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明細書 :サイクリンA-p27相互作用検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5476627号 (P5476627)
公開番号 特開2010-094110 (P2010-094110A)
登録日 平成26年2月21日(2014.2.21)
発行日 平成26年4月23日(2014.4.23)
公開日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発明の名称または考案の名称 サイクリンA-p27相互作用検出方法
国際特許分類 C12Q   1/02        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/48        (2006.01)
G01N  21/64        (2006.01)
FI C12Q 1/02 ZNA
C12N 15/00 A
C12Q 1/48 Z
G01N 21/64 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 11
出願番号 特願2008-270185 (P2008-270185)
出願日 平成20年10月20日(2008.10.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 東京農業大学先端研究プロジェクトシンポジウム(平成20年4月18日)東京農業大学発行第3ページに発表
特許法第30条第1項適用 新・実学ジャーナル第54号(平成20年7月1日)学校法人東京農業大学広報部発行第7-8ページに発表
審査請求日 平成23年9月7日(2011.9.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
発明者または考案者 【氏名】千葉櫻 拓
個別代理人の代理人 【識別番号】100122574、【弁理士】、【氏名又は名称】吉永 貴大
審査官 【審査官】清水 晋治
参考文献・文献 千葉櫻拓,平成19年度 東京農業大学 先端研究プロジェクトA 個人研究成果報告書,東京農業大学総合研究所紀要 第19号,東京農業大学総合研究所,2008年 7月30日,p.63-67
Plant physiology. 2006, Vol.141, No.4, p.1293-1305
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C07K 19/00
C12Q 1/00-1/66
PubMed
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号:1で示される塩基配列を有するサイクリンA-YFPN融合タンパク質をコードする発現ベクター及び配列番号:2で示される塩基配列を有するp27-YFPC融合タンパク質をコードする発現ベクターを細胞へ導入して形質転換細胞を作製するステップと、
形質転換細胞を培養し、サイクリンA-YFPN融合タンパク質と、p27-YFPC融合タンパク質を生成させるステップと、
サイクリン-サイクリン依存性キナーゼ複合体と、p27との相互作用を蛍光の有無で検出するステップと、
を有するサイクリンA-p27相互作用検出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、p27とサイクリン-CDK(サイクリン依存性キナーゼ)との相互作用を生細胞内で簡便に検出・評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物細胞の増殖は、促進因子であるサイクリン-CDK複合体と、それに結合して活性を抑制するCDK阻害因子によって厳密な制御を受けている。CDK阻害因子の1つであるp27は、血清などの増殖刺激に応答する細胞増殖制御において主要な抑制因子として機能しており、その遺伝子欠損が個体サイズの増加・がん発生頻度の上昇・がんの悪性度の増大を引き起こすことから、がん抑制因子として知られている。即ち、p27が適切に機能することは正常な細胞増殖制御において非常に重要であり、その機能不全はがん化を促進すると考えられる。
【0003】
一方、出芽酵母において、CDK阻害因子の機能にイノシトール代謝産物(IP7)が必須であることが報告されている(非特許文献1)。動物細胞においてこのような化合物は未知であるが、ある種のがん細胞ではp27が発現しているにもかかわらず増殖制御が正常に働かないことから、がん化に伴う遺伝子発現や代謝経路の変化によってp27とサイクリン-CDKとの相互作用が低下している可能性が考えられる。
【0004】
また、サイクリン-CDKとCDK阻害因子の相互作用をsplit-YFP 法により検証している報告として、植物におけるCDKA;1とKRP1(p27ホモログ)の相互作用解析が知られている(非特許文献2)が、動物細胞においては報告されていない。

【特許文献1】Lee, Y.-S., et al. (2007) Science316: 109-112.
【特許文献2】Jakoby, M. J., et al. (2006)Plant Physiol. 141: 1293-1305.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、CDK阻害因子の1つであるp27は、血清などの増殖刺激に応答する細胞増殖制御において主要な抑制因子として機能していることは知られているが、様々ながん細胞におけるp27とサイクリン-CDK間の相互作用の網羅的な比較解析はなされていないのが現状である。
【0006】
そこで本発明は、p27とサイクリン-CDKとの相互作用を生細胞内で簡便に検出・評価する系を構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は2種の発現ベクターを構築し、ヒト培養細胞内で同時に発現させて、蛍光による相互作用検出が可能であることを確認した。また、各種がん細胞株内で発現させたところ、ある種の細胞株においてサイクリンA-p27相互作用が低下していることが示唆された。
【0008】
本発明はかかる知見に基づくものであり、サイクリンA-YFPN融合タンパク質をコードする発現ベクターと、p27-YFPC融合タンパク質をコードする発現ベクターを細胞へ導入して形質転換細胞を作製するステップと、形質転換細胞を培養し、サイクリンA-YFPN融合タンパク質と、p27-YFPC融合タンパク質を生成させるステップと、サイクリン-サイクリン依存性キナーゼ複合体と、p27との相互作用を蛍光の有無で検出するステップと、を有するサイクリンA-p27相互作用検出方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法により、サイクリンA-p27相互作用の低下しているがん細胞を選別することが可能となる。さらにそのようながん細胞において、本発明を評価系として、相互作用を増強するような化合物をスクリーニングすることにより、抗がん剤の開発・評価への応用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るサイクリンA-p27相互作用検出方法を説明するための概略図である。
【0011】
本実施形態のサイクリンA-p27相互作用検出方法は、第1のステップとして、図1(A)に示すサイクリンA-YFPN融合タンパク質をコードする発現ベクターと、図1(B)に示すp27-YFPC融合タンパク質をコードする発現ベクターを細胞へ導入して形質転換細胞を作製する。
【0012】
前記サイクリンA-YFPN融合タンパク質は、配列番号:1で示される塩基配列を有している。また、前記p27-YFPC融合タンパク質は、配列番号:2で示される塩基配列を有している。前記サイクリンA-YFPN融合タンパク質及び前記p27-YFPC融合タンパク質については、p27-サイクリンA複合体の立体構造より、サイクリンAのC末端にYFPN、p27のN末端にYFPCを融合させることが好ましい。このような構造により、p27とサイクリンAが相互作用した場合にYFPNとYFPCの立体配置が近づき、YFP蛍光を発することが可能となる。
【0013】
前記サイクリンA-YFPN融合タンパク質及び前記p27-YFPC融合タンパク質のリンカー配列は、5~15のアミノ酸を有していることが好ましい。リンカー部分のアミノ酸の数をかかる範囲にすることにより、YFPの立体構造をより再構築しやすくすることができる。
【0014】
前記アミノ酸は、配列番号:3で示される配列を有するアミノ酸であることが好ましい。このようなアミノ酸配列により、より柔軟な立体構造のリンカー領域を構成することができる。
【0015】
なお、サイクリンAは動物由来であれば特に制限はなく、例えばヒト由来サイクリンAでも、マウス由来サイクリンAでもよい。p27についても同様に、動物由来であれば特に制限はない。
【0016】
形質転換を行う際、遺伝子導入された細胞を標識するために、YFP融合タンパク発現ベクターに赤色蛍光タンパク質DsRedを発現するベクターなどを混合してから導入することもできる。
【0017】
次に、第2のステップとして、形質転換細胞を培養し、図1(C)に示すように、サイクリンのC末端にYFPNが結合したサイクリンA-YFPN融合タンパク質と、p27のN末端にYFPCが結合したp27-YFPC融合タンパク質を生成させる。
【0018】
形質転換細胞の培養は、細胞の種類に応じて培地や培養条件を適宜選択することができる。例えば、標的細胞をサンプリングし、上述した発現ベクターを定法により導入した後、in vitro で細胞を培養し、サイクリンA-YFPN融合タンパク質と、p27-YFPC融合タンパク質を生成させることができる。
【0019】
そして、第3のステップとして、サイクリン-サイクリン依存性キナーゼ複合体と、p27との相互作用を蛍光の有無で検出する。
【0020】
正常な細胞では、サイクリンと、細胞周期を進行させる役割を有するサイクリン依存性キナーゼ(以下「CDK」という)とが結合して細胞増殖が活性化する。同時に、細胞のがん化を抑制するp27が相互作用により結合し、細胞増殖を律している。そのため、図1(C)に示すサイクリン-CDK複合体と、p27が相互作用により結合し、図1(D)に示すように、YFP蛍光が観察された場合は、サイクリン-CDK複合体とp27との相互作用が正常であると評価できる。逆にYFP蛍光が観察されない場合は、サイクリン-CDK複合体とp27との相互作用が低いと評価できる。このように、蛍光の有無により、サイクリン-CDK複合体と、p27との相互作用を検出し、サイクリンA-p27相互作用の低下しているがん細胞を選別することが可能となる。
【0021】
p27と相互作用するサイクリンは複数種存在するが、その中でp27との複合体立体構造が解明されているサイクリンAを選んだ。また、多種の細胞において相互作用を比較解析するには、細胞を固定せずに直接検出できることが望ましい。そのための手法として、split YFP法(Hu, C.-D., et al. (2002) Mol. Cell 9: 789-798.)を用いることが好ましい。この方法の原理は、ある2種のタンパク質(X, Y)にYFP(黄色蛍光タンパク質)のN末端及びC末端領域をそれぞれ融合し、X,Yが相互作用する場合のみ分断されたYFPの立体構造が再構築され、蛍光が検出されるというものであり、蛍光タンパク質を用いた類似の手法であるFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)法に比べて、検出が簡便でバックグラウンドが低いという利点がある。
【実施例】
【0022】
1.各種融合タンパク質発現ベクターの構築
図2は本実施例で使用する融合タンパク質発現ベクターの構築方法を説明するための図である。また、図3は図2に示す方法により構築した融合タンパク質発現ベクターを示す図である。以下、図2及び図3を参照しつつ、各種融合タンパク質発現ベクターの構築方法について説明する。
【0023】
(1)サイクリンA-YFPN融合タンパク質発現ベクター
ヒトサイクリンA cDNA保持ベクターpCSMTcycA(Chibazakura, T., et al. (2004)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101: 4465-4470.)を鋳型とし、以下のプライマーを用いてサイクリンAのC末端領域(105 bp)をPCR法により増幅した。
図2(1) CycA-1210Sph primer: 5’-TACCTCAAAGCACCACAG(配列番号:4)
図2(2) CycA-3’R2 primer: 5’-CAGATTTAGTGTCTCTGG(配列番号:5)
【0024】
また、YFP発現ベクターpEYFP-C1(クロンテック社)を鋳型とし、以下のプライマーを用いて、YFPのN末端領域(474 bp)の下流に終止コドン、上流に10アミノ酸のリンカー配列(配列番号:3)及びサイクリンAのC末端18bpを付加したDNA断片をPCR法により増幅した。
図2(3) CycA-C/YN-L10 primer: 5’-CCAGAGACACTAAATCTGGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCATGGTGAGCAAG(配列番号:6)
図2(4) EYFP-N3’Xho primer: 5’-GGCTCGAGTTAGATGTTGTGGCGGATCTTG(配列番号:7)
【0025】
上記2つのDNA断片を精製後混合し、これを鋳型として、図2(1)(配列番号:4)および図2(4)(配列番号:7)のプライマーを用いた組換えPCR法により、サイクリンA2 C末端領域-10アミノ酸リンカー配列-YFP N末端領域からなる融合遺伝子断片を増幅した。これを制限酵素SphIおよびXhoIで切断後、pCSMTcycAベクターのSphI-XhoI切断部位間にサブクローニングし、図3(A)に示すpCSMTcycA-L10-YNベクター、即ちサイクリンA-YFPN融合タンパク質をコードする発現ベクターを得た。
【0026】
(2)p27-YFPC融合タンパク質発現ベクター
ヒトp27 cDNA保持ベクターpRevTRE-hp27(クロンテック社pRevTREベクターにヒトp27 全長cDNAをサブクローニングしたもの)を鋳型とし、以下のプライマーを用いてp27のN末端領域(147 bp)の上流に10アミノ酸のリンカー配列(配列番号:3)及びYFPのC末端19bpを付加した断片をPCR法により増幅した。
図2(5) YC/p27N-L10 primer: 5’-CATGGACGAGCTGTACAAGGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCATGTCAAACGTGAGAGTG(配列番号:8)
図2(6) p27-130SmaR primer: 5’-GCAGTGCTTCTCCAAGTC(配列番号:9)
【0027】
また、YFP発現ベクターpEYFP-C1を鋳型とし、以下のプライマーを用いて、YFPのC末端領域(243 bp)上流に開始コドンを付加したDNA断片をPCR法により増幅した。
図2(7) EYFP-C5’BamATG primer: 5’-CCGGATCCATGGAGGACGGCAGCGTGCAG(配列番号:10)
図2(8) EYFP-C3’R primer: 5’-CTTGTACAGCTCGTCCATG(配列番号:11)
【0028】
上記2つのDNA断片を精製後混合し、これを鋳型として、図2(6)(配列番号:9)および図2(7)(配列番号:10)のプライマーを用いた組換えPCR法により、YFP C末端領域-10アミノ酸リンカー配列-p27 N末端領域からなる融合遺伝子断片を増幅した。
【0029】
これを制限酵素BamHIおよびSmaIで切断後、p27のSmaI切断部位下流の領域(pRevTREhp27のSmaI-ClaI断片)とともにpCS2ベクター(Turner, D. L. and Weinraub, H. (1994) Genes dev. 8: 1434-1447.)のBamHI-ClaI切断部位間にサブクローニングし、図3(B)に示すpCS2YC-L10-hp27ベクター、即ちp27-YFPC融合タンパク質をコードする発現ベクターを得た。
【0030】
(3)構築したベクターについて
図3に各ベクターの構成を示す。図3(A)に示すpCSMTcycA-L10-YNベクターは、N末端にmyc tag(MT;Turner, D. L. and Weinraub, H. (1994) Genes dev. 8: 1434-1447.)が付加されたヒトサイクリンA2の全長タンパク質C末端に[Gly-Gly-Gly-Gly-Ser]2からなる10アミノ酸のリンカー配列(配列番号:3)およびYFPタンパク質N末端領域(YFPN:158アミノ酸)が融合したタンパク質を発現する。
【0031】
図3(B)に示すpCS2YC-L10-hp27ベクターは、YFPタンパク質C末端領域(YFPC:81アミノ酸)に[Gly-Gly-Gly-Gly-Ser]2からなる10アミノ酸のリンカー配列(配列番号:3)およびヒトp27の全長タンパク質が融合したタンパク質を発現する。
【0032】
2.評価試験
(1)培養細胞株への遺伝子導入および生細胞内蛍光検出
構築したベクターを生細胞内に導入し、その生細胞内で蛍光が検出できるか否かを検討するため、ヒトがん化細胞株293細胞(ヒト胎児腎細胞)を用いて遺伝子導入を試みた。
【0033】
ヒトがん化細胞株293細胞を10%ウシ胎仔血清を含むDME培地(インビトロジェン社)で培養した。6ウエルディッシュの底面にカバーグラスを入れ、その上にヒトがん化細胞株293細胞を播種し、1晩培養後にリン酸カルシウム法(Clurman, B. E., et al. (1996) Genes Dev. 10: 1979-1990.)による遺伝子導入を行った。
【0034】
このとき、上記1で構築したプラスミドベクター(各2.5μg)をそれぞれ単独で又は混合してヒトがん化細胞株293細胞に導入した。
【0035】
遺伝子導入の16時間後に新鮮な培地に交換し、その24時間後にカバーグラスを取り出して、3.7%ホルムアルデヒド溶液で5分間処理し、細胞を固定した。DAPI(0.2mg/ml)による核染色後、カバーグラスを風乾し、スライドグラスにマウントして落射蛍光顕微鏡(オリンパスBX-60FLA)および顕微鏡デジタルカメラ(オリンパスDP71)により蛍光を観察・記録した(使用蛍光キューブは以下の通り:YFP=U-MNIBA、DAPI=U-MWU)。結果を図4に示す。
【0036】
図4はsplit YFP法によるサイクリンA-p27相互作用を検証した結果を示す図である。図中、(A)「CycA-YFPN」はpCSMTcycA-L10-YNベクター、即ちサイクリンA-YFPN融合タンパク質をコードする発現ベクターを導入した細胞であり、(B)「YFPN-p27」はpCS2YC-L10-hp27ベクター、即ちp27-YFPC融合タンパク質をコードする発現ベクターを導入した細胞であり、(C)は上記2種の発現ベクターを導入した細胞である。
【0037】
また、「DAPI」は蛍光顕微鏡で青色蛍光を観察したときの顕微鏡写真を示し、「YFP」は蛍光顕微鏡で黄色蛍光を観察したときの顕微鏡写真を示す。
【0038】
図4(A)及び(B)に示すように、各ベクターを単独に導入した場合YFP蛍光は検出されなかった。しかしながら、図4(C)に示すように、各ベクターを混合して細胞に導入した場合はYFP蛍光が検出された。
【0039】
このことより、split YFP法によるサイクリンA-p27相互作用の検出が可能であることが確認された。なお、固定しない生細胞の状態でも蛍光検出が可能であった(データ示さず)。
【0040】
(2)各種がん細胞におけるサイクリンA-p27相互作用の評価
異なる種類の細胞を使用して、サイクリンA-p27相互作用の評価を行った。使用した細胞は、正常細胞株としてWI38、がん細胞株として293、U2-OS、HT1080、MDAH041、SaOS-2を用いた。
【0041】
細胞は全て10%ウシ胎仔血清を含むDME培地(インビトロジェン社)で培養した。6ウエルディッシュの底面にカバーグラスを入れ、その上に細胞を播種し、1晩培養後にリン酸カルシウム法(Clurman, B. E., et al.(1996)Genes Dev. 10: 1979-1990.)による遺伝子導入を行った。
【0042】
その際、遺伝子導入された細胞を標識するために、各YFP融合タンパク発現ベクター(2.5μgずつ)に赤色蛍光タンパク質DsRedを発現するベクターpDsRed(クロンテック社)を1 μg混合して導入した。
【0043】
遺伝子導入の16時間後に新鮮な培地に交換し、その24時間後にカバーグラスを取り出して、3.7%ホルムアルデヒド溶液で5分間処理し、細胞を固定した。DAPI(0.2μg/ml)による核染色後、カバーグラスを風乾し、スライドグラスにマウントして落射蛍光顕微鏡(オリンパスBX-60FLA)および顕微鏡デジタルカメラ(オリンパスDP71)により蛍光を観察・記録した(使用蛍光キューブは以下の通り:YFP=U-MNIBA、DsRed=U-MWIG、DAPI=U-MWU)。
【0044】
結果を図5に示す。図中、「明視野+DAPI」は位相差明視野像と青色蛍光を同時観察したときの顕微鏡写真を示し、「DsRed」は蛍光顕微鏡で赤色蛍光を観察したときの顕微鏡写真を示し、「YFP」は蛍光顕微鏡で黄色蛍光を観察したときの顕微鏡写真を示す。
【0045】
図5に示すように、WI38、293、U2-OSにおいては遺伝子導入された細胞(DsRed蛍光により確認)で有意なYFP蛍光(図5の矢印で示した部分)が検出されたが、HT1080、MDAH041、SaOS-2においてはバックグラウンドレベルであった。即ち、HT1080、MDAH041、SaOS-2においてはサイクリンA-p27相互作用が低下していることが判明した。このように、少なくともある種のがん細胞株においては、サイクリンA-p27相互作用が低下している細胞を選別することができることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、例えば (1) サイクリン-p27相互作用を増強する化合物のスクリーニング、(2) 他のサイクリン(サイクリンEなど)とp27の相互作用検出、(3) サイクリンとp27以外の結合タンパク質との相互作用検出、などの技術分野に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係るサイクリンA-p27相互作用検出方法を説明するための概略図である。
【図2】本実施例で使用する融合タンパク質発現ベクターの構築方法を説明するための図である。
【図3】図2に示す方法により構築した融合タンパク質発現ベクターを示す図である。
【図4】split YFP法によるサイクリンA-p27相互作用を検証した結果を示す図である。
【図5】各種がん細胞におけるサイクリンA-p27相互作用の評価結果を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4