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明細書 :光合波器及びこの光合波器を用いた画像投影装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5817022号 (P5817022)
公開番号 特開2013-195603 (P2013-195603A)
登録日 平成27年10月9日(2015.10.9)
発行日 平成27年11月18日(2015.11.18)
公開日 平成25年9月30日(2013.9.30)
発明の名称または考案の名称 光合波器及びこの光合波器を用いた画像投影装置
国際特許分類 G02B   6/12        (2006.01)
FI G02B 6/12 331
請求項の数または発明の数 5
全頁数 14
出願番号 特願2012-061339 (P2012-061339)
出願日 平成24年3月19日(2012.3.19)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成23年10月30日~11月2日 公益社団法人応用物理学会主催の「17th Microoptics Conference」において文書をもって発表
審査請求日 平成27年2月16日(2015.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
発明者または考案者 【氏名】勝山 俊夫
【氏名】森本 竜治
個別代理人の代理人 【識別番号】100110814、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 敏郎
審査官 【審査官】河原 正
参考文献・文献 特表平09-511847(JP,A)
特開2010-134224(JP,A)
特開2007-093945(JP,A)
国際公開第2010/137661(WO,A1)
特開2001-308422(JP,A)
米国特許第5802222(US,A)
Optics Communications,2009年,Vol.282,p.2818-2822
第71回応用物理学会学術講演会 講演予稿集,2010年,16p-G-23,p.05-112
調査した分野 G02B 6/12-6/14
特許請求の範囲 【請求項1】
波長の異なる複数の可視光を導波路へ導き、前記複数の可視光を波長多重する光合波器であって、
第1可視光が入射される第1導波路と、
前記第1可視光よりも短波長の第2可視光が入射される第2導波路と、
前記第2可視光よりも短波長であり、前記第1可視光と前記第2可視光との間の波長間隔よりも前記第2可視光との間の波長間隔が短い波長の第3可視光が入射される第3導波路と、
前記第2導波路と前記第3導波路との間で可視光のモード結合を行う第1合波部及び第3合波部と、
この第1合波部と第3合波部との間に設けられ、第1導波路と前記第2導波路との間で可視光のモード結合を行う第2合波部と、
前記第1合波部と前記第3合波部との間で前記第3導波路に接続された位相制御部とを有し、
前記第1導波路、第2導波路、第3導波路、第1合波部、第2合波部及び第3合波部は、
前記第1可視光が、前記第2合波部でモード結合により前記第2導波路に伝搬され、前記第2導波路に伝搬された前記第1可視光が前記第3合波部でモード結合により前記第3導波路に伝搬されたのち前記第2導波路に伝搬され、
前記第2可視光が、前記第1合波部でモード結合により第3導波路へ伝搬されたのち、第3導波路へ伝搬された前記第2可視光が前記第3合波部でモード結合により第2導波路へ伝搬され、
前記第3可視光が、前記第1合波部でモード結合により第2導波路へ出力の一部が伝搬され、前記第3可視光の残りが、前記第3導波路から前記位相制御部に伝搬されて前記第2導波路に伝搬された前記第3可視光の残りの部分と位相整合され、前記第3導波路の前記第3可視光と前記第2導波路の前記第3可視光とが前記第3合波部で合波されて、
前記第2導波路の一端に形成された出射部から出力されるように構成されていること、
を特徴とする光合波器。
【請求項2】
前記第1合波部と前記第3合波部は、前記可視光の伝搬方向における長さが等しく、前記第2合波部は、前記伝搬方向における長さが前記第1合波部及び前記第3合波部の長さの半分であることを特徴とする請求項1に記載の光合波器。
【請求項3】
前記2合波部は前記第1可視光のモード結合長の長さと等しく、かつ、第1合波部及び前記第3合波部の長さの半分であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光合波器。
【請求項4】
前記第1導波路、第2導波路及び第3導波路は、コア層とこのコア層の周囲に被覆され前記コア層よりも屈折率の小さいクラッド層とから形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光合波器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の光合波器を用いた画像投影装置であって、
前記第1導波路に前記第1可視光を出射する第1光源と、前記第2導波路に前記第2可視光を出射する第2光源と、前記第3導波路に前記第3可視光を出射する第3光源と、前記光合波器から出射された前記波長多重光を二次元的に走査して画像を形成し、走査された前記波長多重光を被投影面に投影する画像形成部とを備えることを特徴とする画像投影装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる波長の3つの可視光を合波する光合波器及びこの光合波器を用いた画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を二次元的に走査させることで使用者に画像を視認させるレーザーディスプレイが知られている。レーザーディスプレイにおいては、一般的にR(赤色) 、G(緑色) 、B(青色) の各色に対応する光源から照射される3色の可視光が1つの光軸上で合波される。合波された3色の可視光は、画像表示部に伝送される。画像表示部は、伝送された光を二次元的に走査して、映像を投影する。例えば、特許文献1には、3つのダイクロイックミラーを使用することで、3色の可視光を合波する技術が開示されている。
しかし、この種のレーザーディスプレイでは、3つのダイクロイックミラーを使用するなど光源装置の小型化が困難であった。そのため、ヘッドマウントディスプレイのように使用者の頭部にディスプレイを装着するような場合、光源装置はヘッドマウントディスプレイとは別に使用者の腰等に固定する必要があった。
【0003】
ところで、マッハツェンダー干渉(MZI)を利用した光学結合デバイスが知られている(例えば特許文献2参照)。このような光結合デバイスを利用すれば、ディスプレイの小型化が期待できる。
例えば、特許文献2には、マッハツェンダー干渉(Maha-Zhender Interferometer:以下、MZIと記載)光導波路に異なる2波長を入射し、MZI光導波路の光路長差による位相差によって2波長を合波又は分波する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-93945号公報
【特許文献2】特開2010-134224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ディスプレイに画像を投影させるには3つの可視光を合波する必要があるのに対し、特許文献2に記載の技術では2波長の可視光しか合波することができず、そのままではディスプレイに適用することができない、という問題がある。
本発明は、可視光の3波長を合波する光合波器とこの光合波器を利用した画像投影装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明の光合波器は、波長の異なる複数の可視光を導波路へ導き、前記複数の可視光を波長多重する光合波器であって、第1可視光が入射される第1導波路と、前記第1可視光よりも短波長の第2可視光が入射される第2導波路と、前記第2可視光よりも短波長であり、前記第1可視光と前記第2可視光との間の波長間隔よりも前記第2可視光との間の波長間隔が短い波長の第3可視光が入射される第3導波路と、前記第2導波路と前記第3導波路との間で可視光のモード結合を行う第1合波部及び第3合波部と、この第1合波部と第3合波部との間に設けられ、第1導波路と前記第2導波路との間で可視光のモード結合を行う第2合波部と、前記第1合波部と前記第3合波部との間で前記第3導波路に接続された位相制御部とを有し、前記第1導波路、第2導波路、第3導波路、第1合波部、第2合波部及び第3合波部は、前記第1可視光が、前記第2合波部でモード結合により前記第2導波路に伝搬され、前記第2導波路に伝搬された前記第1可視光が前記第3合波部でモード結合により前記第3導波路に伝搬されたのち前記第2導波路に伝搬され、前記第2可視光が、前記第1合波部でモード結合により第3導波路へ伝搬されたのち、第3導波路へ伝搬された前記第2可視光が前記第3合波部でモード結合により第2導波路へ伝搬され、前記第3可視光が、前記第1合波部でモード結合により第2導波路へ出力の一部が伝搬され、前記第3可視光の残りが、前記第3導波路から前記位相制御部に伝搬されて前記第2導波路に伝搬された前記第3可視光の残りの部分と位相整合され、前記第3導波路の前記第3可視光と前記第2導波路の前記第3可視光とが前記第3合波部で合波されて、前記第2導波路の一端に形成された出射部から出力されるように構成されている。
【0007】
前記第1第合波部、前記第2合波部及び前記第3合波部としては、方向性結合器やマルチモード干渉素子を利用することができる。
前記第1合波部と前記第3合波部は、前記可視光の伝搬方向における長さが等しく、前記第2合波部は、前記伝搬方向における長さが前記第1合波部及び前記第3合波部の長さの半分であるように構成してもよい。
【0008】
また、前記2合波部は前記第1可視光のモード結合長の長さと等しく、かつ、第1合波部及び前記第3合波部の長さの半分であるように構成してもよい。
前記第1導波路、第2導波路及び第3導波路は、コア層とこのコア層の周囲に被覆され前記コア層よりも屈折率の小さいクラッド層とから形成することができる。
上記の光合波器を用いた本発明の画像投影装置は、前記第1導波路に前記第1可視光を出射する第1光源と、前記第2導波路に前記第2可視光を出射する第2光源と、前記第3導波路に前記第3可視光を出射する第3光源と、前記光合波器から出射された前記波長多重光を二次元的に走査して画像を形成し、走査された前記波長多重光を被投影面に投影する画像形成部とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる合波器の構成を説明する概略図で、(a)は平面図、(b)は図1(a)の合波器を左方向から見た側面図である。
以下に説明する本発明の合波器において合波する3つの可視光は、単色光であって、第1可視光の波長が最も長く、次いで第2可視光の波長が長く、第3可視光の波長が最も短く、かつ、前記第1可視光と前記第2可視光との間の波長間隔よりも前記第2可視光と前記第3可視光との間の波長間隔が短いことが条件となる。
【0010】
以下の説明では、波長の異なる3つの可視光として、赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を例に挙げて説明する。一般に、赤色光の波長λは620~750nm、緑色光の波長λは495~570nm、青色光の波長λは450~495nmの範囲であり、RGBの3つの波長間には、λ<λ<λの関係が成立する。この波長範囲の中から、λ-λ>λ-λなる関係を充たすように、例えば、赤色光として波長λ=640nmのものを、緑色光として波長λ=520nmのものを、青色光として波長λ=455nmのものを選択する。
【0011】
合波器10は、基板210と、基板210に上に形成されたクラッド層220と、このクラッド層220の中に形成され、基板210と平行な平面内に配置された第1導波路101、第2導波路102及び第3導波路103とを備えている。
第1導波路101,第2導波路102及び第3導波路103には、クラッド層220の一面に露出する一端101a,102a,103aからそれぞれ波長の異なるシングルモードの赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)が入射され、このRGB色光のそれぞれが、第1導波路101,第2導波路102及び第3導波路103内を伝搬されつつ合波されて、クラッド層220の他面に露出する第2導波路102の他端102bから出射される。
【0012】
第1導波路101,第2導波路102及び第3導波路103は、光結合を生じない間隔で配置される。第2導波路102の可視光の伝搬経路上には、一端102a側から順に第1合波部110,第2合波部120及び第3合波部130が設けられている。第1合波部110,第2合波部120及び第3合波部130は方向性結合器として構成され、第1合波部110及び第3合波部130では第3導波路103が第2導波路102に接し、第2合波部120では第1導波路101が第2導波路102に接して、RGB色光の合波が行われるようになっている。
【0013】
この実施形態では、第1合波部110の長さL1と第3合波部130の長さL3は等しくしている。また、第2合波部120の長さL2は、第1可視光の波長のモード結合長の長さ(方向性結合器において一方の導波路に入射した光が、他方の導波路から100%出射する結合部の長さ)と等しく、かつ、第1合波部及び第3合波部の長さL1,L3のほぼ半分となるようにしている。
3つの可視光がRGB色光である場合の長さL1,L2,L3の具体的寸法としては、例えば、長さL1,L3=1800μm程度、長さL2=900μm程度を挙げることができる。
【0014】
第1合波部110では、第2導波路102の緑色光がモード結合により第3導波路103へ伝搬されるとともに、第3導波路103の青色光の半分がモード結合により第2導波路102へ伝搬される。なお、第1合波部110では、第2導波路102の緑色光のほぼ全部が第3導波路103へ伝搬されるのが好ましい。
第2合波部120では、第1導波路101の赤色光がモード結合により第2導波路102に伝搬される。なお、第2合波部120では、第1導波路101の赤色光のほぼ全てが第2導波路102に伝搬されるのが好ましい。また、第2導波路102に伝搬された青色光が可能な限り第1の導波路101に伝搬されないことが好ましい。
【0015】
第3合波部130では、第2導波路102に伝搬された赤色光がモード結合により第3導波路103に伝搬されたのち第2導波路102に伝搬される。また、第3導波路103に伝搬された緑色光がモード結合により第2導波路102へ伝搬され、第3導波路103の青色光と第2導波路102の青色光とが位相整合されて合波される。なお、第3合波部130では、第3導波路の赤色光,緑色光及び青色光のほぼ全部が第2導波路102に伝搬されるのが好ましい。
【0016】
また、第3導波路103の第1合波部110から第3合波部130までの途中には、第1合波部110を経た後に第2導波路102と第3導波路103とを伝搬する青色光(B)の位相が一致するように長さが調整された位相制御部140が設けられている。
【0017】
上記構成の合波器10は、公知の化学気相成長法(CVD)やスパッタリング法等で形成することができる。例えば、シリコン製の基板210上にクラッド層220となる低屈折率のシリコン酸化膜を化学気相成長法で成膜した後、コア層となる高屈折率のシリコン酸化膜を積層する。その後このコア層を、第1~第3導波路101,102,103の形状に応じたパターンを有するフォトマスクを用いて、フォトリソグラフィー法により一定幅の光導波路コアとしてパターニングする。
【0018】
この後、この上にクラッド層220となる低屈折率のシリコン酸化膜を積層し、前記光導波路コア上を覆う。これにより、前記光導波路コアとその周囲のクラッド220層とで、基板210上に第1~第3導波路101,102,103が形成される。なお、クラッド層としては、例えば絶対屈折率が1.46程度のものを用いることができ、コア層としては、コア径が2μm程度で前記クラッド層との屈折率差が0.5%程度のものを用いることができる。
最後に、基板210及びクラッド層220の両端面を研磨して第1~第3導波路101,102,103の一端101a,102a,103a及び第2導波路102の他端102bを露出させることで、合波器10が完成する。
【0019】
[作用]
次に、上記構成の合波器10の作用について、図2を参照しつつ説明する。
図2A,B,Cは、絶対屈折率=1.46のクラッド層220と径2μmでクラッド層220との屈折率差0.5%のコア層とから構成される第1~第3導波路101,102,103を用いて数値計算によるシミュレーションを行った結果を示すもので、図2Aはシングルモードの赤色光を入射した場合、図2Bはシングルモードの緑色光を入射した場合、図2Cはシングルモードの青色光を入射した場合のそれぞれにおいて、RGBの各色光が第1合波部110,第2合波部120及び第3合波部130を経て、各導波路101,102,103内をどのように伝搬されていくかを示した写真である。
なお、図2A,B,Cにおいては、合波器10を伝搬する光の強度を明暗で表していて、明るい部分ほど光の強度が強いことを示している。光の強度は、マクスウェル方程式を逐次的に計算して行う、周知の電磁場解析法であるビーム伝搬法(BPM)を用いて求めた。
【0020】
図2Aに示すように、第1導波路101に入射された赤色光は、第2合波部120でモード結合により、出力のほぼ全部が第2導波路102に伝搬される。そして、第2導波路102に伝搬された赤色光が第3合波部130でモード結合により第3導波路103に伝搬されたのち第2導波路102に伝搬される。
【0021】
図2Bに示すように、第2導波路102に入射された緑色光は、第1合波部110でモード結合により第3導波路103へ出力のほぼ全部が伝搬されたのち、第3導波路103へ伝搬された緑色光が第3合波部130でモード結合により第2導波路102へ伝搬される。
【0022】
図2Cに示すように、第3導波路103に入射された青色光は、第1合波部110でモード結合により第2導波路102へ出力の約半分が伝搬される。なお、図2A,B,Cの例では、第2導波路102に伝搬された青色光の一部が、第2合波部120で第1の導波路101に伝搬されている。また、第3導波路103を伝搬する青色光が、第3導波路103から位相制御部140に伝搬されて第2導波路102に伝搬された青色光の残りの部分と位相整合される。そして、第3導波路103の青色光と第2導波路102の青色光とが第3合波部130で合波される。
【0023】
以上より、3つの導波路101,102,103のそれぞれにシングルモードのRGB色光を同時に入射すれば、RGB色光を合波した合波光が各色光の強度に応じた発色光となって第2導波路102の他端102bから出力される。
【0024】
光導波路には、その製造過程に起因する個体差が存在する。この個体差によって、各合波部を形成する方向性結合器の導波路間のギャップ幅の間隔がばらつく。また、LEDやLDなどの光源においても、製造過程による個体差が存在し、出射される光の波長がばらつく。以下、図3(a)(b)を参照しつつ、これらばらつきに対して合波器10からの出力がどのように変化するかを説明する。
【0025】
図3では、実線、破線及び一点鎖線のそれぞれが赤色、緑色、青色に対応している。図3(a)の横軸は、基準のギャップ幅からのずれ量を示す。基準のギャップ幅は、2μmである。図3(a)の縦軸は、合波器10に入力された光の強度に対する、出力された光の強度の割合を示す。基準ギャップ幅において、赤色光、緑色光及び青色光ともに、92%から100%の出力でシングルモードを得ることができる。そして、基準ギャップに対して±0.1μm程度のずれであれば、各波長において常に80%以上の出力でシングルモードを得ることができる。
【0026】
図3(b)では、横軸が基準の波長からのずれ量を示し、縦軸は合波器10に入力された光の強度に対する、出力された光の強度の割合を示す。基準の波長は、赤色光が波長λ=640nm、緑色光が波長λ=520nm、青色光が波長λ=455nmである。図3(b)に示すように、基準波長に対して±10nm程度のずれであれば、各波長において常に88%以上の出力でシングルモードを得ることができる。
【0027】
[走査型ディスプレイの構成]
図4は、上記構成の合波器10を走査型ディスプレイに適用した場合における装置の概略構成図である。
図4に示すように、走査型ディスプレイは、制御ユニット1aと、表示ユニット1bとを有する。制御ユニット1aと表示ユニット1bとは一体に構成されていてもよいが、図示の例では制御ユニット1aと表示ユニット1bとは別体に構成されていて、制御ユニット1aと表示ユニット1bとは電気的及び光学的な信号を伝達可能な信号線によって接続されている。
表示ユニット1bは、例えば米国特許出願公開2010/0073262号公報などに開示されているように、メガネ型の装着具などを用いて使用者の頭部に装着される。
【0028】
制御ユニット1aは、制御部12と、操作部13と、外部インターフェース(I/F)14と、Rレーザドライバ15aと、Gレーザドライバ15bと、Bレーザドライバ15cと、R-LD16aと、G—LD16bと、B—LD16cと、合波器10とを有する。制御部12は、例えばCPU、ROM、RAMを含むマイコンなどで構成される。制御部12は、PCなどの外部機器から外部I/F14を介して供給される画像データに基づいて、画像を合成するための要素となるR信号、G信号、B信号、水平信号及び垂直信号を発生する。制御部12は、R信号をRレーザドライバ15aに、G信号をGレーザドライバ15bに、B信号をBレーザドライバ15cに、それぞれ送信する。
【0029】
制御部12は、水平信号を水平走査ドライバ23に、垂直信号を垂直走査ドライバ26にそれぞれ送信する。水平信号及び垂直信号には、水平スキャナ22及び垂直スキャナ25の動作のタイミングを決定する同期信号や、水平走査ドライアb23及び垂直走査ドライバ26から水平スキャナ22及び垂直スキャナ25に送信される駆動信号の電圧や周波数を設定する駆動設定信号などが含まれる。
【0030】
操作部13は、使用者からの走査を受け付ける各種ボタンと、各種ボタンが押下された際に発生する操作信号を制御部12に送信するインターフェース回路などによって構成される。使用者からの操作を受け付ける各種ボタンは、例えば、制御ユニット1aの筐体表面に設けられる。外部I/F14は、制御ユニット1aとPCなどの外部機器とを電気的に接続するためのインターフェースである。
【0031】
Rレーザドライバ15aは、制御部12からのR信号に応じた光量の赤色レーザを発生させるように、R—LD16aを駆動する。Gレーザドライバ15bは、制御部12からのG信号に応じた光量の緑色レーザを発生させるように、R—LD16bを駆動する。Bレーザドライバ15cは、制御部12からのB信号に応じた光量の青色レーザを発生させるように、B—LD16cを駆動する。各色のレーザ光の強度比を調整することによって、所望の色を有するレーザ光が合成可能となる。R—LD16a、G—16b及びB—LD16cから発生した各色のレーザ光は、合波器10に入射し、波長多重光として合波された状態で、合波器10から出射される。出射されたレーザ光は、信号線に含まれる光ファイバを介して、表示ユニット1bに伝達される。
【0032】
表示ユニット1bは、コリメート光学系21と、水平スキャナ22と、水平走査ドライバ23と、リレー光学系24と、垂直スキャナ25と、垂直走査ドライバ26と、接眼光学系27とを有する。
【0033】
コリメート光学系21は、光ファイバから出射したレーザ光を平行光に変換する。平行光に変換されたレーザ光は、水平スキャナ22に入射する。
【0034】
水平スキャナ22は、コリメート光学系21からのレーザ光を水平方向に操作する。具体的には、水平スキャナ22は、揺動する反射面を有する。反射面が揺動することで、反射面に入射したレーザ光は、水平方向に走査させる。水平スキャナ22は、例えば、圧電素子を用いて用道する共振型のMEMS(MicroElectroMechanical System)ミラーで構成可能である。水平走査ドライバ23は、制御部12からの水平同期信号に従って、水平スキャナ22の揺動状態を制御する。水平走査されたレーザ光は、リレー光学系24に入射する。
【0035】
垂直スキャナ25は、リレー光学系24からのレーザ光を垂直方向に走査する。具体的には、垂直スキャナ25は、揺動する反射面を有する。反射面が揺動することで、反射面に入射したレーザ光は、垂直方向に走査される。例えば、揺動するMEMSミラーで構成可能である。垂直走査ドライバ27は、制御部12からの垂直同期信号にしたがって、垂直スキャナ25の揺動状態を制御する。ここで、レーザ光は、水平スキャナ22によって水平方向に捜査せれているので、垂直スキャナ25によって二次元的に走査された画像光となる。二次元走査された画像光は、接眼光学系27に入射する。
【0036】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明に限定されるものではない。
例えば、上記の説明では波長の異なる3つの可視光としてRGB色光を例に挙げて説明したが、本発明は一定の波長のみからなる光(単色光)であって上記の波長条件を満たすものであれば、RGB色光以外の3つの可視光を合波することも可能である。
【0037】
また、上記の説明では基板の表面と平行な面内に導波路101,102,103を形成するものとしたが、基板は必ずしも必要ではない。また、導波路101,102,103の配置も、上記のような二次元的なものに限られず、例えば導波路102を中心とする円周上に導波路101,103を配置するなど、三次元的なものであってもよい。
さらに、上記の説明では、クラッド層220の内部にコア層を埋め込むことで導波路101,102,103を一体的に形成しているが、コア層とクラッド層とからなる導波路101,102,103を別々に形成し、基板等の支持体上に配置するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の合波器は、単色光である複数の可視光を合波して画像投影等する装置に広く適用が可能であり、使用者の網膜上に合波した光を走査させた画像投影を行う網膜走査形ディスプレイの他、レーザ光を走査させて画像を投影するレーザーディスプレイにも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態にかかる合波器の構成を説明する概略図で、(a)は平面図、(b)は図1(a)の合波器を左方向から見た側面図である。
【図2A】この実施形態の合波器の作用を説明する図で、シングルモードの赤色光を入射した場合における光の伝搬の様子を示したものである。
【図2B】この実施形態の合波器の作用を説明する図で、シングルモードの緑色光を入射した場合における光の伝搬の様子を示したものである。
【図2C】この実施形態の合波器の作用を説明する図で、シングルモードの青色光を入射した場合における光の伝搬の様子を示したものである。
【図3】(a)はこの実施形態の合波器における出力とギャップ幅とのばらつきの関係を示すグラフ、(b)はこの実施形態の合波器における出力と波長とのばらつきの関係を示すグラフである。
【図4】この実施形態の合波器を走査型ディスプレイに適用した場合における装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1a 制御ユニット
1b 表示ユニット
10 合波器
101 第1導波路
102 第2導波路
103 第3導波路
110 第1合波部
120 第2合波部
130 第3合波部
140 位相制御部
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図2A】
3
【図2B】
4
【図2C】
5