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明細書 :シクロブチルプリン誘導体、血管新生促進剤、管腔形成促進剤、神経細胞成長促進剤および医薬品

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5288315号 (P5288315)
登録日 平成25年6月14日(2013.6.14)
発行日 平成25年9月11日(2013.9.11)
発明の名称または考案の名称 シクロブチルプリン誘導体、血管新生促進剤、管腔形成促進剤、神経細胞成長促進剤および医薬品
国際特許分類 C07D 473/36        (2006.01)
C07D 473/40        (2006.01)
A61K  31/52        (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
A61P  17/02        (2006.01)
A61P  25/28        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
FI C07D 473/36 CSP
C07D 473/40
A61K 31/52
A61P 9/10
A61P 17/02
A61P 25/28
A61P 43/00 111
請求項の数または発明の数 18
全頁数 50
出願番号 特願2010-540532 (P2010-540532)
出願日 平成21年11月27日(2009.11.27)
国際出願番号 PCT/JP2009/070062
国際公開番号 WO2010/061931
国際公開日 平成22年6月3日(2010.6.3)
優先権出願番号 2008303239
優先日 平成20年11月27日(2008.11.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年4月28日(2011.4.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
発明者または考案者 【氏名】塚本 郁子
【氏名】小西 良士
【氏名】徳田 雅明
【氏名】窪田 泰夫
【氏名】丸山 徳見
【氏名】小坂 博昭
【氏名】五十嵐 淳介
個別代理人の代理人 【識別番号】100115255、【弁理士】、【氏名又は名称】辻丸 光一郎
【識別番号】100129137、【弁理士】、【氏名又は名称】中山 ゆみ
【識別番号】100146064、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 玲子
【識別番号】100154081、【弁理士】、【氏名又は名称】伊佐治 創
審査官 【審査官】清水 紀子
参考文献・文献 特表2007-531729(JP,A)
特表2006-513253(JP,A)
特表2004-528391(JP,A)
特開平02-006478(JP,A)
特開平08-301765(JP,A)
特開平11-263770(JP,A)
HONZAWA,S et al.,Tetrahedron,2000年,Vol.56,p.2615-2627
JACOBSON,K.A. et al,Structurally related nucleotides as selective agonists and antagonists at P2Y1 receptors,Farmaco,2001年,Vol.56, No.1-2,p.71-75
NANDANAN,E. et al,Synthesis, Biological Activity, and Molecular Modeling of Ribose-Modified Deoxyadenosine Bisphosphate Analogues as P2Y1 Receptor Ligands,Journal of Medicinal Chemistry,2000年,Vol.43, No.5,p.829-842
調査した分野 C07D 473/00-40
A61K 31/52
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異
性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【化20】
JP0005288315B2_000023t.gif

前記一般式(1)中、
は、ハロゲノ基、炭素数1-4のアルキルチオ基または炭素数1-4のアルコキシ基であり、
、アミノ基であり、
は、水素原子、ハロゲノ基またはアルコキシ基であり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、それぞれ、炭素数1-4のヒドロキシアルキル基である。
ただし、前記一般式(1)において、
がフルオロ基であり、
がアミノ基であり、
が水素原子であり、
およびRがともにヒドロキシメチル基である場合を除く。
【請求項2】
前記一般式(1)において、前記Xが、クロロ基である請求項1記載のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項3】
前記一般式(1)において、前記Xが、メチルチオ基である請求項記載のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項4】
前記一般式(1)において、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基である請求項1から3のいずれか一項に記載のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項5】
前記一般式(1)において、前記Xが、クロロ基であり、前記Xが、アミノ基であり、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基である、請求項記載のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項6】
6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンである請求項記載のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項7】
前記一般式(1)において、前記Xが、メチルチオ基であり、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基である請求項1記載のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項8】
6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンである請求項7記載のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物。
【請求項9】
下記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物からなる群から選択される少なくとも1つを含み、血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有する促進剤。
【化21】
JP0005288315B2_000024t.gif
前記一般式(1)中、
は、ハロゲノ基、炭素数1-4のアルキルチオ基または炭素数1-4のアルコキシ基であり、
、アミノ基であり、
は、水素原子、ハロゲノ基アルコキシ基であり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、それぞれ、炭素数1-4のヒドロキシアルキル基でる。
【請求項10】
前記一般式(1)において、前記Xが、クロロ基である、請求項9記載の促進剤。
【請求項11】
前記一般式(1)において、前記Xが、メチルチオ基である、請求項9記載の促進剤。
【請求項12】
前記一般式(1)において、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基である、請求項9から11のいずれか一項に記載の促進剤。
【請求項13】
前記一般式(1)において、前記Xが、クロロ基であり、前記Xが、アミノ基であり、前記Xが、水素原子であり、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基である、請求項9記載の促進剤。
【請求項14】
前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体が、6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンである請求項13記載の促進剤。
【請求項15】
前記一般式(1)において、前記Xが、メチルチオ基であり、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基である請求項9記載の促進剤。
【請求項16】
前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体が、6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンである請求項15記載の促進剤。
【請求項17】
請求項から16のいずれか一項に記載の促進剤からなる群から選択される少なくとも一つを含み、血管新生促進用、管腔形成促進用および神経細胞成長促進用からなる群から選択される少なくとも一つの用途を有する医薬品。
【請求項18】
創傷治癒薬、アルツハイマー治療薬、アルツハイマー予防薬、梗塞性疾患治療薬および梗塞性疾患予防薬からなる群から選択される少なくとも一つである請求項17記載の医薬品。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロブチルプリン誘導体、血管新生促進剤、管腔形成促進剤、神経細胞成長促進剤および医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、4員環に核酸が結合したいくつかの誘導体は、抗ウイルス作用を有することが知られている。前記誘導体としては、例えば、シクロブチルプリン誘導体(例えば、特許文献1~3参照)、オキセタン環に核酸が結合したオキセタノシン誘導体(例えば、特許文献4)等が挙げられる。
【0003】
他方、血管新生、神経細胞成長等を促進する物質として、生体由来の成長因子である、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PD-ECGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)等が知られている。そこで、これらの成長因子の中には、創傷治癒薬、育毛剤等の有効成分として用いられているものもある。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第2694999号公報
【特許文献2】特許第2577640号公報
【特許文献3】特許第2962494号公報
【特許文献4】特開平5-32691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記成長因子は、いずれも分子量が15000~30000の高分子タンパク質であるため、低吸収性と安定性が課題となっている。そこで、本発明の目的は、血管新生促進活性、管腔形成促進活性および神経細胞成長促進活性の少なくとも一つを有し、化学的に安定な低分子物質であり、低分子量のため、吸収性が高く、安価に安定して供給可能な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【化1】
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前記一般式(1)中、
は、ハロゲノ基、アルキル基、アルキルチオ基、チオ基(チオール基)、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキニル基またはシアノ基であり、
は、ハロゲノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオ基(チオール基)またはアルキルチオ基であり、
は、水素原子、ハロゲノ基またはアルコキシ基であり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲノ基、カルボキシル基、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、アルコキシアルキル基、ハロアルキル基またはホスホノオキシアルキル基であり、
がアミノ基である場合は、
およびXがともにハロゲノ基であるか、
およびXがともにアルコキシ基であるか、または、
がヒドロキシ基であり、Xがハロゲノ基であり、かつ、RおよびRがともにアシルオキシアルキル基であり、
前記X、X、X、RおよびRにおいて、前記アルキル基、前記アルキルチオ基、前記チオ基(チオール基)、前記ヒドロキシ基、前記アルコキシ基、前記アルキニル基、前記アミノ基、前記カルボキシル基、前記アシル基、前記カルバモイル基、前記アシルオキシ基、前記ヒドロキシアルキル基、前記アシルオキシアルキル基、前記アルコキシアルキル基および前記ホスホノオキシアルキル基は、それぞれの一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明者らは一連の研究を重ねたところ、血管新生促進活性、管腔形成促進活性および神経細胞成長促進活性の少なくとも一つを有する、前記一般式(1)で表される新規なシクロブチルプリン誘導体を見出し、本発明に到達した。本発明のシクロブチルプリン誘導体は、化学的に安定な低分子物質であり、低分子量のため、吸収性が高く、安価に安定して供給可能である。そして、本発明のシクロブチルプリン誘導体は、血管新生促進活性、管腔形成促進活性および神経細胞成長促進活性の少なくとも一つを利用した、種々の医薬品、医薬部外品等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1および比較例1~8における管腔形成測定の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例1、比較例7および比較例8における細胞増殖測定の結果を示すグラフである。
【図3】図3(A)~(F)は、実施例1、比較例7および比較例8における管腔形成測定の結果を示す写真である。
【図4】図4(A)~(H)は、実施例1、比較例7~10における細胞遊走性測定の結果を示す写真である。
【図5】図5(A)~(H)は、実施例1、比較例7~10における細胞遊走性測定の結果を示す写真である。
【図6】図6は、実施例1、比較例7~10における細胞遊走性測定の結果を示すグラフである。
【図7】図7(A)は、実施例3における、経時的なpERKおよびERK量を示すイムノブロット写真であり、図7(B)は、pERK相対値のグラフである。
【図8】図8は、実施例3における、経時的なpAkt、Akt、pJNKおよびpp38量を示すイムノブロット写真である。
【図9】図9(A)は、本発明の実施例4における、2-Cl-OCT.A添加濃度によるpERK量への影響を示すイムノブロット写真であり、図9(B)は、pERK相対値のグラフである。
【図10】図10(A)は、実施例5における、経時的なpMEKおよびMEK量を示すイムノブロット写真であり、図10(B)は、pMEK相対値のグラフである。
【図11】図11(A)は、実施例6における、PD98059によるERK活性化阻害を示すイムノブロット写真であり、図11(B)は、pERK相対値のグラフである。
【図12】図12は、本発明の実施例7における、PD98059による管腔形成阻害を示す管腔面積相対値のグラフである。
【図13】図13(A)は、実施例8における、SU5416によるERK活性化阻害を示すイムノブロット写真であり、図13(B)は、pERK相対値のグラフである。
【図14】図14は、本発明の実施例9における、SU5416による管腔形成阻害を示す管腔面積相対値のグラフである。
【図15】図15は、実施例10におけるPC12細胞の顕微鏡写真である。図15(A)はPBS、図15(B)はNGF、図15(C)は2-Cl-C.OXT-A 50μmol/L、図15(D)は2-Cl-C.OXT-A 100μmol/Lを添加したPC12細胞の顕微鏡写真である。
【図16】図16は、実施例10におけるAChE活性の測定結果を示すグラフである。
【図17】図17は、実施例11における、ウサギ角膜法による血管新生試験結果を示す写真である。図17(A)は、生理食塩水投与後の結果を示す写真であり、図17(B)は、2-Cl-C.OCT-A投与後の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、前記一般式(1)において、例えば、前記Xが、クロロ基であるのが好ましい。

【0010】
本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、前記一般式(1)において、例えば、前記Xが、アミノ基であるのが好ましい。

【0011】
本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、前記一般式(1)において、例えば、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基であるのが好ましい。

【0012】
本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、前記一般式(1)において、例えば、前記Xが、クロロ基であり、前記Xが、アミノ基であり、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基であってもよい。

【0013】
本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、例えば、6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンもしくは6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物であってもよい。


【0014】
本発明の促進剤は、下記一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物を含み、血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有する促進剤である。
【化2】
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前記一般式(1′)中、
′は、ハロゲノ基、アルキル基、アルキルチオ基、チオ基(チオール基)、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキニル基またはシアノ基であり、
′は、ハロゲノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオ基(チオール基)またはアルキルチオ基であり、
′は、水素原子、ハロゲノ基、アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシフェニル基またはカルバモイル基であり、
′およびR′は、同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲノ基、カルボキシル基、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、アルコキシアルキル基、ハロアルキル基またはホスホノオキシアルキル基であり、
′がアミノ基かつX′が水素原子である場合は、R′およびR′は、ヒドロキシアルキル基以外の原子または置換基であり、
前記X′、X′、X′、R′およびR′において、前記アルキル基、前記アルキルチオ基、前記チオ基(チオール基)、前記ヒドロキシ基、前記アルコキシ基、前記アルキニル基、前記アミノ基、前記ヒドロキシフェニル基、前記カルバモイル基、前記カルボキシル基、前記アシル基、前記アシルオキシ基、前記ヒドロキシアルキル基、前記アシルオキシアルキル基、前記アルコキシアルキル基および前記ホスホノオキシアルキル基は、それぞれの一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。

【0015】
本発明の促進剤は、前記一般式(1′)において、例えば、前記X′が、クロロ基であってもよい。

【0016】
本発明の促進剤は、前記一般式(1′)において、例えば、前記X′が、アミノ基であってもよい。

【0017】
本発明の促進剤は、前記一般式(1′)において、例えば前記R′およびR′が、ヒドロキシメチル基であってもよい。

【0018】
本発明の促進剤は、前記一般式(1’)において、例えば、前記X’が、クロロ基またはメチルチオ基であり、前記X’が、アミノ基であり、前記X’が、水素原子であり、前記R’およびR’が、ヒドロキシメチル基であってもよい。


【0019】
本発明の促進剤は、例えば、6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンもしくは6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物を含んでいてもよい。


【0020】
本発明の医薬品は、本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体および立体異性体、およびそれらの塩、溶媒和物および水和物、ならびに本発明の促進剤からなる群から選択される少なくとも一つを含み、血管新生促進用、管腔形成促進用および神経細胞成長促進用からなる群から選択される少なくとも一つの用途を有する。

【0021】
本発明の医薬品は、例えば、創傷治癒薬、アルツハイマー治療薬、アルツハイマー予防薬、梗塞性疾患治療薬、梗塞性疾患予防薬および育毛剤からなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。

【0022】
つぎに、本発明について、さらに詳しく説明する。

【0023】
本発明において、ハロゲノ基とは、特に限定されないが、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)およびヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられる。なお、前記ハロゲノ基とは、置換基としてのハロゲン原子の名称である。

【0024】
本発明において、アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられ、アルキルアミノ基、アルコキシ基等のアルキル基を構造中に含む基においても同様である。本発明において、前記アルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基等が挙げられる。

【0025】
本発明において、アルキルチオ基としては、特に制限されないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基等が挙げられる。本発明において、前記アルキルチオ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキルチオ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。

【0026】
本発明において、チオ基(チオール基)は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記チオ基(チオール基)における置換基としては、特に制限されないが、例えば、メチル基、tert-ブチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、メトキシメチル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、ピクシル基等が挙げられる。

【0027】
本発明において、ヒドロキシ基は、例えば、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシ基における置換基としては、酸で脱保護することが可能なものを含み、特に制限されないが、例えば、メチル基、tert-ブチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、メトキシメチル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、ピクシル基等が挙げられる。

【0028】
本発明において、アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。本発明において、前記アルコキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシ基における置換基としても、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基等が挙げられる。

【0029】
本発明において、アルキニル基としては、特に制限されないが、例えば、下記一般式(2)で表される置換基(式中のRは、水素原子または直鎖もしくは分枝アルキル基)等が挙げられ、具体的には、例えば、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。本発明において、前記アルキニル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキニル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。

【0030】
【化3】
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【0031】
本発明において、アミノ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アミノ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;アセチル基、エチルカルボニル等の炭素数が1~6のアルキルカルボニル基;炭素数が1~6のアルキルスルホニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数が1~6のアルコキシカルボニル基;フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等のアリールカルボニル基;フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等のアリールスルホニル基;ベンジルカルボニル基等の炭素数が7~10のアラルキルカルボニル基;ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基;オキシカルボニル基;tert-ブチルオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基;アリルオキシカルボニル基;フルオレニルメチルオキシカルボニル基;トリフルオロアセチル基;ホルミル基等が挙げられる。これらの置換基は、1~3個のハロゲノ基、ニトロ基等で置換されていてもよい。その具体例としては、例えば、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、p-クロロベンジルオキシカルボニル基、m-クロロベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。

【0032】
本発明において、カルボキシル基は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記カルボキシル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、メチル基、tert-ブチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、メトキシメチル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、ピクシル基等が挙げられる。

【0033】
本発明において、アシル基としては、特に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、アシル基を構造中に含む基(アシルオキシ基、アルカノイルオキシ基等)においても同様である。また、本発明において、アシル基の炭素数にはカルボニル炭素を含み、例えば、炭素数1のアシル基とはホルミル基を指すものとする。本発明において、前記アシル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アシル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基等が挙げられる。

【0034】
本発明において、カルバモイル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記カルバモイル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;アセチル基、エチルカルボニル等の炭素数が1~6のアルキルカルボニル基;炭素数が1~6のアルキルスルホニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数が1~6のアルコキシカルボニル基;フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等のアリールカルボニル基;フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等のアリールスルホニル基;ベンジルカルボニル基等の炭素数が7~10のアラルキルカルボニル基;ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等のアラルキル基;オキシカルボニル基;tert-ブチルオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基;アリルオキシカルボニル基;フルオレニルメチルオキシカルボニル基;トリフルオロアセチル基;ホルミル基等が挙げられる。これらの置換基は、1~3個のハロゲノ基、ニトロ基等で置換されていてもよい。その具体例としては、例えば、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、p-クロロベンジルオキシカルボニル基、m-クロロベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。

【0035】
本発明において、アシルオキシ基としては、特に限定されないが、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、3-クロロブチリルオキシ基等が挙げられる。本発明において、前記アシルオキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アシルオキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基が挙げられる。

【0036】
本発明において、ヒドロキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。本発明において、前記ヒドロキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基等が挙げられる。

【0037】
本発明において、アシルオキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、前記アシルオキシ基で置換した前記アルキル基等が挙げられる。前記アシルオキシアルキル基としては、例えば、アセトキシエチル基、プロピオニルオキシエチル基、ブタノイルオキシエチル基、3-クロロブチリルオキシエチル基等が挙げられる。本発明において、前記アシルオキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アシルオキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基等が挙げられる。

【0038】
本発明において、アルコキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基等が挙げられる。本発明において、前記アルコキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基等が挙げられる。

【0039】
本発明において、ハロアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、前記ハロゲノ基で置換した前記アルキル基等が挙げられる。前記ハロアルキル基としては、具体的には、例えば、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、フルオロメチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられる。

【0040】
本発明において、ホスホノオキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ホスホノオキシメチル基、ホスホノオキシエチル基、ホスホノオキシプロピル基等が挙げられる。本発明において、前記ホスホノオキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ホスホノオキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基等が挙げられる。

【0041】
本発明において、ヒドロキシフェニル基は、例えば、ヒドロキシ基が、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシフェニル基における置換基としては、酸で脱保護することが可能なものを含み、特に制限されないが、例えば、メチル基、tert-ブチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、メトキシメチル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、ピクシル基等が挙げられる。

【0042】
<シクロブチルプリン誘導体>
本発明において、前記一般式(1)中の前記Xは、ハロゲノ基、アルキル基、アルキルチオ基、チオ基(チオール基)、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキニル基またはシアノ基であり、好ましくは、ハロゲノ基である。
前記Xが前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されないが、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)、ヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられ、好ましくは、クロロ基(塩素原子)である。
そして、前記Xが前記アルキル基である場合、前記アルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキル基等が挙げられる。前記アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基である。前記アルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が、任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキル基における置換基等が挙げられる。
また、前記Xが前記アルキルチオ基である場合、前記アルキルチオ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基としては、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基等が挙げられ、好ましくは、メチルチオ基である。前記アルキルチオ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキルチオ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキルチオ基における置換基等が挙げられる。
前記Xが前記チオ基(チオール基)である場合、前記チオ基(チオール基)は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記チオ基(チオール基)における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のチオ基(チオール基)における置換基等が挙げられる。
前記Xが前記アミノ基である場合、前記アミノ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が別の置換基に置換されていてもよい。アミノ基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアミノ基における置換基等が挙げられる。
前記Xがアミノ基である場合は、XおよびXがともにハロゲノ基であるか、XおよびXがともにアルコキシ基であるか、または、Xがヒドロキシ基であり、Xがハロゲノ基であり、かつ、RおよびRがともにアシルオキシアルキル基である。
前記Xが前記ヒドロキシ基である場合、前記ヒドロキシ基は、例えば、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシ基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシ基における置換基等が挙げられる。
前記Xが前記アルコキシ基である場合、前記アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルコキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシ基における置換基等が挙げられる。 前記Xが前記アルキニル基である場合、前記アルキニル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキニル基等が挙げられる。前記アルキニル基としては、具体的には、例えば、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。前記アルキニル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキニル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキニル基における置換基等が挙げられる。

【0043】
本発明において、前記一般式(1)中の前記Xは、ハロゲノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオ基(チオール基)またはアルキルチオ基であり、好ましくは、アミノ基である。
前記Xが前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されないが、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)、ヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられ、好ましくは、クロロ基(塩素原子)である。
前記Xが前記アミノ基である場合、前記アミノ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が別の置換基に置換されていてもよい。アミノ基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアミノ基における置換基等が挙げられる。
また、前記Xが前記ヒドロキシ基である場合、前記ヒドロキシ基は、例えば、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシ基における置換基等が挙げられる。
前記Xが前記アルコキシ基である場合、前記アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルコキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシ基における置換基等が挙げられる。
前記Xが前記チオ基(チオール基)である場合、前記チオ基(チオール基)は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記チオ基(チオール基)における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のチオ基(チオール基)における置換基等が挙げられる。
前記Xが前記アルキルチオ基である場合、前記アルキルチオ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基としては、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基等が挙げられ、好ましくは、メチルチオ基である。前記アルキルチオ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキルチオ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキルチオ基における置換基等が挙げられる。

【0044】
本発明において、前記一般式(1)中の前記Xは、水素原子、ハロゲノ基またはアルコキシ基である。

【0045】
前記Xが前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されないが、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)、ヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられ、好ましくは、クロロ基(塩素原子)である。

【0046】
前記Xが前記アルコキシ基である場合、前記アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルコキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシ基における置換基等が挙げられる。

【0047】
本発明において、前記一般式(1)中の前記RおよびRは、同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲノ基、カルボキシル基、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、アルコキシアルキル基、ハロアルキル基またはホスホノオキシアルキル基であり、好ましくは、ヒドロキシアルキル基である。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記ヒドロキシアルキル基である場合、前記ヒドロキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。前記ヒドロキシアルキル基としては、具体的には、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ホスホノオキシアルキル基等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシメチル基である。また、前記ヒドロキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されないが、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)、ヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記カルボキシル基である場合、前記カルボキシル基は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記カルボキシル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のカルボキシル基における置換基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記アルキル基である場合、前記アルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキル基等が挙げられる。前記アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられる。また、前記アルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。アルキル基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記アシル基である場合、前記アシル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝アシル基等が挙げられる。前記アシル基としては、具体的には、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。また、前記アシル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。アシル基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアシル基における置換基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記カルバモイル基である場合、前記カルバモイル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記カルバモイル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のカルバモイル基における置換基等が挙げられる。前記水素原子が置換基に置換されたカルバモイル基としては、具体的には、例えば、前述の置換カルバモイル基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記アシルオキシ基である場合、前記アシルオキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝アシルオキシ基等が挙げられる。前記アシルオキシ基としては、具体的には、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、3-クロロブチリルオキシ基等が挙げられる。また、前記アシルオキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アシルオキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアシルオキシ基における置換基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記アシルオキシアルキル基である場合、前記アシルオキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が2~8の直鎖または分枝アシルオキシアルキル基等が挙げられる。前記アシルオキシアルキル基としては、例えば、前記アシルオキシ基で置換した前記アルキル基等が挙げられる。前記アシルオキシアルキル基としては、具体的には、例えば、アセトキシエチル基、プロピオニルオキシエチル基、ブタノイルオキシエチル基、3-クロロブチリルオキシエチル基等が挙げられる。また、前記アシルオキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アシルオキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアシルオキシアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記アルコキシアルキル基である場合、前記アルコキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が2~8の直鎖または分枝アルコキシアルキル基等が挙げられる。前記アルコキシアルキル基としては、具体的には、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基等のアルコキシ基で置換した前記アルキル基等が挙げられる。また、前記アルコキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記ハロアルキル基である場合、前記ハロアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝ハロアルキル基等が挙げられる。前記ハロアルキル基としては、具体的には、例えば、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、フルオロメチル基、トリフルオロエチル基等の前記ハロゲノ基で置換したアルキル基等が挙げられる。
前記RおよびRの少なくとも一方が、前記ホスホノオキシアルキル基である場合、前記ホスホノオキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝ホスホノオキシアルキル基等が挙げられる。前記ホスホノオキシアルキル基としては、具体的には、例えば、ホスホノオキシメチル基、ホスホノオキシエチル基、ホスホノオキシプロピル基等が挙げられる。また、前記ホスホノオキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ホスホノオキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のホスホノオキシアルキル基における置換基等が挙げられる。

【0048】
本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、前記一般式(1)において、例えば、前記Xが、クロロ基であり、前記Xが、アミノ基であり、前記RおよびRが、ヒドロキシメチル基であってもよい。このようなシクロブチルプリン誘導体としては、例えば、6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンもしくは6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン等が挙げられる。


【0049】
本発明において、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の理論上可能なすべての互変異性体もしくは立体異性体は、本発明の範囲内である。以下、本明細書においては、一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体、そのすべての互変異性体および立体異性体を総称して、単に一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体ということもある。

【0050】
本発明において、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の塩としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ブロカイン塩等の脂肪族アミン塩、N,N-ジベンジルエチレンジアミン等のアラルキルアミン塩;ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等の複素環芳香族アミン塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;アルギニン塩、リジン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩;塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩、メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。また、本発明において、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の溶媒和物もしくは水和物も、本発明の範囲内である。

【0051】
前記一般式(1)で表される本発明のシクロブチルプリン誘導体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のとおりである。

【0052】
<製造例1>
がハロゲノ基の場合、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記(a)および(b)工程を含む製造方法等が挙げられる。

【0053】
(a)まず、Basacchiらの方法(G.S.Basacchi,A.Braitman,C.W.Cianci,J.M.Clark,A.K.Field,M.E.Hagen,D.R.Hockstein,M.F.Malley,T.Mitt,W.A.Slusarchyk,J.E.Sundeen,B.J.Terry,A.V.Tuomari,E.R.Weaver,M.G.Young and R.Zahler,J.Med.Chem.,1991,34,1415)等により、下記一般式(3)に示すシクロブタノール誘導体を合成する。

【0054】
(b)つぎに、前記シクロブタノール誘導体に、下記一般式(4)で表されるプリン誘導体(Haloはハロゲノ基)を反応させ、さらに、Xの置換基に応じた置換反応を実施し、下記一般式(5)で表されるXがハロゲノ基である化合物(Haloはハロゲノ基)を得る。前記プリン誘導体の反応に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、トルエン、ジクロルメタン等が挙げられ、好ましくは、THFである。そして、前記プリン誘導体の反応温度としては、特に制限されないが、例えば、30~100℃の範囲が挙げられ、好ましくは、45~55℃の範囲である。また、前記プリン誘導体の反応時間としては、特に制限されないが、例えば、5~50時間の範囲であり、好ましくは、12~18時間の範囲である。Xの置換基に応じた置換反応における前記置換基としては、前述のXの置換基であれば、特に制限されない。また、Xの置換基に応じた置換反応における溶媒、反応温度および反応時間は、前記置換基により適宜設定でき、特に制限されない。例えば、前記Xの置換基がアミノ基の場合には、前記プリン誘導体の反応後に、アンモニアで飽和したメタノールを反応させてもよい。なお、これらの反応前には、例えば、官能基RおよびRに対する保護反応を適宜実施し、反応後には、脱保護反応、脱水反応等の反応を適宜実施してもよい。

【0055】
下記工程反応式1に、前記(b)工程のスキームを示す。

【0056】
(工程反応式1)
【化4】
JP0005288315B2_000005t.gif

【0057】
本製造例により製造されるシクロブチルプリン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、下記化学式(6)に示す6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(C1114ClN)等が挙げられる。

【0058】
【化5】
JP0005288315B2_000006t.gif

【0059】
<製造例2>
本発明のシクロブチルプリン誘導体の製造方法において、Xは、前記製造例1のように、最初から導入してもよいが、例えば、前記製造例1のような方法が困難である場合等には、目的のXとは別の置換基をカップリング反応後にXに変換してもよい。例えば、Xがアルキルチオ基の場合、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の工程を含む製造方法等が挙げられる。下記工程反応式2に、本製造例のスキームを示す。なお、下記工程反応式2において、Haloは、ハロゲノ基であり、Rは、アルキル基である。

【0060】
(工程反応式2)
【化6】
JP0005288315B2_000007t.gif

【0061】
まず、製造例1の製造方法を用いて、Xがハロゲノ基である前記一般式(7)で表される化合物を得る。そして、前記化合物を、溶媒存在下で、チオアルキル化剤と反応させ、前記一般式(8)で表される化合物(Rはアルキル基)を得る。前記チオアルキル化剤としては、特に制限されないが、例えば、チオメトキシドナトリウム、チオエトキシドナトリウム、チオフェノキシドナトリウム等が挙げられ、好ましくは、チオメトキシドナトリウムである。前記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1、4-ジオキサン等が挙げられ、好ましくは、DMFである。そして、前記反応温度としては、特に制限されないが、例えば、10~80℃の範囲が挙げられ、好ましくは、15~25℃の範囲である。また、前記反応時間としては、特に制限されないが、例えば、10~48時間の範囲であり、好ましくは、12~18時間の範囲である。なお、前記反応前には、例えば、官能基RおよびRに対する保護反応を適宜実施し、前記反応後には、脱保護反応、脱水反応等の反応を適宜実施してもよい。

【0062】
本製造例により製造されるシクロブチルプリン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、下記化学式(9)に示す6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(C1217S)等が挙げられる。


【0063】
【化7】
JP0005288315B2_000008t.gif

【0064】
本発明のシクロブチルプリン誘導体の製造方法は、例えば、前記製造例の工程に加えて、さらに、各工程で得られた反応生成物の分離工程、精製工程等の他の工程を含んでいてもよい。前記分離工程および前記精製工程としては、特に制限されず、例えば、カラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー等の従来公知の方法を適宜用いることができる。このように、本発明のシクロブチルプリン誘導体は、工業的に生産可能であり、かつ低分子であるため、安価に安定して供給できる。

【0065】
本発明において、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の塩、溶媒和物もしくは水和物の製造方法としては、特に制限されず、前述の製造方法例等により得られたシクロブチルプリン誘導体等を用いて、従来公知の方法を適宜使用することができる。

【0066】
<促進剤>
本発明の促進剤は、前述のように、前記一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物を含み、血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有する促進剤である。

【0067】
本発明において、前記一般式(1′)中のX′は、ハロゲノ基、アルキル基、アルキルチオ基、チオ基(チオール基)、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキニル基またはシアノ基である。
前記X′が前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されず、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)およびヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられ、好ましくは、クロロ基(塩素原子)である。
前記X′が前記アルキル基である場合、前記アルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキル基等が挙げられる。前記アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基である。また、前記アルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が、任意の置換基に置換されていてもよい。アルキル基における前記置換基としては、とくに制限されないが、例えば、前述のアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アルキルチオ基である場合、前記アルキルチオ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基としては、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基等が挙げられ、好ましくは、メチルチオ基である。前記アルキルチオ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキルチオ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキルチオ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記チオ基(チオール基)である場合、前記チオ基(チオール基)は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記チオ基(チオール基)における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のチオ基(チオール基)における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アミノ基である場合、前記アミノ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が、任意の置換基に置換されていてもよく、特に制限されない。アミノ基における前記置換基としては、特に制限されず、例えば、前述のアミノ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記ヒドロキシ基である場合、前記ヒドロキシ基は、例えば、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アルコキシ基である場合、前記アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルコキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アルキニル基である場合、前記アルキニル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキニル基等が挙げられる。前記アルキニル基としては、具体的には、例えば、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。前記アルキニル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキニル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキニル基における置換基等が挙げられる。

【0068】
前記一般式(1′)中の
′は、ハロゲノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオ基(チオール基)またはアルキルチオ基である。
前記X′が前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されず、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)およびヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられ、好ましくは、クロロ基(塩素原子)である。
前記X′が前記アミノ基である場合、前記アミノ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が、任意の置換基に置換されていてもよく、特に制限されない。アミノ基における前記置換基としては、特に制限されず、例えば、前述のアミノ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記ヒドロキシ基である場合、前記ヒドロキシ基は、例えば、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。ヒドロキシ基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アルコキシ基である場合、前記アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルコキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記チオ基(チオール基)である場合、前記チオ基(チオール基)は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記チオ基(チオール基)における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のチオ基(チオール基)における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アルキルチオ基である場合、前記アルキルチオ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基としては、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基等が挙げられ、好ましくは、メチルチオ基である。前記アルキルチオ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキルチオ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキルチオ基における置換基等が挙げられる。

【0069】
本発明において、前記一般式(1′)中のX′は、水素原子、ハロゲノ基、アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシフェニル基またはカルバモイル基である。
前記X′が前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されず、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)およびヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられる。
前記X′が前記アルキル基である場合、前記アルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキル基等が挙げられる。前記アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基である。また、前記アルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が、任意の置換基に置換されていてもよい。アルキル基における前記置換基としては、とくに制限されないが、例えば、前述のアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アルキルチオ基である場合、前記アルキルチオ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基としては、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基等が挙げられる。前記アルキルチオ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルキルチオ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルキルチオ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アミノ基である場合、前記アミノ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。アミノ基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアミノ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記ヒドロキシ基である場合、前記ヒドロキシ基は、例えば、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記アルコキシ基である場合、前記アルコキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルコキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシ基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記ヒドロキシフェニル基である場合、前記ヒドロキシフェニル基内のヒドロキシ基は、例えば、異性化し、オキソ基(=O)として存在してもよく、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ヒドロキシフェニル基における置換基としては、酸で脱保護することが可能なものを含み、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシフェニル基における置換基等が挙げられる。
前記X′が前記カルバモイル基である場合、前記カルバモイル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記カルバモイル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のカルバモイル基における置換基等が挙げられる。前記水素原子が置換基に置換されたカルバモイル基としては、具体的には、例えば、前述の置換カルバモイル基等が挙げられる。

【0070】
前記一般式(1′)中のR′およびR′は、同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲノ基、カルボキシル基、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、アルコキシアルキル基、ハロアルキル基またはホスホノオキシアルキル基である。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記ハロゲノ基である場合、前記ハロゲノ基としては、特に制限されず、例えば、フルオロ基(フッ素原子)、クロロ基(塩素原子)、ブロモ基(臭素原子)およびヨード基(ヨウ素原子)等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記カルボキシル基である場合、前記カルボキシル基は、例えば、水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記カルボキシル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のカルボキシル基における置換基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記アルキル基である場合、前記アルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖もしくは分枝アルキル基等が挙げられる。前記アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基である。また、前記アルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が、任意の置換基に置換されていてもよい。アルキル基における前記置換基としては、とくに制限されないが、例えば、前述のアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記アシル基である場合、前記アシル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝アシル基等が挙げられる。前記アシル基としては、具体的には、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。また、前記アシル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。アシル基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアシル基における置換基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記カルバモイル基である場合、前記カルバモイル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記カルバモイル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のカルバモイル基における置換基等が挙げられる。前記水素原子が置換基に置換されたカルバモイル基としては、具体的には、例えば、前述の置換カルバモイル基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記アシルオキシ基である場合、前記アシルオキシ基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝アシルオキシ基等が挙げられる。前記アシルオキシ基としては、具体的には、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、3-クロロブチリルオキシ基等が挙げられる。また、前記アシルオキシ基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アシルオキシ基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアシルオキシ基における置換基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記ヒドロキシアルキル基である場合、前記ヒドロキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。前記ヒドロキシアルキル基としては、具体的には、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシメチル基である。また、前記ヒドロキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。ヒドロキシアルキル基における前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のヒドロキシアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記アシルオキシアルキル基である場合、前記アシルオキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が2~8の直鎖または分枝アシルオキシアルキル基等が挙げられる。前記アシルオキシアルキル基としては、例えば、前記アシルオキシ基で置換した前記アルキル基等が挙げられる。前記アシルオキシアルキル基としては、具体的には、例えば、アセトキシエチル基、プロピオニルオキシエチル基、ブタノイルオキシエチル基、3-クロロブチリルオキシエチル基等が挙げられる。また、前記アシルオキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アシルオキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアシルオキシアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記アルコキシアルキル基である場合、前記アルコキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が2~8の直鎖または分枝アルコキシアルキル基等が挙げられる。前記アルコキシアルキル基としては、具体的には、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基等のアルコキシ基で置換した前記アルキル基等が挙げられる。また、前記アルコキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記アルコキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のアルコキシアルキル基における置換基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記ハロアルキル基である場合、前記ハロアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝ハロアルキル基等が挙げられる。前記ハロアルキル基としては、具体的には、例えば、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、フルオロメチル基、トリフルオロエチル基等の前記ハロゲノ基で置換したアルキル基等が挙げられる。
前記R′およびR′の少なくとも一方が、前記ホスホノオキシアルキル基である場合、前記ホスホノオキシアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が1~8の直鎖または分枝ホスホノオキシアルキル基等が挙げられる。前記ホスホノオキシアルキル基としては、具体的には、例えば、ホスホノオキシメチル基、ホスホノオキシエチル基、ホスホノオキシプロピル基等が挙げられる。また、前記ホスホノオキシアルキル基は、例えば、その一つ以上の水素原子が任意の置換基に置換されていてもよい。前記ホスホノオキシアルキル基における置換基としては、特に制限されないが、例えば、前述のホスホノオキシアルキル基における置換基等が挙げられる。

【0071】
なお、X′がアミノ基かつX′が水素原子である場合は、R′およびR′は、ヒドロキシアルキル基以外の原子または置換基である。

【0072】
本発明の促進剤は、前記一般式(1’)において、例えば、前記X’が、クロロ基であり、前記X’が、アミノ基であり、前記R’およびR’が、ヒドロキシメチル基であってもよい。このような促進剤としては、例えば、6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンもしくは6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン、それらの互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物を含み、血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有する促進剤等が挙げられる。


【0073】
本発明において、前記一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体の理論上可能なすべての互変異性体もしくは立体異性体を含み、血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有する促進剤は、本発明の範囲内である。以下、本明細書においては、一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体、そのすべての互変異性体および立体異性体を総称して、単に一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体ということもある。

【0074】
本発明において、前記一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体の塩としては、特に制限されないが、例えば、前述の、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の塩等が挙げられる。また、本発明において、前記一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体の塩、溶媒和物もしくは水和物を含み、血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有する促進剤も、本発明の範囲内である。

【0075】
前記一般式(1′)で表される本発明のシクロブチルプリン誘導体の製造方法は、特に制限されず、例えば、前述の、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体と同様の製造方法等が挙げられる。本発明において、前記一般式(1′)で表されるシクロブチルプリン誘導体の塩、溶媒和物もしくは水和物の製造方法も、特に制限されず、前記一般式(1)で表されるシクロブチルプリン誘導体の製造方法等により得られたシクロブチルプリン誘導体等を用いて、従来公知の方法を適宜使用することができる。

【0076】
本発明の促進剤は、前述のように、血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有する促進剤である。前記促進剤としては、具体的には、例えば、血管新生促進剤、管腔形成促進剤、神経細胞成長促進剤等が挙げられる。前記血管新生促進剤は、血管新生を促進させる機能を有し、例えば、血管内皮細胞の細胞増殖促進機能、血管内皮細胞の細胞遊走促進機能等を有していてもよい。前記管腔形成促進剤としては、特に制限されないが、例えば、血管内皮細胞による管腔形成促進剤、消化管由来細胞による管腔形成促進剤、肝臓由来細胞による管腔形成促進剤、リンパ管形成促進剤等が挙げられ、好ましくは、血管内皮細胞による管腔形成促進剤である。前記神経細胞成長促進剤としては、特に制限されないが、例えば、神経細胞増殖促進剤、神経細胞分化促進剤等が挙げられ、好ましくは、神経細胞増殖促進剤である。なお、本発明の促進剤は、前記血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能からなる群から選択される少なくとも一つの機能を有するが、同時に、前記血管新生促進機能、管腔形成促進機能および神経細胞成長促進機能以外の他の機能を有していてもよい。本発明の促進剤の有する前記他の機能としては、特に制限されない。

【0077】
<医薬品>
本発明の医薬品は、前述のように、本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体および立体異性体、およびその塩、溶媒和物および水和物、ならびに本発明の促進剤からなる群から選択される少なくとも一つを含み、血管新生促進用、管腔形成促進用および神経細胞成長促進用からなる群から選択される少なくとも一つの用途を有する。なお、本発明において、医薬品とは、医薬品、医薬部外品を含む。本発明の医薬品としては、特に制限されないが、例えば、外傷治療薬、火傷治療薬、瘢痕治療薬、褥瘡治療薬等の創傷治癒薬、アルツハイマー治療薬、アルツハイマー予防薬、梗塞性疾患治療薬、梗塞性疾患予防薬、育毛剤等が挙げられる。

【0078】
本発明の医薬品は、経口的または非経口的に投与可能である。経口的に投与する場合、本発明の医薬品の剤形としては、特に限定されないが、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、トローチ剤、液剤等が挙げられる。非経口的に投与する場合、本発明の医薬品の剤形としては、特に限定されないが、例えば、注射剤、点鼻剤、軟膏剤、貼付剤、パップ剤、ローション剤、坐剤等が挙げられる。また、前記医薬品の組成は、特に制限されず、前記促進剤以外に、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、吸収促進剤、乳化剤、安定化剤、防腐剤等の各種添加剤等を含んでいてもよい。また、前記医薬品は、通常用いられる製剤化技術等により製造可能である。

【0079】
本発明の医薬品において、本発明のシクロブチルプリン誘導体の投与量は、剤形、投与方法、対象疾患、投与する患者等により適宜設定でき、特に制限されない。
【実施例】
【0080】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記の実施例により限定および制限されない。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
本例では、前記化学式(6)に示す6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(C1114ClN、以下、「2-Cl-C.OXT-A」という。)が、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性に与える影響を調べた。
【実施例】
【0082】
<2-Cl-C.OXT.Aの合成>
前記2-Cl-C.OXT.Aは、以下の工程1~3により合成した。なお、本例において、H NMRおよび13C NMRスペクトルは、UltrashieldTM 400 Plus FT NMR System(BRUKER社製)を用いて測定した。ケミカルシフトは、δで表し、カップリング定数(J)は、Hzで表した。融点は、微量融点測定装置 MP-500D(ヤナコ機器開発研究所製)により測定した。元素分析は、2400 Series II CHNS/O(Perkin Elmer社製)を用いて測定した。高分解能質量分析は、APEX IV mass spectrometer(BRUKER社製)を用い、エレクトロスプレイイオン化質量分析(ESI-MS)法により測定した。
【実施例】
【0083】
(工程1:シス-トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)-1-シクロブタノールの合成)
本例において、シス-トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)-1-シクロブタノールは、Basacchiらの方法(G.S.Basacchi,A.Braitman,C.W.Cianci,J.M.Clark,A.K.Field,M.E.Hagen,D.R.Hockstein,M.F.Malley,T.Mitt,W.A.Slusarchyk,J.E.Sundeen,B.J.Terry,A.V.Tuomari,E.R.Weaver,M.G.Young and R.Zahler,J.Med.Chem.,1991,34,1415)に基づき、以下のようにして合成した。まず、トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)-1-シクロブタノン 14.00g(41.40mmol)を、乾燥THF350mLに溶解し、窒素気流下で-78℃に冷却した。冷却後、撹拌しながら、1mmol/LのLS-セレクトリドTHF溶液42mLを前記溶液に滴下し、2時間後、さらに酢酸6mLを滴下した。この溶液を、室温に戻るまで静置後、20mLに濃縮した。前記濃縮液に、トルエン250mLおよび水100mLを加え、分液ロート中で震盪した。得られた有機層を水100mLで洗浄後、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。乾燥後、ろ過により固形物を除き、ろ液を20mLに濃縮した。この濃縮液(残渣液)を、シリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィー法により分離し、あめ状のシス-トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)-1-シクロブタノール(10.15g、収率72%)を得た。
【実施例】
【0084】
(工程2:2,6-ジクロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)シクロブチル]プリンの合成)
つぎに、前記シス-トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)-1-シクロブタノール(5.20g、15.28mmol)および2,6-ジクロロプリン(4.33g、22.9mmol)を、THF100mLに溶解し、氷冷下、トリフェニルフォスフィリン(7.87g、30mmol)を添加した。添加後、さらに、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(5.9mL、30mmol)を加え、一晩、50℃に保持した。この溶液を濃縮した後、残渣液を、シリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィー法により分離し、下記化学式(10)に示す2,6-ジクロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)シクロブチル]プリンの白い結晶(4.44g、収率57%)を得た。
【実施例】
【0085】
【化8】
JP0005288315B2_000009t.gif
【実施例】
【0086】
以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0087】
Mp 146.8-147.4℃,MS m/z=510,512,514(M).HR-MS.calcd.for C2520Cl:510.0862.Found;510.0846.Anal.calcd.for C2520Cl・0.3HO.C;58.11,H;4.02,N;10.84.Found.C;57.79,H;3.94,N;10.87.
【実施例】
【0088】
(工程3:6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンの合成)
前記2,6-ジクロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ベンゾイルオキシメチル)シクロブチル]プリン(3.73g、7.29mmol)を、MeOH50mLに懸濁し、アンモニアで飽和させた。この溶液を、200mLの鋼鉄製封菅内で、一晩、100℃に加熱した。加熱終了後、溶液を氷冷し、エバポレーターを用いて減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣に水50mLを加え、CHCl30mLで2度洗浄した。洗浄後、水層を採取し、10mLに濃縮し、前記化学式(6)に示す6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(2-Cl-C.OXT-A)の白い結晶(1.49g、72%)を得た。以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0089】
H NMR(400MHz,DMSO-d):δ 8.25(1 H,s),7.68(2 H,br s),4.63(1 H,dd,J 5.2 and 4.6),4.53-4.60(2 H,m),3.46-3.56(4 H,m),2.72-2.82(1 H,m),2.38-2.46(1 H,m),2.14(1 H,dd,J 19.2 and 9.6),2.03-2.12(1 H,m);13C NMR(100MHz,DMSO-d):δ 156.7,152.6,150.4,140.2,118.0,63.5,61.4,47.6,47.3,33.0,29.4.Mp 172-173.5℃.Anal.calcd.for C1114ClN・0.2HO.C;45.98,H;5.05,N;24.37.Found.C;45.83,H;5.01,N;24.23.
【実施例】
【0090】
<細胞増殖測定>
前記2-Cl-C.OXT-Aを、所定濃度(0.5、1、5、10、50、100mmol/L)になるように生理食塩水に溶解し、試料液を調製した。そして、前記所定濃度の試料液を、それぞれ10v/v%濃度になるように、2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)に加え、細胞増殖用培地を調製した。なお、前記細胞増殖用培地中の2-Cl-C.OXT-Aの最終濃度は、50、100、500μmol/L、1、5および10mmol/Lであった。
【実施例】
【0091】
ゼラチンコートした96ウェルプレートの各ウェルに、HuMedia-EG2培地(クラボウ社製)に懸濁したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、3×10細胞ずつ播種し、24時間培養した。培養開始24時間後に、培地を除去し、各ウェルに前記細胞増殖用培地100μLを加え、さらに48時間培養した。培養終了後、Cell Counting Kit-8(同仁化学研究所社製)を用いて呈色反応を行い、反応開始2時間後に、マイクロプレートリーダーを用いて450nmにおける吸光度を測定した。なお、前記細胞増殖用培地に代えて、2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)を用いて培養し、前述と同様に呈色反応を行い、吸光度を測定したものを、コントロールとした。そして、下記式(I)を用いて、前記各濃度の2-Cl-C.OXT-Aを添加した細胞増殖用培地を用いた培養における相対吸光度を、それぞれ算出した。
【数1】
JP0005288315B2_000010t.gif
【実施例】
【0092】
<管腔形成測定>
管腔形成測定は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)および正常ヒト皮膚線維芽細胞から構成された市販の血管新生キット(クラボウ社製)を用い、以下のようにして行った。まず、2-Cl-C.OXT-Aを、所定濃度(1、10、100、500μmol/L、1、5、10、50mmol/L)になるように生理食塩水に溶解し、試料液を調製した。そして、前記所定濃度の試料液を、それぞれ10v/v%濃度になるように、前記キット付属の培地に添加し、管腔形成用培地を調製した。なお、前記管腔形成用培地中の2-Cl-C.OXT-Aの最終濃度は、0.1、1、10、50、100、500μmol/L、1および5mmol/Lであった。
【実施例】
【0093】
前記管腔形成用培地を用いて、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)および正常ヒト皮膚線維芽細胞を10日間培養した。培養後、管腔染色キット(CD31染色用、クラボウ社製)を用いて、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の免疫染色を行った。そして、NIH image(画像処理解析ソフトウェア)を用いて、前記免疫染色による染色部分の面積(管腔面積)を測定した。なお、前記管腔形成用培地に代えて、前記キット付属の培地を用いて培養し、前述と同様に免疫染色して管腔面積を測定したものを、コントロールとした。そして、下記式(II)を用いて、前記各濃度の2-Cl-C.OXT-Aを添加した管腔形成用培地を用いた培養における管腔面積相対値を、それぞれ算出した。
【数2】
JP0005288315B2_000011t.gif
【実施例】
【0094】
<細胞遊走性測定>
細胞遊走性測定は、CytoSelect 24-well Cell Migration Assay(CBA-100、Cell Biolabs社製)キットを用いて、以下のようにして行った。まず、2-Cl-C.OXT-Aを、所定濃度(0.1、0.5、1mmol/L)になるように生理食塩水に溶解し、試料液を調製した。そして、前記所定濃度の試料液を、それぞれ10v/v%濃度になるように、2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)に加え、細胞遊走用培地を調製した。なお、前記細胞遊走用培地中の2-Cl-C.OXT-Aの最終濃度は、10、50、100μmol/Lであった。
【実施例】
【0095】
2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)に、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、0.5×10細胞/mLの密度で懸濁し、細胞懸濁液を調製した。前記キット付属のポリカーボネート膜プレートの上段(インサート内)に、前記細胞懸濁液300μLを加え、前記プレートの下段(ウェル内)に、前記細胞遊走用培地500μLを加え、37℃で24時間培養した。培養終了後、綿棒を用いて前記インサート内部底面の膜上を拭い、膜上の細胞を除去した。そして、前記膜の裏側(インサート外部底面の膜上)に遊走した細胞を、キット付属の染色液を用いて染色し、インサート下方から写真撮影した。撮影後、キット付属の抽出液で色素を抽出し、マイクロプレートリーダーを用いて560nmにおける吸光度を測定した。なお、前記細胞遊走用培地に代えて、2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)を用いて培養し、前述と同様に染色して吸光度を測定したものを、コントロールとした。そして、前記式(I)を用いて、前記各濃度の2-Cl-C.OXT-Aを添加した細胞遊走用培地を用いた培養における相対吸光度を、それぞれ算出した。
【実施例】
【0096】
(比較例1)
本例では、下記化学式(11)に示す6-アミノ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(以下、「C.OXT-A」という。)による血管内皮細胞の管腔形成への影響を調べた。前記管腔形成の測定は、前記2-Cl-C.OXT-Aに代えて、C.OXT-Aを用い、前記管腔形成用培地中のC.OXT-Aの最終濃度を、1、5、10、50、および100μmol/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
【実施例】
【0097】
【化9】
JP0005288315B2_000012t.gif
【実施例】
【0098】
(比較例2)
本例では、下記化学式(12)に示す2-アミノ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]-3H-プリン-6-オン(以下、「C.OXT-G」という。)による血管内皮細胞の管腔形成への影響を調べた。前記管腔形成の測定は、前記2-Cl-C.OXT-Aに代えて、C.OXT-Gを用い、前記管腔形成用培地中のC.OXT-Gの最終濃度を、1、5、10、50、および100μmol/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
【実施例】
【0099】
【化10】
JP0005288315B2_000013t.gif
【実施例】
【0100】
(比較例3)
本例では、下記化学式(13)に示す2-クロロ-6-アミノ-9-[3、4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]プリン(以下、「2-Cl-ADN」という。)による血管内皮細胞の管腔形成への影響を調べた。前記管腔形成の測定は、前記2-Cl-C.OXT-Aに代えて、2-Cl-ADNを用い、前記管腔形成用培地中の2-Cl-ADNの最終濃度を、500nmol/L、1、5、および10μmol/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
【実施例】
【0101】
【化11】
JP0005288315B2_000014t.gif
【実施例】
【0102】
(比較例4)
本例では、下記化学式(14)に示す2-クロロ-6-アミノ-9-[4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]プリン(以下、「2-Cl-DAD」という。)による血管内皮細胞の管腔形成への影響を調べた。前記管腔形成の測定は、前記2-Cl-C.OXT-Aに代えて、2-Cl-DADを用い、前記管腔形成用培地中の2-Cl-DADの最終濃度を、500nmol/L、1、5および10μmol/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
【実施例】
【0103】
【化12】
JP0005288315B2_000015t.gif
【実施例】
【0104】
(比較例5)
本例では、アデノシンによる血管内皮細胞の管腔形成への影響を調べた。前記管腔形成の測定は、前記2-Cl-C.OXT-Aに代えて、アデノシンを用い、前記管腔形成用培地中のアデノシンの最終濃度を、100μmol/L、1、2.5および5mmol/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
【実施例】
【0105】
(比較例6)
本例では、デオキシアデノシンによる血管内皮細胞の管腔形成への影響を調べた。前記管腔形成の測定は、前記2-Cl-C.OXT-Aに代えて、デオキシアデノシンを用い、前記管腔形成用培地中のデオキシアデノシンの最終濃度を、100、500μmol/L、1および2.5mmol/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして行った。
【実施例】
【0106】
(比較例7)
本例では、前記2-Cl-C.OXT-Aに代えて、ポジティブコントロールとしてVEGFを用い、前記細胞増殖用培地、前記管腔形成用培地および前記遊走性測定用培地中のVEGFの最終濃度を、10ng/mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。
【実施例】
【0107】
(比較例8)
本例では、前記試料液に代えて、生理食塩水を、前記細胞増殖用培地、前記管腔形成用培地および前記遊走性測定用培地へ添加したこと以外は、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。
【実施例】
【0108】
(比較例9)
本例では、前記試料液に代えて、牛胎児血清(FBS)を前記遊走性測定用培地に添加し、FBSの前記培地中の最終濃度を5v/v%としたこと以外は、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞遊走性への影響を調べた。
【実施例】
【0109】
(比較例10)
本例では、前記試料液に代えて、牛胎児血清(FBS)を前記遊走性測定用培地に添加し、FBSの前記培地中の最終濃度を10v/v%としたこと以外は、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞遊走性への影響を調べた。
【実施例】
【0110】
<細胞増殖の測定結果>
図2に、細胞増殖測定における前記相対吸光度を比較したグラフを示す。同図のグラフにおいて、縦軸は、前記相対吸光度であり、各バーは、左から順に、比較例8(生理食塩水)、比較例7(VEGF)、実施例1(2-Cl-C.OXT-A)の結果である。なお、横軸下に記載した各濃度は、実施例1における細胞増殖用培地中の試料の最終濃度を示す。
【実施例】
【0111】
図2のグラフに示すように、実施例1では、2-Cl-C.OXT-Aの最終濃度が50μmol/Lから1mmol/Lの範囲において、相対吸光度がほぼ1より高く、2-Cl-C.OXT-Aにより増殖がやや促進され、5mmol/L以上の高濃度範囲において、濃度依存的に増殖が抑制された。
【実施例】
【0112】
<管腔形成の測定結果>
図3(A)~(F)に、管腔形成測定における免疫染色の写真を示す。図3(A)は、比較例8(生理食塩水)の写真であり、図3(B)は、比較例7(VEGF)の写真であり、図3(C)は、実施例1(2-Cl-C.OXT-A 1μmol/L)の写真であり、図3(D)は、実施例1(2-Cl-C.OXT-A 10μmol/L)の写真であり、図3(E)は、実施例1(2-Cl-C.OXT-A 100μmol/L)の写真であり、図3(F)は、実施例1(2-Cl-C.OXT-A 1mmol/L)の写真である。同図において、各写真の横幅は、1.6mmである。同図の各写真において、黒色の線状物が免疫染色されたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)であり、黒色部分の面積が大きい程、管腔形成が促進されていることを示している。
【実施例】
【0113】
図3(D)~(F)の写真に示すように、前記管腔形成用培地中の2-Cl-C.OXT-Aの最終濃度が10μmol/Lから1mmol/Lの範囲において、染色された面積がコントロールより大きく、2-Cl-C.OXT-Aによる管腔形成の促進活性が確認された。そして、同図(D)および(E)に示すように、前記最終濃度が10および100μmol/Lにおいて、VEGFを添加した比較例7よりも高い管腔形成促進活性を示した。
【実施例】
【0114】
図1に、管腔面積相対値を比較したグラフを示す。同図のグラフにおいて、縦軸は、前記管腔面積相対値であり、各バーは、左から順に、比較例8(生理食塩水)、比較例7(VEGF)、実施例1(2-Cl-C.OXT-A)、比較例1(C.OXT-A)、比較例2(C.OXT-G)、比較例3(2-Cl-ADN)、比較例4(2-Cl-DAD)、比較例5(アデノシン)、比較例6(デオキシアデノシン)の結果である。なお、横軸下に記載した各濃度は、各例における管腔形成培養用培地中の試料の最終濃度を示す。
【実施例】
【0115】
図1のグラフに示すように、2-Cl-C.OXT-Aの前記最終濃度が100nmol/Lから1mmol/Lの範囲において、管腔面積相対値がコントロールより高く、2-Cl-C.OXT-Aによる管腔形成の促進活性が確認された。そして、前記最終濃度が10~500μmol/Lの範囲において、VEGFを添加した比較例7よりも高い管腔形成促進活性を示した。特に、前記最終濃度100μmol/Lにおいて、前記管腔面積相対値が3.8となり、最も高い管腔形成促進活性を示した。
【実施例】
【0116】
<細胞遊走性の測定結果>
図4(A)~(H)および図5(A)~(H)に、細胞遊走測定における染色写真を示す。図4(A)および図5(A)は、コントロールの写真であり、図4(B)および図5(B)は、比較例8(生理食塩水)の写真であり、図4(C)および図5(C)は、比較例9(5v/v%FBS)の写真であり、図4(D)および図5(D)は、比較例10(10v/v%FBS)の写真であり、図4(E)および図5(E)は、比較例7(VEGF)の写真であり、図4(F)および図5(F)は、実施例1(2-Cl-C.OXT-A 10μmol/L)の写真であり、図4(G)および図5(G)は、実施例1(2-Cl-C.OXT-A 50μmol/L)の写真であり、図4(H)および図5(H)は、実施例1(2-Cl-C.OXT-A 100μmol/L)の写真である。両図において、各写真の横幅は、1.6mmである。両図の各写真において、黒色染色部分が、遊走したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)であり、黒色部分の面積が大きい程、細胞遊走が促進されていることを示している。
【実施例】
【0117】
図4(F)~(H)および図5(F)~(H)の写真に示すように、培養液中の2-Cl-C.OXT-Aの最終濃度が10μmol/Lから100μmol/Lの範囲において、染色された面積がコントロールより大きく、2-Cl-C.OXT-Aによる細胞遊走の促進活性が確認された。
【実施例】
【0118】
図6に、細胞遊走性測定における相対吸光度を比較したグラフを示す。同図のグラフにおいて、縦軸は、前記相対吸光度であり、各バーは、左から順に、コントロール(細胞遊走用培地)、比較例8(生理食塩水)、比較例9(5v/v%FBS)、比較例10(10v/v%FBS)、比較例7(VEGF)および実施例1(2-CI-C.OXT-A)の結果である。なお、実施例1の結果を示すバーにおいて、横軸下に記載した各濃度は、細胞遊走用培地中の2-Cl-C.OXT-Aの最終濃度を示す。
【実施例】
【0119】
図6のグラフに示すように、2-Cl-C.OXT-Aの前記最終濃度が10~100μmol/Lの範囲において、相対吸光度がコントロールより高く、2-Cl-C.OXT-Aによる細胞遊走性の促進活性が確認された。そして、前記最終濃度が50および100μmol/Lの場合に、生理食塩水を添加した比較例8に比べて有意に高い細胞遊走促進活性を示した(p<0.02)。特に、前記最終濃度50μmol/Lにおいて、前記相対吸光度が2.1となり、VEGFを添加した比較例7よりも高い細胞遊走促進活性を示した。
【実施例】
【0120】
(実施例2)
本例では、前記化学式(9)に示す6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(C1217S)、以下、「2-SMe-C.OXT-A」という。)を合成した。なお、前記化学式(9)において、SMeは、メチルチオ基である。

【実施例】
【0121】
<2-SMe-C.OXT-Aの合成>
本例では、実施例1と同様にして、前記工程1~3を行い、6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(2-Cl-C.OXT-A)を合成した。そして、前記2-Cl-C.OXT-Aを用いて、さらに下記工程4~6を実施し、前記2-SMe-C.OXT.Aを合成した。なお、本例では、実施例1と同様にして、各化合物を測定した。
【実施例】
【0122】
(工程4:6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(トリフェニルメトキシメチル)シクロブチル]プリンの合成)
前記6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(170.4mg、0.60mmol)溶液、トリチルクロライド(501.8mg、1.80mmol)、トリエチルアミン(0.4mL)および4-ジメチルアミノピリジン(11.6mg、0.06mmol)をDMF2.0mLに溶解させ、室温で一晩撹拌した。撹拌開始12時間後、得られた黄濁液を、氷水に加え、酢酸エチルで抽出した。この有機抽出物を、飽和塩化アンモニウム溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。溶媒留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記化学式(15)に示す6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(トリフェニルメトキシメチル)シクロブチル]プリンの白い結晶(273.9mg、収率59%)を得た。なお、下記化学式(15)において、Trは、トリチル基である。
【実施例】
【0123】
【化13】
JP0005288315B2_000016t.gif
【実施例】
【0124】
以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0125】
H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.91(1 H,s),7.15-7.41(30 H,m),5.70(2 H,br s),4.73(1 H,dd,J 17.2 and 9.2),3.70(1 H,dd,J 10.0 and 4.8),3.18-3.30(4 H,m),2.87-2.90(1 H,m),2.53-2.67(1 H,m),2.20-2.33(2 H,m).
【実施例】
【0126】
(工程5:6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(トリフェニルメトキシメチル)シクロブチル]プリンの合成)
前記6-アミノ-2-クロロ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(トリフェニルメトキシメチル)シクロブチル]プリン(92.2mg、0.12mmol)およびチオメトキシドナトリウム(84.1mg、1.20mmol)をDMF3.1mLに溶解し、110℃で3.5時間加熱した。加熱終了後、減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルで抽出した。得られた有機抽出物を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:ヘキサン=1:1)により精製し、下記化学式(16)に示す6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(トリフェニルメトキシメチル)シクロブチル]プリンの黄色味を帯びた結晶(66.3mg、収率71%)を得た。なお、下記化学式(16)において、SMeは、メチルチオ基であり、Trは、トリチル基である。

【実施例】
【0127】
【化14】
JP0005288315B2_000017t.gif
【実施例】
【0128】
以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0129】
H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.68(1 H,s),7.14-7.41(30 H,m),5.43(2 H,br s),4.74(1 H,dd,J 17.6 and 8.8),3.18-3.33(4 H,m),2.90-3.03(1 H,m),2.53-2.65(1 H,m),2.33-2.48(2 H,m),2.29(3 H,s).
【実施例】
【0130】
(工程6:2-SMe-C.OXT-Aの合成)
前記6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(トリフェニルメトキシメチル)シクロブチル]プリン(65.0mg、0.08mmol)を、ギ酸1.7mLおよびジエチルエーテル1.7mLの混合液に溶解し、室温で15分間撹拌した。撹拌終了後、この混合液を酢酸エチルに溶解し、抽出した。得られた有機抽出物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。有機溶媒留去後、残渣を薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:エタノール=5:1)により精製し、前記化学式(9)に示す2-SMe-C.OXT-A(6-アミノ-2-メチルチオ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン)の黄色味を帯びた結晶(9.4mg、収率38%)を得た。以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0131】
H NMR (400MHz,MeOH-d):δ 8.04(1 H,s),4.64(1 H,dd,J 17.6 and 8.8),3.62-3.87(4 H,m),2.85-3.00(1 H,m),2.54(1 H,s),2.42-2.61(2 H,m),2.18-2.24(1 H,m);13C NMR(100MHz,MeOH-d):δ 167.5,165.5,155.2,138.9,118.2,64.1,62.2,48.6,33.5,29.3,28.2,13.1.Mp 209.4-211.0℃.HRMS(ESI)Calcd for C1217NaOS[M+Na]:318.0995.Found 318.1052.
【実施例】
【0132】
本例の2-SMe-C.OXT-Aについて、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。その結果、2-SMe-C.OXT-Aは、血管内皮細胞の細胞増殖促進活性、管腔形成促進活性および細胞遊走性促進活性を示した。
【実施例】
【0133】
(実施例3)
本例では、実施例1で用いた2-Cl-C.OXT-Aが、ERK、Akt、JNKおよびp38の酵素の活性化(リン酸化)に与える影響を調べた。なお、これらのタンパク質は、前記ERKは、内皮細胞における最も代表的な血管新生促進系タンパク質リン酸化酵素の一つである。前記Aktは、ERK経路と並ぶ、内皮細胞における最も代表的な血管新生促進系タンパク質リン酸化酵素の一つである。また、JNKおよびp38は、ERK経路以外の、代表的なMAPキナーゼタンパク質リン酸化酵素である。
【実施例】
【0134】
まず、2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)に、2-Cl-C.OXT-Aを100μmol/Lとなるように添加し、培地を調製した。前記培地を用いて、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を所定時間(0、10、20、30、45および60分間)培養した。
【実施例】
【0135】
培養後、細胞を回収し、Cell lysis buffer(SDS-lysis buffer)を加えて溶解し、95℃で5分間熱変性させた。熱変性させた細胞溶解液の5v/v%に相当する分量の可溶化タンパク質を、10% SDS-ポリアクリルアミドゲルにより電気泳動し、ニトロセルロースメンブレン(Amersham Biosciences社製)にトランスファーした。下記組成のTBS-T 20mlに、スキムミルク(ワコー社製)を5%となるように添加し、ブロッキング液を調製した。前記ブロッキング液に、得られたニトルセルロースメンブレンを浸漬し、室温で1時間振とうした。
【実施例】
【0136】
(TBS-Tの組成)
10mmol/L Tris
0.15mol/L NaCl
0.1% Tween(登録商標)-20
【実施例】
【0137】
下記に示す1次抗体を、5% ウシ血清アルブミン(Sigma社製)含有TBS-Tに添加して1000倍希釈し、1次抗体液を調製した。ブロッキング後のニトロセルロースメンブレンを、前記1次抗体液に浸漬し、室温で1時間振とうした。得られたニトロセルロースメンブレンを、前記TBS-Tに浸漬し、10分間振とうして洗浄した。この洗浄操作を、合わせて3回行った。
【実施例】
【0138】
(1次抗体)
抗phospho ERKポリクローナル抗体(カタログ番号9101、Cell Signaling Technology社製)
抗phospho Aktポリクローナル抗体(カタログ番号9271、CellSignaling Technology社製)
抗phospho p38ポリクローナル抗体(カタログ番号9211、CellSignaling Technology社製)
抗phospho JNKポリクローナル抗体(カタログ番号9251、CellSignaling Technology社製)
抗総ERKモノクローナル抗体(カタログ番号610408、BD Transduction Laboratory社製)
抗総Aktポリクローナル抗体(カタログ番号9272、Cell Signaling Technology社製)
【実施例】
【0139】
下記に示す2次抗体を、TBS-Tに添加して20000倍希釈し、2次抗体液を調製した。1次抗体反応後のニトロセルロースメンブレンを、前記2次抗体液に浸漬し、室温で1時間振とうした。得られたニトロセルロースメンブレンを、前記TBS-Tに浸漬し、10分間振とうして洗浄した。この洗浄操作を、合わせて3回行った。
【実施例】
【0140】
(2次抗体)
ERK:
ヒツジHRP標識抗マウスIgG抗体(Pierce社製)
pERK、Akt、pAkt、pJNK、およびpp38:
ヒツジHRP標識抗ラビットIgG抗体(Pierce社製)
【実施例】
【0141】
SuperSignal(登録商標) West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce社製)により発色し、RX-U X線フィルム(富士フイルム社製)に露光して検出した。検出されたバンドから、NIHイメージソフトウェアを用いて、各リン酸化型酵素と総酵素とをそれぞれ定量した。また、リン酸化型酵素の測定値を下記式(III)に代入し、リン酸化型酵素相対値(倍)を算出した。
リン酸化型酵素相対値(倍)=(B/D)/(A/C)・・・(III)
A=添加前における各リン酸化型酵素の測定値
B=各添加後時間における各リン酸化型酵素の測定値
C=添加前における各総酵素の測定値
D=各添加後時間における各総酵素の測定値
【実施例】
【0142】
図7および図8に、経時的にERK、Akt、JNKおよびp38のリン酸化型酵素量を測定した結果を示す。図7(A)は、上から順に、リン酸化ERK(pERK)、ERKのイムノブロットの写真であり、左から順に、2-Cl-C.OXT-A添加0、10、20、30、45および60分後の測定結果である。図7(B)は、図7(A)に示すpERKの定量結果を示すグラフである。図7(B)において、横軸は、2-Cl-C.OXT-A添加後の培養時間(分)であり、縦軸は、pERK相対値(倍)である。また、図8は、上から順に、リン酸化Akt(pAkt)、Akt、リン酸化JNK(pJNK)およびリン酸化p38(pp38)のイムノブロットの写真であり、左から順に、2-Cl-C.OXT-A添加0、10、20、30、45および60分後の測定結果である。
【実施例】
【0143】
図7に示すように、pERKは、培養時間と共に増加し、2-Cl-C.OXT-A添加20分後には、約11倍に増加した。これに対して、図8に示すように、pAkt、pJNKおよびpp38は、2-Cl-C.OXT-A添加により変化しなかった。このように、2-Cl-C.OXT-Aにより、血管新生のシグナル伝達物質であるERKの活性化(リン酸化)が促進された。
【実施例】
【0144】
(実施例4)
本例では、実施例1の2-Cl-C.OXT-Aおよび比較例2のC.OXT-Gが、ERK活性化(リン酸化)に与える影響を調べた。本例では、2-Cl-C.OXT-Aを所定濃度(0、10および100μmol/L)で添加した培地と、100μmol/L C.OXT-Gを添加した培地とを用い、添加後の培養時間を 20分とし、1次抗体として、抗phospho ERKポリクローナル抗体(カタログ番号9101、Cell Signaling Technology社製)および抗総ERKモノクローナル抗体(カタログ番号610408、BD Transduction Laboratory社製)のみを用い、ERKの2次抗体として、ヒツジHRP標識抗マウスIgG抗体(Pierce社製)を用い、pERKの2次抗体として、ヒツジHRP標識抗ラビットIgG抗体(Pierce社製)を用いた以外は、実施例3と同様にして、各酵素量を測定し、リン酸化型酵素相対値(倍)を算出した。
【実施例】
【0145】
図9に、各添加濃度におけるリン酸化ERKの測定結果を示す。図9(A)は、上段がリン酸化ERK(pERK)、下段がERKのイムノブロットの写真であり、左から順に、2-Cl-C.OXT-A 0、10および100μmmol/L、ならびにC.OCT-Gの結果である。図9(B)は、図9(A)に示すpERKの定量結果を示すグラフである。図9(B)において、縦軸は、pERK相対値(倍)であり、左から順に、2-Cl-C.OXT-A 0、10および100μmmol/L、ならびにC.OCT-Gの結果である。
【実施例】
【0146】
図9に示すように、pERKは、2-Cl-C.OXT-Aの添加濃度に依存して増加し、100μmol/L濃度添加により、約10倍に増加した。これに対して、前記C.OCT-G添加により、pERK量は増加しなかった。このように、10μmmol/Lまたは100μmmol/L濃度の2-Cl-C.OXT-A添加により、血管新生のシグナル伝達物質であるERKが活性化された。
【実施例】
【0147】
(実施例5)
本例では、実施例1で用いた2-Cl-C.OXT-Aが、MEKのリン酸化に与える影響を調べた。なお、前記MEKは、実施例3において測定したERKの上流側に位置する、血管新生のシグナル伝達経路のタンパク質リン酸化酵素であり、血管新生促進に作用する。本例では、2-Cl-C.OXT-A添加後の培養時間を、所定時間(0、5、10、15および20分)とし、1次抗体として、抗phospho MEKポリクローナル抗体(カタログ番号9121、CellSignaling Technology社製)および抗総MEKポリクローナル抗体(カタログ番号9122、Cell Signaling Technology社製)を用い、2次抗体として、ヒツジHRP標識抗ラビットIgG抗体(Pierce社製)を用いた以外は、実施例3と同様にして、各酵素量を測定し、リン酸化型酵素相対値(倍)を算出した。
【実施例】
【0148】
図10(A)は、上段がpMEK(リン酸化MEK)、下段がMEKのイムノブロットの写真であり、左から順に、2-Cl-C.OXT-A添加0、5、10、15および20分後の測定結果である。図10(B)は、図10(A)に示すpMEKの定量結果を示すグラフである。図10(B)において、横軸は、2-Cl-C.OXT-A添加後の培養時間(分)であり、縦軸は、pMEK相対値(倍)である。図10に示すように、pMEKは、培養時間と共に増加し、2-Cl-C.OXT-A添加15分後には、約3.5倍に増加した。このように、2-Cl-C.OXT-Aにより、血管新生のシグナル伝達物質であるMEKの活性化(リン酸化)が促進された。
【実施例】
【0149】
(実施例6)
本例では、MEK阻害剤であるPD98059が、実施例1で用いた2-Cl-C.OXT-AによるERK活性化(リン酸化)に与える影響を調べた。本例では、2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)に、下記表1に示す濃度で2-Cl-C.OXT-AおよびPD98059を添加した培地No.1~4を用いた以外は、実施例4と同様にして、各酵素量を測定し、リン酸化型酵素相対値(倍)を算出した。
【実施例】
【0150】
(表1)
培地 2-Cl-C.OXT-A PD98059
No. (μmol/L) (nmol/L)
1 0 0
2 100 0
3 0 100
4 100 100
【実施例】
【0151】
図11に、PD98059による、ERK活性化(リン酸化)の阻害効果の測定結果を示す。図11(A)は、上段がpERK(リン酸化ERK)、下段がERK全体のイムノブロットの写真であり、左から順に、培地No.1、No.2、No,3およびNo.4の測定結果である。図11(B)は、図11(A)に示すpERKの定量結果を示すグラフである。図11(B)において、縦軸は、pERK(pERK1およびpERK2)相対値(倍)であり、左から順に、培地No.1、No.2、No,3およびNo.4の測定結果である。
【実施例】
【0152】
図11に示すように、2-Cl-C.OXT-Aを添加したNo.2では、pERKが増加したが、PD95059を共存させたNo.4では、pERKの増加は認められなかった。また、2-Cl-C.OXT-A無添加のNo.1、およびPD95059のみ添加したNo.3においても、pERKの増加は認められなかった。このように、PD95059により、2-Cl-C.OXT-AによるERK活性化が阻害された。このことから、2-Cl-C.OXT-AによるERK活性化は、MEKを介した特異的なMAPキナーゼ経路を介していることが示唆された。
【実施例】
【0153】
(実施例7)
本例では、MEK阻害剤であるPD98059が、実施例1で用いた2-Cl-C.OXT-Aによる管腔形成に与える影響を調べた。
【実施例】
【0154】
本例では、前記血管新生キット(クラボウ社製)付属の培地に、下記表2に示す濃度で2-Cl-C.OXT-AおよびPD98059を添加した培地No.5~8を用いた4群について測定した以外は、実施例1の管腔形成測定と同様にして、管腔面積相対値を算出した。また、No.7群では、培養1~3日目はNo.7を用い、培養4~10日目はNo.5を用いて培養し、No.8群では、培養1~3日目はNo.8を用い、培養4~10日目はNo.6を用いて培養した。
【実施例】
【0155】
(表2)
培地 2-Cl-C.OXT-A PD98059
No. (μmol/L) (nmol/L)
5(コントロール) 0 0
6 10 0
7 0 10
8 10 10
【実施例】
【0156】
図12に、管腔面積相対値を比較したグラフを示す。図12において、縦軸は、管腔面積相対値であり、左から順に、培地No.5、No.6、No.7およびNo.8群の測定結果である。2-Cl-C.OXT-Aのみを添加したNo.6群では、管腔面積相対値が、No.5群(コントロール)の約3倍になったが、前記PD98059の併用により、約1倍に抑制された。このように、2-Cl-C.OXT-Aによる管腔形成促進は、前述のERKの活性化と同様に、PD95059により阻害されることが示された。
【実施例】
【0157】
(実施例8)
本例では、VEGFR阻害剤であるSU5416が、実施例1で用いた2-Cl-C.OXT-AによるERK活性化(リン酸化)に与える影響を調べた。本例では、2v/v%非働化ウシ胎児血清(FBS)を添加したHuMedia-EB2培地(クラボウ社製)に、下記表3に示す濃度で2-Cl-C.OXT-AおよびPD98059を添加した培地No.9~14を用いた以外は、実施例4と同様にして、各酵素量を測定し、リン酸化型酵素相対値(倍)を算出した。
【実施例】
【0158】
(表3)
培地 2-Cl-C.OXT-A VEGF SU5416
No. (μmol/L) (ng/mL) (nmol/L)
9 0 0 0
10 0 0 100
11 100 0 0
12 100 0 100
13 0 10 0
14 0 10 100
【実施例】
【0159】
図13に、SU5416による、ERK活性化(リン酸化)の阻害効果の測定結果を示す。図13(A)は、pERK(リン酸化ERK)のイムノブロットの写真であり、左から順に、培地No.9、No.10、No.11、No.12、No.13およびNo.14の測定結果である。図13(B)は、図13(A)に示すpERK(pERK1およびpERK2)の定量結果を示すグラフである。図13(B)において、縦軸は、pERK(pERK1およびpERK2)相対値(倍)であり、左から順に、培地No.9、No.10、No.11、No.12、No.13およびNo.14の測定結果である。
【実施例】
【0160】
図13に示すように、pERKは、2-Cl-C.OXT-Aを添加したNo.11において増加し、SU5416を共存させたNo.12においても増加した。また、2-Cl-C.OXT-A無添加のNo.9、およびSU5416のみ添加したNo.10において、pERKは増加しなかった。一方、pERKは、ポジティブコントロールであるVEGFを添加したNo.13において増加したが、SU5416を共存させたNo.14においては増加が抑制された。このように、2-Cl-C.OXT-AによるERK活性化は、SU5416により阻害されなかった。このことから、2-Cl-C.OXT-AによるERK活性化機構は、ポジティブコントロールのVEGFと異なり、VEGF受容体の活性には依存しないことが示された。
【実施例】
【0161】
(実施例9)
本例では、VEGFR阻害剤であるSU5416が、実施例1で用いた2-Cl-C.OXT-Aによる管腔形成に与える影響を調べた。
【実施例】
【0162】
本例では、前記血管新生キット(クラボウ社製)付属の培地に、下記表4に示す濃度で2-Cl-C.OXT-A、VEGF(ポジティブコントロール)およびSU5416を添加した培地No.15~20を用いた6群について測定した以外は、実施例1の管腔形成測定と同様にして、管腔面積相対値を算出した。また、No.16群では、培養1~3日目はNo.16を用い、培養4~10日目はNo.15を用いて培養し、No.18群では、培養1~3日目はNo.18を用い、培養4~10日目はNo.17を用いて培養し、No20群では、培養1~3日目はNo.20を用い、培養4~10日目はNo.19を用いて培養した。
【実施例】
【0163】
(表4)
培地 2-Cl-C.OXT-A VEGF SU5416
No. (μmol/L) (ng/mL) (μmol/L)
15(コントロール) 0 0 0
16 0 0 2.5
17 10 0 0
18 10 0 2.5
19 0 10 0
20 0 10 2.5
【実施例】
【0164】
図14に、管腔面積相対値を比較したグラフを示す。図14において、縦軸は、管腔面積相対値であり、左から順に、培地No.15、No.16、No.17、No.18、No.19およびNo.20群の測定結果である。図14に示すように、VEGFを添加したNo.19において、管腔面積は増加したが、VEGFとSU5416とを併用したNo.20においては、減少した。これに対して、2-Cl-C.OXT-Aを添加したNo.17において、管腔面積は著しく増加し、2-Cl-C.OXT-AとSU5416とを併用したNo.18においては、前記No.17と比べると増加率は低いが、増加した。このように、2-Cl-C.OXT-Aによる管腔形成促進は、SU5416により阻害されなかった。なお、SU5416のみを添加しているNo.16の管腔形成は、無添加のNo.15(コントロール)に比べて減少した。この理由は、この評価系に用いた線維芽細胞由来のVEGFによる管腔形成促進が、SU5416添加により抑制されたためと考えられる。したがって、No.18における増加抑制は、線維芽細胞由来VEGFによる管腔形成が抑制されていることによると推察される。このように、2-Cl-C.OXT-Aによる管腔形成促進機構は、ERKの活性化促進機構と同様に、VEGF受容体の活性に依存しないことが示された。
【実施例】
【0165】
(実施例10)
本例では、理化学研究所バイオリソースセンターより入手した、神経細胞モデル細胞であるラット副腎髄質由来株化細胞PC12を用いて、実施例1の2-Cl-C.OXT-Aが、PC12細胞の分化に与える影響を調べた。
【実施例】
【0166】
PBSに、下記表5に示す添加物を所定濃度となるように添加し、3つのサンプルを調製した。DMEM(無血清)に、各サンプルまたはPBSを10v/v%となるように添加し、評価用培地を調製した。また、コントロール用培地として、DMEM(無血清)のみの培地を調製した。前記PC12細胞を、5×10細胞/mLとなるように、5v/v%ウシ血清および10v/v%ウマ血清添加DMEMに懸濁し、細胞懸濁液を調製した。前記細胞懸濁液3mLを、6cmシャーレに播種し、培養2日目に、前記評価用培地に交換し、4日間培養した。培養6日目に、顕微鏡下で細胞を写真撮影し、エルマン法(Ellman,G.L.,et al.、Biochem.Pharmacol.、7、88-95、(1961))を用いて、AChE活性を測定した。前記AChE活性は、具体的には、以下のようにして測定した。培養後、PC12細胞を、セルスクレーパを用いて剥がし、回収した。回収した細胞を、軽く遠心分離(1200rpm、15分)し、上清を除去したのち、0.1w/v% Triton(登録商標)X-100水溶液 150μLを添加し、試料溶液を調製した。75μL吸光度測定用のキュベットに、前記試料溶液、10mmol/L DTNB 75μL、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH8.0)3.0mLを加え、最後に、100mmol/L アセチルチオコリン50μLを添加して反応させ、添加直後から5分間、412nmにおける前記反応液の吸光度を測定した。前記吸光度から、1分あたりの吸光度の増加量(C)を求めた。また、PIERCE(登録商標)BCA Protein Assay Kit(Thermo
Fisher Scientific社製)を用いて、前記試料溶液のタンパク質濃度(D)を測定した。前記吸光度増加量(C)およびタンパク質濃度(D)を、下記式(IV)に代入して、AChE活性を算出した。なお、1Uは、1分あたりに1μmolの反応生成物を産生する酵素量(μmol/分)である。そして、AChEの測定値を下記式(V)に代入し、AChE活性相対値(倍)を算出した。
AChE活性(U/mg)=3.14×(C/D) ・・・(IV)
AChE相対値(倍)=F/E ・・・(V)
E=コントロール用培地におけるAChEの測定値
F=各添加物含有培地におけるAChEの測定値
【実施例】
【0167】
(表5)
サンプル 添加物 濃度
サンプル1 NGF 1μg/mL
サンプル2 2-Cl-C.OXT-A 500μmol/L
サンプル3 2-Cl-C.OXT-A 1mmol/L
【実施例】
【0168】
<形態変化>
図15(A)~(D)に、PC12細胞の顕微鏡写真を示す。図15(A)は、PBS、図15(B)は、NGF(神経成長因子、ポジティブコントロール)、図15(C)は、2-Cl-C.OXT-A 50μmol/L、図15(D)は、2-Cl-C.OXT-A 100μmol/Lを添加して培養した細胞の写真である。図15(A)に示すバーの長さは、100μmである。図15において、線状の軸策が伸長した細胞は、PC12細胞が神経細胞様に分化した細胞である。図15(A)に示すように、コントロールでは、線状の軸策が伸長した細胞はほぼ観察されなかった。これに対して、図15(C)および(D)に示すように、図15(B)のNGFと同様に、2-Cl-C.OXT-A添加により、線状の軸策が伸長した細胞が観察された。
【実施例】
【0169】
<AChE活性>
図16に、AChE(アセチルコリンエステラーゼ)活性の測定結果を示す。AChE活性はPC12細胞の分化のマーカーである。図16において、縦軸は、AChE活性相対値であり、各バーは、左から順に、PBS、NGF(ポジティブコントロール)、2-Cl-C.OXT-A 50μmol/Lおよび2-Cl-C.OXT-A 100μmol/Lの結果である。図16に示すように、2-Cl-C.OXT-Aにより、NGFと同様に、AChE酵素活性が増加した。このように、2-Cl-C.OXT-Aによる神経細胞様への分化促進活性が示され、神経細胞成長促進活性が確認された。
【実施例】
【0170】
(実施例11)
本例では、ウサギ角膜法による、実施例1の2-Cl-C.OXT-Aが、血管新生に与える影響を調べた。
【実施例】
【0171】
30μLの生理食塩水に、2-Cl-C.OXT-Aを16mmol/Lとなるように添加し、試料を調製した。セボフルラン麻酔下で、日本白色家兎(雄、2.8kg)の角膜内に前記試料を注射し、7日後に観察した。
【実施例】
【0172】
図17に、ウサギ眼球の観察結果を示す。図17(A)は、生理食塩水、図17(B)は、2-Cl-C.OXT-Aの投与結果を示す写真である。図17(A)に示すように、生理食塩水投与により、血管新生は確認されなかった。これに対して、図17(B)に示すように、2-Cl-C.OXT-Aの投与により、角膜内に、多くの血管新生が確認された。このように、ウサギ角膜法によるin vivo試験において、2-Cl-C.OXT-Aによる血管新生促進活性が確認された。
【実施例】
【0173】
以上の実施例1~11および比較例1~10から明らかなように、本発明のシクロブチルプリン誘導体による細胞増殖促進活性、血管新生促進活性、管腔形成促進活性、細胞遊走促進活性および神経細胞成長促進活性が確認された。
【実施例】
【0174】
(実施例12)
下記化学式(17)に示す9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニンについて、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。その結果、下記化学式(17)の化合物は、血管内皮細胞の細胞増殖促進活性、管腔形成促進活性および細胞遊走性促進活性を示した。
【実施例】
【0175】
【化15】
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【実施例】
【0176】
なお、前記化学式(17)に示す9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニンは、公知の方法により適宜合成できる。具体的には、例えば、前記化学式(12)に示すC.OXT-G(2-アミノ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]-3H-プリン-6-オン、すなわち9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]グアニン)を、アセトニトリル溶媒中、トリエチルアミンおよび4-ジメチルアミノピリジンの存在下、無水酢酸でアセチル化して得ることができる。この合成方法は、例えば、特開平03-047169号公報、米国特許第5153352号公報(US5153352A)、および欧州特許出願公開第0366059号明細書(EP0366059A2)に記載されている。また、前記化学式(12)のC.OXT-G(2-アミノ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]-3H-プリン-6-オン、すなわち9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]グアニン)も、公知の方法により適宜合成可能であり、例えば、前記特開平03-047169号公報、米国特許第5153352号公報(US5153352A)、および欧州特許出願公開第0366059号明細書(EP0366059A2)に合成法が記載されている。
【実施例】
【0177】
(実施例13)
本例では、下記化学式(18)に示す8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニンを合成した。
【実施例】
【0178】
【化16】
JP0005288315B2_000019t.gif
【実施例】
【0179】
まず、前記化学式(17)で表される9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニン175mg(0.5mmol)を酢酸3.5mLに溶かし、さらに酢酸ナトリウム175mgを加えて溶かした。この溶液を、A液とする。一方、N-ブロムコハク酸イミド110mg(0.62mmol)を2mLの酢酸に溶かした。この溶液をB液とする。前記A液に、撹拌しながらB液を滴下した。この混合溶液を室温で30分放置し、さらに4℃で一晩放置した。その後、溶媒を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル20mLと水10mLの混液に溶かした。この混合液から水層を分離し、有機層を濃縮すると、結晶が析出した。また、分離した水層からも結晶が析出した。前記有機層および水相から析出した結晶を、それぞれろ過により採取し、乾燥させて、目的の8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニン(18)を、収量154mg(0.40mmol、収率80%)で得た。以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0180】
FT-MS m/z=450、452(M+Na);H NMR(400MHz,DMSO-d):δ10.76(1H,br s),6.48(2H,br s),4.58(1H,m),4.21(3H,d,J=7.2Hz),4.07(3H,d,J=6.0Hz),3.42(1H,m),2.81(1H,m),2.35(1H,m),2.22(1H,m),2.02(3H,s),1.92(3H,s)
【実施例】
【0181】
この8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニン(化学式(18))について、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。その結果、この化合物は、血管内皮細胞の細胞増殖促進活性、管腔形成促進活性および細胞遊走性促進活性を示した。
【実施例】
【0182】
(実施例14)
下記化学式(19)で表される8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]グアニンを合成した。
【実施例】
【0183】
【化17】
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【実施例】
【0184】
前記化学式(18)で表される8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニン39mg(0.091mmol)を、5mLの2Mアンモニアメタノール溶液に溶かし、25℃で1日放置した。この溶液を濃縮すると、目的物の8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]グアニン(19)が、やや黄色みがかった結晶として得られた。収量は、21mg(0.061mmol,収率67%)であった。以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0185】
FT-MS m/z=366、368(M+Na);H NMR(400MHz,DMSO-d):δ8.52(1H,br s),6.47(2 H,br s),4.60(2H,m),4.50(1H,t,J=5.2Hz),3.59(2H,t,J=5.6Hz),3.43(2H,t,J=4.8Hz),3.25(1H,m),2.57(1H,q,J=10.0Hz),2.26(1H,m),2.02(1H,m).
【実施例】
【0186】
この8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]グアニン(化学式(19))について、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。その結果、この化合物は、血管内皮細胞の細胞増殖促進活性、管腔形成促進活性および細胞遊走性促進活性を示した。
【実施例】
【0187】
(実施例15)
下記化学式(20)で表される2-アミノ-6,8-ジクロル-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]プリンを合成した。
【実施例】
【0188】
【化18】
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【実施例】
【0189】
まず、前記化学式(18)で表される8-ブロモ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]グアニン154mg(0.4mmol)およびテトラエチルアンモニウムクロリド150mgを、5mLのアセトニトリルに溶かした。この溶液に、さらにN,N-ジメチルアニリン0.16mL(1.3mmol)およびオキシ塩化リン0.7mL(7.7mmol)を加え、室温で30分放置後、100℃で30分加熱還流して反応させた。その後、前記反応溶液を氷水中に滴下し、15分間撹拌した後、クロロホルムで目的物を抽出した。前記クロロホルム層を、5%炭酸水素ナトリウム水、および水で洗浄後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で分離し、目的物の2-アミノ-6,8-ジクロル-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]プリン(20)を白色結晶として得た。収量は86mg(0.21mmol、収率53%)であった。以下に、この化合物の物性値を示す。
【実施例】
【0190】
FT-MS m/z=424,426,428(M+Na);H NMR(400MHz,CDCl):δ5.16(2H,br s),4.70(1H,m),4.35(2H,d,J=6.4Hz),4.17(2H,m),3.62(1H,m),2.89(1H,m),2.52(1H,m),2.33(1H,m),2.10(3H,s),2.02(3H,s).
【実施例】
【0191】
この2-アミノ-6,8-ジクロル-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]プリン(化学式(20))について、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。その結果、この化合物は、血管内皮細胞の細胞増殖促進活性、管腔形成促進活性および細胞遊走性促進活性を示した。
【実施例】
【0192】
(実施例16)
下記化学式(21)で表される2-アミノ-6,8-ジメトキシ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリンを合成した。
【実施例】
【0193】
【化19】
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【実施例】
【0194】
まず、前記化学式(20)で表される2-アミノ-6,8-ジクロル-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(アセチルオキシメチル)シクロブチル]プリン75mg(0.186mmol)を、6mLのメタノールに懸濁させた。この懸濁液に、さらに23%ナトリウムメトキシド0.5mLを加えて撹拌し、前記原料化合物(20)をメタノールに溶解させた。この溶液を60℃で一晩加熱し、反応させた。反応後、前記溶液を酢酸で中和し、濃縮後、シリカゲルカラム(酢酸エチル:メタノール=12:1)で分離し、溶媒を留去した。得られた残渣を酢酸エチルから結晶化(再結晶)し、目的物の2-アミノ-6,8-ジメトキシ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(21)を、白色結晶として得た。収量は、34.4mg(0.111mmol、収率60%)であった。以下に、この化合物(21)の物性値を示す。
【実施例】
【0195】
FT-MS m/z=310(M+H);H NMR(400MHz,DMSO-d):δ4.44-4.55(3H,m),3.99(3H,s),3.88(3H,s),3.52(2H,t,J=6.0Hz),3.40(2H,t,J=5.2Hz),3.01(1H,m),2.31(1H,m),2.20(1H,m),1.98(1H,m).
【実施例】
【0196】
この2-アミノ-6,8-ジメトキシ-9-[トランス-トランス-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル]プリン(化学式(21))について、実施例1と同様にして、血管内皮細胞の細胞増殖、管腔形成および細胞遊走性への影響を調べた。その結果、この化合物は、血管内皮細胞の細胞増殖促進活性、管腔形成促進活性および細胞遊走性促進活性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、化学的に安定な低分子物質であり、低分子量のため、吸収性が高い。また、本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、工業的に生産可能なため、安価に安定して供給可能である。そして、本発明のシクロブチルプリン誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、細胞増殖促進活性、血管新生促進活性、管腔形成促進活性、細胞遊走促進活性および神経細胞成長促進活性の少なくとも一つを利用した、種々の医薬品、医薬部外品等に利用可能であり、適用分野は制限されず広い。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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