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明細書 :FRETを利用した酵素活性測定基質及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5697129号 (P5697129)
公開番号 特開2011-201943 (P2011-201943A)
登録日 平成27年2月20日(2015.2.20)
発行日 平成27年4月8日(2015.4.8)
公開日 平成23年10月13日(2011.10.13)
発明の名称または考案の名称 FRETを利用した酵素活性測定基質及びその製造方法
国際特許分類 C12Q   1/34        (2006.01)
C12Q   1/40        (2006.01)
C08F 220/58        (2006.01)
C08F 220/60        (2006.01)
FI C12Q 1/34
C12Q 1/40
C08F 220/58
C08F 220/60
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2010-068027 (P2010-068027)
出願日 平成22年3月24日(2010.3.24)
審査請求日 平成25年2月26日(2013.2.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】松岡 浩司
【氏名】荒井 啓克
【氏名】岡 博之
【氏名】幡野 健
個別代理人の代理人 【識別番号】100137512、【弁理士】、【氏名又は名称】奥原 康司
【識別番号】100149294、【弁理士】、【氏名又は名称】内田 直人
審査官 【審査官】山本 晋也
参考文献・文献 特開平09-124740(JP,A)
特開2008-067694(JP,A)
特表2005-527212(JP,A)
特表2002-507434(JP,A)
国際公開第2008/095493(WO,A1)
米国特許出願公開第2004/0241782(US,A1)
米国特許出願公開第2009/0305291(US,A1)
米国特許出願公開第2007/0264667(US,A1)
米国特許出願公開第2008/0193956(US,A1)
Santoso et al,PNAS,2010年 1月12日,Vol. 107, No. 2,p. 715-720
Seitz et al,Chem. Eur. J.,2001年,Vol. 7, No. 18,p. 3911-3925
Bobkov et al,J. Mol. Biol.,2002年,Vol. 323,p. 739-750
Sun et al,Biopolymers,2007年,Vol. 88, No. 2,p. 141-149
荒井 他,日本化学会第91回春季年会 講演要旨集IV,2011年 3月11日,p. 1152, 2 A2-27
Li et al,J. Phys. Chem.,2008年,Vol. 112,p. 13263-13272
An et al,Journal of Materials Chemistry,2007年,Vol. 17,p. 4147-4152
調査した分野 C08C
C08F
C12Q
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Thomson Innovation
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の式(VI)のポリマー形態の酵素基質。
【化1】
JP0005697129B2_000012t.gif
(式(VI)中、xは1、yは105以下の整数、zは5以下の整数である。)
【請求項2】
請求項1に記載の基質を含む酵素活性測定用キット。
【請求項3】
FRETの蛍光ドナーが結合している重合性化合物を以下の式(II)の化合物、FRETの蛍光アクセプターが結合している重合性化合物が以下の式(III)の化合物、並びに、FRETの蛍光ドナー及びFRETの蛍光アクセプターのいずれも結合していない重合性化合物をアクリルアミドとして、共重合させてポリマー形態の酵素基質を1工程で製造する方法。
【化2】
JP0005697129B2_000013t.gif

【請求項4】
前記共重合が、ラジカル重合であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素の基質及びその製造方法に関する。より具体的には、FRETを利用した酵素の基質及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET; Fluorescence Resonance Energy Transfer)を誘導する分子は、ストライヤーらにより分子定規として初めて合成され、以来、様々な分野においてその効果が利用されている。ストライヤーらによって合成された分子は、100Å以内の鎖長となるペプチドの両末端に蛍光ドナーと蛍光アクセプター導入したもので、ドナーからの蛍光をアクセプターが吸収し、ドナーとは異なる波長の蛍光を発するものである。このペプチドが鎖内で切断されると、ドナーからの蛍光をアクセプターが吸収できなくなるため、アクセプターからの蛍光が検出されなくなり、代わりにドナーからの蛍光が検出されるようになる。このように、ペプチドの切断により分子から発せられる蛍光の波長が変化するため、この波長変化を利用するとペプチダーゼなどの酵素活性を測定することが可能となる。
これまでに、FRETを利用した酵素活性の測定方法、並びに酵素基質に関する報告は数多く知られている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1及び非特許文献2など)。このようなFRETを利用した酵素基質及び酵素活性測定方法は、比較的検出感度が高いなどの利点を有する反面、基質の製造及び精製段階が煩雑であり、コストの面においても負担が大きいなど、改善すべき点も多く指摘されている。
【0003】
これまでに報告のあるFRET を利用した酵素基質は、比較的低分子のものがほとんどで、ポリマー状の基質で実用的なものはこれまでにほとんど知られていない。例えば、FRETではなく、蛍光寿命の増減を検出して酵素活性を測定するポリマー状の基質の報告は存在するが、感度の点において、FRETには劣ることが予想される(特許文献3)。
以上のようにFRETは酵素活性の基質に応用する技術として、極めて優れた技術ではあるが、検出可能なFRETを惹起する基質を簡易にしかも低コストで製造する実用的な方法は、これまでの所知られていない。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2000-333681
【特許文献2】特表2001-501170
【特許文献3】特表2005-527212
【0005】

【非特許文献1】Matsyoshiら,Science,247 (1990) 954-958
【非特許文献2】Matsuokaら, Tetrahedron Assymetry, 5 (1994) 2235-2238.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、FRETを利用した酵素基質は、低分子性のものが多く、その製造のために多くの工程と費用が必要とされていた。そのため、酵素活性の検出感度において優れているFRETを、酵素基質として汎用性の高い技術として使用する上で、より簡易でコストも低い製造方法に改善する必要があった。
そこで、本発明は、FRETを利用したポリマー形態の酵素基質、及び、その製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、FRET効果を利用した酵素基質の開発を行っていたところ、FRETの蛍光ドナー及び蛍光アクセプターを担持したモノマーからなるポリマーの合成に成功し、さらに、該ポリマーが酵素基質となり得ることを見出して本発明を完成させた。
FRETの蛍光ドナーと蛍光アクセプターを担持させたモノマーを使用し、ラジカル重合反応などを利用すると、1つの工程で短時間のうちにFRET感受性ポリマーを調製することが可能である。ここで調製されたポリマーには、酵素の認識部分を介して蛍光ドナー又はアクセプターが結合するモノマーが構成要素として含まれている。該ポリマーを基質として酵素活性を測定すると、非常に良好なFRET効果を確認することができた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の式(I)のポリマー形態の酵素基質である。
【化1】
JP0005697129B2_000002t.gif

(式(I)中、A、B又はCのいずれか1つにFRETの蛍光ドナーが結合しており、他の2つのいずれか1つにFRETの蛍光アクセプターが結合しており、該蛍光ドナー又は該蛍光アクセプターのいずれか1つは、酵素の基質部分を介して結合しており、x、y及びzは1以上の整数である。ただし、蛍光ドナー及び蛍光アクセプターのいずれも結合していないA、B又はCに対応するx、y又はzは、0もしくは1以上の整数である。)
さらに、本発明は、FRETの蛍光ドナーが結合している重合性化合物、FRETの蛍光アクセプターが結合している重合性化合物、並びに、FRETの蛍光ドナー及びFRETの蛍光アクセプターのいずれも結合していない重合性化合物を共重合させてポリマー形態の酵素基質を1工程で、一気に製造する方法であって、蛍光ドナー又は蛍光アクセプターのいずれか1つの結合が酵素基質部分を介する結合である、ポリマー形態の酵素基質の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の基質は、FRET効果を利用して酵素活性を検出するものであり、共重合反応により煩雑な工程を経ることなく製造することが可能であり、また、製造コストも安価に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の酵素基質の作用機序を模式的に示した図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法により合成したアミラーゼの基質を用いて、活性測定をした結果である。経時的に、520nm付近の蛍光(蛍光アクセプター由来)が減少し、340nm付近の蛍光(蛍光ドナー由来)が増加している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の1つは、FRETの蛍光ドナーが酵素基質部分を介し、又は介さずに結合した重合性化合物と、FRETの蛍光アクセプターが酵素基質部分を介し、又は介さずに結合した重合性化合物を共重合させてポリマー形態の酵素基質を製造する方法、あるいは、FRETの蛍光ドナー及びFRETの蛍光アクセプターのいずれも結合していない重合性化合物をさらに加えて共重合させたポリマー形態の酵素基質を製造する方法である。
これらの重合性化合物をモノマーとして共重合させる場合、当業者によって容易に選択される重合方法であれば、いかなるものであってもよいが、重合反応を可能な限り短時間で、一気に進行させることができる重合方法が望ましい。重合方法として、例えば、付加重合反応(ラジカル重合反応、イオン重合反応)、開環重合反応、重縮合反応、重付加反応、付加縮合反応などが挙げられ、特に、ラジカル重合反応が簡便で好ましい方法である。また、本発明において使用される重合性化合物は、重合可能な官能基がモノマー内に存在し、溶媒に可溶であれば、いかなる化合物であってもよく、このような化合物は当業者により容易に選択可能なものを、目的に応じて適宜選択することができる。特に限定はしないが、本発明のモノマーとして例を挙げるとすれば、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル系モノマー、アクリルアミドなどのアクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができる。モノマーとして脂溶性のもの、例えば、スチレンなどを使用すると脂溶性の高いポリマーへの誘導が可能になるため、このように製造された酵素基質は、プラスチックなどの支持体に対して疎水性相互作用により、予め固定することも可能であり、酵素活性の測定キットなどの作製にも利用できる。

【0012】
重合条件は、使用する重合性化合物や重合方法によって異なるが、当業者であれば適切な重合条件を選択することが可能である。また、各重合性化合物の混合比率についても、予め予備的な重合実験などを行うことにより、当業者において容易に決定することができる。例えば、アクリルアミドなどのアクリル系モノマーを重合性化合物として使用した場合、蛍光アクセプターが結合したモノマーと蛍光ドナーが結合したモノマーの混合比率は、アクセプター結合モノマー1に対してモル比で、1~100、2~50、好ましくは、5~20、より好ましくは10程度である。また、アクセプターとドナーのいずれも結合していない重合性化合物をモノマーとして重合系に添加する場合の混合比率は、ドナー結合モノマーを1に対してモル比で、1~50、より好ましくは、5~20程度である。

【0013】
本発明のポリマー形態の酵素基質を製造するためのモノマーは、FRETの蛍光ドナー又は蛍光アクセプターが、活性測定対象である酵素による認識部分(つまり、基質部分。例えば、ペプチダーゼであれば切断部位として認識されるアミノ酸配列を含むペプチド部分)を介して結合している重合性化合物である。このようなモノマーを使用すると、ポリマー骨格部分と蛍光ドナー又は蛍光アクセプターのいずれか1つとの間に酵素認識部分が複数介在する構造を持つポリマーが合成される。このようなポリマー形態の酵素基質に対して、例えば、酵素認識部分を切断するような酵素が作用すると、蛍光ドナー又は蛍光アクセプターのいずれかがポリマー骨格部分から分離されることになるため、FRETに変化が生じることになる。このFRET変化を検出することで酵素活性を検出、測定することが可能となる。本発明のポリマー形態の酵素基質は、共重合反応のような容易で一気に反応が進む工程を利用して構築されるものであるため、従来のFRET利用基質に比較して、簡便、かつ、安価に合成することが可能となる。また、本発明の酵素基質を合成するために使用する各モノマーの混合比率を変えることで、FRETの蛍光ドナーと蛍光アクセプターの組成比を容易に変更することができ、酵素活性の測定感度などの調節が可能となる。
ここでFRETの蛍光ドナー及び蛍光アクセプターは、FRETを生じさせる蛍光分子ペアであれば如何なる組合せの蛍光分子ペアであってもよく、例えば、ドナー・アクセプターのペアとして、ナフチル基とダンシル基、EDANS基とDABCYL基などを挙げることができる。より詳細には、例えば、Analytical Biochemistry 218,1-13(1994)などを参照のこと。

【0014】
本発明の製造方法で使用される蛍光ドナーを結合した重合性化合物を、より具体的に示すと、例えば、以下の式(IV)のようなビニル化合物を挙げることができる。
【化2】
JP0005697129B2_000003t.gif

(式(IV)中、R、R及びRが同一又は異なる、水素、塩素、フッ素、メチル基、アセチル基、カルボキシル基、カルボキメチル基、シアノ基であり、Rは、酵素認識部分を介して、又は介さず結合する蛍光ドナーである)
また、本発明で使用される蛍光アクセプターを結合した重合性化合物を、より具体的に示すと、例えば、以下の式(V)のようなビニル化合物を挙げることができる。
【化3】
JP0005697129B2_000004t.gif

(式(V)中、R、R及びRが同一又は異なる、水素、塩素、フッ素、メチル基、アセチル基、カルボキシル基、カルボキメチル基、シアノ基であり、Rは、酵素認識部分を介して、又は介さず結合する蛍光ドナーである)

【0015】
上記式(IV)及び式(V)で示されるような化合物とアクリルアミドのような重合性化合物を使用して重合反応を行った場合、図1に模式的に示されるようなポリマー基質が合成される。図1では、例として、励起波長290nmで340nmの発光を生じる蛍光ドナーを結合させたモノマー、励起波長340nmで540nmの発光を生じる蛍光アクセプターを結合させたモノマー及びアクリルアミドを用いて合成した酵素基質を示してある。合成されたポリマーは、励起波長290nmで発光させるとドナーからは340nmの発光が生じるが、この発光波長は、アクセプターの励起波長と重なるため、FRET効果により540nmの発光がアクセプターから観測される。ここで、蛍光ドナーが任意の加水分解酵素の認識部分を介してポリマー基質に結合している場合、このポリマー基質に加水分解酵素を作用させると酵素認識部分が切断されてドナーが脱離する。その結果、FRET効果が消失して、代わりにドナー本来の発光(340nm)が観測されるようになる。
以上のように、本発明のポリマー形態の酵素基質を使用すれば、観測される蛍光の発光波長の変化を指標にして酵素活性を検出、測定することができる。

【0016】
本発明の範囲には、上記製造方法によって製造されるポリマー形態の酵素基質も含まれる。
本発明の酵素基質は、例えば、以下の式(I)のポリマー形態の化合物として示すことができる。
【化4】
JP0005697129B2_000005t.gif

(式(I)中、A、B又はCのいずれか1つにFRETの蛍光ドナーが結合しており、他の2つのいずれか1つにFRETの蛍光アクセプターが結合しており、該蛍光ドナー又は該蛍光アクセプターのいずれか1つは、酵素の基質部分を介して結合しており、x、y及びzは1以上の整数である。ただし、蛍光ドナー及び蛍光アクセプターのいずれも結合していないA、B又はCに対応するx、y又はzは、0もしくは1以上の整数である)

【0017】
本発明の酵素基質は、FRET効果を利用した活性測定が可能な酵素であれば如何なる酵素も基質とすることが可能である。特に限定はしないが、例えば、加水分解酵素など、例えば、カルボン酸エステル加水分解酵素(カルボキシルエステラーゼ、コリンエステラーゼ、ホスホリパーゼなど)、リン酸エステル加水分解酵素(ホスファターゼ、ヌクレアーゼなど)などのエステル加水分解酵素、糖加水分解酵素((α-、β-)アミラーゼ、セルラーゼ、グルコアミラーゼ、グルカナーゼ、グリコシダーゼ、シアリダーゼ、リゾチーム、マルターゼ、ガラクトシダーゼ、サッカラーゼ、グルコシダーゼ、マンノシダーゼ、N-アセチルヘキソサミニダーゼなど)、ペプチド結合加水分解酵素(ペプチダーゼ、プロテアーゼなど)、エーテル・チオエーテル加水分解酵素、ペプチド以外のCN結合加水分解酵素などの基質として使用することができる。

【0018】
例えば、アミラーゼの基質として、以下の式(VI)で示される化合物を例示することができる。式(VI)のポリマー化合物は、Aに対応するモノマーとして式(II)の化合物を使用し、Cに対応するモノマーとして式(III)の化合物を使用し、Bに対応するモノマーとしてアクリルアミドを使用し、本発明の製造方法によって合成することができる。ここで、式(II)の化合物には、アミラーゼの基質部分を介して蛍光ドナーが結合しており、式(III)の化合物には蛍光アクセプターが結合している。
【化5】
JP0005697129B2_000006t.gif

【化6】
JP0005697129B2_000007t.gif

【0019】
本発明の酵素基質は、適当な容器又はパック中に使用説明書と共に酵素アッセイ用のキットとして提供することができる。本発明のキットとして供給される場合、本発明の酵素基質の他、酵素活性を測定するために必要なバッファーなどの試薬等が含まれていてもよい。酵素基質の安定性を保持するために、当業者によって適宜選択される保存方法によって、本発明の酵素基質をキット中に収納することが望ましい。本発明の酵素基質を収納する容器としては、酵素基質の物理化学的な安定性が保持されるような材質からなるものであればいかなる形状のものであってもよい。例えば、96穴プレートなどのプラスチック製の基板等に分注し、場合によっては、該基質を基板状に固定(疎水性相互作用などにより)し、必要に応じて乾燥させた状態で提供してもよい。また、キットに使用説明書が添付される場合、その使用説明は、紙又は他の材質上に印刷されて供給されてもよく、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープなどの電気的又は電磁的に読み取り可能な媒体として供給されてもよい。あるいは、キットの製造者によって指定され又は電子メール等で通知されるウェブサイトに掲載されていてもよい。

【0020】
以下の実施例は、本発明の酵素基質として、アミラーゼ活性測定用基質の合成例とアミラーゼ活性測定結果を示すものである。本発明の実施例は、あくまでも例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0021】
1.アミラーゼ基質合成
1-1. マルトテトラオース誘導体(ドナー)の合成
マルトテトラオース(1)を完全アセチル化した後、BF・EtOをプロモータして4-ペンテン-1-オールとのグリコシル化により、ペンテニル基をアノマー位に導入した。Zemplen(ツェンプレン)条件下、脱アセチル化し、非還元末端の4位と6位をナフチリデン保護してから、残った水酸基を完全アセチル化した。さらに、MeN・BHとAlClを用いて選択的還元開裂させ、Zemplen条件下で脱アセチル化した。UV照射下、2-アミノエタンチオールとラジカル付加反応をした後、アクリロイル化、精製のため完全アセチル化、さらに脱アセチル化して重合性蛍光ドナー(2)の合成を達成した(スキーム1)。
【化7】
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【実施例】
【0022】
1-2.ダンシルクロライド誘導体(アクセプター)の合成
ダンシルクロライド(3)により、エチレンジアミンをダンシル化しアミン4へと誘導後、アクリロイル化して重合性蛍光アクセプター(5)を合成した(スキーム2)。
【化8】
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【実施例】
【0023】
1-3.ドナーとアクセプターの重合反応
蛍光ドナー(2)、蛍光アクセプター(5)、およびアクリルアミドをAPS-TEMEDによるラジカル共重合反応によりポリマー(6)へと誘導した(スキーム3)。
【化9】
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【実施例】
【0024】
合成例のポリマーの組成を表1に示す。
【表1】
JP0005697129B2_000011t.gif
【実施例】
【0025】
2.アミラーゼ活性の測定
上記のように合成した基質を100μlのDMSOに溶解させた後、10μlの溶液を6mlのHEPESバッファー(pH7.0)に拡散したものを基質溶液とし、活性測定には、そのうち3ml使用した。また、酵素溶液は、0.1mgのアミラーゼを1mlのHEPESに溶解させたものを10μl使用した。基質溶液と酵素溶液を混合したのち、37℃にて、経時的に蛍光スペクトルを測定した。その結果、時間の変化と共に520nmの蛍光アクセプター由来の蛍光が減少し、340nm付近の蛍光ドナー由来の蛍光が増加することが明らかとなった。また、この蛍光スペクトルの変化は、370nm付近に等発光点が観測されたことから、単なる蛍光消光や希釈による現象ではないことも確かめられた(図2)。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、ポリマー形態の酵素基質を簡易、かつ、安価に製造することができるため、酵素活性の検出に要するコストを削減することが可能となる。その結果、酵素活性の検出手段を利用する各分野に多大な貢献をすることが期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1