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明細書 :タッチスイッチ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5737759号 (P5737759)
公開番号 特開2013-069522 (P2013-069522A)
登録日 平成27年5月1日(2015.5.1)
発行日 平成27年6月17日(2015.6.17)
公開日 平成25年4月18日(2013.4.18)
発明の名称または考案の名称 タッチスイッチ装置
国際特許分類 H01H  36/00        (2006.01)
G06F   3/02        (2006.01)
FI H01H 36/00 H
G06F 3/02 F
請求項の数または発明の数 9
全頁数 11
出願番号 特願2011-206957 (P2011-206957)
出願日 平成23年9月22日(2011.9.22)
審査請求日 平成26年7月31日(2014.7.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】芹川 聖一
【氏名】張 力峰
個別代理人の代理人 【識別番号】100108660、【弁理士】、【氏名又は名称】大川 譲
審査官 【審査官】出野 智之
参考文献・文献 特開2005-004969(JP,A)
実開昭62-055831(JP,U)
特開2004-112074(JP,A)
特開平09-139142(JP,A)
調査した分野 H01H 36/00
G06F 3/02
特許請求の範囲 【請求項1】
併置した複数個のタッチスイッチの内のいずれのタッチスイッチに指が触れたのかを識別してスイッチ特定信号を出力するタッチスイッチ装置において、
前記タッチスイッチのそれぞれは、一対の入力端子と、一対の出力端子と、抵抗と、タッチ電極とを備えて、前記入力端子の一方は、前記抵抗を介して前記出力端子の一方に接続する一方、前記入力端子の他方は、前記出力端子の他方に接続し、かつ、前記タッチ電極を前記抵抗のいずれかの側に接続し、
前記タッチスイッチの複数個を、それぞれの入力端子及び出力端子を介して電気的には直列に接続し、かつ、最終段に接続されたタッチスイッチの出力端子を短絡し、
初段に接続されたタッチスイッチの一対の入力端子に同電圧を給電して、この一対の入力端子のそれぞれに流入する2つの電流値の比率を検出していずれのタッチスイッチに指が触れたのかを判別する制御装置を備えたことから成るタッチスイッチ装置。
【請求項2】
前記タッチ電極は、絶縁体の上に電極固定治具を用いて固定し、かつ、この電極固定治具を介して絶縁体の裏側に配置された抵抗側の導線と電気的に接続した請求項1に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項3】
絶縁体の上面に前記タッチ電極に一致する形状の凹部を設け、前記タッチ電極をこの凹部内に嵌合して、電極固定治具を用いて固定し、かつ、電気的に接続した請求項1に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項4】
絶縁体を、その内周側に嵌合凹部を有するリング形状に構成し、この凹部内にタッチ電極を嵌合して、絶縁体の側面で電極固定治具を用いて固定し、かつ電気的に接続した請求項1に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項5】
前記タッチ電極は、その周囲において、それを挟むクリップ形状の電極固定治具を用いて、電気的に接続した請求項1に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項6】
前記タッチ電極を、前記抵抗、前記一対の入力端子、及び前記一対の出力端子とは分離して配置し、1本の導線で前記抵抗側に接続した請求項1に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項7】
前記一対の入力端子及び前記一対の出力端子はそれぞれ、矩形状タッチスイッチの4周辺のいずれか2つの側に配置されたコネクターの端子である請求項1に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項8】
前記矩形状タッチスイッチの4周辺の全ての側にコネクター端子を配置し、かつ、隣接する矩形状タッチスイッチに接続しないコネクター端子を短絡した請求項7に記載のタッチスイッチ装置。
【請求項9】
併置した複数個のタッチスイッチの内のいずれのタッチスイッチに指が触れたのかを識別してスイッチ特定信号を出力するタッチスイッチ装置において、
前記タッチスイッチのそれぞれは、一対の入力端子と、一対の出力端子と、2つの直列接続の抵抗と、タッチ電極とを備えて、前記入力端子の一方は、前記直列接続の抵抗の一端及び前記出力端子の一方に接続する一方、前記入力端子の他方は、前記直列接続の抵抗の他端及び前記出力端子の他方に接続し、かつ、前記タッチ電極を前記直列接続の抵抗の中間点に接続し、
前記タッチスイッチの複数個を、それぞれの入力端子及び出力端子を介して並列に接続し、かつ、前記2つの直列接続の抵抗の比率をタッチスイッチ毎に異ならせ、
並列に接続されたタッチスイッチの一対の入力端子のそれぞれに同電圧を給電して、この一対の入力端子のそれぞれに流入する2つの電流値の比率を検出していずれのタッチスイッチに指が触れたのかを判別する制御装置を備えたことから成るタッチスイッチ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、併置した複数個のタッチスイッチの内のいずれのタッチスイッチに指が触れたのかを識別してスイッチ特定信号を出力するタッチスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、携帯音響機器、携帯ゲーム機器等の各種電子機器の入力装置として、静電容量の変化により、タッチされたか否かを判別するタッチスイッチ(タッチセンサ)が知られている。タッチスイッチは、例えば、絶縁物の裏面にスイッチ電極を貼り付けて構成される。指をタッチスイッチに近づけると、絶縁物を指とスイッチ電極で挟んだ平行板コンデンサが形成され、静電容量が増加する。この増加した静電容量を検知することにより、タッチスイッチに指が近づいたか離れているかを判定することができる。
【0003】
このようなタッチスイッチを複数個組み合わせて、タッチスイッチパネルを構成したとき、個々のタッチスイッチそれぞれに対して、電源供給及び信号取り出しのための配線が必要となる。この配線数は、タッチスイッチの数に比例して増加する。
【0004】
特許文献1は、複数に分割したスイッチ電極を用いることにより、配線数の増加を避けることのできるスイッチパネルを開示する。例えば、3分割したスイッチ電極を用いることにより、27個のスイッチに対して検出信号ラインの数を合計9本にすることができる。しかし、検出信号ラインの数は、さらに減少させることが望ましい。
【0005】
また、従来のタッチスイッチパネルは、サイズがあらかじめ決まっていて、変更できず、スイッチを追加して接続すること、或いは一部のスイッチを取り外すことが出来ない。さらに、ほとんどのタッチスイッチパネルは、フラット(平板)な形状であり、一部、若干曲げる程度のものもあるが、任意の形状に曲げることはできないという問題がある。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2009-32599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のタッチスイッチパネルの配線数が多い(スイッチの数に比例する)という問題点を解決して、複数個のタッチスイッチを配設したパネルから制御装置まで、2本のみの信号線(兼電源線)で複数個のタッチスイッチの特定を可能にすることを目的としている。
【0008】
また、本発明は、複数個のタッチスイッチを配設したパネルに対して、2本のみの信号線(兼電源線)を維持しつつ、スイッチを追加して接続すること、或いは一部のスイッチを容易に取り外し可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のタッチスイッチ装置は、併置した複数個のタッチスイッチの内のいずれのタッチスイッチに指が触れたのかを識別してスイッチ特定信号を出力する。タッチスイッチのそれぞれは、一対の入力端子と、一対の出力端子と、抵抗と、タッチ電極とを備えて、この入力端子の一方は、抵抗を介して出力端子の一方に接続する一方、入力端子の他方は、出力端子の他方に接続し、かつ、タッチ電極を抵抗のいずれかの側に接続する。このタッチスイッチの複数個を、それぞれの入力端子及び出力端子を介して電気的には直列に接続し、かつ、最終段に接続されたタッチスイッチの出力端子を短絡する。初段に接続されたタッチスイッチの一対の入力端子に同電圧を給電して、この一対の入力端子のそれぞれに流入する2つの電流値の比率を検出していずれのタッチスイッチに指が触れたのかを判別する制御装置を備える。
【0010】
タッチ電極は、絶縁体の上に電極固定治具を用いて固定し、かつ、この電極固定治具を介して絶縁体の裏側に配置された抵抗側の導線と電気的に接続することができる。また、絶縁体の上面にタッチ電極に一致する形状の凹部を設け、タッチ電極をこの凹部内に嵌合して、電極固定治具を用いて固定し、かつ、電気的に接続することができる。また、絶縁体を、その内周側に嵌合凹部を有するリング形状に構成し、この凹部内にタッチ電極を嵌合して、絶縁体の側面で電極固定治具を用いて固定し、かつ電気的に接続することができる。また、タッチ電極は、その周囲において、それを挟むクリップ形状の電極固定治具を用いて、電気的に接続することができる。また、タッチ電極を、抵抗、一対の入力端子、及び一対の出力端子とは分離して配置し、1本の導線で抵抗側に接続することができる。
【0011】
一対の入力端子及び一対の出力端子はそれぞれ、矩形状タッチスイッチの4周辺のいずれか2つの側に配置されたコネクターの端子である。また、矩形状タッチスイッチの4周辺の全ての側にコネクター端子を配置し、かつ、隣接する矩形状タッチスイッチに接続しないコネクター端子を短絡する。
【0012】
また、本発明のタッチスイッチ装置を構成するタッチスイッチのそれぞれは、一対の入力端子と、一対の出力端子と、2つの直列接続の抵抗と、タッチ電極とを備えて、入力端子の一方は、直列接続の抵抗の一端及び出力端子の一方に接続する一方、入力端子の他方は、直列接続の抵抗の他端及び出力端子の他方に接続し、かつ、タッチ電極を直列接続の抵抗の中間点に接続する。このタッチスイッチの複数個を、それぞれの入力端子及び出力端子を介して並列に接続し、かつ、2つの直列接続の抵抗の比率をタッチスイッチ毎に異ならせる。並列に接続されたタッチスイッチの一対の入力端子のそれぞれに同電圧を給電して、この一対の入力端子のそれぞれに流入する2つの電流値の比率を検出していずれのタッチスイッチに指が触れたのかを判別する制御装置を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数個のタッチスイッチを配設したパネルから制御装置まで、2本のみの信号線(兼電源線)で複数個のタッチスイッチの特定をすることができ、さらには、2本のみの信号線(兼電源線)を維持しつつ、スイッチを追加して接続すること、或いは一部の取り外しが可能となる。また、本発明によれば、個々のタッチスイッチをそれぞれ独立構造を有するものにすることにより、任意の形状に曲げること、任意の場所、任意の形の表面に設置することが可能となる。例えば、壁、テーブル、置物、椅子、机、体の一部、車のハンドル、ダッシュボード、ベッドの枕、支柱、窓などに設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は、タッチスイッチパネルを構成する複数個のタッチスイッチの内の1個を取り出して例示するタッチスイッチ断面図であり、(B)は、タッチスイッチの回路図であり、(C)は、タッチ電極に触れる指の等価回路図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ、図1の絶縁体及びタッチ電極とは、その配置や形状が異なる別の例のタッチスイッチ断面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ、さらに別のタッチスイッチを例示する図である。
【図4】(A)は、本発明のタッチスイッチ装置の全体構成を例示する図であり、(B)は1個のタッチスイッチを例示する図である。
【図5】(A)は、4周辺の全てにコネクターを設けた1個の矩形状タッチスイッチを例示する斜視図であり、(B)は(A)に示すタッチスイッチの配線部を分離して示す分解斜視図である。
【図6】(A)は、図5に例示のタッチスイッチを複数個連接して構成したタッチスイッチパネルを例示する図であり、(B)は、その配線図であり、(C)は等価回路図である。
【図7】図4に例示の本発明のタッチスイッチ装置とは別の例の全体構成を例示する図である。
【図8】図1を参照して説明したタッチスイッチを、さらに具体的に説明する図である。
【図9】タッチスイッチパネルの取り付け例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、例示に基づき本発明のタッチスイッチ装置を説明する。本発明のタッチスイッチ装置は、複数個のタッチスイッチを併置して接続したタッチスイッチパネルと、該パネルに供給する電源と、電流比を検出していずれのタッチスイッチに指が触れたのかを判別する制御装置とから構成される。図1(A)は、タッチスイッチパネルを構成する複数個のタッチスイッチの内の1個を取り出して例示するタッチスイッチ断面図であり、(B)は、タッチスイッチの回路図であり、(C)は、タッチ電極に触れる指の等価回路図である。(A)に示すように、タッチ電極1(金属、導電フィルムなど)は、絶縁体2(プラスチック、樹脂、セラミック、ビニールフィルム等)の上に固定される。図示の例では、電極固定治具3(金属ボルト、ネジ、鋏など)を用いて固定しているが、例えば、接着等の他の手段で固定することも可能である。図示の例において、この電極固定治具3は、タッチ電極1を固定するだけでなく、絶縁体2の裏側に配置された抵抗側の導線とタッチ電極1を電気的に接続する機能を有している。タッチ電極1は抵抗のいずれの側にも接続可能であるが、後述する図4(A)或いは図6(C)の回路が示すように、すべてのタッチスイッチの抵抗が同じ側に来るように配置する必要はある。

【0016】
抵抗4(チップ抵抗、抵抗膜など)及び一対の導線5(ショートの恐れがある場合被服導線)は、タッチ電極1の反対側の絶縁体2の裏側に固定される。一対の導線5は、その両側において、それぞれ一対の入力端子及び一対の出力端子に接続される。図示の例において、一対の入力端子及び一対の出力端子は、隣接するタッチスイッチに接続できるように、一方はオスコネクター6で、他方は、メスコネクター7によって構成している。

【0017】
このようなタッチスイッチのタッチ電極1に指が触れたときの等価回路を、図1(C)に示している。人体は、多くの水分を含んでいるために導通性がある。それ故に、タッチ電極1に指が触れたとき、タッチ電極1から人体(抵抗R,静電容量C)を介してアースへの導電路が形成されることにより、詳細は後述するように、タッチされたスイッチが特定できることになる。タッチ電極1は、金属(柔軟性と可塑性が必要とする場合にアルミニウム、錫を、剛性や耐食性が必要とする場合ステンレス合金を、誘磁性や磁性が必要とする場合を軟鉄や磁石を使用する)とか、導電フィルム(装飾性、軽量性、透明性などが必要とする場合)などの導電体により構成するが、この導電体の表面に薄い絶縁膜があっても良い。タッチ電極と指の間に挟まれる絶縁膜はコンデンサの誘電質(電極間に挟まれる材質)に相当し、指が触れたとき、電気回路的にコンデンサになる。ただし、絶縁膜が厚ければ、容量値が小さく、低周波数の場合その(インピーダンス)抵抗値がスイッチの抵抗より遥かに大きいとすれば、どのスイッチをタッチしても、回路の電流比は約1になるため、区別ができなくなる。しかし、十分に薄い絶縁膜がタッチ電極の表面を覆った場合、ある周波数において(例えば、100KHz)そのインピーダンスが無視できれば、問題なく作動する。このように、タッチ電極表面に酸化膜や指先の皮脂などがあっても問題は無い。

【0018】
このように、例示のタッチスイッチは、単独モジュール化構造にしたことにより、任意数の接続が可能であり、追加、取り外し(或いは剪断)が可能となる。これによって、サイズ変更可能であり、任意の形状に曲げることも可能となる。

【0019】
図2(A)、(B)はそれぞれ、図1の絶縁体及びタッチ電極とは、その配置や形状が異なる別の例のタッチスイッチ断面図である。図2(A)に示すタッチスイッチは、絶縁体2の上面に、タッチ電極1に一致する形状の凹部8を設け、この凹部8内にタッチ電極1を嵌合した後、図1と同様に電極固定治具3を用いて固定し、かつ、電気的に接続したものである。また、図2(B)に示すタッチスイッチの絶縁体2上面の凹部8は、その周辺部ではタッチ電極1を上から覆うような形状にして、絶縁体2の弾性を利用してタッチ電極1を嵌合した後、図1と同様に電極固定治具3を用いて固定し、かつ、電気的に接続したものである。

【0020】
図3(A)、(B)はそれぞれ、さらに別のタッチスイッチを例示する図である。(A)に示す絶縁体2は、内周側に嵌合凹部8を有するリング形状に構成し、この凹部8内にタッチ電極1を嵌合した後、絶縁体2の側面で、電極固定治具3を用いて固定し、かつ電気的に接続したものである。なお、リング形状は、図示した円形に限らず、タッチ電極1の縁部分を嵌合できる形状であれば、例えば矩形とかの任意形状にすることができる。また、(B)に示すタッチ電極1は、絶縁体を配置すること無く、タッチ電極1周囲において、それを挟むクリップ形状の電極固定治具3を用いて、電気的に接続したものである。

【0021】
図3に例示のタッチスイッチはいずれも、タッチ電極部を、抵抗4とかコネクター6,7とは分離して配置し、1本の導線9のみで接続した例を示している。タッチ電極部を固定せずに任意の場所に設置することが可能となる。抵抗4は、タッチ電極部とは離れた基板とかコネクターの中に実装可能となる。また、この例のタッチ電極1は、種々の形や色に変更可能にして、周囲に違和感なく存在させることができる。

【0022】
図4(A)は、本発明のタッチスイッチ装置の全体構成を例示する図であり、(B)は1個のタッチスイッチを例示する図である。(B)に示すタッチスイッチは、詳細は上述したように、その両側に、コネクター(入力端子及び出力端子)を有している。図示の例において、タッチスイッチA,B,Cを3個直列に従属接続するものとして図示している。タッチスイッチA,B,Cそれぞれの抵抗Riは、例えば1KΩとする。最終段のタッチスイッチCの終端コネクターは、その一対の端子を短絡導線を用いて短絡させる。

【0023】
一つの高周波電源から、閉ループ回避のための二つのバッファーにつなぎ、同電圧同相の二つの高周波電圧を作り、初段に位置するタッチスイッチAの二つの入力端子に与える。また、この二つの入力端子のそれぞれに流入する電流を検出する回路として、例えば、図示のように電流計測抵抗Rk(例えば、1KΩ)をそれぞれ直列に接続する。それぞれの電流計測抵抗Rk両端の電位差は、それぞれ制御装置に入力される。制御装置は、入力された2つの電位差信号に基づき、電流比を計測することにより、スイッチ特定信号を出力する。このスイッチ特定信号は、例えば、TVの操作信号のように、装置外部の応用回路に導かれて利用される。

【0024】
次に、図示のタッチスイッチ装置の動作について説明する。指がいずれのタッチスイッチのタッチ電極にも触れていないとき、回路ループが等電位のため電流が流れない。指がいずれかのタッチ電極に触れると、触れたタッチ電極が指の高周波等価回路によって接地(人体は大地との間に静電容量を持つため、高周波小信号にとっては人体が接地と見なすことができる)されるため、電流が流れる。電源の周波数は高いほど、人体の静電容量やインピーダンスによる誤差が少なく、より接地に近い状態になるが、実用的な範囲を考えると数10KHz ~数MHzまでが合理な範囲と考えられる。

【0025】
タッチスイッチAのタッチ電極に指が触れたと仮定すると、このタッチ電極は接地に近い状態になる。このとき、接地したタッチ電極にその左側から流れる電流i1は、高周波電源から1個のみの抵抗Ri(タッチスイッチA)と、電流計測抵抗Rkを通って接地に流れる電流であるのに対して、接地したタッチ電極にその右側から流れる電流i2は、2個の抵抗Ri(タッチスイッチB,C)と、電流計測抵抗Rkを通って接地された電流に相当する。この電流i1とi2の比を制御装置で計測する。電流i1とi2の比は、触れたタッチスイッチに固有のものである。異なるタッチスイッチに触れると、回路に挿入される抵抗Riの数が異なるため、電流i1とi2の比率が異なり、よって、触れたスイッチを特定することができる。なお、3個のスイッチA,B,Cを接続した例を示したが、さらに多くのタッチスイッチを後段に追加したり、或いは、取り外したりすることが簡単にできる。

【0026】
このように、電源供給点が同一であり、回路ループが等電位のため、タッチスイッチを作動しない限り無駄な電流(電力消費)が生じない。また、人体が大地との間に静電容量を持っていることによる電流の発生を利用しているため、強く押す必要もなく、作動が確実である。

【0027】
タッチスイッチの製造においては、個別に製造して、個別で使用することもできるし、工場においても、使用現場においても、必要に応じて自由に繋いでパネル状に構成することもできるし、用途に合わせて当初よりパネル状に構成することもできる自由度がある。出来上がったタッチスイッチ群は、直列に配置した場合でも、正方形状に配置した場合でも、電気的には、基本構成を直列に接続した構成になるので、どのタッチスイッチを押したのかの判定は、直列に接続したタッチスイッチにおける当該スイッチの両側からそれぞれ接地に流れる2つの電流値の比率によって判別されるので、電流の大きさに起因する誤差を生じる要因がなく、正確にタッチスイッチを特定できる。

【0028】
図5(A)は、4周辺の全てにコネクターを設けた1個の矩形状タッチスイッチを例示する斜視図であり、(B)は(A)に示すタッチスイッチの配線部を分離して示す分解斜視図である。固定電極治具3をボルト穴11に通して、タッチ電極1と絶縁体2を一体に固定する。抵抗4は、タッチ電極1の反対面の絶縁体2の裏側に、ボンドで直貼りするか、或いはプリント基板に実装後プリント基板を固定する。または、絶縁体2の中に組み込むこともできる。図1~3を参照して上述したタッチスイッチは、いずれも矩形状タッチスイッチの左右両側に一対のコネクターを設けたのに対して、図5(A)に例示のタッチスイッチは、4周辺の全てにコネクター6,7を設けている。コネクター6は、オスコネクターであり、コネクター7は、メスコネクターである。4個のコネクターの内の2個(最終段タッチスイッチの場合は、3個)を短絡端子(導線)10で短絡して用いるので、その電気的な等価回路は、上述した例(図1(B))と同じになる。

【0029】
図6(A)は、図5に例示のタッチスイッチを複数個連接して構成したタッチスイッチパネルを例示する図であり、(B)は、その配線図であり、(C)は等価回路図である。図5に例示のタッチスイッチを用いて構成すれば、パターン化したタッチパネルも自由に構成できる。この際の繋ぎ合わせのルールとして、図4(A)或いは図6(C)の回路が示すように、すべてのタッチスイッチの抵抗Riが、接続されたタッチ電極に対して同じ側に来るように配置する。図5に示す構造のタッチスイッチ同士を繋ぐ場合、図6(B)に例示したように、タッチスイッチを回転するだけで、短絡導線とスイッチ間導線を用い、いろいろなパターンが構成できる。

【0030】
このように、本発明は、従来のタッチスイッチパネルの配線数が多いというデメリットを解消し、タッチスイッチパネルから制御装置まで、2本のみの信号線(兼電源線)で複数のスイッチの特定ができる。

【0031】
図7は、図4に例示の本発明のタッチスイッチ装置とは別の例の全体構成を例示する図である。図4に例示のタッチスイッチ装置は、追加、取り外し(せん断)可能であるが、変更後は変更前と回路パラメータが異なるため、回路変更後の各スイッチの電流比とそのスイッチの対応付けをする初期化処理、及び等価回路の最後の段になるスイッチの出力端子対を短絡する末端処理が必要になる。これは一部のユーザにとって不都合となる。これを解決するために、タッチスイッチ毎に独立閉ループが構成できるよう供電線にRi1とRi2によって連結し、その中間点にタッチ電極を繋ぐ。このようなタッチスイッチを、複数個並列に接続して、一対の入力端子のそれぞれに同電圧を給電して、この一対の入力端子のそれぞれに流入する2つの電流値の比率を検出する。タッチスイッチ毎に Ri1とRi2の値が異なり、それぞれのタッチパッドに触れると、電流i1とi2の比率が異なることになる。例えば、抵抗値は、以下のように設定することができる。
Ri1=1KΩ, Ri2=2KΩ, Ri3=3KΩ…, Ri8=8KΩ
Rj1=8KΩ, Rj2=7KΩ, Rj3=6KΩ…, Rj8=1KΩ
これによって、触れたスイッチを特定することができる。ただし、この場合、タッチスイッチがそれぞれ異なるパラメータを持つため、単体で一個ずつ組み合わせる場合、同じ特性のものが組み込まれると不都合が発生するため、予め図7のように絶縁板上に抵抗、電極を配線したタッチパネルスイッチを製造工程で形成し、必要に応じて適当な大きさに裁断して使うことも可能である。
【実施例】
【0032】
図8は、図1を参照して説明したタッチスイッチを、さらに具体的に説明する図である。タッチ電極は、アルミ材質を使用しているが、導電体であればどれでも良い。導電フィルムを使うと任意に変形できる。固定用治具には導電体を用いる。絶縁体は形状保持のためにプラスチック板を使っている。形状保持が必要でない場合、絶縁体は任意形状のものを使用してよい、または使わなくても良い。
【実施例】
【0033】
図9は、タッチスイッチパネルの取り付け例を示す図である。(A)は、タッチスイッチパネルを植物インテリアに装着した例を示している。花びらと葉がタッチパネルスイッチを構成している。(B)は、腕に巻きつけたタッチパネルスイッチを例示している。触る場所によって、TVの操作(電源ON/OFF, チャンネル UP/DOWN, ボリューム UP/DOWN)が可能となる。(C)は、タッチスイッチパネルを色付け(ペイントやカラーフィルムを貼る)して、好きな場所に貼り付けた例を示している。
【符号の説明】
【0034】
1 タッチ電極
2 絶縁体
3 電極固定治具
4 抵抗
5 導線
6 コネクター(オス)
7 コネクター(メス)
8 凹部
9 導線
10 短絡端子(導線)
11 ボルト穴
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8