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明細書 :人体背骨測定表示システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4120825号 (P4120825)
登録日 平成20年5月9日(2008.5.9)
発行日 平成20年7月16日(2008.7.16)
発明の名称または考案の名称 人体背骨測定表示システム
国際特許分類 A61B   5/107       (2006.01)
FI A61B 5/10 300C
請求項の数または発明の数 2
全頁数 14
出願番号 特願2003-522368 (P2003-522368)
出願日 平成14年4月18日(2002.4.18)
国際出願番号 PCT/JP2002/003885
国際公開番号 WO2003/017839
国際公開日 平成15年3月6日(2003.3.6)
優先権出願番号 2001255547
優先日 平成13年8月27日(2001.8.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成17年3月28日(2005.3.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】和田 勝
【氏名】尾股 定夫
【氏名】小林 義和
【氏名】白井 健二
個別代理人の代理人 【識別番号】100090044、【弁理士】、【氏名又は名称】大滝 均
審査官 【審査官】上田 正樹
参考文献・文献 特開2000-093407(JP,A)
特開2000-245712(JP,A)
特開昭62-233146(JP,A)
米国特許第3955285(US,A)
特開平02-107232(JP,A)
特表2002-528734(JP,A)
調査した分野 A61B 5/107
特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象者の背骨の長手方向(X軸方向)、幅方向(Y軸方向)、厚み方向(Z軸方向)に自在に移動する走査アーム先端に設けられ、測定者の第2手指と第3手指の間に挟んで測定対象者の背骨の第1頸椎位置または第1胸椎位置から第5腰椎位置までこれらの手指先端を沿わせて、前記手指先端の3次元移動により前記X、Y、Z方向の基準位置からの乖離量を検出する測定子と、前記測定子により検出された乖離量を、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の測定データ値を記憶する変換データ記憶手段と、前記測定対象者の性別、身長を入力する入力装置と、人体の背骨を構成する各椎骨に関し、測定者の性別および身長による平均的大きさおよびその基本的形状が記憶された基本図データと、前記入力装置により入力された測定対象者の性別、身長に応じて、その性別、身長に対応する各椎骨を前記基本図データから選択する椎骨テーブルと、前記推骨テーブルで選択された各椎骨の大きさ、形状に基づいて、基本となる背骨全体の画像を生成する合成手段と、前記合成手段により生成された背骨画像に前記変換データ記憶手段に記憶された測定データに基づいて、各椎骨のX方向、Y方向、Z方向の座標位置に測定対象者の3次元背骨画像を生成して背骨画像を表示画面に表示する画像データ生成手段と、からなることを特徴とする人体背骨測定表示システム。
【請求項2】
前記擬似的な背骨画像は、所定の指示に基づいて、前記表示画面に表示した背骨の画像を所定方向に移動あるいは所定角度回転させて表示させたことを特徴とする前記請求項1に記載の人体背骨測定表示システム。
発明の詳細な説明 技術分野
本発明は、人体の背骨の曲がりを簡便な方法で測定することができ、さらにその測定した値をもとに表示画面上にリアルに表示することのできる人体背骨測定表示システムに関する。
背景技術
従来より、背骨の歪みや曲がりは、人体に内臓疾患や肩こり、頭痛といった様々な影響をおよぼすことが知られている。そのため背骨に曲がりがあるかを確認するために、カイロプラクティックの施術者が、人体の背骨位置を触診し背骨が曲がっているか否かを確認する手技方法や、人体表面に左右対称なモアレ模様が映し出されるか否を視認することのできるモアレトポグラフィを使用する方法や、血流不良から生じる人体表面の温度を検出し、その温度分布により身体の歪み(背骨の曲がり)を視認することのできるサーモグラフィを使用する方法が用いられている。
そして、背骨に曲がりがあることが判った場合には、患者に対して、モアレトポグラフィやサーモグラフィの画像を見せて、人体の表面的な状態から、「背骨が右あるいは左に曲がっている」といった説明が行われていた。また、触診による診断は、触診した結果を患者に口頭により説明がなされていた。
そして、施術者による手技療法により、曲がっている背骨に対し、人体表面から所定の施術を行い、背骨の曲がりを矯正・改善していた。
しかしながら、上述した従来の方法は、患者(測定対象者)に対して行われる背骨の状態の説明は、口頭で説明を受けるのみであるため、背骨の具体的曲がり状態を知ることはできなかった。また、モアレトポグラフィやサーモグラフィ画像への表示内容から背骨の具体的曲がり具合を知るためには、表示内容を把握するのに熟練を要し、素人目にも簡単に背骨の曲がり具合を知ることは困難であった。さらに、曲がった背骨に対し、触診し、その後に所定の施術を行った結果を説明する場合にも、触診や施術自体が施術者の技術や経験に頼る部分が多く、患者(測定対象者)にとっては、自己の背骨の曲がり具合や矯正具合を説明されても、背骨の何れの部分が、どのくらい、何れの方向に曲がっているのか、あるいは、施術後に背骨の曲がりがどのくらい矯正されたのか、といった具体的な曲がり状態を理解することが難しかった。すなわち、施術者による背骨の曲がり状態の口頭での説明は、例えば「上部胸椎の××枚目が・・になっている。」というように、専門的な表現がなされ、自己の背骨の何れがどの様になっているのか理解し難いといった問題があった。
発明の開示
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされ、所定の測定子を背骨に沿って走査させることにより、背骨の3次元座標の測定データを求め、その測定データから背骨の形状をシミュレーションし、コンピュータグラフィックを利用して3次元の擬似的な背骨画像を表示することのできる人体背骨測定表示システムを提供することを目的とする。
本願請求項1に係る発明は、人体背骨測定表示システムに係り、測定対象者の背骨の長手方向(X軸方向)、幅方向(Y軸方向)、厚み方向(Z軸方向)に自在に移動する走査アーム先端に設けられ、測定者の第2手指と第3手指の間に挟んで測定対象者の背骨の第1頸椎位置または第1胸椎位置から第5腰椎位置までこれらの手指先端を沿わせて、前記手指先端の3次元移動により前記X、Y、Z方向の基準位置からの乖離量を検出する測定子と、前記測定子により検出された乖離量を、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の測定データ値を記憶する変換データ記憶手段と、前記測定対象者の性別、身長を入力する入力装置と、人体の背骨を構成する各椎骨に関し、測定者の性別および身長による平均的大きさおよびその基本的形状が記憶された基本図データと、前記入力装置により入力された測定対象者の性別、身長に応じて、その性別、身長に対応する各椎骨を前記基本図データから選択する椎骨テーブルと、前記推骨テーブルで選択された各椎骨の大きさ、形状に基づいて、基本となる背骨全体の画像を生成する合成手段と、前記合成手段により生成された背骨画像に前記変換データ記憶手段に記憶された測定データに基づいて、各椎骨のX方向、Y方向、Z方向の座標位置に測定対象者の3次元背骨画像を生成して背骨画像を表示画面に表示する画像データ生成手段とからなることを特徴とする。
本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載人体背骨測定表示システムに係り、前記擬似的な背骨画像は、所定の指示に基づいて、前記表示画面に表示した背骨の画像を所定方向に移動あるいは所定角度回転させて表示させたことを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る人体背骨測定表示システムの概略構成図である。図1中、1は、人体背骨測定表示システム、2は、背骨測定装置、3は、人体の表面から背骨を走査させる測定子、4は、垂直支持アーム、5は、平行支持アーム、6は、測定方向支持アーム(垂直支持アーム4、平行支持アーム5、測定方向支持アーム6により走査アームが構成される)、7は、測定ベッド、8は、座標検出装置、9は、表示装置本体、10は、入力装置、11は、表示画面である。
測定子3は、患者(測定対象者)の背骨を表面上から走査させるためのものであり、形状は逆T字型となり、その底部は背骨の凹凸に沿うように若干の凹形状となっている。また、この測定子3は、本実施の形態では、センサ(磁気スケール式デジタルセンサ)を有している。
すなわち、この測定子3は、測定者の第2手指と第3手指の間に挟んで第2指と第3指の先端を測定対象者の背骨の第1頸椎位置または第1胸椎位置(首の付け根)から第5腰椎位置までの背骨に沿って、背骨の曲がり状態をその移動量(乖離量)によって接触測定する。
垂直支持アーム4は、前記測定子3が下方先端にあって、胸部の厚み方向(Z軸方向)の背骨の凹凸にそって移動自在となるように設けられている。
平行支持アーム5は、前記測定子3が設けられた垂直支持アーム4が、背中の幅方向(Y軸方向)に移動自在となるように設けられている。
測定方向支持アーム6は、前記平行支持アーム5が背骨の長手方向(X軸方向)に移動自在に設けられ、前記測定ベッド7の長手方向である一側部に設けられたものである。
測定ベッド7は、患者(測定対象者)が俯せに横たわることのできる幅600mm、長さ1800mm、高さ500mm程度の大きさからなる。患者(測定対象者)が、当該測定ベッド7の所定位置に俯せで横たわることにより、患者(測定対象者)の背骨が一定の状態となり、前記測定子3を背骨上に走査させる場合に、背骨の測定が正確に行えるようにするためのものである。
すなわち、測定ベッド7に横たわった患者(測定対象者)の背骨の曲がり状態を測定する際に、測定者が前記測定子3を徒手し、背骨の表面上を首から腰方向へ移動させると、前記垂直支持アーム4、平行支持アーム5、測定方向支持アーム6により、例えば、X方向に900mm、Y方向に400mm、Z方向に200mmの範囲内で背骨の凹凸や左右へのズレに準じるように構成されている。
座標検出装置8は、本実施の形態では、前記測定方向支持アーム6に取り付けられ、前記測定子3のX方向、Y方向、Z方向への移動量を、例えば、エンコーダ(24ビットアップダウンカウンターボード(PCN24-4(PCI)))により、所定のパルス信号としてカウントし、各座標ごとに任意に設定したカウント比較値と一致したときの座標値をデジタル値として検出するものである。そして、検出した測定データを、表示装置本体9に伝送する。
図2は、このような座標検出装置8の説明図であり、座標検出装置8には、X座標軸、Y座標軸、Z座標軸のそれぞれのチャンネル(ch0、ch1、ch2)8a、8b、8cと、16進数のデータが検出され表示される16進数表示部8dと、10進数のデータが検出され表示される10進数表示部8eと、0.1秒毎の座標値のカウントがステータス8fとして検出され表示される。
図3は、背骨の曲がり状態を表示させる前記表示装置本体9のブロック構成図であり、前記入力装置10と前記表示画面11が接続されている。
図3中、12は、前記座標検出装置8により変換されたデジタル値の測定データを記憶する測定データ記憶手段、13は、前記測定データ記憶手段12に記憶された測定データを所定変換手順により変換を行う変換手段、14は、前記変換手段13により変換された変換データを記憶する変換データ記憶手段、15は、椎骨の基本モデルの画像データが記憶された基本図データ、16は、前記変換データにより背骨画像を作成する際に参照する椎骨テーブルデータ、17は、前記変換データを元に測定者の椎骨の画像を作成する合成手段、18は、前記合成手段17より作成された各椎骨を背骨に生成する画像データ生成手段である。
表示装置本体9は、本実施の形態では、例えばパーソナルコンピュータであり、前記背骨測定装置2から伝送される測定データに基づいて所定の演算を行い、背骨の状態をリアルに表示する画像データを作成する。
例えば、本実施の形態では、パーソナルコンピュータとして、Apple社のPowerMac7100/66AVを使用し、記憶手段であるROM9b、RAM9cを有するマイクロプロセッサ9aとして、66MHzのPowerPC601が搭載されている。またマイクロプロセッサ9aにより実行される3次元コンピュータグラフィックの画像処理ソフトプログラム(例えば、AdobePremire3.0)により画像処理を行う。
入力装置10は、前記表示装置本体9に接続され、背骨の測定対象者の身長等の情報を入力するキーボードやマウスである。
表示画面11は、本実施の形態では、CRT表示画面や液晶表示画面であり、前記測定した背骨の状態をリアルに画像表示する。
測定データ記憶手段12は、前記座標検出装置8から伝送されたデジタルの測定データがX方向、Y方向、Z方向の座標値で記憶されている。
変換手段13は、前記測定データ記憶手段12に記憶された測定データを所定の方法により変換データに変換するものである。
変換データ記憶手段14は、前記変換手段13により変換された結果が変換データとして記憶されている。
すなわち、前記測定走査手段3が前記フレーム2bに沿って人体の頭部から腰部への移動方向をX軸方向とし、人体の背骨の凹凸に沿って前記測定走査手段3が上下動する方向をY軸方向とし、人体の背骨の「曲がり」等に沿って前記測定走査手段3の人体の幅方向への移動をZ軸方向とする。
図4は、前記変換手段13により、測定データから変換データに変換する様子の説明図である。
すなわち、図4(a)は、前記測定データ記憶手段12に記憶された測定データであり、左からそれぞれX方向、Y方向、Z方向の測定データである。前記変換手段13により、X方向(背骨の長さ方向)を1ミリメートルごとに分割し、例えば、X方向の座標値が「001」から「009」までのうち最大である「009」と、「011」から「019」までのうち最大である「019」、・・・、「4461」から「4469」までのうち最大である「4469」、そして、最後のデータ「4476」、つまりX方向の値が「009」、「019」、・・・、「4469」、「4476」を検出し、それらのX方向、Y方向、Z方向の座標値を一時的にメモリ(RAM等)に記憶しておく(図4(b)参照)。
このように検出された測定データは下1桁が小数点以下の数値であり、測定時の誤差も含まれることが考えられることから、小数点以下は切り捨てて整数を得る。
また、図4(b)に示すように、最初の測定データであるX方向の座標値、Y方向の座標値、Z方向の座標値は、(X、Y、Z)=(009、0002、0044)であり、この測定データの小数点以下を切り捨てると、(X、Y、Z)=(0、0、4)となる。つぎに(X、Y、Z)=(019、0004、0049)は、(X、Y、Z)=(1、0、4)となり、つづいて(X、Y、Z)=(029、0005、0053)は、(X、Y、Z)=(2、0、5)に、そして最後の測定データ(X、Y、Z)=(4476、0212、0488)は、(X、Y、Z)=(447、21、48)とそれぞれ整数変換した数値が得られる(図4(c)参照)。
そして、この変換した数値を測定データに基づいた変換データとして変換データ記憶手段14に記憶する。
つぎに、人体の背骨を構成する椎骨は、椎骨数が決まっているため、身長差等により背骨長さが変わってくる。そこで予め基本となる平均測定値データを椎骨テーブル16として記憶しておく。そして椎骨の形状を基本モデルとして基本図データ15に記憶しておき、これら椎骨テーブル16と基本図データ15に、実測値に基づく前記変換データを反映して、測定対象者の背骨のシミュレーションを行うと、擬似的な背骨をリアルな画像として表示でき、例えば背骨の曲がっている部分が、何れの椎骨であるかを図り知ることが可能となる。
基本図データ15は、人体の背骨(脊柱)を構成する頸椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙骨(5個)、尾骨(5個)からなり、これらの椎骨の形状の画像データである。このような椎骨の基本構造は、腹側に椎間板を挟んで上下に隣接し、その背側には脊髄を通し骨性に取り囲まれた空隙(椎孔)を有し、後方には棘突起を有したものである。
図5は、脊骨(脊椎)を構成する椎骨(第4胸椎)の基本構造の説明図である。
図5(a)は、椎骨15の上面形状であり、丸みをおびた椎体15aと、その背側に椎孔15bと、椎孔15bの両側部の椎弓根15cと、後方背側の中央に棘突起15dと、その両側部に横突起15eがそれぞれ形成され、椎孔15bの両側部には、斜め上方(背側向き)に他の椎骨とつながる上関節突起15fが形成されて成る。
図5(b)は、椎骨15の下面形状であり、前記椎孔15bの両側部には、斜め下方(背側から腹側向き)に他の椎骨とつながる下関節突起15gが形成されて成る。
図5(c)は、椎骨15の左側面形状であり、前記椎孔15bの下方は半円形に切り欠かれた下椎切痕15hと、下椎切痕15hの腹側の両下方に下肋骨窩15iと、下肋骨窩15iの両上方に上肋骨窩15jと、前記横突起15eの先端部分の横突肋骨窩15kにより形成されている。
そして、このような形状を成した各椎骨の画像データが、当該基本図データ15に記憶されている。
椎骨テーブル16は、本実施の形態では、例えば、日本人成人男性の椎骨の平均計測値(±標準偏差)、日本人成人女性の椎骨の平均計測値(±標準偏差)をテーブルにしたものである。
図6は、このような椎骨の平均測定値を椎骨テーブル16として示したものであり、同(a)は、日本人成人男性(年齢:26歳)の椎骨計測値であり、例えば、腹側高の平均値(±標準偏差)は、第3頸椎が12.93mm±1.45mm、第4頸椎が12.24mm±1.21mm、・・・、第1胸椎が15.12mm±1.12mm、・・・、第12胸椎が22.33mm±1.91mm、第1腰椎が23.39mm±1.80mm、・・・、第5腰椎が25.15mm±2.29mmとなり、背側高、上面矢状径、下面矢状径、上面横径、下面横径のそれぞれについて、第3頸椎から第5腰椎まで表されたものである。
同(b)は、日本人成人女性(年齢:26歳)の椎骨平均計測値であり、同様に、腹側高の平均値(±標準偏差)は、第3頸椎が12.28mm±1.23mm、第4頸椎が11.61mm±1.17mm、・・・、第1胸椎が14.89mm±1.23mm、・・・、第12胸椎が22.10mm±1.80mm、第1腰椎が23.76mm±1.94mm、・・・、第5腰椎が24.85mm±2.11mmとなり、背側高、上面矢状径、下面矢状径、上面横径、下面横径のそれぞれについて、第3頸椎から第5腰椎まで表されたものである。
そして、男女それぞれについて、このような椎骨テーブル16が作成され、記憶されている。
合成手段17は、前記基本図データ15に記憶された各椎骨の形状画像に前記椎骨テーブル16による大きさを反映して、背骨のリアルな擬似画像を得るものである。すなわち、前記基本図データ15に記憶された各椎骨のうち、例えば、第4胸椎の上方には椎間板を介して第3胸椎が位置し、第4胸椎の前記上関節突起15fと、第3胸椎の下関節突起15gがつながっている。そして、順次第3胸椎の上方に第2胸椎、その上方に第1胸椎というように第1頸椎から尾骨までを合成すると背骨の画像が形成される。
つまり前記椎骨テーブル16に記憶されたデータは、日本人の平均値に標準偏差を考慮したものであり、その性別、身長に基づいて、測定開始の第1胸椎から第5腰椎までの17個の椎骨(実際の表示は第1頸椎から第5腰椎の24個)の大きさにより、基本図データ15を選び出して組み合わせ基本モデルの背骨の画像が得られる。
画像データ生成手段18は、本実施の形態では、前記合成手段17により作成された基本となる背骨の形状に前記変換データ(測定データ)を反映して、測定対象者個人の背骨の状態の画像データを生成するものである。
つまり、前記変換データ(測定データ)は、上述したように、背骨長手方向であるX方向1mm毎に対して、背中の幅方向Y方向、胸の厚み方向Z方向の位置が測定されており、この変換データ(測定データ)を分割して各椎骨に割り当てる。すると、X値何ミリから何ミリまでは、「第×腰椎」であることが得られる。
そして、このような背骨の画像データは、前記マイクロプロセッサ9aにより実行される3次元コンピュータグラフィックの画像処理ソフトプログラムを利用して、視点の座標を変更すると、背骨の画像を所定方向に回転して表示することができる。
図7は、椎骨間の角度を求める様子を示した説明図であり、同(a)は、椎骨間の左右の曲がり角度を示し、同(b)は前後の曲がり角度を示した説明図である。
図7(a)に示すように、例えば、B1を第3腰椎、Tを椎間板、B2を第2腰椎とすると、これは各椎骨に分割された変換データ(測定データ)の第2腰椎部分に相当するY値と第3腰椎部分に相当するY値から得ることができる。すなわち、背骨に曲がりがない場合には、左右の何れにも傾いていないためY値は全て「0」となるが、例えば第2腰椎が右に傾いている場合にはY値は「1」あるいは「2」に、左に傾いている場合にはY値は「-1」、「-2」として測定されることとなる。
この変換データ(測定データ)を背骨の基本モデルに反映すると、第3腰椎の中心のC1と第2腰椎の中心のC2には角度θ1分の傾きが生じていることが得られ、椎間板Tを変形させて椎骨の画像を生成する。
つぎに図7(b)に示すように、上記同様、B1を第3腰椎、B2を第2腰椎とすると、これは各椎骨に分割された変換データ(測定データ)の第2腰椎部分に相当するZ値と第3腰椎部分に相当するZ値から得ることができる。
すなわち、腰椎の場合は、基本モデルにおいて第3腰椎(C3)に対し第2腰椎(C4)が後ろに「9.27度」傾いている状態、Z値が「-10」(本実施の形態ではX座標、Y座標からなる平面に対し、手前側をプラス、奥側をマイナスとして示す)が正常であり、これに対し変換データ(測定データ)のZ値が「-7」であった場合には、C3とC4の傾きθ2は、例えば「5.06度」として得られる。
このようにして得られた各椎骨間の傾きを基本モデルの背骨画像データに与えることにより、測定対象者の性別や身長に基づいた独自の背骨の状態が画像データとして生成される。
そして、得られた画像データは、表示装置本体(パーソナルコンピュータ)9に接続された前記表示画面11に、3次元コンピュータグラフィックを利用して擬似的な背骨画像として表示される。
図8、本人体背骨測定表示システム1により背骨を測定し、その測定データに基づいて生成した背骨画像である。
図8(a)は、上記測定した背骨全体を生成し背面から表示した背面背骨画像であり、図8(b)は、上記測定した背骨全体を生成し左側面から表示した左側面背骨画像である。
図8(a)に示すように、背骨全体を頸椎部分、上部胸椎、中部胸椎、下部胸椎、腰椎、仙骨、尾骨に分割し、本実施の形態では、それぞれ色分け表示する。例えば、頸椎は「白」、上部胸椎は「赤」、中部頸椎は「青」、下部胸椎は「緑」、腰椎は「黄」、仙骨及び尾骨は「灰」というように色分け表示することにより、背骨の曲がっている部分が何処であるか、またどちらの方向へ曲がっているかが容易に視認できる。そして、この背骨を表示する画像データは、3次元のコンピュータグラフィックの画像データであるため、前記画像データ生成手段18により視点座標を変えた背骨の画像を生成し、図8(b)に示すような左側面背骨画像を表示することができる。
また、例えば、「上部胸椎の曲がりが異常である」と思料される場合には、上部胸椎のみを表示することができる。
前記図8(a)、同(b)の画像が表示されている状態で、入力装置10に設けられた所定キー(例えば、「UPキー(↑)」または「DOWNキー(↓)」)を押下することにより、上部胸椎のみの表示に切替表示することができる。
図9は、前記図8による表示された背骨のうち、上部胸椎のみを生成して表示した背骨画像であり、図9(a)は、上部胸椎の背面背骨画像、図9(b)は、同上部胸椎の左側面背骨画像、図9(c)は、同上部胸椎の正面背骨画像、図9(d)は、同上部胸椎の右側面背骨画像をそれぞれ生成して表示した説明図である。
図9(a)は、上部胸椎の背面背骨画像を生成して表示したものであり、胸椎のうち、上部胸椎と称されている第1胸椎、第2胸椎、第3胸椎、第4胸椎と第4胸椎の下方に位置する第5胸椎が表示される。
そして上部胸椎の画像とともに、前後方向の曲がり角度と左右方向の曲がり角度を算出し、例えば、前後方向の曲がり角度は、第2胸椎に対する第1胸椎の曲がり角度は「第1胸椎→第2胸椎の角度=前に2.85度」、・・・、第5胸椎に対する第4胸椎の曲がり角度は「第4胸椎→第5胸椎の角度=前に10.86度」と前後の曲がり角度の説明を表示してもよい。同様に、左右方向の曲がり角度について、第2胸椎に対する第1胸椎の曲がり角度は「第1胸椎→第2胸椎の角度=左に3.00度」、・・・、第5胸椎に対する第4胸椎の曲がり角度は「第4胸椎→第5胸椎の角度=右に5.40度」等というように前後の曲がり角度の説明を表示することで、背骨の曲がり状態を表示するようにしてもよい。
また、前記図9(a)に示すように上部胸椎の背面背骨画像が表示されている状態で、入力装置10に設けられた所定キー(例えば、「RIGHTキー(→)」または「LEFTキー(←)」)を押下することにより、視点を変更することができ、現在表示されている上部胸椎を回転させた画像を表示することができる。
例えば、図9(a)の上部胸椎の背面背骨画像が表示されている状態で、「LEFTキー(←)」を押下すると、図9(b)に示すように、上部胸椎の背面から右方向に90度回転させた左側面背骨画像が表示されるとともに、上記同様、前後方向の曲がり角度と左右方向の曲がり角度を算出してそれぞれ表示される。
ついで前記図9(b)に示すように上部胸椎の左側面背骨画像が表示されている状態で、入力装置10に設けられた所定キー「LEFTキー(←)」を押下することにより、図9(c)に示すように、上部胸椎の左側面からさらに右方向に90度回転させた正面背骨画像が表示されるとともに、上記同様、前後方向の曲がり角度と左右方向の曲がり角度がそれぞれ表示され、さらに「LEFTキー(←)」を押下することにより、図9(d)に示すように、上部胸椎の正面からさらに右方向に90度回転させた右側面背骨画像が表示される。
また、前記図8(a)、同(b)の画像が表示されている状態で、入力装置10に設けられた所定キー(例えば、「DOWNキー(↓)」)を押下すると、中部胸椎のみの表示に切替えることができ、上記同様、前後方向の曲がり角度として、第5胸椎に対する第6胸椎の曲がり角度は「第5胸椎→第6胸椎の角度=後ろに2.73度」、・・・、第8胸椎に対する第9胸椎の曲がり角度は「第8胸椎→第9胸椎の角度=前に7.58度」等といったように前後の曲がり角度と左右の曲がり角度を算出し表示される。
さらに、「DOWNキー(↓)」を押下すると、下部胸椎のみが表示され、さらに、「DOWNキー(↓)」を押下すると、腰椎のみが表示される。
すなわち、当該表示装置本体9によると、基本図データ15と椎骨データテーブル16に基づいて背骨画像を作成し、これに測定データによる曲がりを反映し、その部分の椎骨を所定方向へ座標移動させて表示することにより、図8、図9(a)に示すような背骨の全体あるいは一部分が背面から表示され、所定キーを押下することにより、90度ずつ視点を移動した状態をシミュレーションして表示され、図9(b)の左側面からの背骨、図9(c)の正面からの背骨、図9(d)の右側面からの背骨というように擬似的な背骨を表示することができる。
このように、背骨を構成する複数の椎骨のうち、何れの椎骨がどの様に曲がっているか容易に視認することが可能となる。
つぎに、本発明の人体背骨測定表示システム1により、人体の背骨の状態を測定し、コンピュータグラフィックにより3次元表示する様子を図10から図12のフローチャートを参照して説明する。
図10は、患者(測定対象者)の背骨の状態を測定する様子のフローチャートである。
患者(測定対象者)の背骨の状態を測定するために、測定表示システムに電源を投入し、患者(測定対象者)を前記測定ベッド7に俯せに寝かせ、測定準備を行う(ステップS1)。
これは、電源を投入すると、座標検出装置8に表示された値が、例えば、X値とY値が「0」または「1」となっている場合に準備完了となる。
そして、準備が完了したかどうかのチェックを行い(ステップS2)、準備が完了していない場合には、ステップS1の処理に戻り、準備を行う。準備が完了した場合には、測定者が測定子3を徒手し、患者(測定対象者)の頭部方向に移動させて、患者(測定対象者)の頸椎側の背骨上に配置し、腰椎側へ向けて背骨上に沿って移動させる(ステップS3)。
測定子3を移動させると、背骨の凹凸や曲がり具合をX値、Y値、Z値として検出する(ステップS4)。検出された測定データは、表示装置本体9に伝送する(ステップS5)。そして、計測が終わったか否かの判定を行い(ステップS6)、計測が終わった場合には処理を終了する。まだ終えていない場合には、ステップS3の処理に戻り、引き続き背骨上に測定子3を移動させる。
図11は、表示装置本体9による測定データの変換の様子のフローチャートである。
つぎに、測定データを受け取った表示装置本体9は(ステップS7)、測定データを測定データ記憶手段12に記憶し(ステップS8)、変換手段13により測定データのX値が1mm以下のデータの中から最大値を求める(ステップS9)。その最大値の下1桁が小数点以下となるため、小数点を振ってミリ単位に変換する(ステップS10)。ここで、小数点以下の値は、測定時の誤差とも考えられるため、測定データの小数点以下を切り捨てて整数にする(ステップS11)。整数に変換した測定データを変換データ記憶手段14に記憶する(ステップS12)。
図12は、測定データに基づいて、生成された背骨の曲がり状態をコンピュータグラフィックを用いて表示する様子のフローチャートである。
背骨の状態をコンピュータグラフィックを用いて表示するには、前記背骨測定装置2に接続されたマウス等の入力装置10から所定の指示を入力し(ステップS13)、指示が行われない場合は処理を終了する。
表示指示が行われた場合には、前記変換データ記憶手段14から変換データ(測定データ)を読み出し(ステップS14)、前記表示装置本体9に予め設定された画像処理ソフトプログラムに基づいて基本図データ15と椎骨テーブル16を参照して測定対象者の男女の別や身長に基づいた背骨の基本モデルの画像データを作成(ステップS15)するとともに、基本モデルの3次元背骨画像データに変換データ(測定データ)を反映して測定対象者の3次元背骨画像データを生成し(ステップS16)、これを表示画面11へ表示する(ステップS17)。
表示画面11に3次元の擬似的な背骨画像が表示されると、ここで終了するかの判定を行い(ステップS18)、終了キーが押下された場合には処理を終了する。
このように生成された背骨の画像は、背面から表示し左右の曲がり視認する他に、前後への曲がりが視認できるように左右の側面から背骨画像を表示し、
矢印キー(→あるいは←)が押下された場合には(ステップS19)、所定の方向へ90度ずつ視点を移動して表示し(ステップ20)、アップキーが押下された場合には(ステップS21)、最上部(上部胸椎部分)が表示されているかの判定を行い(ステップS22)、最上部が表示されていた場合には、それ以上の上方は表示不可能であるためそのまま現在表示されている部分を表示し、最上部でなかった場合には、現在表示されている部分の上方部分を表示する(ステップS23)。
また、ダウンキーが押下された場合には(ステップS24)、最下部(腰椎部分)が表示されているかの判定を行い(ステップS25)、最下部が表示されていた場合には、それ以下の下方は表示不可能であるためそのまま現在表示されている部分を表示し、最下部でなかった場合には、現在表示されている部分の下方部分を表示する(ステップS26)。
すなわち、本発明の人体背骨測定表示システム1を利用して背骨の曲がり状態を測定表示するには、患者(測定対象者)の男女の別および身長が必要であり、また、治療前の状態(首、肩、背中、腰等の症状)を、問診や予診票の記入によって得る。
そして、上記したように背骨の状態を測定し、3次元コンピュータグラフィックにより表示画面11に表示する。
表示された背骨の画像を見せながら、患者(測定対象者)に説明を行い、正常な状態に比して曲がった部分の背骨に対して施術を行う。施術が終わると、再度背骨の状態を測定し、3次元コンピュータグラフィックにより擬似的な背骨を表示画面11に表示する。
そして、施術前と施術後の背骨の状態を表示画面11に表示された画像、あるいはプリント出力された画像により、見比べることができる。
このように施術前、施術後の背骨の曲がり状態を擬似的な背骨画像によって表示することにより、施術者、あるいは患者(測定対象者)の両者とも容易に背骨の曲がり状態を知ることができる。
なお、上記実施の形態では、測定子を逆T字型として説明したが、背骨上を走査できるものであればその形状は特に限定しない。
また、上記実施の形態では、測定対象者の椎骨を画像とするために、基本図データと椎骨テーブルから該当するデータを読み出して椎骨の画像を生成するものとして説明したが、測定対象者の身長・性別に対応した椎骨画像をデータベースとして設けてもよく、各測定対象者の椎骨が表示できれば、椎骨を画像化するデータの形式や記憶方法は特に限定しない。
なお、上記実施の形態では、3次元のコンピュータグラフィックにより背骨画像を表示し、90度ずつ視点を移動させて説明したが、45度でも良く、視点の移動範囲は特に限定しない。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の人体背骨測定表示システムによると、俯せに横たわる測定対象者の背骨上を表面から測定子を走査させる簡便な方法で背骨がどの様な状態で曲がっているかを擬似的に作成した3次元画像で視認することができる。
これにより、施術者は、施術前と施術後で背骨の曲がり具合がどの位であるか画像を説明することにより容易に行えるようになるといった利点がある。
また、測定対象者である患者は、専門的な医学用語ではなく、実際と同様の背骨の状態を画像として視認できるため、自己の背骨のどの部分がどの様に、どちらに曲がっているか容易に理解することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの概略構成図である。
第2図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの座標検出装置の説明図である。
第3図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの前記表示装置本体のブロック構成図である。
第4図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの変換手段により測定データから変換データに変換する様子の説明図である。
第5図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムにより表示する脊骨(脊椎)を構成する椎骨(第4胸椎)の基本構造の説明図である。
第6図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの椎骨テーブルの説明図である。
第7図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの椎骨間の角度を求める様子を示した説明図である。
第8図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの表示画面に表示された背骨画像の説明図である。
第9図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの画像表示装置に表示された背骨画像(上部胸椎)の説明図である。
第10図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの表示装置本体2による測定データの変換の様子のフローチャートである。
第11図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの表示装置本体2による測定データの変換の様子のフローチャートである。
第12図は、本発明の一実施の形態に係る人体背骨測定表示システムの測定データに基づいて、生成された背骨の曲がり状態をコンピュータグラフィックを用いて表示する様子のフローチャートである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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