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明細書 :複屈折特性測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4969631号 (P4969631)
公開番号 特開2010-008430 (P2010-008430A)
登録日 平成24年4月13日(2012.4.13)
発行日 平成24年7月4日(2012.7.4)
公開日 平成22年1月14日(2010.1.14)
発明の名称または考案の名称 複屈折特性測定装置
国際特許分類 G01N  21/23        (2006.01)
FI G01N 21/23
請求項の数または発明の数 5
全頁数 20
出願番号 特願2009-236565 (P2009-236565)
分割の表示 特願2004-070216 (P2004-070216)の分割、【原出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
出願日 平成21年10月13日(2009.10.13)
審査請求日 平成21年10月16日(2009.10.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】大谷 幸利
【氏名】若山 俊隆
【氏名】梅田 倫弘
【氏名】黒川 隆志
個別代理人の代理人 【識別番号】100136504、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 毅彦
審査官 【審査官】西村 直史
参考文献・文献 特開2000-111472(JP,A)
調査した分野 G01N21/00-21/01
21/17-21/61
21/84-21/958
特許請求の範囲 【請求項1】
受光部が2次元配列された受光手段と、
所定の帯域成分を含む光を、所定方向に連続しその方向に搬送される透過性のある対象物の幅方向の所定の範囲に透過させ、その透過光を分光し、上記対象物の幅方向の各所定の位置を透過し分光した光を、上記受光手段の2次元配列された上記受光部の列ごとまたは行ごとに入射させる光学系と、
測定に係る所定の波長帯域において透過光の光強度が周期的に変化しその波長帯域での透過光の光強度特性が既知である、上記光学系に挿入された光学素子と、
を備えることを特徴とする複屈折特性測定装置。
【請求項2】
前記受光手段による1回の受光により、前記対象物の幅方向の所定の範囲のすべての位置のそれぞれに対応する1列または1行の受光部により得られた光強度の分布からその位置の複屈折位相差を計算し、前記対象物の幅方向の所定の範囲のすべての位置の複屈折位相差を計算する計算手段と、
前記対象物の搬送に応じて、上記計算手段により対象物の搬送方向の各位置における複屈折位相差を繰り返し計算させる制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の複屈折特性測定装置。
【請求項3】
前記計算手段は、
前記対象物の幅方向の各位置に対応する1列または1行の受光部により得られた光強度の分布をフーリエ変換するフーリエ変換処理手段と、
上記フーリエ変換処理手段によるフーリエ変換後のフーリエスペクトルのうちの直流成分以外の1つのピーク波形部分を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換処理手段と、
上記1つのピーク波形部分の位置および形状に基づいて複屈折位相差のオフセット値を計算するオフセット計算手段と、
上記オフセット値と逆フーリエ変換後の各波長での位相成分との和を、各波数での複屈折位相差として計算する複屈折位相差計算手段と、
を有することを特徴とする請求項2記載の複屈折特性測定装置。
【請求項4】
前記対象物の搬送に伴って繰り返し、前記対象物の幅方向の各位置について上記受光手段の列ごとまたは行ごとに得られた光強度分布に基づいて前記対象物の幅方向の所定の範囲の複屈折位相差を計算する演算装置を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複屈折特性測定装置。
【請求項5】
所定の帯域成分を含む光を、所定方向に連続しその方向に搬送される透過性のある対象物の幅方向の所定の範囲に透過させ、
その透過光を分光し、
上記対象物の幅方向の各所定の位置を透過し分光した光を、受光部が2次元配列された受光手段の受光部の列ごとまたは行ごとに入射させ、
測定に係る所定の波長帯域において透過光の光強度が周期的に変化しその波長帯域での透過光の光強度特性が既知である光学素子を用いて前記対象物の透過光を変調することを特徴とする複屈折特性測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、透過性のある対象物の光学特性(複屈折位相差など)を測定する複屈折特性測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル液晶技術の急速な発展などに伴い、液晶や機能性光学フィルムの定量的な評価方法が望まれている。このような状況を反映して、高分子配向状態、膜厚、複屈折の波長依存特性に基づく光学材料の評価を複屈折分散計測に基づいて行う手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
所定の面積にわたって機能性光学材料の特性評価を行う方法としては、波長(波数)ごとに光源の設定を変更し、各波長の光を2次元状に広げて光学材料の所定の面積へ透過させ、その透過光の像をCCDカメラで検出し、CCDカメラで検出された各波長での光強度の2次元分布を所定の波長帯域分だけ取得し、複数の波長での光強度の2次元分布から、光学材料において光が透過した範囲の評価を行う方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2003-172691号公報(明細書段落0056~0067、図4,5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、液晶や機能性光学フィルムなどの機能性光学材料の需要は急速に増加しているため、大量生産時における機能性光学材料の迅速な評価が望まれている。
【0006】
しかしながら、上述の所定の面積にわたって機能性光学材料の特性評価を行う方法では、波長の異なる光を順番に光学材料に透過させるため、光学材料が移動している場合には、波長の切換時間などに起因して、光学材料が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく光学材料を正確に評価することは難しい。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、測定対象が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく測定対象を正確に評価することができる複屈折特性測定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の複屈折特性測定装置の1つは、受光部が2次元配列された受光手段と、所定の帯域成分を含む光を、所定方向に連続しその方向に搬送される透過性のある対象物の幅方向の所定の範囲に透過させ、その透過光を分光し、対象物の幅方向の各所定の位置を透過し分光した光を、受光手段の2次元配列された受光部の列ごとまたは行ごとに入射させる光学系と、測定に係る所定の波長帯域において透過光の光強度が周期的に変化しその波長帯域での透過光の光強度特性が既知である、光学系に挿入された光学素子と、を備える。
【0009】
これにより、対象物内のある幅についての所定の波長(波数)帯域の透過光成分を受光手段によりまとめて検出することができるため、対象物内のある幅についての光学特性を迅速に計算することができ、対象物が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく対象物の光学特性を正確に評価することができる。また、測定に係る所定の波長帯域において対象物の透過光の光強度が1周期以上変化しない場合でも、この光学素子により、対象物の透過光が変調されることになるため、対象物の複屈折位相差特性を正確に計算することができる。
【0010】
さらに、本発明の複屈折特性測定装置の1つは、上記発明の複屈折特性測定装置に加え、受光手段による1回の受光により、対象物の幅方向の所定の範囲のすべての位置のそれぞれに対応する1列または1行の受光部により得られた光強度の分布からその位置の複屈折位相差を計算し、対象物の幅方向の所定の範囲のすべての位置の複屈折位相差を計算する計算手段と、対象物の搬送に応じて、計算手段により対象物の搬送方向の各位置における複屈折位相差を繰り返し計算させる制御手段とを備える。
【0011】
これにより、対象物のある幅についての所定の波長(波数)帯域の透過光成分を受光手段によりまとめて検出することができ、この2次元的に分布した光の検出を繰り返すことで、対象物が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく対象物の光学特性を正確に評価することができる。
【0012】
さらに、本発明の複屈折特性測定装置の1つは、上記発明の複屈折特性測定装置のいずれかに加え、対象物の幅方向の各位置に対応する1列または1行の受光部により得られた光強度の分布をフーリエ変換するフーリエ変換処理手段と、フーリエ変換処理手段によるフーリエ変換後のフーリエスペクトルのうちの直流成分以外の1つのピーク波形部分を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換処理手段と、その1つのピーク波形部分の位置および形状に基づいて複屈折位相差のオフセット値を計算するオフセット計算手段と、オフセット値と逆フーリエ変換後の各波長での位相成分との和を、各波数での複屈折位相差として計算する複屈折位相差計算手段とを、計算手段に有する。
【0013】
これにより、2π以上の複屈折位相差も正確に計算することができる。また、フーリエ変換後のスペクトルのうちの1つのピーク波形分のデータに基づいてオフセット値と逆フーリエ変換を行うことができるため、取り扱うデータ量が少なくて済み、記憶領域を節約することができる。
【0014】
さらに、本発明の複屈折特性測定装置の1つは、上記発明の複屈折特性測定装置のいずれかに加え、計算手段により計算された複屈折位相差の値に基づいて、対象物の搬送方向およびまたは幅方向の各位置の特性が適正であるか否かを判定する判定手段を備える。
【0015】
これにより、搬送中の対象物に、光学特性が適正ではない箇所があれば、それを検出することができる。
【0016】
さらに、本発明の複屈折特性測定装置の1つは、上記発明の複屈折特性測定装置のいずれかに加え、判定手段により適正ではないと判定された位置に対応する位置に所定のマーキングを行う。
【0017】
これにより、対象物の搬送後であっても、光学特性が適正ではない箇所の位置を簡単に特定することができる。
【0018】
また、本発明の複屈折特性測定装置の1つは、受光部が2次元配列された受光手段と、所定の帯域成分を含む白色光を生成する白色光源と、白色光を、所定方向に連続しその方向に搬送される透過性のある対象物の幅方向に広げるリニアライトガイドと、対象物を透過した光を収束するレンズと、その透過光を波長別に分光し、対象物の幅方向の各所定の位置を透過した光を、受光手段の2次元配列された受光部の列ごとまたは行ごとに入射させる分光手段と、対象物の搬送に伴って繰り返し、対象物の幅方向の各位置について受光手段の列ごとまたは行ごとに得られた光強度分布に基づいて対象物の幅方向の所定の範囲の複屈折位相差を計算する演算装置とを備える。
【0019】
これにより、対象物内のある幅についての所定の波長(波数)帯域の透過光成分を受光手段によりまとめて検出することができるため、対象物内のある幅についての光学特性を迅速に計算することができ、対象物が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく対象物の光学特性を正確に評価することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、測定対象が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく測定対象を正確に評価することができる複屈折特性測定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る複屈折特性測定装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1における分光カメラの一例を示す断面図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係る複屈折特性測定装置の光学系を示す斜視図である。
【図4】図4は、実施の形態1における分光カメラのCCDの受光部の2次元配列の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1における演算装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係る複屈折特性測定装置における演算装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、測定対象の光学材料を透過した光の、波数に対する光強度特性の一例を示す図である。
【図8】図8は、発光装置からの白色光の光強度特性と測定対象の光学材料の透過光の光強度特性との対応関係の一例を示す図である。
【図9】図9は、ある透明フィルムを透過した光の2次元状の像の一例を示す図面代用写真である。
【図10】図10は、フーリエ変換後の振幅スペクトルの概要を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態2に係る複屈折特性測定装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、対象物の透過光の光強度特性の一例と複屈折位相差板の透過光の光強度特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。

【0023】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る複屈折特性測定装置の構成を示す図である。図1において、発光装置1は、所定の波長(波数)帯域成分を含む光を発生し出射する装置である。この実施の形態1では、発光装置1として白色光源が使用され、その光源には、例えばハロゲンランプが使用される。

【0024】
また、リニアライトガイド2は、発光装置1からの入射光を所定の幅方向に広げて出射する光学装置である。

【0025】
また、偏光子3は、検光子4と対となり、リニアライトガイド2からの光を直線偏光とする入射側の偏光子である。検光子4は、偏光子3と対となり、対象物201を透過した光を直線偏光とする出射側の偏光子である。

【0026】
また、フィールドレンズ5は、検光子4と分光カメラ6との間に配置され、検光子4から出射した所定の幅の光を収束させるレンズである。

【0027】
また、分光カメラ6は、所定の幅の入射光を、幅方向と垂直方向に分光するグリズムと、光電変換する受光部が2次元配列されたCCD(Charge Coupled Device)とを内蔵し、入射光の幅方向の各位置における各波長成分の光強度を電気信号として出力する装置である。

【0028】
なお、上記発光装置1からフィールドレンズ5までの光学系は、所定の帯域成分を含む光を、対象物201の搬送方向に略垂直な幅方向の所定の範囲に透過させ、その透過光を分光し、対象物の幅方向の各所定の位置を透過し分光した光を、分光カメラ6内のCCDの2次元配列された受光部の列ごと(または行ごと)に入射させる光学系を構成する。

【0029】
また、演算装置7は、対象物201の搬送に伴って繰り返し、対象物201の幅方向の各位置について分光カメラ6におけるCCDの列ごと(または行ごと)に得られた光強度分布に基づいて対象物201の幅方向の所定の範囲の各位置の複屈折位相差を計算する装置である。

【0030】
また、ロール軸101は、ロール状の対象物201の回転可能に支持する回転軸である。ロール軸102は、対象物201をロール状に巻き取る回転軸である。また、搬送ローラ103,104は、対象物201に接触しつつ回転し、所定の搬送方向に対象物201を進行させる搬送機構である。また、ガイド105は、搬送中の対象物201の幅方向の位置を略一定に保つために、搬送方向以外の方向への対象物201の移動を規制する規制機構である。なお、ガイド105は、偏光子3から検光子4への光路を塞がない形状および構造とされる。実施の形態1では、ロール軸101,102、搬送ローラ103,104、およびガイド105により、対象物201を搬送する搬送手段が構成される。

【0031】
なお、対象物201は、所定方向に連続し透過性のある液晶、機能性光学フィルムなどといった光学材料である。対象物201は、その連続方向(つまり長手方向)に搬送される。

【0032】
図2は、実施の形態1における分光カメラ6の一例を示す断面図である。図2に示す分光カメラ6は、分光カメラ6に不要な光が入射しないようにするスリット11、分光手段としてのグリズム12およびCCD13を有する。グリズム12は、回折格子12aと2つの三角柱プリズム12b,12cからなり、一方のプリズム12bの斜面が光の入射面となり、他方のプリズム12cの斜面が光の出射面となる。

【0033】
ここで、実施の形態1における光学系での各光学素子の配置について説明する。図3は、実施の形態1に係る複屈折特性測定装置の光学系を示す斜視図である。

【0034】
リニアライトガイド2は、対象物201の搬送方向に対して略垂直方向の所定の幅で光を出射する位置に配置される。実施の形態1では、偏光子3および検光子4は、ともに、主軸方位が45度となるように配置される。これにより、平行ニコルの条件とされる。フィールドレンズ5は、検光子4からの幅広な光をスリット11およびグリズム12を介してCCD13の受光面に収束させる位置に配置される。

【0035】
また、分光カメラ6のスリット11は、リニアライトガイド2からの出射光の幅広方向に対して平行な方向に幅広に開口するように配置される。グリズム12は、スリット11を通過したフィールドレンズ5からの光の幅広方向と回折格子12aおよびプリズム12b,12cとが略平行になるように配置される。

【0036】
分光カメラ6のCCD13は、幅広方向の各位置の光がその位置に対応する受光部の1列に入射し、かつその1列の各受光部に、分光により空間的に分離した所定の波長(波数)帯域の各成分が入射する位置に配置される。

【0037】
図4は、実施の形態1における分光カメラ6のCCD13の受光部13bの2次元配列の一例を示す図である。図4に示すように、CCD13のX軸方向には、Y軸方向に配列した所定の数の受光部13bからなる受光部列13aが所定の数だけ配列している。そして、各受光部列13aが、対象物201の幅方向の所定の範囲における各位置に対応付けられている。そして、1つの受光部列13aにおける一端の受光部13bは、測定範囲の波長(波数)帯域のうちの最小の波長(最大の波数)に対応付けられ、残りの一端の受光部13bは、測定範囲の波長(波数)帯域のうちの最大の波長(最小の波数)に対応付けられている。

【0038】
図5は、実施の形態1における演算装置7の構成を示すブロック図である。図5において、制御手段41は、インタフェース42を介して発光装置1による発光を制御するとともに、演算装置7内の計算手段47などの処理順序を制御する。例えば、制御手段41は、対象物201の搬送に応じて、計算手段47により対象物201の搬送方向の各位置における複屈折位相差を繰り返し計算させる。インタフェース42は、発光装置1と通信可能な通信回路である。

【0039】
また、A/D変換器43は、アナログの電気信号をデジタル信号に変換する回路である。インタフェース44は、A/D変換器43からデジタル信号を取得し、デジタルデータとして記憶手段45に記憶する。

【0040】
また、記憶手段45は、分光カメラ6のデジタルデータ、計算途中のデータ、計算結果のデータなどを記憶する半導体メモリである。

【0041】
また、校正手段46は、発光装置1の出射光の、所定の波長(波数)帯域での光強度特性の既知のデータに基づいて、CCD13の受光部列13aからのデータを校正し、所定の波長(波数)帯域での発光装置1の出射光の光強度のばらつきの要素を消す。つまり、校正手段46により、各波長(波数)について、受光部13bのデータの値を、発光装置1の出射光のその波長(波数)での光強度で除算することで、発光装置1の出射光の、所定の波長(波数)帯域での光強度特性がフラットである場合と同一視することができる。

【0042】
また、計算手段47は、CCD13による1回の受光(1回の撮像)により、対象物201の幅方向の所定の範囲のすべての位置のそれぞれに対応する受光部列13aにより得られた光強度の分布からその位置の複屈折位相差を計算し、対象物201の幅方向の所定の範囲のすべての位置の複屈折位相差を計算する。

【0043】
計算手段47において、フーリエ変換処理手段47aは、対象物201の幅方向の各位置に対応する受光部列13aにより得られた測定波長(波数)域での光強度の分布を、高速フーリエ変換アルゴリズムなどでフーリエ変換し、変換後のフーリエスペクトルのデータを記憶手段45に格納する。

【0044】
また、オフセット計算手段47bは、そのフーリエスペクトルのうちの直流成分以外の1つのピーク波形の位置および形状から複屈折位相差のオフセット値を計算し、計算結果を記憶手段45に格納する。

【0045】
また、逆フーリエ変換処理手段47cは、オフセット計算手段47bにより使用されるピーク波形の部分を、高速フーリエ変換アルゴリズムなどを応用して逆フーリエ変換し、変換後の各位相成分のデータを記憶手段45に記憶する。なお、変換後の各成分の値は、0~2πの範囲となる。これは、逆フーリエ変換時の位相特性の導出に、逆正接が使用されており、逆正接の値域幅が2πであるためである。

【0046】
また、複屈折位相差計算手段47dは、各波長(波数)について、オフセット計算手段47bによるオフセット値と逆フーリエ変換処理手段47cの位相成分との和を、複屈折位相差として計算する。

【0047】
また、データ格納手段48は、例えばハードディスクドライブ、ディスクアレイなどといったデータ格納装置であって、分光カメラ6からのデジタルデータ、計算結果である各位置での複屈折位相差特性のデータなどを格納する。表示手段27は、分光カメラ6からのデジタルデータに基づくCCD13の受光像、計算結果である各位置での複屈折位相差のデータに基づく、対象物201の複屈折位相差の2次元分布画像などを図示せぬ表示装置で表示する。

【0048】
なお、制御手段41、校正手段46、計算手段47および判定手段50は、所定のプログラムとそのプログラムに従って動作するCPU、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサを有するコンピュータにより実現可能である。また、そのように実現した場合には、インタフェース44、データ格納手段48および表示手段49と記憶手段45との間のデータの授受も、そのコンピュータによる制御に従って行われる。

【0049】
次に、上記装置の動作について説明する。

【0050】
搬送ローラ103,104などの搬送手段により、対象物201が所定の搬送方向へ搬送される。

【0051】
発送装置1は、測定する波長帯域の成分を含む白色光を生成する。この白色光は、リニアライトガイド2によりある方向に広げられ、幅広な光として偏光子3に入射する。偏光子3は、各波長成分についての45度の直線偏光を出射する。なお、偏光子3の偏光特性は、通過光の波長に依存しない。

【0052】
偏光子3からの各波長の直線偏光は、測定光として、その時点での対象物201の測定部位を通過する。その際、対象物201を通過する光は、対象物201の各波長での複屈折特性によって影響を受ける。対象物201の配向状態や応力状態に応じて、各波長での複屈折特性が変化するため、対象物201から出射する幅広な光は、その光が通過した対象物201の幅方向の所定の範囲について、これらの情報を内包する。

【0053】
対象物201を通過した光は、検光子4に入射する。検光子4から出射した直線偏光は、フィールドレンズ5により収束されつつ分光カメラ6に入射する。なお、検光子5の偏光特性は、通過光の波長に依存しない。

【0054】
分光カメラ6では、スリット11を通過した幅広な光がグリズム12に入射する。グリズム12は、この入射光を各波長成分に分離し各波長成分の光を、図2に示すように、光の幅広方向とは垂直な面内で別々の方向に出射する。幅広方向の各位置において、グリズム12により分離された各波長の光は、空間的に分離した状態でその位置に対応するCCD13の受光部列13aの各受光部13bに入射する。CCD13は、波長ごとに光強度を電気信号に変換し受光部列13aごとにそのアナログ信号を出力する。このCCD13からの信号は、演算装置7に供給される。

【0055】
次に、演算装置7の動作について説明する。図6は、実施の形態1に係る複屈折特性測定装置における演算装置7の動作を説明するフローチャートである。

【0056】
まず、演算装置7は、測定に係るすべての受光部列13bのそれぞれから1列分の光強度データを取得する。その際、演算装置7では、A/D変換器43が、CCD13からの信号をデジタル信号に変換し、インタフェース44が、そのデジタル信号をデジタルデータに変換する。そして、各受光部列13aからの1列分の光強度データが、記憶手段45に記憶される(ステップS1)。

【0057】
図7は、測定対象の光学材料を透過した光の、波数に対する光強度特性の一例を示す図である。図7に示すように、光強度は、波数に応じて周期的に変動する。したがって、各受光部列13aからの1列分の光強度データの値も、この特性と同様な波形として得られる。

【0058】
なお、発光装置1からの白色光の光強度特性が、測定に係る波長帯域においてフラットではない場合には、校正手段46は、予め格納している発光装置1の光強度特性に基づいて、CCD13の受光部列13aの光強度データを校正し、記憶手段45に記憶されている各列の光強度データを更新する。

【0059】
図8は、発光装置1からの白色光の光強度特性と測定対象の光学材料の透過光の光強度特性との対応関係の一例を示す図である。発光装置1からの白色光の光強度特性が例えば図8(A)に示すものである場合には、測定対象の光学材料を透過した光の光強度特性は図8(B)のようになり、図8(B)の波形の包絡線の形状が図8(A)の波形とほぼ同様となる。このように、発光装置1からの白色光の光強度特性がフラットではない場合には、校正手段46により、発光装置1からの白色光の各波長での光強度の不均一性が測定系から排除される。

【0060】
また、図9は、ある透明フィルムを透過した光の2次元状の像の一例を示す図面代用写真である。図9の紙面横方向が対象物201の幅方向(300mm)に対応し、紙面縦方向が分光後の光の波長(338~813nm)に対応する。図9に示すように、紙面縦方向に濃淡の縞が見られる。この写真は、一例として、いわゆるOHPシートに光を透過させた場合のものであり、製造過程で生じた高分子の配向むらに起因して縞が発生している。対象物201の測定部位の光学特性が均一であれば、これらの縞は直線状となりかつ平行となる。

【0061】
このようにして、各時点での、対象物201の測定部位(幅方向の所定の範囲)について測定した各位置および各波長での光強度データが得られる。

【0062】
次に、演算手段7の計算手段47は、各位置に対応する受光部列13aの光強度データに基づいて、各位置における複屈折位相差を計算する。ここで、まず、各位置における複屈折位相差が得られる原理について説明する。

【0063】
まず、上述した光学系により、対象物201を通過した光の各波数kでの光強度I(k)は、式(1)のとおりとなる。

【0064】
【数1】
JP0004969631B2_000002t.gif

【0065】
式(1)は、オイラーの公式を用いると式(2)に書き直せる。

【0066】
【数2】
JP0004969631B2_000003t.gif

【0067】
そして、式(2)のc(k)は、式(3)のように表される。

【0068】
【数3】
JP0004969631B2_000004t.gif

【0069】
ある測定位置の光強度特性を波数方向へフーリエ変換すると、a(k)に対応するA(f)、c(k)に対応するC(f)およびc(k) に対応するC(f) の3つのピーク波形が得られる。図10は、フーリエ変換後の振幅スペクトルの概要を示す図である。

【0070】
この3つのピーク波形のうち、C(f)のピーク波形部分をフィルタリングにより抽出し、さらに逆フーリエ変換を施すことで、式(4)に示すようにc(k)成分が得られる。さらに、その際の逆フーリエ変換による波数k軸の位相特性が、式(5)に示すように、ちょうど複屈折位相差Δ(k)となる。

【0071】
【数4】
JP0004969631B2_000005t.gif

【0072】
【数5】
JP0004969631B2_000006t.gif

【0073】
しかしながら、式(5)による複屈折位相差Δ(k)では、逆正接により複屈折位相差が得られるため、その値域は、0~2πの範囲に制限される。つまり、これだけでは、2πを超える複屈折位相差Δ(k)の計測は困難である。そこで、式(5)による複屈折位相差を、式(6)に示すようにφ(k)と一旦おき、逆正接により畳み込まれた2πの整数倍の複屈折位相差分(つまりオフセット成分)を計算し、そのオフセット成分と式(6)のφ(k)との和を、複屈折位相差Δ(k)とする。
【数6】
JP0004969631B2_000007t.gif

【0074】
このオフセット成分は、測定範囲の最小波数Kmin に対応するフーリエ周波数f を求め、2π・f・Kminとして計算すればよい。そして、この最小波数Kmin に対応するフーリエ周波数fは、図10(B)に示すように、1つのピーク波形のピーク値をネピア数eの2乗で除算して得られる値でのフーリエ周波数とすればよい。ただし、この最小波数Kmin に対応するフーリエ周波数fは、ピークのおけるフーリエ周波数f より低いものが選択される。

【0075】
このようにオフセット成分が得られると、複屈折位相差Δ(k)は、式(7)に示すように、そのオフセット成分と式(6)のφ(k)との和で表される。

【0076】
【数7】
JP0004969631B2_000008t.gif

【0077】
これにより、複屈折位相差Δ(k)が、スペクトル内の1つのピーク波形形状から計算される成分と、スペクトル内の1つのピーク波形の逆フーリエ変換による位相特性とを計算することで得られることがわかる。なお、ここでは、偏光子3と検光子4の配置を平行ニコルとしているが、他の条件でもよい。その場合には、それに応じた計算式が得られるので、それに応じて、同様にして複屈折位相差Δ(k)を計算すればよい。

【0078】
次に、上述の原理に基づいて、各位置における複屈折位相差を計算する際の計算手段47の動作を説明する。

【0079】
図6に戻り、演算装置7では、フーリエ変換処理手段47aは、複数の受光部列13aの光強度データのうち1列の光強度データを選択し、その1列の光強度データについて、波長軸(波数軸)方向へフーリエ変換を行う(ステップS3)。フーリエ変換により得られるフーリエスペクトルのデータは、記憶手段45に記憶される。なお、その際、フーリエスペクトルのデータのうち、上述の1つのピーク波形に対応するデータのみを保存し、他のデータを捨てるようにしてもよい。

【0080】
次に、オフセット計算手段47bは、上述の1つのピーク波形のデータを検索し、ピーク周波数と、そのフーリエ周波数でのデータの値を特定する。そして、オフセット計算手段47bは、上述の1つのピーク波形のデータに基づいて、スプライン曲線などといった近似曲線を計算し、その曲線に基づき、ピーク周波数でのデータ値をeの2乗で除算した値に対応するフーリエ周波数f を求める。このフーリエ周波数fは、測定光の帯域の最小波数Kmin に対応するフーリエ周波数である。なお、その代わりに、ピーク周波数でのデータの値をeの2乗で除算した値に最も近いデータのフーリエ周波数の値、ピーク周波数でのデータの値をeの2乗で除算した値を中間に有する2つのデータのフーリエ周波数の平均値などを、フーリエ周波数f としてもよい。

【0081】
そして、オフセット計算手段47bは、このフーリエ周波数f と、受光部列13aの一端の受光部13aに対応する波数(つまり、測定帯域の最小波数)と、2πとの積を計算し、その計算結果をオフセット値として記憶手段45に格納する(ステップS4)。

【0082】
また、逆フーリエ変換処理手段47cは、オフセット計算手段47bが使用した1つのピーク波形のデータに対して逆フーリエ変換を施し、波長k軸における位相特性φ(k)のデータを生成し、記憶手段45に格納する(ステップS5)。

【0083】
オフセット計算手段47bによるオフセット値の計算および逆フーリエ変換処理手段47cによる逆フーリエ変換が完了すると、複屈折位相差計算手段47dは、各波数kについて、オフセット計算手段47bによるオフセット値と逆フーリエ変換処理手段47cによる逆フーリエ変換後の位相φ(k)との和を計算し、その計算結果を、各波数kでの複屈折位相差Δ(k)として、選択した受光部列13a(つまり、対象物201の幅方向の位置)に関連付けて記憶手段45に格納する(ステップS6)。

【0084】
このようにして、ステップS2で選択した受光部列13aに対応する対象物201の幅方向の位置についての複屈折位相差特性が得られる。

【0085】
そして、判定手段50は、対象物201の幅方向のその位置についての複屈折位相差に基づいて、この位置の特性が適正であるか否かを判定する(ステップS7)。例えば、判定手段50は、その位置の各波長での複屈折位相差の値がすべて所定の範囲に入っている場合には、適正であると判定し、そうでない場合には、適正ではないと判定する。また、表示手段49は、判定手段50の判定結果や計算手段47による複屈折位相差を表示してもよい。また、データ格納手段48は、判定手段50の判定結果や計算手段47による複屈折位相差を格納してもよい。その場合には、判定手段50の判定結果は、対象物201の位置を特定するための情報とともに表示されたり格納されたりする。さらに、判定手段50により適正ではないと判定された場合には、対象物201のその位置、あるいはその位置の幅方向の端部に、所定のマークなどを付すようにしてもよい。その場合には、判定手段50は、そのようなマークを付す機構を制御し、対象物201のその位置に塗料などでマークを付す。

【0086】
その後、制御手段41は、すべての受光部列13a(つまり対象物201の幅方向の所定の範囲のすべての位置)のデータに対して、複屈折位相差を計算する処理が完了したか否かを判定する(ステップS8)。

【0087】
まだ、複屈折位相差を計算する処理を行っていない受光部列13a(つまり対象物201の幅方向の所定の範囲のすべての位置)のデータが存在する場合には、制御手段41は、次の受光部列13aを指定して、計算手段47に、その受光部列13aのデータに基づく複屈折位相差を計算させる(ステップS3~S6)。そして、制御手段41は、その位置についての複屈折位相差の計算が完了すると、その位置の特性の判定、表示、記録などを適宜行わせる(ステップS7)。

【0088】
このようにして、すべての受光部列13a(つまり対象物201の幅方向の所定の範囲のすべての位置)のデータに対して、複屈折位相差を計算する処理が完了すると、制御手段41は、次の時点のデータをCCD13から記憶手段45へ読み込ませ(ステップS1)、そのデータに基づいて、その時点の測定対象部位に対して同様の処理(ステップS2~ステップS9)を行わせる。なお、CCD13からデータを読み込む時点の間隔は、対象物201の進行速度、演算装置7の処理速度などに応じて決定される。

【0089】
これにより、対象物201の所定の幅についての特性を、搬送方向に沿って所定の間隔で繰り返し測定することで、搬送中の対象物201の特性を2次元的に測定することができる。

【0090】
以上のように、上記実施の形態1に係る複屈折特性測定装置は、受光部13bが2次元配列されたCCD13と、所定の帯域成分を含む光を、対象物201の幅方向の所定の範囲に透過させ、その透過光を分光し、対象物201の幅方向の各所定の位置を透過し分光した光を、CCD13の受光部列13aごとに入射させる光学系(発光装置1からグリズム12まで)とを備える。

【0091】
これにより、対象物201内のある幅についての所定の波長(波数)帯域の透過光成分をCCD13によりまとめて検出することができるため、対象物201内のある幅についての光学特性を迅速に計算することができ、対象部201が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく対象物201の光学特性を正確に評価することができる。したがって、ロール・ツー・ロールで搬送されるフィルム状の対象物201の評価にも好適である。

【0092】
また、上記実施の形態1によれば、演算装置7の計算手段47は、CCD13による1回の受光(つまり1回の撮像)により、対象物201の幅方向の所定の範囲のすべての位置のそれぞれに対応する受光部列13aにより得られた光強度の分布からその位置の複屈折位相差を計算し、対象物201の幅方向の所定の範囲のすべての位置の複屈折位相差を計算する。そして、制御手段41は、対象物201の搬送に応じて、計算手段47により対象物201の搬送方向の各位置における複屈折位相差を繰り返し計算させる。

【0093】
これにより、対象物201のある幅についての所定の波長(波数)帯域の透過光成分をCCD13によりまとめて検出することができ、この2次元的に分布した光の検出を繰り返すことで、対象物201が連続的に搬送されていく途中で搬送を妨げることなく対象物201の光学特性を正確に評価することができる。

【0094】
さらに、上記実施の形態1によれば、計算手段47は、対象物201の幅方向の各位置に対応する受光部列13aにより得られた光強度の分布をフーリエ変換するフーリエ変換処理手段47aと、フーリエ変換処理手段47aによるフーリエ変換後のフーリエスペクトルのうちの直流成分以外の1つのピーク波形部分を逆フーリエ変換する逆フーリエ変換処理手段47cと、その1つのピーク波形部分の位置および形状に基づいて複屈折位相差のオフセット値を計算するオフセット計算手段47bと、オフセット値と逆フーリエ変換後の各波長での位相成分との和を、各波数での複屈折位相差として計算する複屈折位相差計算手段47dとを有する。

【0095】
これにより、2π以上の複屈折位相差も正確に計算することができる。また、フーリエ変換後のスペクトルのうちの1つのピーク波形分のデータに基づいてオフセット値と逆フーリエ変換を行うことができるため、取り扱うデータ量が少なくて済み、記憶手段45の記憶領域を節約することができる。

【0096】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算装置7の判定手段50は、計算手段47により計算された複屈折位相差の値に基づいて、対象物201の搬送方向およびまたは幅方向の各位置の特性が適正であるか否かを判定する。

【0097】
これにより、搬送中の対象物201に、光学特性が適正ではない箇所があれば、それを検出することができる。

【0098】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算装置7の判定手段50は、適正ではないと判定した位置に対応する対象物201の位置に所定のマーキングを行うようにしてもよい。その場合には、対象物の搬送後であっても、光学特性が適正ではない箇所の位置を簡単に特定することができる。

【0099】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る複屈折特性測定装置は、実施の形態1に係る複屈折特性測定装置に加え、測定に係る所定の波長帯域において光強度の透過率が周期的に変化しその波長帯域での光強度特性が既知である複屈折位相差板を、偏光子3から検光子4までの光学系に挿入したものである。

【0100】
図11は、本発明の実施の形態2に係る複屈折特性測定装置の構成を示す図である。図11において、複屈折位相差板81は、測定に係る所定の波長帯域において光強度の透過率が周期的に変化しその波長帯域での光強度特性が既知である光学素子である。実施の形態2では、この複屈折位相差板81は、偏光子3と対象物201との間の光路上に配置されるとともに、複屈折位相差板81の主軸方位が対象物201の主軸方位と同一になるように配置される。

【0101】
また、演算装置7Aは、実施の形態1における演算装置7の構成を有し、さらに、測定波長(波数)帯域での複屈折位相差板81の複屈折位相差のデータを予め格納し、複屈折位相差計算手段47dが、各波長(波数)について、実施の形態1と同様に計算した複屈折位相差から複屈折位相差板81の既知の複屈折位相差を減算した値を、対象物201の複屈折位相差とする。

【0102】
なお、実施の形態2に係る複屈折特性測定装置のその他の構成については、実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。

【0103】
次に、上記装置の動作について説明する。

【0104】
実施の形態2に係る複屈折特性測定装置では、複屈折位相差板81が偏光子3と対象物201との間の光路上に配置されているため、分光カメラ6で検出される入射光は、複屈折位相差板81と対象物201の両方の各波長での複屈折特性によって影響を受け、この入射光から得られる複屈折位相差は、複屈折位相差板81の複屈折位相差と対象物201の複屈折位相差の和となる。複屈折位相差板81と対象物201の主軸方位をともに0度とした場合には、分光カメラ6で検出される入射光の光強度は、式(8)のようになる。

【0105】
【数8】
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【0106】
このため、実施の形態1と同様にして分光カメラ6への入射光の光強度から複屈折位相差を計算すると、複屈折位相差板81の複屈折位相差と対象物201の複屈折位相差の和が計算される。

【0107】
そこで、実施の形態2における演算装置7Aの複屈折位相差計算手段47dは、各位置および各波長について、分光カメラ6への入射光の光強度から得られる複屈折位相差(つまり、複屈折位相差板81の複屈折位相差と対象物201の複屈折位相差の和)から、既知の複屈折位相差板81の複屈折位相差を減算して、対象物201の複屈折位相差を計算する。

【0108】
なお、実施の形態2に係る複屈折特性測定装置のその他の動作は、実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。

【0109】
図12は、対象物201の透過光の光強度特性の一例と複屈折位相差板81の透過光の光強度特性の一例を示す図である。図12に示すように、対象物201の透過光の光強度が測定波長(波数)帯域において1周期未満しか振動しない場合には、フーリエ変換処理手段47aによりフーリエ変換を正確に行うことが難しいが、そのような場合にも、同帯域において実施の形態2における複屈折位相差板81が1周期以上の振動を有するため、分光カメラ6への入射光は、複屈折位相差板81による変調を受け、フーリエ変換処理手段47aによりフーリエ変換を正確に行うことが可能になる。

【0110】
以上のように、上記実施の形態2によれば、複屈折位相差板81が、偏光子3から検光子4までの光学系に挿入される。なお、実施の形態2では、複屈折位相差板81は、偏光子3と対象物201との間に配置されているが、対象物201と検光子4との間に配置してもよい。また、複屈折位相差板81の代わりに、フィルム状、くさび状などの透明な光学素子や液晶を挿入するようにしてもよい。また、複屈折位相差板81等の、挿入する光学素子は、測定波長(波数)域で複屈折位相差が一定であるものが好ましい。

【0111】
これにより、測定に係る所定の波長帯域において対象物201の透過光の光強度が1周期以上変化しない場合でも、この複屈折位相差板81により、対象物201の透過光が変調されるため、対象物201の複屈折位相差特性を正確に計算することができる。

【0112】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。

【0113】
例えば、上述の各実施の形態では、演算装置7,7Aは、分光カメラ6のCCD13から1回の受光による撮像データをまとめて取得しているが、受光部列13aごとにアクセス可能なCCD13の場合には、受光部列13aごとにデータ読込とデータ処理を行うようにしてもよい。

【0114】
また、上述の各実施の形態において、各受光部列13aの光強度データから複屈折位相差を計算する処理(ステップS3~S6)については、複数の受光部列13aに対して並列処理を行うようにしてもよい。

【0115】
また、上述の各実施の形態において、複屈折位相差の計算後の判定、表示および記録の処理は、各位置(各受光部列13a)の複屈折位相差の計算後に逐次行っているが、1回の受光による幅方向のすべての位置(全受光部列13a)についての複屈折位相差の計算が完了した後に、それらの複屈折位相差について一括して判定、表示および記録の処理を行うようにしてもよい。また、幅方向のすべての位置の複屈折位相差を繰り返し計算していき所定の回数ごとに、未処理の計算結果について一括して判定、表示および記録の処理を行うようにしてもよい。また、対象物201についての測定対象となる領域のすべてについて複屈折位相差を計算し、その後に、一括して判定、表示および記録の処理を行うようにしてもよい。なお、事後的に判定、表示および記録の処理を行う場合には、計算時には計算結果の複屈折位相差データを記憶手段45やデータ格納手段48に蓄積しておき、その後、記憶手段45やデータ格納手段48から複屈折位相差データを読み出し判定、表示および記録の処理を行う。

【0116】
また、上述の実施の形態では、対象物201の各位置を通過した光を分光する手段としてグリズム12を使用しているが、その代わりに、回折格子および/またはプリズムを使用するようにしてもよい。

【0117】
また、上述の実施の形態では、対象物201の各位置を通過し分光した光は、CCD13の受光部13bの1列13aに入射するが、受光部13bの1行に入射するようにしてもよい。その場合には、その1行の受光部13bから得られる光強度データに基づいて複屈折位相差特性が計算される。

【0118】
また、上述の実施の形態における発光装置1は、制御手段41からの制御信号に基づくタイミングでパルス光を発光するキセノンフラッシュランプなどの光源としてもよいし、連続光を出射するものとしシャッタなどを光路上に設けシャッタの開閉を制御手段41により制御するようにしてもよい。

【0119】
なお、上述の各実施の形態において、対象物201の測定部位の幅を300mmとし、測定対象の波長帯域幅を400nmとし、行方向の画素数が1280ピクセルで列方向の画素数が1024ピクセルであるCCD13を使用した場合には、対象物201の幅方向の空間分解能は約300μmとなり、波長分解能は約0.4nmとなる。

【0120】
なお、光強度データから各位置の複屈折位相差を計算する際に採用する原理は、上述のものに限定されず、例えば特開2003-172691号公報に開示されているものなど他の原理を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、例えば、液晶や機能性光学フィルムなどの機能性光学材料の定量的な評価に適用可能である。さらに、本発明は、例えば、搬送中の機能性光学材料の定量的な評価に適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 発光装置(白色光源)
2 リニアライトガイド(光学系の一部)
5 レンズ(光学系の一部)
7 演算装置
12 グリズム(分光手段、光学系の一部)
13 CCD(受光手段)
13a 受光部列
13b 受光部
41 制御手段
47 計算手段
47a フーリエ変換処理手段
47b オフセット計算手段
47c 逆フーリエ変換処理手段
47d 複屈折位相差計算手段
50 判定手段
81 複屈折位相差板(光学素子)
201 測定対象物(対象物)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図12】
10
【図9】
11