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明細書 :層状ケイ酸塩化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5634174号 (P5634174)
公開番号 特開2012-051759 (P2012-051759A)
登録日 平成26年10月24日(2014.10.24)
発行日 平成26年12月3日(2014.12.3)
公開日 平成24年3月15日(2012.3.15)
発明の名称または考案の名称 層状ケイ酸塩化合物の製造方法
国際特許分類 C01B  33/38        (2006.01)
FI C01B 33/38
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2010-195516 (P2010-195516)
出願日 平成22年9月1日(2010.9.1)
審査請求日 平成25年8月1日(2013.8.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505127721
【氏名又は名称】公立大学法人大阪府立大学
発明者または考案者 【氏名】岩▲崎▼ 智宏
個別代理人の代理人 【識別番号】100114030、【弁理士】、【氏名又は名称】鹿島 義雄
審査官 【審査官】佐藤 哲
参考文献・文献 特開平03-101824(JP,A)
特表平06-503060(JP,A)
特開2005-239459(JP,A)
特開平09-227116(JP,A)
特開2006-124524(JP,A)
特許第3876521(JP,B2)
特開2004-002132(JP,A)
特開2000-086230(JP,A)
調査した分野 C01B 33/20 - 39/54
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
23重量%以上26重量%以下のSiO、6重量%以上8重量%以下のNaOとを含有する混合水溶液を、水熱条件下で反応させる水熱処理工程を含む層状ケイ酸塩化合物の製造方法であって、
前記層状ケイ酸塩化合物は、アイラアイトであり、
前記水熱処理工程を実行する前に、前記混合水溶液と、媒体用ボールとを容器内に充填する仕込工程を実行し、
前記水熱処理工程において、前記混合水溶液と、媒体用ボールとを充填した容器を90℃以上130℃以下の水熱条件下に置くことを特徴とする層状ケイ酸塩化合物の製造方法。
【請求項2】
前記容器は、ボールミルであり、
前記水熱処理工程を実行する前に、前記ボールミルを用いて混合水溶液をミリング処理するミリング処理工程を実行することを特徴とする請求項1に記載の層状ケイ酸塩化合物の製造方法。
【請求項3】
前記媒体用ボールは、ジルコニアボールであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の層状ケイ酸塩化合物の製造方法。
【請求項4】
前記混合水溶液は、コロイダルシリカが混合されることにより作製されることを特徴とする請求項1~請求項のいずれかに記載の層状ケイ酸塩化合物の製造方法。
【請求項5】
前記混合水溶液は、水酸化ナトリウムが混合されることにより作製されることを特徴とする請求項1~請求項のいずれかに記載の層状ケイ酸塩化合物の製造方法。
【請求項6】
前記混合水溶液は、水ガラスであることを特徴とする請求項1~請求項のいずれかに記載の層状ケイ酸塩化合物の製造方法。
【請求項7】
前記水ガラスは、4号水ガラスであることを特徴とする請求項に記載の層状ケイ酸塩化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、触媒、吸着剤、イオン交換体、体質顔料、複合材料の基材等に用いられる層状ケイ酸塩化合物の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、層状ケイ酸塩化合物結晶の合成時間の短縮と、層状ケイ酸塩化合物結晶の大きさの制御とを可能とする層状ケイ酸塩化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マガディアイト(magadilite)、カネマイト(kanemite)、マカタイト(makatite)、アイラアイト(ilaite)、ケニヤアイト(kenyaite)等の層状ケイ酸塩鉱物は、層間が伸縮可能であることから、吸着剤、脱臭剤等の収着材料、イオン交換体、軟化剤、触媒等の担体として用いられている。さらに、層状ケイ酸塩鉱物は、シリカ等の酸化物によるインターカレーションや、層表面のシラノール基の修飾により、その層構造を変化させて被吸着物質に対する選択性等を制御したり耐熱性を向上させたりして、吸着材料、カラム材等の分離用材、撥水材料、撥油材料、排ガス浄化用等の触媒担体、充填材等に利用されている。
【0003】
これらの層状ケイ酸塩鉱物の中でもアイラアイト(化学式NaO・8SiO・10HO)は、平面状ケイ酸骨格の積層構造をもち、層間にシラノール基を有しており、マガディアイトやケニヤアイト等の他の層状ケイ酸塩鉱物では見られない特徴的な性質をもっている。例えば、アイラアイトの粒子の形状は、非常に規則的な長方形の板状であり、分散性が極めて高いことから、各種機能性材料におけるホスト化合物として、無機ナノ粒子の被覆処理による紫外線遮蔽材料(例えば、特許文献1参照)、パール顔料(例えば、特許文献2参照)、インターカレーションによるメソポア多孔体(例えば、特許文献3参照)、触媒(例えば、非特許文献1参照)、有機・無機ハイブリッド材料(例えば、非特許文献2参照)に利用されている。
【0004】
このようなアイラアイトは、天然に存在しないため、人工的に合成することによってのみ得られる。アイラアイトの合成には、コロイダルシリカと水酸化ナトリウムとを混合した混合水溶液(例えば、SiO1モルあたりNaO0.25モル、水7.5モルの組成を有する)をステンレス鋼(SUS304)製の容器に充填して、オーブン内に入れることにより、100℃程度の水熱条件下で反応させる合成方法が広く採用されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第3876521号
【特許文献2】特開2006-124524号公報
【特許文献3】特許第2949215号
【特許文献4】特開平9-227116号公報
【0006】

【非特許文献1】「Synthesis and characterization of transition metal oxide-pillared materials with mesoporosity from layered silicate ilerite」Sun Jin Kim、Eun Ji Kim、Tae Bum Kang、Kwang-Doeg Jung、Oh-Shim Joo、Chae-Ho Shin、Journal of Porous Materials 13 (2006) 27-35
【非特許文献2】「Synthesis of new microporous layered organic-inorganic hybrid nanocomposites by alkoxysilylation of a crystalline layered silicate、ilerite」Ryo Ishii、Takuji Ikeda、Tetsuji Itoh、Takeo Ebina、Toshirou Yokoyama、Takaaki Hanaoka、Fujio Mizukami、Journal of Materials Chemistry 16 (2006) 4035-4043
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したような合成方法では、混合水溶液を水熱条件下に置くことで、比較的大きい分子量のケイ酸ナトリウム分子が加水分解により低分子化し、さらに低分子化したケイ酸ナトリウム分子間で縮重合が起こることで、シリカ骨格の2次構造ユニットと呼ばれる、アイラアイトの結晶核の前駆体が生成する。これら前駆体間でさらに縮重合が進むことで、アイラアイトの結晶核が生成し、結晶核が結晶成長することで、アイラアイトの結晶が生成することになる。
【0008】
しかし、結晶核が生成した後の結晶成長は速やかに進行するが、結晶核が生成するまでの誘導期間が非常に長く、1週間以上を必要とし、例えば100℃で水熱処理を行った場合では誘導期間は約18日である。なお、水熱処理における加熱温度を上げることで誘導期間を僅かに短縮できるが、温度上昇に伴って他の層状ケイ酸塩化合物(マガディアイト)も生成しはじめることから、温度上昇による誘導期間の大幅な短縮は困難である。このため、誘導期間が非常に長いので、電力等の消費エネルギーが多くなり、その結果、製造経費が高くなり、現状ではアイラアイトは工業的な応用展開には至っていない。
さらに、上述したような合成方法では、アイラアイトの結晶の成長が制御できないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本件発明者は、上記課題を解決するために、アイラアイト等の層状ケイ酸塩化合物の製造方法について検討を行った。その結果、混合水溶液と、セラミック(金属酸化物)製の媒体用ボールとを容器内に充填して、水熱処理工程を実行することにより、アイラアイトの結晶核のボール表面での不均一核生成が促進されることを見出した。
また、メカノケミカル効果を利用することによって、結晶核の前駆体の生成が促進され、前駆体を水熱処理することで速やかに結晶核の生成が起こり、合成時間の短縮が行えることがわかった。つまり、水熱処理工程を実行する前に、ボールミルでミリング処理するミリング処理工程を実行することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、23重量%以上26重量%以下のSiO、6重量%以上8重量%以下のNaOとを含有する混合水溶液を、水熱条件下で反応させる水熱処理工程を含む層状ケイ酸塩化合物の製造方法であって、前記層状ケイ酸塩化合物は、アイラアイトであり、前記水熱処理工程を実行する前に、前記混合水溶液と、媒体用ボールとを容器内に充填する仕込工程を実行し、前記水熱処理工程において、前記混合水溶液と、媒体用ボールとを充填した容器を90℃以上130℃以下の水熱条件下に置くようにしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法によれば、層状ケイ酸塩化合物結晶の合成時間の短縮を可能とする。
【0012】
(他の課題を解決するための手段および効果)
また、本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、前記容器は、ボールミルであり、前記水熱処理工程を実行する前に、前記ボールミルを用いて混合水溶液をミリング処理するミリング処理工程を実行するようにしてもよい。
本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法によれば、層状ケイ酸塩化合物結晶の合成時間の短縮をより可能とし、さらにミリング処理工程で使用したボールミルをそのまま水熱処理工程で使用することができる。また、ミリング処理時間によって層状ケイ酸塩化合物結晶の大きさの制御を可能とする。
【0013】
また、本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、前記媒体用ボールは、ジルコニアボールであるようにしてもよい
【0014】
また、本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、前記混合水溶液は、コロイダルシリカが混合されることにより作製されるようにしてもよい。
また、本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、前記混合水溶液は、水酸化ナトリウムが混合されることにより作製されるようにしてもよい。
【0015】
さらに、本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、前記混合水溶液は、水ガラスであるようにしてもよい。
そして、本発明の層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、前記水ガラスは、4号水ガラスであるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】110℃のオーブン内に入れた水熱処理時間と、収率との関係を示すグラフである。
【図2】ミリング処理時間と、収率との関係を示すグラフである。
【図3】実施例1~3に係るアイラアイトの結晶性と構造とを、粉末X線回折装置で判断した図である。
【図4】実施例1に係るアイラアイトの外観を、電界放射型走査電子顕微鏡で観察した写真である。
【図5】実施例2に係るアイラアイトの外観を、電界放射型走査電子顕微鏡で観察した写真である。
【図6】実施例3に係るアイラアイトの外観を、電界放射型走査電子顕微鏡で観察した写真である。
【図7】層状ケイ酸塩化合物結晶の大きさと、ミリング処理時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。

【0018】
本発明に係る層状ケイ酸塩化合物の製造方法は、混合水溶液を作製する混合水溶液作製工程(A)と、混合水溶液と媒体用ボールとをボールミル(容器)内に充填する仕込工程(B)と、ボールミルを用いて混合水溶液をミリング処理するミリング処理工程(C)と、混合水溶液を水熱条件下で反応させる水熱処理工程(D)とを含むことになる。

【0019】
(A)混合水溶液作製工程
SiOとNaOとを含有する混合水溶液を作製する。
上記SiOとしては、アモルファスシリカの使用が好適である。一般には、湿式法で合成されたシリカであればよく、特にその履歴は限定されない。例えば、珪酸ソーダやアルコキシドを原料として得られるシリカや、ケイ酸塩鉱石を鉱酸処理して得られるアモルファスシリカを用いることができる。
上記NaOとしては、水酸化ナトリウムの使用が好適である。
なお、水ガラス(珪酸ソーダ、(4号水ガラス))をそのまま使用、もしくは、水ガラスにシリカ源やナトリウム源や水を添加し濃度調整して使用することもできる。
そして、混合水溶液は、23重量%以上26重量%以下のSiOと、6重量%以上8重量%以下のNaOとを含有することが好ましい。

【0020】
(B)仕込工程
混合水溶液と媒体用ボールとをボールミル(容器)内に充填する。
上記ボールミルとして、生成物の汚染防止のために、ミル容器がセラミック製、もしくは、内面がフッ素樹脂等の耐摩耗材料で被覆された金属製のものを使用することが好ましい。
上記媒体用ボールとしては、生成物の汚染防止と結晶核生成の促進とのために、セラミック製が好ましく、ジルコニア製がより好ましい。そして、媒体用ボールの直径は、0.1mm~10mmであることが好ましく、1mm~5mmであることがより好ましい。

【0021】
(C)ミリング処理工程
媒体用ボールが充填されたボールミルを用いて混合水溶液をミリング処理する。
ボールミルの理論臨界回転速度は20%~150%であることが好ましく、80%~120%がより好ましい。また、ミリング処理時の温度は0℃~40℃であることが好ましく、20℃~30℃であることがより好ましい。
また、ミリング処理時間は、本発明に係る層状ケイ酸塩化合物の製造方法では、得ようとする層状ケイ酸塩化合物結晶の大きさによって、適宜決定されることになる。しかし、ミリング処理時間は、収率の点からは、2時間~12時間であることが好ましく、3時間~6時間であることがより好ましい。

【0022】
(D)水熱処理工程
混合水溶液をオーブン内に入れることにより、90℃以上130℃以下の水熱条件下で反応させる。
水熱処理では、ミリング処理工程で使用したボールミルをそのまま水熱処理工程で使用することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
【実施例】
【0024】
<実施例1> 実施例1に係るアイラアイトの製造
(A)混合水溶液作製工程
4号水ガラス(関東化学株式会社製、SiO:24.3重量%、NaO:6.7重量%)を準備した。
(B)仕込工程
ボールミルとして、内径90mm、奥行き80mm、容量500mlであるステンレス鋼(SUS304)製の円筒型密閉容器を使用した。なお、ボールミルの内面は、フッ素樹脂で被覆されている。また、媒体用ボールとして、直径3mmであるジルコニアボールを使用した。ボールミル内には、ボールミルの容量の40体積%相当量(743g)の媒体用ボールを充填した。
そして、媒体用ボールが充填されたボールミル内に、78g(約60ml)の4号水ガラスを仕込んだ。
【実施例】
【0025】
(C)ミリング処理工程
ボールミルを、室温(20℃)、回転速度140rpm(理論臨界回転速度の100%に相当)、3時間、回転させることによりミリング処理した。なお、ミリング処理工程の前後での混合水溶液の外観の変化は見られなかった。
(D)水熱処理工程
ボールミルを、110℃のオーブン内に入れることで水熱処理した。そして、ボールミルを室温まで冷却した後、合成物を取り出して洗浄し、3日間、40℃の空気中で乾燥することにより、実施例1に係るアイラアイトを作製した。
【実施例】
【0026】
<比較例1> 比較例1に係るアイラアイトの製造
実施例1における仕込工程において、ジルコニアボールを充填せず、ミリング処理工程を実行しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るアイラアイトを作製した。
【実施例】
【0027】
<評価1>収率
実施例1に係るアイラアイトと比較例1に係るアイラアイトとの収率を算出した。このとき、アイラアイトの収率として、ボールミル内に仕込んだ水ガラスから量論的に合成しうる最大のアイラアイトの重量に対する、生成した固相重量の割合(重量%)を算出した。その結果を図1に示す。図1は、110℃のオーブン内に入れた水熱処理時間と、収率との関係を示すグラフである。
図1に示すように、実施例1に係るアイラアイトの製造方法では、約3日間の誘導期間を経た後、結晶成長が顕著となり、5日後に収率は平衡に達した。一方、比較例1に係るアイラアイトの製造方法では、約7日間の誘導期間を経た後、結晶成長が顕著となり、11日後に収率は平衡に達した。
以上のように、実施例1に係るアイラアイトの製造方法では、比較例1に係るアイラアイトの製造方法と比較して、半分以下の時間でアイラアイトが合成できることが確認できた。
【実施例】
【0028】
<実施例2>実施例2に係るアイラアイトの製造
実施例1におけるミリング処理工程の時間を3時間とした代わりに、2時間とするとともに、水熱処理工程でボールミルをオーブン内に5日間入れたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るアイラアイトを作製した。
<実施例3>実施例3に係るアイラアイトの製造
実施例1におけるミリング処理工程の時間を3時間とした代わりに、6時間とするとともに、水熱処理工程でボールミルをオーブン内に5日間入れたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るアイラアイトを作製した。
【実施例】
【0029】
<実施例4>実施例4に係るアイラアイトの製造
実施例1におけるミリング処理工程を実行しなかったとともに、水熱処理工程でボールミルをオーブン内に5日間入れたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4に係るアイラアイトを作製した。
<実施例5>実施例5に係るアイラアイトの製造
実施例1におけるミリング処理工程の時間を3時間とした代わりに、2.5時間とするとともに、水熱処理工程でボールミルをオーブン内に5日間入れたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5に係るアイラアイトを作製した。
【実施例】
【0030】
<評価1>収率
実施例1~5に係るアイラアイトと比較例1に係るアイラアイトとの収率を算出した。このとき、アイラアイトの収率として、ボールミル内に仕込んだ水ガラスから量論的に合成しうる最大のアイラアイトの重量に対する、生成した固相重量の割合(重量%)を算出した。その結果を図2に示す。図2は、ミリング処理時間と、収率との関係を示すグラフである。
図2に示すように、実施例1~5に係るアイラアイトの製造方法では、水熱処理工程でボールミルをオーブン内に5日間入れれば、アイラアイトを得ることができた。一方、比較例1に係るアイラアイトの製造方法では、水熱処理工程でボールミルをオーブン内に5日間入れても、アイラアイトを得ることができなかった。また、ミリング時間が2時間を越えると、収率の大幅な増加が見られ、3時間以上では収率はほぼ一定となった。
【実施例】
【0031】
<評価2>結晶性と構造と外観
実施例1~3に係るアイラアイトの結晶性と構造とを、粉末X線回折装置(XRD、株式会社リガク製、「RINT-1500」)で判断した。その結果を図3に示す。
また、実施例1~3に係るアイラアイトの外観を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM、日本電子株式会社製、「JSM-6700F」)で観察した。その結果を図4~図6に示す。図4は、実施例1に係るアイラアイトの外観を、電界放射型走査電子顕微鏡で観察した写真であり、図5は、実施例2に係るアイラアイトの外観を、電界放射型走査電子顕微鏡で観察した写真であり、図6は、実施例3に係るアイラアイトの外観を、電界放射型走査電子顕微鏡で観察した写真である。
図3~図6に示すように、実施例1~3に係るアイラアイトの製造方法では、水熱処理工程でボールミルをオーブン内に5日間入れれば、結晶性の高いアイラアイトが生成していることが確認された。
【実施例】
【0032】
<評価3>粒子径
実施例1~2及び実施例5に係るアイラアイトの粒子径を、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定した。その結果を図7に示す。図7は、層状ケイ酸塩化合物結晶の大きさ(中位径)と、ミリング処理時間との関係を示すグラフである。なお、中位径とは、粒度分布においてある粒子径より大きい粒子の割合が、全体の50%を占めるときの粒子径である。
図7に示すように、ミリング処理時間によって層状ケイ酸塩化合物結晶の大きさを制御することができることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば、触媒、吸着剤、イオン交換体、体質顔料、複合材料の基材等に用いられる層状ケイ酸塩化合物の製造方法等に利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図7】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6