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明細書 :層状セリウム化合物蛍光体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5810442号 (P5810442)
公開番号 特開2012-255064 (P2012-255064A)
登録日 平成27年10月2日(2015.10.2)
発行日 平成27年11月11日(2015.11.11)
公開日 平成24年12月27日(2012.12.27)
発明の名称または考案の名称 層状セリウム化合物蛍光体及びその製造方法
国際特許分類 C09K  11/78        (2006.01)
C09K  11/08        (2006.01)
H05B  33/14        (2006.01)
H05B  33/10        (2006.01)
FI C09K 11/78 CPB
C09K 11/08 A
C09K 11/08 G
H05B 33/14 Z
H05B 33/10
請求項の数または発明の数 9
全頁数 14
出願番号 特願2011-128186 (P2011-128186)
出願日 平成23年6月8日(2011.6.8)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 研究集会名 Japan-Taiwan 4 Universities Joint Symposium on Material Science for Next Generation Energy and Nano Science(次世代エネルギーおよびナノ材料に関する日台4大学ジョイントシンポジウム) 主催者 国立大学法人長崎大学 開催日 平成23年1月20日
審査請求日 平成26年6月6日(2014.6.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
発明者または考案者 【氏名】谷口 貴章
【氏名】松本 泰道
【氏名】園田 優樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100112634、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 美奈子
【識別番号】100161595、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 梓
審査官 【審査官】西澤 龍彦
参考文献・文献 Chem. Commun.,2010年,46,877-879
Chem. Mater.,2010年,22,3158-3164
Chem. Mater.,2008年,20,335-340
調査した分野 C09K 11/00- 11/89
H01L 51/00- 51/56
H05B 33/00- 33/28
CAplus/REGISTRY(STN)
Scopus
特許請求の範囲 【請求項1】
ドデシル硫酸アニオンの二分子層からなり、当該二分子層の厚さが1.9~2.5nmであるドデシル硫酸アニオン層と、CeO2-y(yは0~0.5の値を示す)層とを交互に重ね合わせた層状構造を有する、層状セリウム化合物蛍光体。
【請求項2】
275nmの励起波長で60%の発光量子収率を示し、380nmに発光波長のピークを有する、請求項1に記載の層状セリウム化合物蛍光体。
【請求項3】
ドデシル硫酸アニオンの二分子層からなり、当該二分子層の厚さが1.9~2.5nmであるドデシル硫酸アニオン層と、Ce(OH)(xは2~3の値を示す)層とを交互に重ね合わせた層状構造を有する、層状セリウム化合物蛍光体。
【請求項4】
290nmの励起波長で90%の発光量子収率を示し、320nmに発光波長のピークを有する、請求項3に記載の層状セリウム化合物蛍光体。
【請求項5】
CeO2-y層の厚みは、1~2nmである、請求項1に記載の層状セリウム化合物蛍光体。
【請求項6】
Ce(OH)層の厚みは、1~3nmである、請求項3に記載の層状セリウム化合物蛍光体。
【請求項7】
0.01~0.1mol/lのドデシル硫酸ナトリウム水溶液5~20mlに、0.5mol/lの硝酸セリウムの水溶液5~20mlを添加して、沈殿物を生成させること、及び
当該水溶液中の沈殿物を回収すること、
を含む、ドデシル硫酸アニオンの二分子層からなり、当該二分子層の厚さが1.9~2.5nmであるドデシル硫酸アニオン層と、Ce(OH)とを交互に重ね合わせた層状セリウム化合物蛍光体の製造方法。
【請求項8】
0.01~0.1mol/lのドデシル硫酸ナトリウム水溶液5~20mlに、塩基を添加し、0.5mol/lの硝酸セリウムの水溶液5~20mlを添加して、沈殿物を生成させること、
当該沈殿物を溶解させた水溶液を40~100℃の温度に加熱し、当該温度で1~24時間維持して再度沈殿させること、及び、
当該水溶液中の沈殿物を回収すること、
を含む、ドデシル硫酸アニオンの二分子層からなり、当該二分子層の厚さが1.9~2.5nmであるドデシル硫酸アニオン層と、CeO2-y層とを交互に重ね合わせた層状セリウム化合物蛍光体の製造方法。
【請求項9】
前記塩基が、ヘキサメチレンジアミン又はヘキサメチレンテトラミンを2mol/lの濃度で含む水溶液であり、その添加量が1~5mlである、請求項に記載の層状セリウム化合物蛍光体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高い量子収率で紫外発光を示す蛍光体であって、ドデシル硫酸アニオン層がCe(OH)層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体、及びドデシル硫酸アニオン層がCeO2-y層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体、ならびにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外発光を示す蛍光体は、主に殺菌や消臭等の用途に用いられており、可視領域において発光を示す蛍光体と組み合わせることにより、LEDなどのデバイスにも使用されている。
【0003】
かかる蛍光体にとって、発光効率はもっとも重要な特性の一つである。しかし、例えば90%程度の高い量子収率で紫外発光を示す固体の有機蛍光体材料は非常に少ない。
また、紫外発光ELデバイスの分野では、主にGaNなどの窒化物蛍光体が使用されている。しかし、窒化物薄膜を作成するためには、高温での反応や、反応雰囲気の制御が必要となり、その合成は概してコストが高いという欠点を有する。また、高温処理に耐える基板を選択しなければならないという制約がある。
【0004】
一方、金属酸化物や金属水酸化物のナノシートを形成する方法として、ドデシル硫酸ナトリウムを用いた液相合成法が知られている。本発明者らは、Chemical Communication 2010,46,877-879(非特許文献1)において、酸化ユーロピウム又は水酸化ユーロピウムとドデシル硫酸アニオンとからなる層状化合物の液相合成法を開示し、Chemistry of Materials 2010,22,3158-3164(非特許文献2)において、酸化亜鉛又は水酸化亜鉛とドデシル硫酸アニオンとからなる層状化合物の液相合成法を開示している。
【0005】
また、Foggらは、Chemistry of Materials 2008,20,335-340(非特許文献3)において、水酸化ランタンを用いた層状体の合成方法を開示している。
【0006】
しかしながら、これらの合成法によって形成された酸化物及び水酸化物の層状化合物は、いずれも高い量子収率で紫外発光を示すものではなかった。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】松本 他、Chemical Communication 2010,46,877-879
【非特許文献2】松本 他、Chemistry of Materials 2010,22,3158-3164
【非特許文献3】Fogg 他、Chemistry of Materials 2008,20,335-340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
簡便なプロセスで合成が可能であり、かつ高い量子収率で紫外発光を示す蛍光体の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、高い量子収率で紫外発光を示す蛍光体であって、ドデシル硫酸アニオン層がCe(OH)層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体、及びドデシル硫酸アニオン層がCeO2-y層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体、ならびにその合成手法を提供する。
【0010】
本発明の蛍光体は、ドデシル硫酸アニオン層と、Ce(OH)層又はCeO2-y層とを交互に重ね合わせた層状構造を有する。Ce(OH)層において、xはx=2~3であり、CeO2-y層において、yはy=0~0.5である。
【0011】
本発明の蛍光体において、ドデシル硫酸アニオン層はドデシル硫酸アニオンの二分子層であり、マイナスの電荷を有する硫酸基をCe(OH)層又はCeO2-y層の表面に対向させるようにしてベシクルを形成している。
【0012】
本発明の蛍光体において、ドデシル硫酸アニオンは炭素鎖の伸長方向に一分子で1.9nmの長さを有し、ドデシル硫酸アニオン層の厚みは、1.9~2.5nmである。
本発明の蛍光体において、CeO2-y層の厚みは、1nm~2nmであり、Ce(OH)層の厚みは、1nm~3nmである。
【0013】
本発明の蛍光体は、層状構造の各層を構成する面の面積が1~1000μm程度の板状体であり、一方、層状構造の積層方向の膜厚は、各層の面積に関わらず、50~100nm程度である。
【0014】
本発明の蛍光体は、約320~380nmの範囲の紫外領域に発光のピーク波長を有し、約60%~90%の高い量子収率を有する。
以下に、本発明の蛍光体を得るための方法を記載する。
【0015】
最初に、ドデシル硫酸アニオン層がCe(OH)層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体の合成方法を記載する。
まず、ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液に硝酸セリウム水溶液を添加して、沈殿を形成させる。0.5mol/lの硝酸セリウム水溶液5~20mlを、0.01mol/l~0.1mol/lのドデシル硫酸ナトリウム水溶液5~20mlに添加することが好ましい。ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液に硝酸セリウム水溶液を添加することにより、即座に沈殿が形成されるので、遠心分離して固体沈殿物を分離する。遠心分離の条件としては、3000rpmで10分程度行うことが好ましい。
【0016】
最後に、当該固体沈殿物を洗浄し、0~100℃の温度で真空乾燥させて、ドデシル硫酸アニオン層がCe(OH)層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体を得る。
【0017】
次に、ドデシル硫酸アニオン層がCeO2-y層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体の合成方法を記載する。
まず、ドデシル硫酸ナトリウムと、セリウムを酸化させるための塩基とを含む水溶液に硝酸セリウム水溶液を添加して、沈殿を形成させる。0.5mol/lの硝酸セリウム水溶液5~20mlを、塩基を添加した0.01mol/l~0.1mol/lのドデシル硫酸ナトリウム水溶液5~20mlに添加する。
【0018】
セリウムを酸化させるための塩基としては、Na(OH)、K(OH)、アンモニアをはじめとする様々な塩基を用いることができるが、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)又はヘキサメチレンテトラミン(HMTA)が好ましく、ヘキサメチレンテトラミンが最も好ましい。塩基を混合した状態で、水溶液のpHが7~14、好ましくは8~9の範囲になるように塩基の量を調節することが必要であり、塩基としてHMTAを用いる場合には、ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に、2mol/lのHMTA水溶液を1~5ml添加する。
【0019】
ドデシル硫酸ナトリウムと塩基とを含む水溶液に硝酸セリウムの水溶液を添加することにより、即座に沈殿が形成される。この沈殿が形成された水溶液を一定の反応温度に加熱し、一定時間その反応温度で維持する。このとき、蛍光体を合成する反応温度は、40℃~100℃が好ましく、80~90℃が更に好ましい。反応温度が90℃を超えると、結果として得られる蛍光体の層状構造が破壊され、発光特性が劣化するために好ましくない。水溶液を当該反応温度で維持する時間としては、1時間~24時間が望ましい。
【0020】
次いで、この水溶液を遠心分離して固体沈殿物を分離する。
最後に、当該固体沈殿物を洗浄し、真空乾燥させて、ドデシル硫酸アニオン層がCeO2-y層の間に挿入された層状有機無機ハイブリッド蛍光体を得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、高い量子収率で紫外発光を示す新規な蛍光体、及び当該新規な蛍光体を合成するための、簡易で毒性の低い水溶液プロセスが提供される。
本発明の方法により、90%ないし60%という極めて高い量子収率を有する新規な層状化合物蛍光体が提供される。
【0022】
本発明の方法によって得られる蛍光体は、層状構造の各層を構成する面の面積が1~1000μm程度の大きさの板状体であるため、基板に対して本発明の蛍光体をスピンコートやディップコートなどの低温の湿式プロセスによって塗布することで、比較的緻密で平滑な蛍光体膜を基板上に形成することが可能となる。従って、ポリマーや紙などの熱に弱い材料を基板として用いることができ、有機EL素子に応用することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施例1及び実施例2のX線回折結果を、比較例としてのCeOナノ粒子のX線回折結果とともに示す。
【図2】図2は、実施例1の結果物のTEM写真を示す。
【図3】図3は、本発明の実施例1及び実施例2の紫外可視吸光及びフォトルミネッセンス分光の結果を示す。
【図4】図4は、本発明の実施例1及び実施例2の結果物のSEM写真を示す。
【図5】図5は、本発明の実施例1における結果物のX線光電子分光(XPS)の結果を、比較例としてのCeOナノ粒子の結果ともに示す。
【図6】図6は、本発明の実施例2における結果物の熱重量測定(TG)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施例を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
<CeO2-y/ドデシル硫酸(DS)アニオン層状化合物の合成(1)>
大気中、大気圧下において、50mlビーカーに、0.1mol/lのドデシル硫酸ナトリウム(SDS:CH(CH11SONa)水溶液(溶媒:蒸留水)10mlと、2mol/lのヘキサメチレンテトラミン(HMTA)水溶液1mlを入れ、0.5mol/lの硝酸セリウム(CeNO)水溶液20mlを添加した。添加するとすぐに沈殿が形成されるため、磁気攪拌機(AS ONE製:RS-6DR)を用いて良く撹拌して沈殿物を溶解させた。
【実施例1】
【0026】
次いで、この水溶液を湯浴(SANSYO製:SSB-103)を用いて80℃に加熱し、そのまま一晩80℃で維持した。
次いで、この水溶液を常温に冷まし、沈殿を形成させた後、遠心分離機(Kubota製:2410)を用いて沈殿物を分離した。沈殿物を、蒸留水、エタノールでよく洗浄し、真空乾燥機(AS ONE製:AVO-200NS)を用いて室温で24時間真空乾燥した。
【実施例1】
【0027】
得られた結果物を、X線回折(XRD)(RIGAKU製:INT-2500VHF)、X線光電子分光(XPS)(Sigma Probe製:Thermo Scientific)、透過型電子顕微鏡(TEM)(Hitachi製:HF-2000)、ラマン分光(Raman)(Jasco製:NRS-3100)、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製:SU-8000)により解析した。
【実施例1】
【0028】
図1に、得られた結果物のXRDパターンを示す。低角側に層状化合物の(00l)反射に対応する鋭いピークが存在し、一方でCeO2ーx層に対応するピークはほとんど観察されなかった。これは、CeO2-y層が1~3分子程度の非常に薄い層であることを示していると考えられる。この(00l)ピークから計算した結果物の層間距離、すなわち1層のCeO2-y層と1層のドデシル硫酸アニオン層とを含む層の厚みは3.3nmであった。
【実施例1】
【0029】
得られたCeO2-y/DS層状化合物のラマン分光の結果は、470cm-1にF2gバンドに対応するピークを示し、CeO2-y層が生成していることが示唆される。
TEM観察の結果からは、得られたCeO2-y/DSアニオン層状化合物において、CeO2-y層が、立方晶のホタル石構造を有することが明らかとなった。また、得られたCeO2-y/DS層状化合物は、扁平な板状の形状を有する層状構造体であり、その各層を構成する面と平行な方向の平均長径は20μm~100μmであり、平均短径は1μm~10μmであった。
【実施例1】
【0030】
図2に、得られた結果物の高分解能TEM像を示す。CeO2-y層とドデシル硫酸アニオン層とが交互に積層した層状構造を形成していることが分かる。CeO2-y層の厚みは1~2nm程度であり、ドデシル硫酸アニオン層の厚みは1.9~2.5nm程度と見積もられる。このことから、図2の右下の模式図において示すように、ドデシル硫酸アニオンは、その一部が重なり合う形で二分子層を形成しており、マイナスの電荷を有する硫酸基をCeO2-y層の表面に対向させるようにしてベシクルを形成していると考えられる。
【実施例1】
【0031】
図3は、得られたCeO2-y/DS層状化合物の、励起スペクトル及び発光スペクトルを示している。当該層状化合物は紫外または近紫外領域である380nmに発光のピーク波長を有する。発光フォトン数と吸収された励起光のフォトン数との比を量子収率として定義すると、層状化合物は、275nmの励起波長で60%程度の非常に高い発光量子収率を示すことが分かる。本発明のCeO2-y/DS層状化合物の発光特性は、CeO2-yの表面に存在するCe3+イオンとドデシル硫酸アニオンとがイオン結合することによって得られるものである。本発明のCeO2-y/DSアニオン層状化合物は薄層構造を有するために、粒子状化合物と比較して、Ce3+とドデシル硫酸との界面を高密度に形成することが可能であり、結果として、高い量子収率が得られる。薄層構造を有する本発明のCeO2-y/DS層状化合物が、粒子の場合と比較して高密度にCe3+とドデシル硫酸との界面を形成することができる理由の一つは、層状構造体を形成する過程でドデシル硫酸が吸着したCe3+は酸化されにくく、塩基によって酸化されずにCe3+のまま残るからであると考えられる。一方で、例えばCeOナノ粒子の場合には、CeO2-y中に存在するCe3+イオンのCe4+イオンに対する相対密度が低く、また、結合するドデシル硫酸の量も少ないために、層状化合物と比較して十分な発光を得ることができない。
【実施例1】
【0032】
図4に、得られたCeO2-y/DS層状化合物の、SEM観察結果を示す。得られたCeO2-y/DS層状化合物は、サブミクロン(50nm-100nm程度)の厚み、及び1-5μm程度の幅を有する板状体であることがわかる。
【実施例1】
【0033】
図5に、得られたCeO2-y/DS層状化合物のXPS観測結果を示す。870~930eVの範囲に示されたこれらのピークは、Ceの3d電子軌道に対応する。当該ピークからCe3+とCe4+のモル比を計算すると、Ce3+とCe4+が1対1の割合で存在していることが分かった。このことから、Ce3+及びCe4+とO2-との電荷が全体として釣り合っていると考えると、当該CeO2-y層において、2-yは1.75の値、すなわちyは0.25の値であることが分かる。
【実施例2】
【0034】
<Ce(OH)/ドデシル硫酸(DS)アニオン層状化合物の合成>
大気中、大気圧下において、50mlビーカーに、0.1mol/lのドデシル硫酸ナトリウム(SDS:CH(CH11SONa)水溶液(溶媒:蒸留水)10mlを入れ、0.5mol/lの硝酸セリウム(CeNO)水溶液20mlを添加した。添加するとすぐに沈殿が形成されるため、磁気攪拌機(AS ONE製:RS-6DR)を用いて良く撹拌して沈殿物を溶解させた。
【実施例2】
【0035】
次いで、遠心分離機(Kubota製:2410)を用いて溶解した沈殿物を再度沈降させて分離した。沈殿物を、蒸留水、エタノールでよく洗浄し、真空乾燥機(AS ONE製:AVO-200NS)を用いて室温で24時間真空乾燥した。
【実施例2】
【0036】
図1に、得られた結果物のXRDパターンを示す。CeO2-y/DSアニオン層状化合物(実施例1)の場合と同様に、低角側に層状化合物の(00l)反射に対応する鋭いピークが存在し、Ce(OH)層に対応するピークはほとんど観察されなかった。この(00l)ピークから計算した結果物の層間距離は3.74nmであり、CeO2-y/DS層状化合物(実施例1)の3.3nmよりも層間距離が若干長いことが分かる。実施例1と同様、Ce(OH)/ドデシル硫酸(DS)アニオンの相互に積層してなる層状化合物が得られた。
【実施例2】
【0037】
図3は、得られたCe(OH)/DS層状化合物の、励起スペクトル及び発光スペクトルを示している。当該層状化合物は320nmに発光のピーク波長を有し、290nmの励起波長で90%程度の発光量子収率を示すことが分かる。
【実施例2】
【0038】
以上から明らかなように、本願発明の合成方法によって層状セリウム化合物蛍光体を合成すると、320~380nmの範囲に発光のピーク波長を有し、60%~90%という極めて高い量子収率を有する層状化合物蛍光体を合成することができる。これは、Ce3+の5d軌道電子のd→f遷移によるものである。通常、セリウム表面に酸素や水酸基が存在する場合には、セリウムの励起電子は熱緩和されるが、ドデシル硫酸アニオンがセリウム表面に吸着することにより、セリウムの励起電子が発光緩和過程を辿り、量子収率が増加すると考えられる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5