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明細書 :血栓症予防装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5598756号 (P5598756)
公開番号 特開2012-029787 (P2012-029787A)
登録日 平成26年8月22日(2014.8.22)
発行日 平成26年10月1日(2014.10.1)
公開日 平成24年2月16日(2012.2.16)
発明の名称または考案の名称 血栓症予防装置
国際特許分類 A61H   1/02        (2006.01)
FI A61H 1/02 N
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2010-170680 (P2010-170680)
出願日 平成22年7月29日(2010.7.29)
審査請求日 平成25年5月27日(2013.5.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】506087705
【氏名又は名称】学校法人産業医科大学
発明者または考案者 【氏名】石井 和男
【氏名】アミル アリ フォロー ナシライ
【氏名】園田 隆
【氏名】西田 祐也
【氏名】岡本 好司
個別代理人の代理人 【識別番号】100108660、【弁理士】、【氏名又は名称】大川 譲
審査官 【審査官】岩田 洋一
参考文献・文献 実開昭61-073320(JP,U)
特開2005-245742(JP,A)
登録実用新案第3063280(JP,U)
調査した分野 A61H 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
本体支持部を有する本体部と、
前記本体支持部に対して回転可能に回転軸により支持され、かつ足裏支持板を備えた揺動体と、
前記本体部に備えられ、かつ一端が前記揺動体又は前記回転軸に連結されて、前記揺動体に備えた前記足裏支持板を揺動させる揺動機構と、を備え、
前記足裏支持板は、スライダ機構を介して前記揺動体に取り付けられており、かつ、
前記足裏支持板上に足先を載置した際には、前記揺動体を揺動させることにより、足首の踝付近を中心に足関節を背屈及び伸展運動させる構成にした血栓症予防装置。
【請求項2】
前記揺動機構は、それを駆動するモータと、該モータを制御する制御装置を備えた請求項1に記載の血栓症予防装置。
【請求項3】
前記揺動機構は、前記モータの回転運動を伝えるクランク駆動用雄ねじと、該クランク駆動用雄ねじの回転により左右に動かされるクランク駆動体と、該クランク駆動体の左右の動きを前記揺動体に伝達するクランクシャフトを備えた請求項2に記載の血栓症予防装置。
【請求項4】
前記揺動機構は、前記モータの回転運動を前記回転軸に伝達して、回転軸を回転させることにより前記揺動体を揺動させるよう構成した請求項2に記載の血栓症予防装置。
【請求項5】
前記足裏支持板には、その上に載置した足先を固定可能の足先ホルダーを装着した請求項1に記載の血栓症予防装置。
【請求項6】
前記本体部に連結部を介して下腿固定部を一体に連結した請求項1に記載の血栓症予防装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢運動を補助して、静脈の血流を増加させ、血栓を予防することができる血栓症予防装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の方でも耳にする機会の増えたエコノミークラス・シンドローム/深部静脈血栓症(DVT)という病気は、長距離路線の飛行機内で長時間動かないでいると血液の循環が悪くなり、下肢で血液が凝固し、凝固した血栓が肺に飛んで肺梗塞を発症し、意識を失ったり、最悪の場合は死亡する病であり、誰にも起こりうる病態である。大学病院などの医療現場では、外科、整形外科、泌尿器科、産婦人科、救急領域など様々な診療科で手術中、手術後にこのような病態を経験する。血栓症は欧米で多くみられる疾患であったが、現在、日本は近来稀に見る高齢化社会に突入しており、さらに食の欧米化により日本においても血管障害、血栓症の発症頻度が増加してきている。米国でのDVT発生は年間200万人、肺血栓塞栓症は年間60万人、その内10%が死亡との報告がなされているように、周術期の危険な疾患である。
【0003】
血栓症の予防のために、弾性ストッキングを用いて下肢の浅在静脈の血管床面積を減少させ、相対的に深部静脈の血流量をあげるといった方法が行われている。また、下肢に巻いたカフに空気を送り込み、膨らませることにより下肢や足底の圧迫を行い、血流を改善させて静脈還流量を増加させる方法もとられている。
【0004】
図6は、下肢に巻いたカフに空気を送り込み、膨らませることのできる従来公知の空気圧マッサージ器具を例示する図である(特許文献1参照)。例示の空気圧マッサージ器具は、全体が長靴形状に形成され、左右夫々の脚に装着する一対のカフを有している。カフは、足先から足踵を経て脛及びふくらはぎを包囲すると共に、足首の曲がり具合に対応して途中で折曲した形状を有し、ブーツを履くように装着するようにしたものである。ファスナーを引き下げることによって脚挿入口を開放することができ、また、ファスナーを引き上げることによって脛及びふくらはぎを脚挿入口で包囲する。
【0005】
夫々のカフには2個ずつエアー注入口が取り付けられている。カフを両脚に装着した後、各エアー注入口にホース(図示省略)を接続する。このホースは、エアーポンプ(図示省略)に接続されている。このエアーポンプによって、各カフの内部に空気を導入したり排出を行うことによって、空気の減圧と加圧との繰り返しにより脚のマッサージを行うことができる。
【0006】
しかし、このような空気圧マッサージ器具は、エアーポンプや制御装置などを内蔵したマッサージ器本体や電源コード、及びカフとマッサージ器本体の間を連結する空気の配管チューブ類などを必要とするために、構成が複雑となる。さらには、外部からの圧迫によるマッサージでは、下肢の浮腫の存在や装着の具合により、深部静脈の血流が十分得られないことがある。
【0007】
また、このような空気(流体)圧マッサージを、手術台上の患者に適用する場合、その複雑な構成が、手術者である医者やそのスタッフの作業を阻害する恐れが生じる。このような問題を解決するために、特許文献2は、流体圧マッサージ器を手術台に装着する技術を開示する。
【0008】
しかし、特許文献2に開示の技術は、手術台に装着することはできるものの、依然として、特許文献1が必要としたような複雑な構成を有している。さらに、このような空気圧マッサージ器具は、より一般的に、例えば、長距離路線の飛行機内等の座席に対して適用することは困難である。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2003-79688号公報
【特許文献2】特許第4414178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、より小型で容易に装着可能な構成にして、上述したエコノミークラス・シンドローム或いは深部静脈血栓症(DVT)を含む静脈血栓症に対して、長距離路線の飛行機内等の座席に座っている乗客とか、手術中或いは手術後の患者の下肢運動を補助して、生理的な自己の筋肉によるポンプ機能を用いて、深部静脈の血流を増加させ、血栓を予防することができる血栓症予防装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の血栓症予防装置は、本体支持部を有する本体部と、本体支持部に対して回転可能に回転軸により支持され、かつ足裏支持板を備えた揺動体と、本体部に備えられ、かつ一端が揺動体又は回転軸に連結されて、揺動体に備えた足裏支持板を揺動させる揺動機構と、を備える。足裏支持板上に足先を載置した際には、揺動体を揺動させることにより、足関節を背屈及び伸展運動させることができる。ここで言う足関節を背屈するとは、足首の踝付近を中心に足裏のつま先側が人体の頭側に回転することを意味する。また、足関節を伸展するとは、足首の踝付近を中心に足裏のつま先側が人体の頭と反対側に回転することを意味する。
【0012】
揺動機構は、それを駆動するモータと、該モータを制御する制御装置を備える。揺動機構は、モータの回転運動を伝えるクランク駆動用雄ねじと、該クランク駆動用雄ねじの回転により左右に動かされるクランク駆動体と、該クランク駆動体の左右の動きを揺動体に伝達するクランクシャフトを備える。或いは、揺動機構は、モータの回転運動を回転軸に伝達して、回転軸を回転させることにより揺動体を揺動させるよう構成することができる。
【0013】
足裏支持板は、様々な足のサイズに対応させるため、及び、血栓症予防装置の回転軸と人の足を回転する回転軸である足踝付近との位置の違いから回転によって足裏支持板と足裏の位置ずれが生じることによる足に対するストレスを解消するための二つの対策のために、スライダ機構を介して取り付けられる。この足裏支持板には、その上に載置した足先を固定可能の足先ホルダーを装着する。血栓症予防装置は、本体部に連結部を介して、下腿固定部が一体に連結される。
【発明の効果】
【0014】
本発明による血栓症予防装置によって、下肢の深部静脈である膝窩静脈の血流速度の増加が確認された。これは、足関節を背屈すると下腿の腓腹筋やヒラメ筋が収縮し、この中を走行するいわゆる深部静脈が筋繊維で圧縮され、中の血液がポンプ機能で心臓方向へ流出したことによる。本発明により、術後における血栓症の発生予防の効果が高くなる。病院の規模に応じて数台~数十台を導入し、手術後2~7日(あるいは離床するまで)使用するようにすることができる。また、長時間運航される飛行機座席に対して導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は、本発明に基づき構成した血栓症予防装置を例示する斜視図であり、(B)は、(A)とは同一の血栓症予防装置を、脚を載置した状態で、異なる方向から見た斜視図である。
【図2】血栓症予防装置の使用状態を説明する図であり、図中の(a)は、足関節を伸展させた状態を、(b)は、その途中段階の足関節の状態を、そして、(c)は、足関節を背屈させた状態をそれぞれ例示している。
【図3】(A)は、図1(B)に示す上面カバー10及び裏板11と一方の側板12を取り除いて、本体部1内部を例示する図であり、(B)は側面断面図である。
【図4】(A)は、図1に例示した血栓症予防装置を用いてドップラー式血流測定器で測定した膝窩静脈の血流速度を表すグラフであり、(B)は、時間の経過につれて変化する装置への指令角度を表すグラフであり、(C)は、足関節を背屈及び伸展運動するときの1サイクル分を分割し、屈曲運動時間をa秒、運動一時停止時間をb秒、伸展運動時間をc秒、1サイクル最後の停止時間をd秒とした場合の装置使用例毎の秒数を例示する表である。
【図5】比較のために従来の空気圧装置を用いて測定した膝窩静脈の血流速度を表すグラフである。
【図6】下肢に巻いたカフに空気を送り込み、膨らませることのできる従来公知の空気圧マッサージ器具を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、例示に基づき本発明を説明する。図1(A)は、本発明に基づき構成した血栓症予防装置を例示する斜視図であり、(B)は、(A)とは同一の血栓症予防装置を、脚を載置した状態で、異なる方向から見た斜視図である。本発明の血栓症予防装置は、足踝付近を回転軸として足関節を背屈及び伸展運動させる装置であり、図示の本体部1がこれに相当する。この本体部1に備えた揺動機構5は、モータの回転運動から足裏支持板6(シューズ装着部)を回転(揺動)運動させる。下腿を固定しなくても足関節の背屈及び伸展で充分な深部静脈の血流が得られるが、スペースに余裕があるときは、この本体部1に連結部15を介して下腿固定部16を一体に連結しても良い。下腿固定部16は、下腿をクッション18の上に載せた状態で、下腿ホルダー17により固定する。下腿ホルダー17の材質は特に限定するものではないが、例えば化繊の布でよく、構成は一対の帯状の布の片方を下腿固定部16の台座部に固定し、帯状の布のもう一方に面ファスナー(例えば、株式会社クラレ製のマジックテープ(登録商標))を装着することでよく、面ファスナーの代わりにボタン等で固定する構成でもよい。

【0017】
揺動体4は、その下部両側に本体支持部2を配置し、かつ、本体支持部2に対して回転可能に回転軸3により支持する。例示の揺動体4は、揺動機構5の一端が連結される裏板11と、その裏板11の両側に固定されて、回転軸3が貫通する側板12と、裏板11に対向するようにおもて側に配置された足裏支持板6とから構成されている。足裏支持板6は、様々な足のサイズに対応させるため、及び、血栓症予防装置の回転軸と人の足を回転する回転軸である踝付近との位置の違いから回転によって足裏支持板と足裏の位置ずれが生じることによる足に対するストレスを解消するための二つの対策のために、スライダ機構を介して裏板11に取り付けられている。スライダ機構は、図3(A)を参照して後述するように、縦スライダ21と横スライダ22から構成される。この揺動体4を揺動させることにより、足裏支持板6上に載置した足首の踝付近を中心に足関節を背屈及び伸展運動させることができる。

【0018】
足裏支持板6上には、シューズを履いた状態で、或いはシューズを脱いだ状態で、足裏を載せて、足の長さの違いによって縦スライダ21を上下に移動して、足踵受19に足踵がしっかり着くようにした状態で、足先ホルダー14により足先を固定する。足裏支持板6に装着される足先ホルダー14の材質及び構成は、足裏支持板6に足先を固定できるものであれば良く、例えば、上述した下腿ホルダー17と同様なもので良い。以上の説明のように、縦スライダ21の一つの機能として様々な足のサイズに対応させる機能を有する。

【0019】
次に、回転(揺動)における機能について説明する。揺動体4の回転軸3と足の回転軸である踝付近とは個人差があって一致させることは元々困難であって、それらの位置は通常違っている。このため、足先ホルダー14を足裏支持板6に固定している位置と足先ホルダー14が足を固定している位置が、例えば数10度回転揺動して、図3(B)の図の状態よりも右に(時計方向に)回転すれば、足先ホルダー14を足裏支持板6に固定している位置は上側に移動し、足先ホルダー14が足を固定している位置は下側に移動するので、そのままだと足の甲を圧迫することになる。そのときに足裏支持板6を縦スライダ21により上下動をフリーにすることで、この足の甲の圧迫を防止する働きが機能する。

【0020】
さらに、足踵の位置は足の回転軸である踝付近より下にあるので、特に大きな足の人の場合は、図3(B)の図の状態よりも右に回転すれば、被験者の足踵側が回転軸3側に回転移動する方向の力が働くが、足裏支持板6の下方部分に遮られることにより、足を湾曲しようとする力が働き、足を圧迫することになる。そのときに足裏支持板6を支える揺動体4を、図3(B)で言えば、ほぼ左右動をフリーにすることで、この足の圧迫を防止する働きが機能する。

【0021】
足裏支持板6は平面構造として、足関節を背屈動作させるようにする。足裏を載せて足先を固定した状態で、揺動機構5を動作させることにより、足首の踝付近を中心に足関節を背屈及び伸展することができる。これによって、下腿部の筋肉を伸縮させることにより、深部静脈の血流量の増加を図ることができた。

【0022】
図2は、血栓症予防装置の使用状態を説明する図であり、図中の(a)は、足関節を伸展させた状態を、(b)は、その途中段階の足関節の状態を、そして、(c)は、足関節を背屈させた状態をそれぞれ例示している。この装置は、踝付近を軸として足関節を背屈及び伸展動作させ、ふくらはぎの筋ポンプを活用することにより血流を促進させる。例えば、術後48時間以内の抗凝固剤を適用できない場面での適用を想定すると、姿勢としてはフラットに仰臥した状態で適用することが望ましい。短周期で背屈と伸展を繰り返す。静脈血流は背屈動作で発生し、3~4秒間持続することが確認された。背屈角度~伸展角度は、70°~105°が望ましい。伸展状態から背屈状態までの時間は2秒~10秒が望ましい。この範囲で、充分な血流を得ることができた。この足裏面の曲げ角度、速度は任意に設定できるようにする。詳しくは後述する。

【0023】
なお、自発で足関節を背屈した場合と、装置により他動で足関節を背屈させた場合を対比すると、他動で背屈させたほうが、血流効果が3秒程度と長く持続することが確認できた。また、各動作間にインターバルを設けて、一定周期で運転と休憩を繰り返しても良い。

【0024】
次に、図3により揺動機構の詳細について説明する。図3(A)は、図1(B)に示す上面カバー10及び裏板11と一方の側板12を取り除いて、本体部1内部を例示する図であり、(B)は側面断面図である。揺動機構5は、それを駆動するモータ24と、モータ制御装置とを備え、かつ、クランクシャフト23の一端が揺動体4に連結され、もう一端がクランク駆動体27に連結されている。このクランク駆動体27を貫通してクランク駆動用雄ねじ28が配設されている。そして、クランク駆動用雄ねじ28が貫通するクランク駆動体27の内部は、ボールねじ構成に形成することが望ましい。さらにクランク駆動用雄ねじ28はモータ24の回転運動を伝えられる構成にしている。

【0025】
次に図3(B)により揺動機構の動きを説明する。モータ24によりクランク駆動用雄ねじ28に回転運動を伝え、このクランク駆動用雄ねじ28の回転によりクランク駆動体27を左右に動かす。クランク駆動体27はクランクシャフト23に左右の動きを伝達する。次に、図3(B)で言えばクランクシャフト23が揺動体4を斜め右上側に押すことで、回転軸3を介して揺動体4は右回転し、逆に斜め左下側に引くことにより回転軸3を介して揺動体4は左回転する。

【0026】
以上のように、クランク駆動による揺動機構の例を述べたが、例えば、モータの回転を減速する歯車又はパルスモータ等を用いて、回転軸3部分に歯車やベルト等により直接動力を伝えて回転(揺動)することもできる。さらには、モータを用いること無く、例えば,空気圧式のアクチュエータのような他の駆動源を用いることもできる。

【0027】
クランクシャフト23内には、スプリングが内蔵されており、被験者の足関節に無理な力が加わらないように、足関節の硬さの個人差を吸収する。また、装置の回転軸3と被験者の足関節の回転軸は同一でないので、この回転軸の違いを吸収するため、足裏の設置面にスライダ機構13を備えている。このスライダ機構13は、図示のように、足先の長さ方向に調整可能の縦スライダ21と、それと直角方向の奥行き方向に調整可能の横スライダ22を有している。モータ制御装置は、モータ24を制御することにより、足裏面の曲げ角度、速度を任意に設定可能にする。このために、モータ24の回転速度及び回転数を検知するエンコーダ25、踝部分の角度検知をするポテンショメータ26、過電流の防止のためのカレントセンサ(図示省略)等を備えている。

【0028】
図4(A)は、図1に例示した血栓症予防装置を用いて測定した血流速度を表すグラフであり、(B)は、時間の経過につれて変化する装置への指令角度を表すグラフであり、(C)は、足関節を背屈及び伸展運動するときの1サイクル分を分割し屈曲運動時間をa秒、運動一時停止時間をb秒、伸展運動時間をc秒、1サイクル最後の停止時間をd秒とした場合の装置使用例毎の秒数を例示する表である。また、図5は、比較のために従来の空気圧装置(Kendall社のSCD EXPRESS)を用いて測定した深部静脈の血流速度を表すグラフである。図4(A)及び図5において、横軸は時間[sec]を、また、縦軸は血流速度[cm/s]を表している。いずれのグラフにおいても、正方向と負方向の二つの血流速度が記録されているが、横軸基準ラインより下側の負方向の波形が膝窩静脈の血流速度を表している。なお、本測定はドップラー式血流測定器によるものであり、横軸基準ラインより上側の正方向の波形は、本発明とは関係がないので説明を省略する。グラフ中の装置稼働期間中の血流速度を見れば、本発明装置は、シンプルな構成にも拘わらず、既存の装置(図5)と同等以上の血流速度が得られていることが分かる。なお、血流速度は個人差が大きく、センサの取り付け角度によっても速度が変わるため、基準波形が必要となる。自発的に足関節を背屈及び伸展運動した時の膝窩静脈の血流速度を基準波形とした。

【0029】
図4(A)と、(B)を比較しながら説明すると、この例では、装置への回転指令が出る部分である屈曲運動時間aの立ち上がり部の時刻から少し遅れて、(A)に示すように、静脈血流速度が立ち上がり、運動一時停止時間bになっても静脈血流速度は0にはならず、立ち上がりから3秒程度経過して0になっていることが分る。また伸展運動時間cにおいては、静脈血流速度は0のままであり、伸展運動は静脈血流速度の増加には寄与しないことが分る。
【符号の説明】
【0030】
1 本体部
2 本体支持部
3 回転軸
4 揺動体
5 揺動機構
6 足裏支持板
10 上面カバー
11 裏板
12 側板
13 スライダ機構
15 連結部
16 下腿固定部
17 下腿ホルダー
18 クッション
19 踵受
21 縦スライダ
22 横スライダ
23 クランクシャフト
24 モータ
25 エンコーダ
26 ポテンショメータ
27 クランク駆動体
28 クランク駆動用雄ねじ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5