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明細書 :精神障害の診断方法および診断薬キット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5876673号 (P5876673)
公開番号 特開2012-018160 (P2012-018160A)
登録日 平成28年1月29日(2016.1.29)
発行日 平成28年3月2日(2016.3.2)
公開日 平成24年1月26日(2012.1.26)
発明の名称または考案の名称 精神障害の診断方法および診断薬キット
国際特許分類 G01N  33/53        (2006.01)
G01N  33/543       (2006.01)
FI G01N 33/53 D
G01N 33/53 U
G01N 33/543 545A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 12
出願番号 特願2011-126100 (P2011-126100)
出願日 平成23年6月6日(2011.6.6)
優先権出願番号 2010131881
優先日 平成22年6月9日(2010.6.9)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年4月22日(2014.4.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】新田 淳美
個別代理人の代理人 【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
【識別番号】100062144、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 葆
【識別番号】100106518、【弁理士】、【氏名又は名称】松谷 道子
審査官 【審査官】草川 貴史
参考文献・文献 国際公開第2006/093034(WO,A1)
国際公開第2009/077763(WO,A1)
調査した分野 G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
固相、前記固相に固定化したShatiに対する抗体、ビオチン標識抗グロブリン抗体、酵素標識アビジンを備えること、および検体として血液または尿を用いる事を特徴とする精神障害の判定キット。
【請求項2】
精神障害が、薬物依存症および統合失調症のいずれかにより生じたものである請求項1記載の判定キット。
【請求項3】
精神障害が、妊娠後期~産後1カ月の妊産婦の鬱病または鬱傾向により生じたものである請求項1記載の判定キット。
【請求項4】
固相、Shatiに対する抗体、ビオチン標識抗グロブリン抗体、酵素標識アビジンを備えること、および検体として血液または尿を用いる事を特徴とする精神障害の判定キット。
【請求項5】
精神障害が、薬物依存症および統合失調症のいずれかにより生じたものである請求項4記載の判定キット。
【請求項6】
精神障害が、妊娠後期~産後1カ月の妊産婦の鬱病または鬱傾向により生じたものである請求項4記載の判定キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、精神障害関連タンパク質Shatiに対する抗体を利用することを特徴とする精神障害の診断方法および精神障害関連タンパク質Shatiに対する抗体を利用することを特徴とする精神障害の診断薬キットに関する。
【背景技術】
【0002】
精神が障害された疾患の多く、例えば、統合失調症や鬱病などは、思春期などの人生の早い時期に発症し、患者は薬物や行動療法などと共に一生その疾患と共に生きていかなければならず、日常生活や職業選択に制限が生じている。このような疾患は、少しでも早い時期から治療を開始することが出来れば、疾病の悪化を食い止め、さらには回復の可能性を見出すこともできる。
統合失調症の診断として、例えば、血清中の上皮細胞成長因子の量を測定し、対象に対してその低減量で判断する(特許文献1)、統合失調症を含めた精神障害を、細胞内グルタチオンに関与するタンパク質のレベルを測定して判断する(特許文献2)といった報告がなされている。
【0003】
一方、覚醒剤や麻薬による薬物依存症は大きな社会問題となっており、治療法の確立を目指して、依存形成に係わる機能分子の探索が行われた。その結果、覚醒剤精神病モデルマウスの脳側坐核において高い発現量を示すShati
(NCBIアクセスナンバーABA54615)が見出された(非特許文献1)。また、Shatiの核酸の検出による精神障害の診断が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】WO2002/037105
【特許文献2】WO2005/068649(特表2007-524408)
【特許文献3】WO2006/093034
【0005】

【非特許文献1】J. Neurosci., 27, 7604-7615,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薬物依存症、統合失調症、鬱病などの精神障害を体外診断することができる方法および該診断方法に使用する診断薬キットを提供し、簡便にかつ早期に精神障害を発見する方法・ツール提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、Shatiに関して、薬物依存形成における役割やドーパミン遊離への影響を中心に行動薬理学的、生化学的および細胞生物学的に検討を行った。その結果、このタンパク質は統合失調症や鬱病などの精神疾患と深い関わりあいを持つこと、覚醒剤投与した精神病モデルマウスにおいて高い血中濃度を示すことを見出した。さらにShatiに由来するフラグメントが尿中で検出されることなどから、Shatiまたはそのフラグメントの血液中あるいは尿中の濃度を測定するキットを考案し、精神障害を生じる精神疾患を早期かつ簡便に診断できる方法を確立し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明は、ヒトまたは動物(以下、被験体と称する)の血液を採取し、必要に応じて血液から分離した血漿中または血清中のShati自体またはShatiに由来するフラグメントの量を種々の方法により定量するか、または被験体の尿中のShatiに由来するフラグメントの量を種々の方法により定量して、薬物依存症、統合失調症、鬱病などから生じる精神障害の有無や状態を診断するために用いる診断薬キットおよび該キットを使用する精神障害の診断方法である。
【0009】
本発明の方法において、好ましくは、Shati特異性の高い、サンドイッチ
ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay:酵素免疫測定法)によってShatiまたはShatiフラグメントを検出する。
被験体の血液中または尿中のShati濃度またはShatiフラグメント濃度が健常人または健常動物の濃度範囲を超えて高いことを利用し、薬物依存症、統合失調症、鬱病などにより精神障害を受けていると判断する。
【0010】
本発明は、固相、前記固相に固定化したShatiに対する抗体および標識化抗グロブリン抗体を備える事を特徴とする精神疾患の診断薬キットである。
本発明において、抗グロブリン抗体は、酵素標識、蛍光標識または放射標識などにより標識される。
ここで酵素標識は、パーオキシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼおよびグルコース-6-リン酸脱水素酵素などの酵素による標識である。
本発明の診断薬キットは 必要に応じて、前記標識化グロブリン抗体の標識を検出するための検出試薬も備える。
【0011】
さらに本発明は、固相、前記固相に固定化したShatiに対する抗体、ビオチン修飾した抗グロブリン抗体およびビオチンと反応する標識化アビジンを備える事を特徴とする精神障害の診断薬キットである。
ここで標識化アビジンの標識は、パーオキシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼおよびグルコース-6-リン酸脱水素酵素などの酵素による標識である。また、必要に応じて、前記標識化アビジンの標識を検出するための検出試薬も備える。
【0012】
さらに本発明は、固相、Shatiに対する抗体、ビオチン修飾した抗グロブリン抗体およびビオチンと反応する標識化アビジンを備える事を特徴とする精神障害の診断薬キットである。
ここで標識化アビジンの標識は、パーオキシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼおよびグルコース-6-リン酸脱水素酵素などの酵素による標識である。また、必要に応じて、前記標識化アビジンの標識を検出するための検出試薬も備える。
【0013】
以下、本明細書 における用語の意味あるいは定義について述べる。
「Shati」とは、米国立生物工学情報センター(NCBI) にABA54615として登録されているタンパク質である。また、「Shatiフラグメント」とは、Shatiを構成するペプチドの一部またはShatiが生体内で分解されて生じるペプチドを意味する。
【0014】
「Shatiに対する抗体」とは、Shatiを抗原として用いて調製された抗体をいう。該抗体は、Shatiに結合する能力を有していればよくポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体(数種~数十種の抗体の混合物)、およびモノクローナル抗体を含む。ポリクローナル抗体またはオリゴクローナル抗体としては、動物免疫して得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体を使用できる。抗IgSF4抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片であってもよい。好ましいものとしては、特異的にShatiに結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体が挙げられる。
【0015】
「標識化抗グロブリン抗体」とは、抗グロブリン抗体をパーオキシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファ
ターゼ、グルコース-6-リン酸脱水素酵素等の酵素で標識し、デルフィニウムなどの蛍光で標識し、または放射性同位元素で標識することにより、抗グロブリン抗体を定量化できるように工夫した抗体をいう。酵素により標識を行った場合には、当該酵素を適切な基質と反応させることにより、酵素反応生成物をマーカーとして、結合した抗グロブリン抗体を検出することができる。また、蛍光標識や放射性同位元素による標識の場合には、蛍光や放射活性をマーカーとして、結合した抗グロブリン抗体を検出することができる。
さらに「標識化抗グロブリン抗体」には、ビオチン、2,4-ジニトロフェノールなどで標識した抗グロブリン抗体も含まれる。ビオチンはアビジンと、2,4-ジニトロフェノールは抗2,4-ジニトロフェノール抗体と特異的に結合する。よって、上記の標識化抗グロブリン抗体を、パーオキシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコース-6-リン酸脱
水素酵素等の酵素で標識化したアビジンや抗2,4-ジニトロフェノール抗体を用いて、定量することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の精神障害の診断薬キットは、抗Shati抗体を用いて、被験体の血液中、血清中または尿中のShatiの濃度またはShatiに由来するフラグメントの濃度を測定する事を特徴としている。本発明の精神障害の診断薬キットは、薬物依存症、統合失調症、鬱病などから生じる精神障害を判断するために有用である。また、本発明の精神障害の診断薬キットは、妊産婦の鬱状態や鬱傾向を知るために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ShatiのELISAにおける検量線である。
【図2】覚醒剤精神病マウスとコントロールマウスの全血中のShati濃度。
【図3】覚醒剤精神病マウスとコントロールマウスの血清中のShati濃度。
【図4】覚醒剤精神病マウスとコントロールマウスのゲル電気泳動図。
【図5】覚醒剤精神病マウスとコントロールマウスの尿中のShati濃度。
【図6】妊産婦の血清中のShati濃度。
【発明を実施するための形態】
【0018】
具体的な血液中、血清中または尿中のShati量またはShati由来のフラグメント量を測定する方法としては、例えば、
(1)ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、セファロースなどの固相に抗Shati抗体を固定する工程;
(2)被験体の血液または尿を固相に加える、または接触させる工程;
(3)固相を洗浄する工程;
(4)標識化抗グロブリン抗体を加える、または接触させる工程;
(5)該標識を用いて、Shati量またはShatiフラグメント量を測定する工程
(6)測定したShati量またはShatiフラグメント量を、予め測定した健常なヒトまたは動物の測定値の範囲と比較する工程
からなる方法などが挙げられる。

【0019】
また、具体的な血液中または尿中のShati量またはShatiフラグメント量を測定する方法としては、例えば、
(1)ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、セファロースなどの固相に抗Shachi抗体を固定する工程;
(2)被験体の血液または尿を固相に加える、または接触させる工程;
(3)固相を洗浄する工程;
(4)ビオチン修飾抗グロブリン抗体を加える、または接触させる工程;
(5)標識化アビジンを加える、または接触させる工程;
(6)該標識を用いて、Shati量またはShatiフラグメント量を測定する工程;
(7)測定したShati量またはShatiフラグメント量を、予め測定した健常なヒトまたは動物の測定値の範囲と比較する工程
からなる方法などが挙げられる。

【0020】
また、具体的な血液中または尿中のShati量またはShatiフラグメント量を測定する方法としては、例えば、
(1)ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、セファロースなどの固相に被験体の血液または尿を固定する工程;
(2)抗Shachi抗体を固相に加える、または接触させる工程;
(3)固相を洗浄する工程;
(4)ビオチン修飾抗グロブリン抗体を加える、または接触させる工程;
(5)標識化アビジンを加える、または接触させる工程;
(6)該標識を用いて、Shati量またはShatiフラグメント量を測定する工程;
(7)測定したShati量またはShatiフラグメント量を、予め測定した健常なヒトまたは動物の測定値の範囲と比較する工程
からなる方法などが挙げられる。

【0021】
上記の固相の形状としては小球、ウエル、試験管などが挙げられる。固相として、ウェルを有するプレートの使用が好ましい。さらに、固相としてウェルを有するプレートの場合、抗Shati抗体を固定する工程において、抗Shati抗体をウェルに吸着した後、プレートを40℃前後(40℃±1℃)で30分間程度(30分±5分)加温することが好ましい。

【0022】
本発明に使用される抗体は、免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して調製することができる。
免疫学的手法によるポリクローナル抗体の調製は、例えば、以下の手順で行うことができる。
抗原(対象タンパク質またはその一部)を調製し、これを用いてウサギ、マウス、ラット、ニワトリ、シチメンチョウなどの動物に免疫を施す。抗原は、生体試料を精製することにより得ることができる。また、組換えタンパク質またはペプチドを抗原として用いることもできる。
例えば、特許文献3(WO2006/093034)に記載された部分ペプチド(CNTAFRGLRQHPRTQLL、CMSVDSRFRGKGIAKALG)を抗原として使用し、Shatiに特異的結合性を有する抗体を得ることができる。

【0023】
抗原としての組換えタンパク質またはペプチドは、例えば、特許文献3に記載された配列番号7~12のアミノ酸配列をコードする遺伝子(遺伝子の一部であってもよい)を、ベクターを用いて大腸菌、枯草菌、酵母、植物または動物細胞などの適当な宿主に導入し、得られた組換え細胞内で発現させることにより調製できる。
免疫惹起作用を増強するために、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いてもよい。キャリアタンパク質としてはKLM(Keyhole Light Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum
Albumin)、OVA(Ovalbumin)などが使用できる。キャリアタンパク質の結合にはカルボジイミド法、グルタルアルデヒド法、ジアゾ縮合法、MBS(マレイミドベンゾイルオキシコハク酸イミド)法などを使用できる。
また、対象タンパク質またはその一部を、GST、βガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク、またはヒスチジン(His)タグなどとの融合タンパク質として発現させた抗原を用いることもできる。このような融合タンパク質は、汎用的な方法により簡便に精製することができる。

【0024】
必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る。得られた抗血清をアフィニティー精製し、ポリクローナル抗体とする。

【0025】
モノクローナル抗体は、次の手順で調製することができる。
まず、上記と同様の手順で免疫操作を実施する。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を摘出する。次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイブリドーマを得る。続いて、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、目的タンパク質に対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。

【0026】
一方、ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。上記培養液の精製または腹水の精製は、プロテインG、プロテインAなどを用いたアフィニティークロマトグラフィーで行えばよい。また、抗原を固相化したアフィニティークロマトグラフィーを用いることもできる。さらに、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、硫安分画、および遠心分離などの方法を用いることもできる。これらの方法を単独ないし任意に組み合わせて用いいてもよい。

【0027】
本発明の診断薬キットを用いて、精神疾患を診断する事ができる。即ち、ヒトまたは動物から採取される血液または動物の尿におけるShati量を種々の方法により定量する事により、健常なヒトまたは動物のShati量の範囲を上回るかどうかを判定することで、精神障害の有無を診断する事が可能である。
下記の実施例において示す様に、薬物依存モデルマウスにおいて、血液中のShatiは、コントロールの正常マウスに比して、高濃度で存在する。
従って、本発明の診断薬キットで、被験体であるヒトまたはマウスなど動物の血液または尿のShati含量を測定することにより、精神障害の有無やその程度を知ることができ、被験体が薬物依存症、統合失調症、鬱病など精神関連疾患に罹患しているか否か、それら疾患の病状の進行状況などを知ることができる。具体的には、例えば、妊産婦の血液または尿を検体として、本発明の診断薬キットを用いることで、妊産婦のうつ傾向を知ることができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を参考例、実施例で説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
参考例1
(1)Shatiタンパク
pDESTにシャチcDNAを組み込みCOS細胞に形質転換させた。常法に従い培養を行い、細胞をリン酸緩衝液中で物理的に剥離した。
【実施例】
【0029】
(2)Shati抗体
ウサギ(ニュージランド、ホワイト)にshatiの配列に基づくペプチド(特許文献3に記載された「CNTAFRGLRQHPRTQLL」)を皮下投与した。1週間の間隔で7回投与を行い、7週目に全採血を行い、血清を分離した。プロテインAを用いて、血清中のIgGを精製した。
【実施例】
【0030】
(3)覚醒剤誘発精神病モデルマウス
6週令の雄性ICRマウス(日本SLC)にメタンフェタミン(10mg/kg)を1日1回投与した。10日間投与した後、尿を採取した。断頭した時の血液を収集し、血清成分を得た。これら生体成分を酵素免疫測定法の検体とした。なお、尿については1%ウシ血清アルブミンおよび0.2M塩化ナトリウムを含む0.1Mトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)を同容量加えて検体とした。
【実施例】
【0031】
(4)標準溶液の調製
Shatiタンパクを1pgから1μg/mL まで0.1Mトリス・塩酸緩衝液(pH8.5) で希釈した。
【実施例】
【0032】
実施例1
96穴のプレートにShati抗体(1mg/mL)を1穴あたり5μLずつ滴状に加えた。プレートはパラフィルムで覆うことにより希釈液の蒸発を防いだ。96穴プレートを40℃のホットプレート上に30分間静置した。その後、4℃で一晩インキュベートした。抗体溶液を吸引除去した後、150μLの洗浄用緩衝液(0.1Mトリス・塩酸、0.1%ウシ血清アルブミン、0.2M塩化ナトリウム、100mM 塩化マグネシウム、0.2%アジ化ナトリウム、 pH7.4)で3回洗浄した。30μLの検体または標準溶液を加え、5時間、室温、振とう下で反応させた。反応溶液を吸引除去後、洗浄用緩衝液で3回洗浄した。30μLのビオチン化抗ウサギIgGウシ抗体(1mg/mL)を4℃で一晩静置し反応させた。ビオチン化抗ウサギIgGウシ抗体を吸引除去後、30μLのβ-D-ガラクシダーゼ標識ストレプトアビジン (洗浄用緩衝液にて0.1μg/mL希釈したもの)を添加し、室温で1時間反応させた。4-メチルウンベリフェロン-β-D-ガラクトビラノシド(洗浄用緩衝液にて10μg/mLに希釈したもの)を基質として加え、室温で5時間、遮光、振とう下で反応させた。100μLの0.1Mグリシン-水酸化ナトリウム緩衝液(pH 10.3)を加えて反応を停止し、生成した4-メチルウンベリフェロンの蛍光強度を励起波長360nm、蛍光波長460nmで測定した。
【実施例】
【0033】
実施例2
検体または標準溶液を30μLずつ96穴プレートに入れ、一晩4℃でインキュベートした。タンパク溶液を吸引除去した後、150μLの洗浄用緩衝液(0.1Mトリス-塩酸、0.1%ウシ血清アルブミン、0.2M塩化ナトリウム、100mM 塩化マグネシウム、0.2%アジ化ナトリウム、pH7.4)で3回洗浄した。150μLの洗浄用緩衝液で希釈した1%スキムミルク溶液で1時間のブロッキングを行った。
1%スキムミルク溶液を吸引除去後、洗浄用緩衝液に溶解した抗Shati抗体(1mg/mL)を30μLずつ加え、一晩4℃で放置した。
30μLのビオチン化抗ウサギIgGウシ抗体(1μg/mL)を5時間反応させる。吸引除去後、150μLの洗浄用緩衝液で3回洗浄し、30μLのβ-D-ガラクシダーゼ標識ストレプトアビジン (洗浄用緩衝液にて0.1μg/mLに希釈したもの)を添加し、室温で1時間反応させた。4-メチルウンベリフェロン-β-D-ガラクトビラノシド(洗浄用緩衝液にて10μg/mLに希釈したもの)を基質として加え、室温で5時間、遮光、振とう下で反応させた。100μLの0.1Mグリシン-水酸化ナトリウム緩衝液(pH 10.3)を加えて反応を停止し、生成した4-メチルウンベリフェロンの蛍光強度を励起波長360nm、蛍光波長460nmで測定した。
【実施例】
【0034】
実施例3
富山大学倫理委員会の承認下に、説明を行った上で文書にて同意を得た患者より血液を採取した。採取したヒト血液から遠心分離により血清成分を取り出し、19倍容量のホモゲナイジングバッファー(1M塩化ナトリウム、2%ウシ血清アルブミン、2mM EDTAを含む0.1Mトリス緩衝液)を添加したものを検体とし、実施例2に記載の方法に準じて、測定を行った。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の診断薬キットで、被験体であるヒトまたはマウスなど動物の血液または尿のShati含量を測定することにより、精神障害の有無やその程度を知ることができ、被験体が薬物依存症、統合失調症、鬱病など精神関連疾患に罹患しているか否か、それら疾患の病状の進行状況などを知ることができる。従って、薬物依存症、統合失調症、鬱病など精神関連疾患の治療のために有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5