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明細書 :燃料電池の発電制御装置、燃料電池発電システム、燃料電池の発電制御方法、およびプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5972526号 (P5972526)
公開番号 特開2012-038457 (P2012-038457A)
登録日 平成28年7月22日(2016.7.22)
発行日 平成28年8月17日(2016.8.17)
公開日 平成24年2月23日(2012.2.23)
発明の名称または考案の名称 燃料電池の発電制御装置、燃料電池発電システム、燃料電池の発電制御方法、およびプログラム
国際特許分類 H01M   8/04858     (2016.01)
H01M   8/04228     (2016.01)
H01M   8/04303     (2016.01)
H01M   8/00        (2016.01)
H01M   8/10        (2016.01)
FI H01M 8/04 P
H01M 8/04 Y
H01M 8/00 A
H01M 8/10
請求項の数または発明の数 8
全頁数 24
出願番号 特願2010-175239 (P2010-175239)
出願日 平成22年8月4日(2010.8.4)
審判番号 不服 2014-023502(P2014-023502/J1)
審査請求日 平成25年8月5日(2013.8.5)
審判請求日 平成26年11月18日(2014.11.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391022614
【氏名又は名称】学校法人幾徳学園
発明者または考案者 【氏名】板子 一隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100094053、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 隆久
参考文献・文献 特開2010-33904(JP,A)
特開2004-327120(JP,A)
特開2003-303605(JP,A)
特開2002-184443(JP,A)
特開2007-294294(JP,A)
特開2002-118979(JP,A)
特開平2-291668(JP,A)
調査した分野 H01M 8/00- 8/24
特許請求の範囲 【請求項1】
燃料電池の発電電力を変換するDC-DCコンバータと、
前記燃料電池の出力電力を算出する燃料電池・出力電力算出手段と、
前記DC-DCコンバータからの出力電力を蓄積し、負荷機器が接続される電力蓄積要素と、
前記電力蓄積要素の出力電圧を検出する電力蓄積要素・出力電圧検出手段と、
前記燃料電池への燃料供給量を制御して前記燃料電池の発電量を制御し、前記DC-DCコンバータを制御して前記燃料電池の出力電圧を変換して当該変換した電力を電力蓄積要素に蓄積させる、制御部と、
を有する燃料電池の発電制御装置であって、
前記電力蓄積要素の出力電圧が、第3閾値V3<第1閾値(下限値)V1<第4閾値V4<第2閾値(上限値)V2の関係にあり、
前記制御部は、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第2閾値以上になると、休止モードとして、前記燃料電池への燃料供給を停止し、前記DC/DCコンバータの動作を停止させ、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以下になると、前記燃料電池に燃料の供給を開始し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以上前記第2閾値以下のとき、燃料消費抑制モードとして、検出した電力燃料比が最大の電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素・出力電圧検出手段の検出電圧が前記第1閾値より低い第3閾値以下になると、最大電力モードとして、前記燃料電池が当該燃料電池の最大出力電力点で運転するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記制御部は、前記燃料消費抑制モードにおいて、
予め定めた複数の燃料供給量のいずれかで前記燃料電池に燃料が供給されるよう設定し、
前記複数の燃料供給量の各燃料供給量における前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力電力を求め、
前記各燃料供給量に対応する前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力との比率である複数の電力燃料比を演算し、
前記各電力燃料比のうちで、電力燃料比が最も大きい最大電力燃料比を選択し、
前記選択した最大電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御する、
ことを特徴とする、燃料電池の発電制御装置。
【請求項2】
前記各燃料供給量は、前記燃料電池の出力電流の0から運転時の最大電流までの範囲を、複数に分割した前記燃料電池の出力電流に対応した各燃料供給量である、
請求項1に記載の燃料電池の発電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記燃料消費抑制モードにおいて、前記燃料電池に前記複数の各燃料供給量の燃料が供給されるよう設定したとき、ある燃料供給量から次の燃料供給量切り換えたとき、燃料供給量が安定するまでの間、変化している前記燃料電池の燃料電池・出力電力に追従させて前記DC-DCコンバータの動作を制御する、
請求項1または2に記載の燃料電池の発電制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の燃料供給量の全てについて前記出力電力を検出しても、演算した前記電力燃料比が前回の値より下がらない場合には、最後の検出に用いた燃料供給量を前記最大電力燃料比として選択する、
請求項1~3のいずれかに記載の燃料電池の発電制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、選択した前記燃料供給量の下で前記燃料電池を発電させている場合に、前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値より低い前記第3閾値以下になると、前記燃料電池の発電のための燃料供給量を、選択した前記燃料供給量の下での発電のための燃料供給量から、前記燃料電池の出力電力が最大となる燃料供給量の下での発電のための燃料供給量に切り替える、
請求項2から4のいずれか一項記載の燃料電池の発電制御装置。
【請求項6】
燃料タンクから燃料が供給されて発電する燃料電池と、
前記燃料電池による発電を制御する発電制御装置と、
負荷機器と
を有する燃料電池発電システムであって、
前記発電制御装置は、
燃料電池の発電電力を変換するDC-DCコンバータと、
前記燃料電池の出力電力を算出する燃料電池・出力電力算出手段と、
前記DC-DCコンバータからの出力電力を蓄積し、負荷機器が接続される電力蓄積要素と、
前記電力蓄積要素の出力電圧を検出する電力蓄積要素・出力電圧検出手段と、
前記燃料電池への燃料供給量を制御して前記燃料電池の発電量を制御し、前記DC-DCコンバータを制御して前記燃料電池の出力電圧を変換して当該変換した電力を電力蓄積要素に蓄積させる、制御部と、
を有し、
前記電力蓄積要素の出力電圧が、第3閾値V3<第1閾値(下限値)V1<第4閾値V4<第2閾値(上限値)V2の関係にあり、
前記制御部は、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第2閾値以上になると、休止モードとして、前記燃料電池への燃料供給を停止し、前記DC/DCコンバータの動作を停止させ、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以下になると、前記燃料電池に燃料の供給を開始し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以上前記第2閾値以下のとき、燃料消費抑制モードとして、検出した電力燃料比が最大の電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素・出力電圧検出手段の検出電圧が前記第1閾値より低い第3閾値以下になると、最大電力モードとして、前記燃料電池が当該燃料電池の最大出力電力点で運転するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記制御部は、前記燃料消費抑制モードにおいて、
予め定めた複数の燃料供給量のいずれかで前記燃料電池に燃料が供給されるよう設定し、
前記複数の燃料供給量の各燃料供給量における前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力電力を求め、
前記各燃料供給量に対応する前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力との比率である複数の電力燃料比を演算し、
前記各電力燃料比のうちで、電力燃料比が最も大きい最大電力燃料比を選択し、
前記選択した最大電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御する、
燃料電池発電システム。
【請求項7】
発電制御装置を用いて燃料が供給されると発電する燃料電池の発電制御を行う燃料電池の制御方法であって、
当該発電制御装置は、
燃料電池の発電電力を変換するDC-DCコンバータと、
前記燃料電池の出力電力を算出する燃料電池・出力電力算出手段と、
前記DC-DCコンバータからの出力電力を蓄積し、負荷機器が接続される電力蓄積要素と、
前記電力蓄積要素の出力電圧を検出する電力蓄積要素・出力電圧検出手段と
を有し、
前記燃料電池への燃料供給量を制御して前記燃料電池の発電量を制御し、前記DC-DCコンバータを制御して前記燃料電池の出力電圧を変換して当該変換した電力を電力蓄積要素に蓄積させ、
前記電力蓄積要素の出力電圧が、第3閾値V3<第1閾値(下限値)V1<第4閾値V4<第2閾値(上限値)V2の関係にあり、
当該制御方法は、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第2閾値以上になると、休止モードとして、前記燃料電池への燃料供給を停止し、前記DC/DCコンバータの動作を停止させ、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以下になると、前記燃料電池に燃料の供給を開始し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以上前記第2閾値以下のとき、燃料消費抑制モードとして、検出した電力燃料比が最大の電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素・出力電圧検出手段の検出電圧が前記第1閾値より低い第3閾値以下になると、最大電力モードとして、前記燃料電池が当該燃料電池の最大出力電力点で運転するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記燃料消費抑制モードにおいて、
予め定めた複数の燃料供給量のいずれかで前記燃料電池に燃料が供給されるよう設定し、
前記複数の燃料供給量の各燃料供給量における前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力電力を求め、
前記各燃料供給量に対応する前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力との比率である複数の電力燃料比を演算し、
前記各電力燃料比のうちで、電力燃料比が最も大きい最大電力燃料比を選択し、
前記選択した最大電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御する、
制御方法。
【請求項8】
発電制御装置を用いて燃料が供給されると発電する燃料電池の発電制御を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
当該発電制御装置は、
燃料電池の発電電力を変換するDC-DCコンバータと、
前記燃料電池の出力電力を算出する燃料電池・出力電力算出手段と、
前記DC-DCコンバータからの出力電力を蓄積し、負荷機器が接続される電力蓄積要素と、
前記電力蓄積要素の出力電圧を検出する電力蓄積要素・出力電圧検出手段と
を有し、
前記燃料電池への燃料供給量を制御して前記燃料電池の発電量を制御し、前記DC-DCコンバータを制御して前記燃料電池の出力電圧を変換して当該変換した電力を電力蓄積要素に蓄積させ、
前記電力蓄積要素の出力電圧が、第3閾値V3<第1閾値(下限値)V1<第4閾値V4<第2閾値(上限値)V2の関係にあり、
当該プログラムは、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第2閾値以上になると、休止モードとして、前記燃料電池への燃料供給を停止し、前記DC/DCコンバータの動作を停止させ、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以下になると、前記燃料電池に燃料の供給を開始し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以上前記第2閾値以下のとき、燃料消費抑制モードとして、検出した電力燃料比が最大の電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素・出力電圧検出手段の検出電圧が前記第1閾値より低い第3閾値以下になると、最大電力モードとして、前記燃料電池が当該燃料電池の最大出力電力点で運転するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記燃料消費抑制モードにおいて、
予め定めた複数の燃料供給量のいずれかで前記燃料電池に燃料が供給されるよう設定し、
前記複数の燃料供給量の各燃料供給量における前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力電力を求め、
前記各燃料供給量に対応する前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力との比率である複数の電力燃料比を演算し、
前記各電力燃料比のうちで、電力燃料比が最も大きい最大電力燃料比を選択し、
前記選択した最大電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御する、
諸手順を、コンピュータに実行させるプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の発電制御装置、燃料電池発電システム、燃料電池の発電制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量問題、省エネルギー問題などの対策として、燃料電池が注目されている。
燃料電池は、化学反応または酵素の働きにより電気を直接的に発生するため、一般的に発電効率が良いとされている。
また、燃料電池の化学反応後に生成される物質は主に水である。排出物にNOx成分などが含まれないため、環境にやさしい。
【0003】
燃料電池には、たとえば固体高分子形燃料電池(PEFC, Polymer Electrolyte Fuel Cell)、りん酸形燃料電池(PAFC, Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC, Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC, Solid Oxide Fuel Cell)、アルカリ電解質形燃料電池(AFC, Alkaline Fuel Cell)がある。
PEFCでは、イオン交換膜に対して水素と酸素とを供給する。イオン交換膜において水素と酸素との化学反応が生じ、電気が発生する。PEFCの運転温度は、約100度と比較的低温である。
他の方式の燃料電池でも、燃料を供給することにより発電する。
【0004】
このように燃料電池は、燃料が供給されることにより発電する。
燃料電池は、燃料が継続的に供給されることにより、継続的に発電し続ける。
また、燃料電池の出力電力特性には、通常、ピークがある。
そこで、燃料電池では、燃料電池の出力電力が最大となる動作点をサーチし、その出力電力が最大となる動作点において燃料電池を運転している(特許文献1から3)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2008-270047号公報
【特許文献2】特開2005-063901号公報
【特許文献3】特開2008-10220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、燃料電池では、燃料電池の出力電力が最大となる動作点での燃料供給量と、一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)が最大となる燃料供給量とが異なる。
このため、燃料電池の出力電力が最大となる動作点をサーチし、その動作点で燃料電池を運転させたとしても、燃料電池は、一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)を最大とした状態で運転していることにならない。
【0007】
また、この一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)が最大となる燃料供給量は、たとえば燃料電池が設置された環境(温度、湿度など)に応じて変化する。
たとえば家庭用の燃料電池が屋外に設置されている場合、燃料電池の環境温度は、マイナス数十度からプラス数十度まで変化する。加えて、燃料電池の環境温度は、1日の間で数十度の急激な温度変化が生じることもある。このように環境温度が変化すると、一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)が最大となる燃料供給量が変化する。車両用の燃料電池においても、当該燃料供給量が環境の変化に応じて変化する。
よって、出力電力が最大となる燃料供給量に替えて、燃料電池に対して、仮にたとえばある環境(温度)において一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)を最大する燃料供給量を固定的に設定したとしても、実際の使用環境下では、燃料電池は、最適な燃料供給量で運転しているとは限らない。環境が随時変化していることからすれば、むしろ、燃料電池は、最適でない燃料供給量で運転している場合が多いと予想される。
【0008】
このように燃料電池では、燃料の使用量を抑えて効率的に運転することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、燃料電池の発電電力を変換するDC-DCコンバータと、前記燃料電池の出力電力を算出する燃料電池・出力電力算出手段と、前記DC-DCコンバータからの出力電力を蓄積し、負荷機器が接続される電力蓄積要素と、前記電力蓄積要素の出力電圧を検出する電力蓄積要素・出力電圧検出手段と、前記燃料電池への燃料供給量を制御して前記燃料電池の発電量を制御し、前記DC-DCコンバータを制御して前記燃料電池の出力電圧を変換して当該変換した電力を電力蓄積要素に蓄積させる、制御部と、を有する燃料電池の発電制御装置であって、
前記電力蓄積要素の出力電圧が、第3閾値V3<第1閾値(下限値)V1<第4閾値V4<第2閾値(上限値)V2の関係にあり、
前記制御部は、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第2閾値以上になると、休止モードとして、前記燃料電池への燃料供給を停止し、前記DC/DCコンバータの動作を停止させ、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以下になると、前記燃料電池に燃料の供給を開始し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素の出力電圧が前記第1閾値以上前記第2閾値以下のとき、燃料消費抑制モードとして、検出した電力燃料比が最大の電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記電力蓄積要素・出力電圧検出手段の検出電圧が前記第1閾値より低い第3閾値以下になると、最大電力モードとして、前記燃料電池が当該燃料電池の最大出力電力点で運転するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御し、
前記制御部は、前記燃料消費抑制モードにおいて、
予め定めた複数の燃料供給量のいずれかで前記燃料電池に燃料が供給されるよう設定し、
前記複数の燃料供給量の各燃料供給量における前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力電力を求め、
前記各燃料供給量に対応する前記燃料電池・出力電力算出手段で算出した各燃料電池・出力との比率である複数の電力燃料比を演算し、
前記各電力燃料比のうちで、電力燃料比が最も大きい最大電力燃料比を選択し、
前記選択した最大電力燃料比で動作するように、前記燃料電池に燃料を供給し、前記DC/DCコンバータの動作を制御する、
ことを特徴とする、燃料電池の発電制御装置が提供される。

【0017】
また本発明によれば、燃料電池と上記燃料電池の発電制御装置とを有する燃料電池発電システムが提供される。

【0018】
本発明によれば、上記燃料電池の発電制御装置または燃料電池発電システムにおける制御方法が提供される。

【0019】
本発明によれば、上記制御方法の各処理がコンピータで実行されるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、燃料電池の燃料の使用量を抑えて効率的に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池発電システムの概略構成図である。
【図2】図2は、図1の燃料電池の発電特性図である。
【図3】図3は、図1の燃料電池発電システムの状態遷移の説明図である。
【図4】図4は、図3の制御の下で燃料電池発電システムにより実行される制御例のタイミングチャートである。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池発電システムの概略構成図である。
【図6】図6は、図5の燃料電池発電システムの燃料消費抑制モードにおけるタイミングチャートである。
【図7】図7は、図5の燃料電池発電システムで使用可能な固体高分子型燃料電池の基本特性図である。
【図8】図8は、負荷機器の消費電力波形の説明図である。
【図9】図9は、一般家庭での1日の負荷電力(消費電力)を100W規模に縮小した一例を示す図である。
【図10】図10は、変形例に係る燃料電池発電システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に関連付けて説明する。

【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池発電システム1の概略構成図である。
図1の燃料電池発電システム1は、燃料電池13で発電した電力を直流の電力として出力するものであり、たとえば一般家庭に設置される。
図1の燃料電池発電システム1には、直流電圧で動作可能な負荷(負荷機器)100を接続できる。

【0024】
図1の燃料電池発電システム1は、発電系の構成要素として、タンク11、供給弁12、燃料電池13、DC/DCコンバータ14、エネルギー蓄積要素15を有する。
また、図1の燃料電池発電システム1は、検出制御系の構成要素として、流量センサ21、FC出力電圧センサ22、FC出力電流センサ23、出力電圧センサ24、出力電流センサ25、マイクロプロセッサ26を有する。

【0025】
燃料電池13は、燃料が供給されることで発電する。
燃料電池13には、たとえば固体高分子形燃料電池(PEFC)がある。固体高分子形燃料電池では、イオン交換膜に対して水素と酸素とが供給されることで、イオン交換膜において水素と酸素との化学反応が生じ、発電する。
固体高分子形燃料電池は、イオン交換膜に対して水素と酸素とが供給され続けることで、発電し続ける。

【0026】
タンク11は、燃料電池13へ供給する燃料を収容する。
燃料電池13が固体高分子形燃料電池(PEFC)である場合、タンク11には、燃料として水素が収容される。
なお、タンク11は、ガス供給会社のガス管に接続され、そのガス管から水素を含むガスが供給されてもよい。この場合、ガス管から供給されるガス中の水素が抽出され、この水素がタンク11に収容される。

【0027】
供給弁12は、タンク11と燃料電池13とを接続する。
これにより、タンク11から燃料電池13までの燃料供給経路が構成される。
供給弁12は、単に開閉するものであってもよいが、燃料供給量を調整するためには、任意の開口率に制御可能なものが望ましい。
そして、供給弁12は、マイクロプロセッサ26から供給量H(SET)の制御信号が入力されると、それに対応する燃料を供給可能な開口率で開口する。これにより、タンク11から燃料電池13へ、制御信号で指定された供給量H(DTCT)の燃料が供給される。燃料電池13は、供給された水素量に応じた電力を発電する。
また、供給弁12が閉じると、燃料電池13への燃料供給が停止する。これにより、燃料電池13の発電は停止する。

【0028】
DC/DCコンバータ14は、燃料電池13に接続される。
エネルギー蓄積要素15は、たとえば電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池である。
エネルギー蓄積要素15は、DC/DCコンバータ14と負荷機器100との間に接続される。
これにより、燃料電池13から負荷機器100までの電力供給経路が構成される。

【0029】
DC/DCコンバータ14は、マイクロプロセッサ26からの制御信号の入力に応じて、燃料電池13の出力電圧(FC出力電圧VFC)を変換する。
DC/DCコンバータ14が生成した電圧によりエネルギー蓄積要素15が充電される。

【0030】
負荷機器100には、このエネルギー蓄積要素15の充電電圧(燃料電池発電システム1の出力電圧VL)が印加される。
負荷機器100には、エネルギー蓄積要素15により平滑化されたDC/DCコンバータ14の出力電圧が印加される。
たとえばエネルギー蓄積要素15の充電電圧が不足する場合、制御信号の入力に応じて、DC/DCコンバータ14は、エネルギー蓄積要素15の充電電圧より高い電圧を生成して出力する。これにより、エネルギー蓄積要素15は充電される。
この充電動作をエネルギー蓄積要素15の充電電圧に応じて繰り返すことにより、エネルギー蓄積要素15の充電電圧を略一定に維持することが可能になる。

【0031】
流量センサ21は、供給弁12から燃料電池13までの区間の燃料供給経路に設置される。
流量センサ21は、燃料供給経路を通じて燃料電池13へ供給される燃料(水素)の流量H(DTCT)を検出する。
流量センサ21は、検出した流量H(DTCT)を通知する信号をマイクロプロセッサ26へ出力する。

【0032】
FC出力電圧センサ22は、燃料電池13からDC/DCコンバータ14までの電力供給経路において、燃料電池13のFC出力電圧VFCを検出する。
FC出力電圧センサ22は、検出したFC出力電圧VFCを通知する信号をマイクロプロセッサ26へ出力する。

【0033】
FC出力電流センサ23は、燃料電池13からDC/DCコンバータ14までの電力供給経路において、燃料電池13のFC出力電流IFCを検出する。
FC出力電流センサ23は、検出したFC出力電流IFCを通知する信号をマイクロプロセッサ26へ出力する。

【0034】
出力電圧センサ24は、DC/DCコンバータ14から負荷100までの電力供給経路において、燃料電池発電システム1の出力電圧VLを検出する。
出力電圧センサ24は、検出した出力電圧VLを通知する信号をマイクロプロセッサ26へ出力する。

【0035】
出力電流センサ25は、燃料電池13からDC/DCコンバータ14までの電力供給経路において、燃料電池発電システム1の出力電流ILを検出する。
出力電流センサ25は、検出した出力電流ILを通知する信号をマイクロプロセッサ26へ出力する。

【0036】
マイクロプロセッサ26には、流量センサ21、FC出力電圧センサ22、FC出力電流センサ23、出力電圧センサ24、出力電流センサ25が接続され、検出信号が入力される。
また、マイクロプロセッサ26は、供給弁12、DC/DCコンバータ14に接続され、制御信号を出力する。
マイクロプロセッサ26は、たとえばDSP(Digital Signal Processor)であり、内蔵するメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、燃料電池発電システム1の動作を制御する。
これにより、マイクロプロセッサ26に、燃料電池発電システム1の制御部31が実現される。

【0037】
制御部31は、たとえば流量センサ21などの各種センサから入力される信号に基づいて供給弁12、DC/DCコンバータ14を制御することにより、燃料電池13およびDC/DCコンバータ14の動作を制御する。
たとえば制御部31は、出力電圧センサ24の検出電圧VLが所定値(以下、第1閾値V1という)より下がった場合、供給弁12を通じた燃料電池13への燃料供給を開始して燃料電池13を発電させ、その発電電力をDC/DCコンバータ14で変換し、エネルギー蓄積要素15を充電する。
この場合、制御部31は、供給弁12へ燃料供給量の制御信号を出力し、DC/DCコンバータ14へ所定の電圧変換動作の制御信号を出力する。
また、出力電圧センサ24の検出電圧が第1閾値より高い所定値(以下、第2閾値V2という)以上になると、供給弁12を通じた燃料電池13への燃料供給を停止して燃料電池13およびDC/DCコンバータ14を停止させ、エネルギー蓄積要素15の充電を停止する。
この場合、制御部31は、供給弁12へ弁を閉じるための制御信号(たとえば燃料供給量を0とする制御信号)を出力し、DC/DCコンバータ14へ電圧変換動作を停止させる制御信号を出力する。

【0038】
図2は、図1の燃料電池13の発電特性図である。
図2の発電特性図は、固体高分子形燃料電池(PEFC)の一例の発電特性図である。
図2の横軸はFC出力電流IFCである。
縦軸は、FC出力電圧VFCおよび電力燃料比C(=PFC÷H)である。
図2には、2つの山形の曲線として、FC出力電力PFCの特性曲線41と、電力燃料比Cの特性曲線42とが図示されている。
電力燃料比Cが高いほど、同じ出力電力PFCを得るために必要となる燃料が少なくなる。
また、図2には、燃料電池13の出力電圧VFCの特性曲線43も図示されている。
図2において、PFCは、燃料電池13の出力電力PFC(=VFC×IFC)である。流量Hは、燃料電池13への燃料供給量である。PFCmaxは、最大電力である。Cmaxは、最大の電力燃料比である。PFCopは、Cmaxでの電力である。VFCopは、CmaxでのFC出力電圧である。IFCopは、CmaxでのFC出力電流である。IFCmaxは、燃料電池13の運転時の最大電流である。

【0039】
そして、図2においてPFCmaxとCmaxとは異なる動作点となっている。
燃料使用量Hに対する燃料電池13の出力電力PFCの比の最大点Cmaxは、最大電力PFCmaxの点と一致しない。
また、燃料電池13のFC出力電流IFCを最大とする定電流制御の場合でも、その出力電流が最大となる場合の電力燃料比Cは、必ずしも最大の電力燃料比Cmaxと一致しない。
すなわち、図2の燃料電池13では、PFCmaxとなる場合のFC出力電圧VFCおよびFC出力電流IFCと、Cmaxとなる場合のFC出力電圧VFCopおよびFC出力電流IFCopとは異なっている。
このため、燃料電池13の最大の出力電力PFCmaxにおいて燃料電池13を運転させたとしても、燃料電池13の電力燃料比Cは、最大とならない。一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)は最大にならない。
なお、最大の出力電力点(PFCmaxまたはIFCmax)で運転するように燃料電池13を制御する方式は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)方式と呼ばれている。

【0040】
また、図2の発電特性図は、ある環境下における燃料電池13の特性図である。
燃料電池13の発電特性は、たとえば温度、湿度、燃料供給量などの環境が変化すると、それに応じて変化する。
このため、仮にたとえばある環境(温度)において一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)が最大となる特定の燃料供給量を設定したとしても、実際の使用環境下では、燃料電池13は、最適な燃料供給量で運転しているとは限らない。
環境が随時変化することからすれば、むしろ、燃料電池13は、最適でない燃料供給量で運転している場合が多いと予想される。

【0041】
また、図2の燃料電池13では、IFCmax以下の電流で運転するように、FC出力電流IFCが制限されている。
このため、本実施形態の制御部31は、IFCopからIFCmaxまでの範囲のFC出力電流IFCが得られるように燃料電池13を制御するとよい。
制御部31は、与えられた環境(温度、湿度、燃料供給状態など)の中で燃料消費を極力抑えるように制御を実行するとよい。

【0042】
たとえば後述する図3に示すように、制御部31は、燃料電池発電システム1の出力電圧に応じて、燃料電池発電システム1の動作モードを、休止モード51と、運転モードとの間で切り替える。
運転モードには、最大電力モード52と、燃料消費抑制モード53とがある。
最大電力モード52では、制御部31は、最大の出力電力点(PFCmaxまたはIFCmax)で運転するように燃料電池13を制御する。
燃料消費抑制モード53では、制御部31は、Cmaxで運転するように燃料電池13を制御する。
このような燃料電池発電システム1では、制御部31は、通常の運転時には燃料消費抑制モード53で燃料電池13を制御すれとよい。

【0043】
図3は、燃料電池発電システム1の状態遷移の説明図である。
図3には、燃料電池発電システム1の動作モードとして、休止モード51、最大電力モード52、燃料消費抑制モード53が図示されている。

【0044】
休止モード51では、燃料電池13およびDC/DCコンバータ14は停止する。
制御部31は、燃料電池13およびDC/DCコンバータ14を停止させる制御信号を出力する。

【0045】
最大電力モード52では、燃料電池13およびDC/DCコンバータ14は動作する。
また、燃料電池13は、その最大電力PFCmaxを出力する状態で動作する。
ただし、図2に示すように、図1の燃料電池13では、IFCmaxが制限されている。
このため、図1の燃料電池13では、IFCmaxでの動作が、最大電力を出力する状態である。
制御部31は、燃料電池13に対して最大電力を出力させる燃料を供給するように供給弁12へ制御信号を出力し、DC/DCコンバータ14へ動作させる制御信号を出力する。

【0046】
燃料消費抑制モード53では、燃料電池13およびDC/DCコンバータ14は動作する。
また、燃料電池13は、電力燃料比Cが最大となる状態(図2のCmax)で動作する。
制御部31は、燃料電池13に対して電力燃料比を最大とする燃料を供給するように供給弁12へ制御信号を出力し、DC/DCコンバータ14へ動作させる制御信号を出力する。

【0047】
そして、図3に示すように、出力電圧センサ24の検出電圧VLが上限値(第2閾値V2)以上になると、燃料電池発電システム1の動作モードは、最大電力モード52または燃料消費抑制モード53から、休止モード51へ移行する。
休止モード51において出力電圧センサ24の検出電圧VLが下限値(第1閾値V1)以下になると、燃料電池発電システム1の動作モードは、燃料消費抑制モード53となる。
休止モード51において出力電圧センサ24の検出電圧VLが下限値より低い第3閾値V3以下になると、燃料電池発電システム1の動作モードは、最大電力モード52となる。
燃料消費抑制モード53での動作中に、出力電圧センサ24の検出電圧VLが第3閾値V3以下になると、燃料電池発電システム1の動作モードは、最大電力モード52となる。
最大電力モード52での動作中に、出力電圧センサ24の検出電圧VLが、第1閾値V1と第2閾値V2との間の第4閾値V4になると、燃料電池発電システム1の動作モードは、燃料消費抑制モード53となる。
これにより、燃料電池発電システム1は、燃料消費を極力抑えた高効率な運転を実現する。
なお、燃料電池発電システム1の燃料効率を高めるためには、負荷100の平均電力が図2のPFCop以下となるように燃料電池13の定格を設定することが望ましい。

【0048】
次に、燃料消費抑制モード53での動作を詳しく説明する。
図4は、図3の制御の下で燃料電池発電システム1により実行される制御例のタイミングチャートである。
図4(A)は、電力燃料比C(=PFC÷H)の波形である。
図4(B)は、燃料電池13のFC出力電圧VFCの波形である。
図4(C)は、燃料電池13のFC出力電流IFCの波形である。
図4において、時間は左から右に経過している。

【0049】
図4のタイミングチャートは、休止モード51から燃料消費抑制モード53となり、燃料消費抑制モード53から最大電力モード52となる場合の例である。
出力電圧センサ24により検出される燃料電池発電システム1の出力電圧VLが第1閾値V1以下になると、制御部31により、燃料電池発電システム1は、休止モード51から燃料消費抑制モード53となる。
燃料消費抑制モード53での動作中に負荷電力が急増するなどして燃料電池発電システム1の出力電圧VLが第3閾値V3以下になると、燃料電池発電システム1は、燃料消費抑制モード53から最大電力モード52となる。

【0050】
そして、制御部31は、燃料消費抑制モード53を開始する場合、まず、電力燃料比が最大(Cmax)となる燃料供給量のサーチ処理を実行する。
燃料供給量のサーチ処理では、制御部31は、複数の燃料供給量H(SET)を供給弁12に順番に設定する。
図2の燃料電池13の場合、このスキャンに係る複数の燃料供給量は、たとえば燃料電池13のFC出力電流IFCの範囲、すなわち0からIFCmaxまでの範囲を段階的に分割するように離散した複数の燃料供給量である。
これに対して、たとえば燃料電池13が、図2の最大出力電力PFCmaxに対応するFC出力電流IFCを出力可能である場合には、後述するスキャンに係る複数の燃料供給量は、たとえば0から最大出力電力PFCmaxに対応するFC出力電流までの範囲を段階的に分割するように離散した複数の燃料供給量とするとよい。

【0051】
また、複数の燃料供給量を順番に設定するにあたり、制御部31は、値「0」の燃料供給量から、燃料供給量を段階的に増加させる順番で、複数の燃料供給量H(SET)を設定する。
図4では、タイミングT1からT4において、4段階の燃料供給量H(SET)が供給弁12に順番に設定されている。
タイミングT1からT4において、燃料供給量H(SET)は、段階的に増えている。
供給弁12は、制御信号により設定された燃料供給量H(SET)により、燃料電池13へ燃料を供給する。
流量センサ21は、各燃料供給量の設定に基づいて実際に燃料電池13へ供給されている燃料供給量H(DTCT)を流量により検出し、制御部31へ出力する。

【0052】
制御部31は、新たな燃料供給量を設定すると、実際に燃料電池13に対する供給量が安定すると予測される期間を待つ。
図4で言えば、たとえばT1からT2までの期間を待つ。
この待ち時間は、燃料電池13の発電量などに応じて異なるものであるが、たとえば数秒から数十秒程度の時間である。燃料電池13では、水素などの流体を供給する必要があるため、流量を制御をしてからその流量に安定するまでに時間がかかる。

【0053】
燃料の流量が安定すると、燃料電池13は、その安定した流量の水素と酸素との化学反応により、水素の供給量に応じたFC出力電圧VFCおよびFC出力電流IFCを出力する。
このFC出力電圧VFCおよびFC出力電流IFCは、燃料供給量H(SET)が段階的に制御されることにより、段階的に変化する。

【0054】
このように燃料の供給量を停止した状態から段階的に増やすことで、燃料電池13に対する燃料供給量を段階的に増やすことができる。
また、各燃料供給量において、前回の燃料供給量との差分を最小限に抑えることができるため、各回において供給量が安定化するまでの時間が短くなる。
その分、早期の検出および次段階への切替が可能である。サーチ期間が短縮される。

【0055】
燃料供給量が安定するまでの待ち期間において、制御部31は、検出されているFC出力電圧VFCおよびFC出力電流IFCに基づいて、DC/DCコンバータ14を制御する。
制御部31は、変化しているFC出力電圧VFCおよびFC出力電流IFCに追従させて、DC/DCコンバータ14の動作を制御する。

【0056】
燃料供給量が安定するまでの待ち期間が経過すると、制御部31は、各種のセンサの検出値を取得する(タイミングT2からT5)。
そして、制御部31は、燃料電池13のFC出力電圧VFCとFC出力電流IFCとを乗算し、燃料電池13の出力電力PFCを演算する。
また、制御部31は、燃料電池13の出力電力PFCを、流量センサ21により検出された燃料供給量H(DTCT)で除算し、電力燃料比Cを演算する。

【0057】
また、2段階目以降の燃料供給量の検出タイミングT3からT5では、制御部31は、新たに演算した電力燃料比Cを、前回の値と比較する。
制御部31は、新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より下がるか否かを判断する。
たとえば図4のタイミングT3では、新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より大きいため、制御部31は、新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より下がらないと判断する。
新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より下がらないと判断した場合、制御部31は、次の燃料供給量を設定し、同様の処理を繰り返す。
また、タイミングT4でも、新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より大きいため、制御部31は、新たに演算した電力燃料比が前回の値より下がらないと判断する。
新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より下がらないと判断した場合、制御部31は、次の燃料供給量を設定し、同様の処理を繰り返す。
このように制御部31は、新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より下がると判断するまで、複数の燃料供給量のうちの次の燃料供給量を設定し、検出判定処理を繰り返す。

【0058】
そして、図4のタイミングT5に示すように、新たに演算した電力燃料比Cが前回の値より下がる場合、制御部31は、電力燃料比が最大(Cmax)となる燃料供給量のサーチ処理を終了する。
具体的には、制御部31は、複数の燃料供給量についての出力電力の検出を終了する。
また、制御部31は、前回の演算に係る燃料供給量H(SET)を、電力燃料比が最大(Cmax)となる燃料供給量として選択する。
その後の追従動作期間では、制御部31は、このサーチ処理により選択した燃料供給量H(SET)を用いて燃料電池13を動作させる。

【0059】
これに対して、たとえば複数の燃料供給量のすべてについてサーチ処理を実行し終えたとしても、演算した電力燃料比Cが前回の値より下がることがない場合が考えられる。
この場合には、制御部31は、たとえば最後の検出に用いた燃料供給量を選択する。
そして、制御部31は、複数の燃料供給量についての出力電力の検出を終了する。
この場合、その後の追従動作期間では、制御部31は、この検出処理により選択した燃料供給量H(SET)を用いて燃料電池13を動作させる。

【0060】
また、図2の電力特性図では、IFCopよりIFCmaxが右側にある。すなわちCmaxよりもPFCmaxが右側にある。
このため、制御部31は、追従動作期間において、出力電圧VLと出力電流ILとを常に検出し、負荷電力PLを監視する。
そして、たとえば負荷電力PL(=Vl×IL)がある設定値を超えた場合、制御部31は、動作モードを燃料消費抑制モード53から最大電力モード52に切り替える。
具体的にはたとえば、燃料電池発電システム1の出力電圧VLが負荷電力の急増などにより第3閾値V3より下がると、制御部31は、動作モードを燃料消費抑制モード53から最大電力モード52に切り替える。
制御部31は、最大電力となる燃料供給量を供給弁12へ指示する。
図2の場合、制御部31は、IFCmaxとなる燃料供給量を供給弁12へ指示する。
また、制御部31は、検出されているFC出力電圧VFCおよびFC出力電流IFCに基づいて、その変化に追従するようにDC/DCコンバータ14を制御する。

【0061】
以上のように、第1実施形態では、制御部31は、燃料消費抑制モード53の開始時に電力燃料比を最大(Cmax)とする燃料供給量H(SET)を選択し、燃料消費抑制モード53における燃料供給量を、その選択した燃料供給量H(SET)とする。
よって、第1実施形態では、一定量の燃料により発電可能な電力(電力量)を最大とした状態で燃料電池13を運転することができる。
燃料の使用量を最小限に抑え、効率的に運転することができる。
特に、流量センサ21により実際に供給されている燃料供給量H(DTCT)を検出し、その検出された燃料供給量H(DTCT)を用いて電力燃料比Cを演算している。
このため、設定値H(SET)を演算に用いる場合より、正確な電力燃料比を演算できる。燃料供給量の設定値H(SET)と検出値H(DTCT)との誤差を含まない正確な演算ができる。

【0062】
第1実施形態では、負荷機器100と燃料電池13との間にDC/DCコンバータ14およびエネルギー蓄積要素15を設けている。
これにより、第1実施形態では、燃料電池13を間欠的に発電させながら、負荷機器100へ安定した電力を供給することができる。
また、第1実施形態では、この燃料電池13を間欠的に動作させることを利用し、各燃料消費抑制モード53での発電期間の開始時に、最適な電力燃料比(Cmax)が得られる燃料供給量を選択している。
よって、第1実施形態では、燃料電池13の環境が変化したとしても、その環境の変化にかかわらず、変化する各々の環境下において最適な燃料供給量で燃料電池13を運転することができる。
燃料電池13は、休止モード51から繰り返し復旧することにより、常に最適な燃料供給量で運転できる。
また、第1実施形態では、電力燃料比Cを演算するための複数の燃料供給量による運転を、燃料電池13を動作させる必要がある燃料消費抑制モード53において実行している。
これにより、その計測中に発電される電力についても、エネルギー蓄積要素15の充電に用いることができる。
環境に応じた最適な電力燃料比(Cmax)を得るための運転により生成される電力を無駄にしない。

【0063】
第1実施形態では、電力燃料比が最大(Cmax)となることを判断するために必要となる複数の燃料供給量について計測したら、それ以降の計測を中断する。
このため、燃料供給量の制御可能な範囲のすべてについて計測することなく、早期に検出動作を中断することができる。
検出のための電力燃料比Cが高くない状態での運転時間を短縮し、燃料消費を抑制できる。
また、第1実施形態では、停止した状態から検出を開始するにあたり、少ない燃料供給量(具体的には「0」)から順次増加させる順番で検出している。
これにより、各燃料供給量への安定化時間を最小限にできる。
その結果、第1実施形態では、複数の燃料供給量について検出するためのトータルの検出期間を、実質的に短縮することができる。
必要最小限の短い時間で一連の検出処理を終了することができる。

【0064】
第1実施形態では、複数の燃料供給量において極大となる最適な電力燃料比(Cmax)が得られない環境であっても、その極大値(Cmax)に最も近い効率で発電することができる。
すなわち、複数の燃料供給量が設定される燃料供給量の制御可能な範囲において利用可能な最も高い電力燃料比で発電が可能となる。

【0065】
第1実施形態では、休止モード51または燃料消費抑制モード53中に出力電圧VLが低下すると、最大電力モード52となる。
よって、燃料電池13の最大出力を用いて、出力電圧VLを維持することができる。
そして、通常は燃料消費抑制モード53での運転とすることで、高効率と高負荷運転とを高度なレベルで両立できる。

【0066】
第1実施形態では、出力電圧VLが第1閾値電圧V1より高い第4閾値電圧V4以上となるまで最大電力モード52を継続する。
これにより、最大電力モード52から燃料消費抑制モード53へ復帰した直後に、出力電圧VLが第1閾値電圧V1以下となり難くできる。
最大電力モード52と燃料消費抑制モード53との間で、頻繁なモード切替が発生しないようにできる。

【0067】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池発電システム1の概略構成図である。
図5の燃料電池発電システム1は、燃料電池13で発電した電力を交流の電力として出力するものであり、たとえば一般家庭に設置される。
図5の燃料電池発電システム1には、交流電圧で動作可能な負荷(負荷機器)100を接続できる。図5の燃料電池発電システム1は、交流の電力系統に接続してもよい。
なお、第2実施形態の以下の説明では、第1実施形態の構成要素との対応関係を明確にするために、同様の機能を果たす構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。

【0068】
図5の燃料電池発電システム1は、発電系の構成要素として、PEFC装置61、昇圧型DC/DCコンバータ14-1、電気二重層キャパシタ15-1、インバータ62を有する。
昇圧型DC/DCコンバータ14-1、電気二重層キャパシタ15-1、およびインバータ62は、PEFC装置61から負荷機器100までの電力供給経路に対して、その順番に接続される。

【0069】
また、図5の燃料電池発電システム1は、検出制御系の構成要素として、FC出力電圧センサ22、FC出力電流センサ23、コンバータ出力電圧センサ71、出力電圧センサ24、出力電流センサ25、およびこれらが接続されたDSP制御ボード72を有する。
また、図5には、光電変換回路73、ゲートドライバ74、パージ制御回路75が図示されている。

【0070】
PEFC装置61は、図1のタンク11、供給弁12、燃料電池13、流量センサ21を有する。
電気二重層キャパシタ15-1は、エネルギー蓄積要素15の一種である。
FC出力電圧センサ22は、PEFC装置61の出力電圧を検出する。
FC出力電流センサ23は、PEFC装置61の出力電流を検出する。
コンバータ出力電圧センサ71は、昇圧型DC/DCコンバータ14-1の出力電圧を検出する。
出力電圧センサ24は、インバータ62の出力電圧を検出する。
出力電流センサ25は、インバータ62の出力電流を検出する。
DSP制御ボード72は、マイクロプロセッサ26を有する。
マイクロプロセッサ26がプログラムを実行することにより、制御部31が実現される。

【0071】
パージ制御回路75は、PEFC装置61のタンク11、燃料電池13などから、残留水などを排出するための制御回路である。
タンク11、燃料電池13などは、水分過多となることにより、劣化したり、出力が低下したりする。
パージ処理により不要な空気、ガス並びに水分を外気に放出させることにより、これらの弊害の発生を防止できる。
具体的にはたとえば、燃料電池13の水素排出口に電磁弁を設け、この電磁弁の開閉をDSPで制御すればよい。

【0072】
昇圧型DC/DCコンバータ14-1は、コイル81、ダイオード82、キャパシタ83、MOSFET84を有する。
コイル81の一端は、PEFC装置61に接続される。
ダイオード82のアノードは、コイル81の他端に接続される。
ダイオード82のカソードは、電気二重層キャパシタ15-1の一端(プラス側)に接続される。
これにより、コイル81およびダイオード82は、PEFC装置61から電気二重層キャパシタ15-1までの電力供給経路の一方の電力線91において直列に接続される。

【0073】
キャパシタ83の一端は、ダイオード82のカソードから電気二重層キャパシタ15-1までの一方の電力線91に接続される。
キャパシタ83の他端は、他方の電力線92に接続される。
これにより、キャパシタ83は、PEFC装置61から電気二重層キャパシタ15-1までの電力供給経路に並列に接続される。

【0074】
MOSFET84のソースは、コイル81とダイオード82との間において一方の電力線91に接続される。
ドレインは、他方の電力線92に接続される。
ゲートは、ゲートドライバ74に接続される。
ゲートドライバ74は、光電変換回路73に接続される。
光電変換回路73は、DSP制御ボード72に接続される。

【0075】
DSP制御ボード72は、たとえばパルス幅変調されたオンオフの光信号を出力する。
光電変換回路73は、光パルス信号を電気パルス信号へ変換する。
ゲートドライバ74は、電気パルス信号に基づいてMOSFET84をオンオフ制御する。
たとえばゲートドライバ74は、電気パルス信号が入力される場合、そのパルス幅の期間でMOSFET84をオン状態に制御し、それ以外の期間でオフ状態に制御する。

【0076】
MOSFET84がオン状態とオフ状態との間で切り替えられることにより、コイル81には、電圧が誘導される。
また、MOSFET84がオフ状態である場合に、PEFC装置61のFC出力電圧にコイル81の誘導電圧を加算した電圧がダイオード82およびキャパシタ83の直列回路に印加される。
これにより、キャパシタ83は、FC出力電圧より高い電圧に充電される。
また、ダイオード82が直列に接続されているため、キャパシタ83の充電電圧が高い場合でも、キャパシタ83からPEFC装置61側へ電流が流れない。
このため、たとえば電力燃料比が最大となる運転のためにPEFC装置61のFC出力電圧が低くなったとしても、昇圧型DC/DCコンバータ14-1は、所望の高い電圧を出力することができる。
電気二重層キャパシタ15-1を所望の電圧に充電し、その電圧に維持することができる。

【0077】
図6は、第2実施形態における燃料消費抑制モード53の動作を示すタイミングチャートである。
図6(A)は、燃料電池13のFC出力電圧VFCの波形である。
図6(B)は、燃料電池13のFC出力電流IFCの波形である。
図6(C)は、燃料の流量に対する電力の比を示す電力燃料比C(=PFC÷H)の波形である。
図6において、時間は左から右に経過している。

【0078】
燃料消費抑制モード53では、制御部31は、まず、電力燃料比Cが最大となる燃料供給量のサーチ処理を実行する。
サーチ処理において、制御部31は、水素消費の過渡応答に基づいて選定した時間間隔(たとえば20[s])で燃料電池13への燃料供給量H(SET)を段階的に変化させ、図2の燃料消費特性曲線をゆっくりスキャン(ソフトスキャン)する(タイミングT11からT17)。
タイミングT11からT17の各段階において、制御部31は、燃料電池13のFC出力電圧VFC[V]、燃料電池13のFC出力電流IFC[A]、並びに燃料供給量の検出流量H[l/min]を各センサで検出し、これらをDSPで演算処理して、電力燃料比C[W/l/min]を求める。
図6ではT12からT15までの各タイミングでは、電力燃料比Cは、段階的に上昇している。
T16のタイミングでは、電力燃料比Cは、前回の値より減少している。
この電力燃料比Cの減少を検出することで、制御部31は、電力燃料比Cが最大となる燃料供給量を選択する。
具体的には、制御部31は、前回の燃料供給量H(SET)を選択する。
そして、タイミングT17において、制御部31は、選択した燃料供給量H(SET)を設定する。
このため、検出期間に続く追従期間では、燃料電池13は、電力燃料比Cが最大となる状態で発電し続ける。

【0079】
これに対して、たとえば燃料電池13が出力可能な所定の電圧範囲(燃料供給量の範囲)についてスキャンを終了したとしても、演算した電力燃料比Cが前回の値より下がらない場合には、制御部31は、最後の検出に用いた燃料供給量を選択する。
また、制御部31は、複数の燃料供給量についてのサーチ処理を終了する。
この場合のその後の追従動作期間では、制御部31は、このサーチ処理により選択した燃料供給量H(SET)を用いて燃料電池13を動作させる。

【0080】
図7は、図5の燃料電池発電システム1で使用可能な固体高分子型燃料電池の基本特性図である。
図7の固体高分子型燃料電池は、定格出力電力が100Wであり、0から10Aまでの範囲のFC出力電流を出力可能である。
図7の横軸は、FC出力電流である。
縦軸は、FC出力電圧、FC出力電力、電力燃料比である。
そして、図7には、FC出力電圧の特性曲線111、FC出力電力の特性曲線112、電力燃料比の特性曲線113が図示されている。
図7の特性曲線111に示すように、固体高分子型燃料電池のFC出力電圧は、FC出力電流IFCの増加に伴い減少する。

【0081】
また、FC出力電力PFCは、特性曲線112に示すように、FC出力電流IFCの増加に伴い増加する。
そして、電力燃料比Cは、特性曲線113に示すように、FC出力電流IFCが0から1.5Aまでの範囲で急激に上昇し、1.5Aにおいてピーク(最大値)となり、1.5から10Aまでの範囲で緩やかに降下する。
このため、図7の固体高分子型燃料電池では、燃料消費抑制モード53においてはFC出力電流IFCが約1.5Aとなる燃料供給量で燃料電池13を動作させるのが望ましい。
なお、燃料電池13の燃料効率は、一般的に、FC出力電力PFCが増加するほど、悪化する傾向にある。
たとえばFC出力電流が2倍になると、必要とされる燃料供給量は2倍以上になる。
また、図7において、斜面ハッチングを付した範囲が、平均電力制御対象範囲である。図7の場合、FC出力電流IFCが0から1.5Aまでの範囲が、これに相当している。

【0082】
図8は、負荷機器100の消費電力波形の説明図である。
横軸は、時間である。縦軸は、電力である。
図8には、A波形と、B波形とが図示されている。
A波形は、ピーク電力を80W、平均電力を20W、周期120秒とする負荷電力の波形である。
B波形は、ピーク電力を40W、平均電力を20W、周期120秒とする負荷電力の波形である。
A波形とB波形とでは、周期が同一であるものの、ピーク電力および平均電力が異なる。

【0083】
【表1】
JP0005972526B2_000002t.gif

【0084】
表1は、図7の固体高分子型燃料電池に対して、図8の波形で電力を消費する負荷機器100を接続した場合の燃料消費量の実験結果の一例である。

【0085】
そして、表1の上段に示すように、B波形の負荷機器100を図7の固体高分子型燃料電池に直結した場合、水素(燃料)の消費量は、2.982リットルになる。
これに対して、B波形の負荷機器100と図7の固体高分子型燃料電池との間に図5の回路を接続した場合、水素(燃料)の消費量は、2.930リットルに減る。
このように、第2実施形態では、燃料電池13に負荷100を直結した場合に比べて、水素(燃料)の消費量を1.74%も低減できる。

【0086】
また、表1の下段に示すように、A波形の負荷機器100を図7の固体高分子型燃料電池に対して直結した場合、水素(燃料)の消費量は、3.695リットルになる。
これに対して、A波形の負荷機器100と図7の固体高分子型燃料電池との間に図5の回路を接続した場合、水素(燃料)の消費量は、2.957リットルになる。
水素(燃料)の消費量は、直結した場合に比べて、実に20.0%も低減される。

【0087】
以上のように、第2実施形態の燃料電池発電システム1では、燃料消費量を効果的に削減できる。
特に、第2実施形態の燃料電池発電システム1では、表1から明らかなように、負荷100のピーク電流が高いほど、または負荷100のピーク電力と平均電力との差が大きいほど、燃料消費量についての高い削減効果が得られる。

【0088】
図9は、一般家庭での1日の負荷電力(消費電力)を100W規模に縮小した一例を示す図である。
横軸は、時刻である。縦軸は、負荷電力である。
この縮小した規模での負荷電力パターンは、一般的に、0Wから数十Wの範囲で変動する。
また、朝方、夕方、夜中にピーク電力が発生する。

【0089】
【表2】
JP0005972526B2_000003t.gif

【0090】
表2は、図9の負荷電力パターンの下で、図7の固体高分子型燃料電池を用いた場合の燃料(水素)消費量である。
表2において「MPPT制御」は、固体高分子型燃料電池による発電をする場合に最大電力点をサーチし、そのサーチした最大電力によるMPPT方式により発電する場合である。この場合の燃料(水素)消費量は、351リットルになる。
提案方式「A方式」および「B方式」は、基本的に、燃料消費抑制方式で負荷電力を監視する例である。
そして、提案方式「B方式」では、監視する負荷電力が、電力燃料比Cmaxでの電力PFCopより小さい場合には常に電力燃料比Cmaxで動作させ、電力PCopより大きくなった場合にはMPPT方式に切り替える。この場合の燃料(水素)消費量は、286リットルになる。
これに対して、提案方式「A方式」では、監視する負荷電力が、電力燃料比Cmaxでの電力PFCopより小さい場合には常に電力燃料比Cmaxで動作させ、電力PCopより大きくなった場合には、燃料電池の出力電力を負荷電力より10%程度高い電力で制御する方式に切り替える。この場合の燃料(水素)消費量は、239リットルになる。
このように「A方式」は、「B方式」と比べて、常に電力燃料比Cが高いところで動作するように制御する。このため、「A方式」は、「B方式」と比べても消費電力を抑えることができる。

【0091】
そして、燃料消費抑制方式で負荷電力を監視する「A方式」では、「MPPT制御」と比べて水素消費量が68%に低下する。実に30%以上の削減効果がある。
また、「A方式」は、「B方式」と比べても水素消費量において13%以上の削減効果がある。
このように燃料消費抑制方式で負荷電力を監視することにより、従来の方式に比べて燃料(水素)を効率的に利用できる。
以上のように、燃料消費抑制方式で負荷電力を監視する方式を採用する第2実施形態の燃料電池発電システム1は、一般家庭などの実社会において現実的に利用される場合に、従来の制御方式に比べて燃料消費量についての高い削減効果が得られる。

【0092】
以上の各実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更または変形が可能である。

【0093】
たとえば上記各実施形態は、一般家庭に設置される定置型の燃料電池発電システム1の例である。
この他にも例えば、燃料電池発電システム1は、自動車、電車、航空機、衛星などの移動体に設置されるものであってもよい。
移動体に設置される燃料電池発電システム1に本発明を適用することにより、移動体に積載された燃料を長持ちさせることができ、移動距離を伸ばすことができる。

【0094】
上記実施形態では、燃料電池13と負荷機器100との間の電力供給経路に、DC/DCコンバータ14とエネルギー蓄積要素15とを接続している。
この他にもたとえば、燃料電池13と負荷機器100との間の電力供給経路に、抵抗素子などの定電流制御素子とエネルギー蓄積要素15とを接続してもよい。
この場合でも、本発明の方式で燃料電池13を運転することにより、燃料消費量を減らすことができる。

【0095】
図10は、燃料電池13と負荷機器100との間の電力供給経路に、抵抗素子121とエネルギー蓄積要素15とを接続した燃料電池発電システム1の概略構成図である。
図10の燃料電池発電システム1は、負荷変動をエネルギー蓄積要素15で吸収し、抵抗素子121で燃料電池13の電流を略一定に保つように動作する。
このため、図10の変形例の燃料電池発電システム1における燃料電池13のエネルギー効率は、DC/DCコンバータ14とエネルギー蓄積要素15とを用いた場合に比べて、必ずしも良いとは言えない。

【0096】
上記実施形態では、電力燃料比の最大値Cmaxをサーチする場合に、制御部31は、最小の燃料供給量から段階的に供給量を増加している。
この他にもたとえば、制御部31は、最大の燃料供給量から段階的に供給量を減少させてもよい。
また、制御部31は、温度センサなどの検出に基づいて環境変化の大小を判断し、環境変化が大きい場合にはすべての燃料供給量についてのサーチ制御を実行し、環境変化が小さい場合には前回使用した燃料供給量およびその前後の一部の燃料供給量についてのサーチ制御を実行してもよい。

【0097】
上記実施形態では、制御部31は、休止モード51から燃料消費抑制モード53へ復旧する場合に、燃料供給量のサーチ処理を実行している。
この他にもたとえば、制御部31は、最大電力モード52から燃料消費抑制モード53へ移行する場合、燃料消費抑制モード53から休止モード51へ移行する場合などにおいて、燃料供給量をサーチしてもよい。
また、制御部31は、休止モード51から復旧する度に毎回サーチするのではなく、たとえば環境変化の大小や復旧回数などに応じて、複数回に1回の割合でサーチを実行してもよい。
たとえば、制御部31は、燃料消費抑制モード53への復旧回数をカウントしたり、最後にサーチしてからの経過時間を計測したり、時刻を参照したりして、複数回に1回の割合でサーチを実行すればよい。
この場合、その複数回の期間において、制御部31は、最後にサーチした最新の燃料供給量を共通に使用すればよい。
【符号の説明】
【0098】
1…燃料電池発電システム(発電制御装置)、13…燃料電池、22…FC出力電圧センサ(第1検出部)、14…DC/DCコンバータ(変換部)、15…エネルギー蓄積要素(蓄積部)、21…流量センサ(第3検出部)、23…FC出力電流センサ(第1検出部)、24…出力電圧センサ(第2検出部)、31…制御部、100…負荷機器、V1…第1閾値電圧、V3…第3閾値電圧、V4…第4閾値電圧、C…電力燃料比
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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