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明細書 :電気二重層キャパシタの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5846575号 (P5846575)
公開番号 特開2013-065639 (P2013-065639A)
登録日 平成27年12月4日(2015.12.4)
発行日 平成28年1月20日(2016.1.20)
公開日 平成25年4月11日(2013.4.11)
発明の名称または考案の名称 電気二重層キャパシタの製造方法
国際特許分類 H01G  11/84        (2013.01)
H01G  11/34        (2013.01)
FI H01G 11/84
H01G 11/34
請求項の数または発明の数 2
全頁数 11
出願番号 特願2011-202484 (P2011-202484)
出願日 平成23年9月16日(2011.9.16)
審査請求日 平成26年8月8日(2014.8.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】坪田 敏樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100132230、【弁理士】、【氏名又は名称】佐々木 一也
【識別番号】100088203、【弁理士】、【氏名又は名称】佐野 英一
【識別番号】100100192、【弁理士】、【氏名又は名称】原 克己
審査官 【審査官】田中 晃洋
参考文献・文献 特開2001-284187(JP,A)
特開2000-100668(JP,A)
特開2006-278618(JP,A)
特開2007-067388(JP,A)
調査した分野 H01G 11/84
H01G 11/34
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素材料からなる分極性電極を、電解液または発生ガスが漏出可能な開口部を有する開放型電気二重層キャパシタユニットに組み込む第一の工程と、
電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加する充放電を2サイクル以上繰り返し行い該開放型電気二重層キャパシタユニットを電界賦活する第二の工程と、
該分極性電極を電気二重層キャパシタに組み込む第三の工程と、
を有し、前記炭素材料が、でんぷんおよびセルロースのいずれか一方または双方である糖類を主成分とする炭素前駆体とリン酸グアニジンを配合し、炭素化したものであることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。
【請求項2】
充放電を30サイクル以上繰り返すことを特徴とする請求項1記載の電気二重層キャパシタの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気デバイスの一種である電気二重層キャパシタは、電気二重層を形成するための分極性電極、電気二重層に蓄積された電荷を出し入れするための集電極(集電体)、分極性電極との界面に電気二重層を形成するための電解液および分極性電極どうしの電子的なショートを防ぐためのセパレータと、これらの構成要素を実用デバイスとして機能させるための外装ケースで構成される。
このように構成される電気二重層キャパシタは、導電性材料からなる電極の界面にイオンを吸着させることで電気を充放電する。このとき、電気二重層キャパシタは一挙に大電流を放出できる。
このため、電気二重層キャパシタは、待機中に予熱することで電力を消費するレーザープリンタやコピー機に好適に用いることができ、また、ハイブリッド自動車への応用も期待されている。
【0003】
電気二重層キャパシタは、化学電池と比較してエネルギー密度は小さいものの(化学電池:数百Wh/kg, 電気二重層キャパシタ:数Wh/kg)、パワー密度が大きく(化学電池:数百W/kg, 電気二重層キャパシタ:数千W/kg)、また繰り返し寿命が長い(化学電池:数十回~数千回、電気二重層キャパシタ:数万回)という利点を有する。
このため、高速充放電性、静電容量向上および低コスト化等を図ることができる電気二重層キャパシタについて、電解液材料や電極材料の改良を中心として種々の観点から検討されている。
【0004】
電極材料に関して、例えば、多糖類とフェノール類とを酸性触媒の存在下で反応させる一次反応を行った後、これにアルデヒド類を反応触媒の存在下で付加縮合反応させる二次反応を行って、電極材料等多様な用途に利用できる多糖類変性フェノール樹脂を得る方法が開示されている(特許文献1)。
また、天然に生じる炭水化物、コールタールから誘導されるピッチ、石油から誘導されるピッチおよびこれらのものの組み合わせから選択されるカーボン前駆体から誘導され、1質量%以上の元素性窒素を含有し、1,500m/gより大きな表面積を呈するカーボン材料を得る技術が開示されている(特許文献2)。このカーボン材料は、経済的に製造することができ、電気二重層キャパシタを含む各種のエネルギー貯蔵用途等に利用できるとされている。
また、1,000~20,000ppmのリン原子を含有し、特定の細孔構造を有する電気二重層キャパシタ用リン化合物複合活性炭が開示されている(特許文献3)。この電気二重層キャパシタ用リン化合物複合活性炭は、高い充放電容量を有し、耐久性にも優れるとされている。
また、本発明者等は、でんぷんとリン酸グアニジンの混合物を原料とした炭素材料を電極に用いたキャパシタが高い静電容量を発現できることを報告している(非特許文献1)。リン酸グアニジン中のリンによる賦活効果で表面積が増大したことと、窒素が含有されたことによる向上の両方の効果と考えられる。
【0005】
また、静電容量向上の手段として、電極材料を用いた電極を組み込んだ電気二重層キャパシタを電界賦活する技術が種々提案されている。電界賦活は、静電容量を発現させる賦活の役割を果たすと考えられる、電気二重層キャパシタの最初の充電処理をいう。
電界賦活は、電極セルをケースに入れて封止した電気二重層キャパシタが電解液の蒸発、分解等により破壊等の損傷を受けることを防ぐために、一般的に、電解液の分解電圧以下、好ましくは定格電圧以下で特定の定電圧、定電流条件で充放電することで行われる。
例えば、電界賦活の条件に関して、アルカリ金属とアルカリ金属化合物の少なくとも1種と共に、アルカリ金属の蒸気が発生する温度以上で熱処理された炭素材料を主材として形成された分極性電極が、有機電解液に浸漬されてなる電気二重層コンデンサの電界賦活において、最初の充電における定電流充電を、実使用時に使用する電流よりも低い電流で行い、及び/又は、最初の充電を、実使用電圧以上電解液の分解電圧以下の所定電圧となるまで定電流充電を行った後、所定電圧において緩和電流が十分に小さくなるまで定電圧充電を行う電気二重層キャパシタの電界賦活方法が開示されている(特許文献4)。
また、例えば、黒鉛類似の微結晶炭素を有する非多孔性炭素質電極が、有機電解液に浸漬されてなる電気二重層キャパシタを得る工程;該電気二重層キャパシタを、電極間電圧が静電容量発現電圧以上定格電圧未満の所定の電圧に達するまで定電流充電する工程; 所定の電圧で有機電解液における溶質のイオンが微結晶炭素の表面に均一に吸着されると考えられる所定の時間定電圧充電する工程;電極間電圧が定格電圧以上電解液の分解電圧以下の所定の電圧に達するまで定電流充電する工程;及び、所定の電圧で有機電解液における溶質のイオンが微結晶炭素の層間に均一に挿入されると考えられる所定の時間定電圧充電する工程;を包含する、電気二重層キャパシタの電界賦活方法が開示されている(特許文献5)。
これらの電界賦活方法により、電界賦活を行わない場合に比べて、静電容量密度が数~10%程度向上することがそれぞれの実施例に示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-50543号公報
【特許文献2】特開2006-160597号公報
【特許文献3】特開2008-21966号公報
【特許文献4】特開2000-277397号公報
【特許文献5】特開2007-67388号公報
【0007】

【非特許文献1】坪田敏樹ほか「リン酸グアニジンを混合したでんぷん由来の炭素材料のキャパシタ性能」第37回炭素材料学会年会予稿集 第2~3頁 2010年11月30日発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、より高性能な、新規の電気二重層キャパシタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電気二重層キャパシタの製造方法は、
炭素材料からなる分極性電極を、電解液または発生ガスが漏出可能な開口部を有する開放型電気二重層キャパシタユニットに組み込む第一の工程と、
電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加する充放電を2サイクル以上繰り返し行い該開放型電気二重層キャパシタユニットを電界賦活する第二の工程と、
該分極性電極を用いた電気二重層キャパシタを作製する第三の工程と、
を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電気二重層キャパシタの製造方法は、好ましくは、前記炭素材料が、でんぷんおよびセルロースのいずれか一方または双方である糖類を主成分とする炭素前駆体とリン酸グアニジンを配合し、炭化したものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電気二重層キャパシタの製造方法は、好ましくは、充放電を30サイクル以上繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電気二重層キャパシタの製造方法は、電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加する充放電を2サイクル以上繰り返し行い炭素材料からなる分極性電極を組み入れた開放型電気二重層キャパシタユニットを電界賦活する第二の工程と、賦活処理後の分極性電極を用いた電気二重層キャパシタを作製する第三の工程を含むため、静電容量が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は炭素材料の電極を用いて作製した開放型電気二重層キャパシタについて、0~0.6 Vvs.Ag/AgClの電位範囲(電圧範囲)で充放電を1サイクル行ったときの充放電特性を示す図である。
【図2】図2は-0.2~0.7V vs. Ag/AgClの電位範囲で、掃印速度100 mV/sec、33.3 mV/sec、10 mV/sec、3.33 mV/sec、1 mV/secでCV測定を行った結果を示す図である。
【図3】図3は図2のCV測定の後、充放電特性を1サイクル測定した結果を示す図である。
【図4】図4は-0.2~3.0Vvs.Ag/AgClの電位範囲まで電圧を印加する充放電を繰り返したときの、80サイクル(8set)終了時に測定したCV測定の結果を示す図である。
【図5】図5は炭素材料の電極を用いて作製した開放型電気二重層キャパシタの充放電サイクルの繰り返し回数と静電容量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。

【0015】
本実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法は、炭素材料からなる分極性電極を、電解液または発生ガスが漏出可能な開口部を有する開放型電気二重層キャパシタユニットに組み込む第一の工程と、電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加する充放電を2サイクル以上繰り返し行い開放型電気二重層キャパシタユニットを電界賦活する第二の工程と、分極性電極を用いた電気二重層キャパシタを作製する第三の工程と、を有する。このとき、炭素材料は、分極性電極の正極および負極のいずれに用いてもよいが、正極に用いることがより好ましい。

【0016】
炭素材料は、その原料種類や製造方法を特に限定するものではないが、でんぷんおよびセルロースのいずれか一方または双方である糖類を主成分とする炭素前駆体とリン酸グアニジンを配合し、炭化したものであると、電界賦活をしない状態でも静電容量の大きな電気二重層キャパシタを得ることができ、また、電界賦活することにより顕著に静電容量の増加した電気二重層キャパシタを得ることができるため、好ましい。

【0017】
例えばでんぷんを含む天然物として、じゃがいも、とうもろこし、小麦でんぷん、米でんぷん、ソラマメや小豆等の豆類等を挙げることができ、でんぷんを含む天然物の加工物として、コーンスターチ等を挙げることができる。また、例えばセルロースを含む天然物として、綿、パルプ等を挙げることができ、セルロースを含む天然物の加工物として、紙等を挙げることができ、セルロースを含む天然物の加工時の廃棄物として、おがくず等を挙げることができる。

【0018】
リン酸グアニジンに代えて、リンおよび窒素を含有する化合物であるリン酸メラミンやリン酸グアニル尿素等を用いることもできるが、リン酸グアニジンを用いることがより好ましい。

【0019】
糖類100質量部に対してリンおよび窒素を含有する化合物をリン基準で0.5~3.0質量部および窒素基準で2.0~6.0質量部の条件を満たす量配合することが好ましい。ここで、質量部は、乾燥質量の値である。リンおよび窒素の配合条件は、リンおよび窒素の含有量既知の化合物を糖類に所定量配合することで、上記条件を満たすことができる。また、糖類に化合物を配合した配合物について、例えば窒素についてはCHNコーダにより測定する等の適宜の分析方法により、配合条件を確認することができる。
リンおよび窒素を含有する化合物の配合量が、糖類100質量部に対して、リン基準で0.5質量部あるいは窒素基準で2.0質量部を下回ると、電気二重層キャパシタの高い静電容量が好適に得られないおそれがあり、一方リン基準で3.0質量部あるいは窒素基準で6.0質量部を上回っても配合量の増加に見合った高い静電容量の電気二重層キャパシタが得られないおそれがある。

【0020】
上記糖類を主成分とする炭素前駆体と上記リンおよび窒素を含有する化合物の配合物を、不活性雰囲気下で500~1,000℃の温度で加熱して炭化することが好ましい。
不活性雰囲気は、炭化処理設備に内部にアルゴンや窒素等の不活性ガスを流通することにより実現することができる。
加熱温度が500℃を下回ると、炭化が十分に進行せず電気二重層キャパシタの高い静電容量好適に得られないおそれがある。加熱温度の上限は特にないが、1,000℃を大きく超える温度で加熱すると例えばエネルギロスを無視できない等の問題を生じるおそれがある。
得られる炭素材料は、例えば用いる炭素前駆体の寸法が大きい場合等、必要に応じて、例えば数μm程度のサイズに粉砕、分級してもよい。

【0021】
炭素材料を用いて調製する分極性電極は、結合剤(結着剤)や導電性助剤を含むことが好ましい。
結合剤は、特に限定するものではなく、電極製法の種類にもよるが、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVA(ポリビニルアルコール)等を用いることができる。
導電性助剤は、特に限定するものではなく、例えばアセチレンブラック、黒鉛等を用いることができる。ただし、本実施の形態に係る電気二重層キャパシタ分極性電極用炭素材料の製造方法によって得られる炭化物(炭素材料)は導電性助剤を含まなくとも十分大きな導電性を示す。
分極性電極は、例えばシート状あるいは板状等の、製品形態に応じた適宜の形状の成形体に形成する。

【0022】
上記の分極性電極を用いる電気二重層キャパシタは、集電体を備える場合、集電体として、ステンレス、アルミニウム等の箔を用いることができる。
電気二重層キャパシタは、電解液として、水系電解液および非水系電解液のいずれを用いてもよい。このうち、水系電解液を用いることは好適な実施の形態である。
電気二重層キャパシタのセパレータとして、ポリエチレン多孔質膜、ガラス繊維不織布等を用いることができる。
電気二重層キャパシタは、コイン型、円筒型あるいは箱型等の適宜の形状とすることができる。いずれの場合も電極、電解液およびセパレータからなるセルをケースに入れ封止することで製品としての電気二重層キャパシタを得る。

【0023】
本実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法は、第一の工程で、炭素材料からなる分極性電極を、電解液または発生ガスが漏出可能な開口部を有する開放型電気二重層キャパシタユニットに組み込み、ついで、第二の工程で、電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加する充放電を2サイクル以上繰り返し行い開放型電気二重層キャパシタユニットを電界賦活する。
従来の電気二重層キャパシタの電界賦活方法は、製品であるシールされた電気二重層キャパシタを電界賦活するものである。このため、電解液の蒸発や分解を防ぐために、印加可能な電圧の最大値はせいぜい定格電圧までに制限する必要がある。これに対して、本実施の形態では、電解液または発生ガスが漏出可能な開口部を有する開放型電気二重層キャパシタユニットを用いて電界賦活を行うため、電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加して電界賦活することができる。
開放型電気二重層キャパシタユニットは、例えば、二極電極、集電体およびセパレータ等を積層し、組み立て・分解可能に組み立てた電極セルを適宜の開放容器に入れて、電極セルに電解液を含浸させたものを用いることができる。
このとき、上記の分極性電極とともに組み込む対極は、電界賦活後に作製する電気二重層キャパシタの対極と同じものであってもよく、また、別の、例えば金属電極等であってもよい。集電体等についても同様である。上記の分極性電極以外の、開放容器を含む対極等の全てが、その後作製する電気二重層キャパシタのものと同じ場合は、開放型電気二重層キャパシタユニットをそのままシールして電気二重層キャパシタを得ることができる。一方、上記の分極性電極以外の対極等としてその後作製する電気二重層キャパシタのものと異なるものを用いる場合は、電界賦活後の開放型電気二重層キャパシタユニットを分解して、少なくとも上記の分極性電極を組み込んだ電気二重層キャパシタを作製する。

【0024】
電解液が電気分解する電位は、電解液の種類によって異なる。電位範囲の上限は特にないが、電界賦活の効果が飽和する限界や、過剰な電圧印加によるエネルギロスや作業性低下等を勘案した適宜の値とする。
電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加する充放電のパターンは、特に限定するものではなく、例えば、印加電圧を徐々に変化させて充放電する方法でもよく、また、定電流で充放電する方法でもよい。
電解液が電気分解する電位を超える電位範囲まで電圧を印加する充放電は、少なくと2サイクル繰り返す。ここで、サイクルとは、例えば、一定昇圧速度で印加電圧を変化させて充電し、所定電圧に達したら放電する充放電1回の操作をいう。
充放電は、30サイクル以上繰り返すことが好ましく、さらにまた、50サイクル以上繰り返すことがより好ましい。
充放電サイクルを繰り返すにつれて開放型電気二重層キャパシタユニットの静電容量は直線的に増加する。開放型電気二重層キャパシタユニットの電極、電解液の構成により異なるものと考えられるが、例えば、50サイクルを超えると静電容量の増加はほぼ飽和状態に至る。したがって、充放電のサイクル数は、例えば150以下で十分であると考えられる。

【0025】
開放型電気二重層キャパシタユニットを電界賦活した後、第三の工程で、電界賦活処理後の分極性電極を用いた電気二重層キャパシタを作製する。
このとき、既に説明したように、分極性電極以外の、開放容器を含む対極等の全てが、その後作製する電気二重層キャパシタのものと同じ場合は、開放型電気二重層キャパシタユニットをそのままシールして電気二重層キャパシタを得ることができる。一方、分極性電極以外の対極等としてその後作製する電気二重層キャパシタのものと異なるものを用いる場合は、電界賦活後の開放型電気二重層キャパシタユニットを分解して、少なくとも上記の分極性電極を組み込んだ電気二重層キャパシタを作製する。

【0026】
以上説明した本実施の形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法により、高い静電容量を有する電気二重層キャパシタを得ることができる。
【実施例】
【0027】
以下、本実施の形態の第一の工程および第二の工程の実施例について説明する。
【実施例】
【0028】
<炭素材料の調製>
(炭素材料調製例1、2)
球状セルロース(大東化成工業株式会社製 CELLULOBEADS D-100直径(粒度分布における中位径 100μm以下)にリンおよび窒素を含有する化合物(東京化成工業株式会社製 製品名リン酸グアニジン 主成分:リン酸グアニジン95.0容量% リン含有量14.33質量% 窒素有量6.48質量%)を球状セルロースに対して質量比で球状セルロース:リンおよび窒素を含有する化合物=5:1および20:1の割合で加え、室温で18時間攪拌処理をした。その後、濾過し、濾物を60℃の乾燥機で72時間乾燥させた。
得られた乾燥濾物を管状炉で窒素雰囲気下(流量 50ml/min)、800℃、1時間の条件で加熱処理を行い炭素材料粉末を得た。
(炭素材料調製例3)
竹を、過酸化水素と酢酸を同体積で混合した混合液に分散させて、撹拌しながら80~90℃で20時間加熱し、その後ろ過して蒸留水で洗浄後、乾燥させる方法で脱リグニンして、竹セルロースを得た。竹セルロースに対して質量比で竹セルロース:リンおよび窒素を含有する化合物=20:1の割合で加ええたほかは炭素材料調製例1、2と同様の条件で炭素材料粉末を得た。
(炭素材料調製例4)
球状セルロースにリンおよび窒素を含有する化合物を加えなかった点以外は炭素材料調製例1と同様の方法で調製して炭素材料粉末を得た。
【実施例】
【0029】
<炭素材料粉末の評価>
炭素材料調製例1~4の炭素材料粉末の元素分析結果等を表1に示す。
元素分析は、CHN CORDER(Yanaco社製 型番MT-5)を用いて行い、SBET法による比表面積測定は、BET表面積測定装置(Quantachrome Instruments社製 型番NOVA4200e)を用いて行った。
【実施例】
【0030】
【表1】
JP0005846575B2_000002t.gif

【実施例】
【0031】
<分極性電極の調製>
(分極性電極調製例1~4)
炭素材料調製例1-3、および炭素材料調製例4でそれぞれ得られた炭素材料粉末に、導電材としてアセチレンブラック(AB)、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を、質量比で炭素材料粉末:AB:PTFE =8:1:1となるように加え、厚さ0.5mmのシート状に成型して分極性電極(分極性電極調製例1~4)を得た。
【実施例】
【0032】
<開放型電気二重層キャパシタユニットの調製>
得られた分極性電極(分極性電極調製例1~4)を正電極材料に用い、これと集電極(Pt板)および対電極(負極 Pt板)からなる三極セルを組み立てた。電解液にNで10分間バブリングして溶存酸素を飛ばした1M H2SO4を用い、この中にセルを浸して、2時間程度脱気し後、ビーカーにセルを入れ、電解液等が漏出可能な開口部を有する開放型電気二重層キャパシタユニット(以下、これを単に開放型電気二重層キャパシタという。)とした。
三極セルは、集電極の上に分極性電極のシートを置き、それをガラス繊維ろ紙で挟み、その上から穴を開けたテフロン(商標名)の板を置いて固定したものである。
【実施例】
【0033】
<開放型電気二重層キャパシタの電界賦活>
分極性電極(分極性電極調製例1~4)を組み込んだ開放型電気二重層キャパシタそれぞれについて、電界賦活を行った。
電界賦活に先立ち、以下の操作を行った。
まず、50mA/gの定電流で、0~0.6 Vvs.Ag/AgClの電位範囲(電圧範囲)で充放電を1サイクル行い、充放電特性を測定した。結果を図1に示す。また、さらに-0.2~0.7V vs. Ag/AgClの電位範囲で、掃印速度100 mV/sec、33.3 mV/sec、10 mV/sec、3.33 mV/sec、1 mV/secでCV測定を行った。その結果を図2に示す。その後に充放電を1サイクル行ったときの充放電特性を図3に示す。なお、電気二重層キャパシタの特性測定方法(性能評価方法)の詳細は、後述する。
引き続き、電界賦活を以下の条件で行った。
-0.2~3.0Vvs.Ag/AgClの電位範囲まで電圧を印加する充放電を繰り返した。このとき、0.8vs.Ag/AgClの電位を超えた辺りから、電解液の発泡が観察された。充放電10サイクルを1setとし、1setごとにCV測定を行った。8set終了時に測定した充放電測定の結果を図4に示す。また、充放電を繰り返したときの静電容量の変化を図5に示す。
図5より、いずれの電気二重層キャパシタについても、セット数0すなわち電界賦活を行わないものに比べて、セット数3の場合でおよそ2倍、セット数5の場合でおよそ3倍に静電容量が向上したことが分かる。
【実施例】
【0034】
<開放型電気二重層キャパシタの性能評価方法>
参照電極にAg/AgCl電極(+0.199 V (vs. NHE))を用いた3電極法により以下の性能評価を行った。
(充放電測定)
充放電装置(北斗電工株式会社製 型番HJ-201B)を用いて充放電測定を行った。
(静電容量測定)
充放電測定の結果から、電圧Vを時間tで積分し、定電流50 mA/gを掛けることでエネルギーUを求め、さらに、コンデンサのエネルギーU [J]と静電容量C[F/g]と電圧V [V]の関係、U[J]=1/2C[F/G]V[V]の関係から、静電容量C [F/g]を求めた。
(CV測定)
サイクリックボルタンメトリー(CV 北斗電工株式会社製 ファンクションジェネレーターおよびポテンショスタット 型番HB-305およびHAL3001)を用い、CV測定した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4