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明細書 :小麦加工製品の改質剤及び小麦加工製品の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5370970号 (P5370970)
公開番号 特開2011-177059 (P2011-177059A)
登録日 平成25年9月27日(2013.9.27)
発行日 平成25年12月18日(2013.12.18)
公開日 平成23年9月15日(2011.9.15)
発明の名称または考案の名称 小麦加工製品の改質剤及び小麦加工製品の製造方法
国際特許分類 A21D   2/26        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
A21D  13/00        (2006.01)
A21D   2/30        (2006.01)
C12N   9/02        (2006.01)
C12N   9/90        (2006.01)
FI A21D 2/26
C12N 15/00 ZNAA
A21D 13/00
A21D 2/30
C12N 9/02
C12N 9/90
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2010-042526 (P2010-042526)
出願日 平成22年2月26日(2010.2.26)
審査請求日 平成24年10月30日(2012.10.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
発明者または考案者 【氏名】高野 克己
【氏名】野口 智弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100122574、【弁理士】、【氏名又は名称】吉永 貴大
審査官 【審査官】清水 晋治
参考文献・文献 国際公開第98/035049(WO,A1)
特表2003-523172(JP,A)
米国特許出願公開第2007/0039067(US,A1)
調査した分野 A21D 2/00-17/00
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号:1で表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたリコンビナントエンドプラズミックレティキュラムオキシドレダクターゼ1(rEro1)と、
プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)と、
フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)と、
を主成分とする、小麦加工製品の改質剤。
【請求項2】
前記プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)が、配列番号:2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたリコンビナントプロテインジスルフィドイソメラーゼ(rPDI)である、請求項1に記載の小麦加工製品の改質剤。
【請求項3】
前記小麦加工製品が、パン類である、請求項1又は2に記載の小麦加工製品の改質剤。
【請求項4】
配列番号:1で表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたリコンビナントエンドプラズミックレティキュラムオキシドレダクターゼ1(rEro1)と、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)と、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)と、を主成分とする小麦加工製品の改質剤を小麦粉に添加して生地を形成する、小麦加工製品の製造方法。
【請求項5】
前記プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)が、配列番号:2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたリコンビナントプロテインジスルフィドイソメラーゼ(rPDI)である、請求項4に記載の小麦加工製品の製造方法。
【請求項6】
前記小麦加工製品が、パン類である、請求項4又は5に記載の小麦加工製品の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦加工製品の改質剤及び小麦加工製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉は水を加えて練ることで他の穀類には見られない独特の粘弾性を示す生地を形成することから、パンや麺、菓子など様々な食品に加工されている。この生地独特の物性は小麦特有の貯蔵タンパク質であるグリアジンとグルテニンが水和することで形成するグルテンの性質によるもので、その性質は小麦粉中のこれらタンパク質の量によって左右されるといわれている。
【0003】
グルテンの形成には様々な結合や分子間相互作用が関与すると考えられるが、特にジスルフィド結合(SS結合)によるタンパク質分子間の架橋形成が最も重要であるとされている。SS結合が生地混捏時のような非加熱条件で形成するためには何らかの酸化機構の存在が推定される。本発明者らの一連の研究で、小麦粉生地形成にSS結合形成を触媒する酵素であるプロテインジスルフィドイソメラーゼ(Protein Disulfide Isomerase:以下「PDI」という。)の関与が示唆されている。
【0004】
しかしながら、PDIは小麦の開花時に活性のピークを迎えた後は活性が低くなり、小麦種子中には微量にしか存在しない。また、小麦からPDIを抽出する工程も複雑であることに加え、それ自体不安定で容易に失活することから、PDIを取得するためには多大なコストと時間を要していた。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、国際公開WO98/35049号公報には、酵母由来のプロテインジスルフィドイソメラーゼをコードする遺伝子で酵母を形質転換し、形質転換した宿主細胞を培地のpHを中性近傍に保ちながら培養することにより、宿主細胞外へプロテインジスルフィドイソメラーゼを活性な状態で分泌させる、酵母PDIの製造方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
酸化型のPDIはタンパク質にSS結合を形成させ、グルテンの物性発現に関与すると考えられるが、この触媒反応によって自らは還元型PDIとなる。小麦粉生地中においてSS結合の形成が滞りなく進行するためには、還元型PDIを酸化型PDIへと再生する必要がある。この再生に関与する酵素として、エンドプラズミックレティキュラムオキシドレダクターゼ1(Endoplasmic Reticulum Oxidoreductase1:以下「Ero1」という。)が知られているが、Ero1についてはこれまでにヒトや酵母等での報告はみられるものの、高等植物においてはイネのみであり小麦でのEro1の報告はない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】国際公開WO98/35049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、小麦粉生地形成および製パン性に対する小麦PDIの作用性を解析するため、遺伝子情報よりリコンビナントEro1(以下「rEro1」という。)を取得し、rEro1によるPDIの再生がもたらすグルテン形成向上作用を応用した小麦加工製品の製造技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる知見に基づくものであり、配列番号:1で表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたリコンビナントエンドプラズミックレティキュラムオキシドレダクターゼ1(recombinant Endoplasmic Reticulum Oxidoreductase1:rEro1)と、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)と、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)と、を主成分とする、小麦加工製品の改質剤を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、配列番号:1で表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたリコンビナントエンドプラズミックレティキュラムオキシドレダクターゼ1(rEro1)と、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)と、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)と、を主成分とする小麦加工製品の改質剤を小麦粉に添加して生地を形成する、小麦加工製品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の小麦加工製品の改質剤及び小麦加工製品の製造方法によれば、小麦粉生地中においてSS結合形成量を増加させることができるため、グルテン形成量の増加によって品質が向上する小麦加工製品の品質を向上することができる。また、グルテン形成量が少なく、これまで小麦加工製品の小麦として適切ではない小粉を使用する場合等であっても好適な小麦粉に改質することができるため、小麦粉の適用範囲を広げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ジスルフィド結合(SS結合)によるタンパク質分子間の架橋形成とそれに関与する触媒反応を説明するための図である。
【図2】リコンビナント小麦Ero1を取得する工程の概略を示すフローチャートである。
【図3】全長rEro1発現タンパク質の不溶化を示す電気泳動パターンである。
【図4】形質転換体のカラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。
【図5】図4の未吸着画分、10mMイミダゾール画分及び50mMイミダゾール画分のSDS-PAGEの電気泳動パターンである。
【図6】FADの退色によりrEro1の活性を検討した結果を示す図である。
【図7】Oの濃度変化によりrEro1の活性を検討した結果を示す図である。
【図8】パンの製造方法及び試験の順序を示す図である。
【図9】焼成後のパンの比容積を比較した結果を示す図である。
【図10】焼成後のパンの官能評価の結果を示す図である。
【図11】PDIおよびrEro1による小麦タンパク質中のSS結合形成能を検討した結果を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の小麦加工製品の改質剤及び小麦加工製品の製造方法の好ましい実施形態について説明する。本発明において、「小麦加工製品」とは、小麦粉を主成分とする食品をいい、例えば、食パン、菓子パン、イーストドーナツなどのパン類;中華麺、うどん、そば、パスタなどの麺類;饅頭、麩饅頭、中華饅頭などの菓子類;餃子、シュウマイ、春巻の皮などの皮類、その他:お麩、竹輪麩等を挙げることができる。
【0014】
図1は、ジスルフィド結合(SS結合)によるタンパク質分子間の架橋形成とそれに関与する触媒反応を説明するための図である。
【0015】
小麦加工製品の基質となる小麦タンパク質は、生地混捏時にSH基が架橋してSS結合することによってグルテンを形成する。その際、酸化型PDIが基質のSH基を酸化しSS結合を形成させ、自身は還元型PDIとなる。しかし、それだけではPDIの反応が一方的になり、やがて酸化型PDIの量が少なくなると、酸化型PDIを追加しない限りSS結合は進行しなくなる。
【0016】
そこでこの還元型PDIを酸化し、酸化型PDIに再生する反応を触媒するEro1が必要となる。Ero1は酸化型Ero1が還元型PDIを酸化し、還元型Ero1となる。これにより酸化型PDIが再びSS結合を触媒することができる。一方、還元型Ero1はFADと反応し酸化型Ero1となり、FADはFADHに変化する。但し、FADHはOと反応することでFADに再生することができる。
【0017】
本実施形態の小麦加工製品の改質剤に使用されるエンドプラズミックレティキュラムオキシドレダクターゼ1(Endoplasmic Reticulum Oxidoreductase1:Ero1)は、配列番号:1で表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたリコンビナントエンドプラズミックレティキュラムオキシドレダクターゼ1(rEro1)である。
【0018】
rEro1は、天然のEro1のN末端側に存在し、小胞体の膜に付着するための疎水性の高い膜貫通領域を欠落したものであり、図1におけるEro1と同様、PDIの酸化還元反応を触媒する役割を有する。なお、本実施形態においては、この膜貫通領域が存在した塩基配列を使用して形質転換を行っても、可溶性画分へrEro1を得ることができない(図3)。
【0019】
本実施形態の小麦加工製品の改質剤に使用されるPDIは、小麦などの天然物から抽出したPDIを使用しても、rPDIを使用してもよい。rPDIは、例えば、配列番号:2で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドで形質転換した形質転換細胞から産生されたrPDIを使用することができる。得られたrPDIは200~632U/タンパク質1mgものPDI活性を有し、温度安定性及びpH安定性が小麦由来の天然PDIよりも優れているので好ましい。
【0020】
本実施形態の小麦加工製品の改質剤に使用されるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)は、補酵素型のビタミンBであり、rEro1の酸化還元反応の際の水素の授受に関与する。
【0021】
本実施形態の小麦加工製品の製造方法は、上述した改質剤を小麦粉に添加して生地を形成するものである。
【0022】
前記改質剤を小麦粉に添加して生地を形成することにより、生地中のジスルフィド結合の形成が促進され、例えばパンにおいては比容積が増加し柔らかい口当たりのパンを製造することができる。
【0023】
本実施形態の小麦加工製品の製造方法においては、前記rEro1の添加量は、小麦加工製品の生地におけるPDIとの会合性を考慮すれば、前記PDIのモル比の2~20倍量であることが好ましい。rEro1の添加量は多ければ多いほどPDIとの会合性もより高くなると考えられるが、実際に小麦加工製品を製造した結果では、PDIのモル比の10倍量のrEro1を添加すれば十分本発明の効果を得ることができる。
【実施例】
【0024】
1.小麦rPDIおよび小麦rEro1の発現と取得
(1)小麦rPDI
小麦rPDIの発現は、日本DNAデータバンク(DDBJ)より、小麦PDI遺伝子情報を検索取得し、2種の小麦PDI遺伝子情報をBio-Edit上でアライメントした。アライメント後、配列番号:2で表わされる塩基配列のオープンリーディングフレーム(ORF)領域の3’末端側および5’末端側の外側でプライマーを作製し、小麦根より抽出したtotalRNAを逆転写し得られたcDNAを鋳型としてPDIのORFをPCRにて増幅後、発現ベクターpET21aに挿入し、発現宿主大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、His-Tag融合タンパク質として発現させた。次に、菌体を超音波処理にて破砕、rPDIを抽出後、コバルトカラムにて精製した。
【0025】
(2)小麦rEro1
図2はリコンビナント小麦Ero1を取得する工程の概略を示すフローチャートである。小麦Ero1の発現は、小麦Ero1の塩基配列の報告がないことから、DDBJよりヒトおよび酵母Ero1の遺伝子情報を検索取得し、Bio-Edit上でアライメントした。アライメント後、共通配列からプライマーを作製し、3’-RACEおよび5’-RACEにより小麦Ero1の両末端の配列を明らかにした。さらに、小麦Ero1のORF領域の3’末端側および5’末端側の外側でプライマーを作製し、小麦根より抽出したtotalRNAを逆転写し得られたcDNAを鋳型としてEro1のORFをPCRにて増幅後、発現ベクターpET21aに挿入し、発現宿主大腸菌BL21 codon Plus(DE3)-RILに形質転換し、rPDIと同様に発現・精製した。しかしながら、得られた全長rEro1は、可溶性画分への発現がみられなかった(図3)。そこで、N末端側に存在する疎水性の高い膜貫通領域を欠落させ、配列番号:1で表わされる塩基配列を作成した。そして、上記と同様の操作で配列番号:1で表わされる塩基配列を発現させることにより、可溶性画分へ49kDaのrEro1が発現し取得に成功した(図4及び図5参照)。
【0026】
rEro1の活性は、Ero1の補酵素であるFADの還元による退色を経時的に測定し、また生成したFADHとOが反応しHになる際のOの濃度減少を測定することにより確認した。FADの退色の結果を図6に示し、Oの濃度変化の結果を図7に示す。
【0027】
図6に示すように、rEro1の活性確認は、Ero1がフラビン還元酵素であることから、DTTにて還元型rEro1としFADに作用させ、FADHへと還元されることに伴う黄色の退色を測定し、活性を有していることを確認した。また、図7に示すように、生成したFADHがOへ電子を供与しHへ変換されることに伴うO消費量を測定し、rEro1濃度依存的にO消費速度が増加することも確認した。
【0028】
2.製パン性に及ぼすrPDIおよびrEro1の影響
rPDIおよびrEro1添加による製パン性への影響を解析するため、パン用小麦粉に比べ製パン性が低い中力粉(日清製粉社の「雀」(商品名))を試料に用い、rPDI、rEro1及びFAD添加による製パン試験を行った。なお、参考例として、中力粉を使用し、本発明の改質剤を添加しないパンと、強力粉(日清製粉社の「カメリア」(商品名))を使用し、本発明の改質剤を添加しないパンについても製造した。このとき、参考例1の純水の添加量は137mlとした。
【0029】
図8にパンの製造方法及び試験の順序を示す。rPDIは50U/小麦粉200g(0.25U/小麦粉1g)または500U/小麦粉200g(2.5U/小麦粉1g)、約4.3nmol/小麦粉200g(0.022nmol/小麦粉1g)、タンパク質として243μg/小麦粉200g相当を添加した。なお、rPDIは比活性205.4U/mg、分子量56600で計算した。
【0030】
rEro1はrPDIと同モルまたは、モル比で10倍量を、約4.3nmol/小麦粉200gまたは43nmol小麦粉200g(0.022nmolもしくは0.22nmol)/小麦粉1g)、タンパク質として208.6μgもしくは2086μg/小麦粉200g相当を添加した。なお、rEro1は分子量48500で計算した。
【0031】
FADは5μmol/小麦粉200g(0.025U/小麦粉1g)を添加した。これは生地中におけるrEro1との会合性を考慮し、過剰量のFADを添加したものである。
【0032】
焼成後のパンの比容積を比較した結果を図9に示す。焼成後のパンの比容積は菜種置換法を用いた。菜種置換法とは、一定容量の容器に満杯に詰めた菜種の体積から、同じ容器に試料と菜種を詰めて満杯にしたときの菜種の体積を差引き、試料の体積を求める方法である。
【0033】
その結果、中力粉で製造したパン(参考例2)の比容積と比較して、rPDI 50U/小麦粉200gに加えrEro1を4.3nmol(rPDI 50Uと同じモル比)およびFAD 5μmolを添加したパン(実施例1)は、約2.1%の増加、rPDI 50U/小麦粉200gに加えrEro1を43.0nmol(rPDI 50Uのモル比で10倍量)およびFAD 5μmolを添加したパン(実施例2)は約7.4%の増加、rPDI 500U/小麦粉200gに加えrEro1を43.0nmol(rPDI 50Uのモル比で10倍量)およびFAD 5μmolを添加したパン(実施例3)は約5.0%の増加が認められた。
【0034】
このことから、rPDI、rEro1およびFADとの共存によって、還元型rPDIの酸化型への再生機構が補完され、小麦粉グルテンのSS結合形成が進行したことが推察された。
【0035】
10名の成人健常者をパネラーとして、官能検査を実施した。総合評価以外は、コントロール(参考例2)を3点として主観的に5点評価法にて行い、優れているものに5点、やや優れているものに4点、コントロールと同等を3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とした。総合評価は順位法で行い、1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点として点数化した。
【0036】
結果を表1及び図10に示す。表1及び図10において、「Control」は中力粉で製造したパン(参考例2)を意味し、「比較例1」はrPDIを50U/小麦粉200g添加して製造したパンを意味し、「比較例2」はrPDI 50U/小麦粉200g及びrEro1を43.0nmol(rPDI 50Uのモル比で10倍量)を添加して製造したパンを意味する。表1及び図10に示すように、実施例2のパンは何れの項目も高い評価を得て、良好なパンであることが示された。
【0037】
【表1】
JP0005370970B2_000002t.gif

【0038】
3.小麦PDIおよびrEro1によるSS結合形成能の解析
PDIおよびrEro1による小麦タンパク質中のSS結合形成能の解析を行うため、小麦粒(ハルユタカ;北海道産)より調製したPDI粗酵素液(PDI活性5.0U、タンパク質濃度5.3mg/ml、PDIとして0.2nmol)へrEro1(2.0nmol)およびFAD(20.0nmol)を添加し、37℃、3時間加温後、試験液中のSH量の変化をNBD-Cl法にて測定し、SH基減少量よりSS結合形成量を算出した。
【0039】
結果を図11に示す。図11に示すように、粗酵素液のみでは、SS結合形成量は0.16μmol/タンパク質gであったが、これにrEro1およびFADを添加すると、SS結合形成量は1.7μmol/タンパク質gと約11倍に増加した。このことから、PDIとrEro1、FADが共存することによって、小麦タンパク質中にSS結合の形成が促進されることが明らかとなった。
図面
【図4】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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