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明細書 :シリコーンゴム組成物およびその製造方法ならびにシリコーンゴム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-173879 (P2013-173879A)
公開日 平成25年9月5日(2013.9.5)
発明の名称または考案の名称 シリコーンゴム組成物およびその製造方法ならびにシリコーンゴム
国際特許分類 C08L  83/06        (2006.01)
C08K   5/5415      (2006.01)
C08K   5/057       (2006.01)
C08K   5/101       (2006.01)
C08G  77/08        (2006.01)
C08G  77/44        (2006.01)
FI C08L 83/06
C08K 5/5415
C08K 5/057
C08K 5/101
C08G 77/08
C08G 77/44
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 23
出願番号 特願2012-040323 (P2012-040323)
出願日 平成24年2月27日(2012.2.27)
発明者または考案者 【氏名】村上 泰
【氏名】小林 正美
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100110973、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 洋
審査請求 未請求
テーマコード 4J002
4J246
Fターム 4J002CP06W
4J002CP06X
4J002DE109
4J002DE149
4J002DE189
4J002DE239
4J002DF019
4J002DG049
4J002DJ009
4J002DJ019
4J002DJ039
4J002DJ049
4J002DL009
4J002EC077
4J002EH038
4J002EH048
4J002EH078
4J002EH098
4J002EH108
4J002EX036
4J002EX066
4J002EX076
4J002FD019
4J002FD146
4J002FD157
4J002FD158
4J002GH01
4J002GJ01
4J002GJ02
4J246AA03
4J246AB15
4J246BA04X
4J246BA040
4J246BB02X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB022
4J246CA12E
4J246CA12X
4J246CA120
4J246CA24X
4J246CA240
4J246FA131
4J246FA341
4J246FA451
4J246FA471
4J246FB181
4J246FC181
4J246FD09
4J246GA01
4J246GB12
4J246GC01
4J246HA22
4J246HA28
4J246HA32
要約 【課題】
シリコーンゴムの主鎖のクラッキングの低減、黄変の低減、ライフサイクルの長期化および加硫時の発砲の低減を図ることを前提に、ゴム形成の作業性を向上させ、伸張性に優れるシリコーンゴムを形成可能なシリコーンゴム組成物およびそれを硬化させたシリコーンゴムを得る。
【解決手段】
本発明は、重量平均分子量(Mw)の異なる2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンと、アルコキシシランと、アルミニウムアルコキシドから成る硬化性触媒あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルの混合物から成る硬化性触媒と、を少なくとも含むシリコーンゴム組成物およびその製造方法ならびにシリコーンゴムに関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
重量平均分子量(Mw)の異なる2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンと、
アルコキシシランと、
アルミニウムアルコキシドから成る硬化性触媒あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルの混合物から成る硬化性触媒と、
を少なくとも含むシリコーンゴム組成物。
【請求項2】
前記2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンは、それらの重量平均分子量の比が8以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシ酸エステルを、リンゴ酸エステルとする請求項1または請求項2に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項4】
前記アルコキシシランを、メチルトリメトキシシランまたはフェニルトリメトキシシランとする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項5】
前記末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンを、両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサンとする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項6】
フィラーをさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項7】
重量平均分子量(Mw)の異なる2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンと、アルコキシシランと、アルミニウムアルコキシドから成る硬化性触媒あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルの混合物から成る硬化性触媒とを少なくとも混合する混合工程と、
上記混合工程により得られる混合物を加温して上記ポリオルガノシロキサンの高分子化を行う高分子化工程と、
上記高分子化工程後に減圧する減圧工程と、
を含むシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項8】
前記混合工程は、
前記2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンの内の一方の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンと前記アルコキシシランと前記硬化性触媒とを混合する第一混合工程と、
当該第一混合工程を経た混合物に、前記2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンの内、上記一方の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサン以外の他の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンを少なくとも混合する第二混合工程と、
に分け、
前記高分子化工程中に、上記第二混合工程を行うことを特徴とする請求項7に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項9】
前記2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンは、それらの重量平均分子量の比が8以上であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項10】
前記ヒドロキシ酸エステルを、リンゴ酸エステルとする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項11】
前記アルコキシシランを、メチルトリメトキシシランまたはフェニルトリメトキシシランとする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項12】
前記末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンを、両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサンとする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物を硬化して成るシリコーンゴム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンゴム組成物およびその製造方法ならびにシリコーンゴム組成物を硬化して成るシリコーンゴムに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱により加硫化させて成るシリコーンゴムは、以下の2種類に大別される。一つは、有機過酸化物を加硫化剤とし、ラジカル反応によって硬化させるものである(例えば、特許文献1を参照)。もう一つは、白金化合物を触媒とし、その付加反応で硬化させるものである(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-161930号公報
【特許文献2】特開2006-182911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、有機過酸化物を加硫化剤として硬化したシリコーンゴムは、有機過酸化物の分解により生成物が発生し、この生成物がシリコーンゴムの主鎖のクラッキングを生じさせることがある。また、熱加硫時の着色によって黄変するという問題もある。また、白金化合物を触媒として硬化させる場合には、ビニル基含有シリコーン生ゴムを、架橋剤としてハイドロジェンオルガノシロキサンを用いて付加反応させ、シリコーンゴムを形成させている。しかし、ライフサイクルが短く、長期保存が出来ないという問題がある。また、加硫時に発泡するという問題もある。一方、両タイプに共通して、二液タイプであるために作業性に劣るという問題と、ゴムとしての伸張度が小さいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、シリコーンゴムの主鎖のクラッキングの低減、黄変の低減、ライフサイクルの長期化および加硫時の発砲の低減を図ることを前提に、ゴム形成の作業性を向上させ、伸張性に優れるシリコーンゴムを形成可能なシリコーンゴム組成物およびそれを硬化させたシリコーンゴムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明者らは、従来から触媒として常用されている有機過酸化物系あるいは白金系の触媒を使用せず、新規な硬化性触媒を使用し、さらに一液タイプのシリコーンゴム組成物の形態を採用した。また、伸張性を向上させるために、シリコーンゴム組成物の主成分となるポリオルガノシロキサンとして、重量平均分子量(Mw)の異なる2種類のポリオルガノシロキサンを用いた。具体的には以下の通りである。
【0007】
本発明の一形態に係るシリコーンゴム組成物は、重量平均分子量(Mw)の異なる2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンと、アルコキシシランと、アルミニウムアルコキシドから成る硬化性触媒あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルの混合物から成る硬化性触媒と、を少なくとも含む。
【0008】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物は、さらに、2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンがそれらの重量平均分子量の比が8以上である。
【0009】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物は、さらに、ヒドロキシ酸エステルをリンゴ酸エステルとする。
【0010】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物は、さらに、アルコキシシランをメチルトリメトキシシランまたはフェニルトリメトキシシランとする。
【0011】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物は、さらに、末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンを両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサンとする。
【0012】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物は、さらに、フィラーを含む。
【0013】
本発明の一形態に係るシリコーンゴム組成物の製造方法は、重量平均分子量(Mw)の異なる2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンと、アルコキシシランと、アルミニウムアルコキシドから成る硬化性触媒あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルの混合物から成る硬化性触媒とを少なくとも混合する混合工程と、混合工程により得られる混合物を加温してポリオルガノシロキサンの高分子化を行う高分子化工程と、高分子化工程後に減圧する減圧工程と、を含む。
【0014】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物の製造方法は、さらに、混合工程を、2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンの内の一方の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンとアルコキシシランと硬化性触媒とを混合する第一混合工程と、第一混合工程を経た混合物に2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンの内、一方の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサン以外の他の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンを少なくとも混合する第二混合工程と、に分け、高分子化工程中に第二混合工程を行う。
【0015】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物の製造方法では、さらに、2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンを、それらの重量平均分子量の比が8以上とする。
【0016】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物の製造方法では、さらに、ヒドロキシ酸エステルをリンゴ酸エステルとする。
【0017】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物の製造方法では、さらに、アルコキシシランをメチルトリメトキシシランまたはフェニルトリメトキシシランとする。
【0018】
本発明の別の形態に係るシリコーンゴム組成物の製造方法では、さらに、末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンを両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサンとする。
【0019】
本発明の一形態に係るシリコーンゴムは、上記いずれかのシリコーンゴム組成物を硬化して成る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シリコーンゴムの主鎖のクラッキングの低減、黄変の低減、ライフサイクルの長期化および加硫時の発砲の低減を図ることを前提に、ゴム形成の作業性を向上させ、伸張性に優れるシリコーンゴムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るシリコーンゴム組成物の例示的な同時混合方式による製造方法のフローを示す。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係るシリコーンゴム組成物の例示的な二段階混合方式による製造方法のフローを示す。
【図3】図3は、実施例1~9にて作製したシリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図4】図4は、実施例1~9にて作製したシリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図5】図5は、実施例10~12にて作製したシリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図6】図6は、実施例10~12にて作製したシリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図7】図7は、実施例13にて作製したシリコーンゴム(調整方法A)、実施例1にて作製したシリコーンゴム(調整方法B)およびPDMS(Mw=3000)を2molとし、PDMS(Mw=26000)を加えずに、1molのMTMSと、0.1molの触媒Aとを同時混合し、その他の条件を実施例1と同一として作製したシリコーンゴム(調整方法C)の破断点伸度を示す。
【図8】図8は、図7に示す3種のシリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図9】図9は、実施例13にて作製したシリコーンゴム(二段階調整)のゲル分率を、実施例1(同時調整)のそれと比較して示す。
【図10】図10は、実施例13にて作製したシリコーンゴム(二段階調整)の耐熱水性を、実施例1(同時調整)のそれと比較して示す。
【図11】図11は、実施例16~21にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図12】図12は、実施例16~21にて作製した各シリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図13】図13は、実施例22~25にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図14】図14は、実施例22~25にて作製した各シリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図15】図15は、実験3の実施例13および実験7の実施例26~28にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図16】図16は、実験3の実施例13および実験7の実施例26~28にて作製した各シリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図17】図17は、実施例13および実施例26~28にて作製した各シリコーンゴムのゲル分率を比較して示す。
【図18】図18は、実施例29~32にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図19】図19は、実施例29~32にて作製した各シリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図20】図20は、実験8の実施例32および実験9の実施例33~35にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図21】図21は、実験8の実施例32および実験9の実施例33~35にて作製した各シリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図22】図22は、実施例36~38にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図23】図23は、実施例36~38にて作製した各シリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図24】図24は、実験10の実施例37および実験11の実施例39,40にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度を示す。
【図25】図25は、実験10の実施例37および実験11の実施例39,40にて作製した各シリコーンゴムの破断点強度を示す。
【図26】図26は、実施例36および実施例37にて作製したシリコーンゴムの可視光透過率を、液晶ガラスおよび市販のシリコーンゴム(市販品)と比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係るシリコーンゴム組成物、その製造方法およびシリコーンゴムの各実施の形態について説明する。

【0023】
「1.シリコーンゴム組成物」
この実施の形態に係るシリコーンゴム組成物は、
(A)重量平均分子量(Mw)の異なる2種類の末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンと、
(B)アルコキシシランと、
(C)アルミニウムアルコキシドから成る硬化性触媒あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルの混合物から成る硬化性触媒と、
を少なくとも含む。

【0024】
また、この実施の形態に係るシリコーンゴム組成物は、好ましくは、(D)フィラーを含む。

【0025】
(A)末端シラノール変性ポリオルガノシロキサン
この実施の形態で好適に使用される両末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンは、次の一般式(1)で表わされる。ただし、両末端をシラノール変性するのみならず、一末端のみをシラノール変性したポリオルガノシロキサンでも良い。式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基または炭素数6~10のアリール若しくはアリール置換炭化水素基である。上記炭素数1~20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの各官能基を好適な例としてあげることができる。また、炭素数4~10のシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの各官能基を好適な例としてあげることができる。さらに、炭素数6~10のアリール基若しくはアリール置換炭化水素基としては、フェニル、トルイル、キシリル、エチルフェニル、ベンジル、フェネチルなどの各官能基を好適な例としてあげることができる。特に好ましい末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンは、両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサンである。

【0026】
【化1】
JP2013173879A_000003t.gif

【0027】
末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンの23℃における粘度は、10~100,000mPa・s、好ましくは20~50,000mPa・s、さらに好ましくは30~10,000mPa・sである。また、末端シラノール変性ポリオルガノシロキサンは、好ましくは、両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサンである。

【0028】
末端シラノール変性ポリオルガノシロキサン(以後、単に、「ポリオルガノシロキサン」と称する)は、重量平均分子量(Mw)の異なる2種類を混合して用いられる。Mwは、好ましくは300~1000000の範囲の2種類を選択するのが好ましい。さらに、2種類のMw(Mw1およびMw2とする)の比は、硬化体の破断点伸度を大きくするため、少なくともMw2/Mw1=6以上、さらには8以上、さらには8~26の範囲とするのが好ましい。

【0029】
具体的なMwの数値を挙げると、Mw1=1000のポリオルガノシロキサンを用いる場合には、これに混合して用いるもう一方のポリオルガノシロキサンとして、Mw2=6000以上、さらにはMw2=8000以上のポリオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。また、Mw1=3000のポリオルガノシロキサンを用いる場合には、これに混合して用いるもう一方のポリオルガノシロキサンとして、Mw2=18000以上、さらにはMw2=24000以上のポリオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。破断点伸度と破断点強度とを共に大きくするためには、Mw1=2000~4000、Mw2=16000~32000の2種類のポリオルガノシロキサンを混合して用いるのが好ましい。

【0030】
(B)アルコキシシラン
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類等を例示できる。

【0031】
上記例示のアルコキシシランの中で、硬化した際の破断点伸度を大きくするには、テトラアルコキシシラン類およびトリアルコキシシラン類が好ましく、さらにはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3-アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましく、特にテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランおよび3-アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましい。また、硬化した際の破断点強度を大きくするには、トリアルコキシシラン類が好ましく、さらにはメチルトリメトキシシランおよびフェニルトリメトキシシランがより好ましい。

【0032】
アルコキシシランの添加量は、好ましくはポリオルガノシロキサン1モルに対して0.6~1.5モルの範囲、さらに好ましくは0.8~1.2モルの範囲、特に好ましくは1.0モルとする。

【0033】
(C)硬化性触媒
硬化性触媒には、アルミニウムアルコキシドのみ、あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルとの混合物を用いるのが好ましい。アルミニウムアルコキシドとしては、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム-sec-ブトキシド、アルミニウムエトキシドを好適に例示できる。

【0034】
ヒドロキシ酸エステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、吉草酸エチル、カプロン酸エチル、クロル酢酸エチル、ジクロル酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチルなどの脂肪族モノカルボン酸エステル;シュウ酸ジエチル、マロン酸ジブチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、酒石酸ジエチル、クエン酸トリエチル、乳酸エチル、クロロコハク酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチルなどの脂肪族ポリカルボン酸ポリエステル;シクロヘキサンカルボン酸エチルなどの脂環式カルボン酸エステル;安息香酸エチル、安息香酸ベンジン、トルイル酸メチル、アニス酸メチル、フタル酸ジメチルなどの芳香族カルボン酸エステル;γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリドなどのラクトン類;ベンゼンスルホン酸メチルなどのスルホン酸エステル;硫酸ジメチル、硝酸エチル、リン酸トリエチル、炭酸ジエチルなどの無機酸エステルを好適に例示できる。

【0035】
シリコーンゴム組成物を硬化した際の破断点伸度を大きくするには、アルミニウムアルコキシドのみ、あるいはアルミニウムアルコキシドとリンゴ酸ジエチルとの混合物を添加するのがより好ましい。また、破断点強度を大きくするには、アルミニウムアルコキシドのみと比べ、アルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルとの混合物を添加する方が好ましい。

【0036】
硬化性触媒は、ポリオルガノシロキサン1モルに対して0.2モル未満を添加するのが好ましく、特に0.1モル未満を添加するのが好ましく、さらには0.05~0.1モルの範囲で添加するのがより好ましい。

【0037】
(D)フィラー
この実施の形態に係るシリコーンゴム組成物は、無機若しくは有機のフィラーを含み得る。無機フィラーとしては、シリカ(二酸化珪素)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等を例示できる。また、有機フィラーとしては、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子等を例示できる。その中でも、シリコーンゴムの透明性を担保する上で、より微細な粒子状のフィラーを得やすいシリカが好ましい。

【0038】
フィラーの量は、シリコーンゴム組成物を硬化したときの破断点伸度を大きくする点では、フィラーも含めたシリコーンゴム組成物全質量に対して3質量%以上であるのが好ましい。以後、フィラーの質量%の意味は同じ意味である。また、フィラーの量は、破断点強度を大きくする上では3~10質量%、特に3~8質量%であるのが好ましい。

【0039】
フィラーの形状は、板状、粒子状、繊維状などの如何なる形状でも良い。フィラーの大きさは、シリコーンゴム組成物を硬化したときの破断点伸度と破断点強度を大きくするには、球形換算にて直径5nm以上であるのが好ましく、特に50nm以上であるのが好ましい。

【0040】
「2.シリコーンゴム組成物の製造方法」
図1に、この実施の形態に係るシリコーンゴム組成物の例示的な同時混合方式による製造方法のフローを示す。

【0041】
まず、Mwの異なる2種類のポリオルガノシロキサンMw1,Mw2と、アルコキシシランと、硬化性触媒とを混合する(ステップ1: 混合工程)。ステップ1において、フィラーを混合することもできる。また、硬化性触媒は、トルエン等の有機溶媒にて硬化性触媒と有機溶媒との総量に対して0.5~20質量%に希釈して混合するのが好ましい。有機溶媒は、室温にて容易に揮発しないものの方が好ましい。次に、40~80℃に加温するとともに攪拌してポリオルガノシロキサンの高分子化を行う(ステップ2: 高分子化工程)。次に、室温(25℃前後)にて減圧する(ステップ3: 減圧工程)。これらの処理を経て、シリコーンゴム組成物が完成する。ステップ2の高分子化工程では、如何なる攪拌手段を用いて攪拌しても良く、例えば超音波洗浄器を使った超音波分散、攪拌羽根や攪拌子を使った攪拌によって行っても良い。攪拌する速度は、内容物に応じて適宜変更でき、例えば、300~800rpm、より好ましくは400~500rpmに設定するのが好ましい。また、高分子化工程における温度は、特に、50~70℃の範囲とするのが好ましい。これは、ポリオルガノシロキサンの高分子化を促進しつつ、高分子化を終了させない程度に半硬化状態(ゲル状)とするためである。高分子化工程にて加温する時間は、温度に応じて適宜変化させることができ、例えば、50~70℃で加温する場合には、24~120時間の範囲とするのが好ましい。ステップ3の減圧工程では、好ましくは、室温(25℃前後)にて、真空デシケータ装置を用いて減圧化させてシリコーンゴム組成物中の溶媒を揮発させていき、完全に乾固させずに、ゼリー状に濃縮させるようにする。

【0042】
図2に、この実施の形態に係るシリコーンゴム組成物の例示的な二段階混合方式による製造方法のフローを示す。

【0043】
まず、Mwの異なる2種類のポリオルガノシロキサンの内の一方のポリオルガノシロキサン(Mw1)と、アルコキシシランと、硬化性触媒とを混合する(ステップ11: 第一混合工程)。次に、40~80℃に加温するとともに攪拌して、ポリオルガノシロキサンの高分子化を行う(ステップ12: 高分子化工程)。加温および攪拌中に、ステップ11で混合したポリオルガノシロキサンとは異なるポリオルガノシロキサン(Mw2)と、硬化性触媒とを、攪拌中の混合物中に加える(ステップ13: 第二混合工程)。第二混合工程にて、フィラーを混合しても良い。第二混合工程は、ステップ12の高分子化工程の序盤で行うのが好ましく、例えば、高分子化工程の総時間が70~80時間の場合、この工程を開始後0.5~8時間の範囲で行うのが好ましく、さらには1~5時間の範囲で行うのが好ましい。なお、フィラーを第一混合工程にて混合し、あるいは第一混合工程と第二混合工程の両工程で混合しても良い。また、アルコキシシランは、第一混合工程のみならず、第二混合工程でも加えることができる。第二混合工程にて混合するポリオルガノシロキサンMw2は、第一混合工程にて混合するポリオルガノシロキサンMw1よりも重量平均分子量が大きくても、あるいは小さくても良い。次に、室温(25℃前後)にて減圧する(ステップ14: 減圧工程)。これらの処理を経て、シリコーンゴム組成物が完成する。ステップ12の高分子化工程およびステップ14の減圧工程は、それぞれ、図1に示すステップ2およびステップ3と同様に行うことができる。

【0044】
「3.シリコーンゴム」
シリコーンゴムは、シリコーンゴム組成物を加熱して得られる。加熱温度は、100~180℃、好ましくは110~170℃、より好ましくは140~160℃である。加熱は、室温から上記範囲の温度まで段階的に昇温して行うほうが好ましい。
【実施例】
【0045】
次に、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0046】
1.シリコーンゴム組成物の構成材料
1.1 ポリオルガノシロキサン
ポリオルガノシロキサンとして、Mw=1000(信越化学工業株式会社製)、Mw=3000(信越化学工業株式会社製)、Mw=4200(Alfa Aesar株式会社製)、Mw=18000(Gelest株式会社製)、Mw=26000(Gelest株式会社製)、Mw=49000(Gelest株式会社製)の6種類の両末端シラノール変性ポリジメチルシロキサン(以後、「PDMS」という)を用いた。
【実施例】
【0047】
1.2 アルコキシシラン
アルコキシシランとしては、東京化成工業株式会社製のメチルトリメトキシシラン(MTMS)、東京化成工業株式会社製のテトラメトキシシラン(TMOS)、東京化成工業株式会社製のフェニルトリメトキシシラン(PhTMS)、信越化学工業株式会社製の3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(品名: KBM403)および信越化学工業株式会社製の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(品名: KBM903)の5種類のアルコキシシランを用いた。
【実施例】
【0048】
1.3 硬化性触媒
硬化性触媒(以後、単に「触媒」という)としては、5種類の金属アルコキシドと、4種類のヒドロキシ酸エステルとを用いた。金属アルコキシドには、和光純薬工業株式会社製のアルミニウム-s-ブトキシド(ALsB)、東京化成工業株式会社製のアルミニウムイソプロポキシド(ALiP)、東京化成工業株式会社製のアルミニウムエトキシド(ALE)、関東化学工業株式会社製のチタニウムテトラエトキシド(TTE)およびGelest株式会社製のジラウリル酸ジブチル錫(DBTDL)を用いた。ヒドロキシ酸エステルには、東京化成工業株式会社製のリンゴ酸ジエチル(MAdE)、東京化成工業株式会社製の酒石酸ジエチル(TAdE)、和光純薬工業株式会社製のクエン酸トリエチル(CAtE)および東京化成工業株式会社製の乳酸エチル(LAe)を用いた。
【実施例】
【0049】
1.4 フィラー
フィラーには、日本アエロジル株式会社製のフュームドシリカを用いた。
【実施例】
【0050】
1.5 溶媒
溶媒には、トルエンを用いた。
【実施例】
【0051】
2.評価方法
2.1 機械的特性
シリコーンゴム組成物を硬化した後、その硬化したシリコーンゴムからダンベル状6号の形態(長さ方向略中央部分の幅4.0mm、全長20mm、厚さ1.5mm)に切り出して、試験片とした。株式会社エー・アンド・ディ製の引張強度試験装置(型番: RTC1250A)を用いて、試験片の両端を保持し、引張速度500mm/minにて試験片の長さ方向両側に引っ張り、試験片が破断した時点の試験片の伸びと応力を計測した。破断点伸び(単位: %)は、破断時の試験片の長さ(単位: mm)から元の試験片の長さ(単位: mm、試験装置で把持している距離は除く)を差し引いた値を、元の試験片の長さ(単位: mm、試験装置で把持している距離は除く)で除して百分率で示した。破断点強度(単位: MPa)は、破断時の試験力(単位: N)を試験片の破断断面積(幅×厚さ、単位: mm)で除して示した。
【実施例】
【0052】
2.2 試験片のゲル分率
機械的特性評価用の試験片をトルエン中に48時間浸漬前後の重量比を百分率で示した。トルエンへの浸漬後の重量が小さいほど、ゲル分率(単位: %)が低いことを意味する。
【実施例】
【0053】
2.3 耐熱水性
機械的特性評価用の試験片を120℃の温水に120時間浸漬し、浸漬前後の重量比を百分率で示した。温水への浸漬後の重量が小さいほど、耐熱水性が低いことを意味する。
【実施例】
【0054】
2.4 可視光透過率(透明性)
株式会社日立製作所製の分光光度計(型番: U4100)を用いて、波長780~380nmの可視光を試験片に照射し、透過後の光量の差分から透過率(単位: %)を求めた。
【実施例】
【0055】
2.5 シリコーンゴムの組成評価
島津製作所株式会社製のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(型番: EDX-800)を用いて、試験片を構成する主要成分を分析した。
【実施例】
【0056】
3.触媒の調整
1molのALsBと1molのMAdEとを、窒素雰囲気下にて、温度と攪拌数を一定に保つことができる有機合成装置(柴田科学株式会社製、型番: CP-160)内で、温度25℃、回転数550rpmにて、72時間攪拌混合し、その後トルエンにて2wt%(ALsB+MAdE=2wt%、トルエン=98wt%)に希釈した。これを触媒Aとする。同様の手順にて、1molのALsBと1molのTAdEとを混合してトルエンで希釈した。これを触媒Bとする。同様の手順にて、1molのALsBと1molのCAtEとを混合してトルエンで希釈した。これを触媒Cとする。同様の手順にて、1molのALsBと1molのLAeとを混合してトルエンで希釈した。これを触媒Dとする。1molのALsBのみを、窒素雰囲気下、温度25℃で、トルエンにて2wt%(ALsB=2wt%、トルエン=98wt%)に希釈した。これを触媒Eとする。1molのALiPと1molのMAdEとを、触媒Aと同様の手順にて混合してトルエンで希釈した。これを触媒Fとする。同様の手順にて、1molのALEと1molのMAdEとを混合してトルエンで希釈した。これを触媒Gとする。同様の手順にて、1molのTTEと1molのMAdEとを混合してトルエンで希釈した。これを触媒Hとする。触媒Eと同様の手順にて、1molのDBTDLのみをトルエンにて2wt%(DBTDL=2wt%、トルエン=98wt%)に希釈した。これを触媒Iとする。
【実施例】
【0057】
4.実験1(Mwの異なる2種類のPDMSの同時混合/触媒種の検討)
4.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例1~9>
グローブボックス(アズワン株式会社製、型番: Galaxy)内に窒素をフロー状態とした雰囲気にて、1molのPDMS(Mw=3000)と、1molのPDMS(Mw=26000)と、1molのMTMSと、0.1molの触媒Aと、フィラーも含めたシリコーンゴム組成物の全質量に対して3wt%の平均粒子径50nmのフィラー(品名: NAX50)とを容器に入れ、前述の有機合成装置にて60℃にて72時間の混合を行った。なお、フィラーの含有率(wt%)の意味は、以後の実施例でも同じ意味である。次に、混合を停止し、真空デシケータ装置を用いて、室温(25℃前後)にて減圧し、シリコーンゴム組成物中の溶媒を除去した。この一連の作業により、シリコーンゴム組成物ができあがった。次に、シリコーンゴム組成物を薄型の容器に移し、ドライオーブン(アズワン株式会社製、型番: DOV-300)を用いて、60℃で12時間保持し、続いて120℃で6時間保持し、続いて150℃で6時間保持し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例1)。
【実施例】
【0058】
触媒Aを触媒Bに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例2)。触媒Aを触媒Cに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例3)。触媒Aを触媒Dに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例4)。触媒Aを触媒Eに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例5)。触媒Aを触媒Fに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例6)。触媒Aを触媒Gに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例7)。触媒Aを触媒Hに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例8)。触媒Aを触媒Iに変更する以外、実施例1と同様の手順にてシート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例9)。
【実施例】
【0059】
4.2 評価
触媒A~Gを用いた実施例1~7にて作製したシリコーンゴム組成物は、150℃にて十分に硬化し、その後の評価が可能なものであった。一方、触媒H,Iを用いた実施例8,9にて作製したシリコーンゴム組成物は、150℃では十分に硬化せず、200℃まで昇温して6時間保持した後でも十分に硬化せず、その後の評価が不可能であった。この結果から、触媒として、アルミニウムアルコキシド、あるいはアルミニウムアルコキシドとヒドロキシ酸エステルとの混合物が優れていると考えられる。
【実施例】
【0060】
図3および図4に、実施例1~9にて作製したシリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。ただし、実施例8,9は、評価できなかったため、各グラフ上、ゼロ値にプロットした。
【実施例】
【0061】
実施例1~7のシリコーンゴムは、400%以上の大きな破断点伸度を有しており、その中でも、実施例1(触媒A使用)、実施例5(触媒E使用)、実施例6(触媒F使用)および実施例7(触媒G使用)の破断点伸度は700%を超える極めて大きな値であった。破断点伸度の面では、アルミニウムアルコキシド単体の触媒、あるいはアルミニウムアルコキシドとMAdEとを混合して得た触媒を用いた方が有利であることがわかった。また、実施例5(触媒E使用)のシリコーンゴムは、他に比べて低い破断点強度(約0.1MPa)を示し、それ以外のシリコーンゴムの破断点強度は、0.25~0.6MPaの範囲であった。このことから、破断点伸度と破断点強度とを共に大きくするには、アルミニウムアルコキシド単体の触媒ではなく、アルミニウムアルコキシドとMAdEとを混合して得た触媒を用いた方が有利であることがわかった。
【実施例】
【0062】
5.実験2(Mwの異なる2種類のPDMSの同時混合/触媒量の検討)
5.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例10~12>
触媒A(ALsB+MAdE)を用いて、その添加量を0.05、0.1および0.2molの三水準に変化させ、それ以外を実施例1と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、それを硬化した(触媒A=0.05mol: 実施例10、触媒A=0.1mol: 実施例11(実施例1と同じ)、触媒A=0.2mol: 実施例12)。
【実施例】
【0063】
5.2 評価
図5および図6に、実施例10~12にて作製したシリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0064】
いずれの触媒量であっても600%以上の破断点伸度を有するシリコーンゴムが得られ、特に、触媒Aが0.05および0.1molのときにシリコーンゴムの破断点伸度が大きくなった。しかし、破断点強度は、触媒Aの添加量にかかわらず大きな差異を示さなかった。
【実施例】
【0065】
6.実験3(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合の検討)
6.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例13>
グローブボックス(アズワン株式会社製、型番: Galaxy)内に窒素をフロー状態とした雰囲気にて、1molのPDMS(Mw=3000)と、1molのMTMSと、0.1molの触媒Aとを容器に入れ、前述の有機合成装置を用いて、60℃にて3時間の混合を行った(一段階目)。次に、当該容器内に、1molのPDMS(Mw=26000)と、0.1molの触媒Aと、3wt%の平均粒子径50nmのフィラー(品名: NAX50)とを追加し、60℃にて72時間の混合を行った(二段階目)。次に、混合を停止し、実験1と同一条件の減圧を行い、シリコーンゴム組成物を作製した。その後の硬化条件を実験1と同一条件として、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例13)。
【実施例】
【0066】
6.2 評価
図7および図8に、実施例13にて作製したシリコーンゴム(調整方法A)の破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。比較として、同時混合方式の実施例1にて作製したシリコーンゴム(調整方法B)の値も示す。加えて、PDMS(Mw=3000)を2molとし、PDMS(Mw=26000)を加えずに、1molのMTMSと、0.1molの触媒Aとを同時混合し、その他の条件を実施例1と同一として作製したシリコーンゴム(調整方法C)を、実施例13および実施例1との比較に供した(比較例1)。
【実施例】
【0067】
図7および図8に示すように、二段階でMwが異なる2種類のPDMSを混ぜた実施例13は、シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度の両方とも極めて大きくなることがわかった。Mwが異なる2種類のPDMSを同時に混合した実施例1は、上記実施例13に比べて破断点伸度および破断点強度が共に低かったが、一種類のMwのPDMSから作製した比較例1に比べると、破断点伸度が格段に高かった。
【実施例】
【0068】
図9および図10に、実施例13にて作製したシリコーンゴム(二段階調整)のゲル分率および耐熱水性を、実施例1(同時調整)のそれらと比較して、それぞれ示す。
【実施例】
【0069】
図9に示すように、二段階混合方式で作製したシリコーンゴムは、同時混合方式で作製したものに比べてトルエン中での重量残量が大きかった。一方、耐熱水性では、図10に示すように、二段階方式で作製したシリコーンゴムと同時混合方式で作製したシリコーンゴムとの間に、有意な差は認められなかった。
【実施例】
【0070】
7.実験4(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/市販品との比較)
7.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例14,15>
フィラーを加えない点以外、実験3と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例14)。また、一段階目に混合するPDMSをMw=1000のものに変更する以外、実施例14と同一条件として、シリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例15)。
【実施例】
【0071】
7.2 評価
表1に、実施例14および実施例15にて作製したシリコーンゴムの蛍光X線分析結果と破断点伸度とを示す。比較として、市販のシリコーンゴム(富田マテックス(株)製、品番:TSCE4000)も同評価に供した。
【実施例】
【0072】
【表1】
JP2013173879A_000004t.gif
【実施例】
【0073】
表1に示すように、実施例14,15のいずれの条件で作製したシリコーンゴムでも、市販品より大きな破断点伸度を有していた。また、Mw=1000および26000の両種PDMSを混合して作製したシリコーンゴム(実施例15)は、Mw=3000および26000の両種PDMSを混合して作製したシリコーンゴム(実施例14)に比べ、破断点伸度が1.5倍程度大きかった。しかし、蛍光X線分析によるSi、O、Al、CHの組成を比較しても、破断点伸度との関連性は認められなかった。
【実施例】
【0074】
8.実験5(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/Mwの検討)
8.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例16~21>
表2に、一段階目に混合するPDMSのMwと二段階目に混合するPDMSのMwとの組み合わせを示す。
【実施例】
【0075】
【表2】
JP2013173879A_000005t.gif
【実施例】
【0076】
一段階目に混合するPDMSとして1molのPDMS(Mw=1000)を、二段階目に混合するPDMSとして1molのPDMS(Mw=26000)をそれぞれ用いて、それ以外の条件を実験3と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例16: 試料A)。一段階目に混合するPDMSとして1molのPDMS(Mw=3000)を用いた以外を、実施例16と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例17: 試料B)。一段階目に混合するPDMSとして1molのPDMS(Mw=4200)を用いた以外を、実施例16と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例18: 試料C)。一段階目に混合するPDMSと二段階目に混合するPDMSとを実施例17と逆にした以外、実施例16と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例19: 試料D)。一段階目に混合するPDMSとして1molのPDMS(Mw=3000)を用い、二段階目に混合するPDMSとして1molのPDMS(Mw=18000)を用いた以外を、実施例16と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例20: 試料E)。二段階目に混合するPDMSとして1molのPDMS(Mw=49000)を用いた以外を、実施例16と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例21: 試料F)。
【実施例】
【0077】
8.2 評価
図11および図12に、実施例16~21にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0078】
試料A,B,Cを比較すると、一段階目のPDMSのMwが大きくなるにつれ、破断点伸度が小さくなることがわかった。試料Dのように、一段階目のPDMSのMwを二段階目のPDMSのMwより大きくしても、破断点伸度が大きくなることがわかった。このことから、一段階目のPDMSと二段階目のPDMSとの間のMwの差が大きいことは、破断点伸度を大きくすることと深い関連性を有すると考えられる。一段階目のPDMSのMwと二段階目のPDMSのMwの比と破断点伸度とを対比すると、Mwの比が比較的高い試料A(比; 26)、試料B,D(比: 8.7)および試料F(比: 16.3)は、800%以上の高い破断点伸度を有していた。
【実施例】
【0079】
破断点強度については、一段階目のPDMSのMwと二段階目のPDMSのMwとの差に対する相関は認められなかった。破断点伸度と破断点強度を共に大きくする観点では、試料Bまたは試料Fが好ましいと考えられる。
【実施例】
【0080】
9.実験6(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/二段階目のPDMSの量の検討)
9.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例22~25>
二段階目に混合するPDMSを0.5molとし、それ以外の条件を実験3と同一とし、シリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例22)。二段階目に混合するPDMSを0.75molとし、それ以外の条件を実験3と同一とし、シリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例23)。二段階目に混合するPDMSを1.0molとし、それ以外の条件を実験3と同一とし、シリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例24)。二段階目に混合するPDMSを1.25molとし、それ以外の条件を実験3と同一とし、シリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例25)。
【実施例】
【0081】
9.2 評価
図13および図14に、実施例22~25にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0082】
図13に示すように、二段階目に混合するPDMSの量が多くなると、破断点伸度が大きくなることがわかった。また、図14に示すように、破断点強度と二段階目に混合するPDMSの量との間には相関は認められなかった。破断点伸度と破断点強度を共に大きくする観点では、実施例24(PDMS=1mol)が好ましいと考えられる。
【実施例】
【0083】
10.実験7(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/アルコキシシランの種類の検討)
10.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例26~28>
MTMSをTMOSに変更した以外を、実験3と同一の条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例26)。MTMSをKBM403に変更した以外を、実験3と同一の条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例27)。MTMSをKBM903に変更した以外を、実験3と同一の条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例28)。
【実施例】
【0084】
10.2 評価
図15および図16に、実験3の実施例13および実験7の実施例26~28にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0085】
図15に示すように、アルコキシシランの種類と破断点伸度との深い相関は認められず、800%以上という大きな破断点伸度を有するシリコーンゴムが得られた。一方、図16に示すように、アルコキシシランの種類と破断点強度との相関は認められ、MTMSを用いた方が大きな破断点強度を有するシリコーンゴムが得られることがわかった。
【実施例】
【0086】
図17に、実施例13および実施例26~28にて作製した各シリコーンゴムのゲル分率を比較して示す。
【実施例】
【0087】
図17に示すように、アルコキシシランとしてMTMSを用いて作製したシリコーンゴムが最も高いゲル分率を有することがわかった。このことから、MTMSを用いると架橋点密度が高くなる一方、TMOS、KBM403あるいはKBM903を用いるとPDMSとの未反応部分が残留している可能性が高いと考えられる。
【実施例】
【0088】
11.実験8(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/フィラーの粒径の検討)
11.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例29~32>
一次粒子径が7nm、12nm、30nmおよび50nmである4種類のフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製)を用いて、フィラーの粒径とシリコーンゴムの特性との関係を調べた。一次粒子径7nmのフュームドシリカを添加した以外、実験3と同一条件にてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例29)。一次粒子径12nmのフュームドシリカを添加した以外、実施例29と同一条件にてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例30)。一次粒子径30nmのフュームドシリカを添加した以外、実施例29と同一条件にてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例31)。一次粒子径50nmのフュームドシリカを添加した以外、実施例29と同一条件にてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例32)。
【実施例】
【0089】
11.2 評価
図18および図19に、実施例29~32にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0090】
図18および図19に示すように、フィラーの粒径が大きくなると、破断点伸度と破断点強度の両方が大きくなる傾向が認められた。
【実施例】
【0091】
12.実験9(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/フィラーの添加量の検討)
12.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例33~35>
一次粒子径が50nmであるフュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製)を用いて、フィラーの添加量(0~8wt%)とシリコーンゴムの特性との関係を調べた。一次粒子径50nmのフュームドシリカを添加しなかった点を除き、実験3と同一条件にてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例33)。一次粒子径50nmのフュームドシリカを5wt%添加した以外、実施例33と同一条件にてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例34)。一次粒子径50nmのフュームドシリカを8wt%添加した以外、実施例33と同一条件にてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例35)。
【実施例】
【0092】
12.2 評価
図20および図21に、実験8の実施例32および実験9の実施例33~35にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0093】
図20に示すように、フィラーを添加しない場合と比べてフィラーを添加した方が、破断点伸度が大きくなった。ただし、破断点伸度は、フィラーの添加量が3wt%以上でほぼ一定となった。一方、図21に示すように、破断点強度は、フィラーの添加量が多くなるにつれて大きくなった。
【実施例】
【0094】
13.実験10(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/フィラー無添加/一段階目のPDMSのMwの検討)
13.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例36~38>
フィラーを添加せず、一段階目に混合するPDMSがMw=1000のものを使用する以外、実験3と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例36)。一段階目に混合するPDMSがMw=3000のものを使用する以外、実施例36と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例37)。一段階目に混合するPDMSがMw=4200のものを使用する以外、実施例36と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例38)。
【実施例】
【0095】
13.2 評価
図22および図23に、実施例36~38にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0096】
図22に示すように、一段階目に混合するPDMSのMwが小さく、二段階目に混合するPDMSのMw(=26000)との差が大きくなるほど、破断点伸度が大きくなる傾向が認められた。一方、図23に示すように、破断点強度は、一段階目に混合するPDMSのMwに依らずほぼ一定となった。
【実施例】
【0097】
14.実験11(Mwの異なる2種類のPDMSの段階的混合/フィラー無添加/アルコキシシランの種類の検討)
14.1 シリコーンゴム組成物およびそれを硬化したシリコーンゴムの各作製条件
<実施例39,40>
一段階目に混合するPDMSをMw=3000のものとした。アルコキシシランとしてMTMSからPhTMSに変更する以外を実施例37と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例39)。アルコキシシランとしてKBM403を使用する以外を実施例39と同一条件としてシリコーンゴム組成物を作製し、シート形状のシリコーンゴムを作製した(実施例40)。
【実施例】
【0098】
14.2 評価
図24および図25に、実験10の実施例37および実験11の実施例39,40にて作製した各シリコーンゴムの破断点伸度および破断点強度をそれぞれ示す。
【実施例】
【0099】
図24に示すように、アルコキシシランとしてPhTMSまたはKBM403を使用して作製したシリコーンゴムは、MTMSを使用したものに比べて大きな破断点伸度を有することがわかった。また、図25に示すように、アルコキシシランとしてPhTMSを使用して作製したシリコーンゴムは、他のアルコキシシランを使用して作製したものに比べて大きな破断点強度を有することがわかった。破断点伸度と破断点強度を共に高めるには、アルコキシシランとしてPhTMSの使用が有利であると考えられる。
【実施例】
【0100】
表3に、実施例36~40にて作製したシリコーンゴムの機械的特性および可視光透過率をまとめて示す。また、図26に、実施例36および実施例37にて作製したシリコーンゴムの可視光透過率を、液晶ガラスおよび前述の市販のシリコーンゴム(市販品)と比較して示す。
【実施例】
【0101】
【表3】
JP2013173879A_000006t.gif
【実施例】
【0102】
表3に示すように、アルコキシシランとしてMTMSを使用した方が可視光透過率の高いシリコーンゴムが得られることがわかった。特に、一段階目に混合するPDMSとしてMw=1000または3000のものを使用した方がMw=4200を使用した場合と比べて高い可視光透過率を有するシリコーンゴムが得られることがわかった。図26からも明らかなように、実施例36および実施例37にて作製したシリコーンゴムは、液晶ガラスと同等の可視光透過率を示すほどに透明性の高いものであり、市販品より可視光透過率が高かった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、シリコーンゴム材料、当該材料を利用した接着剤、シール剤、塗料などに利用可能である。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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