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明細書 :金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5824310号 (P5824310)
公開番号 特開2013-082952 (P2013-082952A)
登録日 平成27年10月16日(2015.10.16)
発行日 平成27年11月25日(2015.11.25)
公開日 平成25年5月9日(2013.5.9)
発明の名称または考案の名称 金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法
国際特許分類 C23C  18/20        (2006.01)
C08J   7/00        (2006.01)
C23C  18/16        (2006.01)
B32B  15/085       (2006.01)
FI C23C 18/20 Z
C08J 7/00 CESA
C23C 18/16 A
B32B 15/085 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 17
出願番号 特願2011-221420 (P2011-221420)
出願日 平成23年10月5日(2011.10.5)
審査請求日 平成26年8月11日(2014.8.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
発明者または考案者 【氏名】米沢 晋
【氏名】高島 正之
【氏名】金 在虎
【氏名】奥田 達也
個別代理人の代理人 【識別番号】100141472、【弁理士】、【氏名又は名称】赤松 善弘
審査官 【審査官】國方 康伸
参考文献・文献 特開平03-126734(JP,A)
調査した分野 C23C 18/00-20/08
C08J 7/00- 7/18
特許請求の範囲 【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施すことによって金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材を製造する方法であって、純度が70%以上のフッ素ガスを用い、0.1~3kPaの減圧下で当該フッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させた後、当該ポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施すことを特徴とする金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法。
【請求項2】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの温度が0~100℃である請求項1に記載の金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法。
【請求項3】
表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法であって、純度が70%以上のフッ素ガスを用い、0.1~3kPaの減圧下で当該フッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させることを特徴とする表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの温度が0~100℃である請求項に記載の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法に関する。さらに詳しくは、金属めっき皮膜の密着性に優れた金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子材料の表面に撥水性または親水性を付与する高分子材料の表面が改質方法として、高分子材料にフッ素ガスと不活性ガスまたは酸素ガスを含むガスによる処理を施す表面改質方法が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、前記表面処理方法によれば、高分子材料の表面にフッ素を付与することにより、その表面に撥水性または親水性が化学的に付与されるだけであるため、当該改質方法が施された高分子材料の表面は、めっき皮膜などとの密着性に劣るという欠点がある。
【0003】
親水性の塗工素材との親和性を発現する成形体の製造方法として、フッ素ガスを酸素で希釈した混合ガスで熱可塑性ポリマーからなる成形体をフッ素化処理する成形体の製造方法(例えば、特許文献3の[請求項4]参照)、熱可塑性ポリマーからなる成形体の表層部をフッ素ガスまたはフッ素ガスを不活性ガスで希釈した混合ガスでフッ素化処理する成形体の製造方法などが知られている(例えば、特許文献4の[請求項4]参照)。しかし、前記成形体の製造方法は、いずれも、熱可塑性ポリマーとしてポリオレフィン系樹脂を用いた場合、成形体の表面とめっき皮膜などとの密着性に劣るという欠点を有する。
【0004】
めっきまたは接着のためのポリプロピレン成形品の表面が改質方法として、フッ素ガスを不活性ガスで希釈し、フッ素濃度が0.1~10%の雰囲気にポリプロピレン成形品を接触させ、その表面の接触角を80度以下にするポリプロピレン成形品の表面改質方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。この表面が改質方法では、前記雰囲気のフッ素ガス濃度が10%よりも高いとき、ポリプロピレン成形品の表面の接触角を80度以下とすることができないため、めっきがつかないとされている(特許文献5の段落[0030]、[0026]など参照)。また、この表面改質方法によれば、ポリプロピレン成形品の表面にめっきが付着するのは、フッ素による極性力に基づくことから(特許文献5の段落[0025]参照)、ポリプロピレン成形品の表面と金属めっき皮膜との密着性が劣るとともに、ポリプロピレン成形品の表面の接触角を80度以下とするためには試行錯誤を要するため、当該方法は、良好な工業的生産性を有するとはいえない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2002-194125号公報
【特許文献2】特開2004-231970号公報
【特許文献3】特開2002-293959号公報
【特許文献4】特開2002-293963号公報
【特許文献5】特開平08-302039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ポリオレフィン系樹脂基材に対する密着性に優れた金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法、および金属めっき皮膜、塗料、接着剤などに対する密着性に優れた表面を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
なお、本明細書において、「金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材」とは、表面に金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂からなる素材のみならず、表面に金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂からなる成形体、各種電子材料、各種電子部品などを含む幅広い概念を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
金属めっき皮膜がポリオレフィン系樹脂基材の表面に密着しがたく、当該表面から剥離しやすいことは、周知の事実である。従来、フッ素ガス濃度が10%を超える雰囲気とポリオレフィン系樹脂基材とを接触させた場合、その表面の接触角を80度以下することができず(例えば、特許文献5の段落[0030]参照)、当該接触角が80度を超えるとめっき皮膜が付着しないとされている(例えば、特許文献5の段落[0026]参照)。
【0009】
ところが、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、フッ素ガス濃度が10%を超えるとポリオレフィン系樹脂基材の表面にめっき皮膜が付着しないとされている従来技術に反し、純度が70%以上のフッ素ガス(フッ素ガスの含有率:70%以上)を用い、なおかつ当該フッ素ガスを減圧度が高い状態で当該フッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させた場合には、驚くべきことに、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に金属めっき皮膜、塗膜、接着剤層
など(以下、便宜上「金属めっき皮膜など」という)を非常に強固に密着させることができるというまったく新しい事実が見出された。
【0010】
このように、本発明の製造方法によれば、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に金属めっき皮膜などを強固に密着させることができるので、本発明の製造方法によって得られた表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、金属めっき皮膜によって表面に金属光沢が付与されたポリオレフィン系樹脂製の成形体をはじめ、導電性の金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂製の電子材料および電子部品(パーツ)などの幅広い用途に使用することが期待される。したがって、本発明の製造方法は、斬新かつ画期的で産業上の利用価値が非常に高い発明である。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1) ポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施すことによって金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材を製造する方法であって、純度が70%以上のフッ素ガスを用い、0.1~3kPaの減圧下で当該フッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させた後、当該ポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施すことを特徴とする金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法、
(2) ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの温度が0~100℃である前記(1)に記載の金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法、
(3) 表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法であって、純度が70%以上のフッ素ガスを用い、0.1~3kPaの減圧下で当該フッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させることを特徴とする表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法、および
) ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの温度が0~100℃である前記()に記載の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方
関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法によれば、ポリオレフィン系樹脂基材に対する密着性に優れた金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材を製造することができる。また、本発明の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法によれば、金属めっき皮膜、塗料、接着剤などに対する密着性に優れた表面を有する表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)~(c)は、それぞれ順に、フッ素化される前のポリプロピレンからなる樹脂プレートの水との接触角の測定結果を示す図、実施例1で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートの水との接触角の測定結果を示す図、および実施例2で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートの水との接触角の測定結果を示す図である。
【図2】(d)~(f)は、それぞれ順に、実施例3で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートの水との接触角の測定結果を示す図、実施例4で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートの水との接触角の測定結果を示す図、および比較例1で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートの水との接触角の測定結果を示す図である。
【図3】(a)~(c)は、それぞれ順に、フッ素化される前のポリプロピレンからなる樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真、実施例1で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真、および実施例1で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真である。
【図4】(d)~(f)は、それぞれ順に、実施例3で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真、実施例4で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真、および比較例1で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真である。
【図5】a~fは、それぞれ順に、フッ素化される前のポリプロピレンからなる樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、実施例1で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、実施例2で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、実施例3で得られたポリプロピレン樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、実施例4で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、および比較例1で得られたポリプロピレンからなる樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法は、純度が70%以上のフッ素ガスを用い、0.1~3kPaの減圧下で当該フッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させることを特徴とする。また、本発明の金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法は、前記表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施すことによって金属めっき皮膜を有する基材を製造する方法であり、純度が70%以上のフッ素ガスを用い、0.1~3kPaの減圧下で当該フッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させた後、当該ポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施すことを特徴とする。

【0015】
ポリオレフィン系樹脂基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。エチレン-プロピレン共重合体は、エチレンとプロピレンとのランダムコポリマーであってもよく、エチレン単位とプロピレン単位とのブロックコポリマーであってもよい。これらのポリオレフィン系樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用し、ポリマーアロイとして用いてもよい。

【0016】
ポリオレフィン系樹脂基材の形態は、当該ポリオレフィン系樹脂基材の用途に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。ポリオレフィン系樹脂基材の形態としては、例えば、フィルム、プレート、ロッド、所定形状に成形されたポリオレフィン系樹脂からなる成形体の形状などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0017】
ポリオレフィン系樹脂基材の表面は、汚れが付着している場合には、あらかじめ洗浄されていてもよい。ポリオレフィン系樹脂基材の表面を洗浄する方法としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコールなどの水性有機溶媒を用いて洗浄する方法、界面活性剤を用いて洗浄する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、本発明者らが研究した結果では、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に汚れが付着していないのであれば、当該ポリオレフィン系樹脂基材に表面処理を施さなくても、その表面で金属めっき皮膜などを強固に固定することができることが確認されている。

【0018】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させるための手段には特に限定がないが、ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際に、フッ素ガスが大気中に放出されることを防止する観点から、密閉式のバッチ式反応装置などの反応装置を用いることが好ましい。

【0019】
以下では、説明の便宜上、反応装置を用いてポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる場合の一実施態様について説明するが、本発明は、かかる実施態様のみに限定されるものではない。

【0020】
反応装置を用いてポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる場合、反応装置内にポリオレフィン系樹脂基材を入れた後、当該反応装置内にフッ素ガスを導入することが好ましい。この場合、ポリオレフィン系樹脂基材の表面が改質を促進させる観点から、反応装置内にポリオレフィン系樹脂基材を入れ、反応装置内を脱気したり、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスで置換したりした後に、反応装置内にフッ素ガスを導入することが好ましい。

【0021】
反応装置内に入れられるポリオレフィン系樹脂基材の大きさは、当該ポリオレフィン系樹脂基材の用途、反応装置の大きさなどによって異なるので、一概には決定することができない。したがって、ポリオレフィン系樹脂基材の大きさは、その用途、反応装置の大きさなどに応じて適宜調整すればよい。

【0022】
次に、反応装置内にフッ素ガスを導入することにより、ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる。その際、ポリオレフィン系樹脂基材の表面のうち少なくとも改質させる部分にフッ素ガスが接触するように反応装置内にフッ素ガスを導入することが好ましい。

【0023】
本発明においては、フッ素ガスとして、純度が70%(容量%、以下同じ)以上であるフッ素ガス、換言すれば、フッ素ガスの含有率が70%以上であるフッ素ガスを用いる点に、1つの大きな特徴がある。本発明においては、このように純度が70%以上であるフッ素ガスが用いられているので、ポリオレフィン系樹脂基材の表面との密着性に優れた金属めっき皮膜などを当該ポリオレフィン系樹脂基材の表面に形成させることができる。

【0024】
フッ素ガスの純度は、ポリオレフィン系樹脂基材の表面で密着性に優れた金属めっき皮膜などを形成させる観点から、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。したがって、本発明においては、フッ素ガスとして一般に市場において容易に入手することができるフッ素ガスを希釈せずにそのままの状態で用いることができるので、従来のような煩雑なフッ素ガスと酸素ガスや不活性ガスとを所定比率となるように混合するという操作を回避することができる。なお、高純度(例えば、99%以上)のフッ素ガスを用いる場合には、必要により、フッ素ガスが所定の純度を有するように不活性ガスで当該フッ素ガスを希釈してもよい。前記不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0025】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの圧力は、0.1~3kPaとなるように調整する。本発明においては、このようにポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの圧力を0.1~3kPaに調整する点にも1つの大きな特徴がある。

【0026】
従来、フッ素ガスまたはフッ素ガスと不活性ガスとの混合ガスは、そのガスの圧力が低いと基材表面をフッ素化させる効率が低下すると考えられているため、通常、常圧(大気圧:約101.3kPa)程度で用いられている。この従来の常識に反し、本発明では、大気圧よりも格段に低い圧力(0.1~3kPa)下でポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させるという操作が採られているので、純度が70%以上であるフッ素ガスを用いることと相俟って、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に強固に密着する金属めっき皮膜などを形成させることができる。

【0027】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの圧力は、ポリオレフィン系樹脂基材の表面を効率よく改質させる観点から、0.1kPa以上、好ましくは0.3kPa以上、さらに好ましくは0.5kPa以上であり、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に密着性に優れた金属めっき皮膜を形成させる観点から、3kPa以下、好ましくは2kPa以下、さらに好ましくは1.5kPa以下である。

【0028】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの温度は、効率よくポリオレフィン系樹脂基材を改質させる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上であり、安全性の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。このように本発明においては、あえて加熱または冷却しなくても、室温(常温)でポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させることによってポリオレフィン系樹脂基材を改質させることができるので、本発明の製造方法は、工業的生産性にも優れている。なお、ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの温度は、ポリオレフィン系樹脂基材の変形などを防止する観点から、ポリオレフィン系樹脂基材に用いられているポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度よりも低い温度となるように調整することが好ましい。

【0029】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させるのに要する時間は、ポリオレフィン系樹脂基材の表面が改質されるのに要する時間であり、ポリオレフィン系樹脂基材に用いられているポリオレフィン系樹脂の種類、ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させる際のフッ素ガスの圧力およびその温度などによって異なるので一概には決定することができない。ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させるのに要する時間は、ポリオレフィン系樹脂基材の表面を十分に改質させる観点から、通常、1分間~1時間程度であるが、要求される金属めっき皮膜などとの密着強度を考慮して適宜決定することが好ましい。このように、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを短時間で接触させることによってポリオレフィン系樹脂基材を改質させることができる点でも、本発明の製造方法は、工業的生産性に優れている。

【0030】
ポリオレフィン系樹脂基材とフッ素ガスとを接触させた後には、安全性の観点から、不活性ガスを反応装置内に導入し、反応装置内の内部雰囲気を不活性ガスで置換することが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0031】
次に、フッ素ガスによって改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、反応装置から取り出した後、例えば、金属めっき処理、塗料、接着剤などによる処理などが施される。

【0032】
なお、表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の表面は、必要により、洗浄してもよい。ポリオレフィン系樹脂基材の表面を洗浄する方法としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコールなどの水性有機溶媒を用いて洗浄する方法、界面活性剤を用いて洗浄する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0033】
一般に、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂は、官能基を有していないため、接着剤を用いて他の基材を強固に接着させることが困難であったり、塗料を塗布しても形成された塗膜が容易に剥がれたりすると考えられている。これに対して、本発明の製造方法によって得られた表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、当該基材に対する密着性に優れた金属めっき皮膜を形成させることができ、接着剤を介して他の基材と強固に接着させることができるとともに、塗料を塗布しても形成された塗膜を強固に固定するので、例えば、金属めっき皮膜、塗膜、接着剤層、蒸着膜などを当該ポリオレフィン系樹脂基材の表面に好適に形成させることができる。

【0034】
また、従来、ポリオレフィン系樹脂基材は、一般に金属材料と対比して耐熱性や表面硬度などに劣ることから、ポリオレフィン系樹脂基材に耐熱性や表面硬度などを付与したり、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に導電性を付与したりするために、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に金属めっきが施されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に金属めっき皮膜を形成させた場合、ポリオレフィン系樹脂基材と金属めっき皮膜などとの密着性が劣るため、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に凹凸を付与するなどにより、ポリオレフィン系樹脂基材の表面に煩雑な表面加工を施すことが考えられている。ところが、このような表面加工をポリオレフィン系樹脂基材の表面に施しても、もともとポリオレフィン系樹脂基材の表面と金属めっき皮膜などとの密着強度が低いため、形成された金属めっき皮膜などが容易に剥がれることがある。

【0035】
これに対して、本発明の製造方法によって得られた表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、金属めっき皮膜などとの密着性に優れているので、ポリオレフィン系樹脂基材と金属めっき皮膜などとの強い密着強度が要求される種々の用途に好適に使用することができる。さらに、表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の表面上に金属めっき皮膜を形成した場合には、金属めっき皮膜による導電性をポリオレフィン系樹脂基材の表面で付与したり、その基材表面に金属光沢を付与したりすることができる。

【0036】
本発明の金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法においては、前記のようにしてフッ素ガスとポリオレフィン系樹脂基材とを接触させることによって得られた表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施す。

【0037】
金属めっきに用いられるめっき材料は、特に限定されず、本発明の目的が阻害されない範囲内で種々のめっき材料を用いることができる。したがって、本発明においては、めっき材料として、水系めっき浴などの一般に使用されているめっき材料、より具体的には、例えば、スルファミン酸ニッケル水溶液などを用いることができる。

【0038】
また、ポリオレフィン系樹脂基材に金属めっきを施す方法としては、例えば、表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材にめっき浴中で無電解めっきを施す方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0039】
金属めっきのめっき浴に用いられる金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0040】
金属めっき皮膜の厚さは、その用途に応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、通常、好ましくは0.1~100μm程度、より好ましくは0.5~50μm程度である。

【0041】
また、本発明の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、塗膜との密着性にも優れていることから、各種塗料を適用させるためのポリオレフィン系樹脂基材としても好適に使用することができる。塗料としては、例えば、アクリル系水性塗料などの水性塗料をはじめ、ラッカーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。

【0042】
さらに、前記表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、接着剤を介して被着体と強固に接着することができる。被着体としては、例えば、樹脂基材、金属材料、ガラス基材、木材、セラミック基材などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材と被着体とを接着させる際に用いられる接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。接着剤は、被着体の種類に応じて適宜選択して用いることが好ましい。

【0043】
以上説明したように、本発明の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材の製造方法によれば、金属めっき皮膜、塗膜、接着剤などに対する密着性に優れた表面を有する表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材を製造することができる。また、本発明の金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材の製造方法によれば、ポリオレフィン系樹脂基材に対する密着性に優れた金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂基材を製造することができる。
【実施例】
【0044】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
実施例1
ポリオレフィン系樹脂基材として、ポリプロピレンからなる表面が平滑な樹脂プレート(縦:30mm、横:10mm、厚さ:1mm)を用いた。この未処理の樹脂プレートに水滴径が約1mmの水滴を滴下し、接触角計〔協和界面科学(株)製、品番:DM-701〕を用いて室温(約25℃)における水の接触角を測定した。その結果を図1(a)に示す。図1(a)に示された結果から、この未処理の樹脂プレートの水の接触角は、89°であることが確認された。また、この未処理の樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真を図3(a)に示す。図3(a)に示された結果から、この樹脂プレートの表面は平滑であることが確認された。
【実施例】
【0046】
次に、この樹脂プレートをニッケル製の反応管(内径:20mm、長さ:250mm)内に入れた後、当該反応管内の不純物ガスを除去するために、室温下で反応装置の内圧が0.1Pa以下となるまで減圧した。
【実施例】
【0047】
反応管内にフッ素ガス(純度:99.7%)を導入し、反応管内のフッ素ガスの圧力を0.67kPaに調整した後、室温(約23℃)で10分間静置することにより、フッ素ガスと樹脂プレートとを接触させ、樹脂プレートの表面を改質させた。その後、この樹脂プレートを反応管から取り出した。このようにして表面が改質された樹脂プレートの水の接触角を前記と同様にして測定した。その結果を図1(b)に示す。図1(b)に示された結果から、水の接触角は、72°であることが確認された。また、この樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真を図3(b)に示す。図3(b)に示された結果から、この樹脂プレートの表面は平滑であることが確認された。
【実施例】
【0048】
実施例2
実施例1において、樹脂プレートとフッ素ガスとの接触時間を1時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面が改質された樹脂プレートを製造した。得られた表面が改質された樹脂プレートの水の接触角を実施例1と同様にして測定した。その結果を図1(c)に示す。図1(c)に示された結果から、水の接触角は、83°であることが確認された。また、この樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真を図3(c)に示す。図3(c)に示された結果から、この樹脂プレートの表面は平滑であることが確認された。
【実施例】
【0049】
実施例3
実施例1において、樹脂プレートを表面が改質させる際のフッ素ガスの圧力を1.33kPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面が改質された樹脂プレートを製造した。得られた表面が改質された樹脂プレートの水の接触角を実施例1と同様にして測定した。その結果を図2(d)に示す。図2(d)に示された結果から、水の接触角は、79°であることが確認された。また、この樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真を図4(d)に示す。図4(d)に示された結果から、この樹脂プレートの表面が平滑であることが確認された。
【実施例】
【0050】
実施例4
実施例3において、樹脂プレートとフッ素ガスとの接触時間を1時間に変更したこと以外は、実施例3と同様にして表面が改質された樹脂プレートを製造した。得られた表面が改質された樹脂プレートの水の接触角を実施例1と同様にして測定した。その結果を図2(e)に示す。図2(e)に示された結果から、水の接触角は、82°であることが確認された。また、この樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真を図4(e)に示す。図4(e)に示された結果から、この樹脂プレートの表面は平滑であることが確認された。
【実施例】
【0051】
比較例1
実施例1において、樹脂プレートとフッ素ガスとを接触させるときの温度を150℃に変更し、樹脂プレートを表面が改質させる際のフッ素ガスの圧力を13.3kPaに変更し、樹脂プレートとフッ素ガスとの接触時間を1時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面が改質された樹脂プレートを製造した。得られた表面が改質された樹脂プレートの水の接触角を実施例1と同様にして測定した。その結果を図2(f)に示す。図2(f)に示された結果から、水の接触角は、88°であることが確認された。また、この樹脂プレートのレーザー顕微鏡写真を図4(f)に示す。図4(f)に示された結果から、この樹脂プレートの表面は荒れており、凹凸が存在していることが確認された。
【実施例】
【0052】
比較例2
比較例1で得られた表面が改質された樹脂プレートをエタノールで洗浄することによってさらに表面が改質された樹脂プレートを作製した。この樹脂プレートの水の接触角を実施例1と同様にして測定したところ、水の接触角は93°であることが確認された。また、この樹脂プレートの表面をレーザー顕微鏡で観察したところ、この樹脂プレートの表面は荒れており、凹凸が存在していることが確認された。
【実施例】
【0053】
比較例3
特許文献5に記載の方法に準じて表面が改質された樹脂プレートを作製した。より具体的には、実施例1において、フッ素ガスとしてフッ素ガス1%と窒素ガス99%とからなる混合ガスを用い、反応装置の内圧を大気圧に変更したこと以外は、実施例と同様にして表面が改質された樹脂プレートを作製した。この樹脂プレートの水の接触角を実施例1と同様にして測定したところ、水の接触角は78°であることが確認された。また、この樹脂プレートの表面をレーザー顕微鏡で観察したところ、この樹脂プレートの表面は平滑であることが確認された。
【実施例】
【0054】
次に、未処理の樹脂プレート、実施例1~4および比較例1で得られた表面が改質された樹脂プレートについて、フーリエ変換赤外分光光度計〔サーモフィッシャーサイエンティフィク(株)製、品番:Nicolet380+SmartOrbitダイヤモンドATR〕を用い、FT-IRを測定した。その結果を図5に示す。
【実施例】
【0055】
図5において、aは未処理の樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、bは実施例1で得られた表面が改質された樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、cは実施例2で得られた表面が改質された樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、dは実施例3で得られた表面が改質された樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、eは実施例4で得られた表面が改質された樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフ、fは比較例1で得られた表面が改質された樹脂プレートのFT-IRの測定結果を示すグラフである。
【実施例】
【0056】
図5に示された結果から、同じ反応温度であれば樹脂プレートと接触させるフッ素ガス圧力が高くなるほど炭素-フッ素間の結合、すなわちC-F結合が樹脂プレート表面に多く生成する一方で、オレフィン系樹脂の分子構造の基本単位となる炭素-炭素間結合、即ちC-C結合が樹脂プレート表面から消失していくことがわかる。
【実施例】
【0057】
また、波数1210cm-1付近で観測されたC-F結合および波数1460cm-1付近で観測されたC-C結合の存在を示す吸収ピークの強度の比率から、実施例1~4では、樹脂プレートの表面にC-F結合およびC-C結合の両方が存在することが示唆される。これに対して、比較例1では、樹脂プレート表面がほぼ完全にC-F結合で覆われていることが示唆される。これらのことから、フッ素ガスとの反応による樹脂プレートの表面改質の際には、C-F結合およびC-C結合の両方が存在する状態を生成することが重要であることがわかる。
【実施例】
【0058】
次に、各実施例または各比較例で得られた樹脂プレートの物性として、金属めっき皮膜の密着性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を水の接触角および樹脂プレートの表面状態とともに表1に示す。
【実施例】
【0059】
〔金属めっき皮膜の密着性〕
試料の金属めっき皮膜が形成されている面に、セロハン粘着テープ〔ニチバン(株)製、商品名:セロテープ(登録商標)〕を貼付し、セロハン粘着テープにカッターナイフで傷を入れ、ポリオレフィン系樹脂プレートに達する1mm×1mm×100個の碁盤目を形成し、その上にセロハン粘着テープを貼り付けた後、急激にセロハン粘着テープを引き剥がし、碁盤目の剥離状態を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表1に示す。なお、表1中、◎の評価を有するものが合格基準を満たしていると評価した。
【実施例】
【0060】
〔評価基準〕
◎:碁盤目の剥離なし
△:碁盤目の残存個数が95個以上100個未満
×:碁盤目の残存個数が95個未満
【実施例】
【0061】
【表1】
JP0005824310B2_000002t.gif
【実施例】
【0062】
表1に示された結果から、各実施例で得られた表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、いずれも、表面状態が平滑であり、水の接触角が72~83°であることとは関係なく金属めっき皮膜の剥離がまったく認められず、金属めっき皮膜の密着性に優れていることがわかる。
【実施例】
【0063】
これに対して、比較例1~2で得られた表面が改質された樹脂プレートは、その表面に凹凸がみられ、金属めっき皮膜の密着性に劣ることがわかる。また、比較例3で得られた表面が改質された樹脂プレートは、水の接触角が80°以下であるにもかかわらず、金属めっき皮膜の密着性に劣ることがわかる。
【実施例】
【0064】
以上の結果から、各実施例で得られた表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、金属めっき皮膜が強固に密着しているので、表面に金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂からなる素材のみならず、表面に金属めっき皮膜を有するポリオレフィン系樹脂からなる成形体、各種電子材料、各種電子部品などに好適に使用することができることがわかる。
【実施例】
【0065】
さらに、各実施例で得られた表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、それ自体がもともと粘着性を有していない金属めっき皮膜に対する密着性に優れていることから、金属めっき以外にも、粘着性を有する各種接着剤や各種塗料などを当該表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材に好適に適用することができることがわかる。
【実施例】
【0066】
次に、実施例1で得られた樹脂プレートと比較例4で得られた従来の樹脂プレートのめっき皮膜の剥離強度を縦型剥離強度試験機〔(株)佐川製作所製、品番:SP-02G〕で測定したところ、実施例1で得られた樹脂プレートのめっき皮膜の剥離強度は5000Nであるのに対し、比較例4で得られた樹脂プレートのめっき皮膜の剥離強度は3000Nであることが確認された。
【実施例】
【0067】
この剥離強度試験の結果からも明らかなように、実施例1得られた樹脂プレートは、比較例4で得られた樹脂プレートと対比して、格段に剥離強度に優れていることがわかる。
【実施例】
【0068】
実施例5
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂基材として、ポリプロピレンからなる樹脂プレートの代わりにポリエチレンからなる表面が平滑な樹脂プレート(縦:30mm、横:10mm、厚さ:1mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、樹脂プレートの表面を改質させた。得られた表面が改質された樹脂プレートをレーザー顕微鏡で観察したところ、この樹脂プレートの表面は平滑であることが確認された。
【実施例】
【0069】
次に、この表面が改質された樹脂プレートの金属めっき皮膜の密着性を前記と同様にして調べたところ、碁盤目の剥離がなく、この表面が改質された樹脂プレートは、◎の評価を有するものであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、金属めっき皮膜などとの密着性に優れた表面状態を有することから、従来、ポリオレフィン系樹脂基材の表面上に密着性に優れた金属めっき皮膜を形成させることが要求される種々の用途に幅広く使用することが期待されるものである。また、本発明の表面が改質されたポリオレフィン系樹脂基材は、塗料や接着剤との密着性にも優れていることから、塗料や接着剤などを適用するためのポリオレフィン系樹脂基材として使用することが期待される。
図面
【図5】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4