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明細書 :有機EL材料薄膜の形成および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4910144号 (P4910144)
公開番号 特開2008-153185 (P2008-153185A)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月4日(2012.4.4)
公開日 平成20年7月3日(2008.7.3)
発明の名称または考案の名称 有機EL材料薄膜の形成および装置
国際特許分類 H05B  33/10        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI H05B 33/10
H05B 33/14 A
請求項の数または発明の数 10
全頁数 8
出願番号 特願2007-023795 (P2007-023795)
出願日 平成19年2月2日(2007.2.2)
優先権出願番号 2006313024
優先日 平成18年11月20日(2006.11.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年1月15日(2010.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】岡田 裕之
【氏名】中 茂樹
審査官 【審査官】本田 博幸
参考文献・文献 特開2001-237067(JP,A)
特開2003-017252(JP,A)
特開2003-139934(JP,A)
特表2003-526889(JP,A)
特開2004-103496(JP,A)
国際公開第2006/051900(WO,A1)
特開2008-077912(JP,A)
調査した分野 H05B 33/10
H01L 51/50
特許請求の範囲 【請求項1】
溶液化された有機EL材料を塗布する手段、被塗布材料を振動させる手段、被塗布材料を必要塗布量に応じて移動させる手段とを備える装置により、有機EL材料の薄膜を形成させる方法であって、溶液化された有機EL材料を塗布する工程において、溶液化された有機EL材料を被塗布材料にローラーで圧着しつつ被塗布材料自体、または被塗布材料を載せる台を移動させることを特徴とする有機EL材料薄膜の形成方法。
【請求項2】
振動させる手段が、振動装置によるものであって、その振動数が3kHz~10kHzである請求項1に記載の有機EL材料薄膜の形成方法。
【請求項3】
振動装置の振幅が2.0ミクロンである請求項に記載の有機EL材料薄膜の形成方法。
【請求項4】
被塗布材料の塗布装置に対する移動速度が10cm/secである請求項またはに記載の有機EL材料薄膜の形成方法。
【請求項5】
被塗布材料に100nmの有機EL材料が塗布される請求項1~4のいずれか1項に記載の有機EL材料薄膜の形成方法。
【請求項6】
溶液化された有機EL材料を塗布する手段、被塗布材料を振動させる手段、被塗布材料を必要塗布量に応じて移動させる手段とを備える装置であって、溶液化された有機EL材料を塗布する手段は溶液化された有機EL材料を塗布する工程において被塗布材料にローラーで圧着することを特徴とする有機EL材料薄膜の形成装置。
【請求項7】
振動させる手段が、振動装置によるものであって、その振動数が3kHz~10kHzである請求項6に記載の有機EL材料薄膜の形成装置。
【請求項8】
振動装置の振幅が2.0ミクロンである請求項7に記載の有機EL材料薄膜の形成装置。
【請求項9】
被塗布材料の塗布装置に対する移動速度が10cm/secである請求項またはに記載の有機EL材料薄膜の形成装置。
【請求項10】
被塗布材料に100nmの有機EL材料が塗布される請求項9のいずれか1項に記載の有機EL材料薄膜の形成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の基材上に有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)材料の薄膜を形成する薄膜形成方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機EL薄膜装置における有機EL層の形成には蒸着法あるいは湿式法がある。蒸着法は、蒸着可能な低分子有機材料を用いる方法で、均一性及び特性が良好なデバイスが実現できる。しかしながら、材料利用率が低い、大面積対応が難しいなどの欠点を有する。
湿式法は、溶液に溶解可能な高分子系有機材料を用いる方法で、簡単形成、大面積化可能、高い材料利用率の長所を持つが、溶液使用に伴う膜不均一、寿命を含めた特性が悪いなどの問題が有る。
【0003】
湿式法の工程は、有機EL溶液塗布工程、および溶媒乾燥工程からなる。有機EL溶液塗布工程にはスピンコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、インクジェットプリント法、スプレー法などが提案されている。
特に有機EL層形成は、従来の薄膜形成法以上の膜厚均一性が求められ、膜厚100 nmを形成する際、その不均一性を少なくとも5nm以下に抑えないと、発光むらが生ずる。この点からもより均一な薄膜形成法が求められている。ここで、溶液塗布工程において、基板上に均一に材料を供給することは可能であるが、基板面内の溶媒揮発速度むら、基板表面状態、乾燥雰囲気によって膜厚むらが生ずる。
【0004】
均一な薄膜形成法については、特開2001-351780(特許文献1)で、有機EL溶液塗布工程後に基板回転処理を行うことで平滑層形成が可能と示されている。この工程は塗布工程に加え回転工程を行うプロセス増加が有り、スピンコート法で問題となる溶液流れによる放射状の筋むらが生ずる。また、特開2002-313566(特許文献2)において、前記溶媒を気化した溶媒蒸気中で行うことで溶媒蒸発時間を制御する方法が示されている。この方法では、溶媒蒸気雰囲気の制御を行う密閉環境を作製する必要がある。

【特許文献1】特開2001-351780
【特許文献2】特開2002-313566
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
面積ディスプレイや面光源用として、有機EL素子が盛んに研究されている。既に、簡便で短時間に大面積形成可能なスプレー法やペイント法が検討されている。しかし、溶液プロセスによる大面積有機材料塗布では、膜厚不均一が大きな問題となっていた。その為、溶液化された有機EL材料をスジむらやフォトルミネセンスむらが無く、均一で極薄膜といわれる100nm±2nmの膜厚を得る有機EL材料薄膜形成方法及び装置を提供が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
溶液化された有機EL材料を塗布する手段、被塗布材料を振動させる手段、被塗布材料を必要塗布量に応じて移動させる手段とを備える装置を使用し、溶液化された有機EL材料を塗布する工程において、被塗布材料を振動させながら圧着・移動させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、溶液化された有機EL材料を含ませた塗布装置による手段、台の上に固定された被塗布材料を、ピエゾ素子等を用いた振動装置により上下又は左右に振動させる手段、被塗布材料を必要塗布量に応じて塗布装置に対して一定速度で移動させる移動装置、を利用して、溶液化された有機EL材料を含ませたローラー等の塗布装置に被塗布材料を振動させながら圧着・移動させることで、被塗布材料に均一で、極薄膜の有機EL材料を塗布する方法である。
【0008】
本発明において、溶液化された有機EL材料を塗布する手段としては、被塗布材料に溶液化された有機EL材料を塗布することができる手段であれば、特に限定されないが、例えば、ローラー、刷毛、スプレーなどによる塗布が挙げられる。好ましいものは、ローラーによる塗布である。
【0009】
本発明において、被塗布材料を振動させる手段としては、被塗布材料自体、または被塗布材料を載せる台を振動させることできる手段であれば、特に限定されないが、例えば、ピエゾ素子を利用した振動が挙げられる。
【0010】
本発明において、被塗布材料を振動させる装置の振動数は、振動数は、薄膜の材料等により適宜選択されるが、2KHz~12kHz、好ましくは3KHz~10kHzである。
また、振動装置の振幅は、薄膜の材料等により適宜選択されるが、1.5~2.5ミクロン程度、好ましくは2ミクロン程度である。
【0011】
本発明において、振動装置での被塗布材料の移動速度は、必要塗布量に応じて、適宜調節されるが、例えば、必要塗布量が、厚さ100nmの場合、固定された回転ローラーに対して10cm/secある。
【0012】
図1は、溶液化された有機EL材料を塗布する手段としてローラーを使用する場合、図2は、溶液化された有機EL材料を塗布する手段としてスプレーを使用する場合の模式図である。
【発明の効果】
【0013】
従来技術の問題点を解決することで、面積ディスプレイや面光源用としての大面積有機材料塗布方法及び装置を提供することができ、有機EL材料をスジむらやフォトルミネセンスむらが無い、均一で極薄膜の素子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図3は、本発明の一の実施形態に係わる有機EL塗布方法に使用される有機EL材料塗布装置の構成を模式的に示す側面図である。
この有機EL材料塗布装置は、溶液化された有機EL材料を含ませた回転ローラーを固定し、ピエゾ素子等を用いた振動装置を利用して振動数が3kHz、6kHz及び10kHzとし、振幅が2ミクロン程度にて上下に振動させる台(ステージ)に被塗布材料を載せた被塗布装置、被塗布材料を載せたステージを必要塗布量(厚さ100nm)に応じて固定された回転ローラー
に対して10cm/secで平行移動させて、溶液化された有機EL材料を含ませたローラーから
被塗布材料に均一に有機EL材料を塗布させるものである。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【実施例】
【0015】
IZO基板上に正孔注入層poly(ethylenedioxythiophene)/poly(styrenesulfonate)(PEDOT)をスピンコートした。次に、正孔輸送性ホストポリマーであるポリ(9-ビニルカルバゾール)[poly(9-vinylcarbazole:PVCz]、電子輸送材料である2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール[2,5-bis(1-naphtyl)-1,3,4-oxzdiazole;BND]、緑色発光ドーパント材料であるクマリン6[coumarin6;C6]を混合したテトラヒドロフラン(THF)1wt%溶液(PVCz:BND:C6=160:40:1)を作製し、成膜製向上のためテトラリン(tetralin)を15%混入した。インク浸透ローラ下で、基板固定したステージ移動して発光層を成膜した。移動速度は10cm/s、デバイス構造はIZO/PEDOT/PVCz+BND+C6/LiF(1nm)/Al(70nm)である。最後に、LiF/Al陰極を真空蒸着で成膜した。
【0016】
結果は図4(a)にTHF溶媒のみの場合、図4(b)にTHF+tetralin溶液、図4(c)にTHF+tetralin溶液を使用した薄膜成形法によるフォトルミネセンス(PL)及び電圧印加による発光(EL)写真を示す。発光面積は3cmX3cmである。THFのみの場合、膜厚ムラによるリーク電流が大きく、EL発光は得られなかった。テトラリン混入により成膜性は向上し、EL発光は得られたが、膜厚が不均一なため、輝度ムラが発生した。
【0017】
その為、薄膜形成法として、溶液化された有機EL材料を含ませた回転ローラーを固定し、ピエゾ素子等を用いた振動装置を利用して振動数が3kHz、6kHz及び10kHzとし、振幅が2ミクロン程度にて上下に振動させるステージに被塗布材料を載せた被塗布装置、被塗布材料を載せたステージを必要塗布量(厚さ100nm)に応じて固定された回転ローラーに対して10cm/secで平行移動させて、溶液化された有機EL材料を含ませたローラーから被塗布材料に均一に有機EL材料を塗布させた所、膜厚均一性向上に成功した。塗布厚さを検証した所、98nm~102nmの範囲に含まれていた。
【産業上の利用可能性】
【0018】
5cm角の大面積で、100nmの極薄膜の有機ELの塗布が確認された。大面積の試料に対して極薄膜で均一な溶液化された有機ELを塗布することが出来、携帯電話のバックライト、デ
ィスプレイ表示等に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】溶液化された有機EL材料を塗布する手段としてローラーを使用する場合の模式図である。
【図2】溶液化された有機EL材料を塗布する手段としてスプレーを使用する場合の模式図である。
【図3】発明の一の実施形態に係わる有機EL塗布方法に使用される有機EL塗布装置の構成を模式的に示す側面図
【図4】実施例のフォトルミネセンス(PL)及び電圧印加による発光(EL)写真
【図5】振動数および振幅を変化させた場合の実施例のフォトルミネセンスの写真
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4