TOP > 国内特許検索 > 上肢運動訓練装置 > 明細書

明細書 :上肢運動訓練装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5478440号 (P5478440)
公開番号 特開2012-061101 (P2012-061101A)
登録日 平成26年2月21日(2014.2.21)
発行日 平成26年4月23日(2014.4.23)
公開日 平成24年3月29日(2012.3.29)
発明の名称または考案の名称 上肢運動訓練装置
国際特許分類 A61H   1/02        (2006.01)
FI A61H 1/02 K
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2010-207095 (P2010-207095)
出願日 平成22年9月15日(2010.9.15)
審査請求日 平成25年1月28日(2013.1.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】余 永
【氏名】永井 雅人
【氏名】岩下 説志
【氏名】川平 和美
【氏名】林 良太
個別代理人の代理人 【識別番号】100067356、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 容一郎
【識別番号】100160004、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 憲雅
【識別番号】100148909、【弁理士】、【氏名又は名称】瀧澤 匡則
【識別番号】100161355、【弁理士】、【氏名又は名称】野崎 俊剛
審査官 【審査官】土田 嘉一
参考文献・文献 特開平07-059821(JP,A)
特開2000-279462(JP,A)
国際公開第2005/037176(WO,A1)
調査した分野 A61H 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
患者の麻痺した上肢の運動機能を回復させる訓練に用いる上肢運動訓練装置において、
椅子に座った前記患者より上方まで延びる高さの架台と、この架台の上部に平面視で矩形の頂点に鉛直軸周りに回転自在に取付けられる4個のワイヤ巻取り機構と、これらのワイヤ巻取り機構の各々から延びるワイヤと、これら4本のワイヤの先端を結合するワイヤ結合具と、このワイヤ結合具に吊り下げられ前記上肢を結束することができる上肢固定具とからなり、
前記ワイヤ巻取り機構は、前記架台に鉛直軸周りに回転自在に取付けられる回転軸と、この回転軸の上端に連結され前記回転軸の回転角を計測する回転角計測手段と、前記回転軸に吊り下げられる旋回箱と、この旋回箱から水平に延ばされる一対のアームと、これらのアームの先端に水平軸を介して回転自在に設けられ前記ワイヤを巻取るプーリと、このプーリを駆動するサーボモータと、前記ワイヤに加わる張力に応じて上下に撓む前記アームの撓み量を増幅する撓み量増幅機構と、この撓み量増幅機構で増幅された撓み量を計測する歪みゲージと、この歪みゲージで得た前記張力が所定値より大きいときには前記ワイヤを繰り出し、小さいときには前記ワイヤを巻取るように前記サーボモータのトルクを制御し、前記回転角計測手段で得た前記プーリの方位の時間変化に基づいて前記ワイヤ結合具の移動速度を演算し、得られた移動速度に基づいて前記サーボモータの回転速度を制御する制御部とからなることを特徴とする上肢運動訓練装置。
【請求項2】
前記ワイヤ結合具と前記上肢固定具との間に、前記撓み量増幅機構とは別のサブ撓み量増幅機構と、このサブ撓み量増幅機構で増幅された撓み量を計測するサブ歪みゲージとが設けられていることを特徴とする請求項1記載の上肢運動訓練装置。
【請求項3】
前記サーボモータは、前記アームの基部又は前記旋回箱に設けられ、前記プーリとは伝道手段により繋げられていることを特徴とする請求項1記載の上肢運動訓練装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の麻痺した上肢の運動機能を回復させる訓練に用いる上肢運動訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳卒中を煩った患者の一部に、後遺症として身体の一部に麻痺が残ることがある。いくつかある麻痺の種類のうち、身体の右側半分が麻痺したり、左側半分が麻痺するいわゆる片麻痺といわれるものが最も多い。片麻痺の患者の回復を図るために様々な訓練装置が提案されている(例えば、特許文献1(第3頁、図2、図3)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図13に示すように、上肢動作補助機構100は、6つのサーボモータ101、102、103、104、105、106と、これらのサーボモータ101、102、103、104、105、106のそれぞれに繋げられるワイヤ等の糸条111、112、113、114、115、116と、これらの糸条111、112、113、114、115、116のうち糸条111、112、113の先端が繋がれ患者の肘近傍に装着される肘装着具117と、糸条114、115、116の先端が繋がれ患者の手首近傍に装着される手首装着具118と、6つのサーボモータ101~106を制御する制御装置(特許文献1第3頁左欄第11行)121~126と、この制御装置に動作指令を送るスイッチ(特許文献1第3頁左欄第19行)131~136とからなる。なお、特許文献1には制御装置やスイッチは図示せぬと説明されているが、説明の便宜のために図13に制御装置121~126及びスイッチ131~136を明示した。
【0004】
スイッチ131~136は、患者Q又は医師もしくは訓練士が操作する(特許文献1第3頁左欄第19行~第20行)。スイッチ131を操作することにより、糸条111の長さが調整される。同様に、スイッチ132を操作することにより、糸条112~116の長さが個別に調整される。
【0005】
図14に示されるように、肘部がaに置かれた場合、手首部はAに位置する。同様に、肘部がb~jに置かれた場合、手首部はB~Jに位置する。このようにして、手首部は斜線が施されているエリアが可動範囲となる(特許文献1第3頁右欄第7行~第8行)。
【0006】
以上の説明から推察すると、上肢動作補助機構100では、スイッチ131~136を操作することで、糸条111~116の長さを変えることにより、患者Aの上肢の訓練を実施する。
【0007】
これでは、スイッチ操作が繁雑になり、スイッチ操作における負担が甚大になる。
また、近年の訓練方法では、患者Qが上肢に力を加え、不足する力を外から加えることで、上肢を上下どうさせることが望まれる。上肢動作補助機構100では、患者Qが上肢に力を加えなくとも、操り人形にように上肢が上下動することになり、訓練の成果が得にくい。
【0008】
そこで、スイッチ操作が不要又は簡便で、十分な訓練の成果が得られる訓練装置の提供が求められる。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開平7-59821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、スイッチ操作が不要又は簡便で、十分な訓練の成果が得られる訓練装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、患者の麻痺した上肢の運動機能を回復させる訓練に用いる上肢運動訓練装置において、
椅子に座った患者より上方まで延びる高さの架台と、この架台の上部に平面視で矩形の頂点に鉛直軸周りに回転自在に取付けられる4個のワイヤ巻取り機構と、これらのワイヤ巻取り機構の各々から延びるワイヤと、これら4本のワイヤの先端を結合するワイヤ結合具と、このワイヤ結合具に吊り下げられ上肢を結束することができる上肢固定具とからなり、
ワイヤ巻取り機構は、架台に鉛直軸周りに回転自在に取付けられる回転軸と、この回転軸の上端に連結され回転軸の回転角を計測する回転角計測手段と、回転軸に吊り下げられる旋回箱と、この旋回箱から水平に延ばされる一対のアームと、これらのアームの先端に水平軸を介して回転自在に設けられワイヤを巻取るプーリと、このプーリを駆動するサーボモータと、ワイヤに加わる張力に応じて上下に撓むアームの撓み量を増幅する撓み量増幅機構と、この撓み量増幅機構で増幅された撓み量を計測する歪みゲージと、この歪みゲージで得た張力が所定値より大きいときにはワイヤを繰り出し、小さいときにはワイヤを巻取るようにサーボモータのトルクを制御し、回転角計測手段で得たプーリの方位の時間変化に基づいてワイヤ結合具の移動速度を演算し、得られた移動速度に基づいてサーボモータの回転速度を制御する制御部とからなることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、ワイヤ結合具と上肢固定具との間に、撓み量増幅機構とは別のサブ撓み量増幅機構と、このサブ撓み量増幅機構で増幅された撓み量を計測するサブ歪みゲージとが設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、サーボモータは、アームの基部又は旋回箱に設けられ、プーリとは伝道手段により繋げられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、張力が所定値より大きいときにはワイヤを繰り出し、小さいときにはワイヤを巻取るようにサーボモータのトルクを制御する制御部を有する。患者が上肢を下げようとすると、ワイヤの張力が大きくなる。張力が所定値より大きくなると、サーボモータのトルクを制御して、ワイヤを繰り出す。ワイヤを繰り出すことで、患者が上肢を下げようとする運動を補助する。
【0015】
同様に、患者が上肢を上げようとすると、ワイヤの張力が小さくなる。張力が所定値より小さくなると、サーボモータのトルクを制御して、ワイヤを巻取る。ワイヤを巻取ることで、患者が上肢を上げようとする運動を補助する。
【0016】
本発明に係る上肢運動訓練装置によれば、患者が上肢を昇降させようとする運動を、サーボモータのトルクを制御することで補助する。即ち、ワイヤの巻取りや送出しを行うためのスイッチ操作が不要である。スイッチ操作が不要又は簡便で、十分な訓練の成果が得られる訓練装置ということができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、ワイヤ結合具と上肢固定具との間に、サブ撓み量増幅機構と、サブ歪みゲージとが設けられている。複数の箇所でワイヤの張力を図ることで、より精密にワイヤの巻取り及び送出しを制御することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、サーボモータは、アームの基部又は旋回箱に設けられ、プーリとは伝道手段により繋げられている。サーボモータをアームの基部又は旋回箱に設けるため、サーボモータの重量でアームが撓むことを防止する。サーボモータの重量でアームが撓むことを防止することで、アームにかかる負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る上肢運動訓練装置の斜視図である。
【図2】ワイヤ巻取り機構の斜視図である。
【図3】ワイヤ巻取り機構の旋回について説明する図である。
【図4】ワイヤ巻取り機構の分解斜視図である。
【図5】歪みゲージ及び撓み量増幅機構の側面図である。
【図6】歪みゲージ及び撓み量増幅機構の作用説明図である。
【図7】ワイヤ結合具の斜視図である。
【図8】サブ撓み量増幅機構とサブ歪みゲージの斜視図である。
【図9】本発明に係る上肢運動訓練装置の回路図である。
【図10】ワイヤ巻取り機構の作用説明図である。
【図11】図10の原理を説明する図である。
【図12】本発明に係る上肢運動訓練装置の作用説明図である。
【図13】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【図14】従来の技術の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0021】
図1に示されるように、上肢運動訓練装置10は、椅子11に座った患者より上方まで延びる高さの架台12と、この架台12の上部に取付けられる4個のワイヤ巻取り機構14a、14b、14c、14dと、これらのワイヤ巻取り機構14a、14b、14c、14dの各々から延びるワイヤ15a、15b、15c、15dと、これら4本のワイヤ15a、15b、15c、15dの先端を結合するワイヤ結合具16と、このワイヤ結合具16の下部に吊り下げられる歪み量計測部材17と、この歪み量計測部材17に吊り下げられ患者の上肢を結束することができる上肢固定具18とからなる。
【実施例】
【0022】
架台12は、ベース部21と、このベース部21奥側から立ち上げられる支柱22、22と、これらの支柱22、22から前方に延ばされ天板23が取付けられる天板取付梁24、24と、これらの天板取付梁24、24までベース部21から立ち上げられる4本の下部脚部25と、天板取付梁24の上部から上方に向かって延ばされる上部脚部26、26と、これらの上部脚部26、26及び支柱22、22の上部に設けられる矩形枠状の枠体27と、この枠体27の前後方向に向かって架けられワイヤ巻取り機構14a、14b、14c、14dを支持する上部梁部28、28と、上部脚部26、26から支柱22、22及び支柱22、22間に架けられる下部梁部29とからなる。
【実施例】
【0023】
上部梁部28、28に支持される、ワイヤ巻取り機構14a、14b、14c、14dの詳細を次図以降で説明する。
なお、ワイヤ巻取り機構14a、14b、14c、14dは、全て同一の機構である。説明の便宜上、次図以降ワイヤ巻取り機構14a、14b、14c、14dを、必要に応じて単に「ワイヤ巻取り機構14」と記す。
【実施例】
【0024】
図2に示すように、ワイヤ巻取り機構14は、架台に取付けられる板材38と、この板材38に対して鉛直軸周りに回転自在に取付けられる回転軸39と、板材38の上部にボルト41、41を用いて固定され回転軸39の上方に向かって延ばされる補助板材42と、この補助板材38の上部に取付けられ回転軸39の回転角を計測する回転角計測手段としてのロータリエンコーダ43と、回転軸39に吊り下げられ回転軸39と一体的に回転される旋回箱44と、この旋回箱44から水平に延ばされ図面表裏方向に設けられる一対のアーム33、33と、これらのアーム33、33の先端に水平軸34を介して回転自在に設けられワイヤ(図1、符号15)を巻取るプーリ35と、このプーリ35を駆動するサーボモータ36とからなる。
【実施例】
【0025】
旋回箱44は、回転軸39に取付けられる上面板45と、この上面板45の両側方から下方に向かって延ばされる側板46a、46bとからなる。
側板46a、46bは、ボルト47を用いて上面板45に固定される。
側板46aは、サーボモータ36の軸37を回転可能に支持する軸受部49を有する。
ワイヤ巻取り機構14の旋回について詳細を次図で説明する。
【実施例】
【0026】
図3に示すように、回転軸39を鉛直軸廻りに回転させる(白抜き矢印(1))。白抜き矢印(2)で示すように、回転軸39と同じ方向に、旋回箱44、アーム33、水平軸34、プーリ35が一体的に回転する。即ち、回転軸39、旋回箱44、アーム33、水平軸34、プーリ35は、鉛直軸廻りに一体に回転する。
【実施例】
【0027】
白抜き矢印(3)で示すように、水平軸34を時計回り方向に回転させると、ワイヤ15は送り出される。逆に、水平軸34を反時計回り方向に回転させると、ワイヤ15は巻取られる。一方、水平軸34の回転では、アーム33、旋回箱44、回転軸39は回転しない。
水平軸34の駆動手段について詳細を次図で説明する。
【実施例】
【0028】
図4に示すように、旋回箱44に支持されたサーボモータ36の軸37に、タイミングプーリ51が設けられ、水平軸34にもタイミングプーリ52が設けられる。これらのタイミングプーリ51、52間にタイミングベルト53が架けられる。
【実施例】
【0029】
サーボモータ36が作動し、軸37が回転することで、タイミングプーリ51が回転する。タイミングプーリ51が回転することで、タイミングベルト53が回転する。タイミングベルト53が回転することで、タイミングプーリ52が回転する。
【実施例】
【0030】
タイミングプーリ52を支持する水平軸34及び、水平軸34に支持されるプーリ35も一体的に回転する。
即ち、サーボモータ36が作動することで、軸37、タイミングプーリ51、タイミングベルト53、タイミングプーリ52、水平軸34、プーリ35が一体的に回転する。
【実施例】
【0031】
サーボモータ36の軸37は、プーリ35を支持する水平軸34の高さと同じ高さに設けられる。同じ高さに設けることで、サーボモータ36の重さでアーム33が撓むことを防止することができる。
アーム33の詳細について次図で説明する。
【実施例】
【0032】
図5に示すように、アーム33は、旋回箱44の側部から水平軸34に向かってテーパ状に延ばされるテーパ部55と、このテーパ部55の先端から水平方向に延ばされる水平部56と、この水平部56の先端に設けられ水平軸34を回転可能に支持する軸受部57と、この軸受部57から上方に向かって延ばされる鉛直部58とからなる。
鉛直部58の上端は、板材(図2、符号38)の下部に固定される上端支持部材59に固定され、支持される。
【実施例】
【0033】
鉛直部58は、所定の幅を有する一般部58a、58aと、一般部58a、58aから幅を狭める方向に傾けられるテーパ形状部58b、58bと、これらのテーパ形状部58b、58b間を繋ぎ幅の細い幅細部58cとからなる。
【実施例】
【0034】
幅細部58cを形成し、一部に脆弱な部位を設ける。脆弱な部位を有することで、鉛直部58に荷重が加わった場合に、鉛直部58は撓みやすくなる。このような撓み量を増幅させる機構を撓み量増幅機構62という。即ち、撓み量増幅機構62は、鉛直部58上に設けられている。
【実施例】
【0035】
幅細部58cに、撓み量を計測する歪みゲージ63、63が貼り付けられる。即ち、歪みゲージ63、63は、撓み量増幅機構62上に設けられる。
アーム33の作用について詳細を次図で説明する。
【実施例】
【0036】
図6に示すように、上肢固定具(図1、符号18)を下方に引っ張ると、ワイヤ(図1、符号15)も下方に向かって引っ張られる。ワイヤが引っ張られることで、ワイヤを支持するプーリ(図2、符号35)及びプーリを支持する水平軸34に、白抜き矢印で示すような張力が加わる。張力が加わることで、アーム33が撓む。アーム33は、張力が大きくなるほど撓み量が大きくなる。
【実施例】
【0037】
特に、撓み量増幅機構62は、脆弱な部位を設けることで、撓みやすい構造とされている。撓み量増幅機構62で撓み量を増幅させることで、歪みゲージ63は、より微細な撓みを検出することができる。
次図でワイヤ結合具(図1、符号ワイヤ結合具16)について詳細を説明する。
【実施例】
【0038】
図7に示すように、ワイヤ結合具16は、直方体の本体65に、5つの孔66a、66b、66c、66d、66eが開けられてなる。長方形状に配置された4つの孔66a、66b、66c、66dの中心、即ちこの長方形の対角線と対角線の交わる位置に孔66eが配置される。
【実施例】
【0039】
孔66a、66b、66c、66dには、それぞれワイヤ15a、15b、15c、15dが差し込まれる。孔66eには、歪み量計測部材(図1、符号17)に接続するためのワイヤ67が差し込まれる。
歪み量計測部材の詳細を次図で説明する。
【実施例】
【0040】
図8に示すように、歪み量計測部材17は、ワイヤ(図7、符号67)が接続される上部接続部71と、この上部接続部71の下部に設けられ水平方向に延ばされる上梁部72と、この上梁部72から下方に向かって延ばされる柱部73と、この柱部73を挟むように上梁部72から下方に向かって延ばされる2本の歪み量計測部74、74と、これらの歪み量計測部74、74の下端に接続され上梁部72に平行に延びる下梁部75と、下梁部75の下部から上肢固定具(図1、符号18)に接続するための下部接続部76とからなる。
【実施例】
【0041】
歪み量計測部74、74には、それぞれテーパ形状部74a、74a、幅細部74b、74bが設けられ、サブ撓み量増幅機構78を構成する。サブ撓み量増幅機構78の作用は、撓み量増幅機構(図6、符号62)と同様であり、詳細な説明は割愛する。
サブ撓み量増幅機構78にサブ歪みゲージ79、79が貼り付けられる。
【実施例】
【0042】
サブ歪みゲージ79を設けることで、複数の箇所でワイヤの張力を図ることができる。複数の箇所でワイヤの張力を図ることで、より精密にワイヤの巻取り及び送出しを制御することができる。
ワイヤの巻取り及び送出しについて次図で詳細を説明する。
【実施例】
【0043】
図9に示すように、ワイヤ巻取り機構14aに設けられた歪みゲージ63a及びロータリエンコーダ43aは、サーボモータ36aを作動させるための制御部80に接続される。サブ歪みゲージ79も制御部80に繋がれる。
【実施例】
【0044】
歪みゲージ63a及びサブ歪みゲージ79は、計測した撓み量を制御部80に送信する。制御部80は、撓み量からワイヤ15aにかかっている張力を算出する。算出された張力が所定値より大きい場合は、モータドライバ81を介して、ワイヤ15aを繰り出すようサーボモータ36aのトルクを制御する。
算出された張力が所定値より小さい場合は、モータドライバ81を介して、ワイヤ15aを巻取るようサーボモータ36aのトルクを制御する。
【実施例】
【0045】
ロータリエンコーダ43aは、プーリ35aの水平方向への回転を検出し、回転量を制御部80に送信する。制御部80は、プーリ35aの回転量からプーリ35aの方位を検出し、プーリ35aの方位の時間変化に基づいてワイヤ結合具16の移動速度を演算し、得られた移動速度に基づいてサーボモータ36aの回転速度を制御する。
【実施例】
【0046】
ワイヤ巻取り機構14b、14c、14dについても同様であり、詳細な説明は割愛する。
ワイヤ結合具16の移動について詳細を次図以降で説明する。
【実施例】
【0047】
図10に示すように、平面視で矩形状に配置されるワイヤ巻取り機構14の中心をOとし、中心Oからワイヤ巻取り機構14cに向かって延びる軸をx軸の正方向とし、中心Oからワイヤ巻取り機構14dに向かって延びる軸をy軸の正方向とする。
患者が上肢固定具(図1、符号18)及びワイヤ結合具16を水平方向に移動させる前の段階において、ワイヤ結合具16は、中心O上に位置する。
【実施例】
【0048】
反時計回り方向へのプーリ35の旋回を正方向への旋回とし、プーリ35が中心Oの方向を向いている場合を0°とする。ワイヤ巻取り機構14aが、反時計回り方向にα°回転した場合に、これをαaとする。
【実施例】
【0049】
平面視で、各ロータリエンコーダ43から中心Oまでの距離をLとし、ロータリエンコーダ43からワイヤ結合具16までの距離をrとする。ロータリエンコーダ43aからワイヤ結合具16までの距離をraと示す。ワイヤ結合具16までの距離raは、ワイヤ巻取り機構14aのワイヤの送出し量及びワイヤ結合具16の高さから算出することができる。
【実施例】
【0050】
プーリ35が旋回可能に設けられることで、上肢固定具が水平方向に自由に移動することができる。水平方向に上肢を自由に移動させることで、より患者の意思に基づいた訓練を行うことができる。
【実施例】
【0051】
図11に示すように、中心Oからワイヤ結合具16が座標(x、y)まで移動したとする。このとき、座標(x、y)を、次式で示すようにして求めることができる。
【実施例】
【0052】
【数1】
JP0005478440B2_000002t.gif
【実施例】
【0053】
高さの座標zも合わせると、以下のようにしてワイヤ結合具16の座標を特定することができる。
ワイヤ巻取り機構14aから送り出されたワイヤ15aの長さraは、サーボモータの回転量から特定することができる。ワイヤ15aの長さraが特定されることで、ワイヤ結合具16が移動し得る軌跡を球面として特定することができる。
【実施例】
【0054】
次に、ロータリエンコーダによって、プーリの方位αaを特定することができる。プーリの方位を特定することで、ワイヤ結合具16が移動し得る軌跡を半径raの円形の線として特定することができる。
【実施例】
【0055】
半径raの円形の線と同様の方法で求めた、半径rcの円形の線を特定し、半径raの円形の線との交点を求めることで、ワイヤ結合具16の座標(x、y、z)は特定される。
【実施例】
【0056】
ある時間t1でのワイヤ結合具16の座標P1が(x1、y1、z1)であったとする。このt1からΔt後のt2におけるワイヤ結合具16の座標P2が(x2、y2、z2)であったとする。P1からP2までの移動距離ΔPを、Δtで除することで、ワイヤ結合具16の移動速度を求めることができる。演算された移動速度に基づき、制御部はサーボモータの回転速度を制御する。
【実施例】
【0057】
図12(a)に示すように、上肢固定具18に患者83が上肢84を固定することで、上肢固定具18に所定の荷重がかかる。所定の荷重がかかることで、アーム(図5、符号33)が所定の量だけ撓む。
このとき、制御部(図9、符号80)はサーボモータ(図9、符号36)のトルクを制御しない。
【実施例】
【0058】
(b)に示すように、患者83が上肢84を下降させようとする。上肢84の重さに加えて、上肢固定具18に矢印(5)で示すように、さらに荷重が加わる。即ち、ワイヤ67の張力が大きくなる。大きな張力がかかることで、アーム(図5、符号33)が大きく撓む。
制御部(図9、符号80)はサーボモータ(図9、符号36)のトルクを制御し、矢印(6)で示すように、ワイヤ67を送出す。
【実施例】
【0059】
(c)に示すように、患者83が上肢84を上昇させようとする。上肢固定具18には、上肢84の重さよりも軽い荷重がかかる(矢印(7)参照)。即ち、ワイヤ67の張力が小さくなる。張力が小さくなることで、アーム(図5、符号33)の撓みが小さくなる。
制御部(図9、符号80)はサーボモータ(図9、符号36)のトルクを制御し、矢印(8)で示すように、ワイヤ67を巻取る。
【実施例】
【0060】
本発明に係る上肢運動訓練装置によれば、患者83が上肢84を昇降させようとする運動を、サーボモータ36のトルクを制御することで補助する。即ち、ワイヤの巻取りや送出しを行うためのスイッチ操作が不要である。スイッチ操作が不要又は簡便で、十分な訓練の成果が得られる訓練装置ということができる。
【実施例】
【0061】
図2に戻り、歪みゲージ63は、撓み量を増幅する撓み量増幅機構62上に設けられる。撓み量増幅機構62で撓み量を増幅させることで、歪みゲージ63は、より微細な撓みを検出することができる。より微細な撓みを検出することで、サーボモータ36によるワイヤの巻取り及び繰り出しの精度を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、片麻痺上肢の機能回復訓練に供する訓練装置に好適である。
【符号の説明】
【0063】
10…上肢運動訓練装置、11…椅子、12…架台、14…ワイヤ巻取り機構、15…ワイヤ、16…ワイヤ結合具、18…上肢固定具、33…アーム、34…水平軸、35…プーリ、36…サーボモータ、39…回転軸、43…ロータリエンコーダ(回転角計測手段)、44…旋回箱、51…タイミングプーリ(伝動手段)、52…タイミングプーリ(伝動手段)、53…タイミングベルト(伝動手段)、62…撓み量増幅機構、63…歪みゲージ、78…サブ撓み量増幅機構、79…サブ歪みゲージ、80…制御部、83…患者、84…上肢。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13