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明細書 :保定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5577486号 (P5577486)
公開番号 特開2011-130906 (P2011-130906A)
登録日 平成26年7月18日(2014.7.18)
発行日 平成26年8月27日(2014.8.27)
公開日 平成23年7月7日(2011.7.7)
発明の名称または考案の名称 保定装置
国際特許分類 A61D   3/00        (2006.01)
FI A61D 3/00 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2009-292725 (P2009-292725)
出願日 平成21年12月24日(2009.12.24)
審査請求日 平成24年11月29日(2012.11.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】白井 義啓
【氏名】田端 俊英
個別代理人の代理人 【識別番号】100090206、【弁理士】、【氏名又は名称】宮田 信道
審査官 【審査官】五閑 統一郎
参考文献・文献 特開2008-200007(JP,A)
特開平02-265543(JP,A)
特開平09-253104(JP,A)
特開昭59-200645(JP,A)
調査した分野 A61D 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
被験動物を保定するためのものであって、基盤と、該基盤に立設された二本の支持柱と、該支持柱に横架された被験動物の体幹を固定するための体幹固定プレートと、前記基盤に設けられ被験動物の頭部を上側から押さえる頭部固定アームとを有し、
前記体幹固定プレートが、上側プレートと下側プレートを重ね合わせたもので、少なくとも一方のプレートが、他方のプレートに対して反対方向に湾曲した湾曲部を有しており、前記上側プレートと前記下側プレートとの間に体幹挟持空間が形成されており、
前記頭部固定アームが、前記基盤の被験動物の後側に設けられ前側上方へ延びて被験動物の頭部を押さえるものであり、
前記頭部固定アームの先端が、被験動物の頭蓋骨に固定したベース部材に固定されるものであることを特徴とする保定装置。
【請求項2】
前記基盤に設けられ被験動物の顎部に下側から当接する顎台を有することを特徴とする請求項1記載の保定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、動物実験を行う際に被験動物を保定する保定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動物実験を行う際に、被験動物を保定するために保定装置を用いる場合がある。このような保定装置においては、正確な測定のために被験動物を確実に固定しなければならない一方で、固定することにより被験動物に過度のストレスを与えると、それが実験の測定結果に影響を及ぼすおそれがある。従来、マウスやラットなどの小動物を保定する際には、特許文献1や2に示すような保定装置が用いられていた。これらの装置は、筒体の中に被験動物を挿入するものである。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2007-236525号公報
【特許文献2】特開平8-47502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や2の装置では、被験動物に与えるストレスは小さいものの、その体躯の各部について固定するものではなく、たとえば頭部を上下左右に振ることは可能である。よって、被験動物に運動する物体を呈示してその際の眼球運動を測定する視機性動眼反射測定を行う場合などには、頭部の動きが測定結果に影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、被験動物に過度のストレスを与えることなく保定し、とくに頭部が動かないように安全かつ確実に固定できる保定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、被験動物を保定するためのものであって、基盤と、該基盤に立設された二本の支持柱と、該支持柱に横架された被験動物の体幹を固定するための体幹固定プレートと、前記基盤に設けられ被験動物の頭部を上側から押さえる頭部固定アームとを有し、前記体幹固定プレートが、上側プレートと下側プレートを重ね合わせたもので、少なくとも一方のプレートが、他方のプレートに対して反対方向に湾曲した湾曲部を有しており、前記上側プレートと前記下側プレートとの間に体幹挟持空間が形成されており、前記頭部固定アームが、前記基盤の被験動物の後側に設けられ前側上方へ延びて被験動物の頭部を押さえるものであり、前記頭部固定アームの先端が、被験動物の頭蓋骨に固定したベース部材に固定されるものであることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項の発明は、前記基盤に設けられ被験動物の顎部に下側から当接する顎台を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち請求項1の発明によれば、被験動物の胴体を二枚のプレートにより形成される体幹挟持空間に収め、頭部を頭部固定アームにより固定することで、被験動物の頭部を含む体躯を確実に固定できる。この際、被験動物の体躯を締め付けたり、被験動物に無理な姿勢をとらせたりするものではないから、被験動物に過度のストレスを与えることがない。また、湾曲部の形状や大きさの異なるプレートを複数用意しておき、被験動物の大きさによって使い分ければ、種々の大きさの被験動物に対応できる。さらに、頭部固定アームが被験動物の後側から前側上方へ延びているので、頭部固定アームが被験動物の視界に入らず、実験の測定結果に影響を及ぼすことがない。
【0011】
本発明のうち請求項の発明によれば、被験動物の頭部を頭部固定アームと顎台により上下から挟むことになるので、頭部の上下動をより確実に防ぐことができる。そして、頭部の上下動を抑えることにより、被験動物の頭蓋骨とベース部材との接合部分に負担がかからず、より安定して頭部を確実に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の保定装置の斜視図。
【図2】保定装置の正面図および側面図。
【図3】保定装置にマウスを保定した場合の正面図および側面図。
【図4】保定装置を用いて視機性動眼反射測定を行う場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の保定装置の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。なお、以下における前後左右とは、保定された被験動物を基準としている。この保定装置は、図1および図2に示すように、基盤1と、二本の支持柱2と、体幹固定プレート3と、頭部固定アーム4と、顎台5と、臀部台6とを備える。基盤1は、略正方形の平板であり、下面の三箇所に支持脚11が取り付けられている。支持脚11はそれぞれ高さ調整可能であり、基盤1が水平になるように支持している。二本の支持柱2は、ネジ棒からなり、基盤1の上面に左右に離間して立設されている。体幹固定プレート3は、上側プレート31と下側プレート32とを重ね合わせたもので、二本の支持柱2に横架されている。上側プレート31および下側プレート32はいずれも左右に長い略長方形の平板で、上側プレート31は左右方向中央部に上側に湾曲した湾曲部33を有し、下側プレート32は左右方向中央部に下側に湾曲した湾曲部33を有しており、両湾曲部33によりその間に断面円形の体幹挟持空間34が形成されている。体幹挟持空間34の内周面には、ウレタンゴムからなる緩衝材37が設けられている。両プレート31,32の左右両側には切欠部38が形成されていて、この切欠部38に支持柱2が挿入されており、支持柱2に螺合した蝶ナット35およびナット36で上下から挟み込んで固定してある。よって、蝶ナット35およびナット36の螺合位置によって体幹固定プレート3の高さを調整できる。頭部固定アーム4は、支持柱2の後側に立設された垂直柱41と、垂直柱41の上端から前側に延びる水平梁42からなり、水平梁42の前側端部が下方へ35度屈曲して固定部43を形成しており、固定部43にはネジ孔44が形成されている。顎台5は、略立方体形状のウレタンゴムからなり、その下面には調整ネジ棒51が取り付けられている。調整ネジ棒51は、基盤1の支持柱2より前側に固定された支持金具52に、ナット53によって高さ調整自在に取り付けられている。臀部台6は、左右に延びる水平支持部61を有し、基盤1の支持柱2と頭部固定アーム4の間に取り付けられている。水平支持部61は、高さ調整自在であり、その上面には略直方体形状のウレタンゴムからなる緩衝材62が設けられている。

【0014】
次に、このように構成した保定装置によって実際に被験動物を保定する場合について、図3に基づき説明する。なお、ここでは被験動物をマウスMとする。マウスMを保定するには、まず、支持柱2にナット36を螺合し、その上に下側プレート32を取り付ける。この際、マウスMの大きさに合わせてナット36の高さを調節する。次に、マウスMの胴体を下側プレート32の湾曲部33に収め、上から上側プレート31を取り付け、さらに蝶ナット35を螺合して固定する。こうして、マウスMの胴体は上側プレート31と下側プレート32の両湾曲部33の間に形成された体幹挟持空間34に収められ、マウスMの臀部は臀部台6の緩衝材62により支持される。この際、両足で緩衝材62を跨がせ、足が水平支持部61に接触せず自由に動かせるようにする。さらに、マウスMの腰が曲がってしまうと負担がかかるので、胴体が水平になるように、水平支持部61の高さを調整する。また、上側プレート31および下側プレート32については、湾曲部33の大きさが異なるものを複数用意しておき、マウスMの大きさに合わせて適切なものを使用するようにしてもよい。次に、頭部固定アーム4の固定部43のネジ孔44にネジ45を挿入し、マウスMの頭部に取り付けたベース部材7に螺合して、マウスMの頭部を頭部固定アーム4に固定する。ベース部材7は金属製の板材からなり、マウスMの頭蓋骨にドリルで穴をあけ、その穴にステンレスの小ネジを止め、そこを足場にして歯科用セメントで基礎を形成して、そこに接着してある。次に、顎台5を上昇させ、マウスMの顎部に下側から当接させる。マウスの頭部を固定できる位置が定まったら、ナット53を締めて調整ネジ棒51を支持金具52に固定する。

【0015】
こうして本発明の保定装置に保定されたマウスは、胴体が二枚のプレートにより形成される体幹挟持空間に収められ、さらに頭部が頭部固定アームと顎台により上下から挟まれるので、体躯が固定され、とくに頭部の上下動が確実に防がれる。この際、マウスの体躯を締め付けたり、マウスに無理な姿勢をとらせたりするものではないから、マウスに過度のストレスを与えることがない。また、固定部が下方へ35度傾斜しており、そこに頭部を固定することにより、マウスの三半規管が水平に保たれる。

【0016】
さらに、本発明の保定装置を用いて行う実験の具体例として、視機性動眼反射測定を行う場合について示す。視機性動眼反射測定とは、被験動物に運動する物体を呈示してその際の眼球運動を測定するものであるが、測定時に被験動物の頭部が動くと、眼球の位置が変化して測定データのノイズとなってしまう。この実験に用いられる視機性動眼反射測定装置は、図4(a)に示すように、本発明の保定装置Aと、運動する物体を被験動物に呈示する刺激装置Bと、被験動物の眼球運動を検出する検出装置Cからなる。刺激装置Bは、略円筒形状のスクリーン101と、スクリーン101を回転駆動する駆動機構102とを有し、スクリーン101の内周面には被験動物に呈示する図柄として白黒の縦縞模様が描かれている。そして、略矩形の床板103と、床板103の四隅に立設された下柱104と、下柱104の上に延設された上柱105と、上柱105の上に設けられた上天板106と、上柱105に沿って上下動自在な下天板107とを有し、下天板107にはスクリーン101が回転自在に吊り下げられ、またステップモータからなる駆動機構102が設けられていて、スクリーン101と駆動機構102とがベルト108により連結されている。また、上天板106の下面に設けた鉤型のフックと、下天板107の上面に設けたフック受け109とを備え、フックにフック受け109を引っ掛けることで、下天板107を上昇させた状態で固定できる。さらに、検出装置Cは、被験動物の眼球を撮影するカメラ201と、カメラ201により撮影された画像データを処理・記憶する計算機(図示省略)とを備える。保定装置Aと検出装置Cのカメラ201は、刺激装置Bの床板103上に載置されており、下天板107およびこれに吊り下げられたスクリーン101を下降させた際には、図4(b)に示すように、保定装置Aとカメラ201がスクリーン101の内側に収まる。

【0017】
このように構成した視機性動眼反射測定装置によれば、本発明の保定装置により被験動物の頭部の動きが抑えられているから、ノイズのない正確な測定結果を得ることができる。また、被験動物の周囲すべてがスクリーンにより囲まれており、さらに、頭部固定アームが被験動物の後側から前側上方へ延びているので、被験動物の視界にスクリーン以外のものが入らず、この点においても正確な測定結果を得ることができる。

【0018】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、体幹固定プレートを構成する上側プレートおよび下側プレートは、いずれか一方のみが湾曲部を有するものであってもよいし、その他各部の形状は、被験動物の種類や大きさに応じて適宜変更できる。また、体幹固定プレートや顎台の高さ調整には、ネジ棒とナットによるもののほか、種々の手段が用いられる。さらに、本発明の保定装置は、視機性動眼反射測定のほか、被験動物を保定する必要がある種々の実験に用いることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 基盤
2 支持柱
3 体幹固定プレート
4 頭部固定アーム
31 上側プレート
32 下側プレート
33 湾曲部
34 体幹挟持空間
5 顎台
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3