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明細書 :金属酸化物粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5861183号 (P5861183)
公開番号 特開2013-087025 (P2013-087025A)
登録日 平成28年1月8日(2016.1.8)
発行日 平成28年2月16日(2016.2.16)
公開日 平成25年5月13日(2013.5.13)
発明の名称または考案の名称 金属酸化物粒子の製造方法
国際特許分類 C01B  13/36        (2006.01)
C01G   3/02        (2006.01)
C01G  53/04        (2006.01)
C01G  43/025       (2006.01)
C01G  49/06        (2006.01)
FI C01B 13/36
C01G 3/02
C01G 53/04
C01G 43/025 A
C01G 49/06 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2011-230269 (P2011-230269)
出願日 平成23年10月20日(2011.10.20)
審査請求日 平成26年7月3日(2014.7.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 政浩
【氏名】瀬川 智臣
【氏名】藤井 寛一
【氏名】加藤 良幸
【氏名】福井 国博
個別代理人の代理人 【識別番号】100139114、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 貞嗣
【識別番号】100092495、【弁理士】、【氏名又は名称】蛭川 昌信
【識別番号】100139103、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 卓志
【識別番号】100095980、【弁理士】、【氏名又は名称】菅井 英雄
【識別番号】100094787、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 健二
【識別番号】100097777、【弁理士】、【氏名又は名称】韮澤 弘
【識別番号】100091971、【弁理士】、【氏名又は名称】米澤 明
【識別番号】100157118、【弁理士】、【氏名又は名称】南 義明
【識別番号】100119220、【弁理士】、【氏名又は名称】片寄 武彦
審査官 【審査官】佐藤 哲
参考文献・文献 特表2007-518659(JP,A)
特開2011-088766(JP,A)
特開2011-088767(JP,A)
特開2002-255515(JP,A)
特開平11-028360(JP,A)
特開2010-120800(JP,A)
特開2004-330109(JP,A)
特開2009-023860(JP,A)
調査した分野 C01B 13/00 - 13/36
C01G 1/00 - 23/08
C01G 25/00 - 47/00
C01G 49/00 - 49/08
C01G 49/10 - 99/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
金属酸化物前駆体として、所定量以上のカーボン粒子が添加された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を調整する調整工程と、
前記溶液を加熱する加熱工程と、を有し、
異なる還元度の金属酸化物粒子を製造する金属酸化物粒子の製造方法において、
前記加熱工程において、前記溶液中の前記カーボン粒子を粉砕・混合することを特徴とする金属酸化物粒子の特性を調整することを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項2】
前記加熱工程の少なくとも一部では、マイクロ波による加熱を行うことを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程が、不活性ガス雰囲気の下で行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項4】
前記金属酸化物における金属がLi、Cu、Zn、Al、Mg、Co,Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス原料をはじめ各種用途に使用される金属酸化物粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックス原料、着色原料等に使用される金属酸化物微粒子の製造方法は、出発相によってCVDやガス中蒸発法などの気相法、沈殿法や噴霧法などの液相法、機械的粉砕法などの固相法に分類される。また、これらは、機械的粉砕法に代表される、バルク材を微細化することで得られるいわゆるブレイクダウン方式、分子レベルから成長させることによって得られるビルドアップ方式に分類されるが、ブレイクダウン方式は機械的粉砕による微細化に限界があること、粉砕機器からの不純物の混入があることから、高純度な微粒子の製造には主としてビルドアップ方式が適用されている。ここでその代表的なものとして液相法を例にとると、金属塩の水溶液にアルカリ等のpH調整剤を加えて水酸化物等を沈殿させ、かかる水酸化物等を500℃~700℃程度に昇温し、分解することによって所望の金属酸化物微粒子を得ることができる。その具体例として、例えば特許文献1ではカルボン酸化合物を分散等させた水溶液中に、金属塩の水溶液と中和剤の水溶液とを同時に添加して、上記金属の水酸化物等の微粒子を生成させ、得られた微粒子を焼成する微粒子状金属酸化物の製造方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、この液相法では、その製造工程においては通常水酸化物等の生成を経た後、熱処理炉等で加熱分解することで酸化物を得ており、液相法での反応工程に加えて、高温まで昇温し処理する工程を必要とする。例えば酸化銅の製造では、水酸化銅、硝酸銅、炭酸銅などを700℃程度で加熱分解することで酸化銅を得ており、この高温処理が製造工程の簡略化を阻害していた。
【0004】
一方、塩化第二銅などの銅化合物の溶液を加温しつつ、アルカリ溶液を添加することによって酸化銅などの銅酸化物を生成させ、水洗、乾燥後、粉砕する直接湿式法等によって直接銅酸化物を生成させることも可能であるが、このような方法では銅酸化物の生成の反応プロセスが急激に起こるため、粒子径の制御が困難であり、均一な微粒子を得ることが困難という問題があった。
【0005】
これらの問題を解決するために、本発明者らは、金属を金属硝酸塩溶液とし、この金属硝酸塩溶液を加熱することで金属微粒子を製造する方法を研究し、その成果を特許文献2~4として出願を行っている。これらの金属微粒子を製造する方法の製造フローチャートを図10に示すが、微粒子化する目的の金属、硝酸および水(イオン交換水等)等を混合し金属硝酸塩溶液を生成する工程をはじめ、加熱・脱硝工程、(粗)粉砕工程、焙焼工程、水素等の還元剤で還元する工程、さらには粉砕工程を経て、その後の微粒子の利用目的に応じた処理を行う金属微粒子を製造する方法である。
【0006】
特許文献2は、加熱・脱硝工程を、金属硝酸塩溶液に外部からのヒータ等による加熱によって行うもので、そのときの加熱到達温度と、その加熱到達温度にいたる昇温速度を制御することで目的の金属微粒子を製造する方法である。
特許文献3は、加熱・脱硝工程を、金属硝酸塩溶液にマイクロ波を照射することで金属微粒子を製造する方法である。
【0007】
特許文献4は、加熱・脱硝工程を、金属硝酸塩溶液に、マイクロ波と外部からのヒータ等による加熱とを併用して行うことで金属微粒子を製造する方法である。

【特許文献1】特開平05-139704号公報
【特許文献2】特開2010-195605号公報
【特許文献3】特開2011-088767号公報
【特許文献4】特開2011-088766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記の金属硝酸塩溶液にマイクロ波照射による加熱、外部からのヒータ等による加熱、さらには、これらを併用した金属微粒子を製造する方法では、図10に記載のように、加熱・脱硝の後処理として、還元剤による還元工程が必要であり、処理工程数の増加、処理効率の低下、さらには、還元剤等の添加による残渣物の処理手数の増加等が発生していた。
本発明は、前記問題点の脱硝工程そのものの処理速度ならびに処理効率の向上、また脱硝工程の後工程である還元工程を簡略化することで、還元工程の廃止による工程数削減あるいは簡略化と、処理効率を向上させることを課題とする。
【0009】
また、脱硝工程の処理条件を変化させることで、完成した金属粒子の還元度の調整が可能な方法を提供することを目的とする。
【0010】
さらには、脱硝工程の処理条件を変化させることで、完成した金属微粒子の粒度分布を所望のものとすることが可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の発明は、金属酸化物前駆体として、所定量以上のカーボン粒子が添加された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を調整する調整工程と、前記溶液を加熱する加熱工程と、を有し、異なる還元度の金属酸化物粒子を製造する金属酸化物粒子の製造方法において、前記加熱工程において、前記溶液中の前記カーボン粒子を粉砕・混合することを特徴とする金属酸化物粒子の特性を調整することを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法である。

【0012】
本発明の第二の発明は、前記加熱工程の少なくとも一部では、マイクロ波による加熱を行うことを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法である。

【0013】
本発明の第三の発明は、前記加熱工程が、不活性ガス雰囲気の下で行われることを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法である。

【0014】
本発明の第四の発明は、前記金属酸化物における金属がLi、Cu、Zn、Al、Mg、Co,Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属であることを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法である。

【発明の効果】
【0015】
本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、金属硝酸塩溶液にカーボン粒子を添加することで、添加されたカーボンがマイクロ波を吸収することによる発熱、さらに、生成した酸化物とカーボンとの還元反応およびそれに伴う発熱により、脱硝と還元を同時に行うことが実現できる。
【0016】
また、金属硝酸塩溶液に添加するカーボン粒子の量によって、製造される金属酸化物粒子の還元度、たとえば、硝酸銅溶液では、CuO、Cu2O、Cu等のように還元度の異
なる金属酸化物粒子の生成比率を制御することができ、その結果、従来技術で示される還元工程を簡略化することができる。
【0017】
また、この結果、生成される金属酸化物粒子は、非常にポーラス状であり、粉砕することによって粒径分布幅の小さい金属酸化物粒子を実現できる。
【0018】
一方、脱硝工程において、還元剤を使用することなく、脱硝、還元を行うことができることから、従来技術の還元剤に起因する残渣物の処理等が不要となり、環境に配慮したプロセスを実現できる。特に、金属が、ウラン、プルトニウム、さらに核分裂生成物等の放射性元素の場合には、還元剤添加に起因する放射性廃棄物の増大等の弊害をなくすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。
【図2】本発明の実施例1における1g以下のカーボン粒子を添加した硝酸銅溶液の加熱による温度履歴を示す図である。
【図3】本発明の実施例1における1gを超えるカーボン粒子を添加した硝酸銅溶液の加熱による温度履歴を示す図である。
【図4】本発明の硝酸銅溶液の加熱による反応過程を示した図である。
【図5】本発明の実施例1によって製造した酸化銅粒子に超音波照射を行った後の粒度分布を示す図である。
【図6】本発明の実施例1におけるカーボン添加量を変えて製造した酸化銅粒子のX線回折パターンの図である。
【図7】本発明の実施例1におけるカーボン添加量とX線回折パターンのピーク面積から算出した酸化銅粒子の組成との関係を示した図である。
【図8】本発明の実施例2における加熱、脱硝酸の工程順序を示す図である。
【図9】本発明の実施例2におけるカーボン添加量とX線回折パターンのピーク面積から算出した酸化銅粒子の組成との関係を示した図である。
【図10】従来技術における金属酸化物粒子の製造工程順序を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、金属酸化物前駆体として、カーボン粒子が添加された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を生成する溶液生成工程と、前記生成された溶液を加熱することで脱硝を行う加熱工程と、を有する金属酸化物粒子の製造方法であり、前記カーボン粒子の添加量によって、前記金属酸化物粒子の還元度を制御する金属酸化物粒子の製造方法である。

【0021】
前記金属酸化物における金属は、Li、Cu、Zn、Al、Mg、Co,Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属であるが、本発明では、Cuを実施例として説明する。

【0022】
前記添加するカーボン粒子は、特に指定されるものではないが、本実施例では、メジアン径0.247μmのアモルファスカーボンを例にとって説明する。

【0023】
前記金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液は、前記金属酸化物における金属のいずれか1種類と、硝酸の適量、水(イオン交換水等)、さらには、カーボン粒子の適量を添加、混合した溶液である。

【0024】
前記加熱工程は、少なくとも、赤外線加熱、電気管状炉による加熱、および、マイクロ
波による加熱のいずれか、あるいはそれらを組み合わせての加熱を行う。

【0025】
さらに、前記加熱工程では、加熱の途中で、所定温度まで到達した時に、それまでの加熱によって生成された溶液中の中間生成物を粉砕・混合し、再度、微粒子化することで脱硝反応を促進させることもできる。

【0026】
脱硝を行う加熱工程の加熱装置の構成について説明する。

【0027】
図1は、本発明に係る金属酸化物粒子を製造するために用いられた加熱装置1の概略を説明する図であり、マイクロ波照射による加熱を例にして図示している。10は加熱室、11は制御部、13は温度検出部、15は反応容器、20はマグネトロン、21はマイクロ波導入口をそれぞれ示している。

【0028】
図1において、本実施形態における加熱工程では、マイクロ波による加熱方式が採用される。このため本実施形態における加熱装置1には、マイクロ波が周囲に漏洩することを防止する目的として加熱室10が設けられている。この加熱室10内には、前駆体となるカーボン粒子が添加された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液25を収容する反応容器15が載置されている。

【0029】
マグネトロン20によって発生されたマイクロ波は不図示の導波管からマイクロ波導入口21に導けれ、このマイクロ波導入口21から加熱室10に導入される。また、反応容器15内の溶液には、熱電対などの温度検出部13がセットされ、カーボン粒子が添加された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液25の温度を計測するようになっている。この計測値は制御部11に入力され、制御部11は溶液の温度に対応してマグネトロン20の出力を制御することができるようになっている。

【0030】
反応容器15の両端にはIn及びOutのガス配管に接続されており、In側からは、不図示の雰囲気ガス供給システムによって、空気や窒素ガスなど雰囲気ガスを所定流量で流入させて、Out側からは脱硝反応・還元反応で生じたH2O、CO2やNOXガスを排
出させる。

【0031】
本発明で用いたマグネトロン20の発振周波数は2.45GHzであり、出力は40W~770Wの間で可変とすることができるものである。

【0032】
尚、赤外線加熱あるいは電気管状炉による加熱の場合には、図示しないが、マグネトロン20、マイクロ波導入口21の代りに、反応容器15の周辺に、既存技術の赤外線加熱、抵抗加熱、電気管状炉等を配置することによって、カーボン粒子が添加された金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液25の加熱を行う。
(実施例1)
つぎに、硝酸銅による金属酸化物粒子の製造例を本発明の実施例1として説明する。

【0033】
金属硝酸塩溶液25としては、Cu(NO32・3H2Oを20.0g、イオン交換水
を15.0mlの割合で混合して硝酸銅溶液25を調整し、さらに、メジアン径0.247μmでアモルファスのカーボン粒子を、(a)0.0g、(b)0.4g、(c)0.
6g、(d)0.8g、(e)1.0g、(f)1.2g、(g)1.4g、(h)1.6g、(i)1.8g、(j)2.0g、(k)2.2g、(l)2.4g、(m)2.6gを各々添加して14種類のカーボンを添加した硝酸銅溶液25を作製した。このときの硝酸銅溶液温度は25℃とした。

【0034】
加熱装置1は、図1に記載のマイクロ波照射による加熱装置1を使用した。
マイクロ波を照射するマグネトロン20は、発信周波数2.45GHz、出力40W~770Wの間で可変とすることができるものである。

【0035】
本実施例では、雰囲気ガスとして窒素ガスを用い、300ml/minの流量で雰囲気ガス供給システムINによって導入した。

【0036】
前記(a)~(m)の硝酸銅溶液25を、図1のマイクロ波照射による加熱装置1によって加熱し脱硝を行った。

【0037】
その加熱時間と加熱温度との関係を、カーボン添加量が(a)0.0g~(e)1.0gについては図2に、カーボン添加量が(f)1.2g~(m)2.6gについては図3に示す。

【0038】
本実施例の加熱の最高到達温度を600℃と設定しているが、本発明者らの研究によると、硝酸銅溶液25のマイクロ波加熱の場合、マイクロ波出力の偏り、さらには硝酸銅溶液25を収容する反応容器15の形状等によって、硝酸銅溶液25が均等に加熱されず、硝酸銅溶液25全体を、脱硝を効率よく行う350℃程度に維持するためには、最高到達温度を600℃とすることが必要であるとの検討結果から、設定したものである。

【0039】
加熱の温度上昇と脱硝反応との関係を、特許文献2に記載の反応過程を図4に参考として記載するが、図4と対比して説明する。図2、図3ともに、カーボン添加量にかかわらず、約120℃程度までは、硝酸銅溶液25のH2Oが蒸発・沸騰により排出される段階
で、傾斜45度程度の温度上昇を示している。その後、160℃~200℃付近までは、水和水の脱離段階で、緩やかな温度上昇をたどる。

【0040】
以降は、中間体Cu2(NO3)(OH)3への脱硝反応及び中間体の脱硝反応によるC
uOが発生し、急激な温度上昇で600℃に達する。

【0041】
通常のマイクロ波照射による加熱であれば、なだらかな傾斜の温度上昇による脱硝反応となるが、本発明のカーボンを添加したことで、硝酸銅溶液25の硝酸成分の分解によって発生するNOX成分が、添加されたカーボンと結合してCO2となり、この酸化するときの酸化熱で200℃近辺からの急激な温度上昇を呈したものである。

【0042】
以上の加熱温度の経過によって、脱硝反応が行われていることが判る。

【0043】
つぎに、本実施例で加熱、脱硝して生成した酸化銅粒子は、ポーラス状で、壊れやすい形態ではあるが凝集しているため、超音波照射による細粒化処理を行った。その酸化銅粒子の粒度分布を図5に示す。

【0044】
図5(a)は、製造された酸化銅粒子は、ポーラス状で凝集した状態であるが、2minの超音波照射によって粒子の細粒化を図ったものの粒度分布であり、カーボン添加量の増加に沿って、微小ではあるが、粒子径の中央値が小径側へ移動しているのがわかる。

【0045】
また、超音波照射時間を30minとしたときには、図5(b)に示すように、さらに粒子径の中心値が小径側へ移行している。このことにより、超音波の照射時間によって、酸化銅粒子の粒度分布を改善することができる。

【0046】
さらに、ここで注目すべきは、図5(a)(b)でも判るように、小径側の最小径の値が超音波照射によって変更していないということである。すなわち、超音波照射による再凝集が発生しておらず、粒子径の分布が極めて安定していると言える。

【0047】
このカーボン添加量を変えて脱硝し、製造した酸化銅粒子の成分を、X線回折パターンで解析した結果を図6に示す。図6に示すように、カーボン粒子を添加することで生成物の組成が変化していることがわかる。また、カーボン粒子を添加しない場合、水酸化物の生成はみられない。一方、カーボン粒子の添加量が0.2g~0.8gでは水酸化物が残存していることがわかる。

【0048】
図7は溶液に添加するカーボン粒子量の違いによる製造金属粒子の組成の違いを示す図である。図7はX線回折パターンのピーク面積から算出した生成物の組成割合を示したものである。

【0049】
カーボン粒子の添加量0.4gまでは生成物はほぼCuOのみである。しかし、添加量0.6g以上からCuOの割合が減少しCu2Oの割合が増加している。また、添加量1
.0g以上ではCuOの減少とともにCuの割合が増加し始めていることが確認できる。さらにカーボン粒子の添加量を増加させると、添加量2.0g以上でCuO、Cu2Oの
減少と共にCuがさらに増加していることがわかる。たとえば、カーボン粒子添加量が2.0gの場合、CuOの比率は0.25、Cu2Oは0.25、Cuは0.50のように
、還元度の高い粒子が製造されており、その比率は、カーボン粒子添加量によって変化する。このように、カーボン粒子を添加することで酸化物中の酸素割合、すなわち還元度を制御することができ、脱硝と還元反応を同時に行うことが可能であることが確認できた。(実施例2)
つぎに、本発明の実施例2として、硝酸銅による金属酸化物粒子製造の他の実施例について説明する。

【0050】
図8は、実施例2の製造工程を説明した図である。実施例1と加熱、脱硝工程の基本構成は変更ないが、加熱、脱硝の途中の段階、すなわち、Cu(NO32・3H2O、イオ
ン交換水及びカーボン粒子によって調整された溶液が加熱工程で、中間生成物である水酸化物が生成する温度(160℃)で加熱を一旦停止して、中間生成物を粉砕、混合した後、再びマイクロ波加熱により600℃まで昇温させることで生成物を得るものである。

【0051】
実施例1と同様に、硝酸銅溶液25としては、Cu(NO32・3H2Oを20.0g、イオン交換水を15.0mlの割合で混合して硝酸銅溶液25を調整し、さらに、メジアン径0.247μmでアモルファスのカーボン粒子を、(a)0.0g、(b)0.2g
、(c)0.4g、(d)0.6g、(e)0.8g、(f)1.0g、(g)1.2g
、(h)1.4g、(i)1.6g、(j)1.8g、(k)2.0gを各々添加して11種類のカーボンを添加した硝酸銅溶液25を作製した。このときの硝酸銅溶液温度は25℃とした。

【0052】
このCu(NO32・3H2O、イオン交換水及びカーボン粒子によって調整された硝
酸銅溶液25を、実施例1と同一のマイクロ波加熱装置1によって、中間生成物である水酸化物が生成する温度(160℃)まで加熱し、その後一旦停止して、中間生成物を粉砕、混合した後、再びマイクロ波加熱により600℃まで昇温させることで酸化銅粒子を製造した。

【0053】
このように、加熱工程の途中で、上記のように中間生成物を粉砕、混合することで、当該中間生成物中に存在するカーボン粒子を均一に分散させるようにし、さらに、酸化銅粒子の還元反応が促進するようにした。

【0054】
この製造した酸化銅粒子を実施例1と同様に、2minおよび30minの超音波による酸化銅粒子の細粒化を行った結果、図示しないが、実施例1と同等の酸化銅粒子の粒度
分布を得ることができた。

【0055】
また、この酸化銅粒子のX線回折パターン解析を行い、そのピーク面積から算出した生成物の組成割合を分析すると図9に示す結果となった。
実施例1と実施例2とを生成物の組成割合で比較すると、例えば、カーボン粒子添加量が2.0gの時、CuO(実施例1)0.25→(実施例2)0.04、Cu2O 0.2
5→0.36、Cu 0.50→0.60と、還元度のより高い組成に移行していることがわかる。

【0056】
加熱工程の中間段階(160℃)で、中間生成物を粉砕、混合することにより、さらに、酸化物中の酸素割合、すなわち還元度を制御することができ、かつ、脱硝と還元反応を同時に行うことが可能となった。

【0057】
以上、実施例1、実施例2に硝酸銅を例にした、カーボン粒子添加による金属微粒子製造方法について記載したが、具体的な応用例として、表1にまとめて示す。

【0058】
【表1】
JP0005861183B2_000002t.gif
本実施例の本実施例のCu(NO3)2・3H2O、さらには、Ni(NO3)2・6H2O、Fe(NO3)3・9H2O、UO2(NO3)2・6H2O等が好適である。

【0059】
いずれも溶解性を有し、水やエタノールに可溶であり、融点や沸点などの熱的特性が類似している金属あるいは金属酸化物であれば利用することができる。

【0060】
以上、本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、金属硝酸塩溶液にカーボン粒子を添加することで、添加されたカーボンがマイクロ波を吸収することによる発熱、さらに、生成した酸化物とカーボンとの還元反応およびそれに伴う発熱により、脱硝と還元を同時に行うことが実現できる。

【0061】
また、金属硝酸塩溶液に添加するカーボン粒子の量によって、製造される金属酸化物粒子の還元度、たとえば、硝酸銅溶液では、CuO、Cu2O、Cu等のように還元度の異
なる金属酸化物粒子の生成比率を制御することができ、その結果、従来技術で示される還元工程を廃止あるいは簡略化することができる。

【0062】
また、本発明の金属酸化物粒子の製造方法により、生成される金属酸化物粒子は、非常にポーラス状であり、粉砕することによって粒径分布幅の小さい金属酸化物粒子を実現できる。

【0063】
一方、脱硝工程において、還元剤を使用することなく、脱硝、還元を行うことができることから、従来技術の還元剤に起因する残渣物の処理等が不要となり、環境に配慮したプロセスを実現できる。特に、金属が、ウラン、プルトニウム、さらに核分裂生成物等の放
射性元素の場合には、還元剤添加に起因する放射性廃棄物の増大等の弊害をなくすことが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
10・・・加熱室
11・・・制御部
13・・・温度検出部
15・・・反応容器
20・・・マグネトロン
21・・・マイクロ波導入口
25・・・金属硝酸塩溶液、硝酸銅溶液
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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