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明細書 :採水装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4383940号 (P4383940)
公開番号 特開2005-282197 (P2005-282197A)
登録日 平成21年10月2日(2009.10.2)
発行日 平成21年12月16日(2009.12.16)
公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
発明の名称または考案の名称 採水装置
国際特許分類 E03B   3/28        (2006.01)
B01D   5/00        (2006.01)
FI E03B 3/28
B01D 5/00 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2004-099000 (P2004-099000)
出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
審査請求日 平成19年3月20日(2007.3.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
発明者または考案者 【氏名】関山 哲雄
【氏名】田島 淳
【氏名】高橋 悟
【氏名】高橋 新平
個別代理人の代理人 【識別番号】100122574、【弁理士】、【氏名又は名称】吉永 貴大
審査官 【審査官】小山 清二
参考文献・文献 特開昭57-038929(JP,A)
特開2002-371598(JP,A)
特開昭60-215934(JP,A)
実開昭61-035970(JP,U)
実開平05-053256(JP,U)
特開2003-277766(JP,A)
特開昭60-075388(JP,A)
調査した分野 E03B 3/28
B01D 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
空気中に含まれる水蒸気を凝縮させて水を得る採水装置であって、
前記空気を冷却して当該空気中に含まれる水蒸気を凝縮させる冷却手段と、
外界から前記冷却手段の周辺へ前記水蒸気を含む前記空気を導く流路を構成するダクトと、
前記ダクトと前記外界との間に配置されて前記ダクト内へ前記水蒸気を含む前記空気を送り込む吸気手段及び/又は前記冷却手段に接触して冷却された前記空気を、前記ダクトの周辺を通過させて前記外界へ排出する排気手段と、
前記ダクトの周辺を囲んで前記外界とほぼ隔離する容器と、
備え前記吸気手段及び/又は前記排気手段が外界の温度及び湿度に応じて前記ダクト内への吸気量の制御を行い、前記冷却手段に接触して冷却された後の前記空気を前記容器の一方の開口から導入して前記ダクトの外部に当て、前記ダクトの内部を通過する前記水蒸気を含む前記空気を予冷した後に前記容器の他方の開口から排出する、採水装置。
【請求項2】
前記冷却手段は、
冷媒を圧縮する圧縮器と、
前記圧縮器により圧縮された前記冷媒を冷却して凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器により凝縮された前記冷媒を内部で気化させることにより外部に冷熱を生じさせる蒸発器と、
を含み、前記蒸発器の外部に前記水蒸気を含む前記空気を接触させて冷却することにより当該空気中に含まれる水蒸気を凝縮させる、請求項1に記載の採水装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、
ペルチェ効果を利用した冷却素子と、
前記冷却素子が発生する冷熱が伝達される熱交換媒体と、
を含み、前記熱交換媒体の外部に前記水蒸気を含む前記空気を接触させて冷却することにより当該空気中に含まれる水蒸気を凝縮させる、請求項1に記載の採水装置。
【請求項4】
前記容器が断熱性の部材からなる、請求項に記載の採水装置。
【請求項5】
前記ダクトが金属材料により形成されている、請求項1に記載の採水装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中の水蒸気を凝縮させて水を得る採水技術に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクルを利用して大気中の水蒸気を凝縮させて水を得る採水装置が知られており、砂漠地帯など降雨や地表水等による取水を行うのが困難な乾燥地域において飲料水等を確保する手段の一つとして期待されている。かかる採水装置の従来例は、例えば、特開2002-371598号公報(特許文献1)に開示されている。当該特許文献1に記載の採水装置(造水装置)は、冷凍サイクルにおける蒸発器(吸熱部)に導かれ、そこで冷却されて水蒸気を凝結させた後の冷気を回収し、この回収した冷気によって冷媒を凝縮する凝縮器を冷却することにより、取水効率を向上させている。
【0003】

【特許文献1】特開2002-371598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような採水装置では、取水効率の更なる向上が期待されており、これを実現する技術が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、大気中の水蒸気を凝縮させて水を得る場合における取水効率の向上を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の本発明は、空気中に含まれる水蒸気を凝縮させて水を得る採水装置であって、空気を冷却して当該空気中に含まれる水蒸気を凝縮させる冷却手段と、外界から上記冷却手段の周辺へ上記水蒸気を含む上記空気を導く流路を構成するダクトと、上記ダクトと上記外界との間に配置されて上記ダクト内へ上記水蒸気を含む上記空気を送り込む吸気手段と、を含み、上記冷却手段に接触して冷却された後の上記空気を回収して上記ダクトの外部(外側)に当て、上記ダクトの内部(内側)を通過する上記水蒸気を含む上記空気を予冷するように上記ダクトと上記冷却手段とを相対的に配置したことを特徴とする採水装置である。
【0007】
かかる構成によれば、水蒸気を含んだ空気がダクト内を通過する際にダクトの外側からある程度冷却される(予冷される)ので、水蒸気を含む空気を凝縮器において凝縮(凝結)させるために要する顕熱を低下させることができる。これにより、採水装置における取水効率の向上を図ることが可能となる。
【0008】
上述した冷却手段は、冷媒を圧縮する圧縮器と、上記圧縮器により圧縮された上記冷媒を冷却して凝縮する凝縮器と、上記凝縮器により凝縮された上記冷媒を内部で気化させることにより外部に冷熱を生じさせる蒸発器と、を含み、上記蒸発器の外部に前記水蒸気を含む前記空気を接触させて冷却することにより当該空気中に含まれる水蒸気を凝縮させるように構成されることが好ましい。
【0009】
圧縮器、凝縮器及び蒸発器を含む冷凍サイクルを利用することにより、本発明にかかる冷却手段を容易に実現し得る。特に、かかる構成の採用により、冷凍サイクルを含む除湿器等の既存の装置を流用して本発明にかかる採水装置を容易に実現することが可能となり都合がよい。
【0010】
また、上述した冷却手段は、ペルチェ効果を利用した冷却素子(ペルチェ素子)と、当該冷却素子が発生する冷熱が伝達される熱交換媒体と、を含み、上記熱交換媒体の外部に上記水蒸気を含む上記空気を接触させて冷却することにより当該空気中に含まれる水蒸気を凝縮させるように構成することも好ましい。
【0011】
ペルチェ素子を用いることにより、冷却手段をよりコンパクトに構成することが可能となる。
【0012】
また、上述した冷却手段に接触して冷却された空気を、ダクトの周辺を通過させて外界へ排出する排気手段を更に備えることが好ましい。
【0013】
これにより、冷却手段を通過して得られた冷却空気がダクトの周辺へ効率よく流れるようになり、取水効率を更に高めることが可能となる。
【0014】
また、上述したダクトの周辺を囲んで外界とほぼ隔離する容器を更に備え、冷却手段に接触して冷却された空気を当該容器の一方の開口から導入してダクトの外部に当てた後に他方の開口から排出するように構成すると更に好ましい。
【0015】
これにより、冷却手段を通過した冷却空気のみを優先的にダクトの周辺へ流すことが可能となり、ダクトを介した予冷の効率が向上し、取水効率を更に高めることが可能となる。
【0016】
また、上述した容器は、断熱性の部材からなることが好ましい。
【0017】
これにより、ダクトの周囲を外界と熱的に遮断することが可能となり、ダクトを介した予冷の効果を一層向上させることが可能となる。
【0018】
また、上述したダクトは、金属材料又はこれと同等に熱伝達率の高い材料によって形成されていることが好ましい。
【0019】
これにより、ダクトを介した予冷の効果を一層向上させることが可能となる。
【0020】
また、ダクトとして、蛇腹状のもの等、表面に凹凸を有するものを用いることも好ましい。
【0021】
これにより、熱交換に寄与する表面積が増加するので、予冷効果がより一層向上する。
【0022】
第2の態様の本発明は、空気中に含まれる水蒸気を凝縮させて水を得る採水方法であって、外界からダクトを通して上記水蒸気を含む上記空気を取り込む第1過程と、熱交換媒体を冷却する第2過程と、上記水蒸気を含む上記空気を上記熱交換媒体に接触させて冷却し、上記水蒸気を凝縮させる第3過程と、上記第3過程において冷却された後の上記空気を回収して上記ダクトの外部(外側)に当てて、上記ダクトの内部(内側)を通過する上記水蒸気を含む上記空気を予冷する第4過程と、を含み、上記第1乃至第4過程を繰り返すことにより上記水を得ることを特徴とする採水方法である。すなわち、本発明は、上記第1の態様の本発明にかかる内容を方法の発明として把握したものである。
【0023】
かかる方法によれば、水蒸気を含んだ空気がダクト内を通過する際にダクトの外側からある程度冷却される(予冷される)ので、水蒸気を含む空気を凝縮器において凝縮(凝結)させるために要する顕熱を低下させることができる。これにより、採水を行う際における取水効率の向上を図ることが可能となる。
【0024】
上述した第2過程は、冷媒を圧縮し、当該圧縮された冷媒を冷却して凝縮し、次いで当該凝縮された冷媒を上記熱交換媒体の内側で気化させることにより行うことが好ましい。すなわち、冷凍サイクルを利用して冷熱を発生させることが好ましい。
【0025】
上述した第2過程は、ペルチェ効果を利用した冷却素子によって冷熱を発生し、当該冷熱を前記熱交換媒体に伝達することにより行うことも好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した採水装置の基本的構造について説明する図である。図1に示す採水装置1は、冷凍サイクルを利用して空気中に含まれる水蒸気を凝縮させて水を得るものであり、圧縮機10、凝縮器12、蒸発器14、ダクト16を含んで構成されている。圧縮器10、凝縮器12、蒸発器14を含んで冷凍サイクルが構成されている。
【0028】
圧縮機(コンプレッサ)10は、冷媒を圧縮して高温高圧の半液体状態とする。冷媒としては、例えばアンモニア水溶液(アンモニアガス)が用いられる。
【0029】
凝縮器(コンデンサ)12は、圧縮器10により圧縮された冷媒を冷却して凝縮し、液化させる。凝集器12を通過した後の冷媒は低温高圧の液体となり、膨張弁、キャピラリチューブ等の減圧手段を介して低温低圧の液体に変換されて、蒸発器14へ導入される。この凝縮器12は、例えば、曲がりくねったパイプを有し、当該パイプ内に高温高圧の冷媒を通し、外部からパイプを冷却することにより冷媒を冷却する。上記パイプに向けて送風する送風機を含んで凝縮器12を構成してもよい。
【0030】
蒸発器14は、凝縮器12により凝縮され、減圧手段を介して低温低圧の液体に変換された冷媒を蒸発させて冷熱を発生させる。詳細には、蒸発器14は、曲がりくねったパイプ或いは多数のフィン等からなる熱交換媒体を有し、この熱交換媒体の外部から気化熱を吸収して内部で冷媒を気化させる。このとき、熱交換媒体の外部に接触する空気が冷却され、当該空気中に含まれる水蒸気が凝縮する。これにより、図示のように水30が得られる。蒸発器14を通過した冷媒は上述した圧縮機10に戻される。
【0031】
ダクト16は、外界から蒸発器14の周辺へ水蒸気を含む空気を導く流路を構成する筒状の部材である。このダクト16は、蒸発器14に接触して冷却された後の空気が当該ダクト16の外部(外側)に当たることにより、ダクト16の内部(内側)を通過する水蒸気を含む空気がある程度冷却される(予冷される)ように、蒸発器14との相対的な配置が設定されている。また、ダクト16は、金属(例えば、アルミニウム等)などの熱伝導性に優れた材料により形成されていることが好ましい。また、ダクト16は、その表面積を増加させるべく表面が凹凸に形成されていると更に好ましい。これらにより、ダクト16を介した熱交換の効率が高まる。
【0032】
吸気手段22は、ダクト16の空気吸入側の一端と外界との間に配置され、外界からダクト16内へ空気を送り込む機能を担う。このような吸気手段22を設けることにより、外界の条件(気温、湿度等)などに応じて、ダクト16内への吸気量を必要に応じて増加させる制御を行うことが可能となる。例えば、高温時には吸気量を少なくし、低温時には吸気量を増加させる等の制御が可能となる。これにより、取水に要するエネルギー(電力等)の浪費を回避して取水効率の向上を図ることが可能となる。
【0033】
本発明にかかる採水装置1の基本的構成は上述した通りであるが、図示のように、排気手段18、24、容器20などの構成要素を備えると更に好適である。
【0034】
排気手段(ファン)18は、蒸発器14に接触して冷却された空気をダクト16の周辺に向けて排出する。これにより、蒸発器14を通過した冷却空気は、ダクト16の周辺を通過した後に外界へ排出される。排気手段24は、容器20内の空気を外界へ排出する。
【0035】
容器20は、ダクト16の周辺を囲んで外界とほぼ隔離する。図1では当該容器20が断面図により示されているが、実際には、容器20は、ダクト16が全体的に取り囲まれて外界と隔てられるように構成される。ダクト16は、空気吸入側となる一端が容器20を貫通して外界と接するようにされている。蒸発器14に接触して冷却された空気は、容器20の一方の開口から導入され、容器20内に配置されたダクト16の外部に当たった後に他方の開口から排出される。このような構成により、蒸発器14を通過した冷却空気だけをより効率的にダクト16に当てることが可能となり、予冷効果を高めることができる。また、排気手段18と容器20とを組み合わせて用いることにより、容器20内の冷却空気を排気手段18によって撹拌する作用も得られ、この作用によっても予冷効果を高める効果を期待できる。容器20は、例えば、発泡スチロール板などの断熱性部材によって形成されていると更に好ましい。それにより、予冷効果が更に高まる。
【0036】
本実施形態の採水装置1はこのような構成を有しており、次に採水時の動作手順について説明する。
【0037】
外界からダクト16を通して水蒸気を含む空気が取り込まれ、熱交換媒体の周辺に導かれる(第1過程)。また、この第1過程と並行して熱交換媒体を冷却する(第2過程)。本例では、圧縮器10が冷媒を圧縮し、当該圧縮された冷媒を凝縮器12が冷却して凝縮し、次いで当該凝縮された冷媒を蒸発器14の内側で気化させることにより蒸発器14の外側が冷やされ、この蒸発器14の外側が熱交換媒体として働く。
【0038】
水蒸気を含む空気が蒸発器14の外側に接触することにより冷却され、水蒸気が凝縮する(第3過程)。次に、上記第3過程において冷却された後の空気が回収されてダクト16の外側に当たり、ダクト16の内側を通過する水蒸気を含む空気が予冷される(第4過程)。以上の第1~第4過程を繰り返すことにより、空気中に含まれる水蒸気から水が得られる。
【0039】
このように、本実施形態の採水装置1によれば、水蒸気を含んだ空気がダクト16内を通過する際にダクト16の外側からある程度冷却される(予冷される)ので、水蒸気を含む空気を凝縮器において凝縮させるために要する顕熱を低下させることができる。これにより、冷凍サイクルを利用する採水装置における取水効率の向上を図ることが可能となる。
【0040】
次に、本発明を適用して構成される採水装置のより具体的な実施例について説明する。
【0041】
<第1の実施例>
図2は、第1の実施例の採水装置の構成について説明する図である。また、図3及び図4は、第1の実施例の採水装置1aの具体的な構成例を説明する斜視図である。図3では、容器20の内部を説明するために容器20の上面を取り外した状態での採水装置1aの構成が示されている。
【0042】
図2~図4に示す実施例の採水装置1aは、上述した圧縮器10、凝縮器12、蒸発器14を含んでなる冷凍サイクルとして、一般的な除湿器100を流用して製作コストの削減を図っている点に特徴がある。すなわち、除湿器100は通常、冷凍サイクルを構成する圧縮機10、凝縮器12、蒸発器14を備えるとともに、蒸発器14に接触して冷却された空気を排出する排気手段18や、蒸発器14によって凝縮されて得られる水30を捕集する捕集器も備えているため、このような除湿器100を流用することにより、本発明にかかる採水装置1aを容易に構成することが可能となる。
【0043】
図3等に示すように、除湿器100の吸気口を密閉してダクト16の一端を接続し、ダクト16の他端側から外界の空気(水蒸気を含んだ空気)を導入する。本例では2本のダクト16が用いられている。ダクト16は、断熱性の容器20内に設置されており、他端が当該容器20を貫通して外界に露出している。また、ダクト16の他端側に吸気手段(ファン)22が設けられている。そして、除湿器100の全体を容器20内に設置し、排気手段18から排気される冷却空気がダクト16に当たるように、除湿器100とダクト16との相対的な配置が設定されている。より具体的には、除湿器100の吹き出し口から排出される冷風が容器20内のダクト16に当たるように、除湿器100とダクト16とが相対的に配置される。また、容器20の上面(図4参照)にも排気手段24を設けて、容器20内においてダクト16に当てた後の冷却空気が外界へ排出されるようにしている。
【0044】
このように構成した採水装置1aを用いて、以下のような条件で採水を行った。断熱性の容器20として板厚30mmの発泡スチロール箱を用い、ダクト16としてアルミニウム製の蛇腹パイプ(直径75mm、長さ4.3m)を2本用いた。また、除湿器100として、電源が単相100ボルト、冷風能力が0.98キロワット、消費電力が370ワット、風量が3.4m3/分、除湿量が11リットル/日、という特性を備える市販の除湿器を用いた。なお、上記した除湿器の特性は電源が50Hz時のものであり、冷風特性は室温空気条件30℃DB、相対湿度70%強運転時の値、除湿特性は室温空気条件27℃DB、相対湿度60%時の値である。吸気手段22及び排気手段24の吸排気量については、取水効率が高まるように適宜調整して設定した。
【0045】
上述した条件の採水装置1aを用いて、東京都世田谷区内において2002年7月頃に採水実験を行ったところ、370ワット時の消費電力量に対して、平均して0.49~0.54kg/時の取水ができた。ダクト16等を用いずに上記した除湿器100のみで稼働させた場合の取水量と比較すると、平均して約1.7倍の取水量が得られた。すなわち、外界から取り入れる空気がダクト16を介して予冷されることにより、顕熱分を大幅に減じることができ、取水効率が向上されることが確かめられた。
【0046】
<第2の実施例>
図5は、第2の実施例の採水装置の構成について説明する図である。図6は、採水装置1bの外観を概略的に示す斜視図である。図7は、採水装置1bの内部構造を説明する図であり、部分的に水平方向における断面図を示してある。図8は、採水装置1bの内部構造を説明する図であり、部分的に垂直方向における断面図を示してある。
【0047】
図5~図8に示す実施例の採水装置1bは、上述した圧縮器10、凝縮器12、蒸発器14を含んでなる冷凍サイクルとして、一般的なポータブル型冷蔵庫(クーラーボックス)200を流用して製作コストの削減を図っている点に特徴がある。すなわち、クーラーボックス200は通常、冷凍サイクルを構成する圧縮機10、凝縮器12、蒸発器14を備えているので、かかるクーラーボックス200を流用することにより、可搬性に優れたポータブル型の採水装置1bを容易に構成することが可能となる。
【0048】
各図に示すように、ダクト16は、その他端16bがクーラーボックス200の開閉フタを貫通して外界に露出し、その他の部分はクーラーボックス200内に収容されている。より詳細には、クーラーボックス200の収容部201内に、更に断熱性の容器20が収容されており、ダクト16はこの容器20も貫通してクーラーボックス200の外側に露出している。また、ダクト16は、容器20内で蛇行し、かつ一端16aが容器20を貫通している。そして、ダクト16内を通過した空気は、容器20とクーラーボックス200の収容部201との隙間に導かれる。このクーラーボックス200の収容部201に導かれた空気に含まれる水蒸気が収容部201に接触して凝縮することにより水が得られる。得られた水は、クーラーボックス200の底部から収容部201に渡って貫通して設けられた取水口26を介して外部に取り出される。
【0049】
容器20とクーラーボックス200の収容部201との隙間を通って冷却された空気は、容器20の一方の開口20aから当該容器20内に導入され、ダクト16の外側に当たった後に他方の開口20bから排出される。この他方の開口20bと外界との間には、排気が促進すべく排気手段24が設けられている。また、クーラーボックス200の収容部201内には、ダクト16の一端16aから排出される冷却空気と容器20の開口20aから導入される空気とが分別されるように空気流路を形成すべく間隙用部材28が設けられている。
【0050】
このように構成した採水装置1bを用いて、以下のような条件で採水を行った。断熱性の容器20として板厚25mmで内容積5リットル(14.5cm×12.5cm×27.8cm)の発泡スチロール箱を用い、ダクト16としてアルミニウム製の蛇腹パイプ(直径40mm、長さ1.1m)を1本用いた。また、クーラーボックス200として、電源が直流12ボルト、消費電力が47ワット、内容積12.5リットル(34.8cm×19.0cm×19.0cm)という特性を備える市販のクーラーボックスを用いた。冷却能力(冷凍能力)については正確なデータがないが、一般的なポータブル冷蔵庫における成績係数(消費電力に対する冷凍能力の比)が1.2程度であるので、かかる情報から推測すると、本例で用いたクーラーボックス200は、消費電力が47ワットであるから、少なくとも50ワットかそれより少し高い冷却能力を備えると考えられる。また、排気手段24は、80NL(ノルマルリットル)/分くらいの排気能力のものを使用した。実際の運転時には、ダクト16の管内抵抗などの影響により若干負荷がかかるので、排気能力は60NL/分くらいになると考えられる。
【0051】
上述した条件の採水装置1bを用いて、東京都世田谷区内において2002年7月頃に採水実験を行った。温度が26℃前後、湿度が35%前後の空気を吸気したところ、47ワット時の消費電力量に対して平均で14g/時の取水ができた。このときの実験結果から回帰分析を行って他の湿度条件における取水量を求めたところ、相対湿度が40~60%となったときには約20~40g/時の取水量が得られると予測された。この取水量は、装置の構造等の調整、最適化により更なる増加が可能であると思われる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態、実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0053】
例えば、上述した各実施例では、市販されている除湿器やクーラーボックスを流用して採水装置を構成していたが、本発明の実施の形態はこれに限定されるものではない。本発明の内容に応じて設計を最適化することにより、更に取水効率の優れた採水装置を実現することが可能である。
【0054】
また、上述した説明では、冷凍サイクルを利用した冷却手段を採用していたが、冷却手段はこれに限定されるものではなく、他に種々の形態が考えられる。例えば、ペルチェ素子(電子冷却素子)を利用して冷却手段を構成することが可能である。
【0055】
図9は、ペルチェ素子を利用する場合の採水装置の構造について説明する図である。図9に示す採水装置1cは、ペルチェ素子50、ペルチェ素子50と熱的に接続される放熱用フィン(熱交換媒体)52、ペルチェ素子50と熱的に接続される低温側のフィン(熱交換媒体)54を含んで構成される冷却手段を用いている。これら以外の構成要素については上述した図1に示す採水装置1と同様であり、同符号を付している。ペルチェ素子50に通電することによって発生する冷熱がフィン54に伝達され、当該フィン54が冷却される。このフィン54は容器20内に配置されており、ダクト16を通して供給される水蒸気を含んだ空気がフィン54の外部に接触することにより冷却され、水蒸気を凝縮させて水30が得られる。本例のように、冷却手段としてペルチェ素子を利用した場合には、冷却手段のコンパクト化が容易になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用した採水装置の基本的構造について説明する図である。
【図2】第1の実施例の採水装置の構成について説明する図である。
【図3】第1の実施例の採水装置の具体的な構成例を説明する斜視図である。
【図4】第1の実施例の採水装置の具体的な構成例を説明する斜視図である。
【図5】第2の実施例の採水装置の構成について説明する図である。
【図6】第2の実施例の採水装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図7】第2の実施例の採水装置の内部構造を説明する図である。
【図8】第2の実施例の採水装置の内部構造を説明する図である。
【図9】ペルチェ素子を利用する場合の採水装置の構造について説明する図である。
【符号の説明】
【0057】
1…採水装置、10…圧縮機、12…凝縮器、14…蒸発器、16…ダクト、18…排気手段、20…容器、22…吸気手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8