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明細書 :ダブルビオチンアンカー型リガンド固定化分子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5717281号 (P5717281)
公開番号 特開2012-167987 (P2012-167987A)
登録日 平成27年3月27日(2015.3.27)
発行日 平成27年5月13日(2015.5.13)
公開日 平成24年9月6日(2012.9.6)
発明の名称または考案の名称 ダブルビオチンアンカー型リガンド固定化分子
国際特許分類 G01N  33/53        (2006.01)
G01N  33/543       (2006.01)
FI G01N 33/53 U
G01N 33/543 525E
請求項の数または発明の数 2
全頁数 26
出願番号 特願2011-028447 (P2011-028447)
出願日 平成23年2月14日(2011.2.14)
審査請求日 平成26年1月22日(2014.1.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】松岡 浩司
【氏名】土渕 晃司
【氏名】幡野 健
個別代理人の代理人 【識別番号】100137512、【弁理士】、【氏名又は名称】奥原 康司
【識別番号】100149294、【弁理士】、【氏名又は名称】内田 直人
審査官 【審査官】赤坂 祐樹
参考文献・文献 特開2004-157108(JP,A)
特表2002-516252(JP,A)
調査した分野 G01N 33/53-33/543
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の式(IV)で表される化合物と、式(V)で表される化合物を反応させ、式(I)のリガンド固定化分子を製造する方法。
【化1】
JP0005717281B2_000033t.gif
(式(I)中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい炭素数1~10の飽和炭化水素鎖を表し、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖を表し、Aは硫黄を表し、Bはビオチン又はビオチン誘導体を表し、Wは以下の式(II)、
【化2】
JP0005717281B2_000034t.gif
(式(II)中、Eは炭素、ケイ素のいずれかで互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素又は炭化水素鎖を表し、R、R、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖で互いに同一でも異なっていてもよく、Xはリガンドを表し、kは0又は1の数、lは0、1又は2の数、mは0又は1数を表し、mが0のとき、lは2である)を表す)
【化3】
JP0005717281B2_000035t.gif
(式(IV)中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい炭素数1~10の飽和炭化水素鎖を表し、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖を表し、Aは硫黄を表し、Bはビオチン又はビオチン誘導体を表し、Yは、アセチル基又はハロゲン化アルキル基を表す)。
【化4】
JP0005717281B2_000036t.gif
(式(V)中、Eは炭素、ケイ素のいずれかで互いに同一でも異なっていてもよく、Aは硫黄を表し、Rは炭素数1~10の飽和炭化水素鎖を表し、Rは水素又は炭化水素鎖を表し、R、R、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよい炭化水素鎖で互いに同一でも異なっていてもよく、Xはリガンドを表し、kは0又は1の数、lは0、1又は2の数、mは0又は1数を表し、mが0のとき、lは2であり、Zは、Yがアセチル基のときハロゲン化アルキル基を表し、Yがハロゲン化アルキル基のときアセチル基を表す
【請求項2】
前記kが1、lが2、mが0である請求項1に記載のリガンド固定化分子を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リガンドを固定するための分子に関する。具体的には、リガンドを固相支持体に固定する手段として、ビオチン又はビオチン誘導体を使用したリガンド固定化分子に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内における物質の相互作用は、様々な生理現象を惹起し、伝達する上で、重要な役割を担っている。例えば、細胞表面上の受容体を介して細胞へ到達したシグナルは、最終的には遺伝子発現などを制御することで、細胞内機能に影響を与えていると考えられているが、シグナルが核内へ到達するまでの間に、様々な物質が関与している。このような過程に関与する多くの物質群は、少なくからず、直接又は間接的に相互作用をしながらシグナルを伝達していくと考えられている。また、ウィルスや毒素などの生体に対する異物が細胞内に侵入する際には、ウィルスや毒素表面に存在する特定分子と生体内の細胞表面に存在する特定の分子との結合を介して、細胞内への侵入が開始される。
以上のように、細胞内における様々な現象は、細胞内に存在する物質同士の相互作用を介して生じることが多く、そのため、細胞機能の解明においては、生体分子同士の相互作用を考慮しながら研究開発等を進めていくことが非常に重要になってくる。
【0003】
生体分子同士の相互作用を解明していく方法として、すでに多くの方法が報告されている。例えば、生体分子に対する抗体を利用して、その生体分子に相互作用する分子を同定する免疫沈降法やファージディスプレイ法、遺伝子発現ライブラリーなどを用いたツーハイブリッド法、表面プラズモン法を利用したプロテインチップ法などが知られており、多くの研究者に利用されている。また、生体分子(リガンド)と直接結合する物質を生体試料などから取得するために、目的リガンドを何らかの方法によりプレートやビーズなどの固相支持体に固定化し、試験対象の生体試料をそのプレートやビーズと接触させて、目的リガンドと相互作用を行う物質を同定する方法も古くから行われている。
【0004】
生体分子などと結合するリガンドを磁気ビーズやプレート表面に固定化する場合、リガンドを結合させた適当な固定化用分子(リガンド固定化分子と称する)を、ビオチン-ストレプトアビジン(又はアビジン)結合を利用してビーズなどの表面に固定化する方法がよく用いられる。
このような方法においては、リガンドを結合させたリガンド固定化分子を固相支持体に対して安定に強く固定することが重要な点として挙げられる。一般に、ビオチン-ストレプトアビジン(又はアビジン)結合は、強固で安定な結合を実現すると考えられている。しかしながら、リガンドを固定化するリンカーをより安定に固定するためには、ビオチン-ストレプトアビジン結合をさらに増強することが望ましい。ストレプトアビジンは1分子内に4つのビオチン結合部位を有しており、リガンド固定化分子をストレプトアビジンに結合させるには、固定化分子を1個でビオチン化するより2個でビオチン化した方がより強い結合を得ることができる(非特許文献1及び非特許文献2など)。従って、リガンドを固定化するためにビオチン-ストレプトアビジン(又はアビジン)結合を利用する場合には、1つのリガンド固定化用分子あたり2個以上のビオチンを保持させた方がより安定な固定化を実現することができると考えられる。
【0005】
一方、リガンドの配置についても留意する点がいくつか考えられる。まず、リガンドと結合する物質を同定するためには、リガンド-目的物質間の結合を安定に保持する必要がある。未知の物質を同定する場合には、リガンドは予め準備はできるとしても、同定する物質の物理的性質は不明な場合が多く、リガンド-目的物質同士の個々の結合を増強することは、なかなか難しい課題である。例えば、1つのリガンド固定化分子あたりのリガンドの数を増やすことによって、該固定化分子に捕捉される目的物質の数を増やすことが1つの解決手段となる。ただし、単に、リガンド固定化分子あたりのリガンドの数を増やすのみでは、リガンドと未知の目的物質との相互作用がリガンド又は目的物質の立体構造的な特徴(大きさや形など)に影響されることがあり、このような場合には、リガンド間の距離や空間あたりのリガンド数なども考慮してリガンドを固定化する必要がある。
【0006】
以上のように、所望の物質を同定するためのリガンド固定化分子としては、該固定化分子の固相支持体への結合が強度であり、かつ、固定化されるリガンド間の距離や空間あたりのリガンド数を容易に調製できるような分子が理想的である。
しかしながら、これまでに、そのような分子は開発されていない。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】Wilburら,Bioconjugate Chem.,8:819-832,1997
【非特許文献2】Farreraら,Org.Biomol.Chem.,3:2393-2395,2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、特定のリガンドと相互作用する所望の物質を同定するためには、リガンド間の距離などを容易に調節できる必要がある。そのため、リガンドを固相支持体に固定化するための分子(リガンド固定化分子)は、固相支持体とリガンドまでの距離を自在に調節できるように、該リガンド固定化分子の長さなどを、様々に、かつ、容易に変更し得ることが求められる。
そこで、本発明は、リガンド固定化分子のリガンドが結合する部分と固相支持体に結合する部分(本発明のリガンド固定化分子においては、ビオチン又はビオチン誘導体が結合部分)を別々に調製し、これらを結合させたリガンド固定用分子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の発明者らは、リガンド固定化分子のビオチン結合部分に1分子あたり2個のビオチンを保持させて、該リガンド固定化分子が固相支持体(ビーズ、プレートなど)に対し強固に結合することを可能にした。また、様々な種類の長さのリガンド固定化分子を調製し得るように、リガンド結合部分をビオチン結合部分とは別個に調製した。
リガンド固定化分子を固相支持体に結合させる点において、1分子あたりのビオチンの数を2個とすることで、従来の類似分子と比較して、固相支持体への結合安定性が顕著に上昇する。さらに、2個のビオチンを使用することで、より堅固で安定な立体構造をリガンド固定化分子に与えることが可能となる。その結果、リガンド同士の不自然な接触や重なり合いを回避することができ、よりネイティブな状態にリガンドを保ちつつ、結合パートナーの探索ために提示することができる。
また、リガンド結合部分をビオチン結合部分と別個に調製することで、リガンド固定化分子自体の長さ、保持するリガンドの数、空間あたりのリガンド密度などを調節することができる。そのため、リガンドと結合する結合パートナー分子の物理的特性が未知であってもパートナー分子を容易に同定し得ることとなる。このようなリガンド固定化分子の各部分の調製おいては、特に、リガンド結合部分については、デンドリマーの調製技術を利用することが可能である。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の式(I)で示されるリガンド固定化分子である。
【化1】
JP0005717281B2_000002t.gif

(式(I)中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい炭素数1~10の飽和炭化水素鎖を表し、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖を表し、Aは硫黄又は酸素を表し、Bはビオチン又はビオチン誘導体を表し、Wは以下の式(II)、
【化2】
JP0005717281B2_000003t.gif

(式(II)中、Eは炭素、ケイ素のいずれかで互いに同一でも異なっていてもよく、Rは水素又は炭化水素鎖を表し、R、R、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖で互いに同一でも異なっていてもよく、Xはリガンドを表し、kは0又は1の数字、lは0、1又は2の数字、mは0又は1の数字を表し、mが0のときlは2である)を表す)
【0011】
また、本発明は上記式(I)に記載のリガンド固定化分子の製造に使用される式(IV)で表される化合物である。
【化3】
JP0005717281B2_000004t.gif

(式(IV)中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい炭素数1~10の飽和炭化水素鎖を表し、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖を表し、Aは硫黄又は酸素を表し、Bはビオチン又はビオチン誘導体を表し、Yは、アセチル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアジド、アルキルアミン、アルキルイソシアネート、アルキルチオイソシアネート、アルキルチオール、アルキルチオアセテート、アルキルベンジルスルフィドを表す)。
【0012】
さらに、本発明は、上記式(I)に記載のリガンド固定用分子の製造に使用される式(V)で表される化合物である。
【化4】
JP0005717281B2_000005t.gif

(式(II)中、Eは炭素、ケイ素のいずれかで互いに同一でも異なっていてもよく、Aは硫黄又は酸素を表し、Rは炭素数1~10の飽和炭化水素鎖を表し、Rは水素又は炭化水素鎖を表し、R、R、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよい炭化水素鎖で互いに同一でも異なっていてもよく、Xはリガンドを表し、kは0又は1の数字、lは0、1又は2の数字、mは0又は1の数字を表し、mが0のときlは2である。Zは、アセチル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアジド、アルキルアミン、アルキルイソシアネート、アルキルチオイソシアネート、アルキルチオール、アルキルチオアセテート、アルキルベンジルスルフィドを表す)。
【発明の効果】
【0013】
本発明のリガンド固定化分子は、1分子あたり2個のビオチン分子を有しているため、任意のリガンドをビオチン-ストレプトアビジン(又はアビジン)結合を介して、固相支持体に強力に固定させることができる。また、リガンド固定化分子の立体構造を安定に保つことができる。
【0014】
本発明のリガンド固定化分子は、分子あたりのリガンド数を自在に変えたり、あるいは、リガンド固定用分子自体の大きさや形状、さらにリガンド間の長さを適宜調節したりできるため、リガンドパートナー分子(レセプター分子)の大きさや形に適応させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の1つは、以下の式(I)で示されるリガンド固定化分子である。
【化5】
JP0005717281B2_000006t.gif

式(I)中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい炭素数1~10飽和炭化水素鎖を表し、好ましくは、炭素数1~5の直鎖状飽和炭化水素鎖である。Rは、炭素数1~30で、不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖である。好ましくは、炭素数は5~25の直鎖状炭化水素であって、適宜、アミド結合、エーテル結合を含む。また、Aは硫黄又は酸素を表し、好ましくは、硫黄であり、Bはビオチン又はビオチン誘導体(ストレプトアビジン又はアビジンと結合するビオチン誘導体)を表す。2個のビオチン間の間隔は(つまり、B-R-CH-R-Bの長さ)、20Å以上が好ましく、例えば、30Å~50Å、より好ましくは、35Å~45Åである。ビオチン間の距離がこの範囲内にあれば、Rの炭化水素鎖は、親水性を有するものであれば、特に限定はされない。

【0016】
式(I)中、Wは以下の式(II)で表される。
【化6】
JP0005717281B2_000007t.gif

式(II)中、Eは炭素、ケイ素のいずれかで互いに同一でも異なっていてもよい。Rは水素又は炭化水素鎖である。R、R、Rは不飽和結合、スルフィド結合、アミド結合、トリアゾール結合及び/又はエーテル結合を含んでもよく、環を含んでもよい炭化水素鎖で互いに同一でも異なっていてもよい。Xはリガンドを表す。kは0又は1の数字、lは0、1又は2の数字、mは0又は1の数字を表し、mが0のときlは2である。
ここで「リガンド」とは、何らかの物質又は分子と結合する物質のことで、該リガンドの結合パートナーは既知であっても、未知であってもよい。例えば、受容体をリガンドとした場合、該受容体と結合するホルモン、神経伝達物質などが結合パートナーとなり得る。あるいは、ホルモンなどをリガンドとした場合には、受容体が結合パートナーとなり得る。本発明のリガンドは、いかなるものであってもよく、好ましくは、生体内に存在するか、又は人工物であっても生体内で作用すると予想される物質である。本発明のリガンドとしては、例えば、抗体、酵素、ペプチドアプタマー、受容体などのタンパク質性物質、DNA、RNA又はこれらの誘導体などの核酸、抗生物質などのタンパク質性もしくは非タンパク質性生体内活性物質、あるいは、レクチンなどに結合し得る糖(例えば、ラクトース、シアリルラクトース、グロボトリオース、ラクト-N-ネオテトラオース、オリゴマンノースなどの他、生体内の特定の組織等に存在するレクチンと結合することが既知の糖鎖などであり、単糖、オリゴ糖などいかなる糖鎖であってもよい)などを挙げることができる。

【0017】
式(II)中、E(ビオチン結合部分に最も近い位置に存在するE)とXの距離(E-X間の炭化水素鎖を最も伸長させたときの長さ)は、リガンド結合パートナー分子の大きさ、形状、もしくは、リガンドと結合し得る部位の分子中における存在位置などによって、適宜調節してもよい。例えば、リガンド結合パートナー分子の大きさ(又は嵩)が大きければ(又は大きいと予想される場合には)、該E-X間の距離を長めに設定し、リガンド結合パートナー分子の大きさ(又は嵩)が小さければ(又は小さいと予想される場合には)、該E-X間の距離を短めに設定してもよい。例えば、リガンド分子が糖鎖等であり、リガンド結合パートナー分子がレクチンなどのタンパク質の場合、E-X間の距離は、例えば、10Å~50Å、15Å~30Å程度としてもよい。当業者であれば、該E-X間の距離は、予備的な実験を行うことで、適宜容易に決定することが可能である。

【0018】
式(II)の部分は、k、l、mの組み合わせに応じて種々の構造を取り得るが代表的な化学式は下記のようになる。
【化7】
JP0005717281B2_000008t.gif

式(IIa)及び(IIb)中、E、R、R、R、R、Xは上述の通りである。

【0019】
本発明の他の実施形態は、式(I)のリガンド固定化分子を製造するのに適した中間化合物であって、以下の式(IV)及び(V)で示される。
【化8】
JP0005717281B2_000009t.gif

【化9】
JP0005717281B2_000010t.gif

式(IV)中、R、R、A及びBは、上述の式(I)と同一の分子、原子、置換基等を表す。Yは、アセチル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアジド、アルキルアミン、アルキルイソシアネート、アルキルチオイソシアネート、アルキルチオール、アルキルチオアセテート、アルキルベンジルスルフィドを表す。また、式(I)の化合物と同様に、2個のビオチン間の間隔は(つまり、B-R-CH-R-Bの長さ)、20Å以上が好ましく、例えば、30Å~50Å、より好ましくは、35Å~45Åである。
また、式(V)中、R、R、R、R、R、A及びXは、上述の式(I)と同一の分子、原子、置換基等を表す。kは0又は1の数字、lは0、1又は2の数字、mは0又は1の数字を表し、mが0のときlは2である。Zは、アセチル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアジド、アルキルアミン、アルキルイソシアネート、アルキルチオイソシアネート、アルキルチオール、アルキルチオアセテート、アルキルベンジルスルフィドを表す。E-X間の距離については、上述したように適宜決定することができる。

【0020】
式(I)の化合物は、式(IV)のYと式(V)の化合物のZを反応させ、式(IV)の化合物と式(V)の化合物を結合することにより、容易に合成することができる。この場合、YとZは、互いに反応して化学結合を構築し得る組合せが好ましい。限定はしないが、例えば、アジド基とアルキニル基の組合せによる環化付加反応によるトリアゾール結合の構築などを挙げることができる。

【0021】
また、本発明の実施形態には、式(I)のリガンド固定用分子を製造するためのキットが含まれる。本発明のキットには、式(IV)の化合物(又はその誘導体)と式(V)の化合物(又はその誘導体)が含まれており、式(IV)の化合物と式(V)の化合物から式(I)の化合物を合成するための試薬類が包含されていてもよい。本発明のキットには、E(ビオチン結合部分に最も近い位置に存在するE)とXの長さ(E-X間の炭化水素鎖を最も伸長させたときの長さ)が異なる式(V)の化合物を複数含んでいてもよい。本発明の式(IV)及び式(V)の化合物は、これらの化合物の保存に適した容器中に収納され、使用説明書と共にパッキングされていてもよい。

【0022】
さらに、本発明の実施形態には、検出対象物、例えば、ウィルスや毒素の試験サンプル中における存在の有無を検出するための診断薬も含まれる。本発明の診断薬には、式(I)の化合物が有効組成物として含まれており、あるいは、式(IV)の化合物及び式(V)の化合物が個別に含まれていてもよい。この場合、式(I)及び式(IV)の化合物中のリガンドXは、検出対象物と特異的に結合するリガンドである。例えば、検出対象物がウィルスや毒素の場合には、これらの表面上に存在するタンパク質等を特異的に認識する糖鎖をリガンドXとして使用することができる。
本発明の診断薬は、上述のキットの形態で提供してもよく、この場合、該キットには、リガンド固定化分子を固定化する固相支持体、例えば、プレート(例えば、ウェル付きのプレートなど)やビーズ(例えば、磁気ビーズ)等が含まれていてもよい。あるいは、本発明の診断薬がキットの形態で提供される場合、分子の大きさが異なる種々の式(I)の化合物が、ビオチン-ストレプトアビジン(又はアビジン)結合を介してマイクロアレイ用のチップ上に予め、各々、固定化されていてもよく、該チップは、ハイスループットの診断に用いられてもよい。

【0023】
以下の実施例は、あくまでも例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0024】
1.[GlcNAc(OH)]-(ビオチン)コンジュゲート(19)の合成
式(I)の化合物の1例として、k=1、l=1、m=0の[GlcNAc(OH)]-(ビオチン)コンジュゲートの製造方法を以下に示す。
【実施例】
【0025】
1-1.GlcNAc(OAc)ダイマーの合成
まず、GlcNAc(OAc)ダイマーを以下のスキーム1及び2の過程により合成した。
【化10】
JP0005717281B2_000011t.gif

【化11】
JP0005717281B2_000012t.gif
【実施例】
【0026】
11-アジド-3,6,9-トリオキサ-1-ウンデカノール(3)
【化12】
JP0005717281B2_000013t.gif

テトラエチレングリコール(1)(5.00g,25.7mmol)をピリジン(50mL)に溶解させ、窒素雰囲気下0℃でp-トルエンスルホン酸クロライド(5.39g,28.3mmol)を加えて攪拌した。反応液は0℃で攪拌され、2時間後TLC上で反応の進行を確認したところ、原料が多量に残っていたためp-トルエンスルホン酸クロライド(0.98g,5.14mmol)をさらに加えた。その後1時間攪拌し、綿栓ろ過により析出した塩をろ過した。そのろ液を濃縮し、黄色透明液体(Rf = 0.48 [CHCl3 : EtOAc : MeOH = 5:4:1 (v/v/v)])を得た。
得られた液体をDMF(44mL)に溶解させ、次いでアジ化ナトリウム(5.01g,77.1mmol)を加えた後、窒素雰囲気下80℃で3時間攪拌した。反応終了後、綿栓ろ過と濃縮を順次行い、残渣をクロロホルムで希釈した。その希釈液を氷水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥させ、セライトろ過を行い、濃縮した。残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィ[ヘキサン—酢酸エチル 1:3 (v/v),シリカゲル 300mL]により精製され、無色透明シラップの目的物(3)(2.59g,45.9%)を得た。
Rf = 0.34 [CHCl3: EtOAc: MeOH = 5:4:1 (v/v/v)]
IR (neat); 3447 (νO-H), 2872 (νC-H), 2108 (νN3), 1125 (νC-O-C) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 3.73 (br t, 2 H, HOCH2), 3.69-3.67 (m, 10 H, CH2), 3.62 (t, 2 H, J = 4.5 Hz, HOCH2CH2), 3.41 (t, 2 H, J = 5.0 Hz, CH2N3), 2.63 (br s, 1 H, OH)
13C-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 72.46 (HOCH2CH2), 70.60, 70.57, 70.48, 70.23 and 69.94 (CH2), 61.63 (HOCH2), 50.59 (CH2N3)
【実施例】
【0027】
2-メチル-(3,4,6-トリ-O-アセチル-1,2-ジデオキシ-α-D-グルコピラノ)-[2,1-d]-2-オキサゾリン(5)
【化13】
JP0005717281B2_000014t.gif

N-アセチルグルコサミンα-アセテート(4)(4.00g,10.3mmol)を塩化メチレン(20mL)に溶解させ、アルゴン置換をし、氷冷下で撹拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸トリシリルメチル(2.05mL,11.3mmol)を滴下した。その後60℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷冷し、過剰のトリエチルアミンを加えて塩基性条件とした。続いて濃縮を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ[トルエン—酢酸エチル—トリエチルアミン 100:200:1 (v/v/v),シリカゲル 230mL]により精製し、オレンジ色透明のシラップとして目的物(5)(3.08g,91.1%)を得た。
Rf = 0.49 [CHCl3: MeOH = 10:1 (v/v)]
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 5.97 (d, 1 H, J1,2 = 7.5 Hz, H-1), 5.27 (t, 1 H, J = 2.5 Hz, H-3), 4.96-4.90 (m, 1 H, H-4), 4.19-4.12 (m, 3 H, H-2, H-6a, H-6b), 3.65-3.56 (m, 1 H, H-5)
【実施例】
【0028】
11-アジド-3,6,9-トリオキサウンデシル-O-2’-アセトアミド-3’,4’,6’-トリ-O-アセチル-2’-デオキシ-β-D-グルコピラノシド(6)
【化14】
JP0005717281B2_000015t.gif

アジドアルコール(3)(5.39g,24.3mmol)およびオキサゾリン体(5)(3.08g,9.35mmol)を塩化メチレン(15mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下でカンファースルホン酸(0.217g,0.935mmol)を加えた後、90℃で1時間撹拌した。反応終了後クロロホルムで希釈し、氷水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。続いて無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥させ、セライトろ過した後、濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィ [1回目;クロロホルム—メタノール 20:1 (v/v),シリカゲル 780mL、2回目;クロロホルム—酢酸エチル—メタノール 15:14:1(v/v/v),シリカゲル 630mL]で精製することにより、白色ろう状固体として目的物(6)(3.82g,74.5%)を得た。
Rf = 0.37 [CHCl3: MeOH = 15:1 (v/v)]
[α]D33 -24.0o (C 1.06, CHCl3)
IR (neat); 2878 (νC-H), 2112 (νN3), 1746 (νC=O, ester), 1667 (νC=O, amide), 1553 (δN-H, amide), 1242 (νC-C(=O)-O, ester ), 1045 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 6.64(d, 1 H, JNH,2 = 9.3 Hz, NH), 5.11-5.06 (m, 2 H, H-3, H-4), 4.79 (d, 1 H, J1,2 = 8.6 Hz, H-1), 4.26 (dd, 1 H, J5,6a = 12.3 Hz, J6a,6b = 4.8 Hz, H-6a), 4.13 (dd, 1 H, J5,6b = 2.5 Hz, J6b,6a = 12.3 Hz, H-6b), 4.13-4.08 (m, 1 H, H-2), 3.91-3.60 (m, 15 H, -OCH2-×7, H-5), 3.40 (dd, 2 H, Jgem = 5.6 Hz, Jvic = 4.5 Hz, -CH2N3), 2.09, 2.01 and 1.98 (each s, 12 H, OAc×3, NAc)
13C-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 170.54, 170.47 and 170.43(-C=O, ester), 169.14 (-C=O, amide), 101.65 (C-1), 73.22, 71.46, 71.28, 70.55, 70.44, 70.31, 70.14, 69.62, 68.54, 68.46, 62.04, 53.65, 50.42, 22.74 (-NHCOCH3), 20.52, 20.47 and 20.39 (-COCH3)
MALDI-TOF-MS calcd for C22H36N4O12 [M+Na]+: 571.22, Found: 571.28
Anal. Calcd for C22H36N4O12: C, 48.17; H, 6.62; N, 10.21, Found: C, 48.11; H, 6.57; N, 10.12.
【実施例】
【0029】
1,1-ビス(ペンタ-2’-オキサ-4’-イン-1’-イル)エテン(8)
【化15】
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3-クロロ-2-クロロメチル-1-プロペン(7)(3.00g,24.0mmol)およびプロパルギルアルコール(8.50mL,144mmol)をDMF(30.0mL)に溶解させ、アルゴン置換した後、氷冷した。続いて50%水素化ナトリウム(7.60g,158mmol)を少量ずつ加えていき、1時間かけて全てを加え終えた後、室温に戻してさらに1時間撹拌した。反応終了後、反応液に過剰のメタノールを加え、濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、氷水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、セライトろ過を行った後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ[ヘキサン—酢酸エチル 20:1 (v/v),シリカゲル 580mL]によって精製し、無色透明オイル状のジアルキン体(8)(3.19g,81.0%)を得た。
Rf = 0.41 [n-Hexane: EtOAc = 12:1 (v/v)]
IR (neat); 3293 (ν≡C-H), 2857 (νC-H), 2116 (νC≡C), 1443, 1358 and 1263 (νas,C-O-C of ether, δC-H), 1086 (νs,C-O-C, ether), 675-644 (δ≡C-H) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 5.26 (m, 2H, CH2=), 4.16 (d, 4H, CH2C≡C×2), 4.09 (t, 4H, =CCH2×2), 2.45 (t, 2H, C≡CH×2)
13C-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 141.07 (H2C=C), 115.57 (H2C=C), 79.50 (-C≡CH), 74.46 (-C≡CH), 70.12 (=CCH2×2), 57.16 (OCH2C≡×2)
【実施例】
【0030】
1,1-ビス[4’-{1’-N-[11’’-(O-3’’’,4’’’,6’’’-トリi-O-アセチル-2’’’-N-アセトアミド-2’’’-デオキシ-β-D-グルコピラノ)-3’’,6’’,9’’-トリオキサウンデシル]-1’,2’,3’-トリアゾール}メトキシメチル]エテン,[GlcNAc(OAc)] -C=C (9)
【化16】
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アジ化グリコシド(6)(3.57g,6.44mmol)とジアルキン体(8)(0.440g,2.68mmol)をメタノール(15mL)に溶解させ、アルゴン置換した後に氷冷下で攪拌しながら、0.1M硫酸銅(II)五水和物水溶液(13.4mL,1.34mmol)と1.0Mアスコルビン酸ナトリウム水溶液(7.5mL,7.5mmol)を順に滴下した。その後室温に戻して4時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣をクロロホルムで希釈した。その希釈液を氷水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥した。続いてセライトろ過を行い、濃縮した後にフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィ [クロロホルム—メタノール 20:1 (v/v),シリカゲル 480mL]で数回精製することにより、無色透明の高粘性シラップとして目的物(9)(3.19g,94.4%)を得た。
Rf = 0.36 [CHCl3: MeOH = 10:1 (v/v)]
IR (neat); 2937 (νC-H), 1746 (νC=O, ester), 1661 (νC=O, amide), 1559 (δN-H, amide), 1240 (νC-C(=O)-O, ester ), 1045 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 7.44 (s, 2 H, H of triazole ring×2), 6.67 (d, 2 H, JNH,2 = 9.2 Hz, NHAc×2), 5.26 (s, 2 H, CH2=), 5.14 (t, 2 H, J = 9.9 Hz, H-3×2), 5.07 (t, 2 H, J = 9.6 Hz, H-4×2), 4.78 (d, 2 H, J1,2 = 8.6 Hz, H-1×2), 4.62 (s, 4 H, =C(CH2OCH2-)2), 4.56 (t, 4 H, Jvic = 5.3 Hz,-OCH2CH2N-×2), 4.25 (dd, 2 H, J5,6a = 12.3 Hz, J6a,6b = 4.8 Hz, H-6a×2), 4.12 (dd, 2 H, J5,6b = 2.4 Hz, J6a,6b = 12.3 Hz, H-6b×2), 4.04 (q, 2 H, J = 9.5 Hz, H-2×2), 3.91-3.56 (m, 26 H, -OCH2-×12 and H-5×2), 3.90 (t, 4 H, Jvic = 5.3 Hz,-OCH2CH2N-×2), 2.08, 2.01, 2.00 and 1.93 (each s, 24 H, OAc×6, NAc×2)
13C-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 170.77×2 and 170.48 (-C=O, ester), 169.32 (-C=O, amide), 144.89 (-CH=C- of triazole ring), 141.97 (CH2=C-), 123.65(-CH=C- of triazole ring), 115.01 (CH2=C-), 101.66 (C-1), 73.26, 71.68, 71.28, 70.97, 70.66, 70.56, 70.47, 70.23, 69.30, 68.70, 63.56, 62.18, 54.01, 50.17, 23.00 (-NHCOCH3), 20.74, 20.70 and 20.60 (-COCH3)
MALDI-TOF-MS calcd for C54H84N8O26 [M+Na]+: 1283.54, Found: 1283.55
【実施例】
【0031】
1-クロロ-3-{[2’,2’-ビス(4’’-{1’’-N-[11’’’-(O-3’’’’,4’’’’,6’’’’-トリ-O-アセチル-2’’’’-N-アセトアミド-2’’’’-デオキシ-β-D-グルコピラノ)-3’’’,6’’’,9’’’-トリオキサウンデシル]-1’’,2’’,3’’-トリアゾール}メトキシメチル)エチル]スルファニル}プロパン, [GlcNAc(OAc)] -S-Cl(10)
【化17】
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N-アセチルグルコサミンアセテート二量体(9)(308mg,244μmol)と3-クロロ-1-プロパンチオール(357μL,3.66mmol)を1,4-ジオキサン(1.5mL)に溶解させ、続いて室温にてAIBN(20.0mg,122μmol)を添加し、アルゴン置換を行った。その後反応系を一気に80℃の油浴に浸たし、80℃で1時間攪拌した。TLC上で反応が終了したことを確認し、シクロヘキセン(371μL,3.66mmol)を加えて反応を停止させた。続いて濃縮を行い、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィ[クロロホルム—メタノール 20:1 (v/v),シリカゲル 60mL]で精製することにより白色泡状~無色透明高粘性シラップとして目的物(10)(269mg,80.3%)を得た。
Rf = 0.22 [CHCl3: MeOH = 15:1 (v/v)]
[α]D28 -16.3o (C 0.58, CHCl3)
IR (neat); 2872 (νC-H), 1748 (νC=O, ester), 1667 (νC=O, amide), 1557 (δN-H, amide), 1233 (νC-C(=O)-O, ester ), 1045 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 7.70 (s, 2 H, H of triazole ring×2), 6.58 (d, 2 H, JNH,2 = 9.2 Hz, NHAc×2), 5.13 (t, 2 H, J = 9.8 Hz, H-3×2), 5.07 (t, 2 H, J = 9.5 Hz, H-4×2), 4.79 (d, 2 H, J1,2 = 8.6 Hz, H-1×2), 4.60 (s, 4 H, -CH2CH(CH2OCH2-)2), 4.55 (t, 4 H, Jvic = 4.3 Hz,-OCH2CH2N-×2), 4.25 (dd, 2 H, J5,6a = 12.3 Hz, J6a,6b = 4.7 Hz, H-6a×2), 4.13 (dd, 2 H, J5,6b = 2.3 Hz, J6a,6b = 12.3 Hz, H-6b×2), 4.05 (q, 2 H, J = 9.5 Hz, H-2×2), 3.91-3.54 (m, 32 H, -OCH2-×12, -CH2CH(CH2O-)2, -CH2Cl and H-5×2), 3.90 (t, 4 H, Jvic = 5.3 Hz,-OCH2CH2N-×2), 2.63 (t, 2 H, J = 7.0 Hz, -SCH2CH2CH2Cl), 2.60 (d, 2 H, J = 6.7 Hz, -CHCH2SCH2CH2CH2Cl), 2.30-1.90 (m, 3 H, -CHCH2SCH2CH2CH2Cl), 2.08, 2.01 and 1.94 (each s, 24 H, OAc×6, NAc×2)
13C-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 170.66×2, 170.40 (-C=O, ester), 169.24 (-C=O, amide), 144.76 (-CH=C- of triazole ring), 123.45(-CH=C- of triazole ring), 101.59 (C-1), 73.16, 71.53, 71.24, 70.55, 70.43, 70.37, 70.11, 69.74, 69.19, 68.59×2, 64.40, 62.07, 53.83, 50.06, 43.41, 39.68, 31.97, 30.93, 29.48, 22.92 (-NHCOCH3), 20.66×3 (-COCH3)
MALDI-TOF-MS calcd for C57H91ClN8O26S [M+Na]+: 1393.54, Found: 1393.55
Anal. Calcd for C57H91ClN8O26S・2H2O: C, 48.63; H, 6.80; N, 7.96, Found: C, 48.61; H, 6.50; N, 7.67.
【実施例】
【0032】
1-2.ビオチンダイマーの合成
次に、ビオチンダイマーを以下のスキーム3及び4の過程により合成した。
【化18】
JP0005717281B2_000019t.gif

【化19】
JP0005717281B2_000020t.gif
【実施例】
【0033】
2-[2-N-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエトキシ]エタノール(12)
【化20】
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2-(2-アミノエトキシ)エタノール(11)(10.0g,95.1mmol)を蒸留水(65mL)に溶解させ、さらに水酸化カリウム(5.87g,105mmol)を加えて攪拌し、窒素置換した後0℃に氷冷した。次に1,4-ジオキサン(35mL)に二炭酸ジ-tert-ブチル(22.8g,105mmol)を溶解させた溶液を全て滴下し、0℃で1時間攪拌した後、室温に戻してさらに7時間攪拌した。その後反応液をクロロホルムで2回抽出し、その抽出液を飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、セライトろ過、濃縮を行った。最後にシリカゲルカラムクロマトグラフィ[ヘキサン—酢酸エチル 2:5 (v/v),シリカゲル 790mL]で精製することにより、無色透明の液体として目的物(12)(18.1g,92.8%)を得た。
Rf = 0.61 [CHCl3: EtOAc: MeOH = 5:4:1 (v/v/v)]
IR (neat); 3358 (νO-H), 2976-2872 (νC-H), 1694 (νC=O, amide), 1518 (δN-H, amide) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 5.28 (br s, 1 H, NHBoc), 3.78-3.71 (m, 2 H, HOCH2-), 3.68-3.53 (m, 4 H, J = 5.2 Hz, -CH2OCH2-), 3.33 (q, 2 H, -CH2NHBoc), 3.09 (t, 1 H, J = 5.6 Hz, HO), 1.45 (s, 9 H, Boc)
13C-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 156.10 (-C=O, amide), 79.38 (-C(CH3)3), 72.17 (HOCH2CH2O-), 70.27 (-OCH2CH2NHCO-), 61.67 (HOCH2-), 40.34 (-CH2NHCO-), 28.33 (CH3×3 of Boc)
【実施例】
【0034】
6-N-(tert-ブトキシカルボニル)アミノヘキサン酸(14)
【化21】
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6-アミノヘキサン酸(3.00g,22.9mmol)を1,4-ジオキサン(34mL)と蒸留水(23mL)に溶解させ、0℃に氷冷した。次に1M水酸化ナトリウム水溶液(23mL,23mmol)と、二炭酸ジ-tert-ブチル(5.50g,22.5mmol)—1,4-ジオキサン(12mL)混合溶液を順に滴下し、室温で一晩攪拌した。TLC上で原料が消失したことを確認した後、反応液を酢酸エチルで洗浄し、水層に1M硫酸水溶液を加えて攪拌した。その酸性水溶液をクロロホルムで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥させた後、セライトろ過と濃縮を行うことにより、白色固体として目的物(14)(5.11g,96.6%)を得た。
Rf = 0.23 [Hexane: EtOAc = 1:1 (v/v)], 0.71 [CHCl3: MeOH: H2O = 65:25:4 (v/v/v)]
IR (neat); 3347 (νCOO-H), 2976 (νC-H), 1692 (νC=O, amide), 1530 (δN-H, amide), 1173 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 4.68 (br s, 1 H, -NHBoc×2), 3.10 (br m, 2 H, -CH2NHBoc), 2.33 (t, 2 H, J = 7.5 Hz, -CH2COOH), 1.63 (quintet, 2 H, J = 7.6 Hz, -CH2CH2COOH), 1.52-1.32 (m, 4 H, --CH2CH2CH2NHBoc), 1.46 (s, 9 H, -NHBoc)
13C-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 178.58 (-COOH), 156.07 (-C=O, amide), 79.13 (C(CH3)3), 40.25 (-CH2NHBoc), 33.85 (HOOCCH2-), 29.51 (CH2CH2NHBoc), 28.23 (CH3×3), 26.08 (CH2CH2CH2NHBoc), 24.24 (HOOCCH2CH2-)
【実施例】
【0035】
1,1-ビス{2-[2-N-(tert-ブトキシカルボニル)アミノエトキシ]エトキシメチル}エテン(15)
【化22】
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アルコール(12)(19.7g,96.0mmol)と3-クロロ-2-クロロメチル-1-プロペン(7)(3.00g,24.0mmol)をDMF(230mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下かつ室温で50%水素化ナトリウムを少量ずつ加えてはTLC上で反応の進行を確認した。TLC上で目的物のスポットが最も濃くなるまで水素化ナトリウムを加えた後、過剰のメタノールを加えて反応を停止させた。続いて反応液を濃縮し、残渣をクロロホルムで希釈した後、氷水、飽和食塩水で順に洗浄した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥し、セライトろ過、濃縮を行った。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィ[ヘキサン—酢酸エチル 1:1→2:3 (v/v),シリカゲル 820,590mL]で2回精製することにより、無色透明液体として目的物(15)(4.41g,40.4%)を得た。
Rf = 0.49 [Hexane: EtOAc = 1:2 (v/v)]
[a]D34 +0.15 o (C 0.60, CHCl3)
IR (neat); 2978-2897 (νC-H), 1701 (νC=O, amide), 1516 (δN-H, amide), 1172 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 5.01 (s, 2 H, CH2=), 5.07 (br s, 2 H, -NHBoc×2), 4.04 (s, 4 H, =C(CH2O-)2), 3.62-3.53 (m, 12 H, -OCH2CH2OCH2-×2), 3.31 (br s, 4 H, -CH2NHBoc), 1.44 (s, 18 H, -NHBoc×2)
13C-NMR (CDCl3, 200 MHz) δ: 159.96 (-C=O, amide), 142.33 (CH2=C-), 114.44 (CH2=), 79.15 (C(CH3)3×2), 71.76 , 70.25 and 69.40 (-CH2OCH2CH2OCH2CH2NHBoc×2), 40.35 (-CH2NHBoc×2), 28.41 (CH3×6)
MALDI-TOF-MS calcd for C22H42N2O8 [M+Na]+: 485.28, Found: 485.25
Anal. Calcd for C22H42N2O8・0.5H2O: C, 56.03; H, 9.19; N, 5.94, Found: C, 55.87; H, 9.02; N, 5.84.
【実施例】
【0036】
1,1-ビス[2-(2-{[6-N-(tert-ブトキシカルボニル)アミノヘキサノイル]アミノ}エトキシ)エトキシメチル]エテン(16)
【化23】
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ジアミンBoc保護体(15)(100mg,216μmol)を塩化メチレン(1.0mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下トリフルオロ酢酸(240μL,3.24mmol)を滴下した後、室温で2時間攪拌した。TLC上で原料が消失したことを確認した後に反応液を濃縮し、淡黄色透明の液体としてジアミンのトリフルオロ酢酸塩(R=0.14[CHCl:MeOH:HO=65:25:4(v/v/v)])を得た。
得られたアミン塩をDMF(1.0mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下0℃でN-メチルモルホリン(50μL,0.45mmol)を滴下した。滴下後、室温に戻して1時間攪拌した。続いてカルボン酸(14)(100mg,432μmol)とN,N-ジメチル-4-アミノピリジン:DMAP(63.1mg,518μmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩:EDC(124mg,648μmol)を加え、60℃で一晩攪拌した。その後TLC上で反応の進行を確認したところ、原料がわずかに残っていたためEDC(25.2mg,130μmol)とDMAP(11.2mg,86.4mmol)を追加し、反応を完全に進ませた。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣を酢酸エチルで希釈した。希釈液は氷水、飽和食塩水で順に洗浄され、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥した後、セライトろ過、濃縮を行った。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィ [クロロホルム—メタノール 25:1 (v/v),シリカゲル 44mL]で精製することにより、無色透明シラップとして目的物(16)(129mg,86.6%)を得た。
Rf = 0.45 [CHCl3: MeOH = 10:1 (v/v)]
[α]D33 -0.04 o (C 0.34, CHCl3)
IR (neat); 2934 (νC-H), 1701 and 1647 (νC=O, amide), 1506 (δN-H, amide), 1170 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 6.29 (br s, 2 H, -CH2NHCOCH2-×2), 5.21 (s, 2 H, CH2=), 4.75 (br s, 2 H, -NHBoc×2), 4.04 (s, 4 H, =C(CH2O-)2), 3.64-3.57 (m, 8 H, -OCH2CH2O-×2), 3.56 (t, 4 H, J = 5.2 Hz, -CH2CH2NHCOCH2-×2), 3.44 (q, 4 H, J = 5.3 Hz, -CH2CH2NHCOCH2-×2), 3.10 (br q, 4 H, -CH2NHBoc×2), 2.18 (t, 4 H, J = 7.5 Hz, -NHCOCH2-×2), 1.64 (q, 4 H, J = 7.6 Hz, -CH2CH2CH2CH2NHBoc×2), 1.52-1.47 (m, 4 H, -CH2CH2NHBoc×2), 1.44 (s, 18 H, -NHBoc×2), 1.37-1.31 (m, 4 H, -CH2CH2CH2NHBoc×2),
13C-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 172.99 (-C=O, amide), 156.02 (NHCOC(CH3)3), 142.27 (CH2=C-), 114.65 (CH2=), 78.94 (C(CH3)3×2), 71.68 , 70.16, 69.89, 69.37, 40.36 (-CH2NHBoc×2), 39.10, 36.38, 29.75, 28.41 (CH3×6), 26.38, 25.27
MALDI-TOF-MS calcd for C34H64N4O10 [M+Na]+: 711.45, Found: 711.36
Anal. Calcd for C34H64N4O10・0.3H2O: C, 58.82; H, 9.34; N, 8.07, Found: C, 58.88; H, 9.43; N, 7.91.
【実施例】
【0037】
1,1-ビス[2-(2-{[6-N-(シス-テトラヒドロ-2-オキソチエノ[3,4-d]イミダゾリン-4-バレリル)アミノヘキサノイル]アミノ}エトキシ)エトキシメチル]エテン,(ビオチン) -C=C (17)
【化24】
JP0005717281B2_000025t.gif

ジアミンBoc保護体(16)(2.31g,3.35mmol)を塩化メチレン(16mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下0℃でトリフルオロ酢酸(4.45mL,60.3mmol)を滴下した後、室温で3時間攪拌した。TLC上で原料の消失を確認した後反応液を濃縮し、黄色透明シラップとしてジアミンのトリフルオロ酢酸塩(R=0.17 [CHCl:MeOH:HO=65:25:4 (v/v/v)])を得た。
得られたアミン塩をDMF(15mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下0℃でN-メチルモルホリン(0.82mL,7.4mmol)を滴下した。滴下後、室温に戻して30分攪拌した。続いてビオチン(1.80g,7.37mmol)とDMAP(0.980 g,8.04mmol)、EDC(2.45g,12.7mmol)を加え、60℃で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ[1回目:クロロホルム—メタノール 5:1(v/v),シリカゲル 240mL;2回目:クロロホルム—メタノール—水 65:15:2 (v/v/v),シリカゲル 300mL]とゲルろ過クロマトグラフィ(Sephadex LH-20,メタノール,ゲル容量 300mL)で精製することにより、白色固体として目的物(17)(2.14g,67.7%)を得た。
Rf = 0.33 [CHCl3: MeOH : H2O = 65:25:4 (v/v/v)]
[α]D30 +41.6 o (C 0.53, MeOH)
IR (KBr); 3306 and 3092 (νN-H, amide), 2929 and 2859 (νC-H), 1701 and 1643 (νC=O, amide), 1553 (δN-H, amide), 1099 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (MeOD, 500 MHz) δ: 5.13 (s, 2 H, CH2=), 4.41 (dd, 2 H, J1exo,2 = 4.9 Hz, J2,3 = 7.8 Hz, H-2 of biotin×2), 4.22 (dd, 2 H, J2,3 = 7.8 Hz, J3,4 = 4.5 Hz, H-3 of biotin×2), 3.97 (s, 4 H, =C(CH2O-)2), 3.55-3.50 (m, 8 H, -OCH2CH2O-×2), 3.46 (t, 4 H, J = 5.5 Hz, -OCH2CH2NHCO-×2), 3.27 (t, 4 H, J = 5.5 Hz, -OCH2CH2NHCO-×2), 3.15-3.11 (m, 2 H, H-4 of biotin), 3.08 (t, 4 H, - CH2CH2CH2NHCO-×2), 2.85 (dd, 2 H, J1exo,2 = 5.0 Hz, J1exo,1endo = 12.8 Hz, H-1exo of biotin×2), 2.63 (d, 2 H, J1exo,1endo = 12.8 Hz, H-1endo of biotin×2),
2.14-2.10 (m, 8 H, -NHCOCH2CH2CH2CH2CH2NHCOCH2-×2),
1.59-1.24 (m, 24 H, -NHCOCH2CH2CH2CH2CH2NHCOCH2CH2CH2CH2-×2)
13C-NMR (MeOD, 500 MHz) δ: 176.15 and 175.93 (-C=O, amide), 166.10 (NHCOC(CH3)3), 144.22 (CH2=C-), 114.99 (CH2=), 72.65, 71.25, 70.68, 70.62, 63.39 (C-3 of biotin), 61.63 (C-2 of biotin), 57.02 (C-4 of biotin), 41.06, 40.35, 40.22, 36.92, 36.83, 30.15, 29.80, 29.51, 27.58, 26.94, 26.66
MALDI-TOF-MS calcd for C44H76N8O10S2 [M+H]+: 941.52, Found: 941.51
Anal. Calcd for C44H76N8O10S2・0.5H2O: C, 55.61; H, 8.17; N, 11.79, Found: C, 55.64; H, 8.13; N, 11.54.
【実施例】
【0038】
S-2,2-ビス[2-(2-{[6-N-(シス-テトラヒドロ-2-オキソチエノ[3,4-d]イミダゾリン-4-バレリル)アミノヘキサノイル]アミノ}エトキシ)エトキシメチル]エチル チオアセテート,(ビオチン -SAc (18)
【化25】
JP0005717281B2_000026t.gif

ビスビオチンチオアセチル体(17)(500mg,531μmol)を蒸留水—2-メトキシエタール混合溶媒(1:1(v/v),2.5mL)に溶解させ、さらにアルゴン雰囲気下でチオ酢酸(1.13mL,15.9mmol)と2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(89.7mg,546μmol)を加え、80℃で3時間攪拌した。その後、室温でシクロヘキセンを加えて反応を停止させ、反応液をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ[クロロホルム—メタノール—水 85:16:2 (v/v/v),シリカゲル 70mL]で3回精製した。続いてゲルろ過クロマトグラフィ(Sephadex LH-20,溶媒:メタノール,ゲル体積: 150mL)で精製することにより、白色固体として目的物(18)(160mg,29.6%)を得た。なおこの反応では未反応の原料(17)をほぼ回収することができた(315mg,仕込み量に対して63.0%)。
Rf = 0.38 [CHCl3: MeOH : H2O = 65:15:2 (v/v/v)]
[α]D30 +39.0 o (C 0.72, MeOH)
IR (KBr); 3296 and 3086 (νN-H, amide), 2926 and 2859 (νC-H), 1697 and 1639 (νC=O, thioester and amide), 1553 (δN-H, amide), 1134 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (MeOD, 500 MHz) δ: 4.41 (dd, 2 H, J1exo,2 = 4.5 Hz, J2,3 = 7.8 Hz, H-2 of biotin×2), 4.22 (dd, 2 H, J2,3 = 7.9 Hz, J3,4 = 4.5 Hz, H-3 of biotin×2), 3.54-3.48 (m, 8 H, -OCH2CH2O-×2), 3.46 (t, 4 H, J = 5.6 Hz, -OCH2CH2NHCO-×2), 3.41 (dddd, 4 H, J = 5.8, 9.7 and 25.4 Hz, AcSCH2CH(CH2O-)2), 3.28 (t, 4 H, J = 5.6 Hz, -OCH2CH2NHCO-×2), 3.15-3.11 (m, 2 H, H-4 of biotin), 3.08 (t, 4 H, - CH2CH2CH2NHCO-×2),
2.92 (d, 2 H, J = 6.7 Hz, AcSCH2-), 2.85 (dd, 2 H, J1exo,2 = 5.0 Hz, J1exo,1endo = 12.7 Hz, H-1exo of biotin×2),
2.63 (d, 2 H, J1exo,1endo = 12.8 Hz, H-1endo of biotin×2), 2.25 (s, 3 H, SAc),
2.14-2.10 (m, 8 H, -NHCOCH2CH2CH2CH2CH2NHCOCH2-×2), 1.98 (septet, 1 H, J = 6.1 Hz, AcSCH2CH-),
1.68-1.24 (m, 24 H, -NHCOCH2CH2CH2CH2CH2NHCOCH2CH2CH2CH2-×2)
13C-NMR (MeOD, 200 MHz) δ: 197.33 (-C=O, thioester), 176.03, 175.95, 175.80 and 175.71 (-C=O, amide), 165.84 (-C=O, amide of biotin), 71.47, 71.06, 70.48, 63.21 (C-3 of biotin), 61.45 (C-2 of biotin), 56.90 (C-4 of biotin), 41.05, 40.84, 40.34, 40.23, 36.80, 30.71, 30.62, 30.02, 29.68, 29.37, 28.80, 27.45, 26.82, 26.53
MALDI-TOF-MS calcd for C46H80N8O11S3 [M+H]+: 1017.52, Found: 1017.51
Anal. Calcd for C46H80N8O11S3: C, 54.31; H, 7.93; N, 11.01, Found: C, 54.12; H, 7.95; N, 10.84
【実施例】
【0039】
1-3.[GlcNAc(OH)]-(ビオチン)コンジュゲートの合成
化合物(10)と化合物(18)から[GlcNAc(OH)]-(ビオチン)コンジュゲートを以下のスキーム5の過程により合成した。
【化26】
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【実施例】
【0040】
[GlcNAc(OH)] -(Biotin) conjugate (19)
【化27】
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N-アセチルグルコサミン2量体(10)(188mg,137μmol)とビオチン2量体 (18)(139mg,137μmol)をメタノール—DMF混合溶媒(1:1 (v/v),1.0mL)に溶解させ、ナトリウムメトキシド(12.5mg,230μmol)を加えて室温で1時間攪拌した。反応溶液が濁り始めたため、40℃の熱をかけ、さらに11時間攪拌した。TLC上で原料の消失を確認し、強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H)を適量加えて中和した。その反応液を綿栓ろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ[クロロホルム—メタノール—水 65:25:4 (v/v/v),シリカゲル 70mL]で精製し、さらに分取型リサイクルHPLC(カラムJAIGEL-W525;溶媒 メタノール)で精製することにより、白色泡状固体として最終目的物(19)(140mg,49.6%)を得た。
Rf = 0.24 [CHCl3: MeOH: H2O = 65:25:4 (v/v/v)]
IR (KBr); 3296 and 3086 (νO-H, νN-H, amide), 2926 and 2859 (νC-H), 1694 and 1647 (νC=O, amide), 1557 (δN-H, amide), 1078 (νC-O-C, ether) cm-1
1H-NMR (MeOD, 500 MHz) δ: 7.95 (s, 2 H, H of triazole ring×2), 4.52 (t, 4 H, J = 5.1 Hz,-OCH2CH2N(triazole)-×2), 4.50 (s, 4 H, -CH=CN(CH2-)×2), 4.42 (dd, 2 H, J1’exo,2’ = 4.6 Hz, J2’,3’ = 7.5 Hz, H-2’ of biotin×2), 4.40 (d, 2 H, J1,2 = 8.5 Hz, H-1), 4.23 (dd, 2 H, J2’,3’ = 7.9 Hz, J3’,4’ = 4.5 Hz, H-3’ of biotin×2), 3.87-3.79 (m, 4 H, H-6a, 6b), 3.83 (t, 4 H, J = 5.1 Hz, OCH2CH2N(triazole)-×2), 3.63-3.17 (m, 48 H, H-2×2, H-5×2, -OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2O-×2, -SCH2CH(CH2OCH2C(N-)=)2, -SCH2CH(CH2OCH2CH2OCH2-)2×2), 3.36 (dd, 2 H, J2,3 = 10.3 Hz, J3,4 = 8.5 Hz, H-3), 3.28 (t, 4 H, J = 5.6 Hz, -OCH2CH2NHCO-×2), 3.15-3.11 (m, 2 H, H-4’ of biotin), 3.09 (t, 4 H, J = 7.1 Hz, - CH2CH2CH2NHCO-×2),
2.85 (dd, 2 H, J1’exo,2 = 5.0 Hz, J1’exo,1’endo = 12.7 Hz, H-1’exo of biotin×2),
2.63 (d, 2 H, J1’exo,1’endo = 12.7 Hz, H-1’endo of biotin×2), 2.54-2.49 (m, 8 H, -CH2SCH2CH2CH2SCH2-), 2.13 (q, 8 H, J = 7.2 Hz, -NHCOCH2CH2CH2CH2CH2NHCOCH2-×2), 2.00-1.95 (m, 2 H, -CHCH2SCH2CH2CH2SCH2CH-), 1.90 (s, 6 H, NHAc×2), 1.74 (quintet, 2 H, J = 7.1 Hz, -SCH2CH2CH2S-), 1.68-1.24 (m, 24 H, -NHCOCH2CH2CH2CH2CH2NHCOCH2CH2CH2CH2-×2)
13C-NMR (MeOD, 500 MHz) δ: 176.13, 175.91 and 173.73(-C=O, amide), 166.07 (-C=O, amide of biotin), 145.85 (-CH=C- of triazole ring), 125.88 (-CH=C- of triazole ring), 102.81 (C-1), 78.04, 76.31, 72.16, 71.74. 71.66, 71.62, 71.58, 71.50, 71.44, 71.25, 70.84, 70.63, 70.38, 69.88, 65.03, 63.38, 62.84, 61.62, 57.37, 57.02, 51.43, 41.25, 41.20, 41.08, 40.37, 40.23, 36.94, 36.84, 32.28, 32.23, 31.82, 30.47, 30.16, 29.80, 29.51, 27.59, 26.94, 26.66, 23.15.
MALDI-TOF-MS calcd for C89H156N16O30S4 [M+Na]+: 2080.00, Found: 2080.00
【実施例】
【0041】
2.式(V)の化合物の合成例
次に、式(I)の化合物を合成するために使用可能な式(V)(k=1、l=1、m=1)の化合物として、GlcNAcテトラマーの合成例を以下に示す。
GlcNAcテトラマーは以下のスキーム6の過程により合成した。
【化28】
JP0005717281B2_000029t.gif
【実施例】
【0042】
S-2,2-ビス[4’-{1’-N-[11’’-(O-3’’’,4’’’,6’’’-トリ-O-アセチル-2’’’-N-アセトアミド-2’’’-デオキシ-β-D-グルコピラノ)-3’’,6’’,9’’-トリオキサウンデシル]-1’,2’,3’-トリアゾール}メトキシメチル]エチル チオアセテート,[GlcNAc(OAc)] -SAc(20)
【化29】
JP0005717281B2_000030t.gif

N-アセチルグルコサミンアセテート2量体(9)(509mg,404μmol)を1,4-ジオキサン(3.0mL)に溶解させ、さらにアルゴン雰囲気下でチオ酢酸(431μL,6.06mmol)と2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(33.4mg,203μmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。TLC上で反応の進行を確認したところ、原料が残っていたため2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(33.0mg,201μmol)を追加し、さらに2時間攪拌した。反応終了後、室温でシクロヘキセンを加えて反応を停止させ、濃縮を行った。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ[クロロホルム—メタノール15:1 (v/v), シリカゲル 67mL]で精製することにより、白色泡状固体として目的物(20)(460mg,85.2%)を得た。
Rf = 0.48 [CHCl3: MeOH = 10:1 (v/v)]
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 7.73 (s, 2 H, H of triazole ring×2), 6.64 (d, 2 H, JNH,2 = 9.1 Hz, NHAc×2), 5.15 (t, 2 H, J = 9.8 Hz, H-3×2), 5.07 (t, 2 H, J = 9.6 Hz, H-4×2), 4.79 (d, 2 H, J1,2 = 8.6 Hz, H-1×2), 4.59 (s, 4 H, AcSH2CH(CH2OCH2-)2), 4.56 (t, 4 H, J = 5.1 Hz,-OCH2CH2N-×2), 4.25 (dd, 2 H, J5,6a = 12.3 Hz, J6a,6b = 4.7 Hz, H-6a×2), 4.12 (dd, 2 H, J5,6b = 2.1 Hz, J6a,6b = 12.2 Hz, H-6b×2), 4.05 (q, 2 H, J = 9.3 Hz, H-2×2), 3.90 (t, 4 H, J = 5.3 Hz,-OCH2CH2N-×2), 3.90-3.49 (m, 30 H, -OCH2-×12, -CH2CH(CH2O-)2 and H-5×2), 2.93 (d, 2 H, J = 6.7 Hz, -CH2SAc), 2.33 (s, 3 H, -SAc), 2.14-2.05 (m, 1 H, -CHCH2SAc), 2.08, 2.01×2 and 1.94 (each s, 24 H, OAc×6 and NAc×2)
13C-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 170.73×2 and 170.42 (-C=O, ester), 169.28 (-C=O, amide), 144.90 (-CH=C- of triazole ring), 123.56 (-CH=C- of triazole ring), 101.66 (C-1), 73.24, 71.66, 71.29, 70.65, 70.46, 70.22, 69.76, 69.28, 68.67, 64.53, 62.16, 53.9, 50.13, 39.68, 30.57, 27.91, 22.99 (-NHCOCH3), 20.73, 20.68, 20.59 (-COCH3)
MALDI-TOF-MS calcd for C56H88N8O27S [M+Na]+: 1359.54, Found: 1359.60
【実施例】
【0043】
1,1-ビス[(2’,2’-{4’’-[1’’-(1’’’-テトラアセチレングリコール-3’’’,4’’’,6’’’-トリ-O-アセチル-2’’’-N-アセトアミド-2’’’-デオキシ-β-D-グルコピラノシド)-1’’,2’’,3’’-トリアゾール]メトキシメチル}エチル)スルファニルメチル]エテン,[GlcNAc(OAc)]-C=C(21)
【化30】
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ビス[N-アセチルグルコサミンアセテート]チオアセチル体(20)(428mg,320 μmol)と3-クロロ-2-クロロメチル-1-プロペン(7)(17.0μL,160μmol)をメタノール—DMF混合溶媒(1:1(v/v),2.2mL)に溶解させ、アルゴン置換した後に氷冷した。続いて、ナトリウムメトキシド(14.5mg,268μmol)を加えて室温で一晩攪拌した。その後TLC上で反応の進行を確認したところ、原料が残っていたためナトリウムメトキシド(25.2mg,466μmol)を加え、反応を完全に進行させた。反応終了後、酢酸(42.3μL,739μmol)を加えて中和し、濃縮を行った。
得られた残渣をピリジン(3.0mL)に溶解させ、無水酢酸(3.0mL)を加えて室温で一晩攪拌した。TLC上で反応終了を確認後、反応液を濃縮し、残渣をクロロホルムで希釈した。その希釈液を1 M硫酸水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順に洗浄し、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥した。続いてセライトろ過、濃縮を行い、残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ[クロロホルム—メタノール15:1(v/v),シリカゲル 50mL]で精製することにより、白色泡状固体として目的物(21)(297mg,70.2%)を得た。
Rf = 0.43 [CHCl3: MeOH = 10:1 (v/v)]
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 7.72 (s, 4 H, H of triazole ring×4), 6.70 (d, 4 H, JNH,2 = 8.6 Hz, NHAc×4), 5.64 (t, 4 H, J = 9.8 Hz, H-3×4), 5.06 (t, 4 H, J = 9.6 Hz, H-4×4), 4.93 (s, 2 H, CH2=), 4.80 (d, 4 H, J1,2 = 8.6 Hz, H-1×4), 4.58 (s, 8 H, -CH=C(triazole)-CH2O-×4), 4.56 (br s, 8 H, -OCH2CH2N-×4), 4.25 (dd, 4 H, J5,6a = 12.3 Hz, J6a,6b = 3.5 Hz, H-6a×4), 4.12 (br d, 4 H, J6a,6b = 12.2 Hz, H-6b×4), 4.05 (q, 4 H, J = 9.0 Hz, H-2×4), 3.91-3.56 (m, 68 H, -OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2N-×4, H-5×4, -SCH2CH(CH2O-)2×2), 3.21 (s, 4 H, CH2=C(CH2S-)2), 2.46 (d, 4 H, J = 6.0 Hz, -CHCH2S-×2), 2.21-1.90 (m, 2 H, -SCH2CH(CH2-)2×2), 2.08, 2.01 and 1.93 (each s, 48 H, OAc×12, NAc×4)
13C-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 170.67×2, 170.41 (-C=O, ester), 169.25 (-C=O, amide), 144.79 (-CH=C- of triazole ring), 140.51 (CH2=), 123.54 (-CH=C- of triazole ring), 115.74 (CH2=C-), 101.58 (C-1), 73.17, 71.58, 71.20, 70.59, 70.46, 70.41, 70.16, 69.80, 69.24, 68.63, 64.42, 62.12, 53.91, 50.08, 39.32, 35.74, 29.97, 22.95 (-NHCOCH3), 20.68, 20.64 and 20.55 (-COCH3)
MALDI-TOF-MS calcd for C112H176N16O52S2 [M+Na]+: 2664.10, Found: 2663.83
化合物(21)は、例えば、スキーム4に示す方法などにより、Zに相当する部分をアセチル基等にし、本発明の式(V)の化合物の1つとして使用することができる。
【実施例】
【0044】
3.本発明のリガンド固定化分子を用いたリガンド結合力の検討
本発明の実施例で合成した化合物(19)は、リガンドとして1分子あたり2個のGlcNAcを有している。従って、GlcNAcを1個のみしか有していない分子と比較すると、GlcNAcと結合パートナー分子との結合親和性が上昇していることが予想される。この点について、以下に検討を行った。結合パートナー分子として、WGAレクチンを使用した。また、GlcNAc1個のみを有する対照分子として以下の化合物Aを使用した。
【化31】
JP0005717281B2_000032t.gif

WGAレクチンと糖(化合物(19)のGlcNacなど)が結合すると蛍光強度の変化が生じる。この蛍光スペクトルの変化から、WGAレクチンとリガンド(化合物(19)又は対照化合物A)との結合親和性を測定することができる。
WGAレクチン溶液(0.65μM、pH7.2、5.0±0.1℃)に化合物(19)(657μM、0.15MNaCl含有50mMTris-HClバッファー)又は化合物A(35.3mM、0.15MNaCl含有50mMTris-HClバッファー)を5μLずつ加えた時の蛍光スペクトル(Ex.295nm)変化から、348nmにおける蛍光強度変化を測定し、結合親和性(Ka)を測定した。
その結果、本発明の化合物(19)の結合親和性は、Ka=5.7×10-1であったのに対し、化合物Aは、Ka=8.2×10-1と2桁程度低かった。従って、本発明のリガンド固定化分子は、リガンド数を自在に増加させることが可能であり、所望の結合親和性を有するリガンド固定化分子の調製が可能な優れた分子である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、結合パートナー分子に応じた所望の親和性を実現し得るリガンド固定化分子を提供するものであり、創薬の分野の他、疾患の診断など、広く医療分野においての利用が期待される。