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明細書 :監視カメラ配置位置評価装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5190970号 (P5190970)
公開番号 特開2011-086995 (P2011-086995A)
登録日 平成25年2月8日(2013.2.8)
発行日 平成25年4月24日(2013.4.24)
公開日 平成23年4月28日(2011.4.28)
発明の名称または考案の名称 監視カメラ配置位置評価装置
国際特許分類 H04N   7/18        (2006.01)
G08B  25/00        (2006.01)
FI H04N 7/18 D
G08B 25/00 510M
請求項の数または発明の数 4
全頁数 23
出願番号 特願2009-236332 (P2009-236332)
出願日 平成21年10月13日(2009.10.13)
審査請求日 平成24年3月19日(2012.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】鹿嶋 雅之
【氏名】佐藤 公則
【氏名】春本 仁志
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】松田 岳士
参考文献・文献 特開2007-212299(JP,A)
特開2001-094975(JP,A)
調査した分野 G08B 13/00-15/02
G08B 23/00-31/00
H04N 7/18
特許請求の範囲 【請求項1】
障害物が存在する監視対象領域に配置された複数の監視カメラの配置位置を評価する監視カメラ配置位置評価装置であって、
前記障害物の配置位置情報を含む前記監視対象領域に係る監視対象領域情報と、前記複数の監視カメラの配置位置情報を含む前記複数の監視カメラに係る監視カメラ情報とを取得する情報取得手段と、
前記監視対象領域情報および前記監視カメラ情報を用いて、前記複数の監視カメラにおける各監視カメラの配置位置を各母点として前記監視対象領域の各領域について、前記各母点に係るボロノイ領域を拡張すると共に前記各母点からみた前記障害物の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図を作成する非回折ボロノイ図作成手段と、
前記非回折ボロノイ図を用いて、前記監視対象領域に配置された前記複数の監視カメラの配置位置における評価処理を行う評価手段と
を有することを特徴とする監視カメラ配置位置評価装置。
【請求項2】
前記評価手段は、前記非回折ボロノイ図において、前記各母点に係るボロノイ領域を合わせた全ボロノイ領域と前記監視対象領域との比を評価値として算出して、前記評価処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ配置位置評価装置。
【請求項3】
前記非回折ボロノイ図作成手段は、前記各母点の総数をkとし、当該kの母点を対象とするk位のボロノイ領域を拡張すると共に当該kの母点における各母点からみた前記障害物の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図をk位の非回折ボロノイ図とした場合、1位~k位の非回折ボロノイ図を作成するものであり、
前記1位~k位の非回折ボロノイ図の中から評価対象非回折ボロノイ図を選択する選択手段を更に有し、
前記評価手段は、前記選択手段で選択された評価対象非回折ボロノイ図を用いて、前記評価処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の監視カメラ配置位置評価装置。
【請求項4】
前記評価手段による前記評価処理の結果に基づいて、前記複数の監視カメラにおける最適な配置位置を決定する配置位置決定手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の監視カメラ配置位置評価装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象領域に配置された複数の監視カメラの配置位置を評価する監視カメラ配置位置評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆるボロノイ図を用いた位置解析が行われている。
例えば、下記の特許文献1には、各レーダ装置の配置位置を母点とするボロノイ図を作成して、各レーダ装置で探知すべき覆域を最適化する技術が示されている。
【0003】
ここで、一般的なボロノイ図について説明する。
図16は、一般的なボロノイ図の一例を示す模式図である。
一般的なボロノイ図は、ある距離空間上の任意の位置に配置された複数の点(母点)に対して、同一距離空間上の他の点がどの母点に近いかによって領域分けされたものである。図16に示す例では、ある距離空間上に5つの母点1601~1605が配置された例が示されており、各母点に属する5つのボロノイ領域1611~1615に分かれている。また、ボロノイ領域の境目にはボロノイ境界が発生し、ボロノイ境界の交点はボロノイ点となっている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-212299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、社会的なセキュリティの確保のニーズから、監視カメラの需要が高まっている。
しかしながら、監視対象領域に配置された監視カメラは、配置場所等によっては当該監視カメラに映らない死角領域が生じる。そして、この死角領域を極力低減させて監視カメラを監視対象領域に配置することは、上述した社会的なセキュリティの確保のニーズから大変重要な課題である。
【0006】
この点、従来においては、監視カメラの配置に関しては、当該監視カメラを配置する設置者の主観によるものがほとんどであり、監視対象領域に配置された監視カメラの配置位置の評価や、更には、その最適な配置位置の決定を行うことは困難であった。
【0007】
ここで、この監視カメラの配置位置を評価する方法として、上述した一般的なボロノイ図を用いた評価を行うことも考えられる。この例について図17を用いて説明する。
【0008】
図17は、一般的なボロノイ図を用いて、監視カメラの配置位置を母点とした監視対象領域の一例を示す模式図である。
図17に示す監視対象領域1700には、複数の障害物1710-1~1710-3と、複数の監視カメラ1720-1~1720-3が配置されている。そして、一般的なボロノイ図を用いた手法では、各監視カメラの配置位置を母点として、同一距離空間上の他の点がどの母点に近いかによってボロノイ領域が設定されるため、図17の例では、監視カメラ1720-1を母点とするボロノイ領域1731と、監視カメラ1720-2を母点とするボロノイ領域1732と、監視カメラ1720-3を母点とするボロノイ領域1733が、監視対象領域1700に形成されている。
【0009】
しかしながら、この一般的なボロノイ図を用いた手法では、例えば監視カメラ1720-2を母点とするボロノイ領域1732において、当該監視カメラ(母点)1720-2からみた障害物1710-1の死角領域についても、当該監視カメラ(母点)1720-2に属する領域となるため、監視カメラの配置位置の評価を適正に行うことが困難であるという問題が生じる。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、障害物が存在する監視対象領域に配置された複数の監視カメラにおける配置位置の評価を適正に行える監視カメラ配置位置評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の監視カメラ配置位置評価装置は、障害物が存在する監視対象領域に配置された複数の監視カメラの配置位置を評価する監視カメラ配置位置評価装置であって、前記障害物の配置位置情報を含む前記監視対象領域に係る監視対象領域情報と、前記複数の監視カメラの配置位置情報を含む前記複数の監視カメラに係る監視カメラ情報とを取得する情報取得手段と、前記監視対象領域情報および前記監視カメラ情報を用いて、前記複数の監視カメラにおける各監視カメラの配置位置を各母点として前記監視対象領域の各領域について、前記各母点に係るボロノイ領域を拡張すると共に前記各母点からみた前記障害物の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図を作成する非回折ボロノイ図作成手段と、前記非回折ボロノイ図を用いて、前記監視対象領域に配置された前記複数の監視カメラの配置位置における評価処理を行う評価手段とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、障害物が存在する監視対象領域に配置された複数の監視カメラにおける配置位置の評価を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3-1】本発明の実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置による監視カメラ配置位置評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3-2】図3-1のステップS305における非回折ボロノイ図の作成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3-1に示すステップS301において図2の情報取得手段で取得する情報のイメージの一例を示す模式図である。
【図5】図3-1に示すステップS303及びS304においてメモリ上に確保された離散空間群のイメージの一例を示す模式図である。
【図6】図3-2に示すステップS323において作成される非回折ボロノイ図の作成方法の一例を示す模式図である。
【図7-1】図3-2に示すステップS323において作成される非回折ボロノイ図の他の一例を示す模式図である。
【図7-2】図3-2に示すステップS323において作成される非回折ボロノイ図の他の一例を示す模式図である。
【図8】図3-2に示すステップS324において作成される1位の非回折ボロノイ図の作成方法の一例を示す模式図である。
【図9-1】図3-2に示すステップS324において作成される2位の非回折ボロノイ図の作成方法の一例を示す模式図である。
【図9-2】図9-1に引き続き、図3-2に示すステップS324において作成される2位の非回折ボロノイ図の作成方法の一例を示す模式図である。
【図10】図3-2のステップS324において、図4に示す監視対象領域400について1位の非回折ボロノイ図を作成した際の模式図である。
【図11】図3-2のステップS324において、他の監視対象領域1100について1位~3位(k位)の非回折ボロノイ図を作成した際の模式図である。
【図12】図3-1に示すステップS308の判断処理において用いられる閾値テーブルの一例を示す模式図である。
【図13】本発明の実施形態を示し、図2の表示部に表示される監視カメラの最適な配置位置を示す画像の表示例を示す模式図である。
【図14】本発明の実施形態における変形例1を示し、所定の画角を有する監視カメラを母点とする非回折ボロノイ図の作成の際の処理イメージの一例を示す模式図である。
【図15】本発明の実施形態における変形例1を示し、図3-1に示すステップS305において作成される1位の非回折ボロノイ図の一例を示す模式図である。
【図16】一般的なボロノイ図の一例を示す模式図である。
【図17】一般的なボロノイ図を用いて、監視カメラの配置位置を母点とした監視対象領域の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。

【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。

【0016】
図1の監視カメラ配置位置評価装置100は、CPU101、RAM102、ROM103、外部メモリ104、入力デバイス105、表示部106、通信インタフェース(通信I/F)107、及び、バス108のハードウェア構成を有して構成されている。

【0017】
CPU101は、例えば、ROM103或いは外部メモリ104に記憶されたプログラムやデータを用いて、監視カメラ配置位置評価装置100全体の制御を行う。

【0018】
RAM102は、SDRAM、DRAMなどによって構成され、ROM103或いは外部メモリ104からロードされたプログラムやデータを一時的に記憶するエリアを備えるとともに、CPU101が各種の処理を行うために必要とするワークエリアを備える。

【0019】
ROM103は、変更を必要としないプログラムや各種のパラメータ等の情報などを格納している。

【0020】
外部メモリ104は、例えば、オペレーティングシステム(OS)やCPU101が実行するプログラム、更には、本実施形態の説明において既知としている情報などを記憶している。なお、本実施形態においては、後述する図3のフローチャートの処理を実行するためのプログラムは、外部メモリ104に記憶されているものとするが、例えばROM103に記憶されている態様であっても適用可能である。

【0021】
入力デバイス105は、例えば、マウスやキーボード等を具備して構成されており、例えばユーザが監視カメラ配置位置評価装置100に対して各種の指示を行う際に操作され、当該指示をCPU101等に入力する。

【0022】
表示部106は、例えば、モニタ等を具備して構成されており、CPU101の制御に基づいて、各種のデータや各種の情報をモニタに出力する。

【0023】
通信I/F107は、監視カメラ配置位置評価装置100と外部装置Gとの間で行われる、各種のデータや各種の情報の送受信を司るものである。

【0024】
バス108は、CPU101、RAM102、ROM103、外部メモリ104、入力デバイス105、表示部106及び通信I/F107を相互に通信可能に接続する。

【0025】
図2は、本発明の実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。ここで、図2において、図1に示す構成と同様の機能の構成については、図1と同じ符号を付している。

【0026】
図2の監視カメラ配置位置評価装置100は、情報取得手段201、非回折ボロノイ図作成手段202、選択手段203、評価手段204、配置位置決定手段205、及び、表示部106の機能構成を有して構成されている。

【0027】
本実施形態においては、例えば、図1に示すCPU101及び外部メモリ104内に記憶されているプログラム、RAM102、並びに、通信I/F107から、図2に示す情報取得手段201が構成されている。また、例えば、図1に示すCPU101及び外部メモリ104内に記憶されているプログラム、並びに、RAM102から、図2に示す非回折ボロノイ図作成手段202、評価手段204、及び、配置位置決定手段205が構成されている。また、例えば、図1に示すCPU101及び外部メモリ104内に記憶されているプログラム、並びに、入力デバイス105から、図2に示す選択手段203が構成されている。

【0028】
なお、図2に示す各機能構成の説明については、後述する図3-1及び図3-2のフローチャートの説明と共に行う。

【0029】
次に、本発明の実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置100による監視カメラ配置位置評価方法の処理手順について説明する。

【0030】
図3-1は、本発明の実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置100による監視カメラ配置位置評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この図3-1に示すフローチャートの処理を通じて、監視カメラ配置位置評価装置100は、障害物が存在する監視対象領域に配置された複数の監視カメラの配置位置の評価を行う。以降、図2を参照しながら、図3-1のフローチャートの説明を行う。

【0031】
まず、図3-1のステップS301において、図2の情報取得手段201は、外部装置Gから、障害物の配置位置情報を含む監視対象領域に係る監視対象領域情報と、複数の監視カメラの配置位置情報を含む複数の監視カメラに係る監視カメラ情報とを取得する処理を行う。ここで、ステップS301で取得する情報について図4を用いて説明する。

【0032】
図4は、図3-1に示すステップS301において図2の情報取得手段201で取得する情報のイメージの一例を示す模式図である。
図4に示す例では、情報取得手段201は、障害物410-1及び410-2の配置位置情報を含む監視対象領域400に係る監視対象領域情報と、複数の監視カメラ420-1及び420-2の配置位置情報を含む監視カメラ情報を取得する。

【0033】
ここで、情報取得手段201は、例えば、監視対象領域情報として、監視対象領域400の座標情報、障害物410-1及び410-2の配置位置に係る座標情報等を取得する。また、情報取得手段201は、例えば、監視カメラ情報として、監視カメラ420-1及び420-2の配置位置に係る座標情報、撮影方向に係る情報、及び、撮影の画角に係る情報等を取得する。

【0034】
なお、上記座標情報としては、2次元の座標のみならず3次元の座標を適用することも可能であるが、本実施形態における以降の説明においては、説明を簡単にするために、2次元の場合について説明を行う。また、監視カメラにおける上記撮影方向及び上記撮影画角については、各種の撮影方向及び各種の撮影画角を適用することが可能であるが、本実施形態における以降の説明においては、説明を簡単にするために、撮影方向が全方向であって撮影画角が360°である全方位カメラである場合について説明を行う。

【0035】
また、上述した例では、情報取得手段201において、処理対象である監視対象領域情報及び監視カメラ情報を外部装置Gから直接取得する態様について説明したが、本実施形態においては、この態様に限定されるものではない。例えば、情報取得手段201において、外部装置Gから障害物及び監視カメラを含む監視対象領域400に係る画像を取得し、当該画像を解析処理して監視対象領域情報及び監視カメラ情報を取得する態様や、或いは、当該画像を表示部106に表示し、入力デバイス105を介してユーザから指定された監視対象領域400、障害物及び監視カメラを検知することで、監視対象領域情報及び監視カメラ情報を取得する態様も適用可能である。

【0036】
ここで、再び、図2及び図3-1の説明に戻る。

【0037】
図3-1のステップS301の処理が終了すると、続いて、図3-1のステップS302において、例えば情報取得手段201は、処理回数を示す変数Aに1を設定する。これにより、処理回数Aに1が設定される。

【0038】
続いて、図3-1のステップS303において、例えば図2の非回折ボロノイ図作成手段202(或いは情報取得手段201)は、ステップS301で取得した監視対象領域情報、及び、ステップS301で取得した監視カメラ情報(或いはステップS301で取得した監視カメラ情報に基づきステップS309で更新された監視カメラ情報)に基づいて、監視対象領域、障害物及び監視カメラを、メモリ(例えばRAM102)上に確保された離散空間P(1)に配置する処理を行う。

【0039】
続いて、図3-1のステップS304において、例えば図2の非回折ボロノイ図作成手段202(或いは情報取得手段201)は、ステップS303で得られた離散空間P(1)を、監視カメラの総数(本例では総数を「k」とする)から1を引いた数だけ複製して、メモリ(例えばRAM102)上に離散空間P(2)~P(k)として確保する処理を行う。ステップS303及びS304の処理により、メモリ上には、k個の離散空間P(1)~P(k)が確保される。

【0040】
ここで、ステップS303及びS304で確保された離散空間群について図5を用いて説明する。

【0041】
図5は、図3-1に示すステップS303及びS304においてメモリ上に確保された離散空間群のイメージの一例を示す模式図である。
図5において、離散空間P(1)は、図3-1のステップS303において確保された離散空間を示し、また、離散空間P(2)~P(k)は、図3-1のステップS304において監視カメラの総数kから1を引いた数だけ離散空間P(1)を複製して確保された離散空間を示している。

【0042】
ここで、再び、図2及び図3-1の説明に戻る。

【0043】
図3-1のステップS304の処理が終了すると、続いて、図3-1のステップS305において、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、ステップS303及びS304で得られた各離散空間(ステップS301で取得した監視対象領域情報、及び、ステップS301で取得した監視カメラ情報(或いはステップS301で取得した監視カメラ情報に基づきステップS3309で更新された監視カメラ情報)を用いて監視対象領域、障害物及び監視カメラが配置された各離散空間)に対し、各監視カメラの配置位置を各母点として監視対象領域の各領域について、各母点に係るボロノイ領域を拡張すると共に各母点からみた障害物の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図を作成する。ここで、本実施形態において「非回折」とは、障害物の幾何学的な影(死角)の部分に回りこまない現象をいう。

【0044】
具体的に、ステップS305において、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域に配置される各監視カメラ(各母点)の総数をkとし、当該kの母点を対象とする最大位数k位のボロノイ領域を拡張すると共に当該kの母点における各母点からみた障害物の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図をk位の非回折ボロノイ図とした場合、1位~k位の非回折ボロノイ図を作成する。ここで、整数i(1≦i≦k)としたとき、i位の非回折ボロノイ図とは、i個の母点から同時に近い点の集合で分割された非回折i位ボロノイ図を指す。

【0045】
ここで、ステップS305で作成される非回折ボロノイ図の作成方法について、図3-2を用いて説明する。
図3-2は、図3-1のステップS305における非回折ボロノイ図の作成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。

【0046】
まず、図3-2のステップS321において、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、ステップS301で取得した監視対象領域情報に基づいて、監視対象領域及び障害物を、メモリ(例えばRAM102)上に離散空間Dとして確保する処理を行う。具体的に、ステップS321では、ステップS301で取得した監視対象領域情報に基づく監視対象領域及び障害物を配置した離散空間を、監視カメラの総数であるk個分複製した離散空間D(1)~D(k)としてメモリ上に確保する。

【0047】
続いて、ステップS322において、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、ステップS321で得られた離散空間D(1)~D(k)に対して、それぞれ、1つの監視カメラ(母点)を割り当てて配置し、各離散空間Dと各監視カメラ(各母点)との対応付けを行う。具体的に、総数k個の監視カメラ(母点)には、1からk番目までの通し番号が付されており、ステップS322では、i番目(iは1以上k以下の整数)の監視カメラ(母点)を離散空間D(i)と対応付けて配置する処理を行う。

【0048】
続いて、ステップS323において、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、ステップS322で得られた離散空間D(1)~D(k)に対し、それぞれ、各監視カメラの配置位置を各母点として監視対象領域の各領域について、各母点からボロノイ領域を拡張すると共に各母点からみた障害物の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図を作成する。以下に、ステップS323で作成される非回折ボロノイ図の作成方法について図6を用いて説明する。

【0049】
図6は、図3-2に示すステップS323において作成される非回折ボロノイ図の作成方法の一例を示す模式図である。
ここで、図6は、ステップS322で得られた離散空間D(1)~D(k)のうちの1つの離散空間に配置された監視対象領域600、並びに、当該監視対象領域に配置された障害物610及び母点(監視カメラ)620を示している。この図6に示す例では、図4に示す監視対象領域400とは異なる監視対象領域600について示している。また、図6では、離散ボロノイ図の例を示しており、また、図6では、監視対象領域600-1、600-2、600-3、600-4、・・・と処理が進行していくものとする。また、図6では、説明を簡単にするために、監視対象領域600には、障害物610が1つ設定された場合を示している。また、図6に示す各監視対象領域600において、白色で示した領域は、未処理の領域を示している。

【0050】
まず、図6の監視対象領域600-1では、障害物610の存在しない母点620付近の領域が、当該母点620のボロノイ領域631として設定されている。その後、母点620を中心として同心円状にボロノイ領域を拡張する処理が順次行われることになる。

【0051】
ここで、監視対象領域600-1の処理対象領域(離散点)T1が属する領域について考える。本実施形態では、処理対象領域T1が属する領域を設定する際に、当該処理対象領域T1に隣接する複数の離散点(図6に示す例では、矢印で示した、処理対象領域T1の左及び下に隣接する離散点)が属する領域を考慮して設定される。

【0052】
具体的に、図6に示す例では、矢印で示した、処理対象領域T1の左及び下に隣接する離散点が、共に母点620のボロノイ領域631に属する領域であるため、処理対象領域T1は、母点620のボロノイ領域631として設定される(図6の監視対象領域600-2のボロノイ領域631a)。

【0053】
その後、母点620を中心として同心円状にボロノイ領域を拡張する処理が順次行われ、監視対象領域600-2の状態になったとする。
ここで、監視対象領域600-2の処理対象領域(離散点)T2が属する領域について考える。具体的に、図6に示す例では、処理対象領域T2の左に隣接する矢印で示した離散点が障害物610に属する領域となっており、処理対象領域T2の下に隣接する矢印で示した離散点が母点620のボロノイ領域631に属する領域となっている。この場合、本実施形態では、処理対象領域T2の左及び下に隣接する離散点の属する領域が障害物610及びボロノイ領域631と異なるため、当該処理対象領域T2と母点620とを結ぶ直線641を描き、当該直線641上に障害物610が存在するか否かによって、処理対象領域(離散点)T2が属する領域を設定する。図6に示す例では、直線641上に障害物610が存在しないため、処理対象領域T2は、母点620のボロノイ領域631として設定される(図6の監視対象領域600-3のボロノイ領域631b)。なお、図6に示す例とは異なるが、仮に、直線641上に障害物610が存在する場合には、処理対象領域T2は、障害物610の死角領域として設定されることになる。

【0054】
その後、母点620を中心として同心円状にボロノイ領域を拡張する処理が順次行われ、監視対象領域600-3の状態になったとする。
ここで、監視対象領域600-3の処理対象領域(離散点)T3が属する領域について考える。具体的に、図6に示す例では、処理対象領域T3の左に隣接する矢印で示した離散点が障害物610に属する領域となっており、処理対象領域T3の下に隣接する矢印で示した離散点が母点620のボロノイ領域631(631b)に属する領域となっている。この場合、本実施形態では、上述した処理対象領域T2の場合と同様の処理を行う。即ち、当該処理対象領域T3と母点620とを結ぶ直線642を描き、当該直線642上に障害物610が存在するか否かによって、処理対象領域(離散点)T3が属する領域を設定する。図6に示す例では、直線642上に障害物610が存在するため、処理対象領域T3は、障害物610の死角領域として設定される(図6の監視対象領域600-4の死角領域632)。

【0055】
その後、母点620を中心として同心円状にボロノイ領域を拡張する処理が順次行われ、監視対象領域600-4の状態になったとする。
ここで、監視対象領域600-4の処理対象領域(離散点)T4が属する領域について考える。具体的に、図6に示す例では、処理対象領域T4の左に隣接する矢印で示した離散点が障害物610に属する領域となっており、処理対象領域T4の下に隣接する矢印で示した離散点が障害物610の死角領域632となっている。この場合、処理対象領域T4には母点620のボロノイ領域631が隣接していないため、図6では不図示であるが、処理対象領域T4は、障害物610の死角領域として設定されることになる。

【0056】
その後、監視対象領域600-4の白色で示した未処理の領域について、上述した処理を順次行うことにより、障害物610の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図の作成が行われる。

【0057】
なお、図6に示す例では、説明を簡単にするために、監視対象領域600には、障害物610が1つ設定された場合を示しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、後述の図7-1及び図7-2に示すように、監視対象領域に複数の障害物610が設定されている場合も適用可能である。
図7-1及び図7-2は、図3-2に示すステップS323において作成される非回折ボロノイ図の他の一例を示す模式図である。この図7-1及び図7-2に示す例では、図4に示す監視対象領域400及び図6に示す監視対象領域600とは異なる監視対象領域について示している。

【0058】
ここで、図7-1は、例えば、ステップS322で得られた離散空間D(1)~D(k)のうちの離散空間D(1)に配置された監視対象領域710、並びに、当該監視対象領域に配置された障害物611,612、及び、母点(監視カメラ)621を示している。また、母点(監視カメラ)621は、1番目の母点(監視カメラ)を示している。図7-1に示す監視対象領域710-1に対して、図6で説明した非回折ボロノイ図作成処理を行うと、監視対象領域710-2に示す離散空間D(1)に基づく非回折ボロノイ図が作成される。図7-1の監視対象領域710-2には、母点621におけるボロノイ領域631と、母点621における障害物611,612の死角領域632が示されている。また、図7-1には、各ボロノイ領域631の内部に数値が記載されているが、これは、母点621からの距離の2乗の値を表すものである。本実施形態では、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域710の各領域について、ボロノイ領域631であるか死角領域632であるかの情報に加えて、ボロノイ領域631である場合には、図7-1に示す、母点621からの距離の2乗の値に係る情報をメモリ(例えばRAM102)に格納する。

【0059】
また、図7-2は、例えば、ステップS322で得られた離散空間D(1)~D(k)のうちの離散空間D(2)に配置された監視対象領域720、並びに、当該監視対象領域に配置された障害物611,612、及び、母点(監視カメラ)622を示している。また、母点(監視カメラ)622は、2番目の母点(監視カメラ)を示している。図7-2に示す監視対象領域720-1に対して、図6で説明した非回折ボロノイ図作成処理を行うと、監視対象領域720-2に示す離散空間D(2)に基づく非回折ボロノイ図が作成される。図7-2の監視対象領域720-2には、母点622におけるボロノイ領域631と、母点622における障害物611,612の死角領域632が示されている。上述した図7-1に示す場合と同様に、本実施形態では、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域720の各領域について、ボロノイ領域631であるか死角領域632であるかの情報に加えて、ボロノイ領域631である場合には、図7-2に示す、母点622からの距離の2乗の値に係る情報をメモリ(例えばRAM102)に格納する。

【0060】
このようにして、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、ステップS322で得られた離散空間D(1)~D(k)における各離散空間に対して、当該各離散空間に基づく非回折ボロノイ図の作成を行う。

【0061】
ここで、再び、図3-2の説明に戻る。

【0062】
図3-2のステップS323の処理が終了すると、続いて、図3-2のステップS324において、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、ステップS323で作成した離散空間D(1)~D(k)に基づく非回折ボロノイ図を用いて、離散空間P(1)~P(k)に基づく1位~k位の非回折ボロノイ図を作成する。以下に、ステップS324で作成される1位~k位の非回折ボロノイ図の作成方法について、図8、並びに、図9-1及び図9-2を用いて説明する。

【0063】
図8は、図3-2に示すステップS324において作成される1位の非回折ボロノイ図の作成方法の一例を示す模式図である。
図8において、監視対象領域710-2は、図7-1に示す、離散空間D(1)に基づく非回折ボロノイ図であり、監視対象領域720-2は、図7-2に示す、離散空間D(2)に基づく非回折ボロノイ図である。本例では、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、この監視対象領域710-2及び720-2に係る非回折ボロノイ図を用いて、離散空間P(1)に基づく1位の非回折ボロノイ図を作成する。具体的に、本例では、ステップS301で取得された監視対象領域情報において、障害物611及び612の情報が取得され、また、ステップS301で取得された監視カメラ情報(或いはステップS301で取得された監視カメラ情報に基づきステップS309で更新された監視カメラ情報)において、監視カメラの配置位置として母点621及び622が取得された場合(k=2)の例を示している。この1位の非回折ボロノイ図は、1番近い母点のボロノイ領域を示した非回折ボロノイ図である。

【0064】
具体的に、監視対象領域810は、離散空間P(1)に配置された監視対象領域である。そして、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、この監視対象領域810の各領域において、監視対象領域710-2における母点621のボロノイ領域631のうち、当該母点621からの距離が母点622からの距離よりも近い領域を、母点621のボロノイ領域811と設定し、また、監視対象領域720-2における母点622のボロノイ領域631のうち、当該母点622からの距離が母点621からの距離よりも近い領域を、母点622のボロノイ領域812と設定する。この際、本例では、各母点からの距離は、メモリに格納されている、図7-1及び図7-2に示す数値を用いる。また、母点621からの距離と母点622からの距離とが等しい領域については、通し番号の小さい母点(本例では母点621)のボロノイ領域として設定を行う。また、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域810の各領域において、監視対象領域710-2及び720-2の両方ともに死角領域632となる領域を、どの母点にも属さない障害物611,612の死角領域813として設定する。

【0065】
この図8に示す処理を行うことにより、離散空間P(1)における監視対象領域810について、1位の非回折ボロノイ図が作成される。

【0066】
図9-1及び図9-2は、図3-2に示すステップS324において作成される2位の非回折ボロノイ図の作成方法の一例を示す模式図である。
図9-1において、監視対象領域710-2は、図7-1に示す、離散空間D(1)に基づく非回折ボロノイ図であり、監視対象領域720-2は、図7-2に示す、離散空間D(2)に基づく非回折ボロノイ図である。

【0067】
2位の非回折ボロノイ図を作成する際に、まず、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、新たに、メモリ(例えばRAM102)に監視対象領域900を確保する処理を行う。そして、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域710-2における非回折ボロノイ図と、監視対象領域720-2における非回折ボロノイ図とを用いて、図9-1に示すように、監視対象領域900に、母点から2番目に近い領域を示す領域分布図を作成する。具体的に、図9-1に示す領域分布図には、母点621が2番目に近い領域である領域911と、母点622が2番目に近い領域である領域912と、母点621及び母点622のうちの一方が障害物の死角となる領域921と、母点621及び母点622の両方が障害物の死角となる領域922が示されている。

【0068】
続いて、9-2に処理に移行する。
図9-2において、監視対象領域810は、図8に示す、離散空間P(1)に基づく1位の非回折ボロノイ図であり、監視対象領域900は、図9-1に示す、母点から2番目に近い領域分布図である。本例では、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域810における1位の非回折ボロノイ図と、監視対象領域900における領域分布図とを用いて、離散空間P(2)に基づく2位の非回折ボロノイ図を作成する。この2位の非回折ボロノイ図は、2つの母点を対象として当該2つの母点から同時に近い点の集合を示したものであって、当該2つの母点における各母点からみた障害物の死角領域を非回折とするものである。

【0069】
具体的に、本例では、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域900における領域分布図の領域911及び912に基づく領域を、母点621,622の両方を対象とする2位のボロノイ領域821として設定する。また、図2の非回折ボロノイ図作成手段202は、監視対象領域900における領域分布図の領域921及び922に基づく領域を、障害物611,612の死角領域822として設定する。

【0070】
この図9-1及び図9-2に示す処理を行うことにより、離散空間P(2)における監視対象領域820について、2位の非回折ボロノイ図が作成される。
そして、図7-1~図9-2に示す例では、監視カメラの総数が2である場合について説明を行ったが、これを一般化して、監視カメラ(母点)の総数をkとすると、上述した説明に倣って、当該kの母点を対象とするk位のボロノイ領域を拡張すると共に当該kの母点における各母点からみた障害物の死角領域を非回折とする非回折ボロノイ図をk位の非回折ボロノイ図とし、この場合、1位~k位の非回折ボロノイ図を作成する。

【0071】
図10は、図3-2のステップS324において、図4に示す監視対象領域400について1位の非回折ボロノイ図を作成した際の模式図である。この図10において、図4と同様の構成については同じ符号を付している。

【0072】
図10に示す監視対象領域400の1位の非回折ボロノイ図において、ボロノイ領域431は監視カメラ420-1を母点とするボロノイ領域であり、ボロノイ領域432は監視カメラ420-2を母点とするボロノイ領域である。また、死角領域433は、どちらの母点にも属さない、障害物410-1,410-2の死角領域である。

【0073】
図11は、図3-2のステップS324において、他の監視対象領域1100について1位~3位(k位)の非回折ボロノイ図を作成した際の模式図である。この図11に示す例では、図4及び図10に示す監視対象領域400や、図7-1~図9-2に示す監視対象領域等とは異なる監視対象領域1100について示しており、また、監視カメラ(母点)の総数kが3である場合について示している。

【0074】
この図11に示す監視対象領域1100では、1つの障害物1110と、3つの監視カメラ1120-1~1120-3が配置された例を示している。

【0075】
ここで、図11(a)は、離散空間P(1)に配置された監視対象領域1100-1の各領域について、各監視カメラ1120-1~1120-3の配置位置を各母点とし、各母点からボロノイ領域を拡張すると共に各母点からみた障害物1110の死角領域を非回折とする1位の非回折ボロノイ図である。この図11(a)に示す1位の非回折ボロノイ図には、監視カメラ1120-1を母点とするボロノイ領域1131と、監視カメラ1120-2を母点とするボロノイ領域1132と、監視カメラ1120-3を母点とするボロノイ領域1133と、どの母点にも属さない障害物1110の死角領域1134が形成されている。

【0076】
図11(b)は、離散空間P(2)に配置された監視対象領域1100-2の各領域について、2つの母点を対象とする2位のボロノイ領域を拡張すると共に当該2つの母点における各母点からみた障害物1110の死角領域を非回折とする2位の非回折高位ボロノイ図である。即ち、この図11(b)に示す2位の非回折高位ボロノイ図は、2つの母点から同時に近い点の集合を示した非回折ボロノイ図である。この図11(b)に示す2位の非回折高位ボロノイ図には、監視カメラ1120-1及び1120-2の2つを母点とする2位のボロノイ領域1141と、監視カメラ1120-1及び1120-3の2つを母点とする2位のボロノイ領域1142と、各母点からみた障害物1110の死角領域1143が形成されている。

【0077】
また、図11(c)は、離散空間P(3)に配置された監視対象領域1100-3の各領域について、3つの母点を対象とする3位のボロノイ領域を拡張すると共に当該3つの母点における各母点からみた障害物1110の死角領域を非回折とする3位の非回折高位ボロノイ図である。即ち、この図11(c)に示す3位の非回折高位ボロノイ図は、3つの母点から同時に近い点の集合を示した非回折ボロノイ図である。この図11(c)に示す3位の非回折高位ボロノイ図には、監視カメラ1120-1、1120-2及び1120-3の3つを母点とする3位のボロノイ領域1151と、各母点からみた障害物1110の死角領域1152が形成されている。

【0078】
ここで、再び、図2及び図3-1の説明に戻る。

【0079】
図3-1のステップS305の処理が終了すると、続いて、図3-1のステップS306において、選択手段203は、例えばユーザからの入力デバイス105を介した入力指示に従って、ステップS305で作成された1位~k位の非回折ボロノイ図の中から評価対象非回折ボロノイ図を選択する。このように、本実施形態では、ユーザが所望するセキュリティレベルに応じて、監視カメラの配置位置を評価するための評価対象非回折ボロノイ図を選択可能に構成されている。

【0080】
続いて、図3-1のステップS307において、図2の評価手段204は、ステップS306で選択された評価対象非回折ボロノイ図を用いて、監視対象領域に配置された複数の監視カメラの配置位置における評価処理を行う。

【0081】
具体的に、評価手段204は、ステップS306で選択された評価対象非回折ボロノイ図において、各ボロノイ領域を合わせた(合算した)全ボロノイ領域と監視対象領域との比を評価値として算出して、評価処理を行う。

【0082】
より詳細に、図11の例を参照し、ステップS306において評価対象非回折ボロノイ図として図11(a)に示す1位の非回折ボロノイ図が選択された場合を考える。この場合、ボロノイ領域1131~1133を合わせた全ボロノイ領域の面積Sb1を、監視対象領域1100の面積Skで除算した比を評価値H(この評価値Hを「H1」とする)として算出する。この評価値H1の算出式を以下の(1)式に示す。
H1=Sb1/Sk ・・・(1)

【0083】
また、ステップS306において評価対象非回折ボロノイ図として図11(b)に示す2位の非回折ボロノイ図が選択された場合には、ボロノイ領域1141及び1142を合わせた全ボロノイ領域の面積Sb2を、監視対象領域1100の面積Skで除算した比を評価値H(この評価値Hを「H2」とする)として算出する。この評価値H2の算出式を以下の(2)式に示す。
H2=Sb2/Sk ・・・(2)

【0084】
また、ステップS306において評価対象非回折ボロノイ図として図11(c)に示す1位の非回折ボロノイ図が選択された場合には、ボロノイ領域1151が全ボロノイ領域となるため、その面積Sb3を、監視対象領域1100の面積Skで除算した比を評価値H(この評価値Hを「H3」とする)として算出する。この評価値H3の算出式を以下の(3)式に示す。
H3=Sb3/Sk ・・・(3)

【0085】
そして、評価手段204では、算出した評価値Hの大小に応じて、監視対象領域に配置された複数の監視カメラの配置位置における評価処理を行う。この場合、評価値Hが大きいほど、即ちボロノイ領域の面積が大きいほど、監視対象領域に配置された複数の監視カメラの配置位置が良好(適切)であると評価される。この際、評価手段204では、評価値Hの大きさに応じて、例えば、優/良/可/不可などのクラス分けを行って評価処理を行うようにしてもよい。

【0086】
続いて、図3-1のステップS308において、例えば図2の配置位置決定手段205は、ステップS307の評価処理で得られた評価値Hが所定の閾値以上であるか、又は、終了条件を満たすかを判断する。

【0087】
ここで、ステップS308の判断処理における一例について以下に説明する。

【0088】
図12は、図3-1に示すステップS308の判断処理において用いられる閾値テーブルの一例を示す模式図である。
この図12には、ステップS306で選択された評価対象非回折ボロノイ図と、その非回折ボロノイ図を用いて評価処理を行った際の閾値が示されている。例えば、ステップS306において評価対象非回折ボロノイ図として1位の非回折ボロノイ図が選択された場合には、上述した(1)式に基づき算出される評価値H(H1)の閾値として0.9が選択されて、ステップS308の判断処理が行われる。

【0089】
また、ステップS308の判断処理における終了条件として、本例では、現在の処理の回数が100回に到達したかを判断する。即ち、現在の処理がA=100であるか判断を行う。

【0090】
本実施形態では、以上のようにして、ステップS308の判断処理を行う。

【0091】
図3-1のステップS308の判断の結果、ステップS307の評価処理で得られた評価値Hが所定の閾値以上でなく、且つ、終了条件(A=100)を満たしていない場合には、ステップS309に進む。

【0092】
図3-1のステップS309に進むと、配置位置決定手段207は、ステップS307の評価処理で得られた評価値Hに基づいて、複数の監視カメラにおける配置位置の更新を行う。

【0093】
具体的に、配置位置決定手段207は、ステップS301で取得した監視カメラ情報(配置位置に係る座標情報や、撮影方向に係る情報、及び、撮影の画角に係る情報等)の全項目を変数とすると共に、ステップS307の評価処理で得られた評価値Hを監視カメラシステムの適応度として、例えば、いわゆる焼きなまし法や遺伝的アルゴリズムなどのメタ・ヒューリスティックな手法を用いることにより、現在の監視カメラの配置位置の修正を行って、監視カメラの配置位置の更新を行う。なお、この監視カメラにおける配置位置の更新の際には、各監視カメラの配置位置の修正による更新に限らず、例えば監視カメラの増減を含めた監視カメラの配置位置の更新も含めることができる。

【0094】
続いて、図3-1のステップS310において、例えば情報取得手段201は、処理回数を示す変数Aに1を加算して、処理回数Aの更新を行う。そして、このステップS310の処理が終了すると、ステップS303に戻り、ステップS303以降の処理を再度行う。

【0095】
一方、図3-1のステップS308の判断の結果、ステップS307の評価処理で得られた評価値Hが所定の閾値以上であった場合、又は、終了条件(A=100)を満たした場合には、ステップS311に進む。

【0096】
図3-1のステップS311に進むと、配置位置決定手段207は、評価手段204による評価処理の結果に基づいて、監視対象領域における複数の監視カメラの最適な配置位置を決定する処理を行う。具体的に、配置位置決定手段207は、当該ステップS311に移行する直前のステップS308の判断処理の際に設定されている各監視カメラの配置位置を、監視対象領域における複数の監視カメラの最適な配置位置として決定する。

【0097】
その後、配置位置決定手段207は、複数の監視カメラの最適な配置位置の決定に基づいて、監視対象領域における監視カメラの最適な配置位置を示す画像を表示部106に表示する処理を行う。これにより、監視カメラ配置位置評価装置100は、監視カメラの最適な配置位置をユーザに報知することができる。この表示部106への画像の表示例について図13を用いて説明する。

【0098】
図13は、本発明の実施形態を示し、図2の表示部106に表示される監視カメラの最適な配置位置を示す画像の表示例を示す模式図である。ここで、図13において、図4に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。

【0099】
図13に示す監視対象領域400の画像では、障害物410の死角領域の観点から、図4に示す配置状態の監視カメラ420-1及び420-2を、それぞれ、監視カメラ421-1及び421-2の位置に配置することが最適である旨を表している。なお、この図13は、監視カメラの最適な配置位置の一例を示したものに過ぎず、評価手段204の評価結果によっては、この図13に示す配置位置に限らず他の配置位置に配置する態様もあり得る。

【0100】
以上、上述した図3-1のステップS301~S311の処理を経ることにより、本実施形態に係る監視カメラ配置位置評価装置100による監視カメラ配置位置評価方法の処理がなされる。

【0101】
次に、本実施形態における変形例について説明する。

【0102】
(変形例1)
まず、本実施形態における変形例1について説明する。
上述した本実施形態の説明では、説明を簡単にするために、監視カメラについて撮影画角が360°である全方位カメラである場合の説明を行ったが、撮影画角が360°でない所定の画角を有する監視カメラを適用することも可能である。そこで、本実施形態における変形例1としては、所定の画角(360°でない)を有する監視カメラを適用する場合について説明を行う。なお、以下の本変形例1の説明においては、上述した本実施形態の説明と異なる部分についてのみ説明を行う。

【0103】
この変形例1の場合、まず、図3-1のステップS301では、監視カメラ情報として、監視カメラ420-1及び420-2の配置位置に係る座標情報、撮影方向に係る情報、及び、撮影画角に係る情報等を取得する。

【0104】
また、図3-1のステップS305において、非回折ボロノイ図を作成する際には、例えば図14に示すようにして処理を行う。

【0105】
図14は、本発明の実施形態における変形例1を示し、所定の画角を有する監視カメラを母点とする非回折ボロノイ図の作成の際の処理イメージの一例を示す模式図である。
図14に示すように、所定の画角θを有する監視カメラ1420を母点する場合、当該所定の画角θ以外の領域に障害物1410を設定して、非回折ボロノイ図の作成を行う。これにより、当該所定の画角θに基づく監視可能領域にボロノイ領域が設定され、また、障害物1410の周囲に死角領域が設定される。

【0106】
図15は、本発明の実施形態における変形例1を示し、図3-1に示すステップS305において作成される1位の非回折ボロノイ図の一例を示す模式図である。この図15に示す例では、図4及び図10に示す監視対象領域400や、図7-1~図9-2に示す監視対象領域、図11に示す監視対象領域1100等とは異なる監視対象領域1500について示している。

【0107】
この図15に示す監視対象領域1500では、障害物1510と、所定の画角(360°でない)を有する監視カメラ1520-1及び1520-2が配置された例を示している。

【0108】
そして、図15に示す監視対象領域1500の非回折ボロノイ図においては、監視カメラ1520-1及び1520-2における所定の画角θ以外の領域に、それぞれ、障害物1511及び1512を設定して、1位の非回折ボロノイ図が作成された場合を示している。そして、図15に示す監視対象領域1500の1位の非回折ボロノイ図では、監視カメラ1520-1を母点とするボロノイ領域1531と、監視カメラ1520-2を母点とするボロノイ領域1532と、各母点からみた障害物による死角領域1533が構成されている。

【0109】
以上のようにして、所定の画角を有する監視カメラを母点とする1位の非回折ボロノイ図の作成処理が行われる。

【0110】
また、図14に示す例は、1位の非回折ボロノイ図の作成処理を示しているが、図3-1のステップS305における2位以上の非回折ボロノイ図の作成についても、1位の非回折ボロノイ図の作成の場合と同様に、監視カメラにおける所定の画角θ以外の領域に障害物を設定して、2位以上の非回折ボロノイ図の作成を行う。

【0111】
以上の処理を行うことにより、撮影画角が360°でない所定の画角を有する監視カメラの配置位置の評価及びその最適な配置位置の決定を行うことが可能となる。

【0112】
(変形例2)
次に、本実施形態における変形例2について説明する。
上述した本実施形態の説明では、説明を簡単にするために、監視対象領域が2次元の場合について説明を行ったが、2次元のみならず3次元の監視対象領域を適用することも可能である。そこで、本実施形態における変形例2としては、監視対象領域が3次元の場合について説明を行う。なお、以下の本変形例2の説明においては、上述した本実施形態の説明と異なる部分についてのみ説明を行う。

【0113】
この変形例2の場合、まず、図3-1のステップS301では、3次元に係る監視対象領域情報及び監視カメラ情報を取得する。

【0114】
そして、図3-1のステップS303及びS304では、上述した3次元に係る監視対象領域情報及び監視カメラ情報に基づいて、監視対象領域、障害物及び監視カメラを、3次元の離散空間上に配置する処理を行う。

【0115】
そして、図3-1のステップS305では、ステップS303及びS304で得られた3次元の各離散空間(ステップS301で取得した監視対象領域情報、及び、ステップS301で取得した監視カメラ情報(或いはステップS301で取得した監視カメラ情報に基づきステップS3309で更新された監視カメラ情報)を用いて監視対象領域、障害物及び監視カメラが配置された各離散空間)に対し、各監視カメラの配置位置を各母点とし、各母点からみた障害物の死角領域を非回折とする1位~k位の非回折ボロノイ図を作成する処理を行う。

【0116】
そして、上述した実施形態では、図3-1のステップS307における評価処理において、評価対象非回折ボロノイ図として1位の非回折ボロノイ図が選択されている場合には、(1)式に示す評価値H1を算出するようにしているが、本変形例2では、例えば、1位の非回折ボロノイ図における各ボロノイ領域を合わせた全ボロノイ領域の体積Vb1を、監視対象領域の体積Vkで除算した比(Vb1/Vk)を評価値H1として算出する。

【0117】
同様に、図3-1のステップS307における評価処理において、評価対象非回折ボロノイ図として2位の非回折ボロノイ図が選択されている場合には、(2)式に示す評価値H2を算出するようにしているが、本変形例2では、例えば、2位の非回折ボロノイ図における各ボロノイ領域を合わせた全ボロノイ領域の体積Vb2を、監視対象領域の体積Vkで除算した比(Vb2/Vk)を評価値H2として算出する。
また、図3-1のステップS307における評価処理において、評価対象非回折ボロノイ図として3位の非回折ボロノイ図が選択されている場合には、(3)式に示す評価値H3を算出するようにしているが、本変形例2では、例えば、3位の非回折ボロノイ図における各ボロノイ領域を合わせた全ボロノイ領域の体積Vb3を、監視対象領域の体積Vkで除算した比(Vb3/Vk)を評価値H3として算出する。

【0118】
以上の処理を行うことにより、3次元の監視対象領域においても、監視カメラの配置位置の評価及びその最適な配置位置の決定を行うことが可能となる。

【0119】
以上説明した本実施形態の監視カメラ配置位置評価装置100によれば、障害物が存在する監視対象領域に配置された複数の監視カメラにおける配置位置の評価を適正に行うことができる。さらに、この監視カメラにおける配置位置の適正な評価に基づき、当該監視カメラの最適な配置位置の決定を行うことが可能となる。

【0120】
-その他の実施形態-
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。

【0121】
なお、前述した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
監視カメラは、近年、社会的なセキュリティの確保のニーズからその需要が高まっており、監視カメラを含むネットワークカメラの市場は、2002年以降、平均150%程度でコンスタントに拡大してきている。本発明は、このような背景の下、監視カメラの配置位置に関して、その評価並びに当該評価結果に基づく最適な配置位置の決定を行うものであり、セキュリティの向上を図る上で大変有用なものである。
【符号の説明】
【0123】
100:監視カメラ配置位置評価装置、201:情報取得手段、202:非回折ボロノイ図作成手段、203:選択手段、204:評価手段、205:配置位置決定手段、106:表示部106、G:外部装置
図面
【図1】
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【図2】
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【図3-1】
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【図3-2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7-1】
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【図7-2】
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【図8】
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【図9-1】
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【図9-2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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