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明細書 :複合光触媒の製造方法及びそれにより製造される複合光触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5354569号 (P5354569)
公開番号 特開2010-058092 (P2010-058092A)
登録日 平成25年9月6日(2013.9.6)
発行日 平成25年11月27日(2013.11.27)
公開日 平成22年3月18日(2010.3.18)
発明の名称または考案の名称 複合光触媒の製造方法及びそれにより製造される複合光触媒
国際特許分類 B01J  37/08        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
B01J  37/12        (2006.01)
FI B01J 37/08
B01J 35/02 J
B01J 37/02 301Z
B01J 37/12
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2008-228955 (P2008-228955)
出願日 平成20年9月5日(2008.9.5)
審査請求日 平成23年8月2日(2011.8.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】魯 云
【氏名】広橋 光治
【氏名】吉田 浩之
【氏名】中山 博之
審査官 【審査官】佐藤 哲
参考文献・文献 特開2001-226757(JP,A)
特開平05-096181(JP,A)
特開昭61-200845(JP,A)
特開平08-103647(JP,A)
特開昭62-250942(JP,A)
特開2006-299387(JP,A)
特開2004-195435(JP,A)
特開平10-071337(JP,A)
特開2002-047558(JP,A)
中山博之 他,複合光触媒薄膜の作製と機能評価,日本金属学会講演概要,社団法人日本金属学会,2008年 3月26日,Page388
調査した分野 B01J 21/00 - 38/74
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
コア粒子と、金属とをメカニカルコーティングして、金属がコーティングされたコア粒子とする工程、
前記金属がコーティングされたコア粒子とアナターゼ型の酸化チタン粉末とをメカニカルコーティングして、アナターゼ型の酸化チタンがコーティングされた前記金属がコーティングされたコア粒子とする工程、
前記アナターゼ型の酸化チタンがコーティングされた前記金属がコーティングされたコア粒子を500℃以上600℃以下の温度範囲で熱酸化してルチル型の酸化チタンを増加させる工程と、を有する複合光触媒の製造方法。
【請求項2】
前記金属がコーティングされたコア粒子とアナターゼ型の酸化チタン粉末とをメカニカルコーティングして、アナターゼ型の酸化チタン粉末がコーティングされた前記金属がコーティングされたコア粒子とする工程は、1時間以上行う請求項1記載の複合光触媒の製造方法。
【請求項3】
前記コア粒子と、金属とをメカニカルコーティングして、金属がコーティングされたコア粒子とする工程は、前記コア粒子の重量と前記金属の重量を1:0.5~1:10の範囲内にして行う請求項1記載の複合光触媒の製造方法。
【請求項4】
前記金属がコーティングされたコア粒子とアナターゼ型の酸化チタン粉末とをメカニカルコーティングして、アナターゼ型の酸化チタンがコーティングされた前記金属がコーティングされたコア粒子とする工程は、前記金属がコーティングされたコア粒子の重量とアナターゼ型の酸化チタン粉末の重量を、1:0.3~1:2の範囲内にして行う請求項1記載の複合光触媒の製造方法。
発明の詳細な説明 【背景技術】
【0001】
酸化チタン光触媒は、光により汚染物質を分解、除去することができる機能性材料であり、近年研究開発が盛んに行われてきている。
【0002】
一般的に光触媒は、担体に固定されて使用される場合が多いが、より汚染物質の吸着量を多くして効率を上げるために、凹凸を有する多孔質の表面に光触媒を担持させる方法が採用されてきている。
【0003】
ところで、光触媒の製造には、一般的に、ゾルゲル法、PVD法、CVD法等の手法が用いられている。
【0004】
しかしながら、これら製造方法は、工程が複雑で、また大型装置が必要となるといった課題がある。また、これら手法では球状等の曲面に均一に成膜することが困難であるといった課題がある。
【0005】
これに対し本発明者らは、すでに粉末冶金における粉末混合の技術を転用し、ポットミルや遊星ボールミルを用いてアルミナ製のボール表面に機械的摩擦摩耗・衝突を利用してチタン粉末を成膜し、これを酸化して酸化チタンがコーティングされた光触媒及びその製造方法について提案している(下記非特許文献1参照)。
【0006】

【非特許文献1】吉田浩之、中山博之、魯云、広橋光治、日本材料学会第56期学術講演会講演論文集
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記非特許文献1に記載の技術においても、光触媒の性能において改善の余地が残っており、より高性能な光触媒及びその製造方法が望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、より高性能な光触媒の製造方法及びそれにより製造される光触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題について鋭意検討を行ったところ、コアとなるアルミナ粒子の表面にチタン粉末をコーティングし、その後更に酸化チタン粉末をコーティングし、熱参加することでより高性能な光触媒とできることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明の一手段に係る複合光触媒の製造方法は、(A)コア粒子と金属とをメカニカルコーティングして、金属がコーティングされたコア粒子とする工程、(B)金属がコーティングされたコア粒子とアナターゼ型の酸化チタン粉末とをメカニカルコーティングして、アナターゼ型の酸化チタンがコーティングされた金属がコーティングされたコア粒子とする工程、(C)アナターゼ型の酸化チタン粉末がコーティングされた金属がコーティングされたコア粒子を熱酸化する工程と、を有する。
【0011】
また、本発明の他の手段に係る複合光触媒は、コア粒子と、コア粒子の表面をコーティングするチタン層と、チタン層に固定される酸化チタン層と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明により、より高性能な光触媒の製造方法及びそれにより製造される光触媒を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明は多くの異なる実施が可能であり、以下に示す実施の形態、実施例の記載にのみ狭く限定されるものでないことは言うまでもない。
【0014】
本実施形態に係る複合光触媒の製造方法は、(A)コア粒子と、チタン粉末とをメカニカルコーティングして、チタン粉末がコーティングされたコア粒子とする工程(以下、「第一の工程」という。)、(B)チタン粉末がコーティングされたコア粒子とアナターゼ型の酸化チタン粉末とをメカニカルコーティングして、アナターゼ型の酸化チタン粉末及びチタン粉末がコーティングされたコア粒子とする工程(以下「第二の工程」という。)、(C)アナターゼ型の酸化チタン粉末及びチタン粉末がコーティングされたコア粒子を熱酸化する工程(以下「第三の工程」という。)と、を有する。図1に、本実施形態に係る製造方法の工程の概略図を示しておく。
【0015】
第一の工程において用いられるコア粒子は、限定されることなく様々な材料を使用することができるが、金属酸化物や金属を採用することが好適であり、金属酸化物としてアルミナやジルコニア等のセラミックスを用いることは容易に成膜できる観点からより好ましい。また、第一の工程において用いるコア粒子の形状としては、用いる用途などにより適宜調整可能であるが、球状であることが実用の観点から好ましい。なおこの場合直径として0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以上3mm以下である。
【0016】
第一の工程において用いるチタン粉末は、用いる用途や用いるコア粒子の大きさにより適宜調整は可能であるが、平均として10μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0017】
また、第一の工程において用いるコア粒子とチタン粉末の量は、コア粒子の重量を1とした場合、チタン粉末の重量を0.5以上10以下とすることが好ましい。0.5以上とすることでコア粒子表面全体にチタン層を形成することができるようになり、10以下とすることで、不必要なチタン粉末を抑えることができる。
【0018】
第一の工程におけるメカニカルコーティングとしては、公知の方法を採用することができ限定されるわけではないが、ポットミルや遊星ボールミルを用いる方法を採用することができる。またメカニカルコーティングは特に高温にあげる必要はなく、室温で行うことができる。またメカニカルコーティングの時間としては、ミルの回転数にもよるが、3時間以上15時間以下、より好ましくは5時間以上10時間以下である。3時間以上とすることで、コア粒子表面にチタン層を十分に形成することができるようになる一方、15時間以下とすることで余分なコーティングの時間を削減できる(10時間から15時間程度でチタン層の厚さが飽和するため)といった利点がある。
【0019】
第二の工程において用いる酸化チタン(TiO)粉末はアナターゼ型である。アナターゼ型とすることでより高性能な光触媒とすることができる。酸化チタン粉末の粒径としては、適宜調整可能であり限定されるわけではないが、平均としてナノサイズ、具体的には3nm以上50nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以上20nmである。
【0020】
用いる酸化チタン粉末の量としても、用いる用途やコア粒子の大きさ等によって適宜調整可能であるが、チタン粉末がコーティングされたコア粒子の重量を1とした場合、0.3以上20以下であることが好ましく、より好ましくは0.5以上10以下である。0.3以上20以下とすることで、酸化チタン粉末を効率的にコア粒子表面に分散させることができるようになるといった利点がある。
【0021】
第二の工程において行われるメカニカルコーティングは、上記第一の工程におけるメカニカルコーティングの条件とほぼ同じに行うことができる。ただし、コーティングする時間としては1時間以上10時間以下であることが好ましく、より好ましくは2時間以上4時間以下である。あまり多く時間をかけると、酸化チタン粉末がチタン層全体をコーティングしすぎることで性能に影響を与えてしまう虞があるので注意が必要である。すなわち本工程における酸化チタン粉末は、チタン層上に分散して配置されている意味で第一のコーティングよりもコートする量が少ない点において特徴的である。
【0022】
第三の工程における熱酸化は、少なくとも酸素の存在下で行うことが好ましく、大気中であることは特段の特別な設備が不要である点で好ましい。熱酸化の方法としては特に限定されるわけではないが、例えば電気炉の中に上記粒子を置くことで実現することができる。また、熱酸化の温度は、適宜調整可能ではあるが、350℃以上650℃以下であることが好ましい。350℃以上とすることで、チタン粉末をアナターゼ型の酸化チタン粉末に変化させて高性能化することができる一方で、650℃以下とすることで、チタン層の酸化の進みすぎを防止すること及びルチル型の酸化チタンの発生を抑えることができるといった利点がある。なお熱酸化の時間も特に限定されるわけではないが、1時間以上24時間以下であることが好ましい。
【0023】
以上のとおり、本実施形態に係る光触媒の製造方法によるとより高性能な複合光触媒薄膜を製造することができる。その原理については、推測の域を出ないが、以下のように考えることができる。まずコア粒子のチタン層上に更にアナターゼ型の酸化チタン層を分散してコーティングさせることで、酸化チタン粉末を核として配置することができる。そしてこの酸化チタン粉末が形成されたチタン層を有するコーティング粒子を熱加熱すると酸化チタン粉末が核となりその周囲のチタン層が酸化チタンとなる。特に本実施形態においては酸化チタンがアナターゼ型であり、酸化する際その周囲のチタン層もアナターゼ型になる。この結果、アナターゼ型の酸化チタンと残ったチタン層とのバランスが好ましい範囲となり、光触媒性能が飛躍的に向上するのである。
【実施例】
【0024】
上記実施形態に係る複合光触媒の製造方法を実際に行い、その効果を確認した。以下に詳細に示す。
【0025】
まず、直径1mmのアルミナボール60gと、純度99%、平均粒径35μmのチタン粉末40gをアルミナ製のポットに入れて蓋をし、遊星ボールミル(フリッチュ(株)製、P5/4型)を用いて300rpmで10時間回転させた。
【0026】
次に、この結果得られたアルミナボール15gと、アナターゼ型の酸化チタン粉末13g(石原産業製、ST-01型)をアルミナ製のポットに入れて蓋をし、上記遊星ボールミルを用いて300rpmで3時間回転させた。
【0027】
そして、その得られたアルミナボールを7等分し、一つは非加熱、その他は300℃、400℃、500℃、600℃、700℃又は800℃で10時間加熱し、酸化処理を施した。この結果、全部で7種類の試料を得た。下記式に試料番号とその条件について記載しておく。なお、この作製した試料それぞれについて、走査型電子顕微鏡(日本電視(株)社製、JSM-5300LV型)を用いて顕微鏡観察を行ったのでこの結果を図2乃至図8にそれぞれ示しておく。なお図2は、下記試料CM3の表面形状写真(a)及び、表面組成写真(b)を示しており、図3は、下記試料CM3-3Tの表面形状写真(a)及び、表面組成写真(b)を示しており、図4は、下記試料CM3-4Tの表面形状写真(a)及び、表面組成写真(b)を示しており、図5は、下記試料CM3-5Tの表面形状写真(a)及び、表面組成写真(b)を示しており、図6は、下記試料CM3-6Tの表面形状写真(a)及び、表面組成写真(b)を示しており、図7は、下記試料CM3-7Tの表面形状写真(a)及び、表面組成写真(b)を示しており、図8は、下記試料CM3-8Tの表面形状写真(a)及び、表面組成写真(b)を示している。
【表1】
JP0005354569B2_000002t.gif

【0028】
次に、上記各試料について、X線回折システム(日本電子(株)製、JDX-3530型)を用い、Cuをターゲット、X線管出力09.kWとして結晶構造の解析を行った。この結果を図9に示す。
【0029】
この結果、温度の上昇とともにチタンに起因するピークが減少し、酸化チタンのピークが増加していることが確認できた。なお、アナターゼ型の酸化チタンは300℃の加熱から700℃の間で増加が認められるものの800℃では減少してしまっていること(例えば図中48deg近傍参照)、及び、ルチル型の酸化チタンは500℃から増加が開始すること(例えば図中28deg、43deg近傍参照)が確認できた。
【0030】
次に、この各試料を用い、10μMのメチレンブルー(MB)水溶液100mlに投入し、その分解能を調べた。図10にこの結果を示す。なお図中、横軸は時間を、縦軸はMBの濃度を示す。
【0031】
この結果、300℃で加熱した試料、700℃で加熱した試料、800℃で加熱した試料においては、加熱しなかった場合に比べてMBの分解量が少ない結果となってしまったが、300℃より高く700℃より低い温度、好ましくは350℃以上650℃以下の温度範囲であれば、加熱しない場合に比べて格段に分解能を向上させることができることを確認した。なお本分析における1~12時間における各試料における各曲線の傾きを抽出し、分解速度係数として求めた結果を図11に示す。この結果からも300℃より高く700℃より低い場合は加熱しない場合に比べて格段に機能が向上していることを確認した。
【0032】
以上、本実施例により、より高性能な複合光触媒を製造することができることを確認した。
【0033】
(比較例)
まず、直径1mmのアルミナボール60gと、純度99%、平均粒径35μmのチタン粉末40gをアルミナ製のポットに入れて蓋をし、遊星ボールミル(フリッチュ(株)製、P5/4型)を用いて300rpmで10時間回転させた。
【0034】
次に、この各試料を用い、10μMのメチレンブルー(MB)水溶液100mlに投入し、その分解能を調べ、上記図11と同様1~12時間における傾きを抽出した結果を図12に示す。なお図中、横軸は時間を、縦軸はMBの濃度を示す。

【0035】
以上、アナターゼ酸化チタン粉末を加えること及びその加熱による効果を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、光触媒及びその製造方法として産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態に係る製造方法の工程を示す概略図である。
【図2】実施例において作製したアルミナボールの顕微鏡写真(図面)である。
【図3】実施例において作製したアルミナボールの顕微鏡写真(図面)である。
【図4】実施例において作製したアルミナボールの顕微鏡写真(図面)である。
【図5】実施例において作製したアルミナボールの顕微鏡写真(図面)である。
【図6】実施例において作製したアルミナボールの顕微鏡写真(図面)である。
【図7】実施例において作製したアルミナボールの顕微鏡写真(図面)である。
【図8】実施例において作製したアルミナボールの顕微鏡写真(図面)である。
【図9】実施例において作製したアルミナボールの結晶構造の解析結果を示す図である。
【図10】実施例において作製したアルミナボールを用いたMB分解実験の結果を示す図である。
【図11】図10中の1~12時間における傾きを抽出した結果を示す図である。
【図12】比較例において作製したアルミナボールを用いたMB分解実験の結果の1~12時間における傾きを抽出した結果を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11