブロモフェノールブルー)および7Mの尿素溶液(3mMのEDTA)を加えた後、94℃で熱変性させ、20%(w/v)ポリアクリルアミド変性ゲルを用いて電気泳動を行った(変性PAGE;300V、49℃、130分)。泳動後、モレキュラー・イメージャー(BioRad社製)を用いてレーザー照射(488nm)し、ゲルを可視化した。得られたゲル写真(図2)におけるバンド強度より、未反応の一本鎖DNAの割合(%)を算出し、反応時間に対してプロットした(図3)。
【実施例】
【0109】
図2および3から明らかなように、架橋型ヌクレオチドLTP、MTP、およびQTPが付加したDNA(それぞれODN1#L、ODN1#MおよびODN1#Q)はいずれも、未処理のODN1およびODN1#K(特許文献1に記載のヌクレオチド)よりも残存率が高く、エキソヌクレアーゼ(蛇毒ホスホジエステラーゼI)によって分解されにくかった。このように、DNAを架橋型ヌクレオチドとTdTとで処理することによって、簡単に高いヌクレアーゼ耐性を付与することができることがわかった。
【実施例】
【0110】
(実施例3:架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合DNAアプタマーのヌクレアーゼ耐性の評価)
上記実施例1と同様の手順で、トロンビン結合DNAアプタマー(TBA:Thrombin Binding Aptamer、シグマ-アルドリッチ社より購入)に、架橋型ヌクレオチドKTP、LTP、MTP、およびQTPをそれぞれ3’末端に付加した(それぞれTBA1#K、TBA1#L、TBA1#M、およびTBA1#Qという)。なお、用いたトロンビン結合DNAアプタマー(agtccgtggtagggcaggttggggtgact:配列番号2)は、5’末端がカルボキシフルオレセインで標識化されている。
【実施例】
【0111】
これらの架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合DNAアプタマー(それぞれTBA1#K、TBA1#L、TBA1#MおよびTBA1#Qという)および未修飾のトロンビン結合DNAアプタマー(TBA1)のうち、いずれか1つのDNAアプタマーを含む水溶液(1μM)を2μLと、蛇毒ホスホジエステラーゼIを含む水溶液(25μユニット/μL)を2μLと、5×濃度の反応緩衝液(250mMのTris-HCl、50mMのMgCl、2.5%(w/v)のTween20、pH8.0)を1μLとを混ぜ合わせた反応液(5μL)を調製し、37℃でインキュベートし、反応開始10分後、20分後、30分後、60分後および120分後に反応液をそれぞれ取り出した。取り出した反応液に色素液(0.1%(v/v)ブロモフェノールブルー)および7Mの尿素溶液(9mMのEDTA)を加えた後、94℃で熱変性させ、20%(w/v)ポリアクリルアミド変性ゲルを用いて電気泳動を行った(変性PAGE;300V、49℃、130分)。泳動後、モレキュラー・イメージャー(BioRad社製)を用いてレーザー照射(488nm)し、ゲルを可視化した。得られたゲル写真におけるバンド強度より未反応の一本鎖DNAの割合(%)を算出し、反応時間に対してプロットした。結果を図4に示す。
【実施例】
【0112】
図4から明らかなように、架橋型ヌクレオチドLTP、MTP、およびQTPとTdTとで処理したDNA(それぞれTBA1#L、TBA1#MおよびTBA1#Q)はいずれも、未処理のTBA1およびTBA#Kよりも残存率が高く、エキソヌクレアーゼ(蛇毒ホスホジエステラーゼI)によって分解されにくかった。特に、MTPおよびQTPを用いて3’末端に架橋型ヌクレオチドを付加したDNA(TBA1#MおよびTBA1#Q)の残存率が高かった。
【実施例】
【0113】
(実施例4:架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合DNAアプタマーの血清中における安定性の評価)
上記実施例3と同様に調製した架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合DNAアプタマー(TBA1#K、TBA1#L、TBA1#M、およびTBA1#Q)および未修飾のトロンビン結合DNAアプタマー(TBA1)のうちのいずれか1つのDNAアプタマーを含む水溶液(4μM)を0.5μLと、血清(ヒト男性AB型血漿:シグマ-アルドリッチ社)を4μLと、10×濃度の反応緩衝液(500mMのTris-HCl、100mMのMgCl、pH8.0)を0.5μLとを混ぜ合わせた反応液(5μL)を調製し、37℃でインキュベートし、反応開始10分後、20分後、30分後、60分後、120分後、240分後、および480分後に反応液をそれぞれ取り出した。取り出した反応液に色素液(0.1%(v/v)ブロモフェノールブルー)および7Mの尿素溶液(3mMのEDTA)を加えた後、94℃で熱変性させ、20%(w/v)ポリアクリルアミド変性ゲルを用いて電気泳動を行った(変性PAGE;300V、49℃、130分)。泳動後、モレキュラー・イメージャー(BioRad社製)を用いてレーザー照射(488nm)し、ゲルを可視化した。得られたゲル写真におけるバンド強度より未反応の一本鎖DNAの割合(%)を算出し、反応時間に対してプロットした。結果を図5に示す。
【実施例】
【0114】
図5から明らかなように、種々のヌクレアーゼが存在している血清中においても、架橋型ヌクレオチドLTP、MTP、およびQTPとTdTとで処理したDNA(それぞれTBA1#L、TBA1#MおよびTBA1#Q)はいずれも、未処理のTBA1およびTBA#Kよりも残存率が高く、ヌクレアーゼ耐性を示した。
【実施例】
【0115】
(実施例5:架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合DNAアプタマーのトロンビンに対する結合親和性の評価)
上記実施例3と同様に調製した架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されたトロンビン結合DNAアプタマー(TBA1#K、TBA1#L、TBA1#M、およびTBA1#Q)および未修飾のトロンビン結合DNAアプタマー(TBA1)のうちのいずれか1つのDNAアプタマー(10nM)、ヒト血漿由来トロンビン(40nM:SIGMA社)およびインキュベーションバッファー(20mMのTris-HCl、1mMのMgCl、pH7.4)を含む反応液を調製し、37℃で30分間インキュベートした。
【実施例】
【0116】
インキュベート後の反応液を、それぞれキャピラリー電気泳動にかけた。電気泳動の条件は、以下のとおりであった。キャピラリー電気泳動には、BECKMAN COULTER, P/ACETM MDQ装置を用いた。カートリッジの温度を25℃、そしてサンプルストレージを15℃に設定した。検出は蛍光検出器で行い、励起波長を488nmおよびモニター波長を520nmに設定した。キャピラリーは、内径75μm(BECKMAN COULTER社製)のキャピラリーを長さ30.2cm(ウィンドウまでの長さは20cm)に調整して用いた。ランニングバッファーは、0.4%(w/v)ホウ酸バッファー(0.3%(w/v)ホウ酸ナトリウム、pH8.35:BECKMAN COULTER社製)を用いた。
【実施例】
【0117】
まず、キャピラリー内をランニングバッファーで置換(20psi、2分)した後、サンプルをインジェクト(0.5psi、3.9秒、30.5nL)し、12kVで4分間泳動した。各トロンビン結合DNAアプタマーについて得られたエレクトログラムを図6に示す。
【実施例】
【0118】
図6に示すエレクトログラムにおいて、移動時間が2分付近のピークは、各TBAとトロンビンとの複合体であり、移動時間が3分付近のピークは、各TBAの遊離体であった。なお、TBA1#Mについてのみ、複合体と遊離体との間(2.6分付近)に第3のピークが出現したが、これは、泳動中にトロンビンから解離した遊離のTBA1#Mが複合体との相互作用により何らかの高次構造をとっているためと考えられる。したがって、このピークについては、複合体とみなした。
【実施例】
【0119】
エレクトログラムから解離定数Kdを、M.V. Berezovskiら、Nature Protocols,2006年,1巻,3号,1362頁に記載のように、以下の式により算出した。また、算出したKdを以下の表1に示す。
【実施例】
【0120】
【数1】
JP0005357883B2_000026t.gif
【実施例】
【0121】
式中、
[T]tot:総トロンビン濃度
[DNA]tot:総TBA濃度
:遊離のTBAのピーク面積
:複合体から解離したTBAのピーク面積
:複合体のピーク面積。
【実施例】
【0122】
【表1】
JP0005357883B2_000027t.gif
【実施例】
【0123】
表1からわかるように、架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加されていないTBA1におけるKd値と、架橋型ヌクレオチドが3’末端に付加したTBAにおけるKd値との間に大きな差はなく、ほぼ同等であることがわかった。したがって、3’末端に架橋型ヌク
レオチドが付加されても、アプタマーの機能にはほとんど影響がないことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明によれば、アンチセンスDNA分子、アンチジーンDNA分子、DNAアプタマー、DNAザイム、siRNAなどの種々の機能性核酸への架橋型ヌクレオチドの酵素的付加によって、それらの核酸分子のヌクレアーゼ耐性を簡便に向上させることが可能である。そのため、RNA、一本鎖DNA、および二本鎖DNAを分子標的としたゲノムテクノロジー(アンチセンス法、アンチジーン法、RNAi、デコイ法、遺伝子相同組換え、リボザイム、DNA酵素など)に有用である。したがって、核酸医薬品開発や診断システムなどの共通基盤材料として、基礎生物化学の研究用ツール、医薬品、診断薬、分析試薬などのゲノム研究試薬の開発・調製に利用され得る。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5