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明細書 :地盤改良方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5599032号 (P5599032)
公開番号 特開2011-157700 (P2011-157700A)
登録日 平成26年8月22日(2014.8.22)
発行日 平成26年10月1日(2014.10.1)
公開日 平成23年8月18日(2011.8.18)
発明の名称または考案の名称 地盤改良方法
国際特許分類 E02D   3/12        (2006.01)
C09K  17/32        (2006.01)
C09K  17/14        (2006.01)
C09K  17/06        (2006.01)
C09K  17/40        (2006.01)
C09K 103/00        (2006.01)
FI E02D 3/12 101
C09K 17/32 P
C09K 17/14 P
C09K 17/06 P
C09K 17/40 P
C09K 103:00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2010-018403 (P2010-018403)
出願日 平成22年1月29日(2010.1.29)
審査請求日 平成25年1月17日(2013.1.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
発明者または考案者 【氏名】安原 英明
【氏名】林 和幸
個別代理人の代理人 【識別番号】100120868、【弁理士】、【氏名又は名称】安彦 元
審査官 【審査官】苗村 康造
参考文献・文献 特表2008-524096(JP,A)
特開2011-045331(JP,A)
特開2005-015386(JP,A)
調査した分野 E02D 3/12
C09K 17/06~17/40
特許請求の範囲 【請求項1】
ウレアーゼの水溶液である第1溶液と、尿素及びカルシウム塩の水溶液である第2溶液とをそれぞれ地盤中に注入し、或いは上記第1溶液と上記第2溶液とを混合した直後にこれを地盤中に注入すること
を特徴とする地盤改良方法。
【請求項2】
上記カルシウム塩からのカルシウムイオンと、上記地盤中において上記ウレアーゼにより上記尿素を分解させて生成した炭酸イオンとを結合させた炭酸カルシウムを上記地盤中に析出させること
を特徴とする請求項1記載の地盤改良方法。
【請求項3】
所望の透水性又は地盤強度に応じて上記第2溶液における上記尿素の濃度及び/又は上記カルシウム塩の濃度を調整すること
を特徴とする請求項1又は2記載の地盤改良方法。
【請求項4】
所望の固化時間に応じて上記第1溶液と上記第2溶液との混合比率を調製すること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の地盤改良方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の強度を増強する地盤改良方法に関し、特に安価で環境にやさしい地盤改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年より、巨大地震の発生による地盤の液状化を防止する観点から、港湾施設や幹線道路に対して液状化防止対策が検討されている。
【0003】
既存の地盤改良工法で特に高強度の地盤改良体を地中に形成するためには、設備が比較的簡便な従来の地盤注入工法では困難であり、深層混合処理等に関しては大型重機の搬入を必要とする工法のみで実現可能である。しかしながら地盤改良工事は、住宅地が密集する平野部で行われることが多く、このような場所で高強度の改良体を地中に形成するためには、大型重機搬入のため、住宅の横引きや、工事に伴う住宅補填等、本工事以外でのコストが過大となっていた。
【0004】
このため、このような大型重機の搬入を必要としない地盤改良方法が各種提案されている。その中でも地盤中に薬液注入等を行うことにより地盤の強度の改善を試みる方法が主として提案されており、例えばシリカ系或いはセメント系薬液を地盤に注入し、これを固結させる方法等が用いられてきた。しかしながら、シリカ系の薬液は、強アルカリ性であり、セメント系の薬液は、改良体から六価クロムが溶出してしまう等、環境汚染を引き起こす可能性があった。
【0005】
従来の地盤改良方法としては、例えば特許文献1に示す開示技術が提案されている。この特許文献1に示す方法では、ホウ酸及び尿素を含有せしめた水溶液及び尿素分解酵素等を含む水溶液の何れか、又は両方に水酸基を有する水溶液高分子を含有させ、これを地盤に注入するものである。特許文献1によれば、地盤改良に使用する薬液は毒性が無く、注入管中でゲル化しても弱酸性温水を通すことにより除去することができ、地盤中に注入、散布された時点で強力なゲルとなるため、土質をより安定化させることができるとある。
【0006】
また、他の従来の地盤改良方法として、特許文献2に示す開示技術が提案されている。この開示技術によれば、土壌にセメント系固化材を混合し撹拌する工程、土壌改良材としての高分子化合物を含む水溶液を土壌に散布して撹拌する工程、敷き均しおよび転圧を行う工程、前記転圧後、前記高分子化合物を含む水溶液を散布する工程を含むものである。この方法によれば、転圧によって、細粒状態になった表層部の土壌が再び団粒化して、転圧後の土壌全体が通気性、透水性、保水性に優れた土壌とすることが可能となる。
【0007】
更に他の従来の地盤改良方法としては、特許文献3の開示技術が提案されている。この方法は、カルシウムを含む地盤中に微生物を投入し、微生物の代謝作用により生成した炭酸ガスとカルシウムが反応して地盤を固結するものである。また、この方法では、地盤中にアルカリ土金属化合物および微生物を投入し、微生物の代謝作用により生成した炭酸ガスとアルカリ土金属化合物が反応して地盤を固結する。この特許文献3の開示技術によれば、地盤の固結に際して有害物質を発生せず、このため環境への悪影響を与えることがなく、しかも大掛かりな装置や有害な薬品を必要としない方法であるとされている。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1の開示技術では、反応液体に水酸基を有する水溶液高分子化合物を使用することを必須の構成要件としている。その場合、当該特許文献1に記載されているように、混合薬液はゲル化するだけで大きな強度を発現することは困難である。また、特許文献1の開示技術において、尿素及び尿素分解酵素を使用するのは、水酸基を有する水溶性高分子化合物をゲル化させるために、pHを高くするために使用しているに過ぎない。これに加えて、特許文献1の開示技術では、実際に使用する薬液において粘度に関する記述があるが、最大で200cpsとあり、比較的粘性が高い。このため、透水性の低い地盤に対してこれを使用するのは困難となる。薬液の粘性が高い場合には、土地のろ過作用と相まって、注入1回あたりの改良範囲が小さくなってしまい、広い範囲で改良するには注入回数が多くなり、施工期間が長期化してしまい、工事費が高くなるという問題点があった。
【0009】
また、特許文献2の開示技術では、土壌改良材としての高分子化合物を含む水溶液を土壌に散布する工程を必須の構成要件としている。この高分子化合物は、地盤の通気性、透水性を向上させるものではなく、あくまで地盤を固化させる改良材である。このため、かかる高分子化合物を含む水溶液を土壌に散布した場合、改良後の地盤の通気性や透水性はむしろ著しく低下してしまう。また、高分子化合物が溶液に含まれるため、粘性が高くなり、注入1回あたりの改良範囲が小さくなってしまい、ひいては施工期間が長期化してしまう。
【0010】
また、特許文献1、3の開示技術では、固結物質の析出或いは注入薬液の固結に必要なアルカリ性の環境を与えるためだけの目的で、別途化学物質を添加する必要があり、これにより地下水環境が汚染される可能性がある。
【0011】
また、従来の地盤注入工法は、改良体の信頼性が低いことから工事時の止水等の仮設としての用途が主であった。特に上述した特許文献1の開示技術では、発明の目的が工事時における一時的な仮設としており、高強度かつ耐久性の高い改良体を得ることができないとい問題点がある。
【0012】
また、従来の地盤注入工法は、改良体の強度自体が小さいため、ある狭い範囲でしか改良強度を調整できず、また透水性をリニアに調節することができない。特許文献3の開示技術では、温度や栄養状態により活性が不安定にもなり得る微生物で主たる改良効果を発現させるため、改良効果の人為的制御が極めて困難である。また特許文献1の開示技術では、固結物質の耐久性が小さく、またこれらは地盤中の土石の間隙を全て充填してしまうものであることから、地盤の強度、剛性、透水性について、目的に応じた制御が困難である。
【0013】
また、既存の深層混合処理では、改良体の打設方向が鉛直下向きに限られ、既設構造物直下の地盤改良は困難である。即ち、既設構造物直下の地盤における耐震補強や盛土補強、擁壁土圧低減、仮設等において幅広く適用可能な地盤改良方法が従来から望まれていた。
【0014】
更に、上述した既存の地盤注入工法や、深層混合処理工法では、これらより形成された改良体において間隙が少ないため、改良体形成後の有害な反応副産物の除去が困難である。
【先行技術文献】
【0015】

【特許文献1】特開昭50-48703号公報
【特許文献2】特開2002-13102号公報
【特許文献3】特開2008-8023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した従来技術の問題点から、発明が解決しようとする課題は、以下の1)~7)にまとめることができる。
【0017】
1)有害な物質を使用しない。2)大掛かりな装置を必要としない。3)注入1回当たりの改良範囲を広く、安価にかつ迅速に施工する。4)仮設用ではなく、あくまで永久構造物として使用できる。5)強度、透水性及び固結時間を人為的に制御できる。6)既設構造物直下地盤の耐震補強や、盛土補強、擁壁土圧低減、仮設等、幅広く適用できる。7)反応副産物を現地に残存させない。
【0018】
そこで本発明は、上記1)~7)の各課題を解決することが可能な、安価で環境にやさしい地盤改良方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、上述した課題1)~7)毎に、以下の解決方針を案出した。
【0020】
1)有害な物質を使用しないという課題に対しては、土粒子の固結に利用する物質に無害なものを用いる。即ち、固結に必要な注入化学物質を極力減らすことで、上記課題の解決を図る。
【0021】
2)大掛かりな装置を必要としないという課題に対しては、使用する物質を最小限に抑えることにより、薬液混合に必要な施工ヤードを縮小するとともに、小型の施工機械で施工可能な固結メカニズムとすることで解決を図る。
【0022】
3)注入1回当たりの改良範囲を広く、安価にかつ迅速に施工する、という課題に対しては、溶液の粘性を小さくすることで対処する。
【0023】
4)仮設用ではなく永久構造物として使用できる、という課題に対しては、信頼性の高い固結物質を使用することで解決を図る。
【0024】
5)強度、透水性及び固結時間を人為的に制御できる、という課題に対しては、化学的、物理的特性が明らかな物質を用いるとともに、改良効果の制御が可能なメカニズムを用いることにより解決を図る。
【0025】
6)既設構造物直下地盤の耐震補強や盛土補強等に幅広く適用できる、という課題に対しては、強度、剛性等の力学的特性とともに、透水特性の調整範囲が広い固結メカニズムを用いる。また小型の機械であらゆる方向に施工が可能な方法を採用できる固結メカニズムを用いる。
【0026】
7)反応副産物を現地に残存させない、という課題に対しては、反応副産物の溶解度が高く、現地に留まることなく広く拡散し希釈される方法を用いる。
【0027】
また本発明者は、上述した解決方針に対応させて、以下の具体的な解決策を案出した。
【0028】
1)については、自然界において広く存在する炭酸カルシウムを固結物質として用いることとした。地盤への注入成分としては、炭酸カルシウム析出に必要な炭酸イオン、アルカリ性、カルシウムを供給する観点から、ウレアーゼ、尿素、カルシウム塩の3物質とした。
【0029】
2)については、大掛かりな設備が不要な既存の地盤注入工法を用いる。
【0030】
3)については、粘性が水に近い水溶液であるウレアーゼを含む第1溶液と、尿素及びカルシウム塩を含む第2溶液とを使用する。
【0031】
4)については、信頼性の高い固結物質として炭酸カルシウムを用いる。炭酸カルシウムは、水への溶解度が極めて小さく、地下水が著しく酸性に偏らない限り溶出しないため、信頼性は高い。
【0032】
5)については、汎用性が高く、取扱容易な尿素分解酵素、尿素、塩化カルシウムや酢酸カルシウム等のカルシウム塩を用いる。また、一連の化学反応を励起する尿素分解酵素は、濃度を管理することにより尿素分解反応の速度を制御することができる。更に、所望の透水性又は地盤強度に応じて第2溶液における尿素の濃度及び/又はカルシウム塩の濃度を調整する。また所望の固化時間に応じて第1溶液と第2溶液との混合比率を調整する。
【0033】
6)については、ウレアーゼを含む第1溶液と、尿素及びカルシウム塩を含む第2溶液とを注入することにより、土粒子表面や土粒子接点に固結物質である炭酸カルシウムが集中し、間隙には自由な空間を広く残存させることが可能となる。その結果、注入回数を単に増減させることにより、目的に応じてその効果を幅広く調整することが可能となる。更に注入方向がフレキシブルな地盤注入工法の現場技術を適用することにより、住宅密集地等のような施工や既設構造物直下地盤の改良等、あらゆる条件での施工が可能となる。
【0034】
7)については、副産物であるアンモニウムイオンと、カルシウム塩の塩基の化合物(例えば、塩化アンモニウム等)は、本発明で用いる濃度の範囲内であれば水に溶解させることが可能となることから、反応副産物の溶解度が高く、現地に留まることなく広く拡散し希釈される。
【0035】
本願第1の発明は、ウレアーゼの水溶液である第1溶液と、尿素及びカルシウム塩の水溶液である第2溶液とをそれぞれ地盤中に注入し、或いは上記第1溶液と上記第2溶液とを混合した直後にこれを地盤中に注入することを特徴とする。
【0036】
本願第2の発明は、第1の発明において、上記カルシウム塩からのカルシウムイオンと、上記地盤中において上記ウレアーゼにより上記尿素を分解させて生成した炭酸イオンとを結合させた炭酸カルシウムを上記地盤中に析出させることを特徴とする。
【0037】
本願第3の発明は、第1又は第2の発明において、所望の透水性又は地盤強度に応じて上記第2溶液における上記尿素の濃度及び/又は上記カルシウム塩の濃度を調整することを特徴とする。
【0038】
本願第4の発明は、第1~第3の発明のうち何れかであって、所望の固化時間に応じて上記第1溶液と上記第2溶液との混合比率を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ウレアーゼの水溶液である第1溶液と、尿素及びカルシウム塩の水溶液である第2溶液とをそれぞれ地盤中に注入し、或いは上記第1溶液と上記第2溶液とを混合した直後にこれを地盤中に注入する。これにより、カルシウム塩からのカルシウムイオンと、地盤中においてウレアーゼにより尿素を分解させて生成した炭酸イオンとを結合させた炭酸カルシウムを地盤中に析出させる。これにより上記1)~7)の各課題を解決することが可能な、安価で環境にやさしい地盤改良方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した地盤改良方法の概念図である。
【図2】本発明を適用した地盤改良方法において、土粒子同士を固結させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。

【0042】
図1は、本発明を適用した地盤改良方法の概念図である。本発明を適用した地盤改良方法は、尿素分解酵素としてのウレアーゼの水溶液である第1溶液と、尿素((NH22CO)及びカルシウム塩の水溶液である第2溶液とを混合した直後に、これを地盤中に注入する。このとき、混合時間は、10分以内程度であり、地盤注入直前に実施する必要がある。また、混合した直後とは、混合をした後、おおよそ30分以内を意味する。混合した後、地盤中に注入するまでにあまりに時間が長くかかる場合には、以下に説明する化学反応が始まり、地盤注入前に炭酸カルシウムが析出してしまうためである。

【0043】
地盤に注入した第1溶液、第2溶液のうち、第2溶液中にはカルシウム塩の分離によりカルシウムイオン(Ca2+)が生成することになる。次に地中において第1溶液のウレアーゼにより第2溶液中の尿素が分解されていくことになる。尿素が分解されることにより、(1)式に示すようにアンモニウムイオン(NH)と、炭酸イオン(CO2-)が生成されることになる。

【0044】
(NHCO+2HO→2NH+CO2-・・・・・・(1)

【0045】
次に、この(1)式において生成された炭酸イオン(CO2-)が、カルシウムイオン(Ca2+)と結合することにより、以下の(2)式に示すように炭酸カルシウム(CaCO)が生成され、これが地盤中に順次析出していくことになる。

【0046】
Ca2++CO2-→CaCO↓・・・・・・(2)

【0047】
この地盤中に発生した炭酸カルシウムが、図2に示すように土粒子5同士を固結させることになる。その結果、地盤中の土の強度や剛性を向上させることができ、しかも間隙が炭酸カルシウムで埋められることになるから、透水性が低下することになる。但し、この炭酸カルシウムは、粒子表面や土粒子接点に固結物質として集中し、間隙には自由な空間を広く残存させることも可能となる。

【0048】
第1溶液と、第2溶液をあえて分ける理由としては、炭酸カルシウム(CaCO)が地盤注入前に生じてしまうためである。

【0049】
また、第2溶液における尿素の濃度及び/又はカルシウム塩の濃度や注入回数を調整するようにしてもよい。これにより、炭酸カルシウム結晶析出量を変更することが可能となり、その結果、地盤の強度や透水性を幅広く調整することが可能となる。

【0050】
また本発明では、第1溶液と第2溶液との混合比率を調整するようにしてもよい。この第1溶液に含まれている尿素分解酵素としてのウレアーゼの量を、あくまで第2溶液中の尿素との関係において調整することができる。その結果、式(1)に示す尿素分解反応の時間を制御することが可能となり、固化時間を調整することが可能となる。

【0051】
本発明は、自然界において広く存在する炭酸カルシウムを固結物質として用いている。このため、有害な物質を使用することなく、地盤の改良を行うことが可能となる。また本発明では、単に第1溶液と、第2溶液を混合して地盤に注入するのみの動作で、上述した効果を得ることが可能となることから、小型の施工機械で施工が可能である。また、使用する物質をウレアーゼ、尿素、カルシウム塩とすることで最小限に抑えることができ、薬液混合に必要な施工ヤードを縮小することが可能となる。

【0052】
また、ウレアーゼの水溶液である第1溶液、尿素及びカルシウム塩の水溶液である第2溶液ともに粘性は水に近い。このため、容易に地盤に注入することが可能となり、地盤注入時に高価な施工機械を使用する必要性も無くなることから、より安価に施工することも可能となる。また、このような粘度の低い溶液を注入するのみで実現できる本発明では、注入1回当たりの改良範囲を広くすることも可能となる。

【0053】
また、固結物質としての炭酸カルシウムは、水への溶解度が極めて小さく、地下水が著しく酸性に偏らない限り溶出しないため、信頼性は高い。このため、このような炭酸カルシウムを固結物質として用いる本発明では、より信頼性の高い地盤改良方法とすることが可能となる。

【0054】
また本発明では、所望の透水性又は地盤強度に応じて第2溶液における尿素の濃度及び/又はカルシウム塩の濃度を調整する。また所望の固化時間に応じて第1溶液の第2溶液に対する混合比率を調整する。このため調整対象は、何れも汎用性が高く、取扱容易な尿素分解酵素、尿素、塩化カルシウムや酢酸カルシウム等のカルシウム塩を用いており、これらの濃度を調整することにより、強度、透水性及び固結時間を人為的に制御することが可能となる。

【0055】
また本発明によれば、ウレアーゼの水溶液である第1溶液と、尿素及びカルシウム塩の水溶液である第2溶液とを注入することにより、土粒子表面や土粒子接点に固結物質である炭酸カルシウムが集中し、間隙には自由な空間を広く残存させることが可能となる。その結果、注入回数を単に増減させることにより、目的に応じてその効果を幅広く調整することが可能となる。更に注入方向がフレキシブルな地盤注入工法の現場技術を適用することにより、住宅密集地等のような施工や既設構造物直下地盤の改良等、あらゆる条件での施工が可能となる。

【0056】
また、本発明によれば、副産物であるアンモニウムイオンと、カルシウム塩の塩基の化合物(例えば、塩化アンモニウム等)は、水に溶解させることが可能となることから、反応副産物の溶解度が高く、現地に留まることなく広く拡散し希釈されることになる。
【符号の説明】
【0057】
5 土粒子
図面
【図1】
0
【図2】
1