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明細書 :動物個体の代謝状態の測定方法及びその装置。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5412609号 (P5412609)
公開番号 特開2010-054489 (P2010-054489A)
登録日 平成25年11月22日(2013.11.22)
発行日 平成26年2月12日(2014.2.12)
公開日 平成22年3月11日(2010.3.11)
発明の名称または考案の名称 動物個体の代謝状態の測定方法及びその装置。
国際特許分類 G01N   1/22        (2006.01)
G01N  33/48        (2006.01)
G01N  33/497       (2006.01)
G01N   1/02        (2006.01)
G01N  30/88        (2006.01)
G01N  30/04        (2006.01)
FI G01N 1/22 B
G01N 33/48 S
G01N 33/497 Z
G01N 1/02 W
G01N 30/88 E
G01N 30/04 A
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2008-249081 (P2008-249081)
出願日 平成20年8月27日(2008.8.27)
審査請求日 平成23年8月10日(2011.8.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
【識別番号】504253980
【氏名又は名称】有限会社ピコデバイス
発明者または考案者 【氏名】大桑 哲男
【氏名】津田 孝雄
審査官 【審査官】秋田 将行
参考文献・文献 特開昭59-200645(JP,A)
特開平06-217998(JP,A)
特開平06-233785(JP,A)
特開平11-083695(JP,A)
特開2000-103711(JP,A)
特開2002-195919(JP,A)
特開2002-262698(JP,A)
特開2008-131862(JP,A)
特開2008-212410(JP,A)
特許第4057039(JP,B2)
実公昭53-022546(JP,Y1)
実開昭52-055868(JP,U)
実開昭59-064112(JP,U)
実開昭61-106219(JP,U)
実開昭61-177619(JP,U)
実開昭63-186409(JP,U)
津田孝雄,ヒト皮膚から揮散される化学物質と香り,Aroma Res,日本,2008年 2月28日,Vol.9 No.1,Page.63-72
調査した分野 G01N 1/00 - 1/44
G01N 33/48 -33/98
G01N 30/00 -30/96
A01K 1/00 -15/00
A61B 5/00
A61D 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
動物個体の皮膚露出部・局部を固定するために、動物個体を両開きの円筒形固定具に挿入し、尾部のみを別室に露出させるための開口部を持つ挿入板を前記円筒形固定具に挿入し、該開口部に、採取用樹脂シート製バッグ装着することにより動物個体の尾部より皮膚ガスを採取することを特徴とする動物個体の代謝状態を測定方法。
【請求項2】
動物個体の皮膚露出部・局部を固定するために、動物個体を両開きの円筒形固定具に挿入し尾部のみが別室に露出させるための開口部を持つ挿入板を備え、該開口部に装着された動物個体の尾部より皮膚ガスを採取するための採取用樹脂シート製バッグからなることを特徴とする動物個体の代謝状態を測定する装置。
【請求項3】
ラットあるいはマウスを固定具に入れ、尾部から皮膚ガスを捕集するための採取用樹脂シート製バッグからなる請求項2記載の装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
ヒト皮膚ガスの採取に関して特許があり(特許番号:特許第4024817号、特許第4024818号,特許第40570397号)、指と腕からの採取についての採取具が開示されている。しかしながら上記の特許はヒトを対象に限られ行われている。
【背景技術】
【0002】
本発明は小動物への皮膚ガス採取に関係している。これまで小動物の皮膚ガス研究は見当たらず、全く未知の分野である。また、小動物は医薬品の開発、疾病の状態などの研究や開発に重要な実験手段となっている。小動物を対象とした皮膚ガスの採取はこれまでに報告がなく、全く新しい方法である。
【0003】
本発明はこの未知の分野に対応した新しい小動物からの皮膚ガス採取方法及びその手段を提供する。
【0004】
この種の方法として、特許文献1から3に示すとおりヒトに関するものが特許されているが、そのまま小動物に適応することはできなかった。
また、小動物を利用し、疾病の状態を把握したり、医薬品の効果を確認することが多く行なわれているが、その操作には時間と手間がかかっていた。
【0005】

【特許文献1】特許第4024817号
【特許文献2】特許第4024818号
【特許文献3】特許第40570397号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小動物の個体を安静状態に保ち、局所皮膚より皮膚ガスを採取し、小動物の個体の代謝状態を反映している皮膚ガスを採取することが課題である。
小動物に麻酔を実施すると麻酔の個体体に及ぼす影響は大きく、個体の代謝状態を把握するには適していない。小動物の局所皮膚ガスとしては尾部、耳部、足、などの突起部からの採取が望ましく、これらは比較的個体の活動に左右されず固定できる。このため、固定方法を開発することが解決課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
動物個体の局部皮膚表面より皮膚ガスを採取し、動物個体の代謝状態を把握する。
【0008】
動物個体の皮膚露出部・局部を固定するために、動物個体を円筒形固定具に挿入し尾部のみが外部に露出させるための開口部を持つ挿入板を備え、動物個体の尾部より皮膚ガスを採取することができるように円筒形固定具を備えたものである。
【0009】
ラットあるいはマウスを請求項2の固定具に入れ、その尾部から皮膚ガスを捕集するためのポリフロロエチレンシートからなる採取バッグ(サンプリングバッグ)で、かつ尾の付け根で採取バッグの開口部を密閉することができる採取バッグが必要である。
【0010】
ウサギの耳にポリフロロエチレンシート製のサンプリング用バッグを装着し皮膚ガス採取する手段が必要である。
【0011】
ラットの足にポリフロロエチレンシート製のサンプリングバッグを装着し、皮膚ガス採取ができる手段が必要である。
【0012】
小動物の個体を安静状態に保ち、局所皮膚より皮膚ガスを採取し、小動物の個体の代謝状態を反映している皮膚ガスを採取することが課題である。
【0013】
小動物に麻酔を実施すると麻酔の個体に及ぼす影響は大きく、個体の代謝状態を把握するには適していない。
【0014】
小動物の局所皮膚ガスとしては尾部、耳部、足、などの突起部からの採取が望ましく、これらは比較的個体の活動に左右されず固定できる。このため、固定方法を開発することが解決課題である
【0015】
本発明の採取バックは、ラットあるいはマウスを円筒形固定具に入れ、尾部から皮膚ガスを捕集するためのポリフロロエチレンシートからなる採取バッグの開発、および尾の付け根で採取バッグの開口部を密閉することができるものである。
【0016】
本発明はラットあるいはマウスの尾について説明するが、尾の代わりに足を測定する場合も同様であり、またウサギの場合も同様であるが、この場合は尾の代わりにウサギの耳や足を利用するものである。このウサギの耳や足にポリフロロエチレンシートを装着し皮膚ガスを採取する方法及びその装置である。
【0017】
以上説明したように、本発明は動物個体の尾、耳あるいは足などの局部皮膚表面より皮膚ガスを採取し、動物個体の代謝状態を測定する方法およびその装置に関するものである。
【0018】
動物個体の皮膚露出部・局部を固定するために、動物個体を円筒形固定具に挿入し尾部のみが外部に露出させるための開口部を持つ挿入板を備え、動物個体の尾部より皮膚ガスを採取することができる円筒形固定具で、円筒型の筒状の構造や両開きの構造を備えたものにより動物個体に強いストレスを与えることなく、また非侵襲で固定できる。
小動物を用いて皮膚ガスを採取することは、人において非常に困難な実験系を短時間に効果的に実施できることがよく知られた事実である。本発明は小動物の皮膚ガスを採取することにより身体の代謝状態を把握できることになる。動物の局所から非侵襲に皮膚ガスを採取し皮膚ガスに含まれる化学成分の変動を測定することにより個体の身体の健康状態や疾病を的確に判断できる手段を与えることができる。本発明の方法と測定具を用いれば、非常に経済的に疾病把握や薬剤効果の判定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施例1のラット固定具は図1~図4に示すように、ラットを固定具に入れやすいように円筒型にしている。ラットの頭部はラットの大きさにより位置を変えられるように溝を3箇所設け選べるようになっており、この溝に頭部固定用仕切り板(符号5)を用いた。尾部は尾部用のカットのある固定板(符号6)を用い、ラットを円筒の中に導いた後に尾部固定板を設置して、尾を固定板から外に出した。この構造により、尾部より容易に皮膚ガスが採取できる。前方はラットが抜け出ないように、また長さを調節できるように仕切り板をおいている。
【0020】
実施例1のラット固定具の中央部は符号4の切り込みが入れられ、腹側頸静脈に留置したカテーテルから採血ができるように工夫されている。
【0021】
実施例1のラット固定具にラットを入れ尾部からの皮膚ガス採取方法を図4に示している。尾部固定用仕切り板から尾部のみを外に出し、尾部からの皮膚ガス採取が可能である。皮膚採取前にラットの尾部をきれいに蒸留水で洗浄した後、ポリフロロエチレンシート製サンプリングバッグ(符号10)を装着する。サンプリングバッグは尾部の挿入する開口部とガスを出し入れするコックをつけている。サンプリングバッグのラット尾への装着はまず延伸性の良い樹脂フィルムを数回尾の付け根に巻き、次にサンプリングバッグの開口部をラットの尾の付け根に巻いて付け、この上から延伸性の良い樹脂フィルムを用いて尾部とポリフロロエチレンシート製バッグとを固定し皮膚ガスが漏れないように密閉する。皮膚ガス採取は ポリフロロエチレンシート製バッグ内を窒素ガスで数回洗浄した後、20mlの窒素ガスをバッグ内に入れ、3分間の皮膚ガスを採取する。これらの操作は三方活栓14~16を操作しながら行う。サンプリングバッグに3分間採集された皮膚ガスはサンプル保存バッグ(ポリフロロエチレンシート製)(符号13)に移され、次いでガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
【0022】
実施例2のラット固定具は図5に示すように、ラットを固定具に入れやすいように扉を全開できるようにしている。ラットの尾部を固定具から外に出し、皮膚ガスを採取しやすいようにカットを入れている。前方はラットが抜け出ないように、また長さを調節できるように仕切り板をおいている。
【0023】
実施例2のラット固定具の半開き、と閉じたとき図を図6と図7に示している。中央部は切り込みが入れられ、カテーテルから採血ができるように工夫されている。
【0024】
実施例2のラット固定具は留め金で中央部を固定されるしくみとなっている。閉じた状態にして、上部の切込みからラットよりのカテーテルをラット固定具外に導き採血を実施する。
【0025】
実施例2のラット固定具にラットを入れ尾部からの皮膚ガス採取方法を図8に示している。固定具から尾部のみを外に出し、尾部からの皮膚ガス採取が可能である。皮膚採取前にラットの尾部をきれいに蒸留水で洗浄した後、ポリフロロエチレンシート製バッグを装着する。バッグ装着はパラフィルムを用いてラットの尾部とポリフロロエチレンシート製バッグの上から固定し皮膚ガスが漏れないように密閉する。皮膚ガス採取はポリフロロエチレンシート製バッグ内を窒素ガスで数回洗浄した後、20mlの窒素ガスをバッグ内に入れ、3分間の皮膚ガスを採取する。バッグに採集された皮膚ガスはサンプル保存バッグに移され、分析した。
【0026】
実施例3は糖尿病ラットについて調べた。10週齢の糖尿病ラットと対象群におけるラット尾部から捕集された皮膚ガス中のアセトンガス濃度の比較を図9に示した。図9からわかるように糖尿病ラットの尾部から採取したアセトン濃度は対照群に比較し高い結果が得られた。
【0027】
実施例4は10週齢高血圧ラットについて実施した。実施例4の結果を図10に示した。高血圧ラットと対象群におけるラット尾部より得られた皮膚ガス中のアセトン濃度の比較を図10に示した。図10からわかるように高血圧ラットの尾部から採取したアセトン濃度は対照群に比較し高い結果が得られた。
【0028】
実施例5は10週齢糖尿病ラットについて、皮膚ガス一酸化窒素について検討した。図11は、糖尿病ラットと対象群におけるラット尾部一酸化窒素濃度の比較を示した。図11からわかるように糖尿病ラットの尾部から採取した一酸化窒素濃度は対照群に比較し低い結果が得られた。
【0029】
実施例6は尾部から得られたアセトンガス濃度とラットの血中成分との比較検討を実施した。血中のグルコース成分とアセトンガス濃度との間に相関が示唆される。
【0030】
実施例7はウサギを円筒型の固定具に入れて、耳からのガスの採取が行えた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように、本発明は小動物への皮膚ガス採取を行なえるようにしたものであり、これまで小動物の皮膚ガス研究は見当たらず、全く未知の分野であるが、実験動物として有用な小動物は医薬品の開発、疾病の状態などの研究や開発に重要な実験手段となっている。この経過や結果測定を簡単かつ容易に行え、その利用価値は極めて大きい。小動物を用い皮膚ガスと病態との関係が明らかにでき、この関係は人の病気に応用できる基礎を与える。これにより皮膚ガスを用いた病気の予知が可能になりうる。また新たな皮膚ガスを発見でき、病態との新たな健康指標が提示できる可能性を持っている。これらの医療産業への応用や人の健康への寄与は非常に大きく将来的に大きな社会的寄与ができ、産業への波及効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1のラット要固定具の斜視図である。
【図2】実施例1のラット用固定具に仕切り板を設置し、固定具全体を遮光ケースに入れたときの斜視図である。
【図3】実施例1のラット用固定具の仕切り板の平面図である。
【図4】実施例1のラット用固定具にラットをいれて、ラット尾部より皮膚ガス採取し、同時に血液を採集しているときの状態の図である。
【図5】実施例2のラット要固定具の斜視図(全開図)である。
【図6】実施例2のラット用固定具の斜視図(半開図)である。
【図7】実施例2のラット用固定具の斜視図(前閉図)である。
【図8】実施例2のラット用固定具にラットを入れて、ラット尾部より皮膚ガス採取し、同時にカテーテルにより血液を採取している様子を横側面から示した状態の図である。
【図9】実施例3により得られた糖尿病ラットと対象群におけるラット尾部アセトン濃度の比較の図である。
【図10】実施例4により得られた高血圧ラットと対象群におけるラット尾部アセトン濃度の比較の図である。
【図11】実施例5により得られた糖尿病ラットと対象群におけるラット尾部一酸化窒素濃度の比較の図である。
【符号の説明】
【0033】
1. 円筒型小動物固定具
2. 頭部固定用仕切り板設置溝
3. 尾部固定用仕切り板設置溝
4. 採血用注射針挿入口
5. 頭部固定用仕切り板
6. 尾部固定用仕切り板
7. 遮光ケース
8. ラット(マウス)
9. ラットの尾
10. 皮膚ガスサンプリングバッグ
11. サンプリングバッグ内のガス排気用シリンジ
12. サンプリング用清浄ガス
13. サンプルガス保存用ガスバッグ
14. 三方活栓
15. 三方活栓
16. 三方活栓
17. 採血用器具
18. 扉
19. 尾部固定版(縦65mm,横110mm,厚さ2mm)
20. 頭部固定版(縦65mm,横110mm,厚さ2mm)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10