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明細書 :ずれ応力センサおよび分布型ずれ応力センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5408687号 (P5408687)
公開番号 特開2009-222556 (P2009-222556A)
登録日 平成25年11月15日(2013.11.15)
発行日 平成26年2月5日(2014.2.5)
公開日 平成21年10月1日(2009.10.1)
発明の名称または考案の名称 ずれ応力センサおよび分布型ずれ応力センサ
国際特許分類 G01L   1/16        (2006.01)
FI G01L 1/16 B
請求項の数または発明の数 4
全頁数 22
出願番号 特願2008-067405 (P2008-067405)
出願日 平成20年3月17日(2008.3.17)
審査請求日 平成23年1月18日(2011.1.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】藤本 由紀夫
【氏名】タウフィック アリフ セテイアント
【氏名】新宅 英司
【氏名】田中 義和
【氏名】藤岡 貴志
個別代理人の代理人 【識別番号】100091605、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 敬
審査官 【審査官】公文代 康祐
参考文献・文献 特開平06-221937(JP,A)
特開平06-281512(JP,A)
特開2000-136970(JP,A)
特開2002-098601(JP,A)
特開平04-273031(JP,A)
特開2006-226858(JP,A)
特開2006-253416(JP,A)
特開2003-294552(JP,A)
特開2003-262502(JP,A)
特開平09-280970(JP,A)
調査した分野 G01L 1/16
G01L 5/00
G01B 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
圧電材料からなる圧電薄板と、
前記圧電薄板を挟むように設けた上側伝達板及び下側伝達板と、
前記圧電薄板と前記上側伝達板を接着する上接着層と、前記圧電薄板と前記下側伝達板を接着する下接着層と、
前記上接着層と前記下接着層と同じ厚みの滑りシートを備え、
前記圧電薄板の中央を境に圧電薄板の延伸方向に直線上に前記上接着層と前記下接着層が配置され、前記上接着層は前記圧電薄板の上面側に設けた前記上接着層の全てで前記上側伝達板と接着され、前記下接着層は前記圧電薄板の下面側に設けた前記下接着層の全てで前記下側伝達板と接着され、
前記上接着層と前記下接着層は実質的に重畳しないように配置され、
前記滑りシートは前記上接着層と前記下接着層に隣接して配置され、
水平方向のずれ応力によって前記上側伝達板及び前記下側伝達板にそれぞれ逆向きに作用する力を、前記上接着層及び前記下接着層を介して前記圧電薄板に伝え、
前記圧電薄板を収縮又は伸張させて電荷を発生させ、前記ずれ応力の大きさを測定することを特徴とするずれ応力センサ。
【請求項2】
隣接して配置した圧電材料からなる第1圧電薄板及び第2圧電薄板と、
前記第1圧電薄板及び前記第2圧電薄板を挟むように設けた上側伝達板及び下側伝達板と、
前記第1圧電薄板と前記上側伝達板を接着する第1圧電薄板の上接着層と、前記第1圧電薄板と前記下側伝達板を接着する第1圧電薄板の下接着層と、前記第2圧電薄板と前記上側伝達板を接着する第2圧電薄板の上接着層と、前記第2圧電薄板と前記下側伝達板を接着する第2圧電薄板の下接着層と、
前記第1圧電薄板の上接着層と前記第1圧電薄板の下接着層と同じ厚みの第1圧電薄板の滑りシートと、前記第2圧電薄板の上接着層と前記第2圧電薄板の下接着層と同じ厚みの第2圧電薄板の滑りシートを備え、
前記第1圧電薄板の中央を境に第1圧電薄板の延伸方向に直線上に前記第1圧電薄板の上接着層と前記第1圧電薄板の下接着層が配置され、前記第1圧電薄板の上接着層は前記第1圧電薄板の上面側に設けた前記第1圧電薄板の上接着層の全てで前記上側伝達板と接着され、前記第1圧電薄板の下接着層は前記第1圧電薄板の下面側に設けた前記第1圧電薄板の下接着層の全てで前記下側伝達板と接着され、且つ、前記第1圧電薄板の上接着層と前記第1圧電薄板の下接着層は実質的に重畳しないように配置され、
また、前記第2圧電薄板の中央を境に第2圧電薄板の延伸方向に直線上に前記第2圧電薄板の上接着層と前記第2圧電薄板の下接着層が配置され、前記第2圧電薄板の上接着層は前記第2圧電薄板の上面側に設けた前記第2圧電薄板の上接着層の全てで前記上側伝達板と接着され、前記第2圧電薄板の下接着層は前記第2圧電薄板の下面側に設けた前記第2圧電薄板の下接着層の全てで前記下側伝達板と接着され、且つ、前記第2圧電薄板の上接着層と前記第2圧電薄板の下接着層は実質的に重畳しないように配置され、
前記第1圧電薄板の上接着層と前記第2圧電薄板の上接着層が互い違いになるように前記第1圧電薄板あるいは前記第2圧電薄板の延伸方向に対して逆転して配置され、
前記第1圧電薄板の滑りシートは前記第1圧電薄板の上接着層と前記第1圧電薄板の下接着層に隣接して配置され、また前記第2圧電薄板の滑りシートは前記第2圧電薄板の上接着層と前記第2圧電薄板の下接着層に隣接して配置され、
水平方向のずれ応力によって前記上側伝達板及び前記下側伝達板にそれぞれ逆向きに作用する力を、一方の前記第1圧電薄板の上接着層及び前記第1圧電薄板の下接着層を介して前記第1圧電薄板に伝え、他方の前記第2圧電薄板の上接着層及び前記第2圧電薄板の下接着層を介して前記第2圧電薄板に伝え、
前記第1圧電薄板を収縮又は伸張させて電荷を発生させるとともに、前記第2圧電薄板を伸張又は収縮させて前記第1圧電薄板と逆方向の電荷を発生させ、両電荷の出力差から前記ずれ応力の大きさを測定することを特徴とするずれ応力センサ。
【請求項3】
圧電材料からなる圧電薄板と、
前記圧電薄板を挟むように設けた上側伝達板及び下側伝達板と、
前記圧電薄板と前記上側伝達板を接着する上接着層と、前記圧電薄板と前記下側伝達板を接着する下接着層と、
前記上接着層と前記下接着層と同じ厚みの滑りシートから成り、
前記圧電薄板の中央を境に圧電薄板の延伸方向に直線上に前記上接着層と前記下接着層が配置され、前記上接着層は前記圧電薄板の上面側の前記上接着層の全てで前記上側伝達板と接着され、前記下接着層は前記圧電薄板の下面側の前記下接着層の全てで前記下側伝達板と接着され、且つ、前記上接着層と前記下接着層は実質的に重畳しないように配置され、
前記滑りシートは前記上接着層と前記下接着層に隣接して配置され、
水平方向のずれ応力によって前記上側伝達板及び前記下側伝達板にそれぞれ逆向きに作用する力を、前記上接着層及び前記下接着層を介して前記圧電薄板に伝え、前記圧電薄板を収縮又は伸張させて発生した電荷で前記ずれ応力の大きさを測定するずれ応力検出要素を有し、
互いに対向する前記ずれ応力検出要素を少なくとも二組以上備え、
一の互いに対向する前記ずれ応力検出要素を前記圧電薄板の延伸方向をX軸方向に一致させて配置し、各圧電薄板の歪み量に応じた出力の差分からX軸方向の前記ずれ応力の大きさを測定し、
他の互いに対向する前記ずれ応力検出要素を前記圧電薄板の延伸方向をY軸方向に一致させて配置し、各圧電薄板の歪み量に応じた出力の差分からY軸方向の前記ずれ応力の大きさを測定することを特徴とするずれ応力センサ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載したずれ応力センサを複数個同一平面上に一次元状あるいは二次元状に並べて配置し、それぞれの前記ずれ応力センサから個別に電荷を取り出し、ずれ応力の大きさの分布を測定することを特徴とする分布型ずれ応力センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ずれ応力(摩擦力)を測定するずれ応力センサ及び分布型ずれ応力センサに関する。特に、薄いシート状で、曲面部にも設置可能な1軸又は2軸のずれ応力センサと、このずれ応力センサを複数配置して構成した分布型ずれ応力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
指先などの摩擦力や身体部位とベッドの間の摩擦力、各種力学量の計測用、ロボット用等、ずれ応力を測定するための薄型のずれ応力センサが求められており、これらのずれ応力を検出するものとして、従来から使用されてきた歪みゲージに代わり、歪みゲージを用いたセンサよりも非常に薄い圧電フィルムを応用したセンサの開発が期待されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、圧電フィルムを用い、剪断方向の変動荷重や圧縮方向の変動荷重を検知するセンサについて開示されている。圧電フィルムの表面上に離間して配設された一対の同一形状の表電極と、圧電フィルムの裏面上に表電極と同一形状で投影面が重なる一対の裏電極を配置し、表電極及び圧電フィルムの表面を表歪増幅部材で覆うとともに、裏電極及び圧電フィルムの裏面を表歪増幅部材で覆っている。そして、表歪増幅部材の上面に荷重伝達部材を配設し、この荷重伝達部材に加わるずれ応力で表歪増幅部材及び裏歪増幅部材を変形させることにより、圧電フィルムの歪み量を増大させ、その歪みに伴う分極で発生する電荷量を増大させて測定感度を高めている。
【特許文献1】特開2006-226858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、圧電フィルムを表歪増幅部材及び裏歪増幅部材で覆っており、この歪増幅部材の厚みはそれぞれ1mm~5mm必要としている。1mmよりも薄いと歪増幅部材自体の歪み量が小さくなり、増幅効果を得ることができないため、これ以上薄いセンサを得るには限界がある。
【0005】
そして、表歪増幅部材の上面に荷重伝達部材を設置しなければならず、実施の際にはこの荷重伝達部材をゴム等で覆う必要があることから、更に厚みが増し、全体で5mm程度の厚みになってしまう。
【0006】
このため、センサの設置が狭い隙間に挟み込んで設置しなければならない状況下では、その厚みゆえに使用ができないという問題がある。そして、5mm程度厚さがあると、ベッド身体部位と対象物の間に挟み込んで使用した場合に、センサの厚さ分の段差によって違和感が生じるという問題があった。
【0007】
このような状況において、本発明が解決しようとする課題は、厚さが1mm程度の、薄く曲面部にも設置可能で、ずれ応力を精度良く測定できるシート型のずれ応力センサを提供することである。また、複数のシート型のずれ応力センサを直線上または二次元状に配置した分布型ずれ応力センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、圧電材料からなる圧電薄板と、前記圧電薄板を挟むように設けた上側伝達板及び下側伝達板とを備え、前記圧電薄板は前記上側伝達板と上接着部で接着され、前記下側伝達板と下接着部で接着され、前記上下接着部は実質的に重畳しないように配置され、ずれ応力によって前記上側伝達板及び下側伝達板にそれぞれ逆向きに作用する力を、前記上下接着部を介して前記圧電薄板に伝え、前記圧電薄板を圧縮又は伸張させて電荷を発生させてずれ応力を測定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、隣接して配置した圧電材料からなる第1圧電薄板及び第2圧電薄板と、前記第1圧電薄板及び前記第2圧電薄板を挟むように設けた上側伝達板及び下側伝達板とを備え、前記第1圧電薄板は前記上側伝達板と上接着部で接着され、前記下側伝達板と下接着部で接着され、且つ、前記上下接着部は実質的に重畳しないように配置され、前記第2圧電薄板は前記上側伝達板と上接着部で接着され、前記下側伝達板と下接着部で接着され、且つ、前記上下接着部は実質的に重畳しないように配置され、更に、前記第1圧電薄板の上接着部と前記第2圧電薄板の上接着部が逆転して配置され、ずれ応力により前記上側伝達板及び下側伝達板にそれぞれ逆向き作用する力を、前記接着部を介して前記第1圧電薄板及び前記第2圧電薄板に伝え、前記第1圧電薄板を圧縮又は伸張させて電荷を発生させるとともに、前記第2圧電薄板を伸張又は圧縮させて前記第1圧電薄板と逆方向の電荷を発生させて両電荷の出力差からずれ応力を測定することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明は、前記圧電薄板は圧電材料を延伸して形成されてなり、前記圧電薄板の前記上下接着部を延伸方向に直線上に配置し、前記圧電薄板を延伸方向に圧縮又は伸張させることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明は、前記圧電薄板と前記上側伝達板及び前記下側伝達板とは前記上下接着層を介してそれぞれ接着され、前記上下接着層と同じ厚みの滑りシートを前記上下接着層に隣接して配置し、前記上側伝達板及び前記下側伝達板と前記圧電薄板とを平坦に接触させることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明は、圧電材料からなる圧電薄板と、前記圧電薄板を挟むように設けた上側伝達板及び下側伝達板と、前記圧電薄板と前記上側伝達板を接着する上接着層と、前記圧電薄板と前記下側伝達板を接着する下接着層と、前記上接着層と前記下接着層と同じ厚みの滑りシートから成り、前記圧電薄板の中央を境に圧電薄板の延伸方向に直線上に前記上接着層と前記下接着層が配置され、前記上接着層は前記圧電薄板の上面側の前記上接着層の全てで前記上側伝達板と接着され、前記下接着層は前記圧電薄板の下面側の前記下接着層の全てで前記下側伝達板と接着され、且つ、前記上接着層と前記下接着層は実質的に重畳しないように配置され、前記滑りシートは前記上接着層と前記下接着層に隣接して配置され、水平方向のずれ応力によって前記上側伝達板及び前記下側伝達板にそれぞれ逆向きに作用する力を、前記上接着層及び前記下接着層を介して前記圧電薄板に伝え、前記圧電薄板を収縮又は伸張させて発生した電荷で前記ずれ応力の大きさを測定するずれ応力検出要素を有し、互いに対向する前記ずれ応力検出要素を少なくとも二組以上備え、一の互いに対向する前記ずれ応力検出要素を前記圧電薄板の延伸方向をX軸方向に一致させて配置し、各圧電薄板の歪み量に応じた出力の差分からX軸方向の前記ずれ応力の大きさを測定し、他の互いに対向する前記ずれ応力検出要素を前記圧電薄板の延伸方向をY軸方向に一致させて配置し、各圧電薄板の歪み量に応じた出力の差分からY軸方向の前記ずれ応力の大きさを測定
することを特徴とする。
【0014】
更に、本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載したずれ応力センサを複数個同一平面上に一次元状あるいは二次元状に並べて配置し、それぞれの前記ずれ応力センサから個別に電荷を取り出し、ずれ応力の大きさの分布を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に依れば、圧電薄板の上面の一部を上側伝達板と接着し、圧電薄板の下面を下側伝達板に接着した簡単な構造であり、しかも圧電薄板及び上下の伝達板はいずれも数10μmから数100μmの薄いものから構成できる。このため、厚さ1mm以下の薄い1軸又は2軸のずれ応力センサを構成することができる。これにより、センサを狭い隙間に挟み込んで設置しなければならない状況下においても支障なく使用できる。
【0016】
また、本発明に依れば、上下の接着部は実質的に重畳しないように配置しており、ずれ応力が加わった場合に、上下の伝達板がそれぞれ逆向きに作用する。ずれ応力の全ては接着層を介して圧電薄板に負荷され、圧縮或いは伸張することになる。これにより、圧電薄板は歪み、ずれ応力に応じた電荷を発生させるので、この電荷量を取り出すことでずれ応力を測定することができる。
【0017】
更に、本発明に依れば、2組のずれ応力検出要素を平行に配置するとともに、その接着部が互い違いになるよう、それぞれの上接着部を逆転して配置している。一方のずれ応力検出要素に過度の圧縮荷重を受けると上下の伝達板が浮いて圧電薄板が面外にたわむ変形を生じるが、他方のずれ応力検出要素は引っ張り荷重を受けるので、上下の伝達板は圧電薄板を上下方向から押さえ付けるように働く。これにより、上下の伝達板が浮かず、圧縮荷重を受ける圧電薄板が面外にたわむ変形を抑えるので、ずれ応力を正確に検出することが出来る。
【0018】
更に、本発明に依れば、圧電薄板の延伸方向をずれ応力の方向に合わせて構成している。圧電薄板は延伸方向に歪みが生じた際に、もっとも大きな分極が生じ電荷が発生するので、より検出精度の高いずれ応力センサを提供できる。
【0019】
更に、本発明に依れば、接着層に隣接して接着層と同じ厚みの滑りシートを配置しているので、圧電薄板の撓みによる段差が生じず、ずれ応力の検出精度を高めている。
【0020】
更に、本発明に依れば、上側伝達板の縁と下側伝達板の縁とをゴム等の接続部材で接続しているので、伝達板がめくれ上がることもない。
【0021】
更に、本発明に依れば、上側伝達板及び下側伝達板に樹脂薄板あるいは金属薄板を用いると、面外曲げ剛性の小さい構成が可能になるので、曲面部にも設置可能なシート型ずれ応力センサを作製することができる。
【0022】
更に、本発明に依れば、2組以上のずれ応力検出要素を直交させて配置しているので、X軸及びY軸方向のずれ応力を一度に検出することが出来る。
【0023】
更に、本発明に依れば、複数のずれ応力検出要素を一次元状或いは二次元状に配置しているので、広範囲に作用するずれ応力を分布して検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1から図3を参照し、第1実施形態に係るずれ応力センサ1について説明する。図1はずれ応力センサ1の概略構成を示す斜視図及び断面図、図2は圧電薄板の電荷の発生状況を示す斜視図、また、図3はずれ応力センサの検出原理を示す断面図である。本発明のずれ応力センサ1は図1の斜視図に示すように、薄いシート状のずれ応力センサである。
【0025】
図1に示すように、ずれ応力センサ1は、主に、圧電薄板11、圧電薄板11を挟むように設けた上側伝達板16及び下側伝達板17、圧電薄板11の両面に付された電極膜12a、12b、電極膜12a、12bを介して圧電薄板11と上下の伝達板16,17を接着する上接着層13、下接着層14、上下の接着層13,14に隣接して配置した滑りシート15a、15bから構成される。
【0026】
圧電薄板11は、歪みに応じて分極し、電流を流す圧電材料から形成されたものを用いる。例えば、ポリフッ化ビニリデンやシアン化ビニリデン等の高分子圧電材料を延伸して形成されたものを用いると良い。このように延伸して形成された圧電薄板11は、延伸方向に収縮或いは伸張する歪みに対して、最も大きな電荷が生じる。従って、ずれ応力が加わる方向と圧電薄板11の延伸方向を一致させるとよい。小さなずれ応力でも分極効率が良いため、精度良く測定できることになる。
【0027】
図2は、圧電薄板11の正極面を上側に配置した場合について、圧電薄板11が圧縮又は伸張した際の、電荷の発生状況を示したものである。このように、圧電薄板11の上面を正極面(+)、下面を負極面(-)として配置した場合、図2(A)の矢印のように、圧電薄板11が延伸方向に伸張すると、圧電薄板11の上面には正の電荷(+Q)が発生し、下面には負の電荷(-Q)が生じる。一方、図2(B)の矢印のように、圧電薄板11が延伸方向に収縮すると、上記とは逆に圧電薄板の上面に負の電荷(-Q)が発生し、下面には正の電荷(+Q)が発生することになる。このように発生する電荷量は、圧電薄板の収縮又は伸張による歪み量と比例する。
【0028】
電極膜12a、12bは、圧電薄板11表裏面に蒸着、スパッタリングなどによって設けられ、電極膜12a、12bに導電塗料、カシメなどで電気端子を取り付け、それぞれ配線21a、21bが接続されている。これにより、圧電薄板11の歪みによる出力信号を取り出している。なお、市販の圧電薄板11に電極膜12a、12bが設けられたものを用いればよいが、本発明の趣旨からして、圧電薄板11及び電極膜12a、12bはできるだけ薄く形成されたもの、例えば厚さ20μm~200μmからなるものを用いると良い。
【0029】
上側伝達板16及び下側伝達板17には、樹脂板、金属板、繊維強化樹脂板など、面内に剛性を有する板を用いる。面内に剛性を有する部材であれば、面外に曲げ変形可能な樹脂薄板、金属薄板、繊維強化樹脂薄板などの薄いシート部材を使用しても良い。
【0030】
そして、圧電薄板11の上面側の接着層13は、上側伝達板16と全て接着し、圧電薄板11の下面側の接着層14は、下側伝達板17と全て接着する。
【0031】
この場合、上下の接着層13、14は、圧電薄板11の延伸方向に沿って逆方向に配置する。上述のように、圧電薄板11は延伸方向に歪みが生じる際に、最も大きく分極し、精度良くずれ応力を検出精度が高くなるからである。
【0032】
上下の接着層13、14は、上側伝達板16又は下側伝達板17に加わるずれ応力を圧電薄板11に伝え、圧電薄板11を圧縮或いは伸張させて分極させる役割を有する。このため、各接着層13、14は、圧電薄板11の厚み方向から見て実質的に重畳しないように配置する。そして、各接着層13、14が圧電薄板11の延伸方向に沿って直線上に配置する。このように接着層13、14を配置することで、上側伝達板16又は下側伝達板17にずれ応力が作用した場合、それぞれの接着層13、14を介して圧電薄板11を圧縮或いは伸張させるように作用する。
【0033】
接着層13、14としては、電極膜12a、12bを付けた圧電薄板11を上側伝達板16及び下側伝達板17に固定できるもので有れば特に限定されない。例えば、接着剤或いは強度の強い粘着シートを用いることができる。
【0034】
滑りシート15は、ずれ応力が加わって歪みが生じても、圧電薄板11が平面を保つようにする役割を有する。このため、滑りシート15は圧電薄板11に引っ張り荷重或いは収縮荷重が加わっても平面を保持できるよう、接着層13、14の厚みと略同じにするとよい。そして、接着層13,14と滑りシート15は圧電薄板11の中央を境に設け、出来るだけ隙間が生じないように設けると良い。また、接着層13と同じ厚みとすることで、ずれ応力センサ1に段差が生じることを抑えることができ、上下の伝達板16,17と圧電薄板11とが、電極膜12、接着層13,14及び滑りシート15を介して平坦に接触させることができる。
【0035】
滑りシート15は、上側伝達板16或いは下側伝達板17と圧電薄板11の間を低摩擦抵抗で滑る素材を用いる。抵抗が大きいとずれ応力が摩擦力で緩和され、圧電薄板11を歪ませる力が小さくなるからである。このような素材として、フッ素樹脂やロウ引き紙等を用いると良い。
【0036】
滑りシート15は、圧電薄板11及び伝達板16,17のいずれにも固定する必要はないが、滑りシート15が離脱してしまわないよう、いずれか一方に接着剤等で固定して用いるとよい。
【0037】
続いて、図3を参照し、ずれ応力の検出原理について説明する。図3(A)は、上側伝達板16にずれ応力が紙面右から左へ加わった場合の図1のA-A’断面図、(B)はずれ応力が紙面左から右に加わった場合の図1のA-A’断面図である。
【0038】
まず、ずれ応力センサ1は、圧電薄板11の延伸方向に、ずれ応力による引っ張り或いは圧縮が作用するように設置する。
【0039】
図3(A)に示すように、ずれ応力が上側伝達板16に紙面右から左に加わった場合、滑りシート15aは上側伝達板16或いは圧電薄板11と接着されておらず、また、圧電薄板11の右側上面は上接着層13によって上側伝達板16と接着されているから、白抜き矢印に示すように、圧電薄板11の右側は圧電薄板11の中央に向けて圧縮荷重を受ける。
【0040】
また、下側伝達板17は下面を固定して用いることから、矢印に示すように紙面左から右へと反力がかかる。滑りシート15bは下側伝達板17或いは圧電薄板11と接着されておらず、また、圧電薄板11の左側下面は下接着層14によって下側伝達板17と接着されているから、白抜き矢印に示すように、圧電薄板11の左側は圧電薄板11の中央に向けて圧縮荷重を受ける。
【0041】
この結果、圧電薄板11は両側から圧縮され、収縮して歪み、分極する。これにより歪み量に応じた電荷が生じる。例えば、圧電薄板11の上面を正極、下面を負極として配置している場合、圧電薄板11が収縮すると上面の正極側には負の電荷(-Q)、下面の負極側には正の電荷(+Q)が生じることになる。
【0042】
ここで発生する電荷量はずれ応力の大きさに比例するので、この電荷を電極膜12a、12bを介して取り出すことで、ずれ応力に応じた出力信号が得られ、ずれ応力の大きさを測定することができる。
【0043】
一方、図3(B)に示すように、ずれ応力が上側伝達板16に紙面左から右へ加わった場合、圧電薄板11の右側上面は上接着層13によって上側伝達板16と接着されているから、白抜き矢印に示すように、圧電薄板11は右側の端部に向けて引っ張り荷重を受ける。
【0044】
また、下側伝達板17は下面を固定していることから、矢印に示すように紙面右から左へと反力がかかる。圧電薄板11の左側下面は下接着層14によって下側伝達板17と接着されているから、白抜き矢印に示すように、圧電薄板11は左側の端部に向けて引っ張り荷重を受ける。
【0045】
この結果、圧電薄板11は両端へ向けて左右に引っ張られ、伸張して歪むので、歪み量に応じた電荷が生じる。例えば、圧電薄板11の上面を正極、下面を負極として配置している場合、圧電薄板11が伸張すると、上述の収縮とは逆に、上面の正極側には正の電荷(+Q)、下面の負極には負の電荷(-Q)が生じることになる。
【0046】
発生する電荷量はずれ応力の大きさに比例するので、この電荷を電極膜12a、12bを介して取り出すことで、ずれ応力に応じた出力信号が得られ、ずれ応力の大きさを測定することができる。
【0047】
なお、本発明のずれ応力センサ1はずれ応力検出要素の一方の面とずれ応力伝達板との間が接合されていない部分があるので、ずれ応力伝達板に垂直方向の圧縮荷重がほとんど作用しない状態でずれ応力のみが作用した場合、ずれ応力伝達板の縁部分がめくれあがることがある。
【0048】
これを抑制するため、上側および下側の伝達板16、17の周囲の縁部分を上下の伝達板16、17の水平方向のずれ変形を拘束しない形態で接続すると良い。例えば、図4に一例を示すように、上下の伝達板16、17の縁部分を薄いゴム板や、布帛などの接続部材41a、41b、41c、41dでゆるやかに接続すると、上下の伝達板16,17のずれ変形を拘束することなく、縁部分がめくれあがるのを防止できる。
【0049】
次に、図5から図8を参照して、第2実施形態のずれ応力センサ2について説明する。図5は、概略構成を示す斜視図、図6は、図5のX-X’及びY-Y’断面図、図7は、ずれ応力が加わった状態を示す図5のX-X’及びY-Y’断面図、また、図8は配線構造を示す図5のZ-Z’断面図である。
【0050】
図5からわかるように、第2実施形態のずれ応力センサ2は、概略として上述のずれ応力センサ1を同一平面上に2組平行に配置したものである。なお、一組の圧電薄板11、電極膜12、上下の接着層13、14、及び上下の滑りシート15を、以下、ずれ応力検出要素31a、31bとして説明する。
【0051】
図6の断面図に示すように、ずれ応力検出要素31aと31bは、上接着層13aと上接着層13bが逆転して配置した形態である。つまり、ずれ応力検出要素31bは、ずれ応力検出要素31bを水平に180°回転させた状態である。
【0052】
また、後述するが、圧電薄板11a(第1圧電薄板)と圧電薄板11b(第2圧電薄板)は、正極面と負極面がそれぞれ反転した状態に配置することが好ましい。例えば、圧電薄板11aは、負極面を上方に向けて配置し、一方の圧電薄板11bは、正極面を上方に向けて配置する。
【0053】
前述のずれ応力センサ1の場合、ずれ応力が図3(A)のように作用すると、電極膜を付けた圧電薄板11は圧縮されて電荷を生じるが、圧電薄板11は薄いため、圧縮荷重がある程度大きくなると、上下の伝達板16、17を浮かせて面外にたわむ変形をするようになる。
【0054】
このたわむ変形を防止するために、ずれ応力センサ2では、ずれ応力検出要素31を2組設置している。そして、ずれ応力検出要素31aと31bは、上接着層13a、13
bが逆転した形態とし、平行に配設することで、一方のずれ応力検出要素31の圧電薄板11に圧縮荷重が作用した場合でも、他方のずれ応力検出要素31の圧電薄板11が引っ張り荷重を受け、上下の伝達板16、17を浮かず、圧電薄板11が面外にたわむ変形が生じなくなる。
【0055】
例えば、図7に示すように、ずれ応力が左から右へとかかる場合、図7(B)に示すずれ応力検出要素31bでは圧縮荷重がかかるので、圧電薄板11bは圧縮され、たわみ変形を生じるおそれがある。しかし、このようにずれ応力がかかっている場合、図7(A)に示す他方のずれ応力検出要素31aでは引っ張り荷重がかかり、上下の伝達板16、17が圧電薄板11a、11bを上下から押さえ込むように作用することから、上下の伝達板16、17が浮くことはない。上下の伝達板16、17は上下の接着層13、14を介して双方のずれ応力検出要素31a、31b双方と接着しているため、結果として上下の伝達板16、17を浮かせて圧電薄板11bが面外にたわもうとすることを抑えている。
【0056】
また、ずれ応力検出要素31を2組設置することで、ずれ応力をより精度良く検出することができる。図8は、ずれ応力検出要素対31aと31bの配線方法を説明する図である。一例として、第1のずれ応力検出要素31aの圧電薄板11aの正極面(引っ張り荷重に対してプラスの信号が生じる面)を上側に、また、第2のずれ応力検出要素31bの圧電薄板11bの正極面が下側に配置されている場合について説明する。
【0057】
まず、圧電薄板11bの正極面の電極膜12cと、圧電薄板11aの負極面の電極膜12bを配線21cで接続する。次に、圧電薄板11bの負極面の電極膜12dと圧電薄板11aの正極面の電極膜12aを配線21dで接続する。次に、どちらか一方の圧電薄板11の正極面と負極面にそれぞれ配線を接続(ここでは圧電薄板11aの負極面に配線21a、正極面に配線21b)して外部に引き出す。
【0058】
図8(B)に示すように、ずれ応力検出要素31bが引っ張られた場合、圧電薄板11bは伸張するので、前述したように、圧電薄板11bの上面の正極面には正の電荷+Q、下面の負極面に負の電荷-Qを生じる。
【0059】
一方、ずれ応力検出要素31aには圧縮荷重が作用するので、圧電薄板11aは収縮し、前述したように、圧電薄板11a上面の負極面には正の電荷+Q、下面の正極面に負の電荷-Qを生じる。
【0060】
そして、圧電薄板11bと圧電薄板11aの極性を逆転させて出力の差分を検出するように配線されているので、大きさが2Q(=+Q—(-Q))の電荷を得ることができる。
【0061】
発生する電荷2Qはずれ応力の大きさと比例するので、本発明のずれ応力センサ2は、この電荷2Qの時間変動d(2Q)/dtを、配線21a、21bを接続して取り出し、電気回路で積分して2Qに比例する信号を計測する。
【0062】
このように、二組のずれ応力検出要素31a、31bを配置し、2枚の圧電薄板11a、11bから逆向きの電荷を発生させ、両電荷の出力差分を検出することにより、小さなずれ応力でも精度良く検出することができる。
【0063】
なお、ずれ応力が上記とは逆向きに作用する場合、図8(C)に示すように、ずれ応力検出要素31bに圧縮荷重がかかり、圧電薄板11bは収縮して、圧電薄板11bの上面の正極面には負の電荷-Q、下面の負極面に正の電荷+Qを生じる。一方、ずれ応力検出要素31aには引っ張り荷重が作用するので、圧電薄板11aは伸張し、圧電薄板11a上面の負極面には負の電荷-Q、下面の正極面に正の電荷+Qを生じ、-2Qの電荷を得ることができる。
【0064】
このように、圧電薄板11aと圧電薄板11bの極性をそれぞれ逆に配置することで、ずれ応力検出要素31aとずれ応力検出要素31bをつなぐ配線が交差することなく簡単に行える。
【0065】
なお、圧電薄板11bと圧電薄板11aの上側がともに正極になるように配置されている場合には、2つの配線21c、21dを表裏面で交差させて接続する。すなわち、圧電薄板11bの正極面の電極膜と圧電薄板11aの負極面の電極膜を配線で接続し、圧電薄板11bの負極面の電極膜と圧電薄板11aの正極面の電極膜を配線で接続すれば、2枚の圧電薄板11a、11bの出力の差分を検出することができる。
【0066】
その他の点については、前述のずれ応力センサ1と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
続いて、図9及び図10を参照し、第3実施形態に係るずれ応力センサ3について説明する。ずれ応力センサ3は、前述のずれ応力検出要素を4組配置した構成である。
【0068】
ずれ応力検出要素31a、31b、31c、31dを同一平面上に、圧電薄板11の延伸方向に合わせ全て平行に配置している。上下の伝達板16、17の表面に沿うずれ応力の大きさに比例する出力信号を計測するずれ応力センサ3である。
【0069】
図10は、4組のずれ応力検出要素31a、31b、31c、31dを上方から見た平面図であるが、それぞれ接着層13と滑りシート15が互い違いに配置されていることがわかる。このように配置することで、上述のように圧電薄板11に圧縮荷重がかかっても、上下の伝達板16、17が浮いて圧電薄板11が面外にたわみ変形を生じることがない。
【0070】
そして、ずれ応力検出要素31aとずれ応力検出要素31cの圧電薄板11は紙面の表側が正極になるように配置され、ずれ応力検出要素31bとずれ応力検出要素31dの圧電薄板11は紙面の表側が負極になるように配置されている。したがって、紙面の表側の各電極膜12(図示せず)を連続して配線21cで接続して引き出した配線21bと、紙面の裏側の各電極膜(図示せず)を連続して配線21dで接続して引き出した配線21a
から、上記第2実施形態のずれ応力センサ2で説明したように、ずれ応力の総和に比例する出力信号を計測することができる。
【0071】
このように、ずれ応力検出要素31を複数配設すると、接着層13が細かく分布するようになるので、上下の伝達板16、17に作用するずれ応力を分散させて各ずれ応力検出要素に伝達することができる。また、ずれ応力検出要素31を更に複数配置することで、所望の大きさに対応する広い面積のずれ応力センサを作製することができる。
【0072】
他の点については、前述同様であるので説明を省略する。
【0073】
次に、図11を参照し、2方向(X軸とY軸)のずれ応力を検出できる第4実施形態のずれ応力センサ4について説明する。図11(A)は、ずれ応力センサ4のずれ応力検出要素31の配置を示す平面図、(B)は、X軸方向のずれ応力を検出するずれ応力検出要素31を抜き出して示した平面図である。
【0074】
ずれ応力検出要素31a、31bは、X軸と平行に配置されており、これらが対になり、X軸方向のずれ応力を検出する。そして、ずれ応力検出要素31a、31bは互いに対向するよう、上接着層13と滑りシート15を左右反転させた形態で配置している。そして、ずれ応力検出要素31a、31bを配線21e、21fで接続し、歪みによる出力の差分を配線21a、21bから取り出して、X軸方向のずれ応力を検出している。
【0075】
一方、ずれ応力検出要素31c、31dはY軸と平行に配置されており、これらが対になり、Y軸方向のずれ応力を検出する。そして、ずれ応力検出要素31c、31dは互いに対向するよう、上接着層13と滑りシート15を上下反転させた形態で配置している。そして、ずれ応力検出要素31c、31dを配線21g、21hで接続し、歪みによる出力の差分を配線21c、21dから取り出して、軸方向のずれ応力を検出している。
【0076】
上側および下側の伝達板16,17は4つのずれ応力検出要素31a、31b、31c、31d全てを覆う形態に取り付ける。
【0077】
このように配置することで、ずれ応力検出要素が同一平面上に一層から構成した2軸のずれ応力センサを構成できるので、センサの厚みを増すことなく、薄く製作することができる。
【0078】
図11(B)は、図11(A)のX軸方向のずれ応力を計測するずれ応力検出要素31a、31bと上下の伝達板16、17の部分(波線で表示)を取り出して描いたものであるが、いずれのずれ応力検出要素31aと31bもX軸と平行に配置されるとともに、互いに対向するよう、滑りシート15と上接着層13を左右反転させた形態にて設けられている。Y軸方向のずれ応力を計測するずれ応力検出要素31c、31dも同様である。
【0079】
もちろん、前述のずれ応力センサ1、2又は3に示したような1方向のみのずれ応力を検出する1軸のずれ応力センサを、2つ直交させて重ね、重なる面を接合して2軸のシート型ずれ応力センサを構成することもできる。
【0080】
その他の点については、前述と同様なので説明を省略する。
【0081】
図12は、分布型ずれ応力センサを説明する平面図である。上記の第1実施形態~第4実施形態のいずれかのずれ応力センサを、多数個同一平面上に一次元状或いは二次元状(マトリクス状)に配置し、それぞれのずれ応力センサから個別に電荷を取り出すことで、ずれ応力の分布を測定することができる。例えば、図12に示すように、所定のシート又は基板51の上にずれ応力センサ2を16個配置し、各センサからの配線21を束ねた配線束52をシート又は基板51の一部分から外部に引き出すことで容易に構成することができる。
【0082】
これにより、ベッドに使用する等、広範な面積でどの部分にどの程度のずれ応力がかかっているかを測定したい場合に、各部のずれ応力を検出でき効果的である。なお、図12ではシート又は基板51内部の配線を省略して描いている。
【実施例1】
【0083】
図9で説明した、第3実施形態に係る1軸のずれ応力センサ3を作製して実験を行った。圧電薄板はアルミ蒸着の電極膜が表裏面についた80μm厚さのものを9×40mmの寸法に4枚切り出して、正極面と負極面を交互に逆転させて1mm間隔で平行に並べたものをずれ応力検出要素とした。
【0084】
滑りシートには塗装用のマスキングテープを使用し、接着層には0.15mm厚さの両面粘着シートを使用した。上下の伝達板にはそれぞれ厚さ0.2mmのペット樹脂板を使用した。ずれ応力センサの寸法は一辺が約40mmの正方形で、全体厚さは0.75mmである。
【0085】
次に、市販のロードセル(容量500N)の上に垂直な剛性板を立てて固定し、剛性板の一方の面にずれ応力センサを貼り付けた。そして、表面側の伝達板の上に滑り止めのシリコンゴムシートを置いて、その上から指で上下方向に繰り返し擦る実験を行った。
【0086】
ずれ応力センサから引き出した配線からは、ずれ応力の時間微分に比例した出力が生じるので、これを静電容量が4.4μFのコンデンサを並列接続して積分し、ずれ応力に比例する出力にした後、入力抵抗1Mオームの電圧記録計(オムニエースRA1300(NEC三栄))で記録した。
【0087】
その結果を図13、図14に示す。図13(A)がロードセルで計測したずれ応力の波形、(B)がずれ応力センサで計測した出力信号の波形である。図13(B)を見ると、指の温度がセンサに伝わることにより、ずれ応力センサの波形に焦電効果によるドリフトが少し見られるが、ずれ応力センサの波形は、図13(A)のロードセルの波形とよく一致していることがわかる
図14は、ロードセルで計測したずれ応力の変動幅と、ずれ応力センサで計測した出力信号の変動幅の関係をプロットしたものである。図14より、ロードセルに加わった力とずれ応力センサから得られた出力信号は比例関係にあることがわかる。
【0088】
このことから、本発明のずれ応力センサは、伝達板にかかるずれ応力の大きさに応じた出力信号を得られ、精度良くずれ応力を検出できることを実証できた。
【0089】
なお、本実施例では第3実施形態に係るずれ応力センサ3について説明したが、第1実施形態のずれ応力センサ1、又は第2実施形態のずれ応力センサ2についても、ほぼ同様の結果となる。例えば、1枚の圧電薄板を備える剪断力センサ1に、ある力のずれ応力が加わった場合の圧電薄板の歪み量を1とすると、同じ力のずれ応力を加えた4枚の同寸法の圧電薄板を備える剪断力センサ4では、各圧電薄板に伝わる力が分散されるので歪み量はそれぞれ0.25となる。圧電薄板が生じる電荷量は、歪み量に比例することから、いずれのずれ応力センサにおいても発生する電荷量が同じになるからである。
【0090】
ただし、歪み量には圧電薄板の歪み量には限界があることから、圧電薄板の枚数が少なく、過剰の力が加わるとそれ以上歪むことができず、電荷量が一定となり、大きなずれ応力の測定が困難になるので、複数の圧電薄板を用いたずれ応力センサとすることが好ましい。
【実施例2】
【0091】
次に、図11に示した第4実施形態に係る2軸のずれ応力センサ4を試作して実験を行った。電極膜を付けた圧電フィルムは実施例1と同じものを15mm×30mm寸法に切り出して、対になる一方の圧電薄板の表裏面を逆転させて対向するように平行に配置したものをずれ応力検出要素対とした。これを図11のように並べて上下の伝達板に挟み込んだ。滑りシートと接着層、およびずれ応力伝達板の材料は実施例1と同じである。2軸のシート型ずれ応力センサの寸法は一辺が約47mmの正方形で、全体厚さは0.75mmである。
【0092】
図15は、実験に用いた装置を示したもので、剛性板62を前記ロードセル61の上に垂直に立てて固定し、剛性板62の一方の面にずれ応力センサ4を貼り付けた。そして、表面側の伝達板の上に滑り止めのシリコンゴムシートを置いて、その上から指で上下方向に繰り返し擦る実験を行った。実験は図15に示すようにずれ応力センサ4の取り付け角度θを種々変化させて貼り付けた。測定回路と記録計は実施例1と同じである。
【0093】
図16にその結果を示す。図16(A)は、ずれ応力センサの取り付け角度θが約30度の場合に計測したX軸方向およびY軸方向のセンサの出力電圧とロードセルで計測した垂直方向の荷重との関係をプロットしたもの、(B)はずれ応力センサの取り付け角度θが約45度の場合に計測したX軸方向およびY軸方向のセンサの出力電圧とロードセルで計測した垂直方向の荷重との関係をプロットしたものである。いずれにおいても、ずれ応力センサのX軸の出力電圧とロードセルのX軸の荷重、及びずれ応力センサのY軸の出力電圧とロードセルのY軸の荷重は比例関係にあることがわかる。
【0094】
図17はX軸方向のセンサの出力信号VXと、Y軸方向のセンサの出力電圧VYから垂直方向の出力信号をベクトル和(VX+VY1/2で求め、ロードセルで計測した垂直方向の荷重の変動幅と比較したものである。図17より2軸のせん断力センサの出力はセンサの設置角度によらずほぼ一本の直線になっている。
【0095】
これらから、本発明の2軸のずれ応力センサは、伝達板にかかるずれ応力のX軸方向及びY軸方向にかかるそれぞれの大きさに応じた出力信号を得られ、精度良くずれ応力を検出できることを実証した。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1実施形態に係るずれ応力センサの概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に用いる圧電薄板の電荷の発生状態を示す斜視図である。
【図3】本発明のずれ応力センサの検出原理を示す断面図である。
【図4】本発明の接続部材で上下の伝達板を接続したずれ応力センサの斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るずれ応力センサの斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るずれ応力センサの断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るずれ応力センサの検出原理を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るずれ応力センサの配線構造及び電荷の発生状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るずれ応力センサの斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るずれ応力センサの内部構成を示す平面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るずれ応力センサの内部構成を示す平面図である。
【図12】本発明の分布型ずれ応力センサの構成を示す平面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るずれ応力センサの出力波形を示す測定図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るずれ応力センサの出力と荷重との関係を示す測定図である。
【図15】本発明のずれ応力センサのずれ応力測定に用いた装置の概略を示す正面図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係るずれ応力センサの出力と荷重との関係を示す測定図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係るずれ応力センサの出力と荷重との関係を示す測定図である。
【符号の説明】
【0097】
1 ずれ応力センサ
2 ずれ応力センサ
3 ずれ応力センサ
4 ずれ応力センサ
5 分布型ずれ応力センサ
11 圧電薄板
12 電極膜
13 上接着層
14 下接着層
15 滑りシート
16 上側伝達板
17 下側伝達板
21 配線
31 ずれ応力検出要素
41 伝達板接続部材
51 シート又は基板
52 配線束
61 ロードセル
62 剛性板
図面
【図2】
0
【図8】
1
【図12】
2
【図13】
3
【図14】
4
【図15】
5
【図16】
6
【図17】
7
【図1】
8
【図3】
9
【図4】
10
【図5】
11
【図6】
12
【図7】
13
【図9】
14
【図10】
15
【図11】
16