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明細書 :微粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5807893号 (P5807893)
公開番号 特開2012-158785 (P2012-158785A)
登録日 平成27年9月18日(2015.9.18)
発行日 平成27年11月10日(2015.11.10)
公開日 平成24年8月23日(2012.8.23)
発明の名称または考案の名称 微粒子の製造方法
国際特許分類 B22F   9/02        (2006.01)
C23C  14/14        (2006.01)
C23C  14/58        (2006.01)
C23C  14/00        (2006.01)
FI B22F 9/02 Z
C23C 14/14 D
C23C 14/58 A
C23C 14/00 A
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2011-017820 (P2011-017820)
出願日 平成23年1月31日(2011.1.31)
審査請求日 平成26年1月10日(2014.1.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】畠山 義清
【氏名】西川 恵子
審査官 【審査官】米田 健志
参考文献・文献 特開2003-041305(JP,A)
特表2005-513264(JP,A)
特開平03-177003(JP,A)
調査した分野 B22F 9/00~9/30
特許請求の範囲 【請求項1】
数平均分子量が400以上600以下の範囲にある液体高分子ポリエチレングリコールに、金、銀、銅、白金の少なくともいずれかを含む貴金属、Si及びCdの少なくともいずれかを20℃以上120℃以下の温度範囲でスパッタリングし、
当該スパッタリングの後、100℃以下の範囲で加熱処理を行うことにより粒径を調整する微粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の製造方法に関する。より具体的には、貴金属微粒子、Si微粒子又はCd微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属微粒子は配線材料や医療用検査試薬等の原料素材として利用されている。その中でも特にナノレベル(10-9m程度)の金属微粒子には、装置等の小型化はもちろん、微細ゆえ例えば量子効果等特殊な現象が発現し、予想を超える性能や特異な性能を有すると期待されており、いわゆるナノテクノロジーとして研究が盛んにおこなわれている。
【0003】
たとえば下記特許文献1、非特許文献1にはイオン液体にスパッタリングを行い、金属・半導体のナノ粒子を調整する方法が報告されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-231306号公報
【0005】

【非特許文献1】T.Torimotoら、“Sputter deposition onto ionic liquids:Simple and clean synthesis of highly dispersed ultrafine metal nanoparticles“、Applied Physics Letters、89、243117(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、非特許文献1に記載の技術において、イオン液体は非常に高価であって、技術普及への大きな問題となる。また薬品の処分を考えた場合、使用薬品の構成元素から、環境負荷が小さいとは言い難い。また、水により凝集を引き起こす恐れがあるため水溶液としての展開は難しいといった課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、イオン液体代替の、より環境負荷が小さく安定的に金属微粒子を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第一の手段に係る金属微粒子の製造方法は、液体高分子ポリエチレングリコールに貴金属、Si及びCdの少なくともいずれかをスパッタリングする。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明により、イオン液体代替の、より環境負荷が小さく安定的に金属微粒子を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1において作製した微粒子の電子顕微鏡写真の図である。
【図2】実施例1において温度調製した場合の微粒子の電子顕微鏡写真の図である。
【図3】実施例1において温度調製した場合の微粒子の粒径の変化を示す図である。
【図4】実施例1において温度調製した場合の微粒子の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
【図5】実施例1においてスパッタリング後の加熱による粒径変化を示す図である。
【図6】実施例1において、100℃加熱における金微粒子の電子顕微鏡写真図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の例示にのみ限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係る微粒子の製造方法(以下「本方法」という。)では、液体高分子ポリエチレングリコールに貴金属、Si及びCdの少なくともいずれかをスパッタリングする。
【0013】
本実施形態において、液体高分子ポリエチレングリコールとは、スパッタリングの際に液体である高分子ポリエチレングリコールであって、この限りにおいて限定されるわけではないが、一般にスパッタリングを室温で行なう場合に液体であることが好ましく、数平均分子量で200以上800以下であることが好ましく、より好ましくは400以上600以下である。
【0014】
本実施形態において貴金属とは、限定されるわけではないが金、銀、銅、白金の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0015】
また本実施形態において、スパッタリングは、容器の中に上記液体の高分子ポリエチレングリコールを入れて配置し、この容器を真空チャンバー内に配置し、上記貴金属、Si及びCdの少なくともいずれかをターゲットとして配置し、チャンバーを真空に引きながら希ガス等をターゲットに衝突させ、原子を容器中の高分子ポリエチレングリコールに到達させることで行なう。なおスパッタリングの温度は、特に限定されないが20℃以上120℃以下の範囲が好ましく、時間は、適宜調整可能であるが、10分以上180分以内が好ましい範囲である。スパッタリングの際の捕獲媒体である高分子ポリエチレングリコールの温度を調整することで、後述の実施例から明らかなように、微粒子に対し径、粒径を調整することができるようになる。
【0016】
以上、本方法では、上記スパッタリングによって、微粒子を得ることができるが、本方法では、上記スパッタリング後に、加熱することが好ましい。加熱は、高分子ポリエチレングリコール中に微粒子を保持させた状態で行なうことが好ましい。本法では、加熱をすることで、作製した微粒子の径を調整することができる。加熱前の微粒子の大きさは、例えば金微粒子の場合、5nm以下の数nm程度のものが主となるが、加熱を行なうことで10nm程度にまで大きくすることができ、その加熱の温度については、室温以上であれば特に限定されないが、高すぎると微粒子の凝集が起こる場合があるため、100℃以下に抑えておくことが好ましい。
【0017】
以上、本実施形態では、イオン液体に比べ市場価格が50分の1程度を達成することができる。しかもポリエチレングリコールには環境に負荷を与える元素は含まれておらず、非常に環境負荷が小さい。また、凝集を引き起こすおそれも小さいといった非常に大きな利点がある。
【実施例】
【0018】
以下、上記実施形態に係る微粒子の製造方法について実際に微粒子の作製を行いその効果を確認した。以下詳細に説明する。
【0019】
本実施例では、微粒子の原材料として、貴金属である金を使用し、数平均分子量600の液体の高分子ポリエチレングリコール(和光純薬工業社製、600)を使用した。
【0020】
まず、上記高分子ポリエチレングリコールを容器(深さ3mm、底面関15.9cm、ステンレス製)に2mlに入れ、ターゲットとなる金とともにスパッタリング装置に配置した。そして20℃の温度で真空に引いた後50分間スパッタリングを行うことで、容器内に金微粒子を製造した。図1に、本実施例において作製した金微粒子の電子顕微鏡写真図を示しておく。
【0021】
更に、本実施例では、上記スパッタリングの温度を適宜調整(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃)に調整して複数回金微粒子の作製を行った。図2に、60℃で調整した場合の金微粒子の電子顕微鏡写真図を、図3に粒子径分布の温度による変化を、図4に紫外可視吸収スペクトルの結果を示しておく。これらの図から、調整温度が高くなるに従い、粒径が大きくなる(数nm程度から10nm程度まで増大する)とともに、異方性があらわれていることを確認した。
【0022】
一方、上記20℃で作製した金微粒子に対し、スパッタリング後の加熱による粒径の変化を調べた。図5に、スパッタリング後の加熱による粒径変化を示す。なおこの粒子径分布については、小角X線散乱法によって評価した。また、図6に100℃における金微粒子の電子顕微鏡写真図をそれぞれ示しておく。
【0023】
この結果、加熱温度を上昇させるに従い粒子径を大きく調整することができることが確認できた。一方、90℃まで十分に球形状を保っていることが確認できたが、110℃程度となると凝集が起こってしまっていることが確認でき、凝集を防ぐ範囲としては100℃程度が好ましいことが確認できた。
【0024】
また、上記実施例と同様に、数平均分子量400についても同様に実験を行ったところ、分子量が変わっても粒子の大きさは同様であり、実験、解析の誤差範囲内であることを確認した。
【0025】
以上、本実施例により、微粒子を製造することができることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ナノレベルの微粒子の製造方法として産業上利用可能性がある。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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