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明細書 :二軸引張り試験装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5527694号 (P5527694)
公開番号 特開2012-032218 (P2012-032218A)
登録日 平成26年4月25日(2014.4.25)
発行日 平成26年6月18日(2014.6.18)
公開日 平成24年2月16日(2012.2.16)
発明の名称または考案の名称 二軸引張り試験装置
国際特許分類 G01N   3/04        (2006.01)
G01N   3/08        (2006.01)
FI G01N 3/04 P
G01N 3/08
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2010-170571 (P2010-170571)
出願日 平成22年7月29日(2010.7.29)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 加藤 数良,平成21年度 卒業研究概要集 日本大学生産工学部 機械工学科,117~118頁,2010年2月24日発行
審査請求日 平成25年6月4日(2013.6.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】高橋 進
個別代理人の代理人 【識別番号】100066980、【弁理士】、【氏名又は名称】森 哲也
【識別番号】100103850、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
【識別番号】100116012、【弁理士】、【氏名又は名称】宮坂 徹
審査官 【審査官】阿部 知
参考文献・文献 特開平11-094721(JP,A)
特開2009-244183(JP,A)
特開2010-210442(JP,A)
国際公開第2010/103830(WO,A1)
特開2007-163257(JP,A)
特開平11-276636(JP,A)
永安達哉,汎用の圧縮試験機を用いたコンパクト二軸引張試験装置の開発と試験結果の評価,塑性加工連合講演会講演論文集,2009年10月16日,60th,19-20
調査した分野 G01N 3/00-3/62
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに直交する二軸である第一軸及び第二軸に沿う試験片の四方から引張り力を付与する二軸引張り試験装置であって、
基台と、この基台上に互いに直交する方向に配置された第一軸レール及び第二軸レールと、これら第一軸レール及び第二軸レールに2台ずつ互いに離間して配置されたスライド部と、これらスライド部の内側に連結されて前記試験片の四方を挟持する4台の試験片チャック部と、前記第一軸レールに配置した2台の前記スライド部にアーム下端が回動自在に連結され、アーム上端が前記試験片チャック部の上方に位置するように斜め上方に延在している一対の第一軸リンクアームと、前記第二軸レールに配置した2台の前記スライド部にアーム下端が回動自在に連結され、アーム上端が前記試験片チャック部の上方に位置するように斜め上方に延在している一対の第二軸リンクアームと、前記一対の第一軸リンクアーム及び前記一対の第二軸リンクアームの前記アーム上端が回動自在に連結されたリンクアーム上端連結部と、このリンクアーム上端連結部に下向き荷重を作用し、当該リンクアーム上端連結部の下方移動により前記第一軸リンクアーム及び第二軸リンクアームの前記アーム下端を移動させ、第一軸レール及び第二軸レールに配置した前記スライド部に後退移動力を伝達する1台の荷重伝達部と、を備え、
前記一対の第一軸リンクアームは、前記リンクアーム上端連結部に連結する上部連結支点と前記スライド部に連結する下部連結支点との間の前記第一軸に沿う第一軸支点間距離を調整可能な構造とし、前記一対の第二軸リンクアームの上部連結支点と下部連結支点との間の前記第二軸に沿う第二軸支点間距離を一定の値に設定し、
前記第一軸支点間距離を調整することで、前記第一軸支点間距離及び前記第二軸支点間距離の比を変更し、
前記一対の第一軸リンクアームは、前記アーム上端連結部に連結する上端分割アームと、前記スライド部に連結する下端分割アームと、前記下端分割アーム及び上端分割アームの間に、これら下端分割アーム及び上端分割アームに対して相対回動不能に着脱自在に連結する中間分割アームとで構成され、
前記中間分割アームは、前記上端分割アーム及び前記下端分割アームの少なくとも一方との長手方向の連結位置を変更することで、前記一対の第一軸リンクアームの前記第一軸支点間距離を調整するようにしていることを特徴とする二軸引張り試験装置。
【請求項2】
前記中間分割アームは長手方向に複数対の連結穴が形成されており、前記上端分割アーム及び前記下端分割アームの前記中間分割アームに連結する側にも一対の連結穴が形成されており、前記中間分割アームの所定の対の連結穴と、前記上端分割アーム及び前記下端分割アームの一対の連結穴とを対応させた状態でそれらに連結ボルトを挿通し、当該連結ボルトに連結ナットを螺合することで、前記一対の第一軸リンクアームの前記第一軸支点間距離を調整するようにしていることを特徴とする請求項1記載の二軸引張り試験装置。
【請求項3】
前記上端分割アーム及び前記リンクアーム上端連結部の一方に長穴形状の第1連結穴を形成し、他方に円形状の第2連結穴を形成し、第2連結穴を前記第1連結穴の長軸方向の所定位置に対応させた状態でそれらに連結ボルトを挿通し、当該連結ボルトに連結ナットを螺合することで、前記一対の第一軸リンクアームの前記第一軸支点間距離を調整することを特徴とする請求項1又は2記載の二軸引張り試験装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに直交する二軸の引張り比を変更して試験片の実験データを得る二軸引張り試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動車の軽量化に大きく貢献している高張力鋼板、アルミニウム板などの軽量化板材は、スプリングバック、割れ等の成形不良が生じやすい。また、トライレス化が進められている現在、二軸引張り試験により軽量化板材(材料モデル)の降伏関数などの材料定数を同定した後、成形シミュレーションにおいて成形不良を高精度に予測する必要がある。
【0003】
従来の二軸引張り試験装置として、例えば、特許文献1,2の装置が知られている。
特許文献1の装置は、テーブル上の互いに直交する二軸(第一軸、第二軸)の四方に配置した4台の駆動手段が、テーブルの中央位置に配置した試験片の四方の接続部に負荷ロッドを介して連結しており、4台の駆動手段を駆動することで、試験片の二軸方向に引張り力を付与する装置である。
【0004】
また、特許文献2の装置は、連結軸を介して各端部が回動自在に接続された4本のリンク部材を有し、これらリンク部材の連結軸を結ぶ対角線が互いに直交する二軸(第一軸、第二軸)に沿うように配置された駆動力伝達リンクと、この駆動力伝達リンクの第一軸に沿う2つの連結軸を互いが離間する方向に相対移動させる1台の駆動手段と、駆動力伝達リンクの内側に係合し、試験片の直交する四方の接続部に接続して配置された連結ホルダとを備え、1台の駆動手段の駆動により駆動力伝達リンクの4本のリンク部材を回動させると、連結ホルダを介して試験片に二軸方向から引張り力を付与する装置である。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2007-163257号公報
【特許文献2】特開2010-14612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
成形シミュレーションを駆使して板材料の成形不良を高精度に予測するには、板材料の面内二軸応力場での塑性変形特性を計測する必要がある。この場合、二軸引張り試験装置を使用した実験では、試験片に対する互いに直交する二軸(第一軸、第二軸)の引張り量を調節することで二軸引張り比を変更し、異なるひずみ比の材料特性データを得る必要がある。
【0007】
上述した特許文献1の装置で試験片の二軸引張り比を変更するには、第一軸が所定の引張り量となるように第一軸に沿って配置した2台の駆動手段と、第二軸が所定の引張り量となるように第二軸に沿って配置した他の2台の駆動手段との駆動量を調整しなければならない。このように、特許文献1の装置は、4台の駆動手段の駆動量調整に多くの手間と時間を要してしまうので、二軸引張り比の変更作業を容易に行なうことができない。
【0008】
また、特許文献2の装置で試験片の二軸引張り比を変更するには、駆動力伝達リンクを構成する4本のリンク部材の長さ及び連結位置、駆動力伝達リンクに係合する連結ホルダの形状を変更しなければならない。特許文献2の装置は、二軸引張り比を変更するために装置構成を大幅に変更しなければならないので、二軸引張り比の変更作業を容易に行なうことができない。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、試験片の二軸引張り比の変更作業を容易に行なうことができる二軸引張り試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の二軸引張り試験装置は、互いに直交する二軸である第一軸及び第二軸に沿う試験片の四方から引張り力を付与する二軸引張り試験装置であって、基台と、この基台上に互いに直交する方向に配置された第一軸レール及び第二軸レールと、これら第一軸レール及び第二軸レールに2台ずつ互いに離間して配置されたスライド部と、これらスライド部の内側に連結されて前記試験片の四方を挟持する4台の試験片チャック部と、前記第一軸レールに配置した2台の前記スライド部にアーム下端が回動自在に連結され、アーム上端が前記試験片チャック部の上方に位置するように斜め上方に延在している一対の第一軸リンクアームと、前記第二軸レールに配置した2台の前記スライド部にアーム下端が回動自在に連結され、アーム上端が前記試験片チャック部の上方に位置するように斜め上方に延在している一対の第二軸リンクアームと、前記一対の第一軸リンクアーム及び前記一対の第二軸リンクアームの前記アーム上端が回動自在に連結されたリンクアーム上端連結部と、このリンクアーム上端連結部に下向き荷重を作用し、当該リンクアーム上端連結部の下方移動により前記第一軸リンクアーム及び第二軸リンクアームの前記アーム下端を移動させ、第一軸レール及び第二軸レールに配置した前記スライド部に後退移動力を伝達する1台の荷重伝達部と、を備え、前記一対の第一軸リンクアームは、前記リンクアーム上端連結部に連結する上部連結支点と前記スライド部に連結する下部連結支点との間の前記第一軸に沿う第一軸支点間距離を調整可能な構造とし、前記一対の第二軸リンクアームの上部連結支点と下部連結支点との間の前記第二軸に沿う第二軸支点間距離を一定の値に設定し、前記第一軸支点間距離を調整することで、前記第一軸支点間距離及び前記第二軸支点間距離の比を変更し、前記一対の第一軸リンクアームは、前記アーム上端連結部に連結する上端分割アームと、前記スライド部に連結する下端分割アームと、前記下端分割アーム及び上端分割アームの間に、これら下端分割アーム及び上端分割アームに対して相対回動不能に着脱自在に連結する中間分割アームとで構成され、前記中間分割アームは、前記上端分割アーム及び前記下端分割アームの少なくとも一方との長手方向の連結位置を変更することで、前記一対の第一軸リンクアームの前記第一軸支点間距離を調整するようにしていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の二軸引張り試験装置において、前記中間分割アームは長手方向に複数対の連結穴が形成されており、前記上端分割アーム及び前記下端分割アームの前記中間分割アームに連結する側にも一対の連結穴が形成されており、前記中間分割アームの所定の対の連結穴と、前記上端分割アーム及び前記下端分割アームの一対の連結穴とを対応させた状態でそれらに連結ボルトを挿通し、当該連結ボルトに連結ナットを螺合することで、前記一対の第一軸リンクアームの前記第一軸支点間距離を調整するようにしている。
【0012】
また、請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の二軸引張り試験装置において、前記上端分割アーム及び前記リンクアーム上端連結部の一方に長穴形状の第1連結穴を形成し、他方に円形状の第2連結穴を形成し、第2連結穴を前記第1連結穴の長軸方向の所定位置に対応させた状態でそれらに連結ボルトを挿通し、当該連結ボルトに連結ナットを螺合することで、前記一対の第一軸リンクアームの前記第一軸支点間距離を調整するようにしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る二軸引張り試験装置によると、試験片に対する二軸方向(互いに直交する第一軸及び第二軸)の引張り比の変更は、一対の第一軸リンクアームの第一軸支点間距離を調整するだけであり、1台の荷重伝達部がリンクアーム上端連結部に下向き荷重を伝達し、リンクアーム上端連結部の下方移動が、一対の第一軸リンクアーム及び一対の第二軸リンクアームを回動させて4台のスライド部に後退移動力を伝達することで、各スライド部に連結した試験片チャック部が試験片Sに対する二軸方向に異なる引張り量の引張り力を付与することができる。したがって、複数の駆動手段の駆動力調整を必要とし、或いはリンク機構の全てを変更しなければならない従来の装置と比較して、二軸引張り比の変更作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る二軸引張り試験装置において第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=1:1に設定した装置の外観を示す図である。
【図2】本発明に係る二軸引張り試験装置において第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=1.5:1に設定した装置の外観を示す図である。
【図3】本発明に係る二軸引張り試験装置において第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=2:1に設定した装置の外観を示す図である。
【図4】本発明に係る装置のリンクアーム上端連結部と第一軸リンクアームの連結状態を示す図である。
【図5】本発明に係る装置の第一軸リンクアームを構成する部材の連結状態を示す図である。
【図6】第一軸リンクアームの他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る二軸引張り試験装置の一実施形態を示すものである。
本実施形態の二軸引張り試験装置は、基台1上に、第一軸L1に沿った位置で互いに離間した一対のレール2、3と、第一軸L1に直交する第二軸L2に沿った位置で互いに離間した一対のレール4,5とが配置されている。各レール2~5上には、スライド部6~9が移動自在に配置されている。

【0016】
また、第一軸L1に沿う一対のレール2,3に配置したスライド部6,7の互いに対向する内側には、試験片チャック部10,11が連結されており、第二軸L2に沿う一対のレール4,5に配置したスライド部8,9の互いに対向する内側には、試験片チャック部12,13が連結されている。そして、これら4台の試験片チャック部10~13に、試験片Sの四方が挟持されている。

【0017】
一方、一対のレール2,3に配置したスライド部6,7には、アーム下端が回動自在に着脱自在とされて連結され、アーム上端が前記試験片チャック部の上方に位置するように斜め上方に延在した一対の第一軸リンクアーム14,15が配置されている。また、他の一対のレール4,5に配置したスライド部8,9には、アーム下端が回動自在に着脱自在とされて連結され、アーム上端が前記試験片チャック部の上方に位置するように斜め上方に延在している一対の第二軸リンクアーム16,17が配置されている。
また、一対の第一軸リンクアーム14,15及び一対の第二軸リンクアーム16,17のアーム上端にはリンクアーム上端連結部18が連結されており、このリンクアーム上端連結部18には、1台の荷重伝達装置19が下向き荷重を伝達する。

【0018】
上述したリンクアーム上端連結部18は、図4(a)に示すように、荷重伝達装置19から直接下向き荷重が伝達される被荷重伝達部20と、この被荷重伝達部20から十字方向に延在する継手部21~24とを備えた部材である。継手部21は、互いに平行に延在した2枚のプレート21a,21bで構成されており、プレート21a,21bには、内側から外側に向けて長軸方向が延在する長穴形状の連結穴21cが形成されている。また、被荷重伝達部20を境に継手部21の反対側に位置する継手部22も、継手部21と同様に、プレート22a,22b及び長穴形状の連結穴22cが形成されている。また、継手部23は、互いに平行に延在した2枚のプレート23a,23bで構成されているとともに、プレート21a,21bには円形状の連結穴(不図示)が形成されており、被荷重伝達部20を境に継手部23の反対側に位置する継手部24も、継手部21と同様に、プレート24a,24b及び円形状の連結穴(不図示)が形成されている。

【0019】
第一軸L1に沿って配置された第一軸リンクアーム14は、図1に示すように、リンクアーム上端連結部18の継手部21と連結する上端分割アーム25と、スライド部6と連結する下端分割アーム26と、上端分割アーム25及び下端分割アーム26の間を連結する中間分割アーム27とを備えている。
上端分割アーム25は、図5に示すように、長手方向の一端側に円形状の連結穴25aが形成され、長手方向の他端側に円形状の一対の連結穴25b,25cが形成されている。

【0020】
下端分割アーム26は、図5に示すように、長手方向の一端側に円形状の連結穴26aが形成され、長手方向の他端側に円形状の一対の連結穴26b,26cが形成されている。
図1に示すように、上端分割アーム25及び下端分割アーム26の端部を挟み込むように2枚の中間分割アーム27が連結されている。これら中間分割アーム27は同一形状の部材であり、図5に示すように、長手方向に複数対の円形状の連結穴27a1、27a2、27b1、27b2、27c1、27c2、27d1、27d2が形成されている。

【0021】
そして、第一軸リンクアーム14は、図1及び図5に示すように、リンクアーム上端連結部18の連結穴21cの長軸側の一方(被荷重伝達部20から最も離間した位置)及び上端分割アーム25の連結穴25aを対応させて連結ボルト28を挿通し、この連結ボルト28の先端部にナット(不図示)を螺合する。また、上端分割アーム25の一対の連結穴25b,25c及び中間分割アーム27の一対の連結穴27b1,27b2を対応させて連結ボルト29,30を挿通し、これら連結ボルト29,30の先端部にナット(不図示)を螺合し、中間分割アーム27の一対の連結穴27a1,27a2及び下端分割アーム26の一対の連結穴26b,26cを対応させて連結ボルト31,32を挿通し、これら連結ボルト31,32の先端部にナット(不図示)を螺合し、下端分割アーム26の連結穴26a及びスライド部6の連結穴6aを対応させて連結ボルト33を挿通し、この連結ボルト33の先端部にナット(不図示)を螺合することで、第一軸L1に沿ってスライド部6とリンクアーム上端連結部18との間に連結されている。

【0022】
また、図1に示すように、第一軸L1に沿って配置された第一軸リンクアーム15も、第一軸リンクアーム14と同一構成部材及び同一位置でスライド部7とリンクアーム上端連結部18の継手部22との間に連結されている。
一方、第二軸L2に沿って配置された第二軸リンクアーム16は、長手方向の上下端部に円形の連結穴(不図示)を形成した単一部材であり、上端部の連結穴をリンクアーム上端連結部18の継手部23の連結穴に対応して連結ボルト34を挿通し、この連結ボルト34の先端部にナット35を螺合し、下端部の連結穴をスライド部8の連結穴(不図示)に対応して連結ボルト36を挿通し、この連結ボルト36の先端部にナット37を螺合することでスライド部8とリンクアーム上端連結部18の継手部24との間に連結されている。

【0023】
また、図1に示すように、第二軸L2に沿って配置された第二軸リンクアーム17も、
第一軸リンクアーム14と同一構成部材及び同一位置でスライド部9とリンクアーム上端連結部18の継手部24との間に連結されている。
ここで、図1及び図5に示すように、リンクアーム上端連結部18の継手部21と連結する第一軸リンクアーム14の上端分割アーム25の上部連結支点P1と、スライド部6と連結する第一軸リンクアーム14の下端分割アーム26の下部連結支点P2との間の第一軸L1に沿う方向を第一軸支点間距離Aと称する。また、図示しないが、リンクアーム上端連結部18の継手部22と連結する第一軸リンクアーム15の上端分割アーム25の上部連結支点と、スライド部7と連結する第一軸リンクアーム15の下端分割アーム26の下部連結支点との間の第一軸L1に沿う方向も第一軸支点間距離Aと称する。

【0024】
一方、図1に示すように、リンクアーム上端連結部18の継手部23と第二軸リンクアーム16の上端部との上部連結支点と、スライド部8と第二軸リンクアーム16の下端部との下部連結支点との間の第二軸L2に沿う方向を第二軸支点間距離Bと称する。また、図示しないが、リンクアーム上端連結部18の継手部24と第二軸リンクアーム17の上端部との上部連結支点と、スライド部9と第二軸リンクアーム17の下端部との下部連結支点との間の第二軸L2に沿う方向も、第二軸支点間距離Bと称する。

【0025】
なお、本発明の第1軸レールがレール2,3に対応し、本発明の第2軸レールがレール4,5に対応し、本発明の第1連結穴が、リンクアーム上端連結部18の長穴形状の連結穴21cに対応し、本発明の第2連結穴が、上端分割アーム25の円形状の連結穴25aに対応し、本発明の荷重伝達部が荷重伝達装置19に対応している。
そして、本実施形態の二軸引張り試験装置は、図1から図3に示すように、第一軸リンクアーム14,15のアーム形状を変更することで、第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離Bを、A:B=1:1、A:B=1.5:1、A:B=2:1の比に変更することが可能とされている。

【0026】
先ず、第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=1:1の比に設定した図1の二軸引張り試験装置の動作について説明する。
荷重伝達装置19から下向き荷重が伝達されたリンクアーム上端連結部18が下方移動することで、一対の第一軸リンクアーム14,15が上部連結支点P1及び下部連結支点P2回りに回動しながら第一軸L1に沿って配置した2台のスライド部6,7に対して互いに離間する方向の後退移動力を伝達する。スライド部6,7がレール2,3に沿って移動することで、スライド部6,7に連結された試験片チャック部10,11に挟持されている試験片Sには、第一軸L1方向に所定引張り量の引張り力が付与される。

【0027】
また、リンクアーム上端連結部18が下方移動すると、一対の第二軸リンクアーム16,17も上端部及び下端部が連結ボルト34,36回りに回動しながら第二軸L2に沿って配置した2台のスライド部8,9に対して互いに離間する方向の後退移動力を伝達する。スライド部8,9がレール4,5に沿って移動することで、スライド部8,9に連結された試験片チャック部12,13に挟持されている試験片Sには、第二軸L2方向に所定引張り量の引張り力が付与される。

【0028】
そして、図1の装置は第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=1:1の比に設定されているので、試験片Sに付与される第一軸L1方向の引張り量と第二軸L2方向の引張り量が同一になる。したがって、図1の装置は、二軸引張り比=1:1に設定されて試験片Sの二軸引張り試験を行なう。
また、図2の二軸引張り試験装置は、第一軸リンクアーム14の上端分割アーム25の一対の連結穴25b,25cを中間分割アーム27の一対の連結穴27c1,27c2に対応させ(図5参照)、これらの連結穴に連結ボルト29,30を挿通し、これら連結ボルト29,30の先端部にナットを螺合することで、図1と比較して第一軸L1方向に延在する第一軸リンクアーム14の長さを長く設定している。また、第一軸リンクアーム15も、第一軸リンクアーム14と同様のアーム形状としている。

【0029】
これにより、図2の装置は、第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=1.5:1の比に設定される。
図2の二軸引張り試験装置は、荷重伝達装置19から下向き荷重(図1と同一の荷重)が伝達されたリンクアーム上端連結部18が下方移動することで、一対の第一軸リンクアーム14,15、スライド部6,7及び試験片チャック部10,11を介して試験片Sに第一軸L1方向に所定引張り量の引張り力が付与される。

【0030】
また、リンクアーム上端連結部18が下方移動すると、一対の第二軸リンクアーム16,17、スライド部8,9及び試験片チャック部12,13を介して試験片Sに第二軸L2方向に所定引張り量の引張り力が付与される。
そして、図2の装置は第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=1.5:1の比に設定されているので、試験片Sに付与される第一軸L1方向の引張り量は、第二軸L2方向の引張り量に対して1.5倍となる。したがって、図2の装置は、二軸引張り比=1.5:1に設定されて試験片Sの二軸引張り試験を行なう。

【0031】
さらに、図3の二軸引張り試験装置は、リンクアーム上端連結部18の連結穴21cの長軸側の他方(被荷重伝達部20に最も近接する位置:図4(b)参照)及び第一軸リンクアーム14の上端分割アーム25の連結穴25aを対応させて連結ボルト28を挿通し、この連結ボルト28の先端部にナット(不図示)を螺合する。また、第一軸リンクアーム14の上端分割アーム25の一対の連結穴25b,25cを中間分割アーム27の一対の連結穴27d1,27d2に対応させ(図5参照)、これらの連結穴に連結ボルト29,30を挿通し、これら連結ボルト29,30の先端部にナットを螺合することで、図2と比較して第一軸L1方向に延在する第一軸リンクアーム14の長さをさらに長く設定している。また、第一軸リンクアーム15も、第一軸リンクアーム14と同様のアーム形状としている。
これにより、図3の装置は、第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=2:1の比に設定される。

【0032】
図3の二軸引張り試験装置は、荷重伝達装置19から下向き荷重(図1と同一の荷重)が伝達されたリンクアーム上端連結部18が下方移動することで、一対の第一軸リンクアーム14,15、スライド部6,7及び試験片チャック部10,11を介して試験片Sに第一軸L1方向に所定引張り量の引張り力が付与される。また、リンクアーム上端連結部18が下方移動すると、一対の第二軸リンクアーム16,17、スライド部8,9及び試験片チャック部12,13を介して試験片Sに第二軸L2方向に所定引張り量の引張り力が付与される。
そして、図3の装置は第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離B=2:1の比に設定されているので、試験片Sに付与される第一軸L1方向の引張り量は、第二軸L2方向の引張り量に対して2倍となる。したがって、図2の装置は、二軸引張り比=2:1に設定されて試験片Sの二軸引張り試験を行なう。

【0033】
次に、本実施形態の二軸引張り試験装置の効果について説明する。
本実施形態の装置は、試験片Sに対する二軸方向(第一軸L1及び第二軸L2)の引張り比の変更は、一対の第一軸リンクアーム14,15の第一軸支点間距離Aを調整するだけであり、1台の荷重伝達装置19がリンクアーム上端連結部18に下向き荷重を伝達し、リンクアーム上端連結部18の下方移動が、一対の第一軸リンクアーム14,15及び一対の第二軸リンクアーム16,17を回動させて4台のスライド部6~9に後退移動力を伝達することで、スライド部6~9に連結した試験片チャック部10~13が試験片Sに対する二軸方向に異なる引張り量の引張り力を付与するので、複数の駆動手段の駆動力調整を必要とし、或いはリンク機構の全てを変更しなければならない従来の装置と比較して、二軸引張り比の変更作業を容易に行なうことができる。

【0034】
また、一対の第一軸リンクアーム14,15は、リンクアーム上端連結部18に連結する上端分割アーム25と、スライド部6,7に連結する下端分割アーム26と、これら上端分割アーム25及び下端分割アーム26に対して相対回動不能に連結する中間分割アーム27とで構成され、中間分割アーム27と上端分割アーム25との長手方向の連結位置を変更してアーム形状を変更するだけで、支点間距離Aを調整することができるので、支点間距離Aの調整を容易に行なうことができる。

【0035】
さらに、連結ボルト28及びナットで連結される上端分割アーム25の円形状の連結穴25aと、リンクアーム上端連結部18の継手部21,22に形成した長穴形状の連結穴21c,22cの長軸方向位置を変更するだけで、一対の第一軸リンクアーム14,15の支点間距離Aが調整可能なので、さらに支点間距離Aの調整を容易に行なうことができる。
なお、一対の第一軸リンクアーム14,15を構成する上端分割アーム25、下端分割アーム26及び中間分割アーム27の形状、連結穴の数、位置を変更することで、上述した第一軸支点間距離A:第二軸支点間距離Bの比(A:B=1:1、A:B=1.5:1、A:B=2:1)以外に変更することができる。

【0036】
また、上記実施形態では、一対の第一軸リンクアーム14,15を、上端分割アーム25と、下端分割アーム26と、これら上端分割アーム25及び下端分割アーム26に連結する中間分割アーム27とで構成したが、図6に示すように、上端分割アーム25と、スライド部6,7に回動自在に連結し、且つ上端分割アーム25に対して相対回動不能に連結する分割アーム40とで一対の第一軸リンクアーム14,15を構成してもよい。分割アーム40は、一端側に形成した1枚のプレート部40aと、他端側に形成され、互いに平行に延在する2枚のプレート部40b,40cで構成された部材である。そして、プレート部40aには、スライド部6,7の連結穴6a,7aに対応し、連結ボルト及びナットで連結される円形状の連結穴40a1が形成されている。また、プレート部40b,40cには、長手方向に複数対の円形状の連結穴41a,41bが形成されており、これら複数対の連結穴41a,41bのいずれかを上端分割アーム25の一対の連結穴25b,25cに対応させ、連結ボルト及びナットで連結することで、アーム形状が変更されて第一軸支点間距離Aが調整されるようになっている。
【符号の説明】
【0037】
1…基台、2~5…レール、6~9…スライド部、10~13…試験片チャック部、14,15…第一軸リンクアーム、16,17…第二軸リンクアーム、18…リンクアーム上端連結部、19…荷重伝達装置、20…被荷重伝達部、21~24…継手部、21c…長穴形状の連結穴、25…上端分割アーム、25a…円形状の連結穴、25b,25c…連結穴、26…下端分割アーム、26a…連結穴、26b,26c…連結穴、27…中間分割アーム、27a1,27a2,27b1,27b2,27c1,27c2,27d1,27d2…連結穴、28~34,36…連結ボルト、35,37…ナット、40…分割アーム、40…プレート部、40a1…連結穴、40b,40c…プレート部、41a,41b…連結穴、A…第一軸支点間距離、B…第二軸支点間距離、L1…第一軸、L2…第二軸、P1…上部連結支点、P2…下部連結支点、S…試験片
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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