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明細書 :アルファーピロン類およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4288372号 (P4288372)
公開番号 特開2000-256344 (P2000-256344A)
登録日 平成21年4月10日(2009.4.10)
発行日 平成21年7月1日(2009.7.1)
公開日 平成12年9月19日(2000.9.19)
発明の名称または考案の名称 アルファーピロン類およびその製造方法
国際特許分類 C07D 309/38        (2006.01)
B01J  31/24        (2006.01)
B01J  31/30        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07D 309/38
B01J 31/24 X
B01J 31/30 X
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願平11-061234 (P1999-061234)
出願日 平成11年3月9日(1999.3.9)
審査請求日 平成16年11月17日(2004.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】田中 正人
【氏名】華 瑞茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】渕野 留香
参考文献・文献 特開昭49-005976(JP,A)
Journal of the American Chemical Society (1973), 95(23), 7914-7916
Journal of Organic Chemistry (1987), 52(5), 923-926
Chemische Berichte (1967), 100(2), 658-677
Chemische Berichte (1965), 68(6), 1949-1955
Bulletin of the Chemical Society of Japan (1972), 45(4), 1240-1242
Journal of the Chemical Society (1962) 5153-5157
Journal of Heterocyclic Chemistry (1982), 19(6), 1329-1334
Tetrahedron Letters (1998), 39(32), 5713-5716
J.Org.Chem.,1995,60,11,3270-3271
調査した分野 C07D 309/38
B01J 31/12-31/30
C07B 61/00
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;cis-MePd(PPh;及び塩化パラジウム又は[(η-C)PdCl]にトリフェニルホスフィンを配位子として共存させてなる触媒;からなる群より選ばれるパラジウム含有触媒並びに有機塩基の存在下において、炭化水素溶媒中で、一般式(1)
【化1】
JP0004288372B2_000007t.gif
(式中、RおよびRは、互いに同一あるいは相異なるアルキル基又は芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素原子を示す。)で表される3-クロロ-2-アルケン酸エステルを、一般式(2)
【化2】
JP0004288372B2_000008t.gif
(式中、R、Rはアルキル基又は複素芳香環基を示す。)で表わされるアセチレン化合物と反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化3】
JP0004288372B2_000009t.gif
(式中、R、R、Rは、式(1)および(2)中のものと同じである。)で表わされるアルファーピロン類の製造方法。
【請求項2】
有機塩基がトリアルキルアミンである請求項記載の方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアルファーピロン類、および、3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルとアセチレン化合物との反応によるアルファーピロン類の新規な製造方法に関するものである。
本発明により提供されるアルファーピロン類は、医・農薬等のファインケミカルズの製造に有用な一群の化合物である。
【0002】
【従来の技術】
アルファーピロン類は、一般的には、ベータケトエステルの縮合反応、アセチレンケトンとマロン酸エステルとの縮合反応、エノンとジアゾエステルとの縮合反応等によって製造される。また、アセチレン類を錯体触媒存在下に炭酸ガスと反応させる方法、ロジウム触媒を用いてシクロプロペニルエステルやシクロプロペニルケトンをカルボニル化する方法も知られている。しかし、容易に得られる3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルを出発原料に用いてアルファーピロン類を得る方法は知られていない。本発明に関わる4,5,6-置換ピロン類は新規化合物であり、それらの製造例は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステル、好ましくは3-クロロ-2-アルケン酸エステルを出発原料に用いるアルファーピロン類の新規かつ効率的な製造方法、および、それによる4,5,6-置換アルファーピロン類を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、第10族金属含有触媒存在下において、3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルがアセチレン化合物と容易に反応し、アルファーピロン類を与えるという新規な事実を見いだし、それに基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明によれば、3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルを、パラジウム触媒および有機塩基存在下、アセチレン化合物と反応させることを特徴とするアルファーピロン類の製造方法、および、それによる新規な4,5,6-置換アルファーピロン類が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いる3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルは、一般式(1)
【化5】
JP0004288372B2_000002t.gif(式中、RおよびRは、互いに同一あるいは相異なる1価の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表わされるものである。
【0007】
また、本発明において用いられるアセチレン化合物は、一般式(2)
【化6】
JP0004288372B2_000003t.gif(式中、R、Rは互いに同一あるいは相異なる1価の炭化水素基、複素芳香環基、またはシリル基を示す。)で表わされるものである。
【0008】
本発明の1価の炭化水素基としては、炭素数1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数2~30、好ましくは2~20、より好ましくは2~10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基やアルキニル基などの脂肪族炭化水素基、炭素数5~30、好ましくは5~20、より好ましくは6~10の単環、多環又は縮合環式の飽和又は不飽和の脂環式炭化水素基、炭素数6~30、好ましくは6~20、より好ましくは6~10の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられる。また、前記した脂肪族炭化水素基は、前記した脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記した脂環式炭化水素基は前記した脂肪族炭化水素基や芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記した芳香族炭化水素基は前記した脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基で置換されていてもよい。
【0009】
一般式(1)のハロゲン原子としては、本発明の反応条件下で容易に脱離し、目的の4,5,6-置換アルファーピロン類を生成するものであればよく、好ましくは塩素、臭素、沃素、より好ましくは塩素原子である。
本発明の好ましい一般式(1)で表される化合物としては、次式(4)、
【化7】
JP0004288372B2_000004t.gif(式中、RおよびRは、互いに同一あるいは相異なる1価の炭化水素基を示す。)で表わされる3-クロロ-2-アルケン酸エステルを挙げることができる。
【0010】
一般式(1)又は一般式(4)における炭化水素基RおよびRの例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ペンチル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。したがって、それらの炭化水素基を有する一般式(4)で表わされる3-クロロ-2-アルケン酸エステルを例示すれば、(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸メチル、(Z)-3-クロロ-4,4-ジメチル-2-ペンテン酸メチル、(Z)-3,6-ジクロロ-2-ヘキセン酸メチル、(Z)-3-クロロ-4-メトキシ-2-ブテン酸メチル、(Z)-6-シアノ-3-クロロ-2-ヘキセン酸メチル、(Z)-3-クロロ桂皮酸メチル、(Z)-3-クロロ-p-メチル桂皮酸メチル、(Z)-4-フェニル-3-クロロ-2-ブテン酸メチル、(Z)-3-クロロ-2-ノネン酸メチル、(Z)-7-[ジメチル(t-ブチル)シロキシ]-3-クロロ-2-ヘプテン酸メチル、(Z)-3-クロロ-p-クロロ桂皮酸メチル、(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸エチル、(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸ベンジル、(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸フェニル、p-ビス[{(Z)-1-クロロ-2-メトキシカルボニル}エテニル]ベンゼン、(Z)-3-(1-シクロヘキセニル)-3-クロロアクリル酸メチル、(Z)-3-クロロ-2,4-ペンタジエン酸メチル等が例示される。
【0011】
本発明の複素芳香環基としては、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5~20員、好ましく5~10員、より好ましく5~7員の単環、多環又は縮合環式の複素芳香環基が好ましく、当該複素芳香環基は置換基を有していてもよい。置換基としては前記した脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。
また、本発明のシリル基としては、前記した1価の炭化水素基や複素芳香環基などで置換されているシリル基が好ましく、例えば、トリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、アリールジアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基などが挙げられる。
【0012】
本発明の一般式(2)における基R、Rの例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ペンチル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、フリル基、チエニル基、トリメチルシリル基等が挙げられる。また、R、Rとしては、これらの炭化水素基、複素芳香環基、またはシリル基に官能基が結合しているものであっても良い。従って、一般式(2)で表されるアセチレン化合物としては、2-ブチン、3-ヘキシン、4-オクチン、フェニルメチルアセチレン、1-(p-メトキシフェニル)-1-ブチン等が例示される。
【0013】
反応に供される一般式(2)で表されるアセチレン化合物の一般式(1)で表される3-置換-2-アルケン酸エステルに対するモル比は任意に選ぶことができるが、3-置換-2-アルケン酸エステルに対する収率を考慮すれば、3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルに対して1以上が望ましく、通常1~2である。
【0014】
本発明の反応は第10族金属含有触媒の存在下に実施される。本明細書で使用する周期律表の族番号は、IUPAC無機化学命名法改訂版(1989年)に準拠するものである。
第10族金属としてはパラジウム、ニッケル、白金などがあるが、パラジウムおよびニッケルが好適であり、特にパラジウムの場合に効率的に反応が進行する。パラジウム含有触媒としては、その金属錯体、金属塩、金属あるいは担持金属等、従来公知のものを含む各種のものが使用できる。それらの具体例を示すと、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジブロモビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジ-μ-クロロビス(π-アリル)二パラジウム、ジクロロビス(ピリジン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスファイト)パラジウム、ジブロモ(トリイソプロピルホスファイト)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスファイト)パラジウム、ジクロロビス(ジメトキシエチルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ヨウ化パラジウム、活性炭担持パラジウム等が挙げられる。また、ニッケル含有触媒としては、種々のホスフィンニッケル錯体が好ましい。これらの触媒は、2種以上を組み合わせて用いたり、トリフェニルホスフィン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチロールプロパンホスファイト等の配位子を共存させて用いることもできる。
【0015】
本発明の触媒の3-置換-2-アルケン酸エステルまたはアセチレン化合物に対するモル比は任意に選ぶことができるが、通常0.0001~0.5の範囲である。
【0016】
また、本発明の反応は、有機塩基の添加することによって反応が促進される。用いられる有機塩基としては、一級、二級又は三級のアミン類が一般的に用いられるが、脂肪族又は環式脂肪族の第三級アミンが好ましい。それらを例示すれば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、N-メチルピロリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)等を挙げることができる。3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルに対する塩基のモル比は、生成するピロン類の収率を考慮すれば、1以上が好ましく、通常1~10である。
【0017】
本発明の反応は、-20℃以上、好ましくは0~200℃の反応温度で実施される。また、本発明の方法は溶媒の有無にかかわらず実施できるが、溶媒を用いる場合は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、デカリン等の炭化水素溶媒やジブチルエーテル等のエーテル系溶媒の他、原料の3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステルまたはアセチレン化合物と反応するものを除いた各種の有機溶媒を用いることができる。
【0018】
反応混合物からの目的生成物の分離精製は、一般に蒸留、クロマトグラフィー、または再結晶等の有機化学的に通常用いられる手段により、容易に達せられる。
一方、本発明により提供される新規な4,5,6-置換アルファーピロン類は、一般式(3)
【化8】
JP0004288372B2_000005t.gif(式中、R、R、およびRは、前記と同様。)
で表されることを特徴とするピロン類であり、具体的には、4-ブチル-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オン、4-ブチル-5,6-ジエチル-2H-ピラン-2-オン、4-ブチル-5-メチル-6-エチル-2H-ピラン-2-オン、4-ブチル-5-エチル-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、4-ヘキシル-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オン、4-(3-シアノプロピル)-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オン、4-フェニル-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オン、4-(3-クロロプロピル)-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オン、4-ブチル-5-エチル-6-フェニル-2H-ピラン-2-オン、4-ブチル-5-トリメチルシリル-6-フェニル-2H-ピラン-2-オン等が例示される。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
実施例1
肉厚のパイレックス反応管に、(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸メチル(0.5 mmol)、4-オクチン(0.6 mmol)、トリエチルアミン (2.5 mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.025 mmol)およびトルエン(1.0 mL)を、窒素気流化に仕込み、封管とした後、120℃で20時間反応させると、アンモニウム塩と思われる沈殿が生成する。冷却後減圧下に低沸点物を留去し、残さをヘキサン(5.0mL)で抽出し、約1mLにまで濃縮した後、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、4-ブチル-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オン(2a)が83%の収率で生成していることが判明した。更に、カラムクロマトグラフィー(アルミナカラム、ヘキサンで溶出)で分離精製することにより、4-ブチル-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オンが無色のオイルとして74%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、その物性値およびスペクトルデータは以下の通りであった。
【0021】
沸点 : 120℃/0.9 mmHg(クーゲルロール).
H-NMR(CD, TMS): δ 5.92 (s, 1H, H-3), 2.13 (t, 2H, J = 7.4 Hz),
1.95-1.90 (m, 4H), 1.52 (m, 2H), 1.12 (m, 6H),
0.77-0.72 (m, 9H).
13C-NMR(CD, TMS): δ 161.6, 160.9, 159.4, 114.7, 111.4, 32.8,
32.0, 30.7, 28.0, 24.1, 22.6, 21.1, 14.1, 13.9, 13.8.
IR(液膜): 2964, 2936, 2876, 1729, 1632, 1545 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 236 (M+, 21), 207 (11), 194 (24),
179 (40), 166 (100), 151 (56), 137 (41), 71 (72).
HR-MS(EI, 70 eV) : 実測値 236.1795,
計算値 236.1775 (C15H24O)
元素分析値 C15H24O
実測値 C, 76.30%; H, 10.31%
計算値 C, 76.27%; H, 10.17%
【0022】
実施例2~10
実施例1の反応のスケールを40%に縮小し、かつ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムに替えて種々の触媒を用いて、実施例1と同様に反応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、表1の結果を得た。
【0023】
【表1】
JP0004288372B2_000006t.gif【0024】
実施例11
トルエンの代わりにエチルベンゼンを用い、トリエチルアミンを加えることなく、実施例1と同様に反応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、4-ブチル-5,6-ジエチル-2H-ピラン-2-オンが27%の収率で生成していることが判明した。
【0025】
実施例12
トルエンの代わりにジメチルホルムアミドを用いた他は実施例1と同様に反応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、4-ブチル-5,6-ジエチル-2H-ピラン-2-オンが42%の収率で生成していることが判明した。
【0026】
実施例13
4-オクチンの代わりに3-ヘキシンを用いる他は実施例1と同様に、反応および分離精製を行った結果、4-ブチル-5,6-ジエチル-2H-ピラン-2-オンが無色のオイルとして72%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、その物性値およびスペクトルデータは以下の通りであった。
【0027】
沸点 : 110℃/1.2 mmHg(クーゲルロール).
H-NMR(CD, TMS): δ 5.90 (s, 1H, H-3), 2.05-1.79 (m, 6H),
1.10-0.67 (m, 13H).
13C-NMR(CD, TMS): δ 161.8, 161.7, 159.3, 115.4, 111.5, 31.8,
32.6, 24.1, 22.6, 19.1, 15.0, 13.9, 12.1.
IR(液膜): 2962, 2936, 2876, 1723, 1634, 1547 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 208 (M+, 13), 166 (23), 138 (100),
123 (40), 109 (51), 57 (84).
元素分析値 C13H20O
実測値 C, 75.10%; H, 9.74%
計算値 C, 75.00%; H, 9.62%
【0028】
実施例14
4-オクチンの代わりに2-ペンチンを用いる他は実施例1と同様に、反応および分離精製を行った結果、4-ブチル-5-メチル-6-エチル-2H-ピラン-2-オンおよび4-ブチル-5-エチル-6-メチル-2H-ピラン-2-オンのほぼ1:1混合物が無色のオイルとして67%の単離収率で得られた。
これらの化合物は文献未載の新規化合物であり、その混合物としての物性値およびスペクトルデータは以下の通りであった。
【0029】
沸点 : 105-110℃/1.5 mmHg(クーゲルロール).
H-NMR(CD, TMS): δ 5.88 (s, 1H, H-3), 2.05-0.48 (m, 17H).
13C-NMR(CD, TMS): δ 161.7, 161.6, 161.3, 159.7, 159.1, 157.4,
116.0, 111.4, 111.0, 109.1, 32.7, 31.8, 30.6, 30.0, 24.6, 22.6,
22.5, 19.3, 16.7, 14.1, 13.9, 11.5, 11.1.
IR(液膜): 2962, 2936, 2876, 1717, 1634, 1549 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 194 (M+, 10), 152 (11), 124 (100),
109 (40), 95 (25), 79 (16), 67 (24), 57 (34).
元素分析値 C12H18O
実測値 C, 73.95%; H, 9.44%
計算値 C, 74.23%; H, 9.28%
【0030】
実施例15
(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸メチルの代わりに(Z)-3-クロロ-2-ノネン酸メチルを用いる他は実施例1と同様に、反応および分離精製を行い、更に酢酸エチルおよびヘキサン(5:95)の混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーによる精製を繰り返した結果、4-ヘキシル-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オンが無色のオイルとして62%の単離収率で得られた。この化合物は文献未載の新規化合物であり、その物性値およびスペクトルデータは以下の通りであった。
【0031】
沸点:130℃/0.8 mmHg(クーゲルロール).
H-NMR(CD, TMS): δ 5.95 (s, 1H, H-3), 2.12 (t, 2H, J = 7.6 Hz),
1.95 (m, 4H), 1.50 (m, 2H), 1.22-1.08 (m, 10H),
0.87 (t, 3H, J = 7.0 Hz), 0.75 (t, 3H, J = 7.3 Hz),
0.74 (t, 3H, J = 7.4 Hz).
13C-NMR(CD, TMS): δ 161.6, 160.9, 159.3, 114.6, 111.5, 32.8,
32.3, 31.8, 29.3, 28.6, 28.1, 24.1, 22.8, 21.1, 14.2, 14.1, 13.8.
IR(液膜): 2962, 2934, 2874, 1729, 1632, 1547 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 264 (M+, 16), 235 (4), 207 (18),
194 (52), 179 (23), 166 (100), 151 (75), 137 (31), 123 (31),
71 (74).
元素分析値 C17H28O
実測値 C, 77.00%; H, 10.85%
計算値 C, 77.27%; H, 10.61%
【0032】
実施例16
(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸メチルの代わりに(Z)-6-シアノ-3-クロロ-2-ヘキセン酸メチルを用いる他は実施例1と同様に、反応および分離精製を行い、更に酢酸エチルおよびヘキサン(15:85)の混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーによる精製を繰り返した結果、4-(3-シアノプロピル)-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オンが無色のオイルとして56%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、その物性値およびスペクトルデータは以下の通りであった。
【0033】
沸点 : 125-130℃/1.0 mmHg(クーゲルロール).
H-NMR(CD, TMS): δ 5.64 (s, 1H, H-3), 2.08 (t, 2H, J = 7.5 Hz),
1.79 (m, 4H), 1.49 (m, 2H), 1.25 (t, 2H, J = 6.8 Hz),
1.11 (m, 2H), 0.89 (m, 2H), 0.77 (t, 3H, J = 7.3 Hz),
0.73 (t, 3H, J = 7.4 Hz).
13C-NMR(CD, TMS): δ 161.4, 161.2, 156.9, 118.6, 114.3, 111.6,
32.8, 30.4, 27.9, 24.1, 23.8, 21.1, 16.1, 14.0, 13.8.
IR(液膜): 2960, 2932, 2876, 2248, 1721, 1630, 1545 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 247 (M+, 20), 218 (30), 207 (17),
190 (100), 166 (22), 148 (19), 91 (22), 77 (31), 71 (60), 55 (20).
元素分析値 C15H21NO
実測値 C, 72.39%; H, 8.66%; N, 5.72%
計算値 C, 72.87%; H, 8.50%; N, 5.67%
【0034】
実施例17
(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸メチルの代わりに(Z)-3-クロロ桂皮酸メチルを用いる他は実施例1と同様に、反応および分離精製を行い、ペンタンから再結晶して更に精製した結果、4-フェニル-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オンが無色の結晶として57%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、その物性値およびスペクトルデータは以下の通りであった。
【0035】
融点 : 96.0 ~ 97.5℃.
H-NMR(CDCl, TMS): δ 7.42-7.22 (m, 5H), 6.03 (s, 1H, H-3),
2.54 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 2.22 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 1.74 (m, 2H),
1.16 (m, 2H), 1.01 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 0.69 (t, 3H, J = 7.2 Hz).
13C-NMR(CDCl, TMS): δ 162.6, 162.1, 160.3, 137.6, 128.6, 128.4,
127.4, 115.2, 112.9, 32.1, 28.6, 23.5, 21.2, 13.9, 13.8.
IR(KBr): 2968, 2936, 2876, 1711, 1628, 1539, 1390, 940, 899, 768,
706 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 256 (M+, 23), 228 (32), 199 (100),
157 (28), 128 (20), 71 (50).
元素分析値 C17H20O
実測値 C, 79.57%; H, 7.98%
計算値 C, 79.69%; H, 7.81%
【0036】
実施例18
(Z)-3-クロロ-2-ヘプテン酸メチルの代わりに(Z)-3,6-ジクロロ-2-ヘキセン酸メチルを用いる他は実施例1と同様に、反応および分離精製を行い、更に酢酸エチルおよびヘキサン(5:95)の混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーによる精製を繰り返した結果、4-(3-クロロプロピル)-5,6-ジプロピル-2H-ピラン-2-オンが無色のオイルとして9%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、そのスペクトルデータは以下の通りであった。
【0037】
H-NMR(CD, TMS): δ 5.77 (s, 1H, H-3), 2.91 (t, 2H, J = 6.1 Hz),
2.08 (t, 2H, J = 7.3 Hz), 1.96 (t, 2H, J = 7.7 Hz),
1.86 (t, 2H, J = 8.1 Hz), 1.54-1.06 (m, 6H),
0.74 (t, 3H, J = 7.3 Hz), 0.73 (t, 3H, J = 7.4 Hz).
13C-NMR(CD, TMS): δ 161.4, 161.3, 157.7, 114.4, 111.7, 44.0,
32.8, 31.0, 29.1, 27.9, 24.1, 21.1, 14.0, 13.8.
IR(液膜): 2966, 2936, 2876, 1725, 1632, 1545 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 256 (M+, 18), 228 (15), 199 (89),
166 (100), 151 (26), 123 (20), 107 (13), 91 (37), 71 (82),
55 (57).
元素分析値 C14H21ClO
実測値 C, 65.03%; H, 8.35%
計算値 C, 65.50%; H, 8.19%
【0038】
実施例19
4-オクチンの代わりに1-フェニル-1-ブチンを用いる他は実施例1と同様に、反応しガスクロマトグラフィーおよびGCMSで分析した結果、4-ブチル-5-エチル-6-フェニル-2H-ピラン-2-オンおよび4-ブチル-5-フェニル-6-エチル-2H-ピラン-2-オンが生成していることが判明した。実施例1と同様に分離精製を行い、更に酢酸エチルおよびヘキサン(5:95)の混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーによる精製を繰り返した結果、主生成物である4-ブチル-5-エチル-6-フェニル-2H-ピラン-2-オンが無色のオイルとして10%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、そのスペクトルデータは以下の通りであった。
【0039】
H-NMR(CDCl, TMS): δ 7.44-7.37 (m, 3H), 7.15-7.12 (m, 2H),
6.06 (s, 1H, H-3), 2.27-2.07 (m, 4H), 1.34-1.08 (m, 7H),
0.74 (t, 3H, J = 7.2 Hz).
13C-NMR(CDCl, TMS): δ 163.1, 163.0, 160.8, 134.4, 130.1, 128.7,
128.0, 118.8, 110.1, 33.2, 30.1, 25.3, 22.1, 13.8.
IR(液膜): 2962, 2934, 2874, 1727, 1632, 1545, 768, 704 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 256 (M+, 13), 214 (30), 186 (100),
171 (23), 128 (24), 57 (68).
元素分析値 C17H20O
実測値 C, 79.55%; H, 7.90%
計算値 C, 79.69%; H, 7.81%
【0040】
実施20
4-オクチンの代わりにフェニルトリメチルシリルアセチレンを用いる他は実施例1と同様に、、反応および分離精製を行い、更に酢酸エチルおよびヘキサン(2:98)の混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーによる精製を繰り返した結果、4-ブチル-5-トリメチルシリル-6-フェニル-2H-ピラン-2-オンが無色の粘稠なオイルとして11%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、そのスペクトルデータは以下の通りであった。
【0041】
H-NMR(CD, TMS): δ 7.02-7.00 (m, 3H), 6.86-6.83 (m, 2H),
6.09 (s, 1H, H-3), 1.74 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 1.06-0.81 (m, 4H),
0.58 (t, 3H, J = 7.2 Hz), -0.12 (s, 9H).
13C-NMR(CD, TMS): δ 168.4, 164.1, 158.5, 134.5, 131.2, 131.0,
128.4, 128.3, 112.7, 32.7, 30.1, 22.1, 13.6, -1.46.
IR(液膜): 2956, 2934, 2874, 1731, 1495, 1253, 864, 847 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 300 (M+, 6), 285 (2), 271 (6),
258 (2), 243 (26), 230 (3), 211 (3), 181 (4), 171 (2), 141 (3),
128 (5), 115 (6), 91 (4), 73 (100), 59 (3).
HR-MS(EI, 70 eV) : 実測値 300.1544,
計算値 300.1544 (C18H24OSi)
【0042】
実施例21
4-オクチンの代わりに2,7-ジメチル-1-オクテン-3-インを用いる他は実施例1と同様に、反応および分離精製を行い、更に酢酸エチルおよびヘキサン(2:98)の混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーによる精製を繰り返した結果、4-ブチル-5-イソプロペニル-6-イソペンチル-2H-ピラン-2-オン又は4-ブチル-5-イソペンチル-6-イソプロペニル-2H-ピラン-2-オンが無色のオイルとして17%の単離収率で得られた。
この化合物は文献未載の新規化合物であり、そのスペクトルデータは以下の通りであった。
【0043】
H-NMR(CD, TMS): δ 5.98 (s, 1H, H-3), 4.98-4.95 (m, 2H),
2.15-1.95 (m, 4H), 1.79 (s, 3H), 1.16-1.04 (m, 7H),
0.81-0.75 (m, 9H).
13C-NMR(CD, TMS): δ 161.0, 159.6, 159.5, 138.1, 118.6, 115.1,
112.9, 40.5, 31.9, 30.9, 28.6, 24.8, 22.7, 22.4, 21.5, 13.9.
IR(液膜): 2960, 2932, 2874, 1734, 1543, 1075 cm-1.
GCMS (EI, 70 eV): m/z (相対強度) 262 (M+, 10), 205 (14), 191 (24),
177 (27), 163 (34), 150 (28), 107 (24), 91 (59), 79 (47),
69 (100), 55 (69).
HR-MS(EI, 70 eV) : 実測値 262.1925,
計算値 262.1931 (C17H26O)
【0044】
【発明の効果】
本発明の方法により、3-ハロゲノ-2-アルケン酸エステル、好ましくは3-クロロ-2-アルケン酸エステルおよびアセチレン化合物とから、有機合成上利用価値の高い種々のピロン類を効率よく、しかも安全に製造でき、その分離精製も容易である。また、本発明により、新規なピロン類が提供される。従って、本発明の工業的意義は多大である。