TOP > 国内特許検索 > オクタエチルポルフィリン誘導体からなる分子機能素子 > 明細書

明細書 :オクタエチルポルフィリン誘導体からなる分子機能素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5374701号 (P5374701)
公開番号 特開2008-162993 (P2008-162993A)
登録日 平成25年10月4日(2013.10.4)
発行日 平成25年12月25日(2013.12.25)
公開日 平成20年7月17日(2008.7.17)
発明の名称または考案の名称 オクタエチルポルフィリン誘導体からなる分子機能素子
国際特許分類 C07D 487/22        (2006.01)
C07F  15/04        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
FI C07D 487/22
C07F 15/04
B82B 1/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 13
出願番号 特願2007-023834 (P2007-023834)
出願日 平成19年2月2日(2007.2.2)
優先権出願番号 2006168441
2006329320
優先日 平成18年6月19日(2006.6.19)
平成18年12月6日(2006.12.6)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成22年1月15日(2010.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】樋口 弘行
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査官 【審査官】鳥居 福代
参考文献・文献 日本化学会講演予稿集,2006年 3月13日,vol.86th,p.1285
HAYASHI, N. et al.,Synthesis and structural and electronic properties of the octaethylporphyrin-dihexylbithiophene-fullerene derivatives (OEP-DHBTh-C60) connected with diacetylene linkage,Tetrahedron Letters,2005年,Vol.46, No.40,p.6961-6965
調査した分野 C07D 487/22
C07F 15/04
B82B 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
【化1】
JP0005374701B2_000018t.gif
「式中、Mはニッケル、パラジウム、白金または亜鉛原子のいずれかであり、Xは硫黄原子であり、Yは置換基を有してもよい、ピリジン-2-イル基、ピリジン-3-イル基、ピリジン-4-イル基及びピリミジン-2-イル基のいずれかであり、Rはアルキル基である。」で表されるオクタエチルポルフィリン誘導体からなる分子モーター機能素子の制御方法であって、平面的なポリフィリン環の上下に軸配位させる陰イオンをpH調整又は温度の調整により制御することで、ドライビングフォースとしての運動を制御する分子モーター機能素子の制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスジアセチレンチオフェン基を有するオクタエチルポルフィリン誘導体からなる分子機能素子および分子機能素子として有用な新規なオクタエチルポルフィリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ロタキサンは、環状分子に棒状分子が貫通し、棒状分子の両端に、嵩高い分子(ストッパー、キャップと呼ばれる)を結合させた構造の超分子と称される化合物である。ロタキサンを分子モーターとして利用しようとする試みがなされている。(非特許文献1)
また、ポルフィリンの金属錯体とアゾベンゼン誘導体を組み合わせ、機能性金属錯体とする試みもなされている(特許文献1)
一方、ビスジアセチレンチオフェン基を有するオクタエチルポルフィリン金属錯体に関して、その電子的性質に関する研究が行われている(非特許文献2)。また、ピリジル-4-イル基を有するオクタエチルポルフィリン誘導体が知られている(非特許文献3)。
【0003】

【非特許文献1】http://www.biomach.org/publications/Utah.pdf
【非特許文献2】Tetrahedron, 60, 6363-6383 (2004).
【非特許文献3】Tetrahedron Letters, 47, 5585-5589 (2006).
【特許文献1】特開2005-60304
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロタキサン関して棒状分子両端末の嵩高い分子の合成に多段の工数が必要であった。
本発明は、合成が容易で分子モーターなどの分子機能素子として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、ビスジアセチレンチオフェン基を有するオクタエチルポルフィリン金属錯体の電子的性質に関する研究の過程で、以下のピリジル-4-イル基を有するオクタエチルポルフィリン誘導体[1a]を合成し、その性質を詳細に検討した結果、分子長軸に高速回転して構成成分が、酸の添加により回転が止まり、酸を除去することで再び回転することを見出した。また、この分子回転および停止は熱によっても調節できることを見出した。さらに研究を進め、拡張共役系一次元分子が分子モーターなどの機能素子として有用性であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の一般式[1]で表されるビスジアセチレンチオフェン基およびビスジアセチレンフラン基を有するオクタエチルポルフィリン誘導体の分子モーター、分子スイッチといった分子機能素子としての使用である。
本発明は、また、一般式[1b]で表される新規なビスジアセチレンチオフェン基を有するオクタエチルポルフィリン誘導体である。
【0006】
【化1】
JP0005374701B2_000002t.gif

【0007】
「式中、Rは、アルキル基を;Mは、金属原子を、Xは硫黄原子または酸素原子を、Yは置換基を有していてもよい含窒素複素環式基それぞれ示す。」で表されるオクタエチルポルフィリン誘導体。
【0008】
【化2】
JP0005374701B2_000003t.gif

【0009】
【化3】
JP0005374701B2_000004t.gif

【0010】
「式中、Rは、アルキル基を;Mは、金属原子を、Y1は、置換基を有していてもよいピリジン-2-イル、ピリジン-3-イルまたはピリミジン-2-イル基をそれぞれ示す。」
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明において、分子機能素子とは、酸および/または熱を媒体とした分子モーター機能、分子スイッチ機能および色変化による指示機能、さらに還元機能を含むものである。
【0012】
一般式[1]のオクタエチルポルフィリン誘導体は、pHの調整(酸性化)を通じ Hの相手である対イオンが 平面的なポルフィリン環に上下に化学結合(軸配位)することで嵩高くなり、溶媒を跳ね除けての運動がしづらくなる。また、陰イオンを取り去る事(中性化)で、平面的なポルフィリン環に戻り、運動がより自由となる。また、嵩高い状態でも常温から加熱する事で、ポルフィリン環の運動が活発となる。すなわち、pHの調整と温度管理を通じて、ドライビングフォースとして運動を制御し、その力を利用することが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施例1~6で得られる化合物は、
(1)中性状態(クロロホルム中)と酸性状態(トリフロオロ酢酸/クロロホルム中)で、大きな1H NMRスペクトル変化を与える。酸性溶液中では、ピリジンまたはピリミジン環プロトンだけを著しく低磁場シフトさせ、塩基を加えると元のスペクトルに戻る。ピリジンまたはピリミジン環にプロトン化が起こったことを示しており、この変化は可逆的である。
(2)1H NMRスペクトルは、酸性状態において、ポルフィリン環に所属する水素シグナルに異常なブロードニング現象を示す。それらの化学シフトは中性状態における化学シフトほとんど同じであることから、酸性状態ではポルフィリン環周辺の分子運動が著しく緩慢になったことを示している。
上記のことから、一般式[1]の化合物は、分子モーター機能を有する。
【0014】
本発明の実施例1~4で得られる化合物は、
(3)中性状態と酸性状態で、電子吸収スペクトルに大きな差を与える。この変化は可逆的であり,酸性溶液中(クロロホルム/トリフルオロ酢酸)では,実施例1および3得られる化合物は、約100ナノメートル、実施例2および4得られる化合物は、約130ナノメートルの長波長領域に新しい吸収帯を与える。トリエチルアミンなど塩基による中和により、元のスペクトルを再現する。
上記のことから、一般式[1]の化合物は、酸添加による指示機能、酸を媒介にする分子スイッチなどの機能を有する。
【0015】
本発明の実施例1~6で得られる化合物は、
(4)中性状態と酸性状態で、還元能力に大きな差を示す。中性状態(950~1000mV)に比べて、酸性溶液中の酸化電位が大きく低電位シフト(800~600 mV)し、電子を放出し易くなる(酸化され易くなる)。
上記のことから、一般式[1]の化合物は、還元機能を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のオクタエチルポルフィリン誘導体は、当業者に公知の任意の方法で合成することができるが、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0017】
JP0005374701B2_000005t.gif
【0018】
「式中、Rは、アルキル基を;Mは、金属原子、Xは硫黄原子または酸素原子を、Yは置換基を有していてもよい含窒素複素環式基を、それぞれ示す。」
【0019】
一般式[1]の化合物は、一般式[2]の化合物と一般式[3]の化合物またはその塩の酸化的クロスカップリング反応により製造することができる。具体的には、エグリトン(Eglinton)らの方法[Chem. Ind., 737-738(1956).]に準じて行えばよい。
原料である一般式[2]の化合物と一般式[3]の化合物またはその塩は、公知の方法により製造すればよいが、例えば、樋口らの方法[Tetrahedron Lett., 44, 7155-7158 (2003)、 Tetrahedron, 60, 6363-6383 (2004).]またはそれに準じた方法で製造すればよい。
【0020】
一般式[1]おけるRのアルキル基は、メチル、エチル、ヘキシル、へプチル、オクチルなどの炭素数1~16のアルキル基が挙げられる。好ましいものとしてヘキシル、へプチル、オクチルなどの炭素数6~12のアルキル基が挙げられる。
一般式[1]おけるMの金属原子は、ニッケル原子、パラジウム原子、白金原子および亜鉛原子が挙げられ、好ましいものとしてニッケル原子が挙げられる。
【0021】
一般式[1]おけるYの含窒素複素環式基は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾールなど6員または5員の含窒素複素環が挙げられる。好ましいものは、ピリジン、ピリミジンなどの6員環含窒素複素環であり、さらにピリジンおよびピリミジンが好ましい。Yの含窒素複素環式基の置換基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。
【0022】
本発明の分子モーターとして好ましい化合物は、一般式[1]においてRがヘキシル基、Mがニッケル原子、Xが硫黄原子、Yがピリジンであるものが挙げられる。より具体的には以下のものが挙げられる。
【0023】
【化4】
JP0005374701B2_000006t.gif

【化5】
JP0005374701B2_000007t.gif

【化6】
JP0005374701B2_000008t.gif

【化7】
JP0005374701B2_000009t.gif

【化8】
JP0005374701B2_000010t.gif

【化9】
JP0005374701B2_000011t.gif

【0024】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
実施例1
【化10】
JP0005374701B2_000012t.gif

【0026】
無水酢酸銅(2価) 1000mgを含むピリジン-メタノール混合溶液60ml(1:1,V/V)に、5-エチニル-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3-ブタジイン‐1‐イル}-3,3′-ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン132mgと4-エチニルピリジン900 mgを含むピリジン-メタノール混合溶液100mlを、40℃、5時間で滴下した。滴下終了後、さらに4時間撹拌した後、放冷した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出液を希塩酸で振とうし、次いで水、飽和食塩水の順に洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を分離して濃縮後、得られた混合物をアルミナカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン-クロロホルム(1:1,V/V)の混合溶媒で展開すると、5-[4-(ピリジン-4-イル)-1,3-ブタンジニル]-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3‐ブタジイン‐1‐イル}-3,3′‐ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン136mgが得られる。
黒紫色微結晶(ヘキサン-クロロホルム)
融点 >280℃
MS(FAB); m/z 1097, 1098
IR(KBr)cm-1; 2200, 2130
NMR(CDCl3)δ値; 9.42, 9.40, 8.62, 7.37,7.29, 7.27,4.14-3.76,2.52,1.81-1.71,
0.89-0.87
UV(CHCl3)λmax; 450, 595
UV(CF3COOH-CHCl3)λmax; 420, 697
【0027】
実施例2
【化11】
JP0005374701B2_000013t.gif

【0028】
無水酢酸銅(2価)1200 mgを含むピリジン-メタノール混合溶液60 ml(1:1,V/V)に、5-エチニル-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3-ブタジイン‐1‐イル}-4,4′-ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン180mgと4-エチニルピリジン1000mgを含むピリジン-メタノール混合溶液100mlを、40℃、5時間で滴下した。滴下終了後、さらに4時間撹拌した後、放冷した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出液を希塩酸で振とうし、次いで水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を分離して濃縮後、得られた混合物をアルミナカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン-クロロホルム(1:1,V/V)の混合溶媒で展開すると、5-[4-(ピリジン-4-イル)-1,3-ブタンジニル]-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3‐ブタジイン‐1‐イル}-4,4′‐ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン178 mgが得られる。
黒紫色微結晶(ヘキサン-クロロホルム)
融点 >280℃
MS(FAB); m/z 1097, 1098
IR(KBr)cm-1; 2196, 2122
NMR(CDCl3)δ値; 9.42, 9.40, 8.61, 7.37,7.01, 6.99, 4.15-3.76,2.78, 2.71,
1.81-1.72,0.92-0.89
UV(CHCl3)λmax; 440(sh), 465, 598
UV(CF3COOH-CHCl3)λmax; 410(sh), 486, 730
【0029】
実施例3
【化12】
JP0005374701B2_000014t.gif

【0030】
無水酢酸銅(2価)1000mgを含むピリジン溶液60mlに、5-エチニル-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3-ブタジイン‐1‐イル}-3,3′-ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン130mgと2-エチニルピリジン750mgを含むピリジン溶液100mlを、40℃、5時間で滴下した。滴下終了後更に4時間撹拌した後、放冷した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出液を希塩酸で振とう、次いで水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を分離して濃縮後、得られた混合物をアルミナカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン-クロロホルム(1:1,V/V)の混合溶媒で展開すると、5-[4-(ピリジン-2-イル)-1,3-ブタンジニル]-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3‐ブタジイン‐1‐イル}-3,3′‐ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン118mgが得られる。
黒紫色微結晶(ヘキサン-クロロホルム)
融点 >280℃
MS(FAB); m/z 1097, 1098
IR(KBr)cm-1; 2202, 2133
NMR(CDCl3)δ値; 9.42, 9.39, 8.61, 7.67, 7.51, 7.27, 7.29, 7.26, 4.13-3.76,
2.52, 1.81-1.72, 0.89-0.87
UV(CHCl3)λmax; 450, 595
UV(CF3COOH-CHCl3)λmax; 420, 697
【0031】
実施例4
【化13】
JP0005374701B2_000015t.gif

【0032】
無水酢酸銅(2価)1200mgを含むピリジン溶液60mlに、5-エチニル-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3-ブタジイン‐1‐イル}-4,4′-ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン160mgと2-エチニルピリジン850 mgを含むピリジン溶液100mlを、40℃、5時間で滴下した。滴下終了後更に4時間撹拌した後、放冷した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出液を希塩酸で振とう、次いで水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を分離して濃縮後、得られた混合物をアルミナカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン-クロロホルム(1:1,V/V)の混合溶媒で展開すると、5-[4-(ピリジン-2-イル)-1,3-ブタンジニル]-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3‐ブタジイン‐1‐イル}-4,4′‐ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン145mgが得られる。
黒紫色微結晶(ヘキサン-クロロホルム)
融点 >280℃
MS(FAB); m/z 1097, 1098
IR(KBr)cm-1; 2195, 2120
NMR(CDCl3)δ値; 9.41, 9.39, 8.61, 7.66, 7.51, 7.26, 6.99, 6.96, 4.15-3.77, 2.76,
2.70, 1.81-1.70, 0.92-0.86
UV(CHCl3)λmax; 410(sh), 448(sh), 475, 598
UV(CF3COOH-CHCl3)λmax; 410(sh), 487, 730
【0033】
実施例5
【化14】
JP0005374701B2_000016t.gif

【0034】
無水酢酸銅(2価)1000mgを含むピリジン溶液60mlに、5-エチニル-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3-ブタジイン‐1‐イル}-3,3′-ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン155mgと2-エチニルピリミジン960mgを含むピリジン溶液100mlを、40℃、5時間で滴下した。滴下終了後更に4時間撹拌した後、放冷した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出液を希塩酸で振とう、次いで水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を分離して濃縮後、得られた混合物をアルミナカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン-クロロホルム(1:1,V/V)の混合溶媒で展開すると、5-[4-(ピリミジン-2-イル)-1,3-ブタンジニル]-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3‐ブタジイン‐1‐イル}-3,3′‐ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン108mgが得られる。
黒紫色微結晶(ヘキサン-クロロホルム)
融点 >280℃
MS(MALDI TOF, CHCA); m/z 1098,1099(M+ and M+1) for C68H74N6S2Ni
IR(KBr)cm-1; 2210,2133(アセチレン結合)
NMR(CDCl3)δ値; 9.42,9.39(ポルフィリン環), 8.74,7.27(ピリミジン環),
7.30,7.29(チオフェン環), 4.14-3.77(エチル基メチレン), 2.53-2.50(ヘキシル基メチレン), 1.81-1.71(エチル基メチル),
0.89-0.87(ヘキシル基残り)
UV(CHCl3)λmax; 451, 589
UV(CF3COOH-CHCl3)λmax; 415, 700
【0035】
実施例6
【化15】
JP0005374701B2_000017t.gif

【0036】
無水酢酸銅(2価)1000mgを含むピリジン溶液60mlに、5-エチニル-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3-ブタジイン‐1‐イル}-4,4′-ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン140mgと2-エチニルピリミジン950mgを含むピリジン溶液100mlを、40℃、5時間で滴下した。滴下終了後更に4時間撹拌した後、放冷した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出液を希塩酸で振とう、次いで水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を分離して濃縮後、得られた混合物をアルミナカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン-クロロホルム(1:1,V/V)の混合溶媒で展開すると、5-[4-(ピリミジン-2-イル)-1,3-ブタンジニル]-5′-{4-[2,3,7,8,12,13,17,18‐オクタエチル-ポルフィリナトニッケル(II)-5-イル]-1,3‐ブタジイン‐1‐イル}-4,4′‐ジヘキシル-2,2′-ビチオフェン115mgが得られる。
黒紫色微結晶(ヘキサン-クロロホルム)
融点 >280℃
MS(MALDI TOF, CHCA); m/z 1098,1099(M+ and M+1) for C68H74N6S2Ni
IR(KBr)cm-1; 2202,2133(アセチレン結合)
NMR(CDCl3)δ値; 9.42,9.39(ポルフィリン環), 8.74,7.27(ピリミジン環),
7.01,6.98(チオフェン環), 4.14-3.77(エチル基メチレン), 2.76,2.71(ヘキシル基メチレン), 1.81-1.72(エチル基メチル),
0.92-0.89(ヘキシル基残り)
UV(CHCl3)λmax; 409(sh), 443(sh), 479, 595
UV(CF3COOH-CHCl3)λmax; 412, 514, 710
【産業上の利用可能性】
【0037】
拡張共役系一次元分子構造を有するオクタエチルポルフィリン誘導体は、製造が容易で、かつ、その分子の移動をpHおよび/または温度で制御することが可能な分子機能素子であり、分子モーターとしての機能は、細胞内で何らかのエネルギーを機械的な動きに変換することで、細胞が変形・移動し、細胞内で様々な高分子の輸送に利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】酸および/または熱を媒体とした分子モーター機能の概念図である。
【図2】(a)中性状態(25℃、クロロホルム中)、(b)酸性状態(25℃、トリフロオロ酢酸/クロロホルム中)、(c)酸性状態(80℃、トリフロオロ酢酸/クロロホルム中)での1H NMRスペクトル(600MHz)である。
図面
【図1】
0
【図2】
1