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明細書 :燃料電池発電システムおよびその制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6125750号 (P6125750)
公開番号 特開2013-137977 (P2013-137977A)
登録日 平成29年4月14日(2017.4.14)
発行日 平成29年5月10日(2017.5.10)
公開日 平成25年7月11日(2013.7.11)
発明の名称または考案の名称 燃料電池発電システムおよびその制御方法
国際特許分類 H01M   8/04858     (2016.01)
H01M   8/04228     (2016.01)
H01M   8/04303     (2016.01)
H01M   8/10        (2016.01)
FI H01M 8/04 P
H01M 8/04 Y
H01M 8/10
請求項の数または発明の数 4
全頁数 14
出願番号 特願2011-289332 (P2011-289332)
出願日 平成23年12月28日(2011.12.28)
審査請求日 平成26年12月19日(2014.12.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391022614
【氏名又は名称】学校法人幾徳学園
発明者または考案者 【氏名】板子 一隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100094053、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 隆久
審査官 【審査官】清水 康
参考文献・文献 特開2011-066973(JP,A)
特開2004-327120(JP,A)
特開2005-327583(JP,A)
特開平11-073983(JP,A)
特開2006-196221(JP,A)
国際公開第2007/013668(WO,A1)
国際公開第2007/004732(WO,A1)
特開2004-071228(JP,A)
調査した分野 H01M 8/00 - 8/24
特許請求の範囲 【請求項1】
燃料供給部の後段に設けられ、供給される燃料の量を検出する燃料検出センサと、
前記燃料供給部から供給された燃料によって発電する燃料電池と、
前記燃料電池の後段に設けられた電圧制御手段と、
前記電圧制御手段の後段に設けられ、負荷に電力を提供する、キャパシタ要素を有するエネルギー蓄積要素と、
前記燃料電池の出力電圧および出力電流を検出する、第1電圧センサおよび第1電流センサと、
前記エネルギー蓄積要素の出力電圧および出力電流を検出する、第2電圧センサおよび第2電流センサと、
前記第1電圧センサおよび第1電流センサ、および、前記第2電圧センサおよび第2電流センサの検出値に基づいて、前記電圧制御手段を制御する、制御手段と
を有し、
燃料消費抑制モード、休止モード、検出モードを反復して動作する、
燃料電池発電システムであって、
前記制御手段は、
前記燃料消費抑制モードにおいて、前記燃料検出センサの検出値を読み取り、前記燃料電池における燃料消費量がほぼ一定となることを検出したとき、前記休止モードに移行し、
前記休止モードにおいて、
前記第1電流センサの検出値を計測し、
計測した前記第1電流センサの検出値と、前記燃料電池の開放状態における燃料消費量とある燃料電池電流に対する燃料消費量とで規定される前記燃料電池の内部電流とを加算して総合燃料電池電流を計算し、
記検出モードにおいて、前記第1電圧センサおよび前記第1電流センサの検出値から求めた前記燃料電池出力電力を、前記総合燃料電池電流で除して効率電圧を求め、最大効率電圧を検出し、
前記燃料消費抑制モードにおいて、当該効率電圧が最大となるように、前記電圧制御手段を追従制御する、
燃料電池発電システム。
【請求項2】
前記燃料検出センサは、低速な水素センサである、
請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項3】
前記電圧制御手段は、DC-DCコンバータである、
請求項1または2に記載の燃料電池発電システム。
【請求項4】
燃料供給部の後段に設けられ、供給される燃料の量を検出する燃料検出センサと、前記燃料供給部から供給された燃料によって発電する燃料電池と、前記燃料電池の後段に設けられた電圧制御手段と、前記電圧制御手段の後段に設けられ、負荷に電力を提供する、キャパシタ要素を有するエネルギー蓄積要素と、前記燃料電池の出力電圧および出力電流を検出する、第1電圧センサおよび第1電流センサと、前記エネルギー蓄積要素の出力電圧および出力電流を検出する、第2電圧センサおよび第2電流センサとを有し、燃料消費抑制モード、休止モード、検出モードを反復して動作する、燃料電池発電システムにおける燃料電池発電制御方法であって、
前記燃料消費抑制モードにおいて、前記燃料検出センサの検出値を読み取り、前記燃料電池における燃料消費量がほぼ一定となることを検出したとき、前記休止モードに移行し、
前記休止モードにおいて、
前記第1電流センサの検出値を計測し、
計測した前記第1電流センサの検出値と、前記燃料電池の開放状態における燃料消費量とある燃料電池電流に対する燃料消費量とで規定される前記燃料電池の内部電流とを加算して総合燃料電池電流を計算し、
記検出モードにおいて、前記第1電圧センサおよび前記第1電流センサの検出値から求めた前記燃料電池出力電力を、前記総合燃料電池電流で除して効率電圧を求め、最大効率電圧を検出し、
前記燃料消費抑制モードにおいて、当該効率電圧が最大となるように、前記電圧制御手段を追従制御する、
燃料電池発電制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池発電システムおよびその制御方法に関する。
より特定的には、本発明は、燃料電池の燃料消費量を極力抑え、効率的に運転するための制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の実用化が進んでいる。燃料電池の用途としては、たとえば、車両、家庭用電源、ポータブル電源などがあり、下記に例示する利害得失が指摘されている。
たとえば、燃料電池自動車は、電気自動車における諸問題点、たとえば、燃料の一充填当たりの走行可能距離が短い、充填に時間がかかる、車重量が2トンを超えるような大型車への搭載が難しいなどの欠点に対して、充填時間が短く、燃料効率が(ガソリン車と比較して)非常に高いなどの利点を持つ。
富士経済調べによる燃料電池自動車の市場規模として、2015年に5000台を販売、2020年に20万台、2025年に160万台と予測している。
しかしながら、現在、燃料電池自動車には、1)高コスト、2)耐久性が低い、3)低温での作動が難しいという点が指摘されている。
かかる問題を解決する提案が種々提示されている。
【0003】
特許文献1(特開2008-270047号公報)は、燃料電池の出力電圧Viと出力電流Iiから出力電力Piを求め、出力最大値の前後の離散した値を補間して、真の最大出力電力Pmを求める方法を開示している。
【0004】
特許文献2(特開2008-10220号公報)は、燃料電池の出力電圧を変動させて燃料電池の出力電圧を計測し、燃料電池出力電力点を求める(電圧可変による最大電力を求める)技術を開示している。
【0005】
特許文献3(特開2005-235082号公報)は、最大電力を与える目標値から所定量だけ少ない、または、多い電流から、電流を可変して逐次出力電力を計算して前回の出力電力と比較することにより最大電力を求める(電流可変による電力最大値を求める)技術を開示している。
【0006】
特許文献4(特開2010-033904号公報)は、燃料電池本体が供給セル補助電源の出力電圧が中間値よりも高い場合は燃料優先モードに移行し、中間値より低い場合は出力優先モードに移行させる技術を開示している。
【0007】
特許文献5(特開2007-250427号公報)は、バッテリ残量が所定量以上のときに通常発電モードから発電休止モードに移行することを開示している。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-270047号公報
【特許文献2】特開2008-010220号公報
【特許文献3】特開2005-235082号公報
【特許文献4】特開2010-033904号公報
【特許文献5】特開2007-250427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、燃料電池は、たとえば、上述した燃料電池自動車など適用するに際して、燃料電池発電システムのさらなる改善が求められている。
【0010】
燃料電池発電システムでは、燃料電池において燃料を使用して発電するため、たとえば、燃料電池自動車などのように、いかに燃料を長持ちさせるかという観点も燃料電池自動車の走行距離を伸ばす意味から非常に重要となる。そのためには、高い効率で燃料電池を運転することが必要となる。
【0011】
さらに、低価格で、かつ、高い効率で燃料電池を運転することも要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は下記の考察に基づく。
燃料使用量に対する燃料電池の出力電力の比(出力燃料比)をζで表せば、この値が大きいほど効率良く燃料が使用されていることになる。
【0013】
図1は、横軸に示した燃料電池電流IFCに対する、縦軸に示した、燃料電池出力電圧VFC、燃料電池出力電力PFC、燃料使用量Hに対する燃料電池出力電力PFCの比率(以下、出力燃料比)ζ(=PFC/H)を示す。
図1の図解から分かるように、出力燃料比ζ(=PFC/H)の最大点ζmaxは必ずしも最大電力PFCmaxの点と一致しない。このことは、燃料電池発電システムにおいて最大電力PFCmaxに追従させる制御では燃料の無駄が生じることになる。
換言すれば、燃料電池のエネルギー効率の観点からは、出力燃料比ζが最大となる最大点である最大出力燃料比ζmaxにおける制御が好ましいことが理解できる。
このことは、定電流制御についても同様のことが言える。
【0014】
最大出力燃料比ζmaxの点を検出するためには、図2に示すように、燃料としての水素の供給量を検出する水素センサの検出応答に応じて燃料電池の出力電流あるいは出力電圧を段階的に変化させて同時に水素センサによって水素使用量を計測して出力燃料比ζが最大となる点を検出して、電圧制御手段、たとえば、DC-DCコンバータを介して、それに追従する動作を繰り返して高効率制御を行うことができる。
【0015】
本発明は、基本的にかかる構想に基づくが、上記方法のみでは、上記水素センサの検出期間に消費される水素の無駄が発生し、これを抑えようとすると高速水素センサを用いて出来るだけ検出のための時間を短縮する必要がある。
しかしながら、そのような高速水素センサは高価であるから、燃料電池システムの実用化に際しては、低価格の水素センサの使用でも、上述した目的を達成することが望まれる。
【0016】
本発明は、燃料電池発電システムにおいて、燃料電池の燃料消費量を極力抑え、効率的に運転するための制御方法および制御システムを見出すことにある。
具体的には、燃料使用量に対する燃料電池の出力電力FCの比(出力燃料比ζ(=PFC/H)を求め、この出力燃料比ζの値が最大となる燃料電池の出力電流または出力電圧を検出し、制御手段、たとえば、マイクロプロセッサが、電圧制御手段、たとえば、DC-DCコンバータを用いてその値(最大出力燃料比ζMAXに追従させる。
【0017】
本発明では、燃料使用量と比例して変化する「総合燃料電池電流FCT 」を用いることにより、制御手段が燃料使用量に対する燃料電池の出力電力の最適条件を検出し、電圧制御手段、たとえば、DC-DCコンバータの制御を行う。
「総合燃料電池電流IFCT 」は、燃料電池の出力電流を計測した第1電流センサの検出値(IFC)と、燃料電池の内部電流IFC0 とを加算して求めることができる。
また、燃料電池の内部電流IFC0 は、燃料電池の開放状態における燃料消費量Hとある燃料電池電流に対する燃料消費量とから計算することができる。
【0018】
「総合燃料電池電流FCT 」は、水素センサの応答性・検出速度に依存することなく算出可能であり、総合燃料電池電流IFCT を用いると効率電圧Ve最適点の検出時間が大幅に短縮され、たとえば、1秒程度で最適点を検出可能となる。
【0019】
すなわち、本発明の燃料電池発電システムにおいて、燃料使用量に対する燃料電池の出力電力の比(出力燃料比ζ)の最大値である出力燃料比ζmaxを検出するために、制御手段により、電圧制御手段、たとえば、DC-DCコンバータを介して出力燃料比ζの増加する方向に燃料電池の電圧または電流を段階的に変化させる。
また、最大出力燃料比ζmax点で燃料電池の出力電圧あるいは燃料電池の出力電流に追従するように、制御手段、たとえば、マイクロプロセッサが、電圧制御手段、たとえば、DC-DCコンバータを制御する。
【0020】
本発明によれば、燃料供給部の後段に設けられ、供給される燃料の量を検出する燃料検出センサと、前記燃料供給部から供給された燃料によって発電する燃料電池と、前記燃料電池の後段に設けられた電圧制御手段と、前記電圧制御手段の後段に設けられ、負荷に電力を提供する、キャパシタ要素を有するエネルギー蓄積要素と、前記燃料電池の出力電圧および出力電流を検出する、第1電圧センサおよび第1電流センサと、前記エネルギー蓄積要素の出力電圧および出力電流を検出する、第2電圧センサおよび第2電流センサと、前記第1電圧センサおよび第1電流センサ、および、前記第2電圧センサおよび第2電流センサの検出値に基づいて、前記電圧制御手段を制御する、制御手段とを有し、
燃料消費抑制モード、休止モード、検出モードを反復して動作する、
燃料電池発電システムであって、
前記制御手段は、
前記燃料消費抑制モードにおいて、前記燃料検出センサの検出値を読み取り、前記燃料電池における燃料消費量がほぼ一定となることを検出したとき、前記休止モードに移行し、
前記休止モードにおいて、
前記第1電流センサの検出値を計測し、
計測した前記第1電流センサの検出値と、前記燃料電池の開放状態における燃料消費量とある燃料電池電流に対する燃料消費量とで規定される前記燃料電池の内部電流とを加算して総合燃料電池電流を計算し、
記検出モードにおいて、前記第1電圧センサおよび前記第1電流センサの検出値から求めた前記燃料電池出力電力を、前記総合燃料電池電流で除して効率電圧を求め、最大効率電圧を検出し、
前記燃料消費抑制モードにおいて、当該効率電圧が最大となるように、前記電圧制御手段を追従制御する、
燃料電池発電システムが提供される。

【0021】
また本発明によれば、上記制御を行う制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、燃料電池の燃料使用量を極力抑えた、効率の高い発電システムを提供することができる。
また本発明によれば、安価な水素センサで実現するための、燃料電池発電システムを低価格で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は燃料電池の特性を示す概念図であり、横軸に燃料電池電流IFC、縦軸に、燃料電池出力電圧VFC、燃料電池出力電力PFC、燃料使用量Hに対する燃料電池出力電力PFCの比率(出力燃料比)ζを示す。
【図2】図2は燃料電池発電システムの制御方法の1例を示す図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態の燃料電池発電システムの構成である。
【図4】図4は本実施の形態の燃料電池発電システムの動作波形の概念図である。
【図5】図5は燃料電池発電システムにおける制御の流れの一つの例を模式的に示した図である。
【図6】図6は図5におけるモードの切り替え方を図示した図である。
【図7】図7はエネルギー蓄積要素のエネルギーレベルによる動作概念図である。
【図8】図8は本発明のより具体的な実施の形態として固体高分子型燃料電池システムを図示した図である。
【図9】図9は高速水素センサを用いた場合のζmax点検出動作波形である。
【図10】図10は本発明の実施の形態の効率電圧Vemax点検出動作波形を示す図である。
【図11】図11は負荷パターンの1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の燃料電池発電システムの実施の形態としての燃料電池発電システムの構成例を図3に示す。
燃料電池発電システム10は、燃料としての水素を供給する燃料供給部12、燃料使用量(供給量)を検出する水素センサ14、燃料供給部12から供給された燃料で発電する燃料電池(FC)16、第1電圧センサ20、第1電流センサ18、DC-DCコンバータ22、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池などのエネルギー蓄積要素24、第2電圧センサ28、第2電流センサ26、負荷30、制御を実行するための制御手段の1例としてのマイクロプロセッサ32という構成を有する。


【0025】
たとえば、通常の水素消費量を抑制する制御では、燃料電池発電システムの動作中に水素消費量(供給量)を計測することが必須である。この場合,水素センサの応答時間は数100msであることや、むしろ水素の流量自体の検出応答性、すなわち、水素の配管の状態によって大幅に遅れることもある。したがって、水素の消費を極力抑えるために高効率点をスキャンするためにはある程度の時間が必要であり、その間に水素の消費に無駄が生じたり、システム動作の応答が悪くなるといった問題が生じる。


【0026】
そこで、本発明の実施の形態では、上述した課題を克服するため、より高速で高効率点をスキャンするために、スキャン自体を水素センサの応答時間に依存しないで実行するための新しい制御方式を適用した。その詳細を以下に述べる。

【0027】
ファラデーの法則から水素の反応量と通電量は比例関係にある。そこで、水素の代わりに「総合燃料電池電流IFCT」を計算し、効率電圧Ve[V]=(燃料電池出力電力PFC[W]/総合燃料電池電流IFCT[A])を定義する。
この効率電圧Veが最大となる点で、電圧制御手段、たとえば、DC-DCコンバータ22を動作させることで、水素の消費を抑制することができる。

【0028】
ここで、総合燃料電池電流IFCTは、通常の燃料電池の出力電流FCに加えて,燃料電池の内部電流とクロスオーバを考慮したものである。
すなわち、「総合燃料電池電流IFCT 」は、燃料電池の出力電流を計測した第1電流センサの検出値と、燃料電池の内部電流とを加算して求めることができる。また、燃料電池の内部電流は、燃料電池の開放状態における燃料消費量H0 とある燃料電池電流に対する燃料消費量Hとから計算することができる。

【0029】
この内部電流とクロスオーバは本質的に等価であることから、これを単に内部電流IFC0と呼ぶこととする。
内部電流IFC0を求めるためには、燃料電池(FC)16の開放状態における水素消費量H0[1/min]と、燃料電池のある電流IFC[A]に対する水素消費量H[1/min]を測定して以下の式(1)で算出することができる。

【0030】
【数1】
JP0006125750B2_000002t.gif

【0031】
効率電圧Veは、燃料電池出力電力PFCを、前記総合燃料電池電流IFCT で除した値として求めることができる(すなわち、Ve。=PFC/IFCT
総合燃料電池電流IFCT は、燃料電池の出力電流を計測した第1電流センサの検出値IFCと、燃料電池の内部電流IFC0 とを加算して求めることができる(すなわち、IFCT =IFC+IFC0
なお、燃料電池の内部電流IFC0 は、燃料電池の開放状態における燃料消費量H0 とある燃料電池電流に対する燃料消費量Hとから計算することができる。
燃料電池の出力電力PFCは、たとえば、第1電圧センサ20の検出値VFCと第1電流センサ18の検出値IFCを乗算することにより求めることができる(すなわち、PFC=VFC×IFC
したがって、効率電圧Veは、以下の式(2)で表すことができる。


【0032】
【数2】
JP0006125750B2_000003t.gif

【0033】
本実施の形態は、マイクロプロセッサ32において、この効率電圧Veに基づく量(値)が最大となる点を追従するように、DC-DCコンバータ22の制御を行う。マイクロプロセッサ32によるDC-DCコンバータ22の制御の例は、図8における昇圧型DC-DCコンバータ122を参照して後述する。


【0034】
すなわち、本実施の形態によれば、水素センサによる水素消費量Hの計測に代わり、式2から、第1電流センサ18の検出した燃料電池の出力電流IFC燃料電池の内部電流IFC0 とを加算した電流を用いることで効率電圧Veを求めることができ、検出時間を大幅に短縮することができる。
この方式では、マイクロプロセッサ32が、第1電圧センサ20および第1電流センサ18の検出値を入力するという、燃料電池(FC)16の電圧と電流に基づいてスキャンを行うため、すなわち、電気信号としてスキャンするため、応答時間(計測時間)が格段に速いという利点がある。
他方、水素センサ14として、高速動作する水素センサを用いる必要がなく、低価格で燃料電池発電システム10を構成することができるという利点がある。


【0035】
図4に燃料電池発電システム10の動作波形の概念図を示す。
以下に、制御装置(または、制御手段)としてのマイクロプロセッサ32が行う具体的な制御処理の流れについて述べる。

【0036】
燃料消費抑制モード
マイクロプロセッサ32は、時刻t0で燃料消費抑制モードの処理に入り、水素センサ14の検出値を読み取り、水素センサ14の検出値を監視して燃料電池(FC)16における水素消費量がほぼ一定となる時刻t1で水素消費量、第1電流センサ18でそのときの燃料電池の出力電流IFCを計測する。

【0037】
休止モード
マイクロプロセッサ32は、第2電圧センサ28の検出値(VLを読み取り、エネルギー蓄積要素24におけるキャパシタ電圧が上昇して既定値となったことを検出した、時刻t2で休止モードに入る。
休止モードでは、第1電流センサ18で計測される燃料電池16への出力電流IFCが低下する。

【0038】
マイクロプロセッサ32は、水素センサ14の検出値を読み取り、燃料電池(FC)16における水素消費量が低下していきほぼ一定となることを検出した、時刻t3で、水素センサ14の検出値を読み取り、水素消費量(H0を計測する。

【0039】
燃料電池内部電流IFC0の予測
マイクロプロセッサ32は、上述した検出値FC、H、H0 を使用して、(1)式より燃料電池の内部電流IFC0を予測する。
燃料電池の内部電流IFC0が分かると、燃料電池の内部電流IFC0に、燃料電池の出力電流を計測した第1電流センサの検出値IFCを加算することで、総合燃料電池電流IFCT を求めることができる。

【0040】
検出モード、最大効率点Vemax点の検出
次に、マイクロプロセッサ32は、時刻t4で、第2電圧センサ28の検出電圧を読み取り、エネルギー蓄積要素24内のキャパシタ電圧が既定値まで下がることを検出すると、休止モードを終了して、検出モードに移行して、効率電圧Veを(2)式より算出しながら、その最大効率点Vemax点を検出する。

【0041】
なお、図4の図解において、この検出期間は、原理を示すために、便宜的に図解を長く示しているが、実際には、上述した信号処理であるから極短時間で検出を行うことができる。
この検出速度は、燃料電池(FC)16の水素供給に対する応答速度で設定する。

【0042】
燃料消費抑制モード
マイクロプロセッサ32は、時刻t5で検出モードを終了し、燃料消費抑制モードに移行して、第1電流センサ18の検出値(燃料電池の出力電流IFCを参照して、最適動作電流IFCOPとなるように、DC-DCコンバータ22を制御して追従制御を行う。

【0043】
マイクロプロセッサ32による、DC-DCコンバータ22の制御方法の具体例は、たとえば、図8を参照して述べる。

【0044】
反復処理
マイクロプロセッサ32が、以上の動作を蓄電開始時毎に行うことにより、燃料電池(FC)16の高効率動作が可能となる。

【0045】
図5は、燃料電池発電システム10における制御の流れの一つの例を模式的に示した図である。
マイクロプロセッサ32は、効率電圧Veの最大点を検出する動作(Vemax検出モード)の後に、負荷30の電力PLの大きさに応じて、負荷30の電力L最適電力FCOP以下の場合は燃料消費抑制モードで動作させ、燃料の消費量を極力抑える。
マイクロプロセッサ32は、PLがPFCOPより大きい場合には電力制御モードで動作させる。

【0046】
モード切替
図6は上記モードの切り替え方を図示した図である。
図6を参照して、モードの切り替えについて述べる。
マイクロプロセッサ32は、PL≦PFCOPのときは、燃料電池(FC)16の電PFCをPFCOP(IFCOP)となるように制御し、L>PFCOPのときは、PFCを負荷電力PLより少し上回る電力となるように制御する。


【0047】
図7はエネルギー蓄積要素24のエネルギーレベルによる動作概念図である。
イクロプロセッサ32は、図7に示すように、エネルギー蓄積要素電圧(負荷電圧)VLの値(エネルギーレベル)が上限値になった場合、動作モードを休止する(休止モード)。

【0048】
この間、マイクロプロセッサ32は、負荷30でエネルギーが消費され負荷電圧VLの値が下限値となったならば、直ちに負荷30の消費電力に応じて負荷30に電力が供給されるように燃料消費抑制モードあるいは最大電力モードで動作を開始する。
なお、休止モード中に負荷30の電力Pがある設定値を超えた場合には、マイクロプロセッサ32は、電力抑制制御モードでエネルギーを供給し、負荷電圧Vの値の低下を回避するように制御する。


【0049】
以上の制御処理より、水素センサ14として高速水素センサを用いないでも、燃料電池(FC)16における燃料(水素)の消費を極力抑えた高効率な燃料電池発電システムが実現できる。
もちろん、マイクロプロセッサ32による信号処理によって、高速に最大効率点Vemax点を検出することができるから、燃料使用量の無駄を防止することができる。

【0050】
固体高分子型燃料電池システム
図8は、本発明のより具体的な実施の形態として、固体高分子型燃料電池システム100を図示した図である。
固体高分子型燃料電池システム100において、図3に図解したDC-DCコンバータ22に対応して昇圧型DC-DCコンバータ122を用い、エネルギー蓄積要素24として電気二重層キャパシタ124を用い、電気二重層キャパシタ124と負荷30との間にインバータ136を追加し、マイクロプロセッサ32に対応してDSP(Digital Signal Processor)制御ボード132を用いた。

【0051】
図3に図示した燃料電池発電システム10における第1電圧センサ20、第1電流センサ18、第2電圧センサ28、第2電流センサ26に対応して、図8に図解した固体高分子型燃料電池システム100においては、第1電圧センサ120、第1電流センサ118、第2電圧センサ128、第2電流センサ126を設けている。
PEFCシステム110は、図3に図解した、燃料供給部12、水素センサ14、燃料電池(FC)16を総称して図解したものである。

【0052】
パージ制御回路112は、燃料電池の水分過多による劣化及び出力低下を防ぐため、不要な空気、ガス並びに水分を外気に放出させる役割がある。
そこで、燃料電池の水素出口側に電磁弁を接続し、弁の開閉をDSP制御ボード132で制御してパージを行っている。

【0053】
すなわち、固体高分子型燃料電池システム100は、昇圧型DC-DCコンバータ122の入力側にはPEFCシステム110を、出力側には電気二重層キャパシタ124をそれぞれ接続し、インバータ136を介して負荷30で消費する回路構成である。

【0054】
昇圧型DC-DCコンバータ122は、リアクタL1と、ダイオードDと、MOSFETと、キャパシタC1とが図示のごとく構成されている。
DSP制御ボード132が、マイクロプロセッサ32と同様に、MOSFETを制御することにより、昇圧型DC-DCコンバータ122を制御する。そのため、DSP制御ボード132から、光電変換回路142、ゲートドライバ144を介して、MOSFETのゲートに制御信号を出力する。

【0055】
すなわち、DSP制御ボード132は、昇圧型DC-DCコンバータ122の入力側の第1電圧センサ120、第1電流センサ118の読みと、昇圧型DC-DCコンバータ122の出力側の第2電圧センサ128、第2電流センサ126との読みに基づいて、最適なPWM制御信号を算出して、光信号で出力し、光電変換回路142で電気信号に変換してからゲートドライバ144を経て、MOSFETのゲートに出力して、負荷30に印加する電圧を制御する。
これにより、MOSFETのON・OFFを制御することで、水素消費量の最も少ない点を追従するという回路動作となっている。
本制御方式はコンバータで水素消費量を極力抑制した点で制御を行う。

【0056】
本発明の実施の形態の具体例の効果
図9は、本発明との比較のため、高速水素センサを用いた場合の最大出力燃料比ζmax点検出動作波形を示す図である。
図9を参照すると、検出動作をなるべく短くするために高速水素センサを用いても水素量への応答が4秒であったので、一回の変化に対して4秒おいてから次の変化に移行する必要がある。そのため、全体の検出時間は50秒程度となっている。

【0057】
図10は本発明の実施の形態の効率電圧Vemax点検出動作波形を示す図である。
図10において、検出時に水素量の計測を必要としないため、検出時間は1秒で済んでいることが分かる。したがって、安価な水素流量センサを用いても、本発明の検出動作を実現することができる。

【0058】
図11は負荷パターンの1例を示す図である。
図11に示す負荷パターンを用いたときの水素の消費量を比較した結果、従来のMPPT制御方式と比較して、高価な高速水素センサを用いた方式では水素の量を低減することができたが、本発明の実施の形態では安価な規格品の水素流量センサを用いても、さらに水素の量を低減することができた。

【0059】
以上のとおり、本発明は、
(1)燃料使用量を検知する、低速動作でもよい低価格の水素センサを設置し、
(2)効率電圧Ve[V]=(燃料電池出力電力PFC[W]/総合燃料電池電流IFCT[A])を定義し、
(3)この効率電圧Ve[V]が最大となる点で動作させるように制御することで、
(4)燃料電池の燃料としての水素の消費を抑制することができる。
すなわち、最大効率点の検出時を信号処理によって行うので、高速に最大効率点の検出が可能となり、検出時間の短縮により、応答遅延に起因する水素の無駄がない。
また、最大効率点の検出時に水素消費量を計測しないので使用する水素流量センサの応答は特別高速なものを使用する必要がなく、低価格のもので良い。すなわち、本発明の実施の形態適用によって燃料電池発電システムにおける燃料電池の燃料消費量・システム全体のコストを従来技術と比べてさらに抑えることが可能となる。


【0060】
したがって、たとえば、本発明の燃料電池発電システムを燃料電池自動車などに適用すると、燃料の無駄がなく、たとえば、走行距離を延ばすことができる。また、低価格で製造することができる。
その他の用途についても同様である。

【0061】
本発明の実施に際しては、上述した例示に限らず、上記実施の形態と同様または代替技術を適用することができる。
たとえば、DC-DCコンバータ22は、図8に例示した昇圧型DC-DCコンバータ122に限らず、公知のDC-DCコンバータを適宜適用することができる。
また、図3に図解したマイクロプロセッサ32、図8に図解したDSP制御ボード132は、信号処理機能を有する各種演算制御手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
10・・・燃料電池発電システム、12・・・燃料供給部、14・・・水素センサ、16・・・燃料電池(FC)、20・・・電圧センサ、18・・・電流センサ、22・・・DC-DCコンバータ、24・・・電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池などのエネルギー蓄積要素、28・・・電圧センサ、26・・・電流センサ、30・・・負荷、32・・・マイクロプロセッサ、100・・・固体高分子型燃料電池システム。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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