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明細書 :骨密度向上剤、抗骨粗鬆症薬および抗骨粗鬆症食品

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4923236号 (P4923236)
公開番号 特開2006-248936 (P2006-248936A)
登録日 平成24年2月17日(2012.2.17)
発行日 平成24年4月25日(2012.4.25)
公開日 平成18年9月21日(2006.9.21)
発明の名称または考案の名称 骨密度向上剤、抗骨粗鬆症薬および抗骨粗鬆症食品
国際特許分類 A61K  31/19        (2006.01)
A61P  19/10        (2006.01)
FI A61K 31/19
A61P 19/10
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2005-065134 (P2005-065134)
出願日 平成17年3月9日(2005.3.9)
審査請求日 平成20年3月5日(2008.3.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】米田 幸雄
【氏名】檜井 栄一
個別代理人の代理人 【識別番号】100106611、【弁理士】、【氏名又は名称】辻田 幸史
【識別番号】100087745、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 善廣
【識別番号】100098545、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 伸一
審査官 【審査官】川嵜 洋祐
参考文献・文献 中国特許出願公開第1565439(CN,A)
米国特許第05716926(US,A)
Lean JM et al.,A crucial role for thiol antioxidants in estrogen-deficiency bone loss.,J Clin Invest.,2003年 9月,112巻6号,pp.915-923
Dobsak P et al.,Antioxidative properties of pyruvate and protection of the ischemic rat heart during cardioplegia.,J Cardiovasc Pharmacol.,1999年11月,Vol.34 no.5,pp.651-659
Mongan PD et al.,Pyruvate improves redox status and decreases indicators of hepatic apoptosis during hemorrhagic shock in swine.,Am J Physiol Heart Circ Physiol. ,2002年10月,Vol.283 no.4,pp.1634-1644
Mohanty I et al.,Pyruvate modulates antioxidant status of cultured human lens epithelial cells under hypergalactosemic conditions.,Mol Cell Biochem. ,2002年 9月,Vol.238 no.1-2,pp.129-135
調査した分野 A61K 31/00 - 31/327
A23L 1/27 - 1/308
A61P 1/00 - 43/00
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ピルビン酸またはその薬学上許容される塩(但しピルビン酸カルシウムを除く)を有効成分とすることを特徴とする骨密度向上剤。
【請求項2】
ピルビン酸またはその薬学上許容される塩(但しピルビン酸カルシウムを除く)を有効成分とすることを特徴とする抗骨粗鬆症薬。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患における骨密度の低下の予防・治療に有用な骨密度向上剤、抗骨粗鬆症薬および抗骨粗鬆症食品に関する。
【背景技術】
【0002】
閉経後の女性や高齢の男性に多い骨粗鬆症は、骨形成を担う骨芽細胞と骨吸収を担う破骨細胞による骨リモデリングのバランス崩壊に起因するとされており、骨密度の低下によって骨が脆くなり、脊髄、大腿部、頸部などが骨折しやすくなる疾患であることはよく知られた事実である。現在、その治療薬には、カルシウム代謝に関与するカルシトニン、女性ホルモン、活性化ビタミンD3などが用いられている。
【0003】
近年、骨代謝性疾患のメカニズムの解明や予防・治療方法の探索が進むにつれ、骨代謝に関わる生体反応に対し、様々な物質が様々な態様で作用することが明らかにされつつある。本発明者らも、これまでの研究において、ピルビン酸が欠如した培養条件下にあるラット頭蓋冠由来初代培養骨芽細胞が、特定転写制御因子のDNA結合能上昇に起因する細胞死に至ること、ピルビン酸が当該細胞の細胞死に対する保護効果を有することなどを見出し、既にその報告を行っている(非特許文献1)。

【非特許文献1】Eiichi Hinoi, Sayumi Fujimori, Akihiro Takemori, Yukio Yoneda, Cell death by pyruvate deficiency in proliferative cultured calvarial osteoblasts, Biochemical and Biophysical Research Communications 294 (2002) 1177-1183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、骨代謝性疾患には今なお不明な点が多く、その予防・治療方法もまだまだ満足できる段階に至っていないのが実情である。骨密度の低下に対する予防・治療に有効な薬剤も古くから望まれており、いくつかの候補物質も提案されてはいるが、効力においても安全性においてもより優れた薬剤の出現が待ち望まれている。
そこで本発明は、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患における骨密度の低下の予防・治療に有用な骨密度向上剤、抗骨粗鬆症薬および抗骨粗鬆症食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、以上のような技術背景に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、上記のように、培養初期にある骨芽細胞に対して細胞死保護効果を有するピルビン酸が、生体に対して骨密度向上効果を有することを見出した。この知見は、上記の特定の培養条件下にある骨芽細胞に対するピルビン酸の作用からは予測できないものである。なぜならば、上記のピルビン酸の細胞死保護効果は、初代培養骨芽細胞を用いたインビトロ実験系におけるもので、培養液交換に伴う細胞死に対して、ピルビン酸添加が防御効果を発揮する事実に基づくものであるが、この培養液交換に伴う骨芽細胞死の、生体における病態生理学的意義は全く不明だからである。これに対して、閉経後骨粗鬆症や老年性骨粗鬆症などの骨粗鬆症は、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収間の平衡関係破綻によって引き起こされるものである。つまり、破骨細胞に対する効果が不明である以上、培養液交換に伴う骨芽細胞死の保護効果をピルビン酸が持っていても、ピルビン酸が、閉経後骨粗鬆症モデルである卵巣摘出動物において、インビボ実験系での連日投与により骨密度上昇を招来することは予想の範疇を超える内容である。さらに、骨は生体内では骨芽細胞や破骨細胞だけではなくて、軟骨細胞や骨髄中血球系細胞などからも構成されており、単一細胞培養を用いたインビトロ実験系の結果をもって、ピルビン酸の骨密度上昇効果を予測することは不可能である。ピルビン酸のインビボ実験系における骨粗鬆症治療効果の発見は、ひとえに本発明者らの卓越した独創性と洞察力に由来するものである。
【0006】
上記の知見に基づいてなされた本発明の骨密度向上剤は、請求項1記載の通り、ピルビン酸またはその薬学上許容される塩(但しピルビン酸カルシウムを除く)を有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明の抗骨粗鬆症薬は、請求項2記載の通り、ピルビン酸またはその薬学上許容される塩(但しピルビン酸カルシウムを除く)を有効成分とすることを特徴とする。



【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患における骨密度の低下の予防・治療に有用な骨密度向上剤、抗骨粗鬆症薬および抗骨粗鬆症食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の骨密度向上剤における有効成分であるピルビン酸は、細胞内で解糖系の代謝産物としてグルコースより生合成され、好気的条件下ではミトコンドリア内でTCA回路に入り、細胞のエネルギー源となるATPを産生するものであり、安全性の極めて高い物質である。ピルビン酸は、エネルギー補充の目的で、高齢者に対しても、点滴用栄養液に含有される場合が多く、このような事実からも、生体への投与後に著明な副作用出現の可能性は低いと推察される。ピルビン酸の薬学上許容される塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩やカルシウム塩などが挙げられる。
【0009】
ピルビン酸またはその薬学上許容される塩は、自体公知の方法によって顆粒剤や錠剤やカプセル剤などに製剤化し、服用することで、優れた骨密度向上作用に基づく抗骨粗鬆症薬(予防薬および/または治療薬)として機能する。その服用量は、例えば、10mg/日~100g/日の範囲において、服用者の年齢、性別、体重、体調、症状などによって適宜決定することができる。なお、投与形態は、非経口的な投与であってもよい。また、ピルビン酸またはその薬学上許容される塩は、種々の形態の食品(サプリメントを含む)に、骨密度向上作用を発揮するに足る有効量を添加し、骨粗鬆症に対する予防効果および/または治療効果をもたらす抗骨粗鬆症食品として食してもよい。
【実施例】
【0010】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。
【0011】
試験例1:卵巣摘出モデルマウスを用いたピルビン酸の骨密度向上作用の確認試験
(試験方法)
8週齢のメスのマウスに卵巣摘出手術を施し、術後1日目から毎日、腹腔内に、リン酸緩衝化生理的食塩水に溶解したピルビン酸を250mg/kg投与し、術後4週間目に、脛骨と大腿骨の骨密度を、骨塩量測定装置(ALOKA社製、DCS-600R)を用いたSEXA法により測定した。その結果(卵巣摘出+ピルビン酸投与群:n=13)を、卵巣の摘出を行わずに同様の手術的処置を行った場合の術後4週間目の骨密度(疑似処置群:n=37)と、卵巣の摘出を行った後にピルビン酸を投与しなかった場合の術後4週間目の骨密度(卵巣摘出群:n=37)とともに図1に示す。
【0012】
(試験結果)
図1から明らかなように、ピルビン酸の投与によって骨密度の有意な回復が認められた。この結果から、ピルビン酸は、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患における骨密度の低下の予防・治療に有用であることがわかった。
【0013】
製剤例1:錠剤
ピルビン酸5g、乳糖80g、ステアリン酸マグネシウム15g、合計100gを均一に混合し、常法に従って錠剤とした。
【0014】
製剤例2:顆粒剤
ピルビン酸10g、澱粉35g、乳糖55g、合計100gを均一に混合し、常法に従って顆粒剤とした。
【0015】
製剤例3:ビスケット
ピルビン酸1g、薄力粉32g、全卵16g、バター16g、砂糖24g、水10g、ベーキングパウダー1g、合計100gを用い、常法に従ってビスケットとした。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、骨粗鬆症などの骨代謝性疾患における骨密度の低下の予防・治療に有用な骨密度向上剤、抗骨粗鬆症薬および抗骨粗鬆症食品を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例における卵巣摘出モデルマウスを用いたピルビン酸の骨密度向上作用の確認試験の結果を示すグラフである。
図面
【図1】
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