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明細書 :導電性材料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6029047号 (P6029047)
公開番号 特開2013-213262 (P2013-213262A)
登録日 平成28年10月28日(2016.10.28)
発行日 平成28年11月24日(2016.11.24)
公開日 平成25年10月17日(2013.10.17)
発明の名称または考案の名称 導電性材料の製造方法
国際特許分類 C23C  18/16        (2006.01)
C23C  18/42        (2006.01)
FI C23C 18/16 A
C23C 18/42
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2012-084406 (P2012-084406)
出願日 平成24年4月3日(2012.4.3)
審査請求日 平成27年2月17日(2015.2.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】酒井 俊郎
審査官 【審査官】菅原 愛
参考文献・文献 特開2008-019162(JP,A)
特開2002-273239(JP,A)
特開2000-038681(JP,A)
特表2009-511746(JP,A)
調査した分野 C23C18/00-20/08
特許請求の範囲 【請求項1】
金属塩の水溶液と基材とを混合する混合工程と、
前記混合工程で製造された混合液に周波数が200kHzを超え2.4MHz以下の超音波を照射して前記基材の表面に金属を析出させる超音波照射工程とを備え、
前記金属塩の水溶液は、金属塩のみを含む水溶液であり、
前記基材は、基材の表面に、末端基としてアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、ハロゲン基のいずれかを有する材料であることを特徴とする導電性材料の製造方法。
【請求項2】
前記金属塩の水溶液として、前記金属塩のみを含む水溶液にかえて、金属塩と、前記超音波処理工程における超音波照射により生じるHラジカルによる還元反応を促進させる添加物のみを含む水溶液を用いることを特徴とする請求項1記載の導電性材料の製造方法。
【請求項3】
前記金属塩の金属が、金、白金、ニッケル、パラジウムのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の導電性材料の製造方法。
【請求項4】
前記金属塩の金属が、銅または銀であることを特徴とする請求項2記載の導電性材料の製造方法。
【請求項5】
前記混合工程の前工程として、前記金属塩の水溶液をアルゴン、空気、窒素、酸素、水素から選択される一の種類のガスによって、ガス置換を行うガス置換工程と、をさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の導電性材料の製造方法。
【請求項6】
前記基材の形状が粒子状、板状、塊状、繊維状から選択される一の形状であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載の導電性材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子の基材に金属粒子が被覆された導電性材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数μmの大きさのプラスチック等非導電性材料の粒子を基材として用い、その表面上に金属微粒子を担持させることで導電性を付与する技術は、液晶ディスプレイをはじめとするエレクトロニクス分野、また半導体分野において、数多くの研究がなされている。
【0003】
これらの技術は、例えばポリイミド等のシートの表面に金属粒子によって、パターンを形成する微細配線技術や、液晶ディスプレイ等における異方導電性膜の作成技術、電子部品の低温度接合技術において広く用いられており、こうした微粒子表面上への金属被覆技術は当該技術分野における大きな関心事である。
【0004】
上記の技術において、金属粒子の被膜の形成には、無電解めっきの技術を用いるのが一般的である。無電解めっきは、めっき液中に含有した還元剤の作用を利用して、金属を析出させる技術であり、析出させる対象と、当該還元剤との酸化還元電位により反応を進行させる。電解液に通電させる工程が不要であるため、上記のように基材が非導電性材料の場合であっても好適に適用可能である(特許文献1、2、3)。
【0005】
また、金属塩と還元剤を含む溶液に超音波を照射することで、そのキャビテーションの作用により粒子を溶液中に均一に分散させ凝集を防ぎ、あるいはその衝撃によって粒子を基材に衝突させ、導電性微粒子を得る技術についても報告がある(特許文献4、5)(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2002-4057号公報
【特許文献2】特開2008-101260号公報
【特許文献3】特開2010-196137号公報
【特許文献4】特開2005-125282号公報
【特許文献5】特開2006-198580号公報
【0007】

【非特許文献1】V.G.Pl 外2名, Langmuir 2005,21,3635-3640
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、無電解めっき法は、その行程中において、分散剤、還元剤、保護剤に例えばクロム酸や、シアン化合物などの劇物を使用する必要があり、環境負荷が大きいという課題があり、また、これらの劇物を除去、洗浄、廃棄するのに多くの工程と時間を要するという課題があった。また、上記の超音波を用いた技術においても、還元剤、及び、有機化合物からなるリンカー、バインダーを用いる必要があり、これらの不純物は、無電解めっき法と同様の環境付加の問題に加え、製造された粒子の導電性を低下させるおそれがあるという課題があった。さらに、これらの有機化合物を除去しようとした場合であっても、基材によっては、加熱による除去を行うことができないという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に対応してなされたものであり、短時間かつ工程数が少なく、環境負荷の小さい製造工程によって、基材表面上に高純度の金属粒子が被覆された導電性材料を得ることができる導電性材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明に係る導電性材料の製造方法は、金属塩の水溶液と基材とを混合する混合工程と、前記混合工程で製造された混合液に周波数が200kHzを超え2.4MHz以下の超音波を照射して前記基材の表面に金属を析出させる超音波照射工程とを備え、前記金属塩の水溶液は、金属塩のみを含む水溶液であり、前記基材は、基材の表面に、末端基としてアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、ハロゲン基のいずれかを有する材料であることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記導電性材料の製造方法において、金属塩の水溶液として、金属塩のみを含む水溶液にかえて、金属塩と、前記超音波処理工程における超音波照射により生じるHラジカルによる還元反応を促進させる添加物のみを含む水溶液を用いることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記金属塩の水溶液として金属塩のみを含む水溶液を使用する場合に、前記金属塩の金属が、金、白金、ニッケル、パラジウムのいずれかであることを特徴とし、また、前記金属塩の水溶液として、金属塩のみを含む水溶液にかえて、金属塩と、前記超音波処理工程における超音波照射により生じるHラジカルによる還元反応を促進させる添加物のみを含む水溶液を用いる場合には、前記金属塩の金属が、銅または銀であることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記混合工程の前工程として、前記金属塩の水溶液をアルゴン、空気、窒素、酸素、水素から選択される一の種類のガスによって、ガス置換を行うガス置換工程と、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記基材の形状が粒子状、板状、塊状、繊維状から選択される一の形状であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る導電性材料の製造方法は、超音波化学における新規な原理を利用したものである。即ち、これまで用いられてきた超音波の物理的作用によるものでなく、高周波領域での超音波を使用することにより生じる超音波の化学的作用を利用した点で新規である。
【0012】
超音波による化学的作用とは、例えば、溶媒に水を使用した場合には、そのラジカル解離を行わせしめる作用であり、また、基材表面の末端基を選択的にラジカル化する作用等が挙げられる。本発明においては、上記作用により生じたHラジカルを還元剤として、金属塩から対象となる金属を析出させるため、出発源の溶液中への還元剤の添加が不要である。また、このため、本発明に係る製造方法によれば、構成中に不純物となる有機化合物を含まない高純度の導電性材料を得ることが可能である。ただし、このことは、ラジカル活性を高めるため、反応を促進させるために他の添加物を加えることを発明の技術的範囲から意識的に除くものではなく、本発明に係る製造方法においては、任意の化合物を添加することも可能である。
【0013】
上記の超音波の化学的作用を効果的に生じせしめるためには、本発明において使用される超音波の周波数は、200kHz以上であることが望ましく、950kHzであるとより好適である。また、上限値は特に存在しないが、2.4MHzの高周波領域であっても、当該超音波の十分な出力を確保することが可能である限り、適用可能である。本発明においては、上記の範囲の周波数を使用することにより、従来の超音波の物理的作用の影響を抑え、より効果的に本発明の効果を奏することが可能になる。
【0014】
本発明に係る製造方法において、超音波照射工程における照射時間は、製造される導電性材料に被覆される金属粒子の粒子径、及び被覆率に応じて任意に選択可能である。照射時間が長くなると、溶液から析出する金属粒子の粒子径は粗大となる傾向を示し、また、互いに凝集し、または融合する傾向を示すため、被覆率は低下する傾向を示す。このため本発明における製造方法においては、粒子径が数nm~20nm程度の金属粒子を基材表面上に均一かつ高い被覆率で被覆させるためには、一度の超音波照射工程における照射時間は10分以内であることが好適である。また、超音波照射を複数回繰り返すことにより、粒子径をより小さくし、かつ被覆率をより高めることが可能となる。
【0015】
本発明に係る製造方法においては、金属塩溶液と基材とを混合する前に、溶液中に予め超音波を照射することにより超音波水を製造しておいて、その後、前記超音波水に、金属塩と基材とを添加することにより反応を行わせることも可能である。これにより、製造の度に特殊な超音波発生装置を用いる必要がなくなり、また、製造の場所を任意に変更することが可能となるため、本発明をより簡便に実施することが可能となる。
【0016】
本発明に係る製造方法において、その基材となる材料に特に制限はなく、上記の超音波による化学的作用を生じせしめるものであれば、任意に選択可能である。ただし、効果的に反応を進行させるためには、構造の端部にアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、ハロゲン基を有していると好適であり、例えばアクリルは好適である。一方、ポリスチレンなど上記の末端基を有さない材料を基材として用いた場合には、金属粒子はその表面上に被覆されない。また、シリカなどの表面にシラノール基を有する材料である場合、超音波の照射により表面で溶液中の金属塩と反応してアモルファス化してしまい、粒子での被覆は行われない。前記の性質を利用して、例えば本発明においては、基材表面を意識的に別の材料で構成し、あるいは、基材表面の一部に別の材料を塗付し、これにより金属粒子の被覆範囲を任意に制御することが可能である。また、前記の構造を有していない材料について、人為的に表面処理を施すことにより、反応を行うように改質することも可能である。
【0017】
本発明に係る製造方法において、その基材の形状に特に制限はなく、所定の溶液中において、超音波を表面に作用させる事が可能であれば、製造された導電性材料の用途に応じて任意に選択可能である。例えば、本発明に係る導電性材料を液晶用の導電性ビーズに適用する場合であれば、その基材の形状は、大きさが数μm~数十μm程度の粒子状であると好適である。
【0018】
本発明に係る製造方法において、基材表面に被覆させる金属粒子の種類に特に制限はなく、その用途に応じて任意に選択可能である。ただし、水系の溶液で反応を行うことが可能で、かつ金属塩の還元反応を容易に進行させることが可能であるため、金が好適である。また、溶液中にアンモニア試薬を添加することにより、銀を使用することが可能である。また、金属粒子に銅を使用する場合には、溶液中に、硫酸銅水溶液、酒石酸ナトリウムカリウム及び水酸化ナトリウム水溶液を添加する必要がある。
【0019】
本発明に係る製造方法によれば、室温環境下において、金属粒子を基材の表面に被覆させることが可能となる。このため、本発明に係る製造方法は、基材が温度により変化してしまう材料である場合であっても、好適にその表面に金属粒子を被覆させることが可能となる。また、本発明に係る導電性材料は、任意の基材粒子上に均一にかつ高い被覆率で金属粒子が被覆されているため、例えば液晶用の導電性粒子として、好適に使用が可能である。
【0020】
本発明に係る製造方法によれば、有機化合物からなる不純物を含まないため、焼成処理等が不要となり、0℃~100℃という従来技術よりも低い温度条件下で製造を行うことも可能なため、従来の方法に比べ、エネルギー負荷、コスト負荷を抑えることが可能になる点で優位である。また、本発明による製造方法は、溶液として使用する液体は特に制限せず、アルカリ性、中性、酸性のいずれの溶液中でも使用することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る導電性材料製造方法によれば、少ない工程数かつ短時間で、かつ環境負荷の少ない工程によって、高純度の導電性材料を得ることができる導電性材料の製造方法を提供することが可能となる。


【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】アクリル粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図2】アクリル粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像(18000倍)である。
【図3】アクリル粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像(60000倍)である。
【図4】塩化ビニルの粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像(250倍)である。
【図5】塩化ビニルの粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図6】ポリスチレン粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図7】シリカ粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図8】塩化金濃度を0.1mMで製造した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図9】塩化金濃度を0.5mMで製造した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図10】塩化金濃度を1.0mMで製造した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図11】塩化金濃度を2.0mMで製造した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図12】塩化金濃度を0.1mMで製造した導電性材料の光学顕微鏡画像である。
【図13】塩化金濃度を0.5mMで製造した導電性材料の光学顕微鏡画像である。
【図14】塩化金濃度を1.0mMで製造した導電性材料の光学顕微鏡画像である。
【図15】塩化金濃度を2.0mMで製造した導電性材料の光学顕微鏡画像である。
【図16】超音波照射工程を3回繰り返した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図17】照射工程を3回繰り返した導電性材料の光学顕微鏡画像である。
【図18】超音波照射工程を5回繰り返した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図19】超音波照射工程を5回繰り返した導電性材料のFE-SEM画像(60000倍)である。
【図20】照射工程を5回繰り返した導電性材料の光学顕微鏡画像である。
【図21】予め調製された金属粒子と基材粒子の混合により製造した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【図22】超音波水と塩化金酸水溶液と基材粒子の混合により製造した導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明に係る導電性材料及び製造方法を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0024】
(アクリル粒子への被覆)
実施例1は、基材をアクリルの粒子として、その表面上に金の粒子を被覆させる。まず、予めアルゴンガスをパージしておいた塩化金酸水溶液50mL(濃度0.1mM)に、粒子径が6μmのアクリル粒子を10mg添加し、これを混合する。その後、超音波洗浄器(三井電気精機株式会社製)によって、950MHz、300Wの超音波を8分間照射する。被覆状態の観察は、電界放出形走査電子顕微鏡(S-4100(株式会社日立製作所製)、SU8000(株式会社日立製作所製))と、透過型電子顕微鏡(JEM-2010(日本電子株式会社製))による。
【実施例1】
【0025】
図1、図2、図3は、アクリル粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像を示す。倍率は、図1が9000倍であり、図2が18000倍であり、図3が60000倍である。各図から、アクリル粒子の基材の表面に数nmサイズの金の粒子が均一に担持され、被覆されていることが認められる。これにより、本実施例による製造方法においては、目的とする導電性材料を得られていることが認められる。
【実施例2】
【0026】
(塩化ビニル粒子への被覆)
実施例2は、上記実施例1と同様の方法によって、塩化ビニルの粒子表面に粒子径が10nmから20nmの金粒子を被覆させる。
【実施例2】
【0027】
図4、図5は、塩化ビニルの粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像を示す。倍率は、図1が250倍であり、図2が9000倍である。各図から、塩化ビニル粒子の基材の表面に数nmサイズの金の粒子が均一に担持され、被覆されていることが認められる。これにより、本実施例による製造方法においては、目的とする導電性材料を得られていることが認められる。
【実施例3】
【0028】
(ポリスチレン粒子への被覆)
実施例3は、上記実施例1と同様の方法によって、粒子径5μmのポリスチレン粒子の表面に粒子径が10nmから20nmの金粒子を被覆させる。図6は、ポリスチレンの粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像を示す。倍率は9000倍である。図から、ポリスチレン粒子の基材の表面に数nmサイズの金の粒子が担持されていることが認められるが、均一に被覆はされていないことが認められる。これにより、本実施例による製造方法においては、目的とする導電性材料を得られていないことが認められる。
【実施例4】
【0029】
(シリカ粒子への被覆)
実施例4は、上記実施例1と同様の方法によって、シリカの粒子表面に粒子径が10nmから20nmの金粒子を被覆させる。図7は、シリカの粒子に金の粒子を被覆させた導電性材料のFE-SEM画像を示す。倍率は9000倍である。図から、シリカ粒子の基材の表面に数nmサイズの金の粒子が担持されていることが認められるが、均一に被覆はされていないことが認められる。これにより、本実施例による製造方法においては、目的とする導電性材料を得られていないことが認められる。
【実施例5】
【0030】
(金属塩の濃度の変更)
実施例5は、溶液の金属塩濃度が、製造された導電性材料の被膜の膜厚や、被覆率に与える影響を確認するため異なる濃度の金属塩溶液による基材へ被覆させる。使用した材料は、実施例1と同様のアクリル粒子と塩化金酸水溶液である。その他実験に使用した機器等は実施例1と同様である。図8、図9、図10、図11は、塩化金濃度がそれぞれ0.1mM、0.5mM、1.0mM、2.0mMで被覆を行った導電性材料のFE-SEM画像である。倍率はいずれも9000倍である。また、図12、図13、図14、図15は、塩化金濃度がそれぞれ0.1mM、0.5mM、1.0mM、2.0mMで被覆を行った導電性材料の光学顕微鏡画像である。図から、全ての濃度において、製造された導電性材料に金光沢がみとめられることから、基材表面に金粒子が高い被覆率で被覆されていることが認められる。塩化金濃度が0.1mMの場合には、基材表面に金粒子が均一に被覆されている様子が認められるが、濃度が上がるにつれて、金粒子の粒子径が粗大になり、かつそれぞれが融合し、または板状になっている様子が認められる。また、各導電性材料についても、それぞれが融合している様子認められる。これにより、本実施例においては、被覆に使用する塩化金の濃度は0.1mMが好適であると認められる。
【実施例6】
【0031】
(超音波照射の繰り返し実験)
実施例6は、所定の時間の超音波照射工程を複数回繰り返し行い、その回数が製造された導電性材料の被膜の膜厚や、被覆率に与える影響を確認するため、超音波照射工程を繰り返し行う。この際、超音波照射工程を行う前に、その都度金属塩を添加する。使用した材料は、実施例1と同様のアクリル粒子と塩化金酸水溶液である。その他実験に使用した機器等は実施例1と同様である。図16、図17は、溶液への0.1mM塩化金酸水溶液の添加と、8分間の超音波照射工程を3回繰り返して行った場合のFE-SEM画像(倍率9000倍)と、光学顕微鏡画像である。また、図18、図19、図20は、溶液への0.1mM塩化金酸水溶液の添加と、8分間の超音波照射工程を5回繰り返して行った場合のFE-SEM画像と、光学顕微鏡画像である。図18の倍率は9000倍であり、図19の倍率は60000倍である。図から、繰り返しの回数が多くなるに従って、基材表面により多くの金粒子が被覆されている様子が認められる。より多くの金粒子が基材表面に担持されることにより、製造された導電性材料の電気伝導度を向上させるなどの、導電性材料としての特性を向上させることが可能であると考えられる。また、繰り返し回数が多くなるに従って、製造された導電性材料の金光沢がより強くなっている様子が認められる。これにより、超音波照射工程を繰り返し行うことにより、より多くの金粒子を基材に担持させることが可能となることが認められる。
【実施例7】
【0032】
(金属粒子と基材粒子の混合による被覆)
実施例7は、本発明の効果を生じるための機構を明らかにするため、予め製造しておいた金属粒子と、基材粒子とを溶液中で混合することで、金属粒子を基材粒子の表面上に被覆させる。使用した材料は、実施例1と同様のアクリル粒子とあらかじめ製造した金粒子である。その他実験に使用した機器等は実施例1と同様である。金粒子は、実施例1で使用したものと同様の塩化金酸水溶液に、実施例1と同様の超音波洗浄器を用いて、950kHz、300Wの出力の超音波を、8分間照射することで製造した。その後、これをフラスコ内で攪拌混合を行い、所定の時間静置し、観察を行った。観察に使用した機器は実施例1と同様である。図21は、製造された導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。基材表面に一定程度の金粒子が担持されている様子は認められるが、完全被覆されてはいない。
【実施例8】
【0033】
(超音波水による金属粒子の被覆)
実施例8は、本発明の効果を生じるための機構を明らかにするため、純水に超音波を照射して製造した超音波水に、予め製造しておいた金属粒子と、基材粒子とを添加し、混合することで、金属粒子を基材粒子の表面上に被覆させる。超音波水は、純粋50mLに、上記実施例7と同様の超音波を8分間照射して調製した。その後、その超音波水中において、実施例1と同様のアクリル粒子と、塩化金酸水溶液とを攪拌混合し、それを所定の時間静置し、観察を行った。観察に使用した機器は実施例1と同様である。図22は、製造された導電性材料のFE-SEM画像(9000倍)である。基材表面に一定程度の金粒子が担持されている様子は認められるが、完全被覆されてはいない。
【実施例9】
【0034】
(周波数の変更)
実施例9は、超音波照射工程において、異なる周波数の超音波を照射した場合の、製造された導電性材料の様子を観察する。実験に使用した材料は実施例1と同様である。また、観察に使用した機器は実施例1と同様である。周波数以外の条件(照射時間、出力)等は実施例1と同様である。周波数が28kHzで行った。この場合、塩化金酸水溶液から、金粒子を析出させることができず、アクリル粒子表面に粒子を担持させることができなかった。周波数が200kHzで行った。この場合、塩化金酸水溶液から、金粒子を析出させ、基材表面に担持させることができたが基材表面上で金粒子が融合し、均一な粒子径の粒子を完全に被覆させることができなかった。周波数が2.4MHzで行った。この場合、均一な粒子径の金粒子を基材表面に被覆させることができた。
【実施例10】
【0035】
(さまざまな形状の基材への被覆)
実施例10は、様々な形状の基材に対して金属粒子の被覆を行った。実験に使用した材料は実施例1と同様である。また、観察に使用した機器は実施例1と同様である。また、被覆の条件は、実施例1及び実施例6と同様の方法で行った。板状の基材に対して、金属粒子の被覆を行った。その結果、均一な粒子径の金粒子を基材表面に被覆させることができた。塊状の基材に対して、金属粒子の被覆を行った。その結果、均一な粒子径の金粒子を基材表面に被覆させることができた。繊維状の基材に対して、金属粒子の被覆を行った。その結果、均一な粒子径の金粒子を基材表面に被覆させることができた。
【実施例11】
【0036】
(銅粒子による被覆)
実施例11は、基材表面に金属粒子として銅の粒子を被覆させる。実験に使用した材料は、金属塩以外は実施例1と同様である。また、観察に使用した機器は実施例1と同様である。金属塩溶液は、二価の硫酸銅水溶液、酒石酸ナトリウムカリウム及び水酸化ナトリウム水溶液を等量混合したものを使用した。超音波照射時間等の条件は実施例1及び実施例6と同様の方法で行った。
【実施例12】
【0037】
(銀粒子による被覆)
実施例12は、基材表面に金属粒子として銀の粒子を被覆させる。実験に使用した材料は、金属塩以外は実施例1と同様である。また、観察に使用した機器は実施例1と同様である。金属塩溶液は、硝酸銀水溶液を使用し、これにアンモニア試薬を添加した。超音波照射時間等の条件は実施例1及び実施例6と同様の方法で行った。
【実施例13】
【0038】
(ニッケル粒子による被覆)
実施例13は、基材表面に金属粒子としてニッケルの粒子を被覆させる。実験に使用した材料は、金属塩以外は実施例1と同様である。また、観察に使用した機器は実施例1と同様である。金属塩溶液は、0.1mM二硝酸ニッケル水溶液を使用した。超音波照射時間等の条件は実施例1及び実施例6と同様の方法で行った。
【実施例14】
【0039】
(白金粒子による被覆)
実施例14は、基材表面に金属粒子として白金の粒子を被覆させる。実験に使用した材料は、金属塩以外は実施例1と同様である。また、観察に使用した機器は実施例1と同様である。金属塩溶液は、0.1mM塩化白金酸水溶液を使用した。超音波照射時間等の条件は実施例1及び実施例6と同様の方法で行った。
【実施例15】
【0040】
(パラジウム粒子による被覆)
実施例15は、基材表面に金属粒子としてパラジウムの粒子を被覆させる。実験に使用した材料は、金属塩以外は実施例1と同様である。また、観察に使用した機器は実施例1と同様である。金属塩溶液は、0.1mM塩化パラジウム水溶液を使用した。超音波照射時間等の条件は実施例1及び実施例6と同様の方法で行った。
【実施例16】
【0041】
(特性評価)
実施例1及び実施例6で製造された導電性材料の電気特性について、評価を行った。評価はパラメータアナライザを使用し、探針法により、導電性材料表面にプローブを接触させて行った。その結果、純粋な金属材料と同等(電気抵抗が0.01オームから10オーム)の優れた特性を示すことが認められた。


図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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