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明細書 :電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5817286号 (P5817286)
公開番号 特開2013-026484 (P2013-026484A)
登録日 平成27年10月9日(2015.10.9)
発行日 平成27年11月18日(2015.11.18)
公開日 平成25年2月4日(2013.2.4)
発明の名称または考案の名称 電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法
国際特許分類 H01G  11/34        (2013.01)
H01G  11/86        (2013.01)
FI H01G 11/34
H01G 11/86
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願2011-160446 (P2011-160446)
出願日 平成23年7月22日(2011.7.22)
審査請求日 平成26年6月23日(2014.6.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
発明者または考案者 【氏名】白石 壮志
【氏名】武田 幸三
【氏名】川口 忍
個別代理人の代理人 【識別番号】100085372、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 正義
審査官 【審査官】柴垣 俊男
参考文献・文献 特開2009-054922(JP,A)
特開2001-157822(JP,A)
特開2010-111518(JP,A)
特開2009-291706(JP,A)
特開平11-121285(JP,A)
特開2010-050125(JP,A)
特開2008-141116(JP,A)
調査した分野 H01G 11/00-11/86
特許請求の範囲 【請求項1】
カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の試薬を充填した、常温から40℃の範囲における一定温度に保持した充填筒に不活性ガスに通じ、
記試薬の分解反応により、3000~12000ppmのアンモニア濃度及び1500~6000ppmの二酸化炭素濃度でアンモニア及び二酸化炭素を発生させ、前記アンモニアと前記二酸化炭素をそれぞれ前記濃度で含む不活性ガス雰囲気下で、炭素細孔体を回転する電気炉内で熱処理して前記炭素細孔体の炭素間結合中に窒素原子を導入することを特徴とする電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理が700~950℃で0.5~4時間保持することにより行われる請求項1記載の電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性が高くかつ量産に適した電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充電して繰り返し使える「二次電池」は、性能向上に伴い多くの分野で活用されている。この二次電池の一種である電気二重層キャパシタ(Electric Double Layer Capacitor)は、活性炭などの多孔質炭素電極内の細孔に形成されるイオンの吸着層、即ち電気二重層に電荷を蓄える蓄電器(コンデンサ)である。
【0003】
図4に示すように、電気二重層キャパシタ10は、電解液11に浸漬した二枚の活性炭電極12,13間に電源14を繋いで電圧を印加することで充電される。充電時は電解質イオンが電極表面に吸着する。具体的には、正極12では正孔(h+)に電解液11中の陰イオン(-)が、負極13では電子(e-)に電解液11中の陽イオン(+)がそれぞれ引きつけられ、正孔(h+)と陰イオン(-)、電子(e-)と陽イオン(+)はおよそ数Åという極小の距離をおいて配向し電気二重層を形成する。この状態は電源が外されても維持され、化学反応を利用することなく電気を電気のまま蓄えている。放電時には吸着していた陽イオン並びに陰イオンがそれぞれの電極から脱着する。具体的には、電子(e-)が正極12に戻り、それにつれて正孔(h+)がなくなっていき、これに伴い、陽イオン、陰イオンが電解液中に再び拡散する。このように、充放電の全過程にわたって、キャパシタ材料には何の変化も伴わないため、化学反応による発熱や劣化がなく、長寿命を保つことができる。
【0004】
電気二重層キャパシタは、一般的に二次電池に比べて(1)高速での充放電が可能、(2)充放電サイクルの可逆性が高い、(3)サイクル寿命が長い、(4)電極や電解質に重金属を用いていないので環境に優しい、といった特徴を有する。これらの特徴は、電気二重層キャパシタが重金属を用いておらず、またイオンの物理的吸脱着によって作動し、化学種の電子移動反応を伴わないことに由来する。電気二重層キャパシタはこのような特徴を生かして既にメモリーバックアップ用電源などとして実用化されている。最近では、鉄道車両に搭載した電力貯蔵システムやハイブリッド車の補助電源などの新たな用途の開拓を目指した研究開発が進んでおり、注目されている。
【0005】
しかしながら、現状での電気二重層キャパシタは二次電池等に比べてエネルギー密度が低い問題点があり、また、過酷な環境下での充放電サイクルにおける信頼性が低いといった問題もあった。従って、上記新たな用途を開拓するためには、電気二重層キャパシタのエネルギー密度の改善と信頼性の向上が必要であり、電極材の高容量化並びに過酷環境下での容量安定性が求められている。重量比容量、体積比容量、面積比容量などの二重層容量は活性炭電極の細孔構造、結晶構造、化学組成などのナノ構造に依存するため、キャパシタに適した電極材を設計する必要があった。
【0006】
上記課題を解決するための研究として、本発明者等は活性炭などの炭素細孔体をヘリウムなどの不活性ガスで数千ppmに希釈した一酸化窒素(NO)含有ガス雰囲気下で熱処理することによって、窒素を導入した炭素材料を簡便に乾式で製造する方法(以下、この方法をNO法という。)を開発した(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0007】
このNO法では、上記雰囲気下での熱処理によって、以下の式(1)に示す反応スキームにより、窒素は炭素細孔体表面上の含窒素官能基としてN/C原子比で約1~2%の割合で導入される。
【0008】
C + NO → C(N) + CO ……(1)
そして、得られた窒素導入炭素材料を電気二重層キャパシタの電極主材として評価したところ、3V以上の充電電圧で充放電しても容量が低下しない、具体的には、容量維持率が80%から90%に改善することを見出し、高電圧充電での電気二重層キャパシタの劣化を抑制することに成功した。
【0009】
窒素を導入することによって得られる効果の機構については、現在研究中であるが、含窒素表面官能基が電気化学的に分解し難いこと、窒素導入によって炭素材料の電子構造が変化し初期自然電位が低くなることで高電圧充電時に電極や電解液の電気分解が生じ難くなるためと解釈される。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2008-141116号公報(請求項2、段落[0018]~[0020])
【特許文献2】特開2010-135647号公報(請求項5、段落[0025]~[0029])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1,2に示されるNO法による窒素導入炭素材料を実用化する場合、一酸化窒素は数千ppmにまで希釈したものを使用しているとはいえ、一酸化窒素は大気に大量に放出されると腐食性の硝酸ガスに変化するので、安全性に問題があった。
【0012】
なお、乾式で炭素材料に窒素を導入するその他の手法として、アンモニアと酸素(或いは空気)とをほぼ等量に混合し、この混合ガス雰囲気下で炭素材料に600℃程度の熱処理を施す、アンモオキシデーション法を使用することが考えられる。しかし、アンモオキシデーション法は高濃度のアンモニアを使用しなければならないことから高濃度アンモニアによる毒性に対する安全対策を施す必要があり、また、酸素を使用するため炭素材料の燃焼消失が進み易く、コントロールが難しい欠点があった。
【0013】
本発明の目的は、炭素細孔体の細孔表面に窒素を導入した電気二重層キャパシタ用炭素材料の安全性が高くかつ量産に適した製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点は、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の試薬を充填した、常温から40℃の範囲における一定温度に保持した充填筒に不活性ガスに通じ、記試薬の分解反応により、3000~12000ppmのアンモニア濃度及び1500~6000ppmの二酸化炭素濃度でアンモニア及び二酸化炭素を発生させ、上記アンモニアと上記二酸化炭素をそれぞれ上記濃度で含む不活性ガス雰囲気下で、炭素細孔体を回転する電気炉内で熱処理して前記炭素細孔体の炭素間結合中に窒素原子を導入することを特徴とする電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法である。
【0015】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に熱処理が700~950℃で0.5~4時間保持することにより行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の観点では、安全性に問題がある従来の一酸化窒素を用いた製造方法に比べて、比較的安全なカルバミン酸アンモニウム等を試薬とし、この試薬の分解反応により発生させた微量のアンモニアと二酸化炭素を含む不活性ガス雰囲気下で炭素細孔体を熱処理して窒素を導入した炭素材料を製造するため、安全性に優れ、かつ量産に適した製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法を示す図である。
【図2】実施例3のCA法により得られた窒素導入活性炭のN1sピーク範囲におけるX線光電子分光スペクトルである。
【図3】比較例1のNO法により得られた窒素導入活性炭のN1sピーク範囲におけるX線光電子分光スペクトルである。
【図4】一般的な電気二重層キャパシタの充放電を示す原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。

【0019】
本発明者らは、活性炭などの炭素細孔体の細孔表面に窒素を導入した炭素材料を製造する、従来の一酸化窒素を用いたNO法に代わる安全で乾式の製法について鋭意検討したところ、比較的安全なカルバミン酸アンモニウム等を試薬とし、この試薬の分解反応により発生させた微量のアンモニアと二酸化炭素を熱処理雰囲気として使用する製法が、従来のNO法に比べ、安全性が高くかつ量産に適した製法であることを見出し、本発明を完成した。

【0020】
本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法は、図1に示すように、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の試薬を充填した充填筒に不活性ガスに通じ、炭素細孔体を、上記試薬の分解反応により発生させた少なくともアンモニアと二酸化炭素を含む不活性ガス雰囲気下で熱処理することを特徴とする(以下、この方法をCA法という。)。

【0021】
処理対象である炭素細孔体としては、賦活処理により活性化された活性炭に限らず、賦活処理されていない細孔体も適用可能である。ヤシ殻系活性炭、木質系活性炭、ピッチ系活性炭、石炭系活性炭、カーボンゲル、カーボンナノファイバ等も使用することができる。炭素細孔体に窒素を含有させることにより窒素導入炭素材料を製造する際に、炭素細孔体の内部に形成されている細孔が何かしらの変化を生じ、比表面積が小さくなる傾向があるため、炭素細孔体は少なくとも600m2/g以上、好ましくは1000~2000m2/gの比表面積を有する材料を使用することが好適である。

【0022】
また、試薬としては、比較的安全な、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。カルバミン酸アンモニウム(H2NCO2NH4)は、白色の固体結晶であり、室温付近で次の式(2)に示す分解反応により揮発性を示すことが知られている。

【0023】
2NCO2NH4 → 2NH3 + CO2 ……(2)
また、カルバミン酸アンモニウムと同様に室温付近で分解揮発する炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)並びに炭酸アンモニウム((NH4)2CO3)もカルバミン酸アンモニウムと同様に試薬として使用することが可能である。炭酸水素アンモニウムの分解反応を次の式(3)に、炭酸アンモニウムの分解反応を次の式(4)にそれぞれ示す。

【0024】
NH4HCO3 → NH3 + CO2+ H2O ……(3)
(NH4)2CO3 → 2NH3 + CO2+ H2O ……(4)
そして、試薬を充填筒に充填し、また、熱処理炉に炭素細孔体を入れる。熱処理炉には回転機構を備えた、例えばロータリーキルン電気炉を使用することで、炭素細孔体にムラなく窒素を導入することができる。次いで、試薬を充填した充填筒に不活性ガスを通じる。不活性ガスにはアルゴンやヘリウム、窒素等を用いる。充填筒は、試薬が分解反応し易い、常温から40℃程度の範囲における一定温度に保持することが好ましい。また、充填筒に導入する不活性ガスの流速は、充填筒に充填する試薬の種類や充填量によっても異なるが、充填筒から排出されるアンモニア及び二酸化炭素が所望の濃度となるように適宜調整する。充填筒中の試薬は上記温度範囲において分解反応して、少なくとも、微量のアンモニアガスと二酸化炭素を発生する。充填筒で発生させたアンモニアと二酸化炭素は不活性ガスにより充填筒から排出され、熱処理炉へと送られる。

【0025】
次に、充填筒から送られたガスによって、炉内をアンモニアと二酸化炭素を含む不活性ガス雰囲気とした熱処理炉を加熱し、炭素細孔体を、アンモニアと二酸化炭素を含む不活性ガス雰囲気下、700~950℃で0.5~4時間熱処理する。上記条件での熱処理を施すことにより、炭素細孔体の細孔表面に窒素を導入して窒素を原子比で0.1~3%含んだ炭素材料を簡便に製造することができる。また、本発明の製造方法は比較的安全な試薬を用いているため、安全性が高くかつ量産に適する。ここでは炭素細孔体の炭素間結合中に窒素原子が入り込むものと考えられる。炉内雰囲気中のアンモニアの濃度は3000~12000ppmが、二酸化炭素の濃度は1500~6000ppmがそれぞれ好ましい。アンモニアと二酸化炭素の濃度を上記濃度範囲内としたのは、下限値未満では、炭素細孔体の炭素間結合中に十分に窒素原子が入り込まず、上限値を越えると過度のガス化によって収率が低減してしまうためである。熱処理温度は700~950℃、好ましくは750~850℃、熱処理時間は0.5~4時間、好ましくは1~3時間行えばよい。下限値未満の処理温度並びに下限値未満の処理時間での熱処理では炭素細孔体に必要量の窒素が含有されず、本発明の効果が発揮されず、上限値を越える処理温度での熱処理では、製造される炭素材料の収率が非常に小さくなるためである。

【0026】
本発明の製造方法で得られた電気二重層キャパシタ用炭素材料は、炭素細孔体の細孔表面に窒素が導入され、窒素を原子比で0.1~3%含み、窒素原子が炭素細孔体の炭素間結合中に入り込んだ状態で存在している。このような構成の炭素材料を用いることで、その技術的理由は現段階では明らかではないが、従来のNO法で得られる炭素材料と同様に、単位面積当たりの二重層容量を向上させた電気二重層キャパシタを製造することができる。また、本発明の製造方法で得られる電気二重層キャパシタ用炭素材料を使用したキャパシタは、従来のNO法で得られる炭素材料を使用したキャパシタと同様に電気二重層容量も向上する。

【0027】
そして、本発明の製造方法で得られる炭素材料を用いて分極性電極を形成した電気二重層キャパシタは、従来のNO法で得られる炭素材料を用いて分極性電極を形成した電気二重層キャパシタと同様に、従来の活性炭などの多孔質炭素電極を用いたキャパシタに比べてサイクル特性を向上させることができる。特に過酷な環境下でのサイクル特性に優れる。また、電気二重層容量も向上する。

【0028】
電気二重層キャパシタは、集電極と分極性電極とセパレータを、集電極-分極性電極-セパレータ-分極性電極-集電極の順に重ね、電解液を含浸した構造を有する。この構造を基本単位とし、単位電気二重層キャパシタを多数積層し、電気的に接続して積層体を形成し、その電気容量が高められ、実用に供される。分極性電極を形成するには本発明の製造方法で得られる炭素材料に導電性補助剤、バインダを所定の割合で添加し、混練した後に、任意の形状に成形することが好適である。導電補助剤としてはカーボンブラックが挙げられる。バインダとしてはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が挙げられる。また、集電極、セパレータ等は従来より知られている既存の材料を適用することが可能である。
【実施例】
【0029】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【実施例】
【0030】
<実施例1~3>
炭素細孔体としてフェノール樹脂系活性炭(AC:水蒸気賦活品)を用意した。フェノール樹脂系活性炭は電気二重層キャパシタ用の電極主材として典型的なミクロ孔性の炭素細孔体である。なお、このフェノール樹脂系活性炭(AC:水蒸気賦活品)は参考例1としても用いた。また試薬としてカルバミン酸アンモニウムを、キャリアガスとして窒素をそれぞれ用意した。
【実施例】
【0031】
先ず、図1に示すように、カルバミン酸アンモニウム2gを充填筒に充填し、フェノール樹脂系活性炭1.0gを熱処理炉内に入れた。次いで、充填筒を40℃に保ち、充填筒にキャリアガスを800ml/minの流速で通じた。次に、熱処理炉内に充填筒で発生させたアンモニアと二酸化炭素を含むキャリアガスを供給し、炉内雰囲気をアンモニアと二酸化炭素を含むキャリアガス雰囲気として、以下の表1に示す、処理温度及び処理時間で熱処理することにより、窒素導入活性炭を得た。
【実施例】
【0032】
<比較例1>
炭素細孔体として実施例1~3と同様のフェノール樹脂系活性炭を用意し、このフェノール樹脂系活性炭1.0gを熱処理炉内に入れて、炉内に8000ppmの一酸化窒素を含むヘリウムガスを流速800ml/minで流し、炉内雰囲気を8000ppmの一酸化窒素を含むヘリウムガス雰囲気として、以下の表1に示す、処理温度及び処理時間で熱処理することにより、窒素導入活性炭を得た。
【実施例】
【0033】
<比較試験1>
実施例1~3及び比較例1でそれぞれ得られた窒素導入活性炭、参考例1のフェノール樹脂系活性炭(AC)について、BET比表面積、ミクロ孔容積、窒素含有割合及び収率を求めた。その結果を次の表1に示す。なお、BET比表面積並びにミクロ孔容積は、77Kの窒素吸着等温線から評価し、活性炭中の窒素含有割合(N/C原子比)は燃焼法による元素分析法により求めた。また、収率は処理前重量に対する処理後重量の比率により算出した。
【実施例】
【0034】
【表1】
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表1から明らかなように、実施例1~3のCA法による窒素導入活性炭と比較例1のNO法による窒素導入活性炭は、ともに処理による細孔構造変化は小さかった。また、実施例2と比較例1の結果から、CA法はNO法と比較して熱処理時間が同じであれば、得られる窒素含有割合は低くなる傾向が見られた。但し、実施例1~3の結果から、熱処理時間を長くすると窒素含有割合が高くなるので、NO法よりは熱処理時間が長くなるが、NO法とほぼ同じ量の窒素導入がCA法でも可能であるといえる。また、実施例3と比較例1の結果から、CA法はNO法と比較して窒素含有割合が同程度であれば収率がやや高いと思われる。
【実施例】
【0035】
<比較試験2>
次に、実施例3及び比較例1でそれぞれ得られた窒素導入活性炭、参考例1のフェノール樹脂系活性炭(AC)を電極主材として用いた場合の電気二重層キャパシタの初期容量並びに耐久試験後の容量維持率を求めた。その結果を次の表2に示す。なお、初期容量は電気二重層キャパシタに典型的な有機系電解液(1Mの(C25)3CH3NBF4を含むプロピレンカーボネート溶液)を使い、室温下で二極アルミニウムセルを用いた定電流法(80mA/g、測定電圧範囲:0~2.5V)により評価した値である。また、耐久試験は、3.2Vの電圧で70℃下、100時間保持することで行った。
【実施例】
【0036】
【表2】
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表2から明らかなように、参考例1の未処理の活性炭では、耐久試験後の容量維持率が74%しかないが、実施例3のCA法或いは比較例1のNO法によって窒素を導入した活性炭では、容量維持率を10%以上向上させることが確認された。この結果から、CA法を用いることで高電圧充電耐久性を有する窒素導入活性炭をNO法と同様に製造することができることが示された。
【実施例】
【0037】
また、実施例3のCA法による窒素導入活性炭と比較例1のNO法による窒素導入活性炭のN1sピーク範囲におけるX線光電子分光スペクトル(XPS)を図2及び図3にそれぞれ示す。
【実施例】
【0038】
図2及び図3から明らかなように、これらのN1sスペクトルでは、導入された窒素がピリジン型(398.5eV)、ピロール型(400.5eV)、四級型(401.2eV)として存在しており、特にピリジン型が主成分であることを示している。これらは、文献:T.Kyotani and A.Tomita,Energy and Fuels,11, 681-685(1997)を参考にして帰属させた。実施例3のCA法及び比較例1のNO法ともにスペクトル形状はほぼ同じであるため、CA法で導入された窒素の化学状態はNO法とほぼ同等であることが確認された。
【実施例】
【0039】
<実施例4~21>
炭素細孔体として比表面積の異なる2種類のグレードのケッチェンブラック(EC300,EC600)を用意した。ケッチェンブラックはメソ孔が高度に発達した多孔性カーボンナノ粒子である。なお、これらのケッチェンブラックは参考例2,3としても用いた。また試薬としてカルバミン酸アンモニウムを、キャリアガスとして窒素をそれぞれ用意した。
【実施例】
【0040】
先ず、図1に示すように、カルバミン酸アンモニウム2gを充填筒に充填し、ケッチェンブラック1.0gを熱処理炉内に入れた。次いで、充填筒を40℃に保ち、充填筒にキャリアガスを800ml/minの流速で通じた。次に、熱処理炉内に充填筒で発生させたアンモニアと二酸化炭素を含むキャリアガスを供給し、炉内雰囲気をアンモニアと二酸化炭素を含むキャリアガス雰囲気として、以下の表3に示す、処理温度及び処理時間で熱処理することにより、窒素導入ケッチェンブラックを得た。
【実施例】
【0041】
<比較例2,3>
炭素細孔体として実施例4~21と同様のケッチェンブラック(EC300,EC600)を用意し、このケッチェンブラック1.0gを熱処理炉内に入れて、炉内に8000ppmの一酸化窒素を含むヘリウムガスを流速800ml/minで流し、炉内雰囲気を8000ppmの一酸化窒素を含むヘリウムガス雰囲気として、以下の表3に示す、処理温度及び処理時間で熱処理することにより、窒素導入ケッチェンブラックを得た。
【実施例】
【0042】
<比較試験3>
実施例4~21及び比較例2,3でそれぞれ得られた窒素導入ケッチェンブラック、参考例2,3のケッチェンブラックについて、BET比表面積、メソ孔容積、窒素含有割合及び収率を求めた。その結果を次の表3に示す。なお、BET比表面積並びにメソ孔容積は、77Kの窒素吸着等温線から評価し、ケッチェンブラック中の窒素含有割合(N/C原子比)は燃焼法による元素分析法により求めた。また、収率は処理前重量に対する処理後重量の比率により算出した。
【実施例】
【0043】
【表3】
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表3から明らかなように、実施例4~21と参考例2,3の結果から、CA法において今回設定した750~900℃の処理温度範囲では、使用したケッチェンブラックのグレード(EC300,EC600)の両者とも細孔構造(BET比表面積並びにメソ孔容積)には変化がないことが判った。一方、窒素含有割合に関しては、750℃に比べて850℃の処理条件の方が高かったが、850℃と900℃の差はあまりなかった。処理温度については、850℃で十分といえる。また、熱処理時間が長くなるにつれ窒素含有割合が増加したが、2時間以上の処理は窒素含有割合が飽和する傾向があった。
【実施例】
【0044】
また、実施例8,17及び比較例2,3の結果から、熱処理温度及び熱処理時間が同一条件のCA法とNO法とを比較すると、細孔構造、窒素含有割合及び収率の観点から両者はほぼ同様の性質を有する炭素材料が得られているといえる。
【実施例】
【0045】
<比較試験4>
次に実施例8,17及び比較例2,3でそれぞれ得られた窒素導入ケッチェンブラック、参考例2,3のケッチェンブラックを電極主材とした電気二重層キャパシタの初期容量並びに耐久試験後の容量維持率を求めた。その結果を次の表4に示す。なお、初期容量は電気二重層キャパシタに典型的な有機系電解液(1Mの(C25)3CH3NBF4を含むプロピレンカーボネート溶液)を使い、室温下で二極アルミニウムセルを用いた定電流法(80mA/g、測定電圧範囲:0~2.5V)により評価した値である。また、耐久試験は、所定の電圧で70℃下、100時間保持することで行った。
【実施例】
【0046】
【表4】
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表4から明らかなように、耐久試験後の容量維持率について、BET比表面積が小さいEC300を使用した例(実施例8,比較例2,参考例2)を比較したところ、窒素導入の効果があまり認められなかった。
【実施例】
【0047】
しかし、BET比表面積が大きいEC600を使用した例(実施例17,比較例3,参考例3)を比較すると、参考例3の未処理のケッチェンブラックでは、耐久試験後の容量維持率が65%しかないけれども、実施例17のCA法或いは比較例3のNO法によって窒素を導入したケッチェンブラックでは、容量維持率を20%以上向上させることが確認され、窒素含有割合が同程度であれば、CA法でもNO法と同様に改善することができた。
【実施例】
【0048】
以上のことからCA法は処理条件さえ調整すれば、従来のNO法と遜色ない窒素導入炭素材料を製造できる手法といえる。また、CA法はNO法に比べて安全性が高いため、より量産に適した方法である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料の製造方法は、安全性に問題がある従来の一酸化窒素を用いた製造方法に比べて、比較的安全なカルバミン酸アンモニウム等を試薬とし、この試薬の分解反応により発生させた微量のアンモニアと二酸化炭素を使用するため、安全性に優れ、かつ量産に適した製造方法である。
【符号の説明】
【0050】
10 電気二重層キャパシタ
11 電解液
12 正極
13 負極
14 電源
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3