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明細書 :非接触電力伝送システムおよび電子装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5460022号 (P5460022)
公開番号 特開2010-115025 (P2010-115025A)
登録日 平成26年1月24日(2014.1.24)
発行日 平成26年4月2日(2014.4.2)
公開日 平成22年5月20日(2010.5.20)
発明の名称または考案の名称 非接触電力伝送システムおよび電子装置
国際特許分類 H02J  17/00        (2006.01)
H02J   7/00        (2006.01)
H04B   5/00        (2006.01)
H01F  38/14        (2006.01)
H01M  10/44        (2006.01)
A61B   1/00        (2006.01)
FI H02J 17/00 C
H02J 7/00 301D
H04B 5/00 Z
H01F 23/00 B
H01M 10/44 Q
A61B 1/00 320B
請求項の数または発明の数 11
全頁数 12
出願番号 特願2008-285998 (P2008-285998)
出願日 平成20年11月6日(2008.11.6)
審査請求日 平成23年10月7日(2011.10.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
発明者または考案者 【氏名】柴 建次
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100138955、【弁理士】、【氏名又は名称】末次 渉
【識別番号】100151873、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴 寛
【識別番号】100168103、【弁理士】、【氏名又は名称】鍵下 幹朗
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査官 【審査官】松尾 俊介
参考文献・文献 特開昭63-056134(JP,A)
特開2004-159456(JP,A)
特表2006-513670(JP,A)
米国特許出願公開第2006/0143004(US,A1)
特開平01-156890(JP,A)
国際公開第2007/069483(WO,A1)
Namjun Cho,The Human Body Characteristics as a Signal Transmission Medium for Tntrabody Communication,IEEE TRANSACTION ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,米国,IEEE,2007年 5月,VOL.55, NO.5,1080-1086
調査した分野 H02J 17/00
A61B 1/00
H01F 38/14
H01M 10/44
H02J 7/00
H04B 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
体内に配置された少なくとも一対の体内電極と、
体内に配置され、前記一対の体内電極に接続され、前記一対の体内電極に誘起された電力を電子機器に供給するための電力供給手段と、
体表面に装着される少なくとも一対の体外電極と、
前記一対の体外電極に交流電圧を印加する交流電源手段と、を備え
前記一対の体外電極の一方の体外電極は、前記一対の体内電極の一方の体内電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記一方の体内電極と容量結合しており、
他方の体外電極は、他方の体内電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記他方の体内電極と容量結合しており、
前記一対の体外電極は、前記交流電源手段により交流電圧が印加された場合に、容量結合により前記一対の体内電極の電極間に交流電圧を発生させ、
前記電力供給手段は、前記一対の体内電極の電極間に発生した交流電圧によりもたらされる電力を前記電子機器に供給する、
ことを特徴とする非接触電力伝送システム。
【請求項2】
前記体外電極は、前記体内電極よりも面積が大きく形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項3】
記一対の体内電極は、主面を対向させて配置されており、前記電力供給手段は、前記一対の体内電極間の領域に配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項4】
記一対の体内電極は、組み合わされて円筒形を構成する、ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項5】
前記電力供給手段の出力する電力により動作する電子機器をさらに備える、ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項6】
前記電子機器は、電池を備え、前記電池からの電力と前記電力供給手段からの電力とを用いて動作する、ことを特徴とする請求項5に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項7】
前記電力供給手段は、前記一対の体内電極に誘起された電圧を整流して前記電子機器に供給する整流回路又は前記一対の体内電極に誘起された交流電圧を交流電圧のまま前記電子機器に供給する配線回路を備える、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項8】
前記交流電源手段は、その出力インピーダンスと生体のインピーダンスが整合する周波数の交流電圧を前記一対の体外電極の電極間に印加する、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項9】
前記交流電源手段は、5MHz乃至10MHzの交流電圧を前記一対の体外電極の電極間に印加する、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項10】
前記交流電源手段は、
前記交流電源手段が前記一対の体外電極に印加する交流電圧の周波数を制御する制御手段と、
前記一対の体外電極の電極間に流れる電流および前記一対の体外電極の電極間の電圧を計測する計測手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記一対の体外電極に印加する交流電圧の周波数を変化させながら、前記計測手段から電流計測値および電圧計測値を取得し、
取得した電流計測値および電圧計測値に基づいて前記電子機器への電力供給効率が最も高くなる周波数を判別し、
判別した周波数に基づいて前記交流電源手段が前記一対の体外電極の電極間に印加する交流電圧の周波数を制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項11】
体内で使用される電子機器と、
体内に配置された少なくとも一対の体内電極と、
記一対の体内電極に接続され、前記一対の体内電極に誘起された電力を前記電子機器に供給する電力供給手段と、を備え、
前記一対の体内電極の一方の体内電極は、体外に配置された少なくとも一対の体外電極の一方の体外電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記一方の体外電極と容量結合しており、
他方の体内電極は、他方の体外電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記他方の体外電極と容量結合しており、
前記一対の体内電極は、交流電圧が印加された前記一対の体外電極と容量結合することにより電極間に交流電圧を発生させ、
前記電力供給手段は、前記一対の体内電極の電極間に発生した交流電圧によりもたらされる電力を前記電子機器に供給する、
ことを特徴とする電子装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、体内で使用される電子機器等に非接触で電力を供給する非接触電力電送システムと、非接触で電力の供給を受けて動作する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体内に埋め込まれたペースメーカ、除細動機等体内に埋め込まれて動作する機器が存在する。また、カプセル型内視鏡のように、飲み込んで使用する電子機器も存在する。
これらの機器に共通する課題として、電源の確保がある。
【0003】
通常これらの機器は、電池(バッテリ)で駆動されるが、電池容量に限界があるため、消費電力が大きくなる処理、例えば、高解像度での頻繁な撮影が困難、多機能化が困難などの課題を有する。
【0004】
このような問題を改善するため、体外より、体内の電子機器に電力を非接触で供給する手法が研究されている。例えば、体内機器に誘導コイル(アンテナ)を配置し、体外の送信コイルより、磁界を体内に向けて送信し、体内の電子機器の誘導コイルに電磁誘導による起電力を誘起させる手法が提案されている。
【0005】
しかし、この手法では、送信コイルが大型化すると共に磁界により生体に局所的に生ずる渦電流による熱・刺激等、生体への影響が大きいという問題がある。また、伝送できるエネルギーが100mW程度でさほど大きくできない。
【0006】
また、磁界を使用せずに、非接触で電力を伝達する手法として、例えば、特許文献1には、静電結合により、カードリーダライタと非接触式カードとの間で電力を伝送する技術が開示されている。
【0007】
特許文献1に開示された技術は、カードリーダライタの電極と非接触式カードの電極とを対向させ、対向する電極の静電結合を用いてカードリーダライタから非接触式カードに電力を非接触で伝送する。
【0008】

【特許文献1】特開2005-79786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、体内に埋設された電子機器或いは飲み込まれた電子機器の場合、これらの機器に配置された電極と体外の電極とを近接および対向させることは困難であり、特許文献1の技術をそのまま適用することはできない。また、生体への影響も考慮しなければならない。
【0010】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、生体に与える影響が小さく且つ生体内の電子機器に体外より電力を供給することを可能とすることを目的とする。
また、本発明は、生体内の電子機器に体外より効率的に非接触で電力を供給することを可能とすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達するため、本願発明の第1の観点に係る非接触電力伝送システムは、
体内に配置された少なくとも一対の体内電極と、
体内に配置され、前記一対の体内電極に接続され、前記一対の体内電極に誘起された電力を電子機器に供給するための電力供給手段と、
体表面に装着される少なくとも一対の体外電極と、
前記一対の体外電極に交流電圧を印加する交流電源手段と、を備え
前記一対の体外電極の一方の体外電極は、前記一対の体内電極の一方の体内電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記一方の体内電極と容量結合しており、
他方の体外電極は、他方の体内電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記他方の体内電極と容量結合しており、
前記一対の体外電極は、前記交流電源手段により交流電圧が印加された場合に、容量結合により前記一対の体内電極の電極間に交流電圧を発生させ、
前記電力供給手段は、前記一対の体内電極の電極間に発生した交流電圧によりもたらされる電力を前記電子機器に供給する、
ことを特徴とする。
【0012】
例えば、前記体外電極は、前記体内電極よりも面積が大きく形成されている。
記一対の体内電極は、例えば、主面を対向させて配置されており、前記電力供給手段は、前記一対の体内電極間の領域に配置されている。
【0013】
例えば、前記一対の体内電極は、組み合わされて円筒形を構成する。
【0014】
例えば、前記電力供給手段の出力する電力により動作する電子機器をさらに備えてもよい。
【0015】
例えば、前記電子機器は、電池を備え、前記電池からの電力と前記電力供給手段からの電力とを用いて動作する。
前記電力供給手段は、例えば、前記一対の体内電極に誘起された電圧を整流して前記電子機器に供給する整流回路を備える。また、前記電力供給手段は、前記一対の体内電極に誘起された交流電圧を交流のまま前記電子機器に供給する配線回路等から構成されてもよい。
【0016】
前記交流電源手段は、例えば、その出力インピーダンスと生体のインピーダンスが整合する周波数の交流電圧を前記一対の体外電極の電極間に印加する。
【0017】
前記交流電源手段は、例えば、5MHz乃至10MHzの交流電圧を前記一対の体外電極の電極間に印加することが望ましい。
前記交流電源手段は、
例えば、前記交流電源手段が前記一対の体外電極に印加する交流電圧の周波数を制御する制御手段と、
前記一対の体外電極の電極間に流れる電流および前記一対の体外電極の電極間の電圧を計測する計測手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記一対の体外電極に印加する交流電圧の周波数を変化させながら、前記計測手段から電流計測値および電圧計測値を取得し、
取得した電流計測値および電圧計測値に基づいて前記電子機器への電力供給効率が最も高くなる周波数を判別し、
判別した周波数に基づいて前記交流電源手段が前記一対の体外電極の電極間に印加する交流電圧の周波数を制御する。
【0018】
上記目的を達するため、本願発明の第2の観点に係る電子装置は、
体内で使用される電子機器と、
体内に配置された少なくとも一対の体内電極と、
記一対の体内電極に接続され、前記一対の体内電極に誘起された電力を前記電子機器に供給する電力供給手段と、を備え、
前記一対の体内電極の一方の体内電極は、体外に配置された少なくとも一対の体外電極の一方の体外電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記一対の体外電極の一方と容量結合しており、
他方の体内電極は、他方の体外電極と生体組織を挟んで対向しており、生体組織を電極間の誘電体として前記一対の体外電極の他方と容量結合しており、
前記一対の体内電極は、交流電圧が印加された前記一対の体外電極と容量結合することにより電極間に交流電圧を発生させ、
前記電力供給手段は、前記一対の体内電極の電極間に発生した交流電圧によりもたらされる電力を前記電子機器に供給する、
ことを特徴とする
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内部電極と外部電極とが、誘電体である生体を介して対向し、静電結合により内部電極に電圧が誘起され、外部電極から内部電極への電力の伝達が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態1に係る非接触電力伝送システムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態の非接触電力伝送システムは、体内に留置された機器又は飲み込まれた機器に体外から電力を非接触で提供するシステムであり、体内装置1と体外装置2とを備える。
【0021】
体内装置1は、図1(a)、(b)に示すように、カプセル(容器)11と該カプセルの外面に形成された一対の電極(体内電極)12a、12bと、体内電極12a、12bに接続された整流回路13(図2)と、を備える。
【0022】
カプセル11は、耐酸性の絶縁性の透明樹脂等から、両端が閉じた円筒状に構成されている。カプセル11は、人間又は動物が飲み下すことが可能なサイズ、例えば、長さ3cm以下、径1.5cm程度に形成されている。
【0023】
体内電極12aと12bは、塩化銀箔や銅箔等の導電膜から構成され、カプセル11の外面に貼付されており、組み合わされて円筒形を成している。体内電極12aと12bは、例えば、1mm~15mm×2mm~30mmに形成されている。
【0024】
整流回路13は、カプセル11内に収容されており、例えば、図2に例示するようなダイオードD1~D4から構成された全波整流回路から構成されている。
【0025】
さらに、カプセル11内には、電池14と電子機器17が収容されている。この電子機器17は、例えば、撮像装置と撮像画像を記憶するメモリを備えたカメラ装置、すなわち、カプセル型の内視鏡装置から構成される。
体内電極12a,12bと後述する体外電極22a,22bとの容量結合を阻害しないように、整流回路13,電子機器17等は、体内電極12aと12bとの間の空間に配置されていることが望ましい。
【0026】
図3に示すように、整流回路13の出力する電圧と、電池14からダイオード15を介して印加される電圧とが、コンデンサ16により安定化され、電子機器17に動作電圧として供給される。ダイオード15の作用により、整流回路13の出力電圧およびコンデンサ16の電圧が一定レベル以下となったときにのみ電池14から出力され、電池14の消費が抑えられる
【0027】
一方、体外装置2は、図4に示すように、人体41に装着される一対の体外電極22a、22bと、該一対の体外電極22a,22bの間に交流電圧を印加する交流電源23と、から構成されている。
【0028】
体外電極22a,22bは、比較的大きなサイズ、例えば、縦3~20cm横10~35cm程度の、塩化銀板や銅板等の導電性の板から構成され、金属アレルギーや感染防止のために、表面が絶縁体でカバーされている。
【0029】
体外電極22a、22bは、体内装置1が位置する領域を挟むように、人体41に装着される。体外電極22a,22bは、体表面に直接装着されるか或いは体表面に比較的近い位置に配置されることが望ましい。なお、人体41に装着しやすいように、人体41の体型に合致する形状に加工したり、クッションを配置する等してもよい。
体外電極22a、22bを配置する位置は、任意である。例えば、体外電極22aを腹部に、体外電極22bを腰の部分に配置したり、体外電極22aを胸部に、体外電極22bを背中の部分に配置したり、体外電極22aを右の腰の部分、体外電極22bを左の腰の部分に配置する等してもよい。
【0030】
交流電源23は、所定周波数の交流電圧を発生し、体外電極22a、22b間に印加する。体外装置2から体内装置1に伝達されるエネルギーは、図8に模式的に示すように、周波数に依存し、交流電源23の出力インピーダンスと生体組織の負荷インピーダンスとが整合する周波数で最大となる。人体の場合には、この周波数はおよそ5MHz~10MHzであり、交流電源23はこの周波数の交流電圧を発生する。
【0031】
上記構成においては、カプセル11が体外電極22a,22bと対向する領域に位置すると体外電極22a,22bと体内電極12a,12bとが誘電体である人体を介して容量結合する。このときの等価回路を図5に示す。なお、図5の等価回路は、体内電極12a,12bと体外電極22a、22bとが対向していると仮定した場合の回路図である。
【0032】
図5の等価回路からも明らかなように、体外電極22a,22bに交流電圧を印加すると、図6(a)、(b)に模式的に示すように、体内電極12a,12bには、対向する体外電極22a、22bに印加されている電圧とは逆極性の電圧が誘起される。このため、体内電極12a,12bには、交流電圧が誘起される。
【0033】
整流回路13は、体内電極12a,12bに発生した交流電圧を整流して出力する。
電圧安定化用コンデンサ16は、整流回路13から出力された電力と電池14からダイオード15を介して供給される電力とにより、充電され、電圧を安定化して電子機器17に供給する。
【0034】
電子機器17は、電圧安定化用コンデンサ16に蓄積された電力を用いて動作する。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によれば、体内の電子機器17に、体外より、非接触で電力を伝送することができる。
このため、電池14と併用することにより、電子機器17の体内での動作時間を長くしたり、電子機器17をより高性能化することも可能となる。
さらに、磁界を使用しないため、局所的な渦電流による人体への負担も小さくて済む。
【0036】
なお、人体41のなかで、カプセル11の向きおよび位置は変化し、体内電極12a,12bの向きは一定ではない。このため、例えば、図7(a)~(c)に模式的に示すように、体内電極12a,12bと体外電極22a,22bの相対的な向きや位置は変化する。しかし、体外電極22a、22bを体内電極12a,12bより十分に大きく形成していること、体内電極12a、12bを円筒状に形成していること、誘電体である人体41を介した電界の回り込み等により、カプセル11の向きや体内の位置に関わらず、電力を安定してカプセル11に伝送することが可能である。
【0037】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態において、体外電極22a、22bより体内電極12a,12bに流れる電流が大きすぎると、熱作用および刺激作用により、人体に悪影響を与えてしまう。一般に、熱作用は、SAR=σ|E|/ρで表され、刺激作用(電流密度)は、J=σEで表される。ここで、σは、生体の導電率(S/m)、Eは電界強度[V/m]、ρは、生体の密度である。この点に関して、国際非電離放射線防護委員会により、暴露量に制限基準が設定されている(GUIDELINES FOR LIMITING EXPOSURE TO TIME-VARYING ELECTRIC, MAGNETIC, AND ELECTROMAGNETIC FIELDS(ICNIRP),1998)。具体的には、熱作用については、病院などの職業的暴露は、10[W/kg]、公衆の暴露は、2[W/kg]に制限され、刺激作用については、病院などの職業的暴露は、f/100[mA/m]、公衆の暴露は、f/500[mA/m]に制限されている(fは周波数、単位は[Hz]である)。そこで、交流電源23はこの基準を充足するように、電流(電力)および周波数を調整することが望ましい。
【0038】
さらに、交流電源23の出力周波数を5MHz~10MHzのいずれかに設定したとしても、交流電源23の出力インピーダンスと生体組織の負荷インピーダンスとが整合するとは限らず、交流電源23からカプセル11への電力の供給が効率的に行われないおそれがある。
【0039】
そこで、第2実施形態においては、交流電源23をインテリジェント化し、最適な周波数および電流値を自動的に設定することとする。
【0040】
図9に示すように、本実施の形態の交流電源23は、周波数コンバータ31と、高周波パワーアンプ32と、電流計33と、電圧計34と、コントローラ35と、を備える。
【0041】
コントローラ35には、事前に、職業的暴露であるか公衆の暴露であるかが設定される。
また、体外電極22a、22bを装着する人物の体重のうち、体外電極22a,22bが対向する部分の重量が設定される。
【0042】
体外電極22a,22bへの交流電圧の印加を開始すると、コントローラ35は、まず、周波数コンバータ31を制御して、比較的低電力で、体外電極22a、22bに印加する電圧の周波数を低周波から高周波までスキャンし、電流および電圧を測定し、最も効率が高くなる周波数fを特定する。
【0043】
続いて、コントローラ35は、特定された周波数fとなるように周波数コンバータ31を制御し且つ設定された暴露条件(制限)を充足するように、電流計33および電圧計34の測定値をモニタし、高周波パワーアンプ32の増幅率を制御する。
【0044】
このような構成とすることにより、体外装置2から体内装置1への電力の供給を効率良く、さらに、生体への影響無く行うことができる。
【0045】
なお、上記説明では、飲み込むタイプの電子機器17に電力を供給する例を説明したが、電子機器17の構成は任意である。例えば、埋め込み型のペースメーカのように、位置が固定されている電子機器に体外より電力を供給する場合にも適用可能である。
また、体外電極22a,22bを装着する位置は任意であり、適宜変化させてもよい。例えば、電子機器17が胃内に位置している場合には、体外電極22a,22bを上腹部と対向する位置に配置し、電子機器17が腸内に位置している時間帯には、体外電極22a,22bを下腹部と対向する位置に配置する等してもよい。
【0046】
また、体外から供給する電力と電池14からの電力を併用して電子機器17を駆動する例を示したが、電池14を使用せず、体外から供給する電力のみで電子機器17を駆動するように構成してもよい。この場合も、電圧安定化用コンデンサ16を配置することが望ましい。
【0047】
整流回路13として、ダイオードブリッジによる全波整流回路を例示したが、他の回路構成を採用可能である。
図3の回路も適宜変更可能である。例えば、ダイオード15を除去したり、より高性能な電圧安定化回路を採用してもよい。
さらに、電池14として充電可能な二次電池を使用し、図3の回路から、ダイオード15を除去し、整流回路13の出力で電池14を充電できるように構成してもよい。
【0048】
また、体内電極12a、12bに誘起された交流電圧を整流回路13により整流して電子機器17に電力を供給する例を示したが、交流電圧で動作可能な電子機器17或いは回路要素など、例えば、カプセル内視鏡に搭載されている光源用のLEDなどには、体内電極12a、12bに誘起された交流電圧を配線等の電力供給手段を用いて交流のまま供給する等してもよい。また、一部の回路要素には、整流した電圧を、他の一部の要素には交流を印加する等してもよい。例えば、カプセル内視鏡等は、光源の部分で最も大きい消費電力があり、電池のエネルギーだけでは供給電力が不足する場合には、光源の部分には容量結合方式で体外から電力を送って、交流のまま供給し、他の直流回路部には電池から電力を供給する等してもよい。
【0049】
体内電極の構造として、一対の、全体として円筒(の一部)を構成するものを開示したが、他の構成、例えば、平行平板型の電極構造も可能である。また、円筒は、断面が完全な円である必要はなく、断面が楕円、多角形(4角形、6角形、8角形、5角形等)等でもよい。また、体内電極、体外電極共に一対に限定されず、複数対でもよい。
体内電極12a、12bの配置位置も、カプセル1の外面に限定されず、内面等でもよい。
【0050】
さらに、カプセル11も、円筒状のものに限定されず、球形でも、箱状でもよい。カプセル11が球形の場合、例えば、体内電極12a,12bも全体として球面(の一部)を構成する。また、カプセル11が箱型の場合には、体内電極12a,12bは平行平板となる。体内装置1として、口から飲み込むタイプのものを例示したが、カプセル11を留置型とし、電子機器17を、例えば、ペースメーカ、除細動機等として、これらの電気機器に体外から電力を供給する場合にも、同様に本願発明を適用可能である。
【0051】
カプセルを使用せず、電子機器17の筐体の外表面に体内電極12a,12bを配置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上、説明したように、本発明は、非接触で電力を伝達するシステムに広く利用可能であり、さらに、外部電源に直接接続することが困難な環境下で動作する電子機器の電源として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る非接触電力伝送システムを構成する体内装置の構成を示す図であり、(a)は外観図、(b)は、(a)のI-I線での拡大断面図である。
【図2】図1に示す体内装置に収容される整流回路の構成を示す回路図である。
【図3】体内装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】外部装置の構成と人体に装着した様子を示す図である。
【図5】体内装置および体外装置の等価回路の回路図である。
【図6】(a)、(b)は、体外電極に交流を印加することにより、体内電極に交流電圧が誘起されることを説明するための図面である。
【図7】体内電極と体外電極の相対位置および向きが変換する様子を模式的に示す図である。
【図8】体外電極に印加する交流電圧の周波数と伝送パワー(伝送効率)との関係を示す特性図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る交流電源の構成図である。
【符号の説明】
【0054】
1 体内装置
2 体外装置
11 カプセル
12a、12b 体内電極
13 整流回路
14 電池
15 ダイオード
16 電圧安定化用コンデンサ
17 電子機器
22 体外電極
23 交流電源
31 周波数コンバータ
32 高周波パワーアンプ
D1~D3 ダイオード
I 電流計
V 電圧計
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8