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明細書 :磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3645116号 (P3645116)
公開番号 特開2000-258517 (P2000-258517A)
登録日 平成17年2月10日(2005.2.10)
発行日 平成17年5月11日(2005.5.11)
公開日 平成12年9月22日(2000.9.22)
発明の名称または考案の名称 磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ
国際特許分類 G01R 33/02      
FI G01R 33/02 D
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願平11-062530 (P1999-062530)
出願日 平成11年3月10日(1999.3.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 1998年9月21日~9月22日 電気学会東海支部他共催の「平成10年度電気関係学会東海支部連合大会」において文書をもって発表
審査請求日 平成15年1月29日(2003.1.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】毛利 佳年雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】堀 圭史
参考文献・文献 特開平06-347489(JP,A)
特開平09-133742(JP,A)
川尻直樹、外2名,アモルファスMI素子のコイル電圧検出方式によるC-MOS磁界センサ,平成10年度電気関係学会東海支部連合大会講演論分集,日本,1998年 9月,243
調査した分野 G01R 33/02-10
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)パルス通電電流で周回方向に励磁される高透磁率磁性体ヘッドと、
(b)該高透磁率磁性体ヘッドの周回方向に巻回されたコイルと、
(c)該コイルの誘起電圧の第1パルスを検出する電子スイッチとを具備することを特徴とする磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ。
【請求項2】
請求項1記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記高透磁率磁性体ヘッドはアモルファス磁性体を用いた磁性体ヘッドであることを特徴とする磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ。
【請求項3】
請求項2記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記アモルファス磁性体ヘッドはアモルファスワイヤであることを特徴とする磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記高透磁率磁性体ヘッドは、周回方向に磁気異方性を持つヘッドであることを特徴とする磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ。
【請求項5】
請求項1記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記パルス通電電流は、前記高透磁率磁性体ヘッドに表皮効果を生じさせ、磁気インピーダンス効果を発生させることを特徴とする磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ。
【請求項6】
請求項1記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記電子スイッチに接続されるアンプからのセンサ出力電圧に比例した電流を印加させ、外部磁界Hexを相殺する負帰還磁界を発生する帰還コイルとを具備することを特徴とする磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小磁界を温度安定性が高く、かつ、高感度・高速応答で検出する磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の高感度磁気センサとしては、フラックスゲートセンサ及び既に本願発明者によって提案されている磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ(MIセンサ)がある(例えば、特開平9-133742号公報、特開平9-329655号公報参照)。
【0003】
フラックスゲートセンサは、アポロ計画で月磁気検出に用いられたことで有名な高感度磁界センサであるが、ヘッドの長さ方向に交流磁界で励振することによるヘッド端部の反磁界の影響を避けるため、ヘッドの長さを、20~30mmに設定して、ヘッドの中央部の磁束変化の外部磁界に対する敏感性を利用して、マイクロガウスの高分解能を実現している。
【0004】
この原理的欠点のため、フラックスゲートセンサでは、ヘッドのマイクロ寸法化は不可能であり、ヘッド端部の磁界検出感度が低いため磁気記録のヘッドや、高密度着磁体の表面局所磁界を検出するロータリーエンコーダ用ヘッドなどには適用できない。専ら、一様磁界に対してのみ高感度である。応答速度は、コイルによる大振幅励磁のため数kHzが一般的であり、数十kHz以上の磁界を検出することは困難である。さらに、この大振幅励磁のため、消費電力は10VA以上であり、携帯性には難がある。
【0005】
一方、MIセンサは、ヘッドの磁性体に高周波電流またはパルス電流を通電して表皮効果を発生させることにより、そのインピーダンスが外部磁界で敏感に変化することを原理としており、反磁界を生じないため、ヘッドを1mm以下のマイクロ寸法に短く設定してもマイクロガウスの磁界検出分解能を発揮し、MHzの高速応答も容易であり、さらに、パルス電流励磁・パルス磁界バイアス方式MIセンサの消費電力は10mW程度であるので、携帯性に富んでいる。
【0006】
表1に、フラックスゲートセンサとMIセンサの基本性能の比較を示す。
【0007】
【表1】
JP0003645116B2_000002t.gif このように、MIセンサはマイクロ寸法ヘッド、高感度、高速応答、低消費電力の4つの長所をすべて兼備する超高性能マイクロ磁気センサであるため、電磁波センサ、電磁波信号解析器、地磁気方位センサ、ハンディ地磁気センサ、車速センサ、加速度センサなどへの実用化が急速に拡大している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のMIセンサは、検波用にショットキーバリアダイオードなどの高周波用ダイオードを使用しているため、例えば、自動車分野などへの応用に際して、センサの環境温度が大幅に変動する環境下では直流出力電圧が変動するという、温度特性の不安定性が解決すべき課題であることが判明した。
【0009】
また、これまでのMIセンサでは、ヘッドにバイアス磁界を印加してリニア磁界センサを構成するため、消費電力が比較的大きくなる場合が多かった。
【0010】
本発明は、上記問題点を除去し、温度特性の安定化を図るとともに、消費電力を減少させることができる磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、パルス通電電流で周回方向に励磁される高透磁率磁性体ヘッドと、この高透磁率磁性体ヘッドの周回方向に巻回されたコイルと、このコイルの誘起電圧の第1パルスを検出する電子スイッチとを具備するようにしたものである。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記高透磁率磁性体ヘッドはアモルファス磁性体を用いた磁性体ヘッドであることを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔2〕記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記アモルファス磁性体ヘッドはアモルファスワイヤであることを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔1〕、〔2〕又は〔3〕記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記高透磁率磁性体ヘッドは、周回方向に磁気異方性を持つヘッドであることを特徴とする。
【0015】
〔5〕上記〔1〕記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記パルス通電電流は、前記高透磁率磁性体ヘッドに表皮効果を生じさせ、磁気インピーダンス効果を発生させるようにしたものである。
【0016】
〔6〕上記〔1〕記載の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサにおいて、前記電子スイッチに接続されるアンプからのセンサ出力電圧に比例した電流を印加させ、外部磁界Hexを相殺する負帰還磁界を発生する帰還コイルとを具備するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の第1実施例について説明する。
【0019】
図1は本発明の第1実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ(MI)センサ回路の構成図である。
【0020】
この図において、1は0磁歪アモルファスワイヤ、2はMI素子、3はQ1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 ,Q5 ,Q6 (例えば、74AC04)のC-MOSインバータとCR微分回路からなる電源回路、4はアナログスイッチ(例えば、74HC4066)、5は0磁歪アモルファスワイヤ1の周回方向に巻回されたコイル、6はアンプ(例えば、AD524)、7は帰還コイル、R1 は510kΩ、R2 は3kΩ、R3 は200kΩ、R4 は1Ω、R5 は5.1kΩ、R6 は2kΩ、R7 は2kΩ、R8 は3kΩ、C1 ,C2 ,C3 ,C4 は100pFである。
【0021】
この図に示すように、この実施例の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ(MIセンサ)回路は、2mm長、30μm径の0磁歪アモルファスワイヤ1の両端に半田付けで電極を形成したMI素子2をヘッドとし、CMOSマルチバイブレータとCR微分回路からなる電源回路3で発生させた立ち上がり時間約5nsのパルス電流をMI素子2に印加し、このMI素子2の周回方向に巻回された40ターンのコイル5の誘起電圧を検出するように構成している。
【0022】
上記0磁歪アモルファスワイヤ1は、厳密にはわずかに負の磁歪(-10-7)を持ち、張力アニールによって円周方向に異方性が誘導されているワイヤである。したがって、ワイヤ長さ方向の外部磁界Hexが0の場合は、ワイヤ1の通電パルス電流による磁束の変化は円周方向のみであって、ワイヤ1の周回方向に巻回されたコイル5との鎖交磁束が0であり、このコイル5の誘起電圧は0である。
【0023】
外部磁界Hexが印加されると、ワイヤ1の磁化ベクトルがワイヤ軸方向に傾斜し、通電パルス電流による円周方向の磁界によって磁化ベクトルが円周方向に回転する。この時の磁束変化のワイヤ軸方向成分がコイル5と鎖交し、コイル5に誘起電圧が発生する。このコイル5の誘起電圧の符号は外部磁界Hexの符号と逆になる。ワイヤ1は表皮効果のため磁壁の移動が抑制され、磁化ベクトルの回転のみが生じる。この磁化動作のため、この回路構成におけるコイル5の誘起電圧は、従来のようにバイアス磁界を印加することなく、外部磁界Hexに比例した電圧となり、リニア磁界センサの特性を表す。
【0024】
しかし、急峻なパルス電流による鎖交磁束の急激な変化のため、誘起電圧波形は純粋なパルス電圧波形でなく、コイル5の浮遊容量によるLC振動波形となる。この振動波形の第1パルス波形のみが外部磁界Hexに比例して高感度に変化するため、高感度磁界センサを構成するためには、第1のパルス波形のみを抽出する必要がある。ここでは、アナログスイッチ4によって、第1のパルス波形のみを抽出する。
【0025】
図2は、縦軸をコイル誘起電圧の第1のパルスの高さをピークホールドした値Eout 、横軸を印加磁界Hexとした実験結果を示す。|Hex|を0から約1.2Oeまで増加させると、Eout はHexに比例して増加し、|Hex|>1.2OeまではEout が減少している。
【0026】
このアナログスイッチ4のトリガパルスは、ワイヤ通電パルスより進み位相にする必要があり、ワイヤ通電パルスは2個のインバータ(Q3 ,Q4 )を通して約10ns遅らせるようにしている。
【0027】
このコイル5の誘起パルス電圧の第1パルスの高さはピークホールド回路(R5 ,C4 )で直流電圧に変換され、アンプ6でセンサ出力電圧となる。センサ出力電圧に比例した電流は、帰還コイル7に印加されて、外部磁界Hexを相殺する負帰還磁界を発生する。
【0028】
この負帰還効果によって、図3に示すように、直線性の良いヒステリシスのない磁界センサ特性が得られる。
【0029】
図4は本発明の第1実施例の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサの出力電圧の温度特性を示す図であり、縦軸にセンサ出力電圧のドリフト率(%)、横軸に温度(℃)を示している。
【0030】
この図において、aは従来のショットキーバリアダイオードを用いた単ヘッドのMIセンサの特性を、bは本発明の第1実施例の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサによるコイル電圧検出形単ヘッドMIセンサの温度特性の測定結果を示している。
【0031】
センサ全体を電気炉に設置し、温度を室温から80℃まで上昇させた場合の、0電圧の変化であり、本発明のMIセンサでは、フルスケール電圧に対する0電圧の発生率が従来のMIセンサの約1/5に減少していることが分かる。
【0032】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0033】
図5は本発明の第2実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサ(MIセンサ)回路の構成図である。
【0034】
この図において、11は0磁歪アモルファスワイヤ、12はMI素子、13はCMOSマルチバイブレータとCR微分回路を含む電源回路、Q1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 ,Q5 ,Q6 ,Q7 (例えば、74AC04)はC-MOSインバータを構成している。また、アナログスイッチ14(例えば、74HC4066)、コイル15,16,アンプ17(例えば、AD524)、帰還コイル18,19を備えている。R1 は5.1kΩ、R2 は3kΩ、R3 は200Ω、R4 ,R5 は51kΩ、R6 ,R7 は2kΩ、R8 は3kΩ、C1 ,C2 ,C3 ,C4 ,C5 は100pFである。
【0035】
この第2実施例では、第1実施例のMIセンサ回路を2ヘッド回路に発展させて、コモンモードノイズを相殺することにより温度安定性の良いセンサを構成するようにしている。
【0036】
図6は本発明の第2実施例の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサの出力電圧の温度特性を示す図であり、縦軸にセンサ出力電圧のドリフト率(%)、横軸に温度(℃)を示している。
【0037】
この図において、aは従来のショットキーバリアダイオードを用いた単ヘッドのMIセンサの特性を、bは本発明の第1実施例の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサによるコイル電圧検出形単ヘッドMIセンサの温度特性の測定結果を、cは本発明の第2実施例の磁気インピーダンス効果マイクロ磁気センサによるコイル電圧検出形2ヘッドMIセンサの温度特性の測定結果をそれぞれ示している。
【0038】
この図から明らかなように、2ヘッドMIセンサにより、コモンモード相殺効果による温度安定性が約4倍に向上した結果が得られた。30℃~75℃の温度変化における0電圧のドリフトは0.4%であり、0.01%FS/℃の高安定特性が実現された。
【0039】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0040】
例えば、パルス通電したMI素子の両端間の電圧の第1パルスをアナログスイッチで抽出してピークホールドするMIセンサも含まれる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0042】
(A)温度特性の安定化を図るとともに、消費電力を減少させることができる。
【0043】
(B)負帰還効果によって、直線性の良いヒステリシスのない磁界センサ特性を得ることができる。
【0044】
(C)コモンモード相殺効果による温度安定性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気(MI)センサ回路の構成図である。
【図2】 本発明の第1実施例を示すコイルパルス電圧対磁界の特性図である。
【図3】 本発明第1実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気(MI)センサによる磁界(±1Oe,100Hz)検出の特性図である。
【図4】 本発明の第1実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気(MI)センサの出力電圧の温度特性を示す図である。
【図5】 本発明の第2実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気(MI)センサ回路の構成図である。
【図6】 本発明の第2実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気(MI)センサの出力電圧の温度の特性図である。
【符号の説明】
1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 ,Q5 ,Q6 ,Q7 C-MOSインバータ
1,11 0磁歪アモルファスワイヤ
2,12 MI素子(ヘッド)
3,13 電源回路
4,14 アナログスイッチ
5,15,16 コイル
6,17 アンプ
7,18,19 帰還コイル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5