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明細書 :信号受信装置及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4780497号 (P4780497)
登録日 平成23年7月15日(2011.7.15)
発行日 平成23年9月28日(2011.9.28)
発明の名称または考案の名称 信号受信装置及び方法
国際特許分類 H04R   3/00        (2006.01)
H04R   1/40        (2006.01)
H04R   1/34        (2006.01)
FI H04R 3/00 320
H04R 1/40 320Z
H04R 1/34 320
請求項の数または発明の数 10
全頁数 21
出願番号 特願2005-515494 (P2005-515494)
出願日 平成16年11月17日(2004.11.17)
国際出願番号 PCT/JP2004/017098
国際公開番号 WO2005/048650
国際公開日 平成17年5月26日(2005.5.26)
優先権出願番号 2003387019
優先日 平成15年11月17日(2003.11.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年11月9日(2007.11.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】羽入 敏樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100067736、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 晃
【識別番号】100086335、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 榮一
【識別番号】100096677、【弁理士】、【氏名又は名称】伊賀 誠司
審査官 【審査官】鈴木 圭一郎
参考文献・文献 特開平05-260590(JP,A)
特開2003-140671(JP,A)
特開平07-168587(JP,A)
特開2002-084590(JP,A)
羽入敏樹,外2名,球面上配置マイクロホンシステムを用いた室内音場における任意方向インパルス応答測定手法の開発,日本建築学会計画系論文報告集,日本,社団法人日本建築学会,1993年 3月30日,No.445,p9-17
関口克明,外3名,チャンネルマイクロホンシステムを用いた正四面体頂点法による室内音場の解析,日本建築学会計画系論文報告集,日本,社団法人日本建築学会,1990年 8月30日,No.414,p1-11
調査した分野 H04R 3/00
H01Q 3/00
H04B 7/00
H04R 1/34-1/40
特許請求の範囲 【請求項1】
信号源から到来してくる信号を受信する所定の指向特性を有する受信手段と、
上記受信手段により受信された信号として得られる方向別時間波形について、時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む受信信号の方向別伝達関数を求める第1のフーリエ変換手段と、
上記受信手段の指向特性関数を時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数を求める第2のフーリエ変換手段と、
上記第1のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数と、上記第2のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数と上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数とに基づき、空間デコンボリューション演算を行うことにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号から上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別伝達関数を求める第1の空間デコンボリューション演算手段と、
上記第1の空間デコンボリューション演算手段により得られた上記受信信号の方向別伝達関数を逆フーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別時間波形を出力する逆フーリエ変換手段
を備えることを特徴とする信号受信装置。
【請求項2】
任意の方向についての指向特性関数を生成する任意方向指向特性関数生成手段と、
上記任意方向指向特性関数生成手段で生成された任意方向指向特性関数を時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記任意の方向についての指向特性の方向別伝達関数を求める第3のフーリエ変換手段と、
上記第1の空間デコンボリューション演算手段により得られた上記受信信号の方向別伝達関数と、上記第3のフーリエ変換手段により得られた上記任意の方向についての指向特性の方向別伝達関数とに基づき、空間デコンボリューション演算を行うことにより、上記受信手段の指向特性の影響を含まず、上記任意の方向についての指向特性を付与した上記受信信号の方向別時間波形を出力する第2の逆フーリエ変換手段とを
さらに備えることを特徴とする請求項1記載の信号受信装置。
【請求項3】
上記受信手段は、到来してくる可聴周波数帯域の信号を受信するマイクロホンであることを特徴とする請求項1記載の信号受信装置。
【請求項4】
上記受信手段は、所定の指向特性を有する一個のマイクロホンからなっており、
到来してくる信号を受信すべく、上記マイクロホンを回転する駆動する回転駆動手段を備えることを特徴とする請求項3記載の信号受信装置。
【請求項5】
上記回転駆動手段は、上記マイクロホンを水平方向に回転駆動する水平方向回転駆動部と、上記マイクロホンを垂直方向に回転駆動する垂直方向回転駆動部と、上記水平方向回転駆動部及び上記垂直方向回転駆動部を制御する制御部からなり、
上記水平方向回転駆動部は、上記制御部の制御に応じて上記マイクロホンを水平方向に任意の角度回転駆動し、
上記垂直方向回転駆動部は、上記制御部の制御に応じて上記マイクロホンを垂直方向に任意の角度回転駆動することを特徴とする請求項4記載の信号受信装置。
【請求項6】
上記回転駆動手段は、上記マイクロホンの中心を回転軸と一致させ、又は上記マイクロホンの中心を回転軸から一定距離保ちながら回転することを特徴とする請求項4記載の信号受信装置。
【請求項7】
上記受信手段は、所定の指向特性を有する複数のマイクロホンからなっており、到来してくる信号を受信すべく、上記複数のマイクロホンが所定の間隔で配列されていることを特徴とする請求項3記載の信号受信装置。
【請求項8】
記受信手段は、所定の指向特性を有する複数のマイクロホンからなっており、上記複数のマイクロホンが水平方向に任意の間隔で点対称となるように配置され、及び/ 又は当該マイクロホンが複数個、垂直方向に任意の間隔で点対称となるように配置されていることを特徴とする請求項3記載の信号受信装置。
【請求項9】
上記マイクロホンは、中心が同一となるように複数個配置されている、又は、任意の半径の円周上に複数個配置されていることを特徴とする請求項3記載の信号受信装置。
【請求項10】
信号源から到来してくる信号を所定の指向特性を有する受信手段により受信する受信工程と、
上記受信手段により受信された信号として得られる方向別時間波形について、時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む受信信号の方向別伝達関数を求める第1のフーリエ変換工程と、
上記受信手段の指向特性関数を時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数を求める第2のフーリエ変換工程と、
上記第1のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数と、上記第2のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数と上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数とに基づき、空間デコンボリューション演算を行うことにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号から上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別伝達関数を求める空間デコンボリューション演算工程と、
上記第1の空間デコンボリューション演算工程により得られた上記受信信号の方向別伝達関数を逆フーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別時間波形を出力する逆フーリエ変換工程と
を有することを特徴とする信号受信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、到来してくる信号を受信する受信装置及び方法に関し、詳しくは、コンサートホール等の所定位置における音場情報の抽出を行う受信装置及び方法に関する。
本出願は、日本国において2003年11月17日に出願した日本特許出願番号2003-387019を基礎として優先権を主張するものであり、この出願を参照することにより、本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
信号が到来する音場の所定位置において、所定の方向から到来してくる信号を受信(受音)する際に、一般的に、所定の間隔で配置された複数の無指向性マイクロホンからなるマイクロホンアレイ装置を用いる。
無指向性マイクロホンが所定の間隔を経て配置されることにより、鋭い指向特性(超指向性)を得ることができる。このように、超指向特性を有するマイクロホンアレイ装置によれば、所定の方向から到来してくる信号を受信することができる。
しかし、到来してくる信号が低周数波領域(100Hz程度)の場合には、波長が長波長となるため、マイクロホンの間隔を大きくとる必要がある。したがって、低周波数領域の信号を受信するためには、マイクロホンアレイ装置のサイズが大型化してしまい、小規模な空間領域しか有さない音場に持ち込むことが困難なため、小規模な音場における情報収集ができない問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、装置サイズの大型化を伴うことなく、所定の方向から到来してくる高周波数領域の信号から低周波数領域の信号までを受信する信号受信装置及び方法を提供することにある。
本願発明に係る信号受信装置は、信号源から到来してくる信号を受信する所定の指向特性を有する受信手段と、上記受信手段により受信された信号として得られる方向別時間波形について、時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む受信信号の方向別伝達関数を求める第1のフーリエ変換手段と、上記受信手段の指向特性関数を時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数を求める第2のフーリエ変換手段と、上記第1のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数と、上記第2のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数と上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数とに基づき、空間デコンボリューション演算を行うことにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号から上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別伝達関数を求める第1の空間デコンボリューション演算手段と、上記第1の空間デコンボリューション演算手段により得られた上記受信信号の方向別伝達関数を逆フーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別時間波形を出力する逆フーリエ変換手段とを備えることを特徴とする。
また、本願発明に係る信号受信方法は、信号源から到来してくる信号を所定の指向特性を有する受信手段により受信する受信工程と、上記受信手段により受信された信号として得られる方向別時間波形について、時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む受信信号の方向別伝達関数を求める第1のフーリエ変換工程と、上記受信手段の指向特性関数を時間及び方向に関してフーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数を求める第2のフーリエ変換工程と、上記第1のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数と、上記第2のフーリエ変換手段により得られた上記受信手段の指向特性の方向別伝達関数と上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号の方向別伝達関数とに基づき、空間デコンボリューション演算を行うことにより、上記受信手段の指向特性の影響を含む上記受信信号から上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別伝達関数を求める空間デコンボリューション演算工程と、上記第1の空間デコンボリューション演算工程により得られた上記受信信号の方向別伝達関数を逆フーリエ変換することにより、上記受信手段の指向特性の影響を除いた上記受信信号の方向別時間波形を出力する逆フーリエ変換工程とを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、本発明を適用した信号受信装置の構造を示すブロック図である。
【図2】図2A及び図2Bは、受信部のマイクロホンの第1の構成を示す図である。
【図3】図3は、受信部のマイクロホンの指向特性を示す図である。
【図4】図4A及び図4Bは、ターンテーブルによりマイクロホンを回転させる際の説明に供する図である。
【図5】図5は、受信部を構成する他の例を示す図である。
【図6】図6は、受信部のマイクロホンで受信した2次元の音場の方向情報を示す図である。
【図7】図7は、受信部のマイクロホンで受信した3次元の音場の方向情報を示す図である。
【図8】図8は、水平面(2次元)のマイクロホンの指向特性を示す図である。
【図9】図9は、3次元のマイクロホンの指向特性を示す図である。
【図10】図10は、マイクロホンの指向特性の影響を含まない2次元の音場の方向情報を示す図である。
【図11】図11は、マイクロホンの指向特性の影響を含まない3次元の音場の方向情報を示す図である。
【図12】図12は、本発明に係る信号受信装置の配置例を示す図である。
【図13】図13は、各方向に到来してくる信号を受信した場合の信号波形図である。
【図14】図14は、受信部で得られた信号を各方向に抽出し、抽出した信号の方向情報に基づく関数の波形図である。
【図15】図15は、発信部Aのみが存在する場合において、受信部で得られた信号を各方向に抽出し、抽出した信号の方向情報に基づく関数の波形図である。
【図16】図16は、発信部Bのみが存在する場合において、受信部で得られた信号を各方向に抽出し、抽出した信号の方向情報に基づく関数の波形図である。
【図17】図17は、マイクロホンの指向特性に基づき、方向情報の指向特性関数の波形図である。
【図18】図18は、空間デコンボリューション演算後の方向情報に基づく関数の波形図である。
【図19】図19は、空間デコンボリューション演算後の方向情報に基づく各方向の出力波形図である。
【図20】図20は、任意の方向の指向特性関数の波形図である。
【図21】図21は、本発明に係る信号受信装置により方向別インパルス応答の測定を行う際の説明に供する図である。
【図22】図22A及び図22Bは、図21を用いて説明した測定方法によって得られたマイクロホンの指向特性を示す図である。
【図23】図23は、サイドローブを減衰するための指向特性を示す図である。
【図24】図24A及び図24Bは、空間フィルタリングによる効果を示す図である。
【図25】図25は、任意の形の指向特性を示す図である。
【図26】図26A及び図26Bは、本発明に係る信号受信装置により図25に示す任意の指向特性に基づいて演算を行い、得られた指向特性を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、例えば、図1に示すような構造の信号受信装置1に適用される。信号受信装置1は、音場の所定位置において、到来してくる信号を受信(受音)する受信部2と、受信部2で受信された信号に所定の信号処理を行う処理部3を備えている。
受信部2は、例えば、図2Aに示すように、8つのマイクロホン2a~2hが、それぞれの指向方向をa方向~h方向に向くように配置されている。なお、マイクロホン2a~2hは、例えば、図3に示すような指向特性Dを有している。しかし、指向特性Dによって他方向の信号も、所定方向の信号に混在してしまう。本発明は、混在した他方向の信号を取り除くことを目的とする。また、受信部2は、上述した構成に限られず、マイクロホンが複数個、水平方向に任意の間隔で点対称となるように配置され、及び/又は当該マイクロホンが複数個、垂直方向に任意の間隔で点対称となるように配置、つまり3次元的に配置されていても良い。
また、受信部2は、図2Bに示すように、1つのマイクロホン2aをターンテーブル20上に配置し、駆動部21によりターンテーブル20を回転させる構成であっても良い。また、ターンテーブル20によりマイクロホン2aを回転させる際に、音響中心が問題となるが、図4に示すように、マイクロホン2aの中心をターンテーブル20の回転軸Aと一致させて、水平方向に回転しても良いし(図4A)、マイクロホン2aの中心をターンテーブル20の回転軸Aから一定距離保ちながら、水平方向に回転しても良い(図4B)。
また、予め、おおよその信号の到来方向が分かっている場合、又は任意の方向のみから到来してくる信号のみを受信する場合には、全方向にマイクロホンを向けずに、ある特定の方向範囲のみに複数のマイクロホンを配置、又はターンテーブルを回転させるように制御しても良い。例えば、前方方向を0度とした場合、左方向に30度(-30度)から右方向に30度(+30度)の範囲のみに、点対称にマイクロホンを配置する。
また、受信部2は、図5に示すように、マイクロホン2aを水平方向に回転駆動する水平方向回転駆動部20と、マイクロホン2aを垂直方向に回転駆動する垂直方向回転駆動部21と、水平方向回転駆動部20及び垂直方向回転駆動部21を制御する制御部22からなる構成であっても良い。
水平方向回転駆動部20は、制御部22の制御に応じてマイクロホン2aを水平方向に任意の角度回転駆動する。垂直方向回転駆動部21は、制御部22の制御に応じてマイクロホン2aを垂直方向に任意の角度回転駆動する。
このような構成によれば、マイクロホン2aを3次元方向に駆動することが可能となる。
つぎに、処理部3の構成について以下に説明する。処理部3は、図1に示すように、受信部2で受信された信号を方向情報に関してフーリエ変換するフーリエ変換部11と、受信部2のマイクロホンの指向特性を関数化し、該関数を記憶するデータベース12と、データベース12から読み出されたマイクロホンの指向特性関数をフーリエ変換するフーリエ変換部13と、フーリエ変換部11によりフーリエ変換された関数M1と、フーリエ変換部13によりフーリエ変換された関数M2とに基づき、空間デコンボリューション演算を行う空間デコンボリューション部14と、空間デコンボリューション部14により空間デコンボリューション演算された関数S1を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部15と、任意の方向に関する指向特性関数を記憶するデータベース16と、データベース16から読み出された任意方向指向特性関数をフーリエ変換するフーリエ変換部17と、空間デコンボリューション部14により空間デコンボリューション演算された関数S1と、フーリエ変化部17によりフーリエ変換された関数M3とに基づき空間コンボリューション演算を行う空間コンボリューション部18と、空間コンボリューション部18により空間コンボリューション演算された関数S2を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換部19とを備えている。
フーリエ変換部11は、受信部2から供給された信号に基づき、受信方向における方向情報を抽出する。そして、フーリエ変換部11は、抽出した方向情報に基づき信号をフーリエ変換し、方向情報関数を生成する。
フーリエ変換部11は、例えば、受信部2から、図6に示す、2次元の音場の方向情報DIが得られた場合、(1)式のように、方向θの方向別時間波形r(θ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。
【式1】
【0006】
JP0004780497B2_000002t.gif
なお、tは、時間(sec)を示し、θは、方位角(rad)を示し、θは、上方向からの角度(rad)を示し、r(θ、t)は、受信部2のマイクロホンの指向特性の影響を含んだ方向のθの方向別時間波形を示し、R(ω、ω)は、受信部2のマイクロホンの指向特性の影響を含んだ水平方向情報のフーリエ係数をそれぞれ示している。
また、フーリエ変換部11は、図7に示すように、受信部2から3次元の音場の方向情報(実際の方向情報)を取得した場合、例えば、(2)式のように、方向(θ、θ)の方向別時間波形r(θ、θ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。
【式2】
【0007】
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なお、r(θ、θ、t)は、受信部2のマイクロホンの指向特性の影響を含んだ方位角θ、θの方向別時間波形を示し、R(ω、ω、ω)は、受信部2のマイクロホンの指向特性の影響を含んだ3次元方向情報のフーリエ係数をそれぞれ示している。また、(2)式は、指向性マイクロホンで測定した3次元方向情報のフーリエ変換の一例に過ぎず、例えば(3)式、(4)式又は(5)式であっても良く、その他の式でも良い。
【式3】
【0008】
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【式4】
【0009】
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【式5】
【0010】
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フーリエ変換部11は、フーリエ変換した関数M1((1)式又は(2)式)を空間デコンボリューション部14に供給する。
データベース12は、受信部2のマイクロホンの指向特性の方向別感度に基づき、指向特性関数を記憶している。データベース12は、例えば、図示しない、受信部2のマイクロホンに応じて所定の指向特性関数を選択する選択部を有し、選択部により選択された指向特性関数をフーリエ変換部13に供給する。
データベース12は、例えば、マイクロホン2a~2hの指向特性として、図3に示すような、カーディオイド状の指向特性を記憶している。
フーリエ変換部13は、データベース12から供給されたマイクロホンの指向特性関数をフーリエ変換する。フーリエ変換部13は、例えば、データベース12から図8に示すような指向特性Dに基づく指向特性関数が供給された場合、(6)式のように、方向θの方向別波形で表されるマイクロホン指向特性m(θ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。
【式6】
【0011】
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なお、M(ω、ω)は、水平面マイクロホン指向特性のフーリエ係数を示す。
また、図9に示すように、データベース12から3次元のマイクロホン指向特性関数(本来の関数)が供給された場合、(7)式のように、方向(θ、θ)の方向別波形で表されるマイクロホン指向特性m(θ、θ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。
【式7】
【0012】
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なお、M(ω、ω、ω)は、3次元マイクロホン指向特性のフーリエ係数を示す。
フーリエ変換部13は、フーリエ変換した関数M2((6)式又は(7)式)を空間デコンボリューション部14に供給する。また、(7)式は、指向性マイクロホンで測定した3次元方向情報のフーリエ変換の一例に過ぎず、例えば(8)式、(9)式又は(10)式であっても良く、その他の式でも良い。
【式8】
【0013】
JP0004780497B2_000009t.gif
【式9】
【0014】
JP0004780497B2_000010t.gif
【式10】
【0015】
JP0004780497B2_000011t.gif
空間デコンボリューション部14は、フーリエ変換部11から供給された関数M1((1)式)と、フーリエ変換部13から供給された関数M2((6)式)に基づき空間デコンボリューション演算を行う。なお、本願明細書では、「/」を空間デコンボリューション演算を表す記号とする。
【式11】
【0016】
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なお、S(ω、ω)は、受信部2のマイクロホンの指向特性の影響を含まない水平面方向情報のフーリエ係数を示している。
また、空間デコンボリューション部14は、フーリエ変換部11から供給された関数M1((2)式)と、フーリエ変換部13から供給された関数M2((7)式)に基づき空間デコンボリューション演算を行う。
【式12】
【0017】
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なお、S(ω、ω、ω)は、マイクロホンの指向特性の影響を含まない3次元方向情報のフーリエ係数を示している。
空間デコンボリューション部14は、空間デコンボリューション演算した関数S1((11)式又は(12)式)を逆フーリエ変換部15と、空間コンボリューション部18に供給する。
逆フーリエ変換部15は、空間デコンボリューション部14から供給された関数S1((11)式)を逆フーリエ変換する。
【式13】
【0018】
JP0004780497B2_000014t.gif
なお、s(θ、t)は、図10に示すように、2次元におけるマイクロホンの指向特性の影響を含まない方向θの音場の方向情報DIを示している。
また、逆フーリエ変換部15は、空間デコンボリューション部14から供給された関数S1((12)式)を3次元指向特性について逆フーリエ変換する。なお、下記の(14)式は、上述した(2)式、(3)式に対応するものである。
【式14】
【0019】
JP0004780497B2_000015t.gif
また、積分区分が0乃至πのときには、例えば、下記の(15)式となる(下記式以外の場合であってもよい。)。なお、(15)式は、上述した(4)式、(5)式に対応するものである。
【式15】
【0020】
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なお、s(θ、θ、t)は、図11に示すように、3次元におけるマイクロホンの指向特性の影響を含まない方向θ、θの方向別波形を示す。
逆フーリエ変換部15から出力される信号は、各方向において、受信部2の一のマイクロホンが受信した信号から、マイクロホンの指向特性の影響によって混在していた他方向の信号を取り除いて得られた任意方向のみの信号である。
データベース16は、任意の方向についての指向特性関数を有している。データベース16は、例えば、図示しない、データベース16から一の指向特性関数を選択する選択部を有し、選択部により選択された指向特性関数をフーリエ変換部17に供給する。データベース16に格納されている指向特性関数は、任意の関数であるので、例えば、物理的な制約のために現実のマイクロホンでは困難な形式の指向特性関数を指定することが可能である。具体例については後述する。なお、データベース16は、任意の方向についての指向特性関数を生成する機能を有していても良い。
フーリエ変換部17は、データベース16から供給された2次元の任意の方向に関する指向特性関数(以下「重み関数」という。)に基づき、(16)式のように、指向特性w(φ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。
【式16】
【0021】
JP0004780497B2_000017t.gif
なお、W(ω、ω)は、方向θ、θの水平面方向別重み関数のフーリエ係数を示している。
また、フーリエ変換部17は、データベース16から供給された3次元の重み関数に基づき、(17)式のように、指向特性w(θ、θ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。
【式17】
【0022】
JP0004780497B2_000018t.gif
なお、W(ω、ω、ω)は、方向θ、θの3次元方向別重み関数のフーリエ係数を示している。また、(17)式は、指向性マイクロホンで測定した3次元方向情報のフーリエ変換の一例に過ぎず、例えば(18)式、(19)式又は(20)式であっても良く、その他の式でも良い。
【式18】
【0023】
JP0004780497B2_000019t.gif
【式19】
【0024】
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【式20】
【0025】
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フーリエ変換部17は、フーリエ変換した関数M3((16)式又は(17)式)を空間コンボリューション部18に供給する。
空間コンボリューション部18は、空間デコンボリューション部14から供給された関数S1((11)式)と、フーリエ変換部17から供給された関数M3((16)式)に基づき、(21)式に示すように、2次元の空間コンボリューション演算を行う。
【式21】
【0026】
JP0004780497B2_000022t.gif
なお、本願明細書では、「*」を空間コンボリューション演算を表す記号とする。また、SW(ω、ω)は、受信部2で用いられたマイクロホンの指向特性の影響を含まず、任意方向別重み付けされた方向θのフーリエ係数を示している。
また、空間コンボリューション部18は、空間デコンボリューション部14から供給された関数S1((12)式)と、フーリエ変換部17から供給された関数M3((17)式)に基づき、3次元の空間コンボリューション演算を行う。
【式22】
【0027】
JP0004780497B2_000023t.gif
なお、SW(ω、ω、ω)は、受信部2で用いられたマイクロホンの指向特性の影響を含まず、任意方向別重み付けされた3次元方向情報のフーリエ係数を示している。
空間コンボリューション部18は、フーリエ変換した関数S2((21)式又は(22)式)を逆フーリエ変換部19に供給する。
逆フーリエ変換部19は、空間コンボリューション部18から供給された関数S2((21)式)を逆フーリエ変換する。
【式23】
【0028】
JP0004780497B2_000024t.gif
なお、sw(θ、t)は、受信部2で用いられたマイクロホンの指向特性の影響を含まず、任意方向別重み付けされた方向θの方向別波形を示し、SW(ω、ω)は、受信部2で用いられたマイクロホンの指向特性の影響を含まず、任意方向別重み付けされた方向θのフーリエ係数を示している。
また、逆フーリエ変換部19は、空間コンボリューション部18から供給された関数S2((22)式)を3次元指向特性について逆フーリエ変換する。なお、下記の(24)式は、上述した(17)式、(18)式に対応するものである。
【式24】
【0029】
JP0004780497B2_000025t.gif
また、積分区分が0乃至πのときには、例えば、下記の(25)式となる(下記式以外の場合であってもよい。)。なお、(25)式は、上述した(19)式、(20)式に対応するものである。
【式25】
【0030】
JP0004780497B2_000026t.gif
なお、sw(θ、θ、t)は、受信部2で用いられたマイクロホンの指向特性の影響を含まず、任意方向別重み付けされた方向θ、θの方向別波形を示し、SW(ω、ω、ω)は、マイクロホンの指向特性の影響を含まず、任意方向別重み付けされた3次元方向情報のフーリエ係数を示している。
逆フーリエ変換部19から出力される信号は、任意の方向において、任意の指向特性で受信した信号である。
ここで、信号受信装置1の具体的な動作について以下に説明する。なお、信号受信装置1は、図12に示すように、部屋の中央に配置され、かつ、受信部2のマイクロホン2a~2hがそれぞれa方向~h方向に指向方向を向けて配置されているものとし、また、a方向には、音楽信号を発信する発信部Aがあり、c方向には、ノイズを発生する発信部Bがあるものとする。
受信部2は、図13(A)~13(H)に示すように、方向a~方向hから到来してくる信号をマイクロホン2a~2hでそれぞれ受信する。なお、図13は、受信開始から約7秒間の波形表示である。図13(A)~図13(H)から分かるように、各マイクロホン2a~2hは、それ自身の指向特性によって、所定方向の信号に他方向の信号も混ざってしまうことになり、全体的にc方向に配置されている発信部Bから発信されたノイズが重畳された信号を、それぞれの指向方向に応じて受信している。なお、図13(A)は、マイクロホン2aにより方向aから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形であり、図13(B)は、マイクロホン2bにより方向bから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形であり、図13(C)は、マイクロホン2cにより方向cから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形であり、図13(D)は、マイクロホン2dにより方向dから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形であり、図13(E)は、マイクロホン2eにより方向eから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形であり、図13(F)は、マイクロホン2fにより方向fから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形であり、図13(G)は、マイクロホン2gにより方向gから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形であり、図13(H)は、マイクロホン2hにより方向hから到来してくる信号を受信しようとしたときの信号波形である。
フーリエ変換部11は、受信部2で得られた信号を各方向(各マイクロホン)に抽出し、抽出した信号の方向情報に基づく関数を生成する(図14)。この関数は、発信部Aのみが存在する場合における各マイクロホン2a~2hで受信した楽音信号の方向情報に基づく関数(図15)と、発信部Bのみが存在する場合における各マイクロホン2a~2hで受信したノイズの方向情報に基づく関数(図16)とが重ね合わさったものである。
また、フーリエ変換部13は、データベース12に記憶されている受信部2のマイクロホンの指向特性に基づき、図17に示すように、方向情報の指向特性関数を生成する。
空間デコンボリューション部14は、フーリエ変換部11で生成した図14に示す方向関数をフーリエ変換した関数と、フーリエ変換部13で生成した図17に示す方向関数をフーリエ変換した関数とに基づき空間デコンボリューション演算を行い、図18に示すような関数を生成する。図18は、受信部2から見て、信号源(発信部)が方向aと方向cだけに存在することを意味している。
また、図19(A)~図19(H)に、空間デコンボリューション演算及び逆フーリエ変換を施した後の各方向a~方向hの出力波形を示す。図19(A)に示す信号波形から、方向aにある信号源から到来する信号(楽音信号)の振幅、音量、残響、音色、減衰等の情報を知ることができ、また、図19(C)に示す信号波形から、方向cにある信号源から到来する信号(ノイズ)の振幅、音量、残響、音色、減衰等の情報を知ることができる。また、図19(B)、図19(D)~図19(H)に示す信号波形から、方向b、方向d~方向hには信号源が存在しないことが分かる。なお、図19(A)は、方向aのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形であり、図19(B)は、方向bのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形であり、図19(C)は、方向cのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形であり、図19(D)は、方向dのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形であり、図19(E)は、方向eのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形であり、図19(F)は、方向fのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形であり、図19(G)は、方向gのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形であり、図19(H)は、方向hのみから到来してくる信号を受信したときの信号波形である。
また、信号受信装置1は、例えば、図20に示すような方向aと方向eのみから到来する信号を抽出する任意方向指向特性関数をデータベース16の中から選択し、選択した任意方向指向特性関数をフーリエ変換部17でフーリエ変換する。そして、空間コンボリューション部18により、図18に示す関数と図20に示す関数とに基づき空間コンボリューション演算を行い、方向aと方向eのみから到来する信号のみを抽出する。すなわち、データベース16に任意の指向特性パターンの関数を格納することにより、受信部2を構成しているマイクロホンの指向特性に依存せずに、様々なパターンの指向特性に基づく信号受信が可能となる。
また、図21に示すように、任意の方向にスピーカSPを配置し、当該スピーカSPから発せられる信号を本発明に係る信号受信装置1によって方向別インパルス応答を測定したときの実験結果を以下に示す。なお、信号受信装置1は、図2Bに示す受信部2(マイクロホン2aをターンテーブル20上で回転させる)を採用し、マイクロホン2aを水平64方向(5.625度ステップ)に回転させながら、それぞれの方向におけるインパルス応答の測定を行った。また、実験では、スピーカSPから500Hzのトーンバースト信号と2kHzのトーンバースト信号を出力させ、それぞれの測定を行った。また、すべてのデータは、時間的な同期をとっている。
本発明に係る信号受信装置1によって、500Hzのトーンバースト信号について測定した結果を図22Aに示し、2kHzのトーンバースト信号について測定した結果を図22Bに示す。図22A、図22Bから分かるように、スピーカSP方向(図22中「1」の方向)に対してすぐ隣の方向(図22中「65」の方向及び「2」の方向)でさえ、10~15dBの測定レベルの抑制効果が得られており、非常にシャープな指向特性を得ることに成功している。なお、図22Aでは、処理前のカーディオイド指向特性を「A」で示し、処理後の指向特性を「A'」で示す。また、図22Bも同様に、処理前のカーディオイド指向特性を「A」で示し、処理後の指向特性を「A'」で示す。
また、-10dB付近に発生している鋭いサイドローブは、空間デコンボリューション部14で行った空間デコンボリューション演算の解が発散したものと考えられる。そこで、図23に示すような指向特性を有する空間的なローパスフィルタによって鋭いサイドローブを減衰する方法を説明する。なお、以下では、2次元のモデルで説明を行う。
データベース16に図23に示す指向特性関数が格納されており、図示しない選択部により当該指向特性関数が選択され、選択された当該指向特性関数がデータベース16からフーリエ変換部17に供給される。
フーリエ変換部17は、データベース16から供給された指向特性関数に基づき、(16)式のように、指向特性w(φ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。フーリエ変換部17は、フーリエ変換によって得られた関数M3を空間コンボリューション部18に供給する。
空間コンボリューション部18は、空間デコンボリューション部14から供給された関数S1(図22に示すような鋭いサイドローブが発生している関数)と、フーリエ変換部17から供給された関数M3に基づき、(21)式に示すように、2次元の空間コンボリューション演算を行う。空間コンボリューション部18は、2次元の空間コンボリューション演算後の関数S2を逆フーリエ変換部19に供給する。
逆フーリエ変換部19は、空間コンボリューション部18から供給された関数S2について逆フーリエ変換を行う。逆フーリエ変換部19によって得られた結果を図24A、図24Bに示す。なお、図24Aでは、処理前のカーディオイド指向特性を「A」で示し、処理後の指向特性を「A'」で示す。また、図24Bも同様に、処理前のカーディオイド指向特性を「A」で示し、処理後の指向特性を「A'」で示す。
このような空間フィルタリングにより得られる指向特性は、フィルタリング前の指向特性(図22)に比べてシャープさは劣るが、空間デコンボリューション演算による解の発散と考えられるサイドローブのシャープさを抑えることができる。特に、2kHzのトーンバースト信号を測定した場合(図24B)のサイドローブは、空間フィルタリングを行うことにより、ほとんどサイドローブが消失している。
また、空間フィルタリングを応用すると、マイクロホンの指向特性を自在に制御することができる。以下に具体例について説明する。なお、陸では、2次元のモデルで説明を行う。
例えば、データベース16には、図25に示す45度の指向特性関数F1と、90度の指向特性関数F2と、180度の指向特性関数F3が格納されているものとする。図示しない選択部により任意の角度の指向特性関数が選択され、選択された指向特性関数がデータベース16からフーリエ変換部17に供給される。
フーリエ変換部17は、データベース16から供給された指向特性関数に基づき、(16)式のように、指向特性w(φ、t)を時間及び方向に関してフーリエ変換する。フーリエ変換部17は、フーリエ変換によって得られた関数M3を空間コンボリューション部18に供給する。
空間コンボリューション部18は、空間デコンボリューション部14から供給された関数S1と、フーリエ変換部17から供給された関数M3に基づき、(21)式に示すように、2次元の空間コンボリューション演算を行う。空間コンボリューション部18は、2次元の空間コンボリューション演算後の関数S2を逆フーリエ変換部19に供給する。
逆フーリエ変換部19は、空間コンボリューション部18から供給された関数S2について逆フーリエ変換を行う。逆フーリエ変換部19によって得られた結果を図26A、図26Bに示す。
図26Aは、スピーカSPから500Hzのトーンバースト信号が出力されている場合の測定結果を示しており、45度の指向特性関数F1は、F1'となり、90度の指向特性関数F2は、F2'となり、180度の指向特性関数F3は、F3'となる。
また、図26Bは、スピーカSPから2kHzのトーンバースト信号が出力されている場合の測定結果を示しており、45度の指向特性関数F1は、F1''となり、90度の指向特性関数F2は、F2''となり、180度の指向特性関数F3は、F3''となる。
このようにして、本発明に係る信号受信装置1は、受信部2により受信した信号を方向情報に関してフーリエ変換した関数と、受信部2を構成するマイクロホンの指向特性の方向別感度に基づきフーリエ変換した関数とを空間デコンボリューション演算するので、各方向に到来する信号を抽出し、抽出した信号に基づき、所定の観測点における種々の音場の情報(信号振幅、音量、残響、音色、減衰等)を得ることができ、また、抽出した信号の周波数ごとの指向特性の違いをキャンセルして各周波数で同一の指向特性を得ることができる。
また、本発明に係る信号受信装置1は、受信部2を構成しているマイクロホンの数を多くするか、若しくは、図2Bに示すターンテーブル20の角度を細かく設定することにより、マイクロホンが受信する範囲を限定するとことで例えば、超指向特性を実現し、極めて精密に、信号の発信方向を抽出することができる。したがって、本願発明に係る信号受信装置1を応用すれば、所定の場所において、特定の信号(ノイズ)が発せられている発信源を突き止めることができる。また、多くの音源が混在する場合、例えば、オーケストラ演奏の中から特定の楽器の音だけを抽出して、録音することが可能である。すなわち、本発明に係る信号受信装置1は、音源探査装置及び集音装置として応用することが可能である。
また、本発明に係る信号受信装置1は、低周波数帯域の信号を受信する場合においても、従来のように装置のサイズの大型化が伴わないので、小規模な場所にも配置することができ、あらゆる場所における音場情報を収集することができる。
また、本発明に係る信号受信装置1では、図21乃至図26に示したように、任意の形状に指向特性を制御することができる。
なお、上述した本発明を実施するための最良の形態では、受信部2が受信する信号を可聴周波数帯としたが、可聴周波数帯域外の周波数帯であっても良く、電波等の様々な信号に適用ができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上詳細に説明したように、本発明に係る信号受信装置及び方法は、空間デコンボリューション演算により周波数ごとの指向特性の違いがキャンセルされるので、各周波数で同一の指向特性が得られる。
また、本発明に係る信号受信装置及び方法は、使用した元の指向性マイクロホンの指向特性を超える鋭い指向特性を実現できる。
また、本発明に係る信号受信装置及び方法は、音場の任意の一点から方向情報を測定するので空間的な大きさは必要なくなり、小規模なサイズ構成により、特に低周波数領域を対象とした鋭い指向特性を得ることができる。
さらに、本発明に係る信号受信装置及び方法は、空間デコンボリューション結果に対して所望の指向特性を空間コンボリューション演算することにより、所望の指向特性を任意に制御することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25