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明細書 :硬質膜およびその形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4801879号 (P4801879)
公開番号 特開2005-194313 (P2005-194313A)
登録日 平成23年8月12日(2011.8.12)
発行日 平成23年10月26日(2011.10.26)
公開日 平成17年7月21日(2005.7.21)
発明の名称または考案の名称 硬質膜およびその形成方法
国際特許分類 C09D   1/00        (2006.01)
B32B  15/08        (2006.01)
C09D   4/00        (2006.01)
C09D   5/00        (2006.01)
C09D 183/04        (2006.01)
C09D 199/00        (2006.01)
C23C  26/00        (2006.01)
FI C09D 1/00
B32B 15/08 D
C09D 4/00
C09D 5/00 Z
C09D 183/04
C09D 199/00
C23C 26/00 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 19
出願番号 特願2003-435513 (P2003-435513)
出願日 平成15年12月26日(2003.12.26)
審査請求日 平成18年7月6日(2006.7.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】西出 利一
【氏名】高橋 知子
個別代理人の代理人 【識別番号】100087594、【弁理士】、【氏名又は名称】福村 直樹
審査官 【審査官】小川 由美
参考文献・文献 特開2003-277689(JP,A)
特開平11-310755(JP,A)
特開平11-116843(JP,A)
特開2004-175907(JP,A)
特開2002-187738(JP,A)
特開2005-052774(JP,A)
特開2003-183634(JP,A)
特開2001-081392(JP,A)
特開平09-169078(JP,A)
特開平02-085373(JP,A)
特開昭61-276832(JP,A)
調査した分野 C09D 1/00- 10/00
C09D101/00-201/10
B05D 1/00- 7/26
B32B 1/00- 35/00
C23C 22/00- 30/00
C23F 11/00- 11/18
G02B 1/10- 1/12
特許請求の範囲 【請求項1】
ハフニアゾルおよび/またはジルコニアゾルと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびγ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランから選ばれた少なくとも一種と、アクリル酸、メタクリル酸、タンニンおよびカキシブから選ばれた少なくとも一種とを含有し、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂を無含有とするゾル組成物から形成された薄膜を硬化させて成ることを特徴とする硬質膜。
【請求項2】
ハフニアゾルおよび/またはジルコニアゾルと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびγ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランから選ばれた少なくとも一種と、アクリル酸、メタクリル酸、タンニンおよびカキシブから選ばれた少なくとも一種とを含有し、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂を無含有とするゾル組成物を調製し、次いで、調製された前記ゾル組成物を金属表面に塗布した後、前記金属表面に塗布されたゾル組成物を硬化処理することを特徴とする請求項1に記載の硬質膜の形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、硬質膜およびその形成方法に関し、さらに詳しくは、高い硬度を有し、しかも金属表面に対する密着性に優れた硬質膜およびこの硬質膜を金属表面に効率よく形成することのできる硬質膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、「無機含水酸化物ゾルからなる水性組成物を固体表面へ適用し、その組成物を固化させてその表面に保護被膜を形成する方法」が開示され、好ましい水性組成物として、ジルコニアゾル、シランカップリング剤およびパッセンジャー粉末を含有する組成物が記載されている。この組成物は、全固形分を100質量部としたとき、ジルコニアゾルが0.1~20質量%、シランカップリング剤が0.05~10質量%、パッセンジャー粉末が0.5~15質量%と、ジルコニアゾルの使用割合が小さいものであった。
【0003】

【特許文献1】特開平02-85373号公報
【0004】
特許文献2に、「ジルコニアゾル、シランカップリング剤および樹脂を含有する水系塗装下地用処理剤」が開示されている。この処理剤も、ジルコニアゾルが10~40質量%、シランカップリング剤が10~60質量%、樹脂が20~70質量%と、ジルコニアゾルの使用割合が小さいものであった。
【0005】

【特許文献2】特開2001-81392号公報
【0006】
特許文献3に、「ジルコニアゾル、シランカップリング剤およびフッ素樹脂を含有する分散体」が開示されているが、この発明は、液中における粒子の分散性を改善するものであった。
【0007】

【特許文献3】特開2001-26416号公報
【0008】
また、特許文献4に、「親水性・接着性に優れ、かつ表面被覆層の剥離が起きない改質法」を提供することを目的とするポリオレフィン表面のシリカ皮膜形成方法が開示されている。このシリカ皮膜形成方法は、ポリオレフィン表面に特定シラン化合物から成る第1皮膜を形成し、次いで特定のアルコキシシランの部分加水分解物及びシリカゾルを用いて第2皮膜を形成する方法であり、その実施例として「(実施例1)ポリプロピレン平板(PP)(75mm×70mm×1mm)に電子線(加速電圧150KeV、10Mrad)を照射した。電子線照射後のポリプロピレン平板を空気中に放置後、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(AMS)の0.5重量%ジメトキシエタン溶液中60℃で30分加熱した。反応終了後、100℃で1時間乾燥し、第一被膜を形成した。第一被膜を形成したポリプロピレン平板を、テトラエトキシシラン10重量部、0.05N水酸化ナトリウム水溶液2重量部をエタノール100重量部に溶解した溶液に入れ、80℃で2時間加熱した。反応終了後、100℃で4時間乾燥し、第二被膜を形成し、シリカ被覆ポリプロピレン平板を得た。」との開示がある。このポリオレフィンの表面に二層の皮膜を形成する点において、工業的製法とは言い難い。
【0009】

【特許文献4】特開平05-156055号公報
【0010】
特許文献5には、「熱可塑性樹脂でなる基材フィルムと;アルコキシシラン、シランカップリング剤およびエチレン・ビニルアルコールコポリマーを含有する組成物を、ゾル-ゲル法によって重縮合して得られる、主成分がエチレン・ビニルアルコールのランダムコポリマーよりなる直鎖状複合ポリマーでなり、該基材フィルムの少なくとも片面に積層された、少なくとも1層の複合ポリマー層と;を有する、積層フィルム」が、開示される。
【0011】

【特許文献5】特開平08-99390号公報
【0012】
この積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムの表面に、特定の直鎖状複合ポリマーのフィルムを形成するために、特定のシランカップリング剤を使用することを本質としている。また、この積層フィルムの形成に際し、「アルコキシシラン及び金属アルコキシドは、添加された水によって、加水分解される。この際、酸が加水分解の触媒となる。」ことを条件としている。
【0013】
特許文献6には、「下記一般式で表される珪素アルコキシドを加水分解して調製したSiO2 ゾルを主成分とするSiOゾル膜をゲル化してなるSiOゲル膜からなることを特徴とするフィルム基材用ハードコート膜。
Rm(OR’)n
(Rは炭素数1~10のアルキル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミド基、スルホニル基、水酸基又はカルボキシル基、R’は炭素数1~10のアルキル基を表し、m+nは4の整数である。)」が開示されている。
【0014】

【特許文献6】特開平11-279303号公報
【0015】
この特許文献6に記載されたフィルム基材用ハードコート膜は、プラスチックフィルムを基材とし、その表面に、珪素アルコキシドを酸性条件下で加水分解することによりゲル膜を形成している。この特許文献6には、前記フィルム基材用ハードコート膜は、基材に対する密着性の向上及び透明性の維持を達成することができるとの主張が記載されている。
【0016】
特許文献7および8にも前記特許文献6と同様のフィルム基材用ハードコート膜が記載されている。
【0017】

【特許文献7】特開平11-279304号公報
【0018】

【特許文献8】特開平11-279305号公報 また、種々の構造材料として用いられる金属材料およびこの金属材料から構成される各種の構造物にあっては、撥水および/または防食を目的として、その表面に特定の被膜が形成されることがある。
【0019】
また、構造物の補強および/または保護を目的として、その表面に特定の被膜が形成されることが多い。このような被膜として、例えば、金属表面に、ゾル-ゲル反応を利用して形成されるシリカ被膜が知られている(例えば、特許文献9参照)。
【0020】

【特許文献9】特開平6-136162号公報
【0021】
しかしながら、前記いずれの被膜においても、その硬度が鉛筆硬度で、金属基板上では2H~3H、プラスチック基板上ではH程度と低く、機械的または物理的な負荷により損傷し易いという問題があった。また、基材の表面から剥離し易いという問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
この発明は、このような従来の問題を解消し、高い硬度を有し、特に金属表面に対する密着性に優れた硬質膜およびこの硬質膜を金属表面に効率よく形成することのできる硬質膜の形成方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、前記課題を解決するために、特定の金属酸化物ゾルを主剤とし、この主剤に配合する成分について種々検討を重ねた結果、以下の手段を採用することにより、前記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
【0024】
すなわち、この発明の前記課題を解決するための第1の手段は、
(1)ハフニアゾルおよび/またはジルコニアゾルと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびγ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランから選ばれた少なくとも一種と、アクリル酸、メタクリル酸、タンニンおよびカキシブから選ばれた少なくとも一種とを含有し、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂を無含有とするゾル組成物から形成された薄膜を硬化させて成ることを特徴とする硬質膜
である。
【0025】
(削除)
【0026】
(削除)
【0027】
(削除)
【0028】
(削除)
【0029】
この発明の前記課題を解決するための第2の手段は、
(2)ハフニアゾルおよび/またはジルコニアゾルと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびγ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランから選ばれた少なくとも一種と、アクリル酸、メタクリル酸、タンニンおよびカキシブから選ばれた少なくとも一種とを含有し、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂を無含有とするゾル組成物を調製し、次いで、調製された前記ゾル組成物を金属表面に塗布した後、前記金属表面に塗布されたゾル組成物を硬化処理することを特徴とする前記(1)の硬質膜の形成方法
である。
【発明の効果】
【0030】
この発明の硬質膜およびこの発明の硬質膜の形成方法によって形成された硬質膜は、高い硬度を有し、しかも無機-有機複合ゾル組成物から得られた硬質膜であることにより、金属表面に対する密着性に優れていることから、この硬質膜を撥水処理および/または防食処理を必要とする各種の材料、特に金属材料およびこの金属材料から構成される各種の構造物の表面に形成することによって、その機能を存分に果たすこととなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(削除)
【0032】
この発明におけるハフニアゾルは、HfOXで表される酸化ハフニウムのゾルである。HfOX中のXは、2以下の整数または小数である。また、ジルコニアゾルは、ZrOXで表される酸化ジルコニウムのゾルである。ZrOX中のXは、2以下の整数または小数である。
【0033】
前記ハフニアゾルまたはジルコニアゾルは、まず、ハフニウムアルコキシド、ハフニウム塩等のハフニウム化合物またはジルコニウムアルコキシド、ジルコニウム塩等のジルコニウム化合物を水、アルコール等の溶媒に溶解して溶液とする。次いで水を添加して必要なら加熱することにより、ゾルを調製する。このとき、ゾル化反応を促進するために酸又は塩基を加えることが好ましい。ゾルの好ましい調製法は、前記溶液にアンモニア水またはアミン類(このアミン類は、水、アルコール等、アミン類を溶解する溶媒に溶解した溶液であってもよい。)を加えて、水酸化物の沈殿を生成させる。このとき、必要により、加熱してもよい。続いて、生成した沈殿をろ別する。ろ別された沈殿は水またはアルコールで洗浄することが好ましい。このようにして得た沈殿に水、アルコール等の溶媒を加え、無機酸または有機酸を添加し、必要により加熱して調製することができる。
【0034】
前記ハフニウムアルコキシドまたはジルコニウムアルコキシドに特に制限はないが、炭素数5以下のアルコキシド、具体的には、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド、ペントキシドが好ましい。また、前記ハフニウム塩またはジルコニウム塩としては、ハロゲン化物塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩等を挙げることができ、好適な塩はハロゲン化物塩である。
【0035】
前記ハフニウムハロゲン化物塩としては、四塩化ハフニウム、四フッ化ハフニウム、四臭化ハフニウム、四ヨウ化ハフニウムを挙げることができる。中でも、四塩化ハフニウムが好ましい。ジルコニウムハロゲン化物塩も、四塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物等、ハフニウムハロゲン化物に準じたハロゲン化物塩を挙げることができる。
【0036】
前記溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、ビニルアルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン等のケトン、アミン、アミド等を挙げることができ、好ましく用いられる溶媒は、水またはアルコールである。
【0037】
前記酸としては、無機酸として、塩酸、硝酸および硫酸等を挙げることができ、好適な無機酸は、硝酸および硫酸である。また、有機酸としては、炭素数3以下の有機酸が好ましく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸等を挙げることができる。中でも、ギ酸、シュウ酸およびマロン酸が特に好ましい。
【0038】
また、前記アミン類としては、第1級アミン類、第2級アミン類、第3級アミン類等を挙げることができる。第1級アミン類として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、2-プロペニルアミン、2-メチル-2-プロペニルアミン、2-プロペロイロキシエチルアミン、2-(2-メチルプロペロイロキシ)エチルアミン等を、第2級アミン類としては、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ(2-プロペニル)アミン、ジ(2-メチル-2-プロペニル)アミン、2-プロペニルアミン、2-メチル-2-プロペニルアミン、2-プロペロイロキシエチルアミン、2-(2-メチルプロペロイロキシ)エチルアミンタクリレート)等を、第3級アミン類としては、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチル-2-プロペロイロキシエチルアミン、N,N-ジメチル-2-(2-メチルプロペロイロキシ)エチルアミン、N,N-ジエチル-2-プロペロイロキシエチルアミン、N,N-ジエチル-2-(2-メチルプロペロイロキシ)エチルアミン、N,N-ジメチル-3-プロペロイロキシプロピルアミン、N,N-ジメチル-3-(2-メチルプロペロイロキシ)プロピルアミン、N,N-ジエチル-3-プロペロイロキシプロピルアミンN,N-ジエチル-3-(2-メチルプロペロイロキシ)プロピルアミン、N,N-ジメチル-3-(プロペロイルアミノ)プロピルアミン、N,N-ジメチル-3-(2-メチルプロペロイルアミノ)プロピルアミン、N,N-ジエチル-3-(プロペロイルアミノ)プロピルアミン、N,N-ジエチル-3-(2-メチルプロペロイルアミノ)プロピルアミン等を挙げることができる。
【0039】
さらに、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアリールアンモニウム、水酸化テトラテトラアリールアンモニウム等の第4級アンモニウム化合物をも使用することができる。また、アミン類としては、前記第1級アミン類~第3級アミン類の塩類をも使用することができる。このようなアミン類は、そのまま使用してもよく、アミン類を含有した水溶液として使用してもよい。
【0040】
前記ハフニウムアルコキシド溶液もしくはジルコニウムアルコキシド溶液または前記ハフニウム塩溶液もしくはジルコニウム塩溶液の濃度には、特別な限定はないが、通常は、質量基準で1~70%、好ましくは、1~50%である。1%未満では、生成する水酸化物が微粒子となって濾過が困難となり、70%を超えると、水酸化物の凝集が顕著となって、濾過が困難となることがある。
【0041】
前記ハフニウムアルコキシド溶液またはジルコニウムアルコキシド溶液は、前記アルコキシドと前記溶媒とを混合することにより、また、前記ハフニウム塩溶液またはジルコニウム塩溶液は、前記塩と前記溶媒とを混合することにより、容易に調製することができる。続いて、これら溶液にアンモニア水、アミン類または水とアミン類との溶液を添加してハフニウムまたはジルコニウムの水酸化物を得る。アンモニア水は、そのアンモニアの好適な濃度が、通常は1~29質量%である。水とアミン類との溶液を調製するときの条件についても制限はないが、通常は、0~100℃、好ましくは、10~50℃で、攪拌、混合して調製される。アミン類の溶液におけるアミン類の濃度は任意である。
【0042】
このようにして得られたハフニウムまたはジルコニウムの水酸化物を濾別し、この水酸化物と水および/またはアルコールならびに無機酸および/または有機酸とを混合することによって、ハフニアゾルまたはジルコニアゾルが形成される。この場合、これらの混合順序には特別な制限はない。例えば、前記水酸化物と水および/またはアルコールならびに無機酸および/または有機酸とを一挙に混合してもよく、前記水酸化物と水および/またはアルコールとを混合し、次いで、無機酸および/または有機酸を混合してもよい。また、前記水酸化物と無機酸および/または有機酸とを混合し、次いで、水および/またはアルコールを混合してもよい。
【0043】
前記水酸化物と混合する水および/またはアルコールならびに無機酸および/または有機酸の量は、この水酸化物を解膠するに足る量であればよく、前記水酸化物に対し、通常は、質量基準で1~100倍、好ましくは、1~50倍である。1倍未満では、ハフニウムイオンまたはジルコニウムイオンの濃度が高くなって、解膠が困難となり、100倍を超えると、ゾル中のハフニウムイオンまたはジルコニウムイオンの濃度が低くなり好ましくない。
【0044】
ここにおいて用いられるアルコールには特に制限はないが、炭素数5以下のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-メチルプロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール等を挙げることができる。
【0045】
水および/またはアルコールならびに無機酸および/または有機酸における配合割合に特別の制限はなく、全量を100質量部としたとき、無機酸および/または有機酸を、通常は、0.1~50質量部、好ましくは、0.1~20質量部とする。
【0046】
前記配合割合が0.1質量部未満では、水酸化物が解膠しないことがあり、50質量部を超えると、用いる無機酸および/または有機酸により、金属表面が損傷することがあるので好ましくない。また、多量の無機酸および/または有機酸を用いると、塗布時、それら酸の蒸発によって、環境に悪影響を与えることもあるので好ましくない。
【0047】
このようにして、ハフニアゾルまたはジルコニアゾルが調製されるが、場合によっては、前記水酸化物と水および/またはアルコールならびに無機酸および/または有機酸とを混合するに先立ち、前記水酸化物を水またはアルコールにより洗浄することが好ましい。
【0048】
この洗浄に用いるアルコールとしては、炭素数5以下のアルコールが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-メチルプロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール等を挙げることができる。この洗浄は、前記水酸化物のpHを調整すると共に、水酸化物に付着または含有した夾雑物や不純物を除去するためである。
【0049】
この発明におけるシランカップリング剤としては、官能基を有するシラン化合物を挙げることができ、前記官能基としては、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、メタクリロキシル基、アルコキシル基、グリシジル基、ビニル基等を挙げることができる。
【0050】
このようなシランカップリング剤の中でも、一般式、RlmSiR2n(式中、Rはアルキル基を、Xはアルコキシ基またはハロゲン化物イオンを、R2は有機官能基を有するアルキル基を示し、l、mおよびnはそれぞれ0、1、2、3または4であり、l+m+nは4である。)で表されるシラン化合物が好ましい。Rで示されるアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。R2で示されるアルキル基に結合する有機官能基としては、-Y-Z(ただし、Yは単結合、又は炭素数が1~3のアルキレン結合を示し、Zはビニル基、エポキシ基、グリシジル基、-X(CH)=CH、-NH、-CHCl、-SH、グリシジルオキシ基、1-メチルビニルカルボオキシ基、2-アミノ-エチルアミノ基、3、4-エポキシシクロヘキシル基等である。)で示される基を挙げることができ、特にビニル基、エポキシ基、グリシジル基、1-メチルビニル基、アミノ基、クロロメチル基、メルカプト基、グリシジルオキシプロピル基、1-メチル-ビニルカルボオキシプロピル基、2-アミノ-エチルアミノプロピル基等を好適例として挙げることができる。このようなシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピル-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-トリヒドロキシシリルメチルホスホネートナトリウム塩、ニトクロトリス(メチレン)トリホスホン酸、トリス(トリメチルシリル)ホスフエート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、ジエチルホスフエートエチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0051】
この発明においては、前記シランカップリング剤と共に、有機化合物を用いることが好ましい。このような有機化合物を用いることによって、より耐久性に優れた硬質膜を得ることができるからである。また、この発明におけるゾル組成物は、酸化アルミニウム等のパッセンジャー粉末等の無機粉末を含有しない。
【0052】
この発明における有機化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、タンニンおよびカキシブから選ばれた少なくとも一種である。
【0053】
光硬化性モノマーとしては、例えば、紫外線硬化性モノマーを挙げることができ、アクリル酸、メタタクリル酸およびクロトン酸等の(メタ)アクリル酸類、ラウリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプオピルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートおよびジシクロペンタンジエンアクリレート等の単官能アクリレート類、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレート等の二官能アクリレート類、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三官能以上のアクリレート類を挙げることができる。これら光硬化性モノマーの中でも(メタ)アクリル酸類が好ましい。
【0054】
(削除)
【0055】
また、タンニンは、樹皮や種子等の植物に含まれ、加水分解によって多価フェノールカルボン酸を生成する物質である。加水分解によって水溶性の没食子酸等を生成する加水分解性タンニンと不溶性のフロバフェン酸等を生成する縮合タンニンとに分類される。この発明において用いるタンニンは、いずれのタンニンであってもよい。m-ガロイル没食子酸もタンニンの一種であり、同様に用いることができる。
【0056】
カキシブは、タンニンの重合体であり、例えば、渋柿の実から採取されるカキタンニンを構成単位とする高分子物質を含む液を挙げることができ、このカキタンニンの分子構造は、鹿児島大学によって、下記の構造を有するものと推測されている。
【0057】
【化1】
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【0058】
この発明においては、アクリル酸、メタクリル酸、タンニンおよびカキシブは、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。

【0059】
硬質膜を紫外線照射により形成する場合、前記モノマーの光重合開始剤をゾル組成物に添加してもよい。この光重合開始剤としては、例えば、イルガキュア651、184、1173、500、2959、754、907、369、819(チバ・スペシャル・ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0060】
この発明の硬質膜は、前記のとおり、ハフニアゾルおよび/またはジルコニアゾルシランカップリング剤及び特定の有機化合物を含有するゾル組成物から形成された薄膜を硬化させて成る膜である。以下、この発明の硬質膜を金属表面に形成する方法について説明する。
【0061】
この発明の硬質膜の形成方法は、ハフニアゾルおよび/またはジルコニアゾル、シランカップリング剤及び特定の有機化合物を含有するゾル組成物を調製し、次いで、調製された前記ゾル組成物を金属表面に塗布した後、前記金属表面に塗布されたゾル組成物を硬化処理する方法である。
【0062】
この発明の硬質膜の形成方法においては、まず、ゾル組成物が調製される。このゾル組成物は、ハフニアゾルおよび/またはジルコニアゾルと、シランカップリング剤と、さらに、有機化合物とを混合して調製される。
【0063】
前記ゾル組成物を調製する際の前記各成分の配合割合に特に制限はないが、ハフニアゾルまたはジルコニアゾルを100質量部としたとき、シランカップリング剤を通常は1~50質量部、好ましくは1~20質量部、有機化合物を通常は1~50質量部、好ましくは1~30質量部の範囲内で配合される。前記ゾル組成物を調製する際の前記各成分の混合条件についても制限はなく、通常は10~90℃で0.1~10時間、撹拌して混合される。
【0064】
次いで、このようにして調製されたゾル組成物を金属表面に塗布する。ゾル組成物が塗布される基材には、少なくともその表面が金属で形成されている限り制限はなく、様々の基材を採用することができる。例えば、普通鋼、構造用定合金鋼、高張力鋼、耐熱鋼、高クロム系耐熱鋼、高ニッケル-クロム系耐熱鋼等の合金鋼、ステンレス鋼等の鉄鋼材料、工業用純アルミニウム、5000系の合金、Al-Mg系アルミニウム合金、6000系アルミニウム合金等のアルミニウム合金、銀入銅、錫入銅、クロム銅、クロム・ジルコニウム銅、ジルコニウム銅等の銅合金、純チタン、抗力チタン合金、耐食性チタン合金等のチタン合金等を挙げることができる。
【0065】
さらに、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックスの表面に、また、ムライト磁器、アルミナ磁器、ジルコン磁器、コーディエライト磁器、ステアタイト磁器等のセラミックスの表面に、さらには、スチール、ステンレス等の各種金属の表面に、金メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ等のメッキを施した材料をも挙げることができる。
【0066】
金属表面に前記ゾル組成物を塗布する方法としては、例えば、ゾル組成物中に基材を浸漬し、これをゆっくりと引き上げるディップ法、固定された基材表面上にゾル組成物を流延する流延法、ゾル組成物の貯留された槽の一端からゾル組成物に基材を浸漬し、槽の他端から基材を取り出す連続法、回転する基材上にゾル組成物を滴下し、基材に作用する遠心力によってゾル組成物を基材上に流延するスピンナー法、基材の表面にゾル組成物を吹き付けるスプレー法およびフローコート法等を挙げることができる。
【0067】
金属表面にゾル組成物を塗布するに当っては、脱脂剤を用いて金属表面を脱脂処理した後、ゾル組成物を塗布することが好ましい。金属表面に対するゾル組成物の塗布性を向上させることができるからである。この脱脂剤としては、塩基性の化合物を含有する脱脂剤が好適であり、この塩基性の化合物として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びホウ酸ナトリウム等を挙げることができる。前記脱脂剤としては、市販のアルカリ性クリーナ、例えば、アトテックジャパン(株)から市販されているクリーナーE33(商品名)、大同化学工業(株)から市販されているダイクリーナー(商品名)、メルテックス(株)から市販されているクリーナーS-61(商品名)、エンボンドCA-S(商品名)、エンボンドQ-547(商品名)およびクリーナー160(商品名)、奥野製薬工業(株)から市販されているトップクリーン(商品名)、トップクリーナー(商品名)およびエースクリーン(商品名)等を容易に入手することができる。
【0068】
これら脱脂剤は、溶媒に溶解させた溶液として用いられ、溶媒としては、通常、水が用いられる。前記脱脂剤を含有する溶液における前記脱脂剤の濃度は、通常、0.1~60質量%である。
【0069】
脱脂処理の態様および条件に特別な制限はなく、例えば、金属表面を前記脱脂剤を含有する溶液で拭き払う手段を採用することができ、また、金属基材を前記脱脂剤を含有する溶液中に浸漬し、1~5分間、好ましくは30~60℃に加熱して、撹拌することによって脱脂処理することができる。その後、水洗し、乾燥する。脱脂処理の際、電解処理を伴っていてもよい。金属表面に塗布するゾル組成物の塗布量は、ゾル組成物の粘度やその他の条件により異なる。1回の塗布では所定の厚さの薄膜が得られない場合は、塗布を繰り返すこともできる。
【0070】
続いて、前記金属表面に塗布されたゾル組成物を硬化処理することによって、金属表面に硬質膜を形成する。この硬化処理は、電磁波照射、好ましくは紫外線照射による硬化処理であってもよく、加熱による硬化処理であってもよい。紫外線照射による硬化処理に際して、照射する紫外線の光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、エキシマレーザー、Nd:YAGレーザー等を使用することができる。これらを使用することにより、紫外線を廉価に照射することができる。照射時間は、1分~1時間である。
【0071】
金属表面に塗布されたゾル組成物を加熱処理によって硬化する場合、その加熱処理条件は、通常は、50~1000℃、好ましくは、50~600℃、1分~5時間、好ましくは、10分~2時間である。加熱手段に制限はなく、電気炉を用いる手段、熱風を吹き付ける手段、加熱気体内に据置する手段等が採用される。得られる硬質膜の厚さは、基材の種類、適用対象物に応じて適宜、決定することができるが、通常、10nm~1000μmの範囲から選ばれる。前記硬化処理は、紫外線照射処理と加熱処理とを組み合わせて行ってもよい。このときの処理工程の順序は任意である。
【0072】
金属表面に形成された硬質膜の硬度は、鉛筆硬度法(JIS K 5400)によって評価することができる。この発明の方法により形成された硬質膜は、鉛筆硬度が7H以上である。また、金属表面に形成された硬質膜の密着性は、碁盤目付着性試験法(JIS K 5400)によって評価することができる。この発明の方法により形成された硬質膜は、金属表面から剥離することのない、密着性に優れた膜である。さらに、この発明の方法により形成された硬質膜の防錆性は、塩水噴霧による腐食状態によって評価することができ、防食の抑制された膜である。
【実施例】
【0073】
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。
【0074】
(比較例1および参考例1~2)
【0075】
〔ハフニアゾルの調製〕
四塩化ハフニウム5.44gを窒素雰囲気下、水32g(1.787モル)に溶解した。この溶液に、29%アンモニア水をpH9.0になるまで添加し、沈澱物(水酸化ハフニウム)を得た。この沈澱物を濾別し、純水により濾液がpH7になるまで洗浄した。洗浄した沈澱物をビーカーに採り、純水32gを加え、14mlのギ酸を添加して、85℃で3時間、加熱撹拌した。その後、室温まで冷却してハフニアゾルを調製した。
【0076】
〔ゾル組成物の調製〕
前記調製されたハフニアゾルに、シランカップリング剤を添加し混合して、ゾル組成物を調製した。このときの条件を表1に示す。
【0077】
【表1】
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【0078】
a:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0079】
〔ゾル組成物の塗布および硬化処理〕
5×5cmに切断した厚さ0.5mmSUS304をエタノールで洗浄し、さらにエタノールでリンスした後、エアガンによりエタノールを除去し、乾燥して基材三片を用意した。この基材表面それぞれに、前記〔ゾル組成物の調製〕で得られたゾル組成物をスピンナー法(500rpm/5秒→2000rpm/30秒)により塗布して試料を作製した。次いで、この塗布面に紫外線照射装置により紫外線を照射して150nm厚さの硬質膜を形成した。光源は高圧水銀灯(H1000L、東芝ライテック(株)製)を用いた。照射は試料を光源から9cm下に設置して行った。紫外線の照射度は80mW/cm2、照射時間は10分間であった。
【0080】
〔評価〕
比較例1および参考例1~2により形成された硬質膜の鉛筆硬度、基材SUS304表面に対する硬質膜の密着性および基材SUS304表面の防錆性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
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【0082】
評価方法は、以下のとおりである。
【0083】
(鉛筆硬度)
鉛筆硬度試験JIS K 5400 8.4により評価を行った。鉛筆引掻塗膜硬さ試験機P-TYPE(東洋精機製作所)を用い、6B~9Hの硬さの鉛筆を薄膜に対して、角度45°、荷重750gで押し付けて、少なくとも7mmの距離を走査した。このとき少なくとも3本走査した。肉眼で薄膜表面を検査(目視検査)し、少なくとも3mm以上の傷跡が2本生じるまで硬度を上げて試験を繰り返した。傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度をその薄膜の鉛筆硬度とした。なお、目視検査は限度見本を参照しながら行った
【0084】
(密着性)
碁盤目テープ法JIS K 5400 8.5.2に従って評価を行った。試料の中央1ヶ所にすきま1mm間隔で、カッターナイフを用いて碁盤目状の切り傷をつけた。このとき、ます目の数が100個になるようにした。碁盤目の上に接着部分の長さが約50mmになるようにセロハン粘着テープを貼り付け、消しゴムで擦って試料にテープを完全に付着させた。テープを付着させてから1~2分後に、テープの一方の端を試料に直角に保ち、瞬間的に引き剥がした。碁盤目についた傷の状態を観察して、JIS K 5400に示されている図と対比して評価点数をつけた。膜が全く剥がれていないものを10点とし、65%以上剥がれたものを0点として、その間はJISに従い点数をつけた。
【0085】
(防錆性)
JIS Z 2371に従って評価を行った。試料を鉛直線に対して20°になるように設置した。NaCl50gを蒸留水に溶解して1Lに仕上げた。なお、噴霧したときに採取したNaCl溶液のpHは6.5~7.2の範囲にあるように調整した。噴霧ノズルへ供給する圧縮空気は0.07~0.17MPaとした。塩水噴霧試験機(CASSER-ISO-3、スガ試験機株式会社製)を用いて、NaCl溶液を試料に24時間噴霧した。その後、試料を水洗し、乾燥した。評価は、JIS Z 2371に定められたレイティングナンバ(RN)法に従った。試料の腐食面積が0%のものをRN10とし、50%を越えるものをRN0として、その間はJIS Z 2371の規定に従った。
【0086】
(比較例2および参考例3~4)
【0087】
〔ジルコニアゾルの調製〕
塩化酸化ジルコニウム八水和物5.5gを水32gに溶解した。この溶液に29%のアンモニア水をpH9になるまで加え、沈殿物を得た。この沈殿物(水酸化ジルコニウム)をろ別し、純水でろ液がpH7になるまで洗浄した。洗浄ずみの沈殿物をビーカーに移し、純水32gとギ酸25gとを加え、80~90℃で3時間、加熱してジルコニアゾルを調製した。
【0088】
〔ゾル組成物の調製〕
前記調製されたジルコニアゾルに、シランカップリング剤を添加し混合して、ゾル組成物を調製した。このときの条件を表3に示す。
【0089】
【表3】
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【0090】
〔ゾル組成物の塗布および硬化処理〕
前記調製されたゾル組成物を用い、比較例1および参考例1~2と同様にして硬質膜を形成した。
【0091】
〔評価〕
比較例2および参考例3~4により形成された硬質膜の鉛筆硬度、基材SUS304表面に対する硬質膜の密着性および基材SUS304表面の防錆性を評価した。評価結果を表4に示す。評価方法は、前記と同様である。
【0092】
【表4】
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【0093】
(実施例1~3
【0094】
比較例1および参考例1~2で調製されたハフニアゾルに、シランカップリング剤および有機化合物を添加し混合して、ゾル組成物を調製し、比較例1および参考例1~2のSUS304に代えて、SUS430基板を用い、脱脂剤クリーナーE33(アトテック・ジャパン)の水溶液(80gのE33を水に溶解し1kgに仕上げた。)を50℃に加熱し、SUS430を3分間、浸漬して脱脂処理を行った。この基板に比較例1および参考例1~2と同様にしてゾル組成物の塗布および硬化処理を行い、評価した。このときのゾル組成物の調製条件を表5に、評価結果を表6に示す。
【0095】
【表5】
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【0096】
AA:アクリル酸
【0097】
【表6】
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【0098】
(実施例4~6)
【0099】
シランカップリング剤の種類を変えた以外は実施例1~3と同様にした。このときのゾル組成物の調製条件を表7に、評価結果を表8に示す。
【0100】
【表7】
JP0004801879B2_000009t.gif

【0101】
b:3-アミノプロピルトリメトキシシラン
c:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
【0102】
【表8】
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【0103】
(実施例7~9
【0104】
有機化合物の種類を変えた以外は実施例4~6と同様にした。このときのゾル組成物の調製条件を表9に、評価結果を表10に示す。
【0105】
【表9】
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【0106】
MA:メタクリル酸
【0107】
【表10】
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【0108】
(実施例10~12
【0109】
有機化合物の種類を変えた以外は実施例1~3と同様にした。このときのゾル組成物の調製条件を表11に、評価結果を表12に示す。
【0110】
【表11】
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【0111】
GA:m-ガロイル没食子酸
KS:カキシブ(商品名:カキタフ)
【0112】
【表12】
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【0113】
(実施例13~15
【0114】
比較例2および参考例3~4で調製されたジルコニアゾルに、シランカップリング剤および有機化合物を添加し混合して、ゾル組成物を調製し、比較例2および参考例3~4と同様にしてゾル組成物の塗布および硬化処理を行い、評価した。このときのゾル組成物の調製条件を表13に、評価結果を表14に示す。
【0115】
【表13】
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【0116】
【表14】
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【0117】
(実施例16~17
〔ジルコニアゾルの調製〕
塩化酸化ジルコニウム・八水和物4.0gを99.5%エタノール55gに溶解し、水2.23gと60%硝酸13.91gとの混合液をゆっくりと添加した。ここまではグローブボックスを用い、窒素気流中で行った。その後、40℃で2時間、撹拌してジルコニアゾルを調製した。
【0118】
〔ゾル組成物の調製〕
前記調製されたジルコニアゾルに、シランカップリング剤(γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)および有機化合物を添加し混合して、ゾル組成物を調製した。
【0119】
【表15】
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【0120】
〔ゾル組成物の塗布および硬化処理〕
紫外線照射時間を30分とした以外は、参考例1~3と同様にして硬質膜を形成した。
【0121】
〔評価〕
実施例16,17により形成された硬質膜の鉛筆硬度、基材SUS304表面に対する硬質膜の密着性および基材SUS304表面の防錆性を評価した。評価結果を表4に示す。評価方法は、参考例1~3と同様である。
【0122】
【表16】
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