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明細書 :ハイブリッド加熱法による金属酸化物粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5531341号 (P5531341)
公開番号 特開2011-088766 (P2011-088766A)
登録日 平成26年5月9日(2014.5.9)
発行日 平成26年6月25日(2014.6.25)
公開日 平成23年5月6日(2011.5.6)
発明の名称または考案の名称 ハイブリッド加熱法による金属酸化物粒子の製造方法
国際特許分類 C01B  13/32        (2006.01)
C01G   3/02        (2006.01)
FI C01B 13/32
C01G 3/02
請求項の数または発明の数 2
全頁数 13
出願番号 特願2009-241776 (P2009-241776)
出願日 平成21年10月20日(2009.10.20)
審査請求日 平成23年7月7日(2011.7.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】内田 哲平
【氏名】鈴木 政浩
【氏名】石井 克典
【氏名】木原 義之
【氏名】藤井 寛一
【氏名】栗田 勉
【氏名】加藤 良幸
【氏名】山本 琢磨
【氏名】福井 国博
個別代理人の代理人 【識別番号】100139114、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 貞嗣
【識別番号】100092495、【弁理士】、【氏名又は名称】蛭川 昌信
【識別番号】100139103、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 卓志
【識別番号】100095980、【弁理士】、【氏名又は名称】菅井 英雄
【識別番号】100094787、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 健二
【識別番号】100097777、【弁理士】、【氏名又は名称】韮澤 弘
【識別番号】100091971、【弁理士】、【氏名又は名称】米澤 明
【識別番号】100119220、【弁理士】、【氏名又は名称】片寄 武彦
審査官 【審査官】大城 公孝
参考文献・文献 特開昭56-055843(JP,A)
特開昭55-158133(JP,A)
特開昭57-149829(JP,A)
特開昭56-145105(JP,A)
特表2006-511435(JP,A)
調査した分野 C01B 13/00-13/36
特許請求の範囲 【請求項1】
金属酸化物前駆体として、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を調整する調整工程と、
前記調整工程で調整された前記溶液を反応容器に収容する収容工程と、
前記反応容器をマイクロ波導入口が設けられた加熱室内に載置する載置工程と、
前記反応容器の周囲に配されたヒーターと、前記マイクロ波導入口から前記加熱室内に導入されると共に、前記反応容器内に前記反応容器を介して前記溶液に対し間接的に入射されるマイクロ波とで、前記溶液を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱された前記溶液の温度を計測する計測工程と、
前記計測工程で計測された温度に基づいて、前記ヒーターによる加熱と前記マイクロ波による加熱の制御を行う制御工程と、
を有する金属酸化物粒子の製造方法において、
前記加熱工程の少なくとも一部では、ヒーターによる加熱とマイクロ波による加熱を同時に行う複合加熱方式が用いられることで、前記溶液による熱の吸収形態を制御し、前記溶液の昇温速度を調整することで金属酸化物粒子の粒径制御を行うことを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項2】
前記金属酸化物における金属がLi、Cu、Zn、Al、Mg、Co、Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス原料をはじめ各種用途に使用されるハイブリッド加熱法による金属酸化物粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックス原料、着色原料等に使用される金属酸化物微粒子の製造方法は、出発相によってCVDやガス中蒸発法などの気相法、沈殿法や噴霧法などの液相法、機械的粉砕法などの固相法に分類される。また、これらは、機械的粉砕法に代表される、バルク材を微細化することで得られるいわゆるブレイクダウン方式、分子レベルから成長させることによって得られるビルドアップ方式に分類されるが、ブレイクダウン方式は機械的粉砕による微細化に限界があること、粉砕機器からの不純物の混入があることから、高純度な微粒子の製造には主としてビルドアップ方式が適用されている。ここでその代表的なものとして液相法を例にとると、金属塩の水溶液にアルカリ等のpH調整剤を加えて水酸化物等を沈殿させ、かかる水酸化物等を500℃~700℃程度に昇温し、分解することによって所望の金属酸化物微粒子を得ることができる。その具体例として、例えば特許文献1ではカルボン酸化合物を分散等させた水溶液中に、金属塩の水溶液と中和剤の水溶液とを同時に添加して、上記金属の水酸化物等の微粒子を生成させ、得られた微粒子を焼成する微粒子状金属酸化物の製造方法が開示されている。

【特許文献1】特開平5-139704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金属酸化物微粒子を製造する場合、前記液相法の適用によって効率よく金属酸化物微粒子を製造する方法が検討されており、その製造工程においては通常水酸化物等の生成を経た後、熱処理炉等で加熱分解することで酸化物を得ており、液相法での反応工程に加えて、高温まで昇温し処理する工程を必要とする。例えば酸化銅の製造では、水酸化銅、硝酸銅、炭酸銅などを700℃程度で加熱分解することで酸化銅を得ており、この高温処理が製造工程の簡略化を阻害していた。また、塩化第二銅などの銅化合物の溶液を加温しつつ、アルカリ溶液を添加することによって酸化銅などの銅酸化物を生成させ、水洗、乾燥後、粉砕する直接湿式法等によって直接銅酸化物を生成させることも可能であるが、このような方法では銅酸化物の生成の反応プロセスが急激に起こるため、粒子径の制御が困難であり、均一な微粒子を得ることが困難という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、金属酸化物前駆体として、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を調整する調整工程と、前記調整工程で調整された前記溶液を反応容器に収容する収容工程と、前記反応容器をマイクロ波導入口が設けられた加熱室内に載置する載置工程と、前記反応容器の周囲に配されたヒーターと、前記マイクロ波導入口から前記加熱室内に導入されると共に、前記反応容器内に前記反応容器を介して前記溶液に対し間接的に入射されるマイクロ波とで、前記溶液を加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱された前記溶液の温度を計測する計測工程と、前記計測工程で計測された温度に基づいて、前記ヒーターによる加熱と前記マイクロ波による加熱の制御を行う制御工程と、を有する金属酸化物粒子の製造方法において、前記加熱工程の少なくとも一部では、ヒーターによる加熱とマイクロ波による加熱を同時に行う複合加熱方式が用いられることで、前記溶液による熱の吸収形態を制御し、前記溶液の昇温速度を調整することで金属酸化物粒子の粒径制御を行うことを特徴とする。

【0005】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の金属酸化物粒子の製造方法において、前記金属酸化物における金属がLi、Cu、Zn、Al、Mg、Co,Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、加熱工程では、ヒーターによる加熱とマイクロ波による加熱を同時に行う複合加熱方式によって、金属酸化物前駆体である溶液による熱の吸収形態を適宜制御するので、金属酸化物粒子の生成の反応プロセスをコントロールでき、生成される金属酸化物粒子の平均粒子径の制御を行うことが可能となる。
【0007】
また、本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、生成される金属酸化物粒子の平均粒子径の制御を行うことが可能となり、さらにこの金属酸化物粒子を原料とした焼結体の密度を、焼結体の粒径を変えることでコントロールできる可能性があるため、焼結体製造分野での原料粉調整工程への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るハイブリッド加熱法による金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。
【図2】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。
【図3】比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。
【図4】各加熱装置で昇温速度を変化させたとき生成された酸化銅の平均粒子径を示す図である。
【図5】各加熱装置で生成された酸化銅の累積粒子径分布を示す図である。
【図6】加熱装置において所定の昇温速度を得るためのエネルギーを示す図である。
【図7】マイクロ波加熱方式によって得られた酸化銅粒子のSEM写真である。
【図8】ヒーター加熱方式によって得られた酸化銅粒子のSEM写真である。
【図9】本発明に係る金属酸化物粒子の製造方法で採用している複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)によって得られた酸化銅粒子のSEM写真である。
【図10】マイクロ波加熱装置における温度分布と酸化銅粒子の成長との関係を模式的に説明する図である。
【図11】ヒーター加熱装置における温度分布と酸化銅粒子の成長との関係を模式的に説明する図である。
【図12】複合波加熱装置における温度分布と酸化銅粒子の成長との関係を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の金属酸化物粒子の製造方法について適宜図面を参照しつつ説明する。本発明の金属酸化物粒子の製造方法によって製造される金属酸化物における金属とはLi、Cu、Zn、Al、Mg、Co,Sr、Ba、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru、U、Pu、Np、Am、Cmから選ばれる1種類の金属であり、本発明の製造方法では、製造されるこれら金属酸化物の平均の粒子径をコントロールすることをその目的としていている。本発明の金属酸化物粒子の製造方法では、まず金属酸化物前駆体として、これらの金属の金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を調整する。そして、次に、調整された前記の溶液を加熱することによって、脱硝して金属酸化物を得るが、この加熱工程においては、前記加熱工程の少なくとも一部では、ヒーターによる加熱とマイクロ波による加熱を同時に行う複合加熱方式を用いるようにしている。本発明の製造方法における加熱工程では、このようなヒーターによる加熱とマイクロ波による加熱を同時に行う複合加熱方式によって、金属酸化物前駆体である溶液による熱の吸収形態を適宜制御するので、金属酸化物粒子の生成の反応プロセスをコントロールでき、生成される金属酸化物粒子の平均粒子径の制御を行うことが可能となるのである。

【0010】
また、本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、生成される金属酸化物粒子の平均粒子径の制御を行うことが可能となり、さらにこの金属酸化物粒子を原料とした焼結体の密度を、焼結体の粒径を変えることでコントロールできる可能性があるため、焼結体製造分野での原料粉調整工程への応用も可能である。
(実施例-複合加熱方式)
次に、本発明の金属酸化物粒子の製造方法を実施例に基づいてより詳しく説明する。図1は本発明の実施形態に係る金属酸化物粒子を製造するために用いられた装置の概略を説明する図である。図1において、10は加熱室、11は制御部、12はヒーター、13は温度検出部、14は断熱部材、15は反応容器、20はマグネトロン、21はマイクロ波導入口をそれぞれ示している。

【0011】
図1において、本実施形態における加熱工程では、ヒーターによる加熱とマイクロ波による加熱を同時に行う複合加熱方式が採用される。このため本実施形態における加熱装置には、マイクロ波が周囲に漏洩することを防止する目的として加熱室10が設けられている。この加熱室10内には、調整された前駆体となる金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液を収容する反応容器15が載置される断熱部材14が設けられている。

【0012】
断熱部材14には反応容器15に収容される前駆体(金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液)をヒーター加熱するためのリボンヒーターなどのヒーター12が設けられている。また、マグネトロン20によって発生されたマイクロ波は不図示の導波管からマイクロ波導入口21に導けれ、このマイクロ波導入口21から加熱室10に導入される。

【0013】
反応容器15内の溶液には、熱電対などの温度検出部13がセットされ、金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液の温度を計測するようになっている。この計測値は制御部11に入力され、制御部11は溶液の温度に対応してヒーター12、マグネトロン20の出力を制御することができるようになっている。

【0014】
反応容器15の両端にはIn及びOutのガス配管に接続されており、In側からは、不図示の圧縮空気供給システムによって、100ml/secの圧縮空気を流入させて、Out側からは脱硝反応で生じたH2OやN成分ガスが排出させる。
(比較例1-ヒーター加熱方式)
次に、本発明の金属酸化物粒子の製造方法の比較例について説明する。図2は比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。図2の装置は、加熱工程で、ヒーターによる加熱のみを行う加熱方式が採用されるものである。したがって、図1に記載のハイブリッド加熱装置から、マイクロ波加熱のための構成が省略されている。また、同じ参照番号が付された構成については同様のものを示しているので説明を省略する。
(比較例2-マイクロ波加熱方式)
次に、本発明の金属酸化物粒子の製造方法の比較例について説明する。図3は比較例に係る金属酸化物粒子の製造方法に用いられた装置の概略を説明する図である。図3の装置は、加熱工程で、マイクロ波加熱のみを行う加熱方式が採用されるものである。したがって、図1に記載のハイブリッド加熱装置から、ヒーター加熱のための構成が省略されている。また、同じ参照番号が付された構成については同様のものを示しているので説明を省略する。

【0015】
以上のような本実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法を含む3つの製造方法によって、金属酸化物粒子を製造した。より具体的には、前駆体として、Cu硝酸塩水和物20gをイオン交換水20mlに溶解させたものを反応容器15に収容して、本発明のハイブリッド加熱装置、比較例1のヒーター加熱装置、及び比較例2のマイクロ波加熱装置を用いて加熱工程を実施した。

【0016】
図4はそれぞれの加熱装置で昇温速度を変化させたとき生成された酸化銅の平均粒子径を示す図である。生じた脱硝体(酸化銅)の粒子径測定にはヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に試料を分散させて、超音波分散を施した後に、レーザー散乱式粒度分布測定機(HORIBA社製 LA-920)で測定した。なお、超音波分散を2分、30分とし、それぞれを2次粒子、1次粒子として評価した。図4(A)に2次粒子の結果が、また図4(B)は1次粒子の結果がそれぞれ示されている。

【0017】
図4からも分かるように、複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)、ヒーター加熱方式、マイクロ波加熱方式のうちのどの加熱方式を用いたとしても、昇温速度が早ければ早いほど平均粒子径が小さくなる傾向がある。また、マイクロ波加熱方式によって得られた酸化銅粒子は、ヒーター加熱方式によって得られた酸化銅粒子よりも粒子径が小さくなるが、複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)によって得られた酸化銅粒子は2つの加熱方式の間の粒子径のものとなる。このように本発明の金属酸化物粒子の製造方法における加熱工程では、ヒーター加熱方式とマイクロ波加熱方式の両方を同時に実施することによって加熱プロセスを制御し、これにより、溶液による熱の吸収形態を制御している。このような熱の吸収形態の違いによって、金属酸化物粒子の生成の反応プロセスをコントロールでき、生成される金属酸化物粒子の平均粒子径の制御を行うことが可能となるものと考えられる。

【0018】
また、図5はそれぞれの加熱装置で生成された酸化銅の累積粒子径分布を示している。図5(A)に2次粒子の累積粒子径分布を、また図5(B)は1次粒子の累積粒子径分布をそれぞれ示している。図5に示す累積粒子径分布のグラフでは、曲線が直立状態であればあるほど、粒度分布の幅が狭く、粒子の粒径がそろっていることとなる。図5からは、本発明に係る金属酸化物粒子の製造方法で採用している複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)によれば、粒径がそろった酸化銅粒子を得ることができることが分かる。

【0019】
また、図6はそれぞれの加熱装置において所定の昇温速度を得るためのエネルギーを示す図である。図6によれば、複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)とマイクロ波加熱方式とを比較すると、同じ昇温速度、例えば40℃/minを得るために必要なエネルギーがほぼ半分であり、本発明に係る金属酸化物粒子の製造方法で採用している複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)はマイクロ波加熱方式に比べてエネルギー効率がよいということができる。

【0020】
次に、それぞれの加熱方式で得られた酸化銅粒子の粒子形状について説明する。図7はマイクロ波加熱方式によって得られた酸化銅粒子のSEM写真であり、図8はヒーター加熱方式によって得られた酸化銅粒子のSEM写真であり、図9は本発明に係る金属酸化物粒子の製造方法で採用している複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)によって得られた酸化銅粒子のSEM写真である。図7乃至図8のいずれの図においても(A)は2000倍のSEM画像を、(B)は400倍のSEM画像を示している。

【0021】
図7に示すマイクロ波加熱方式によって得られた酸化銅粒子は、粒子径は極めて小さく、表面は凹凸が大きく歪な形をなしている。また、粒子の大きさのばらつきは小さいが、凝集した後に成長したような歪な大きい粒子も存在する。

【0022】
図8に示すヒーター加熱方式によって得られた酸化銅粒子は、粒子径は大きく、表面は繊維状である。また、形状は球の形をしたものが多い。また、粒子径のばらつきがある。しかし、これは凝集体が成長したものではなく、粒子によって異なる成長の度合いで成長したものに見える。

【0023】
図9に示す本発明に係る金属酸化物粒子の製造方法で採用している複合加熱方式(ハイブリッド加熱方式)によって得られた酸化銅粒子は、粒子径は小さく、マイクロ波加熱方式による粒子よりわずかに大きい程度である。表面は繊維状である。また、粒子の大きさのばらつきは小さく、形状は球の形をしたものが多い。凝集後に成長したような歪で大きい粒子はあまり見られない。

【0024】
以上のことから、本発明に係る金属酸化物粒子の製造方法によれば、粒子の形状の制御を行うことも可能であることがわかる。

【0025】
次に、それぞれの加熱装置によって製造される粒子の成長過程予測について説明する。図10はマイクロ波加熱装置における温度分布と酸化銅粒子の成長との関係を模式的に説明する図であり、図11はヒーター加熱装置における温度分布と酸化銅粒子の成長との関係を模式的に説明する図であり、図12は複合波加熱装置における温度分布と酸化銅粒子の成長との関係を模式的に説明する図である。また、図10乃至図12のいずれの図においても、(A)は装置全体における温度分布の模式図を、(B)は局所的温度分布の模式図を示している。

【0026】
マイクロ波加熱方式によって得られた酸化銅粒子は、ヒーター加熱方式によって得られた酸化銅粒子よりも粒子径が小さくなる原因は以下のように考えられる。反応容器15に収容される前駆体(金属硝酸塩又は酸化金属硝酸塩の溶液)をマイクロ波で加熱すると、溶液中の局所に偏在的にヒートスポット(局所的な高温場)が形成される。このようなヒートスポットにおいては、一気に脱硝反応が進行し、酸化銅粒子が形成されこととなる。そして、ヒートスポットで生成された酸化銅粒子はマイクロ波の吸収性が高いため、非常に高温となるために、粒子成長することができずに粒子径が小さくなると考えられる。すなわち、マイクロ波加熱の場合、ヒートスポットと酸化銅粒子周りの局所的な高温場が形成されるために粒子径が小さくなる。

【0027】
また、マイクロ波加熱の場合、反応容器15中の溶液全体としてみると中心部が高温で外周部は低温になる。このために、マイクロ波加熱では局所的な高温場、急峻な温度勾配と装置内のバルクスケールの温度分布が形成されるために、生成する酸化銅粒子の粒度分布がブロードになると言える。

【0028】
一方、ヒーター加熱の場合、ヒートスポットが発生することなく、局所に生成した酸化銅粒子による発熱が生じないために、バルク温度(全体温度)と粒子が生成される場の温度が等しいために、マイクロ波加熱の場合よりも脱硝速度が遅くなり、粒子成長が可能となり粒径が増大するものと想定される。また、ミクロスコピックな温度勾配やバルクスケールの温度分布が少ないため、粒度分布がシャープになっている。

【0029】
本発明の実施形態に係る金属酸化物粒子の製造方法が採用しているハイブリッド加熱方式(複合加熱方式)では、マイクロ波のみによる加熱方式に比べると、マイクロ波出力を低下させているので、マイクロ波加熱で生じるヒートスポットの数や温度、酸化銅粒子の発熱量は低下することとなる。このために、ハイブリッド加熱方式においては、ある程度粒子成長することができ、粒子径がマイクロ波加熱方式とヒーター加熱方式との間となることと考えられる。また、外周部が断熱部材14によって断熱されており、バルクスケールの温度分布も均一化されているために粒度分布が均一化されているものと考えられる。

【0030】
以上、本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、加熱工程では、ヒーターによる加熱とマイクロ波による加熱を同時に行う複合加熱方式によって、金属酸化物前駆体である溶液による熱の吸収形態を適宜制御するので、金属酸化物粒子の生成の反応プロセスをコントロールでき、生成される金属酸化物粒子の平均粒子径の制御を行うことが可能となる。

【0031】
また、本発明の金属酸化物粒子の製造方法によれば、生成される金属酸化物粒子の平均粒子径の制御を行うことが可能となり、さらにこの金属酸化物粒子を原料とした焼結体の密度を、焼結体の粒径を変えることでコントロールできる可能性があるため、焼結体製造分野での原料粉調整工程への応用も可能である。
【符号の説明】
【0032】
10・・・加熱室
11・・・制御部
12・・・ヒーター
13・・・温度検出部
14・・・断熱部材
15・・・反応容器
20・・・マグネトロン
21・・・マイクロ波導入口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図10】
6
【図11】
7
【図12】
8
【図7】
9
【図8】
10
【図9】
11