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明細書 :バインダ、電極、電気化学キャパシタおよびリチウムイオン二次電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-161832 (P2013-161832A)
公開日 平成25年8月19日(2013.8.19)
発明の名称または考案の名称 バインダ、電極、電気化学キャパシタおよびリチウムイオン二次電池
国際特許分類 H01G  11/22        (2013.01)
H01M   4/62        (2006.01)
H01M   4/133       (2010.01)
FI H01G 9/00 301A
H01M 4/62 Z
H01M 4/02 104
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 21
出願番号 特願2012-020283 (P2012-020283)
出願日 平成24年2月1日(2012.2.1)
発明者または考案者 【氏名】山縣 雅紀
【氏名】石川 正司
【氏名】山崎 穣輝
【氏名】池辺 翔太
出願人 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5E078
5H050
Fターム 5E078AA01
5E078AA02
5E078AA04
5E078AA05
5E078AB01
5E078BA13
5E078BA22
5E078BA47
5E078BA53
5E078BB33
5H050AA02
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050DA03
5H050DA11
5H050EA22
5H050FA17
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA10
要約 【課題】サイクル耐久性および出力特性に優れた電気化学キャパシタまたはリチウムイオン二次電池の材料となるバインダを提供する。
【解決手段】本発明に係るバインダは、電気化学キャパシタ用電極の材料である活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含む。また、本発明に係るバインダは、リチウムイオン二次電池用炭素負極の材料である負極活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
電気化学キャパシタ用電極の材料である活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、
アルギン酸を含むことを特徴とするバインダ。
【請求項2】
上記アルギン酸がアルギン酸塩であり、
上記アルギン酸塩は、アルギン酸塩の1%(w/v)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載のバインダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバインダを含むことを特徴とする電気化学キャパシタ用電極。
【請求項4】
請求項3に記載の電気化学キャパシタ用電極を備えることを特徴とする電気化学キャパシタ。
【請求項5】
リチウムイオン二次電池用炭素負極の材料である負極活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、
アルギン酸を含むことを特徴とするバインダ。
【請求項6】
上記アルギン酸がアルギン酸塩であり、
上記アルギン酸塩は、アルギン酸塩の1%(w/v)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であることを特徴とする請求項5に記載のバインダ。
【請求項7】
請求項5または6に記載のバインダを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用炭素負極。
【請求項8】
請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用炭素負極を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、バインダ、電極、電気化学キャパシタおよびリチウムイオン二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機器、電気自動車に搭載される電気化学キャパシタ、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスが開発されている。これらの蓄電デバイスは、充放電可能であり、大電流での充放電が可能である。これらの中でも、電気化学キャパシタおよびリチウムイオン二次電池は、例えば、ハイブリッド自動車での瞬停対策装置、瞬停補填装置などに使用可能であり、充放電によって電極が劣化し難く、充放電サイクルに優れるため、各種の電源に用いられている。
【0003】
電気化学キャパシタを構成する電極は、電気エネルギーの蓄電に直接係わる活物質、活物質間の導通パスを担う導電助剤、バインダ、および集電体から構成される。電気化学キャパシタの特性は電極に大きく依存し、それぞれの材料自体の特性と材料の組み合わせ方に大きく影響を受ける。
【0004】
特にバインダは、活物質、導電助剤およびバインダを含む合材から得られた電極内にて存在比率が少なく、電気化学キャパシタに供給される電解液との親和性に優れ、電極の電気抵抗を最小限にできることが要求される。また、高電圧作動に耐える安定性も重要である。
【0005】
バインダは、大きく水系または非水系に分類される。水系バインダとしては、スチレン-ブラジエンラバー(SBR)水分散液(特許文献1、2)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)(特許文献3)が挙げられる。また、これらのバインダの併用については、特許文献4に開示されている。これらの水系バインダは、活物質および導電助剤との密着性が比較的高いため、合材における含有量が少なくて済むという利点がある。
【0006】
非水系バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(特許文献5、6)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液(特許文献7)が挙げられ、特に高圧作動型のデバイスには有利に働く点で利点がある。
【0007】
一方、リチウムイオン二次電池用電極用のバインダとして、特許文献7、非特許文献1に多糖類系天然高分子を用いることが開示されており、バインダとして適用可能であること、および、このバインダを用いたリチウムイオン二次電池用電極のサイクル耐久性が高いことが記載されている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開平9-251856号公報(1997年9月22日公開)
【特許文献2】特許第3101775号明細書(2000年10月23日発行)
【特許文献3】特許第2507125号明細書(1996年6月12日発行)
【特許文献4】特開平5-74461号公報(1993年3月26日公開)
【特許文献5】特開平9-36005号公報(1997年2月7日公開)
【特許文献6】特開平11-283887号公報(1999年10月15日公開)
【特許文献7】特開2009-277660号公報(2009年11月26日公開)
【0009】

【非特許文献1】I. Kovalenko et al., Science, Vol.75, pp.75-79(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のバインダは以下の問題点を有している。
【0011】
まず、水系バインダであるSBRを用いた合材では、活物質および導電助剤が不均一化し、均一性に欠けるため、電気化学キャパシタの性能について再現性低い傾向がある。また、CMCは、活物質および導電助剤に対する接着力が乏しいため、電極におけるCMCの含有量を10質量%以上に増加させる必要があるが、その結果、活物質の含有率が低下してしまう。
【0012】
これらの欠点を解消するため、実用上、SBRとCMCとを併用する必要がある。しかし、SBRは主鎖に二重結合を有し、SBRを正極に使用した場合、デバイスの充放電に伴い酸化による劣化が生じる。さらに、SBRおよびCMCは、電解液と接触すると膨張するため、これにより集電体から活物質の剥離が生じ、脱落するため、SBRおよびCMCを併用した電気化学キャパシタでは、サイクル耐久性および出力特性が低下するという問題がある。
【0013】
次に、非水系バインダであるPTFE、PVdFなどのフッ素系ポリマーは、活物質に対する分子間力が低いため、十分な接着力を発現できない傾向がある。接着力不足を補填するため、バインダの含有比を増加させることにより電極の強度を確保可能であるが、この場合、電極の電気抵抗が増加する結果となり、特に非表面積の大きな活性炭などの活物質は、その活性点が失われる。また、活物質の含有率が低下し、電気化学キャパシタの容量が低下する。さらには、PTFE、PVdFは、(1)活性炭などの炭素材料に対する親和性が低く、得られる電極の再現性が低く、(2)炭素材料との均一な混合のために、分散剤が必要になるという問題がある。
【0014】
一方、リチウムイオン二次電池に係る特許文献7では、多糖類系天然高分子のキトサンをバインダとして利用しており、リチウムイオン二次電池に係る非特許文献1では、シリコン電極のバインダとしてアルギン酸を用いている。これらのバインダを用いた電極を含むリチウムイオン二次電池は高いサイクル耐久性を有するものの、リチウムイオン二次電池の高出力化が達成されていない。
【0015】
また、バインダの問題を解決するために、合材に種々の添加材を加える試みもなされているが、デバイスの出力低下を招き、新たな問題を伴うこととなる。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、サイクル耐久性および出力特性に優れた電気化学キャパシタまたはリチウムイオン二次電池の材料となるバインダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のバインダは、上記課題を解決するために、電気化学キャパシタ用電極の材料である活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含むことを特徴としている。
【0018】
上記バインダは、活物質および導電助剤と親和性が高く、これを用いた電気化学キャパシタ用電極から活物質および導電助剤の剥離が生じ難い。このため、当該電極を備える電気化学キャパシタでは電極が劣化し難く、サイクル耐久性に優れた電気化学キャパシタを提供できる。また、上記バインダは、活物質および導電助剤との親和性に優れるため、上記電気化学キャパシタ用電極では、電極における各材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。このため、当該電極を備える電気化学キャパシタは、出力特性も優れている。よって、上記発明によれば、サイクル耐久性および出力特性に優れた電気化学キャパシタの材料となるバインダを提供できる。
【0019】
また、本発明のバインダでは、上記アルギン酸がアルギン酸塩であり、上記アルギン酸塩は、アルギン酸塩の1%(w/v)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以上、2000mPa・s以下であることがより好ましい。
【0020】
これにより、当該バインダを含む電気化学キャパシタ用電極による出力特性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の電気化学キャパシタ用電極は、上記バインダを含むものである。
【0022】
また、本発明の電気化学キャパシタは、電気化学キャパシタ用電極を備えるものである。
【0023】
本発明のバインダは、上記課題を解決するために、リチウムイオン二次電池用炭素負極の材料である炭素負極活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含むことを特徴としている。
【0024】
上記バインダは、負極活物質および導電助剤と親和性が高く、これを用いたリチウムイオン二次電池用炭素負極から負極活物質および導電助剤の剥離が生じ難い。このため、当該電極を備えるリチウムイオン二次電池では電極が劣化し難く、サイクル耐久性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる。また、上記バインダは、負極活物質および導電助剤との親和性に優れるため、上記リチウムイオン二次電池用炭素負極では、炭素負極における各材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。このため、当該炭素負極を備えるリチウムイオン二次電池は、出力特性も優れている。よって、上記発明によれば、サイクル耐久性および出力特性に優れたリチウムイオン二次電池の材料となるバインダを提供できる。
【0025】
また、本発明のバインダでは、上記アルギン酸がアルギン酸塩であり、上記アルギン酸塩は、アルギン酸塩の1%(w/v)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以上、2000mPa・s以下であることがより好ましい。
【0026】
これにより、当該バインダを含むリチウムイオン二次電池用炭素負極による出力特性を向上させることができる。
【0027】
また、本発明のリチウムイオン二次電池用炭素負極は、上記バインダを含むものである。
【0028】
また、本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用炭素負極を備えるものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明のバインダは、電気化学キャパシタ用電極の材料である活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含むものである。
【0030】
上記バインダは、活物質および導電助剤と親和性が高く、これを用いた電気化学キャパシタ用電極から活物質および導電助剤の剥離が生じ難い。このため、当該電極を備える電気化学キャパシタでは電極が劣化し難く、サイクル耐久性に優れた電気化学キャパシタを提供できる。また、上記バインダは、活物質および導電助剤との親和性に優れるため、上記電気化学キャパシタ用電極では、電極における各材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。このため、当該電極を備える電気化学キャパシタは、出力特性も優れている。よって、上記発明によれば、サイクル耐久性および出力特性に優れた電気化学キャパシタの材料となるバインダを提供できるという効果を奏する。
【0031】
また、本発明のバインダは、リチウムイオン二次電池用炭素負極の材料である負極活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含むものである。
【0032】
上記バインダは、負極活物質および導電助剤と親和性が高く、これを用いたリチウムイオン二次電池用炭素負極から負極活物質および導電助剤の剥離が生じ難い。このため、当該電極を備えるリチウムイオン二次電池では電極が劣化し難く、サイクル耐久性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる。また、上記バインダは、負極活物質および導電助剤との親和性に優れるため、上記リチウムイオン二次電池用炭素負極では、炭素負極における各材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。このため、当該炭素負極を備えるリチウムイオン二次電池は、出力特性も優れている。さらに、上記バインダは、負極活物質および導電助剤との親和性に優れるため、活物質の利用率が向上し、従来のバインダに比べて高容量化が可能となる。よって、上記発明によれば、サイクル耐久性および出力特性に優れたリチウムイオン二次電池の材料となるバインダを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1および比較例1に係る充放電特性を示すグラフである。
【図2】実施例1および比較例1、2に係る出力特性を示すグラフである。
【図3】図3(a)は、実施例1、および比較例1、2に係るインピーダンスのグラフ全体であり、図3(b)は、実施例1、および比較例1、2に係るインピーダンスの高周波部分を拡大したグラフである。
【図4】実施例1に係るサイクル耐久性を示すグラフである。
【図5】実施例1に係る耐電圧測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例1、2に係る出力特性を示すグラフである。
【図7】実施例3に係る出力特性を示すグラフである。
【図8】実施例4、5に係るサイクル特性を示すグラフである。
【図9】実施例4、5に係る出力特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施の形態1)
本発明の一実施形態について説明すれば、以下の通りであるが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。

【0035】
[電気化学キャパシタ用電極]
本発明に係るバインダは、電気化学キャパシタ用電極の材料である活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含むものである。なお、電気化学キャパシタは、電気二重層キャパシタと同義である。

【0036】
電気化学キャパシタ用電極は、一般的に、活物質、導電助剤およびバインダを含む合材を乾燥することにより得られる。合材に含まれる各材料について説明する。

【0037】
上記活物質としては公知のものを使用でき、活性炭、黒鉛粉末などを用いることができる。また、活物質同士および活物質と集電材とを電気的に連結する導電助剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素類を例示できる。

【0038】
本発明に係るバインダは、活物質および導電助剤を連結させるものであり、活物質と導電助剤とを覆うように存在し、活物質に対して導電助剤を固定するものである。アルギン酸は、β-D-マンヌロン酸と、α-L-グルロン酸とが1,4結合した高分子多糖類の基本分子構造を有するものである。なお、上記アルギン酸は、通常、コンブ、ワカメ、カジメなどの褐藻類植物由来のものである。

【0039】
アルギン酸としては、例えば、架橋されていないアルギン酸(以下、アルギン酸非架橋物ともいう)、架橋されたアルギン酸(以下、アルギン酸架橋物ともいう)が挙げられる。上記アルギン酸非架橋物としては、例えば、イオン化していない遊離アルギン酸、またはアルギン酸一価塩などが挙げられる。上記アルギン酸一価塩としては、アルギン酸リチウム塩、アルギン酸カリウム塩、アルギン酸ナトリウム塩などのアルギン酸アルカリ金属塩;アルギン酸アンモニウム塩等が挙げられる。

【0040】
上記アルギン酸架橋物としては、例えば、遊離アルギン酸またはアルギン酸一価塩と、二価以上の金属イオンとの塩であるアルギン酸多価塩、遊離アルギン酸またはアルギン酸一価塩などを硫酸により架橋したアルギン酸硫酸架橋物などが挙げられる。アルギン酸多価塩としては、例えば、アルギン酸カルシウム塩が挙げられる。

【0041】
アルギン酸は、低分子量である方が、活物質および導電助剤に対してより密着し易く、より均一な合材を形成できると考えられるが、出力特性に寄与する活物質の量を増加させる観点から、ある程度の分子量を有することが好ましい。

【0042】
また、上記アルギン酸塩は、当該アルギン酸の1%(g/100ml)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であるものが好ましく、1000mPa・s以上、2000mPa・s以下であるものがより好ましい。なお、上記粘度は、回転式粘度計(ブルックフィールド社製)により、RV-1スピンドルを用いて、20℃で回転数60rpm、測定時間1分の条件で測定したときの値である。

【0043】
上記アルギン酸は、アルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものが好ましい。また、上記アルギン酸は、0.5質量%以上、5.0質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることが好ましく、2.0質量%以上、3.0質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることがより好ましい。アルギン酸が0.5質量%以上、5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上、3.0質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることにより、合材の混合を容易に行うことができる。

【0044】
本発明に係るバインダはアルギン酸を含んでいればよいが、バインダにおけるアルギン酸の含有率は、50質量%以上、100質量%以下であることが好ましく、70質量%、100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上、100質量%以下であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。アルギン酸の含有率が100質量%未満の場合、アルギン酸以外のバインダ成分として、スチレン-ブラジエンラバー、カルボキシメチルセルロースなどを用いればよい。

【0045】
また、合材における活物質、導電助剤およびバインダの含有率(質量%)は、特に限定されるものではないが、例えば、活物質:導電助剤:バインダ=80~97:4~10:2~15とすることができる。なお、活物質、導電助剤およびバインダの含有率の合計は100である。すなわち、合材から得られた電気化学キャパシタ用電極におけるバインダの配合率は、2質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。また、より好ましくは、5質量%以上、10質量%以下である。2質量%未満の場合、活物質、導電助剤およびバインダが均一に混合された合材を作製することが困難となり、15質量%を超えるとバインダの配合率が増加する結果、活物質の配合率の低下を招く。

【0046】
上記合材は、活物質、導電助剤およびアルギン酸を混合することにより得られる。アルギン酸は水溶液の状態で配合してもよい。また、粘度調整のため、合材に水などを添加してもよい。本発明に係るバインダは炭素系の活物質および導電助剤との親和性が高く、非常に均一な合材が得られる点が特徴であり、意匠的にも優れた電極が得られる。

【0047】
合材は所望の厚さにて集電体に塗布される。塗布法として、集電体に合材を塗布し、ドクターブレードにより余分な合材を除去する方式、集電体に合材を塗布し、ローラにより合材を圧延する方式などの公知の塗布法が挙げられる。なお、集電体としてはアルミニウム箔が通常使用される。

【0048】
合材を乾燥する温度は特に限定されず、合材における各材料の配合率により適宜変更すればよいが、通常、70℃以上、90℃以下である。また、得られた電気化学キャパシタ用電極の厚さは、電気化学キャパシタの用途により適宜変更すればよい。

【0049】
[電気化学キャパシタ]
電気化学キャパシタは、正極(電極)および負極(電極)を備え、正極と負極との間には、電解液が供給されており、正極と負極との短絡を防止するために正極と負極との間にはセパレーターが配置されている。正極および負極にはそれぞれ集電体が備えられており、両集電体は電源に接続されている。この電源の操作によって充放電の切り替えがなされる。

【0050】
電解液は公知のものを用いればよく特に限定されるものではないが、非水系電解液を用いることができる。非水系電解液は、従来公知の電気化学キャパシタに用いられる非水系電解液であればよく、イオン液体を用いることもできる。ここでいう「イオン液体」とは、室温でも液体で存在する塩を意味する。このイオン液体のカチオンとしては、例えば、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、ピラゾリウム、又はテトラアルキルホスホニウム等が挙げられる。

【0051】
上記イミダゾリウムとしては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-エチルイミダゾリウム、1-アリル-3-ブチルイミダゾリウム、1,3-ジアリルイミダゾリウム等が挙げられる。

【0052】
また、上記ピリジニウムとしては、例えば、1-プロピルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウム、1-エチル-3-メチルピリジニウム等が挙げられる。上記ピロリジニウムとしては、例えば、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム、N-メチル-N-ブチルピロリジニウム、N-メチル-N-メトキシメチルピロリジニウム等が挙げられる。また、上記ピペリジニウムとしては、例えば、N-メチル-N-プロピルピペリジニウム等が挙げられる。上記テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム等が挙げられる。上記ピラゾリウムとしては、例えば、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム等が挙げられる。

【0053】
また、上記カチオンと組み合わされてイオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、BF、NO、PF、SbF、CHCHOSO、CHCO、または;CFCO、CFSO、(CFSO[ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド]、(CFSOなどのフルオロアルキル基含有アニオンが挙げられる。

【0054】
上記イオン液体としては、これら各種アニオンの少なくとも1種とこれら各種カチオンの少なくとも1種とを組み合わせたものを採用することができる。なかでも、(1)蓄電デバイスにおける電気的特性がより優れたものとなりつつ該電気的特性の低下が抑制されるという点および(2)入手し易く電解液の有する電気的特性の低下が蓄電デバイスにおいてより抑制されるという点では、テトラフルオロボレート(BF)アニオンを含むイオン液体が好ましい。

【0055】
また、大気中での取り扱いが容易という点では、含フッ素系アニオンを含むイオン液体が好ましく、BFを含むイオン液体がより好ましい。

【0056】
また、上記非水系電解液としては、比較的低粘度であり、イオン伝導性に優れ、電気化学的な安定性に優れるという点で、イミダゾリウムカチオン又はピロリジニウムカチオンを含むイオン液体が好ましい。

【0057】
具体的には、上記非水系電解液としては、アニオンとしてのビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン又はテトラフルオロボレートと、カチオンとしてのイミダゾリウムとの塩が好ましく、より具体的には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルフォニル)イミド、又は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレートが好ましい。また、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートも好ましい非水系電解液として挙げられる。

【0058】
非水系電解液は、「イオン液体」に限らず、電気化学キャパシタの非水系電解液に用いられる、有機系電解液であってもよい。このような有機系電解質はイオンキャリアとなる電解質塩を含み、それを溶解させる有機溶媒から構成される。

【0059】
前記電解質塩として、上記イオン液体や四級オニウム塩やアルカリ金属、アルカリ土類金属塩等を用いることができる。

【0060】
代表的な四級オニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩やテトラアルキルホスホニウム塩等を挙げることができる。

【0061】
代表的なアルカリ金属、アルカリ土類金属塩として、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等を挙げることができる。

【0062】
前記電解質塩のアニオンとして、例えば、BF、NO、PF、SbF、CHCHOSO、CHCO、または;CFCO、CFSO、(CFSO[ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド]、(CFSOなどのフルオロアルキル基含有アニオンが挙げられる。

【0063】
また、前記有機溶媒として、例えば、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、ニトリル類、アミン類、アミド類、硫黄化合物、塩素化炭化水素類、エステル類、カーボネート類、ニトロ化合物、リン酸エステル系化合物、スルホラン系化合物等を用いることができる。

【0064】
代表的な有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソール、モノグライム、アセトニトリル、プロピオニトリル、4-メチル-2-ペンタノン、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、1,2-ジクロロエタン、γ-ブチロラクトン、ジメトキシエタン、メチルフオルメイト、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルチオホルムアミド、スルホラン、3-メチル-スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルおよびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。

【0065】
これらの中でも、低粘度であり、イオン伝導性に優れ、電気化学的な安定性に優れる点で、プロピレンカーボネートが好ましい。上記非水系電解質は、単独又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。

【0066】
セパレーターとしては、ガラス繊維不織布、ポリプロピレン不織布、セルロース膜等を使用すればよい。

【0067】
上述したように、本発明に係る電気化学キャパシタ用電極の材料であるバインダは、活物質および導電助剤と親和性が高く、これを用いた電気化学キャパシタ用電極から活物質および導電助剤の剥離が生じ難い。このため、当該電極を備える電気化学キャパシタでは電極が劣化し難く、サイクル耐久性に優れた電気化学キャパシタを提供できる。

【0068】
また、上記バインダは、活物質および導電助剤との親和性に優れるため、本発明に係る電気化学キャパシタ用電極では、電極における各材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。このため、当該電極を備える本発明に係る電気化学キャパシタは、出力特性も優れている。よって、上記バインダは、サイクル耐久性および出力特性に優れた電気化学キャパシタの材料となるものである。

【0069】
(実施の形態2)
本発明の異なる一実施形態について説明すれば、以下の通りであるが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。

【0070】
[リチウムイオン二次電池用炭素負極]
本発明に係るバインダは、リチウムイオン二次電池用炭素負極の材料である負極活物質および導電助剤を連結させるバインダにおいて、アルギン酸を含むものである。リチウムイオン二次電池用電極は、一般的に、活物質、導電助剤およびバインダを含む合材を乾燥することにより得られる。リチウムイオン二次電池に備えられる電極を作製するために、正極合材は活物質として正極活物質を含み、さらに導電助剤およびバインダを含む。また、負極合材は活物質として負極活物質を含み、導電助剤およびバインダを含む。

【0071】
正極活物質としては、公知のものを使用でき、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2を用いることができる。また、負極活物質としては、公知のものを使用でき、天然黒鉛、人工黒鉛、ハードカーボン、複合カーボンなどを用いることができる。

【0072】
上記正極活物質同士および正極活物質と集電材とを電気的に連結する導電助剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素類を例示できる。

【0073】
水分によりリチウムを含有する正極の劣化を防ぐため、正極合材として用いるバインダは非水系バインダであることが好ましい。非水系バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。

【0074】
負極活物質としては、公知のものを使用でき、天然黒鉛、人工黒鉛、ハードカーボン、複合カーボンなどを用いることができる。また、負極活物質同士および負極活物質と集電材とを電気的に連結する導電助剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素類を例示できる。

【0075】
本発明に係るリチウムイオン二次電池用炭素負極の材料であるバインダは、負極活物質および導電助剤を連結させるものであり、負極活物質と導電助剤とを覆うように存在し、負極活物質に対して導電助剤を固定するものである。なお、上記アルギン酸は、通常、コンブ、ワカメ、カジメなどの褐藻類植物由来のものである。

【0076】
アルギン酸としては、例えば、架橋されていないアルギン酸(以下、アルギン酸非架橋物ともいう)、架橋されたアルギン酸(以下、アルギン酸架橋物ともいう)が挙げられる。上記アルギン酸非架橋物としては、例えば、イオン化していない遊離アルギン酸、またはアルギン酸一価塩などが挙げられる。上記アルギン酸一価塩としては、アルギン酸リチウム塩、アルギン酸カリウム塩、アルギン酸ナトリウム塩などのアルギン酸アルカリ金属塩;アルギン酸アンモニウム塩等が挙げられる。

【0077】
上記アルギン酸架橋物としては、例えば、遊離アルギン酸またはアルギン酸一価塩と、二価以上の金属イオンとの塩であるアルギン酸多価塩、遊離アルギン酸またはアルギン酸一価塩などを硫酸により架橋したアルギン酸硫酸架橋物などが挙げられる。アルギン酸多価塩としては、例えば、アルギン酸カルシウム塩が挙げられる。

【0078】
また、上記アルギン酸塩は、当該アルギン酸の1%(g/100ml)水溶液の20℃における粘度が300mPa・s以上、2000mPa・s以下であるものが好ましく、1000mPa・s以上、2000mPa・s以下であるものがより好ましい。なお、上記粘度は、回転式粘度計(ブルックフィールド社製)により、RV-1スピンドルを用いて、20℃で回転数60rpm、測定時間1分の条件で測定したときの値である。

【0079】
上記アルギン酸は、アルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものが好ましい。

【0080】
また、上記アルギン酸は、0.5質量%以上、5.0質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることが好ましく、2.0質量%以上、3.0質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることがより好ましい。アルギン酸が0.5質量%以上、5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上、3.0質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることにより、合材の混合を容易に行うことができる。

【0081】
本発明に係るバインダはアルギン酸を含んでいればよいが、バインダにおけるアルギン酸の含有率は、50質量%以上、100質量%以下であることが好ましく、70質量%、100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上、100質量%以下であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。アルギン酸の含有率が100質量%未満の場合、アルギン酸以外のバインダ成分として、スチレン-ブラジエンラバー、カルボキシメチルセルロースなどを用いればよい。

【0082】
また、正極合材または負極合材における活物質、導電助剤およびバインダの含有比(質量%)は、特に限定されるものではないが、例えば、正極活物質または負極活物質:導電助剤:バインダ=80~97:4~10:2~15とすることができる。なお、正極活物質または負極活物質、導電助剤およびバインダの含有比の合計は100である。すなわち、負極合材から得られたリチウムイオン二次電池用炭素負極におけるバインダの配合率は、2質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。また、より好ましくは、5質量%以上、10質量%以下である。2質量%未満の場合、負極活物質、導電助剤およびバインダが均一に混合された負極合材を作製することが困難となり、15質量%を超えるとバインダの配合率が増加する結果、活物質の配合率の低下を招く。

【0083】
上記正極合材または負極合材は、正極活物質または負極活物質、導電助剤およびアルギン酸を混合することにより得られる。負極合材の場合、アルギン酸は水溶液の状態で配合してもよい。また、粘度調整のため、負極合材に水などを添加してもよい。本発明に係るバインダは負極活物質と導電助剤との親和性が高く、非常に均一な負極合材が得られる点が特徴であり、意匠的にも優れた炭素負極が得られる。

【0084】
正極合材および負極合材は所望の厚さにて集電体に塗布される。塗布法として、集電体に正極合材または負極合材を塗布し、ドクターブレードにより余分な合材を除去する方式、集電体に正極合材または負極合材を塗布し、ローラにより正極合材または負極合材を圧延する方式などの公知の塗布法が挙げられる。なお、集電体としてはアルミニウム箔、銅箔などが通常使用される。

【0085】
正極合材または負極合材を乾燥する温度は特に限定されず、正極合材または負極合材における各材料の配合率により適宜変更すればよいが、通常、70℃以上、90℃以下である。また、得られたリチウムイオン二次電池用電極の厚さは、リチウムイオン二次電池用電極の用途により適宜変更すればよい。

【0086】
[リチウムイオン二次電池]
リチウムイオン二次電池は、上記正極および負極を備え、正極と負極との間には、電解液が供給されており、正極と負極との短絡を防止するために正極と負極との間にはセパレーターが配置されている。正極および負極にはそれぞれ集電体が備えられており、両集電体は電源に接続されている。この電源の操作によって充放電の切り替えがなされる。

【0087】
電解液は公知のものを用いればよく特に限定されるものではなく、有機溶媒に電解質塩を溶解した電解液を用いることができる。また、有機溶媒に代えて、イオン液体またはポリマー電解質を用いることもできる。

【0088】
電解質塩としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiPF4、LiBF4、LiB(C654、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Li等のリチウム塩を挙げることができる。有機溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、ニトリル類、アミン類、アミド類、硫黄化合物、塩素化炭化水素類、エステル類、カーボネート類、ニトロ化合物、リン酸エステル系化合物、スルホラン系化合物等を用いることができる。

【0089】
代表的な有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソール、モノグライム、アセトニトリル、プロピオニトリル、4-メチル-2-ペンタノン、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、1,2-ジクロロエタン、γ-ブチロラクトン、ジメトキシエタン、メチルフオルメイト、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルチオホルムアミド、スルホラン、3-メチル-スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルおよびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。

【0090】
ここでいう「イオン液体」とは、室温でも液体で存在する塩を意味する。このイオン液体のカチオンとしては、例えば、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、ピラゾリウム、又はテトラアルキルホスホニウム等が挙げられる。

【0091】
上記イミダゾリウムとしては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、1-アリル-3-エチルイミダゾリウム、1-アリル-3-ブチルイミダゾリウム、1,3-ジアリルイミダゾリウム等が挙げられる。

【0092】
また、上記ピリジニウムとしては、例えば、1-プロピルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウム、1-エチル-3-メチルピリジニウム等が挙げられる。上記ピロリジニウムとしては、例えば、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム、N-メチル-N-ブチルピロリジニウム、N-メチル-N-メトキシメチルピロリジニウム等が挙げられる。また、上記ピペリジニウムとしては、例えば、N-メチル-N-プロピルピペリジニウム等が挙げられる。上記テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム等が挙げられる。上記ピラゾリウムとしては、例えば、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウム等が挙げられる。

【0093】
また、上記カチオンと組み合わされてイオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、BF、NO、PF、SbF、CHCHOSO、CHCO、または;CFCO、CFSO、(CFSO[ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド]、(CFSOなどのフルオロアルキル基含有アニオンが挙げられる。

【0094】
上記イオン液体としては、これら各種アニオンの少なくとも1種とこれら各種カチオンの少なくとも1種とを組み合わせたものを採用することができる。なかでも、(1)蓄電デバイスにおける電気的特性がより優れたものとなりつつ該電気的特性の低下が抑制されるという点および(2)入手し易く電解液の有する電気的特性の低下が蓄電デバイスにおいてより抑制されるという点では、(CFSOなどのアニオンを含むイオン液体が好ましい。

【0095】
また、大気中での取り扱いが容易という点でも、(CFSOなどの含フッ素系アニオンを含むイオン液体が好ましい。

【0096】
また、上記イオン液体としては、比較的低粘度であり、イオン伝導性に優れ、電気化学的な安定性に優れるという点で、イミダゾリウムカチオン又はピロリジニウムカチオンを含むイオン液体が好ましい。

【0097】
具体的には、上記イオン液体としては、アニオンとしてのビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン又はテトラフルオロボレートと、カチオンとしてのイミダゾリウムとの塩が好ましく、より具体的には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルフォニル)イミド、又は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレートが好ましい。また、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートも好ましいイオン液体として挙げられる。

【0098】
ポリマー電解質としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリメチルメタクリレートなどの公知のポリマー電解質が挙げられる。

【0099】
セパレーターとしては、ガラス繊維不織布、ポリプロピレン不織布、セルロース膜等を使用すればよい。

【0100】
上述したように、本発明に係るリチウムイオン二次電池用炭素負極の材料であるバインダは、負極活物質および導電助剤と親和性が高く、これを用いたリチウムイオン二次電池用炭素負極から負極活物質および導電助剤の剥離が生じ難い。このため、当該電極を備えるリチウムイオン二次電池では電極が劣化し難く、サイクル耐久性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる。

【0101】
また、上記バインダは、負極活物質および導電助剤との親和性に優れるため、本発明に係るリチウムイオン二次電池用炭素負極では、炭素負極における各材料間の界面抵抗が従来の電極よりも低い。このため、当該炭素負極を備える本発明に係るリチウムイオン二次電池は、出力特性も優れている。よって、上記バインダは、サイクル耐久性および出力特性に優れたリチウムイオン二次電池の材料となるものである。

【0102】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0103】
本発明について、実施例および比較例、並びに図1~図8に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。実施例および比較例にて作製した電気化学キャパシタおよびリチウムイオン二次電池の各特性は以下のように測定した。
【実施例】
【0104】
〔電気化学キャパシタの充放電特性〕
実施例1、比較例1、2で得た評価用セルについて、30.0Ag-1の電流密度での充放電を行い、その時に観測される電気化学キャパシタのセル電圧の推移である。
【実施例】
【0105】
〔電気化学キャパシタの出力特性〕
実施例1~3、比較例1、2で得た評価用セルについて、1.0~90.0Ag-1の電流密度で放電した際の放電容量を測定した。
【実施例】
【0106】
〔電気化学キャパシタのインピーダンス測定〕
実施例1、比較例1、2で得た評価用セルについて、開回路電圧にて、電位振幅10mV、交流周波数範囲20kHz~10mHzの条件において、交流インピーダンスを測定した。X軸に実数のインピーダンス(Z’)、Y軸に虚数のインピーダンス(Z”)をとったNyquistプロット(Cole-Coleプロット)で結果を示す。(a)はその全体図、(b)は高周波部分の拡大図を示す。
【実施例】
【0107】
〔電気化学キャパシタのサイクル耐久性〕
実施例1で得た評価用セルに対して、0~2.5Vの作動電圧範囲で、5Ag-1の電流密度にて10000サイクル充放電し、放電容量を調べた。
【実施例】
【0108】
〔電気化学キャパシタの耐電圧測定〕
2.5V、3.0V、3.5V、3.7V、3.8Vの5種類のセル上限電圧にて、電気化学キャパシタに5Ag-1の電流にて充放電を行い、その時に観測される電気化学キャパシタのセル電圧の推移である。
【実施例】
【0109】
〔リチウムイオン電池用負極のサイクル特性〕
実施例4、5で得た評価用ハーフセルに対して、0.05~1.5Vの作動電圧範囲で、1.0Cレートの電流密度にて40サイクル充放電し、各サイクルでの放電容量を調べた。
【実施例】
【0110】
〔リチウムイオン電池の出力特性〕
実施例4、5で得た評価用ハーフセルに対して、0.05~1.5Vの作動電圧範囲で、0.2から10Cレートの電流密度にて5サイクルずつ充放電し、各電流密度での放電容量を調べた。
【実施例】
【0111】
〔実施例1〕
以下の手法により、本発明に係る電気化学キャパシタを作製した。なお、電気化学キャパシタの材料としては、以下の材料を使用した。
【実施例】
【0112】
活物質 :ヤシ殻由来活性炭(株式会社クラレ、品番:YP50F)
導電助剤:アセチレンブラック(電気化学工業株式会社、品番:HS-100)
バインダ:アルギン酸ナトリウム(Alg)(株式会社紀文フードケミファ、品番:NSPS2、1%溶液の規格粘度: 1000±100mPa・s)
電解液 :1.8M トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート
セパレータ:セルロール系セパレータ
集電体:エッチドアルミニウム箔
まず、3重量%のアルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。次に、活物質、導電助剤およびアルギン酸ナトリウム水溶液を乾燥後の組成比(電極における含有比)が85:5:10となるように混合し、スラリーの合材を作製した。この合材に純水を加えスラリー粘度を調整した後、ドクターブレードにより合材をエッチドアルミ箔に塗布し、ホットプレート上で合材を80℃で10分程度加熱した。その後、エッチドアルミ箔に塗布された合材を、80℃の温度雰囲気下、10-1Paの減圧下で24時間乾燥させ、目的物である活性炭電極を得た。
【実施例】
【0113】
この活性炭電極を両側に配置し、活性炭電極間にセパレータを配置し、電解液を注入して電気化学キャパタである2極式セルを作製した。2極式セルの直径は12mmとした。
【実施例】
【0114】
この2極式セルに対して、充放電特性、出力特性、インピーダンス測定、サイクル耐久性および耐電圧測定を行い、結果を図1~図6に示した。
【実施例】
【0115】
〔実施例2〕
バインダとして、アルギン酸ナトリウム(Alg)(株式会社紀文フードケミファ、品番:NSPS2)に代えて、以下のバインダを使用した以外は、実施例1と同様にして2極式セルを作製した。
【実施例】
【0116】
バインダ:アルギン酸ナトリウム(Alg)(和光純薬工業株式会社);1(w/v)%水溶液規定粘度 (20℃): 500mPa・s
この2極式セルに対して、出力特性測定を行い、結果を図6に示した。
【実施例】
【0117】
〔比較例1〕
バインダとして、アルギン酸ナトリウム(Alg)(株式会社紀文フードケミファ、品番:NSPS2)に代えて、以下のバインダを使用した以外は、実施例1と同様にして2極式セルを作製した。
【実施例】
【0118】
バインダ:カルボキシメチルセルロース(Na塩)(第一工業製薬株式会社)(CMC)
この2極式セルに対して、充放電特性、出力特性、インピーダンス測定を行い、結果を図1~図3に示した。
【実施例】
【0119】
〔比較例2〕
バインダとして、アルギン酸ナトリウム(Alg)(株式会社紀文フードケミファ、品番:NSPS2)に代えて、以下のバインダを使用した以外は、実施例1と同様にして2極式セルを作製した。
【実施例】
【0120】
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ)(PVdF)
この2極式セルに対して、充放電特性、出力特性、インピーダンス測定を行い、結果を図1~図3に示した。
【実施例】
【0121】
〔実施例3〕
電解液として、1.8M トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートに代えて、以下の電解液を使用した以外は、実施例1と同様にして2極式セルを作製した。
【実施例】
【0122】
電解液 :1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート
この2極式セルに対して、出力特性測定を行い、結果を図7に示した。
【実施例】
【0123】
〔実施例4〕
以下の手法により、本発明に係るリチウムイオン二次電池評価用ハーフセルを作製した。なお、評価用ハーフセルの材料としては、以下の材料を使用した。
【実施例】
【0124】
負極活物質:天然黒鉛粉末
対極: リチウム金属箔 (本城金属, 特注品)
導電助剤:カーボン微粉末
バインダ:アルギン酸ナトリウム(Alg)(株式会社紀文フードケミファ、品番:NSPS2)
電解液 :六フッ化リン酸リチウム(LiPF)/エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)の体積比1:1混合液
セパレータ:セルロール系セパレータ
集電体:エッチドアルミニウム箔
まず、3重量%のアルギン酸ナトリウム水溶液を調製し、天然黒鉛粉末、カーボン微粉末およびアルギン酸ナトリウムを乾燥後の電極組成比が91:3:6の割合となるよう混合し、スラリーを作製した。
【実施例】
【0125】
このスラリーに適宜、純水を加えスラリー粘度を調整した後、ドクターブレードによりエッチドアルミ箔に塗布し、ホットプレート上で合材を80℃で10分程度加熱した。その後、エッチドアルミ箔に塗布された合材を、80℃の温度雰囲気下、10-1Paの減圧下で24時間乾燥させ、目的物である炭素負極を得た。
【実施例】
【0126】
炭素負極および対極リチウム金属箔を配置し、両電極間にセパレータを配置し、電解液を注入して2極式評価用ハーフセルを作製した。
【実施例】
【0127】
この2極式評価用ハーフセルに対して、サイクル耐久性測定を行い、結果を図8に示した。
【実施例】
【0128】
〔実施例5〕
バインダとして、アルギン酸ナトリウム(Alg)(株式会社紀文フードケミファ、品番:NSPS2)に代えて、以下のバインダを使用した以外は、実施例4と同様にして2極式評価用ハーフセルを作製した。
【実施例】
【0129】
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ)(PVdF)
この2極式評価用ハーフセルに対して、サイクル耐久性測定を行い、結果を図8に示した。
【実施例】
【0130】
〔測定結果〕
まず、電気化学キャパシタである2極式セルの結果について説明する。図1に示すように、バインダがアルギン酸ナトリウムである実施例1では、典型的な電気化学キャパシタの充放電特性が示され、本発明に係るバインダが、電気化学キャパシタ材料として機能していることが分かる。
【実施例】
【0131】
また、バインダがCMCである比較例1の結果と比較すると、実施例1の方が充放電切り替え時の電圧降下(IR降下)が小さく、緩やかな放電が実現している。充放電特性は電流密度が30.0Ag-1であり、非常に早い充放電レートにて測定しているが、この条件下で比較例1の結果を上回っており、本発明のバインダは、電気化学キャパシタ材料として、機能的にも優れていることが明らかである。
【実施例】
【0132】
次に、出力特性について図2を用いて説明すると、比較例1、2に比して、実施例1では、非常に高い容量が実現されていることが明らかである。特に、高出力密度で顕著な優位性があり、90Ag-1では56%と非常に高い容量保持率を実現させている。この出力特性の結果から、アルギン酸は、電極における各材料間の界面抵抗を低下させる効果を有することがわかる。
【実施例】
【0133】
インピーダンス測定結果について図3を用いて説明する。図3(a)は、インピーダンスの測定結果を示すグラフ全体を示し、図3(b)は測定結果の高周波部分を拡大したグラフを示している。両図の結果から、比較例1、2に比して、実施例1の2極式セルの抵抗値は低いことが分かる。これは電極/電解液界面の抵抗減少といえ、アルギン酸の炭素材料に対する高い親和性によるものである。
【実施例】
【0134】
さらに、サイクル耐久性について図4を用いて説明する。同図に示すように、実施例1の2極式セルは、10000サイクルという非常に長期間における充放電を行ってもほとんど劣化が観測されなかった。これは、本発明のバインダが化学的あるいは電気化学的に安定であり、且つ、電極から活物質および導電助剤がほとんど剥離していないことを裏づけている。
【実施例】
【0135】
耐電圧測定について図5を用いて説明する。同図に示すように、実施例1の2極式セルは、セル電圧を3.8Vとした場合であっても安定な充放電カーブを示し、十分な耐電圧特性を有している。
【実施例】
【0136】
アルギン酸ナトリウムの物性の違いによる影響を図6を用いて説明する。実施例1では1(w/v%)水溶液の規定粘度が1000mPa・sのアルギン酸ナトリウムを用い、実施例2では1(w/v%)水溶液の規定粘度が500mPa・sのアルギン酸ナトリウムを用いた。同図に示すように、規定粘度の高いアルギン酸ナトリウムを用いた実施例1では、より高い出力特性を示したことが示されている。
【実施例】
【0137】
電解液としてイオン液体を適用した実施例3について図7を用いて説明する。初期電流密度付近で放電容量が120Fg-1を超えており、本発明のバインダは有機系電解液より、イオン液体に対して、さらに高い親和性を有することが分かる。
【実施例】
【0138】
リチウムイオン二次電池の炭素負極に関する実施例4、5のサイクル特性について図8を用いて説明する。同図に示すように、実施例4の2極式評価用ハーフセルは、実施例5の評価用ハーフセルよりも高い放電容量を発現させており、アルギン酸を含むバインダは、炭素負極における各材料に対する高い親和性を有することがわかる。また、実施例4では40サイクルにおいても高い容量保持率を示しており、本発明のバインダがリチウムイオン電池用負極でも化学的あるいは電気化学的に高い安定性を有していることが分かる。
【実施例】
【0139】
最後に、リチウムイオン二次電池の炭素負極に関する実施例4,5の出力特性について図9を用いて説明する。同図に示すように、実施例4の2極式評価用ハーフセルは、実施例5の評価用ハーフセルよりも高い出力特性を発現させており、アルギン酸を含むバインダは、炭素負極における各材料に対する高い親和性による、電極/電解液界面の抵抗低減効果を有することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、電気化学キャパシタの材料となるバインダおよびリチウムイオン二次電池の材料となるバインダに関するものであり、コンデンサ業界、自動車業界、電池業界、家電業界等にて利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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