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明細書 :感覚提示装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5238626号 (P5238626)
公開番号 特開2010-033560 (P2010-033560A)
登録日 平成25年4月5日(2013.4.5)
発行日 平成25年7月17日(2013.7.17)
公開日 平成22年2月12日(2010.2.12)
発明の名称または考案の名称 感覚提示装置
国際特許分類 G06F   3/01        (2006.01)
FI G06F 3/01 310Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 20
出願番号 特願2009-151405 (P2009-151405)
出願日 平成21年6月25日(2009.6.25)
優先権出願番号 2008169312
優先日 平成20年6月27日(2008.6.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年3月7日(2012.3.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】597040902
【氏名又は名称】学校法人東京工芸大学
発明者または考案者 【氏名】曽根 順治
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100085279、【弁理士】、【氏名又は名称】西元 勝一
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】佐藤 匡
参考文献・文献 特開平10-207617(JP,A)
特開2002-182817(JP,A)
米国特許第06413229(US,B1)
特開2003-172662(JP,A)
特開2005-165851(JP,A)
特開2004-029999(JP,A)
特開2000-097205(JP,A)
調査した分野 G06F 3/01
G06F 3/033
特許請求の範囲 【請求項1】
手指の背側に配置され、前記手指の根元側から指先側に沿って延びるガイドと、
前記ガイドに移動可能に取り付けられた移動体と、
前記移動体に設けられ、前記手指の腹側に接触する接触部と、
前記接触部を介して前記手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する感覚付与機構と、
前記移動体を前記ガイドに沿って移動させることにより前記接触部を移動させ、前記感覚付与機構が前記接触部を介して前記手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する付与位置を前記手指の根元側又は指先側へ変更可能にする駆動部と、
を備えた感覚提示装置。
【請求項2】
前記ガイドは、前記手指が曲がる曲方向に指先側が湾曲しており、
前記駆動部は、前記移動体を前記ガイドに沿って移動させることにより前記接触部を移動させ、前記感覚付与機構が前記接触部を介して前記手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する付与方向及び前記付与位置を変更可能にする請求項1に記載の感覚提示装置。
【請求項3】
前記ガイドは、前記手指としての人差し指の根元から、前記人差し指の指先、前記手指としての親指の指先、前記親指の根元の順に沿って延び、
前記接触部は、前記人差し指と前記親指とにそれぞれ配置され、それぞれが前記人差し指と前記親指とに接触し、
前記移動体は、前記人差し指と前記親指とにそれぞれ配置され、それぞれに前記接触部の各々が設けられている請求項2に記載の感覚提示装置。
【請求項4】
前記手指の根元側に配置され、前記ガイドの基端部を支持する支持部材と、
前記手指が曲がる曲方向に前記ガイドの先端部を移動可能に前記ガイドの基端部と前記支持部材とを連結する連結部と、
前記ガイドの先端部を前記曲方向へ移動させることにより前記手指に接触する接触方向を変更可能な第2駆動部と、
を備えた請求項1又は請求項2に記載の感覚提示装置。
【請求項5】
前記手指としての親指の手根中手関節を支点とした前記親指の移動の軌道に沿って前記ガイドを移動させる移動機構を備えた請求項4に記載の感覚提示装置。
【請求項6】
前記ガイド、前記移動体、前記接触部、前記感覚付与機構及び前記駆動部を有する感覚提示装置本体と、
前記手指を有する手の手首周りに回転可能に前記感覚提示装置本体を支持する本体支持体と、
前記手の手首周りに前記感覚提示装置本体を回転させる回転機構と、
を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の感覚提示装置。
【請求項7】
前記回転機構による前記感覚提示装置本体の回転を制動するブレーキを備える請求項6に記載の感覚提示装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を提示する感覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を提示する感覚提示装置としては、力を与える装置が外部に固定されたものが実用化されている。ひとつは、ロボット機構を用いて把持部に力覚や触覚を生成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。他は、外部固定の駆動源にワイヤをつけて人間への提示箇所を位置変動させるもの(例えば、特許文献2参照)である。
【0003】
また、力覚を付与する装置が外部に固定されないものとしては、3個の回転制御モータに慣性モーメントの大きいディスクをつけ、回転角速度を変化させて力を生成する方法(例えば、特許文献3参照)、ジンバルを用いてジャイロモーメント生成して力を生成する方法、慣性モーメントの大きなディスクを回転させておいて、そのディスクをブレーキにより回転角速度を変化させて力を生成する方法(例えば、非特許文献1参照)などがある。
【0004】
また、指に力覚を生成するものとしては, ブレーキを用いた方法(例えば、特許文献4参照)、指サックを用いた方法(例えば、特許文献5参照)、指の提示位置を固定しているCyberGrasp(例えば、非特許文献2参照)などが開示されている。
【0005】
また、指に接触する接触位置を変更するアイデアが提案されている(例えば、非特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2007-510232号公報
【特許文献2】特開2003-172662号公報
【特許文献3】特開2004-177360号公報
【特許文献4】特開2000-99240号公報
【特許文献5】特開2002-182817号公報
【0007】

【非特許文献1】安藤英由樹,尾花和俊,渡邊淳司,杉本麻樹、前田太郎,「回転モーメントを利用した機械ブレーキ式力覚提示装置の開発」ヒューマンインタフェース論文誌,pp181-188,Vol.5 No.2,2003.
【非特許文献2】CyberGrasp catalog, Immersion Corp.
【非特許文献3】K. J. Kuchenbecker,W. R. Provancher, G. Niemeyer, M, R. Cutkosky: "Haptic Display of Contact Location", Proceedings of the 12th International Symposium on Haptic Interfaces for Virtual Environment and Teleoperator Systems, 2004.
【非特許文献4】横小路泰義,村守宣彦,吉川恒夫,“多指遭遇型ハプティックデバイスの設計”,日本バーチャルリアリティ学会第7 回大会論文集,pp. 69-72, 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来の装置において、把持部が固定されるものは、力覚及び触覚を提示する位置が変更できず、提示できる力覚及び触覚の自由度が低かった。また、力覚及び触覚を提示する位置を変更できる装置であっても、複雑な構成となっていた。
【0009】
本発明は、手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を提示する感覚提示装置において、簡易な構成で、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る感覚提示装置は、手指の背側に配置され、前記手指の根元側から指先側に沿って延びるガイドと、前記ガイドに移動可能に取り付けられた移動体と、前記移動体に設けられ、前記手指の腹側に接触する接触部と、前記接触部を介して前記手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する感覚付与機構と、前記移動体を前記ガイドに沿って移動させることにより前記接触部を移動させ、前記感覚付与機構が前記接触部を介して前記手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する付与位置を前記手指の根元側又は指先側へ変更可能にする駆動部と、を備えている。
【0011】
この構成によれば、接触部が手指の腹側に接触し、この接触部を介して、感覚付与機構が手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する。
【0012】
また、接触部が設けられた移動体が、手指の背側に配置されると共に手指の根元側から指先側に沿って延びるガイドに沿って移動することにより、接触部が移動し、接触部が手指に接触する接触位置が変更される。
【0013】
これにより、接触位置が変更しない構成に比して、手指に付与できる力覚及び触覚が多様となり、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることができる。
【0014】
また、請求項1では、手指の背側に配置されると共に手指の根元側から指先側に沿って延びるガイドに沿って移動体を移動させて接触位置を変更するので、従来の構成に比して簡易な構成で、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る感覚提示装置は、請求項1の構成において、前記ガイドは、前記手指が曲がる曲方向に指先側が湾曲しており、前記駆動部は、前記移動体を前記ガイドに沿って移動させることにより前記接触部を移動させ、前記感覚付与機構が前記接触部を介して前記手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する付与方向及び前記付与位置を変更可能にする
【0016】
この構成によれば、接触部が設けられた移動体が、手指が曲がる曲方向に指先側が湾曲しているガイドに沿って移動することにより、接触部が移動し、接触部が手指に接触する接触方向及び接触位置が変更できる。
【0017】
このように接触方向も変更できるので、接触方向が変更しない構成に比して、簡易な構成で、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることができる。
【0018】
本発明の請求項3に係る感覚提示装置は、請求項2の構成において、前記ガイドは、前記手指としての人差し指の根元から、前記人差し指の指先、前記手指としての親指の指先、前記親指の根元の順に沿って延び、前記接触部は、前記人差し指と前記親指とにそれぞれ配置され、それぞれが前記人差し指と前記親指とに接触し、前記移動体は、前記人差し指と前記親指とにそれぞれ配置され、それぞれに前記接触部の各々が設けられている。
【0019】
この構成によれば、1つのガイドにより、親指及び人差し指に配置された接触部を移動させられるので、部品点数が低減でき、簡易な構成で接触位置を変更できる。
【0020】
本発明の請求項4に係る感覚提示装置は、請求項1又は請求項2の構成において、前記手指の根元側に配置され、前記ガイドの基端部を支持する支持部材と、前記手指が曲がる曲方向に前記ガイドの先端部を移動可能に前記ガイドの基端部と前記支持部材とを連結する連結部と、前記ガイドの先端部を前記曲方向へ移動させることにより前記手指に接触する接触方向を変更可能な第2駆動部とを備えている。
【0021】
この構成によれば、第2駆動部が、ガイドの先端部を曲方向へ移動させることにより手指に接触する接触方向を変更できる。
【0022】
このように接触方向も変更できるので、接触方向が変更しない構成に比して、簡易な構成で、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることができる。
【0023】
本発明の請求項5に係る感覚提示装置は、請求項4の構成において、前記手指としての親指の手根中手関節を支点とした前記親指の移動の軌道に沿って前記ガイドを移動させる移動機構を備えている。
【0024】
この構成によれば、動きの自由度が高い親指に追従してガイドを移動できるので、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることができる。
【0025】
本発明の請求項6に係る感覚提示装置は、請求項1~5のいずれか1項に記載の構成において、前記ガイド、前記移動体、前記接触部、前記感覚付与機構及び前記駆動部を有する感覚提示装置本体と、前記手指を有する手の手首周りに回転可能に前記感覚提示装置本体を支持する本体支持体と、前記手の手首周りに前記感覚提示装置本体を回転させる回転機構と、を備える。
【0026】
この構成よれば、手の手首周りに感覚提示装置本体を回転させることができるので、手首の回転動作に対して力覚を提示することができる。
【0027】
本発明の請求項7に係る感覚提示装置は、請求項6の構成において、前記回転機構による前記感覚提示装置本体の回転を制動するブレーキを備える。
【0028】
この構成によれば、トルクを急激に変化させることができるので、手首の回転動作に対して、より大きな力覚を提示することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記構成としたので、手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を提示する感覚提示装置において、簡易な構成で、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本実施形態に係る力覚提示装置10の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る力覚提示装置本体13の構成を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る力覚提示装置本体13の構成を示す概略側面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る移動体40の構成を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、図4の5-5線断面図である。
【図6】図6(A)は、ガイド42に移動可能に取り付けられた移動体40の取り付け構造を示す概略側面図であり、図6(B)は、図6(A)の6B-6B線断面図である。
【図7】図7は、力覚提示装置10を制御する制御システムを示す図である。
【図8】図8は、変形例に係る力覚提示装置本体113の構成を示す概略斜視図である。
【図9】図9は、変形例に係る力覚提示装置200の構成を示す概略斜視図である。
【図10】図10は、変形例に係る力覚提示装置200における本体支持体202、回転機構210及びブレーキ220の構成を示す概略斜視図である。
【図11】図11(A)は、変形例に係る力覚提示装置200における回転機構210及びブレーキ220の構成を示す概略断面図であり、図11(B)(C)は、図11(A)の矢印A方向から見た図であり、(B)は接触位置にあるカム222を示し、(C)は非接触位置にあるカム222を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
本実施形態では、手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を提示する感覚提示装置として、手指に力覚を提示する力覚提示装置を説明する。

【0032】
感覚提示装置としては、力覚に加えて触覚を手指に提示する力覚提示装置であってもよく、手指に触覚のみを提示する触覚提示装置であってもよい。

【0033】
なお、力覚は、接触している物体から反力を受ける感覚をいい、触覚は、物体に接触した時の表面のザラザラ感などの皮膚感覚をいう。この力覚は、例えば、手指を押圧したり、手指に当接して手指の移動を規制したりすることにより、作用させることができる。また、触覚は、手指に接触する接触部に振動を与えるなどすることにより、作用させることができる。

【0034】
(本実施形態に係る力覚提示装置10の構成)
まず、本実施形態に係る力覚提示装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る力覚提示装置10の構成を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る力覚提示装置本体13の構成を示す概略斜視図である。図3は、本実施形態に係る力覚提示装置本体13の構成を示す概略側面図である。図4は、本実施形態に係る移動体40の構成を示す概略斜視図である。図5は、図4の5-5線断面図である。図6(A)は、ガイド42に移動可能に取り付けられた移動体40の取り付け構造を示す概略側面図であり、図6(B)は、図6(A)の6B-6B線断面図である。

【0035】
力覚提示装置10は、例えば、仮想空間にある仮想の対象をあたかも現実の対象であるかのように感じると共に操作することができる仮想物体操作システムに用いられる。

【0036】
仮想空間は、例えば、コンピューター上にデータとして構築され、コンピュータグラフィックスなどの手法を用いて映像化され、ディスプレー等に表示される。

【0037】
この映像化された仮想空間には、操作対象となる仮想物体と、その仮想物体を操作する操作者の仮想の手指とが表示される。

【0038】
力覚提示装置10は、操作者の現実の手指に装着され、現実の手指の実空間における位置と仮想の手指の仮想空間における位置との対応をとることができるようになっている。

【0039】
これにより、力覚提示装置10が装着された手指を動かすことで仮想の手指を動かし、仮想物体を操作することが可能となる。

【0040】
操作としては、例えば、仮想物体に接触すること、仮想物体を把持すること及び仮想物体を把持したままその物体を動かすことが可能である。

【0041】
力覚提示装置10は、操作者が、視覚的に仮想物体を操作していると感じるだけでなく、あたかも仮想物体を触ったり、把持したりしているような感覚を得られるように、操作者の手指に力覚を提示する。

【0042】
なお、力覚提示装置10は、組み立てや手術などの作業をスムーズに行うためのナビゲーションに用いたり、組み立てや手術などの作業を習熟するための訓練等に用いたりすることが可能である。以下、力覚提示装置10の具体的構成を示す。

【0043】
力覚提示装置10は、図1に示すように、力覚提示装置本体13と、力覚提示装置本体13を支持する支持機構70とを備えている。

【0044】
力覚提示装置本体13は、図1、図2及び図3に示すように、手指の背側に配置されると共に手指の根元側から指先側に沿って延びるガイド42,43と、ガイド42に移動可能に取り付けられた移動体40,41と、ガイド43に移動可能に取り付けられた移動体45と、手指の根元側に配置されると共にガイド42,43を支持する支持体60とを備えている。

【0045】
ガイド42,43及び移動体40,41,45は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、アルミニューム・マグネシウム素材で形成されている。支持体60は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やアルミニューム素材で形成されている。

【0046】
なお、ガイド42,43、移動体40,41,45及び支持体60は、軽量で剛性がある材料として、上記の材料を用いるのが好ましいが、上記の材料に限定されるものではなく、種々の材料を用いることできる。

【0047】
また、支持体60は、図2に示すように、環状(円筒状)に形成されており、手指(手)が差し入れられる中空部60Aが形成されている。支持体60の内周面には、ガイド42の一端部及び他端部と、ガイド43の一端部及び他端部とが取り付けられており、ガイド42,43が支持体60に固定されている。図3に示すように、支持体60の中空部60Aに手指(手)が差し入れられることにより、側面視にて、ガイド42と支持体60に囲まれて空間に手指が位置する。この位置において手指に力覚提示装置本体13が装着される。

【0048】
ガイド42は、手指としての人差し指fの根元から、人差し指fの指先、手指としての親指tの指先、親指tの根元の順に沿って延びており、一部が円弧状をしたU字状に形成されている。これにより、ガイド42は、人差し指fの指先側に配置された部位42Cが、人差し指fが曲がる曲方向Aに湾曲しており、親指tの指先側に配置された部位42Dが、親指tが曲がる曲方向Bに湾曲している。なお、手指が曲がる曲方向とは、具体的には、手指の根元側の部位に対して指先側の部位が動く方向である。

【0049】
また、ガイド42は、断面T字状に形成されている(図6(B)参照)。ガイド42は、T字の横棒をなす横板42Aと、その横棒の中央から延びるT字の縦棒をなす縦板42Bと、を備えて構成されている。

【0050】
ガイド43は、ガイド42と同様に、手指としての中指の根元から中指の指先に沿って延びており、一部が円弧状をしたU字状に形成されている。これにより、ガイド43は、中指の指先側に配置された部位が、中指が曲がる曲方向に湾曲している。また、ガイド43は、ガイド42と同様に、断面T字状に形成されている(図6(B)参照)。ガイド43は、T字の横棒をなす横板43Aと、その横棒の中央から延びるT字の縦棒をなす縦板43Bと、を備えて構成されている。

【0051】
移動体40は、図2及び図4に示すように、ガイド42を間において、ガイド42の横方向の両側からガイド42を挟む一対の側板40A,40Bを備えている。側板40A,40Bは、矩形状に形成されており、4つの隅部が軸部32で固定されている。

【0052】
側板40A,40Bには、縦板42Bに接触する回転体46A,46Bが、それぞれ回転可能に設けられており、移動体40は計4つの回転体を有している。回転体46A,46Bは、具体的には、側板40A,40Bに設けられた取付部(取付板)47に取り付けられている
回転体46A,46Bは、円盤状に形成されており、その外周面がそれぞれ縦板42Bに接触している。側板40Aに設けられた回転体46A,46Bと、側板40Bに設けられた回転体46A,46Bとが、それぞれ縦板42Bを介して対向配置されており、対向配置された2つの回転体46Aと対向配置された2つの回転体46Bとは、それぞれ縦板42Bを挟持している(図6(B)参照)。

【0053】
この回転体46A,46Bがガイド42の縦板42Bの表面を転がることにより、移動体40がガイド42に沿って移動した際に移動体40とガイド42との摩擦抵抗(移動抵抗)が低減される。

【0054】
また、側板40A,40Bには、横板42Aに接触する回転体48A,48Bが、それぞれ回転可能に設けられている。

【0055】
回転体48A,48Bは、円盤状に形成されており、横板42Aの一方の表面(縦板42Bが延出した側の面であって、手指配置側の内周面)に接触している。

【0056】
また、側板40A,40Bには、横板42Aに接触する回転体49A,49Bが、それぞれ回転可能に設けられている。

【0057】
回転体49A,49Bは、円盤状に形成されており、横板42Aの他方の表面に接触している。回転体49A,49Bは、それぞれ横板42Aを介して回転体48A,48Bと対向配置されており、回転体48A,48Bとで横板42Aを挟持している
この回転体49A,49Bと回転体48A,48Bとが、ガイド42の横板42Aの表面を転がることにより、移動体40がガイド42に沿って移動した際に移動体40とガイド42との摩擦抵抗(移動抵抗)が低減される。

【0058】
横板42Aの他方の表面には、図3に示すように、ラック50,51が形成されている。このラック50と噛み合うピニオン52が、移動体40を移動させるための駆動力を移動体40に付与する駆動部の一例としての駆動モータ44の駆動軸に取り付けられている。

【0059】
駆動モータ44は、側板40Bに固定されている。なお、ラック50は、図2において図示を省略している。

【0060】
以上のように、回転体46A,46Bでガイド42の縦板42Bを挟持すると共に、回転体48A,48Bと回転体49A,49Bとでガイド42の横板42Aを挟持することにより、移動体40は、ガイド42に移動可能に支持されている。

【0061】
そして、駆動モータ44が回転駆動することにより、ピニオン52が回転する。これにより、ピニオン52がラック50と噛み合って移動し、移動体40がガイド42に沿って図3におけるX方向へ移動するようになっている。移動体40は、具体的には、人差し指f(手指)の根元から指先に沿って延びる移動軌道であって人差し指fが曲がる曲方向Aに湾曲する移動軌道に沿って移動する。これにより、接触部12が手指に接触する接触位置及び接触部12が手指に接触する接触方向が変更される。

【0062】
また、移動体40の側板40Aには、手指側に延びる棒状のガイド22が設けられている。ガイド22は、側板40Aに一体的に形成されている。

【0063】
ガイド22には、人間の手指の腹側に接触する接触部12が移動可能に設けられている。なお、手指の腹側とは、手指で物体の把持した場合に物体が接触しうる接触面であり、爪のある指の背中側とは反対側の部分である。

【0064】
接触部12は、図4に示すように、L字状に屈曲する板体で形成されている。L字の一方の辺をなす板片12Aの表面に手指が置かれる。L字の他方の辺をなす板片12Bは、ガイド22の長手方向Yへ移動可能にガイド22に取り付けられている。

【0065】
また、移動体40には、接触部を介して手指に力覚及び触覚の少なくとも一方を付与する感覚付与機構の一例として、接触部12を介して力覚を付与する力覚付与機構20が設けられている。力覚付与機構20は、上記のガイド22と、接触部12に駆動力を付与する駆動部の一例としての駆動モータ24と、駆動モータ24の駆動力を接触部12に伝達する伝達機構26と、を備えて構成されている。

【0066】
伝達機構26は、接触部12が固定された環状のワイヤ28と、ワイヤ28が巻き掛けられた一対のプーリ30、33と、を備えて構成されている。

【0067】
駆動モータ24は、側板40Bに支持されており、駆動モータ24の駆動軸には、一方のプーリ30が取り付けられている。

【0068】
他方のプーリ33は、ガイド22の先端部に回転可能に取り付けられている。ワイヤ28は、固定部28Aにより、接触部12の板片12Bに固定されている。

【0069】
駆動モータ24が回転駆動することにより、プーリ30が回転し、ワイヤ28が回転(循環)する。接触部12は、ワイヤ28に固定された接触部12は、ワイヤ28が回転(循環)することにより、ガイド22に沿ってガイド22の長手方向Yへスライド移動する。これにより、人差し指fに当接したり、人差し指fを押圧したりすることにより、人差し指fに力覚を付与することができる。

【0070】
なお、手指に触覚を提示する構成の場合には、力覚付与機構20に加えて(力覚付与機構20に替えて)触覚付与機構が設けられる。触覚付与機構は、例えば、接触部12を振動させるように制御される駆動モータ24により構成することが可能である。駆動モータ24は、必要な周波数でON/OFFを繰り返しことで、ワイヤ28を通じて接触部12に振動を付与する。

【0071】
また、触覚付与機構としては、ワイヤ28に引っ張り力を変化させることによって、接触部12を振動させる構成とすることもできる。

【0072】
さらに、触覚付与機構としては、例えば、接触部12を振動させるバイブレータ等で構成され、手指に振動を与えることにより触覚を付与する構成とすることができる。

【0073】
ここで、移動体41・移動体45及びその移動体41・移動体45に設けられた各部材は、移動体40とその移動体40に設けられた各部材と同様に構成されているので、同様の機能を有する部分は、説明を省略し、主に異なる部分を説明する。

【0074】
移動体41は、移動体40の側板40Aと同様に構成された側板41Aと、移動体40の側板40Bと同様に構成された側板41Bを備えている。

【0075】
移動体41では、側板41Bにある駆動モータ44の駆動軸に取り付けられたピニオン52は、ラック51と噛み合うようになっている。また、移動体41では、接触部12が移動可能に取り付けられたガイド22は、側板41Aではなく、側板41Bに一体的に形成されている。

【0076】
また、移動体41は、手指として親指に配置され、移動体41には親指が接触する接触部12が設けられている。

【0077】
移動体45は、移動体40の側板40Aと同様に構成された側板45Aと、移動体40の側板40Bと同様に構成された側板45Bを備えている。

【0078】
移動体45では、側板45Bにある駆動モータ44の駆動軸に取り付けられたピニオン52は、ガイド43に形成されたラックと噛み合うようになっている。また、移動体45では、接触部12が移動可能に取り付けられたガイド22は、側板45Aではなく、側板45Bに一体的に形成されている。

【0079】
また、移動体45は、ガイド42と同様に構成されたガイド43に取り付けられており、移動体40及びその移動体40に設けられた各部材が、ガイド42に作用するのと同様に、移動体45及びその移動体45に設けられた各部材が、ガイド43に作用する。

【0080】
また、移動体45は、手指として中指に配置され、移動体45には中指が接触する接触部12が設けられている。これにより、各手指(親指t、人差し指f、中指)に独立して力覚を付与することができる。

【0081】
各移動体40,41,45の接触部12に各手指が接触することにより、力覚提示装置本体13が手指に装着される。

【0082】
支持機構70は、図1に示すように、支持フレーム72と、支持フレーム72に回転可能に取り付けられた巻き掛けロール73と、巻き掛けロール73を回転駆動する駆動モータ74と、一端部が巻き掛けロール73に巻き掛けられたと共に他端部が力覚提示装置本体13に取り付けられたワイヤ76とを備えて構成されている。なお、支持機構70としては、多軸のロボット機構を用いることもできる。

【0083】
支持フレーム72は、直方体に骨組みされている。巻き掛けロール73は、支持フレーム72の8つの隅部にそれぞれ配置されている。

【0084】
各ワイヤ76は、一端部が力覚提示装置本体13に固定され、巻き掛けロール73に巻き掛けられている。駆動モータ74が巻き掛けロール73を一方に回転駆動することにより、巻き掛けロール73にワイヤ76が巻き付けられ、駆動モータ74が巻き掛けロール73を他方の回転駆動することにより、巻き掛けロール73からワイヤ76が巻き出される。

【0085】
これにより、力覚提示装置本体13(手及び手指)の姿勢制御をすること、及び力覚提示装置本体13の全体に力を作用させることが可能となり、外部から手指全体にかかる力覚を提示できる。外部から手指全体にかかる力覚としては、例えば、物体の重力、慣性力がある。

【0086】
下方にある巻き掛けロール73にワイヤ76を巻き付けて力覚提示装置本体13を下方へ引っ張ることにより、重力を作用させることができる。仮想物体が重量の重い場合には、重量が軽い場合に比して、力覚提示装置本体13を引っ張る量を増加させる。

【0087】
また、把持した仮想物体を動かしたときに発生する慣性力は、物体を動かした方向にある巻き掛けロール73にワイヤ76を巻き付けて力覚提示装置本体13を引っ張ることにより、作用させることができる。仮想物体を速く動かした場合には、遅く動かした場合に比して、力覚提示装置本体13を引っ張る量を増加させる。

【0088】
なお、力覚提示装置本体13においては、力覚を提示していないときには、各部は自由状態となっており、力覚提示装置本体13が装着された手指は自由に動かすことができるようになっている。また、各駆動モータ24、44、74には、エンコーダが取り付けられており、その回転量を測定することにより手指の移動量を測定し、現実の手指の実空間における現在位置を把握できるようになっている。

【0089】
上記のように、本実施形態では、力覚等を提示するために駆動する駆動部としての各駆動モータ24、44、74に設けられたエンコーダから、直接的に手指の位置を計測するようになっており、外部から手指の位置を測定・推測して手指の位置を把握する方法とは異なる。

【0090】
また、移動体40,41,45を移動させるための駆動部、接触部12を移動させるための駆動部、力覚提示装置本体13を移動させるための駆動部は、種々の機構、機械要素を用いることができ、例えば、電磁気やボールねじを利用したリニアアクチュエータや、導電性高分子・イオン性高分子を用いたソフトアクチュエータを活用することも可能である。

【0091】
次に、力覚提示装置10を制御する制御システムを説明する。図7は、力覚提示装置10を制御する制御システムを示す図である。

【0092】
力覚提示装置10を制御する制御システム80は、コンピュータグラフィックスを活用して、仮想の手指やその手指で操作する仮想物体の3次元モデルを管理するシーン管理部82と、仮想の手指と仮想物体との干渉状態を計算する干渉判定部84と、仮想物体の重量や拘束などの静的条件(例えば、仮想物体にかかる重力)や動的な特性(例えば、移動する物体に作用する慣性力)を計算する物理シミュレーション部86と、を備えている。

【0093】
シーン管理部82は、予め設定される仮想物体の形状・大きさ、予め設定される手指(手)の形状・大きさ、予め設定される仮想物体の把持の仕方等の種々の条件に基づき、仮想の手指及び仮想物体の形状・大きさや初期状態における仮想物体と仮想の手指との位置関係等を決定する。また、シーン管理部82は、駆動モータ24、44、74のエンコーダにより現実の手指の実空間における現在位置を把握し、現実の手指の実空間における位置と仮想の手指の仮想空間における位置とを対応させるようになっており、現実の手指が移動するのに伴って仮想の手指を移動させる。

【0094】
干渉判定部84は、仮想物体を把持する仮想の手指と、その仮想物体との干渉状態を計算する。

【0095】
制御システム80は、図1に示す支持機構70のワイヤ76の巻き付け量及び巻き出し量を計算する支持機構計算部88と、支持機構70の駆動モータ74を駆動制御する支持機構コントローラ90とを備えている。

【0096】
支持機構計算部88は、干渉判定部84で計算された干渉状態及び物理シミュレーション部86で計算された静的条件及び動的な特性に基づき、力覚提示装置本体13に負荷する荷重を計算し、ワイヤ76の巻き付け量及び巻き出し量を計算する。支持機構コントローラ90は、支持機構計算部88が計算したワイヤ76の巻き付け量及び巻き出し量に基づき、駆動モータ74を駆動制御する。

【0097】
また、制御システム80は、手指に提示する力覚を計算する力覚計算部92を備えている。この力覚計算部92は、接触部12が手指に接触する接触位置(力覚を提示する提示位置)を計算する接触位置計算部94と、手指に提示する力覚の強度を計算する力覚強度計算部96とを備えている。

【0098】
さらに、制御システム80は、接触位置コントローラ98と、力覚強度コントローラ99とを備えている。

【0099】
接触位置計算部94は、予め設定される仮想物体の形状・大きさ、予め設定される手指(手)の形状・大きさ、予め設定される仮想物体の把持の仕方等の種々の条件に基づき、手指に接触する接触部12の接触位置が計算される。

【0100】
接触位置コントローラ98は、接触位置計算部94が計算した接触部12の接触位置に基づき、移動体40,41,45を移動させるための駆動モータ44を駆動制御する。

【0101】
力覚強度計算部96は、干渉判定部84で計算された干渉状態及び物理シミュレーション部86で計算された静的条件及び動的な特性に基づき、接触部12を介して力覚付与機構20によって手指に付与する力覚の強度を計算する。

【0102】
力覚強度コントローラ99は、力覚強度計算部96が計算した手指に付与する力覚の強度に基づき、駆動モータ24を駆動制御する。

【0103】
(本実施形態に係る力覚提示装置10の作用)
次に、実施形態に係る力覚提示装置10の作用を説明する。

【0104】
本実施形態に係る力覚提示装置10によれば、接触位置コントローラ98によって駆動モータ44の駆動が制御されると、ラック50と噛み合うピニオン52が回転して、移動体40がガイド42に沿って移動する。また、ラック51と噛み合うピニオン52が回転して、移動体41がガイド42に沿って移動する。また、ガイド43のラックと噛み合うピニオン52が回転して、移動体45がガイド43に沿って移動する。

【0105】
これにより、接触部12が所望の位置に移動し、接触部12が手指に接触する接触位置が変更される。

【0106】
また、本実施形態に係る力覚提示装置10では、移動体40,41,45は、手指が曲がる曲方向に指先側が湾曲しているガイド42,43に沿って移動するので、接触部12が手指に接触する接触方向が変更できる。

【0107】
このように、接触位置及び接触方向が変更できるので、手指に付与できる力覚が多様となり、提示できる力覚の自由度を高めることができる。

【0108】
また、本実施形態に係る力覚提示装置10では、手指の背側に配置されると共に手指の根元側から指先側に沿って延びるガイド42,43に沿って移動体40,41,45を移動させて接触位置を変更するので、従来の構成に比して簡易な構成で、提示できる力覚及び触覚の自由度を高めることができる。

【0109】
また、本実施形態に係る力覚提示装置10では、1つのガイド42により、親指及び人差し指に配置された接触部12を移動させられるので、部品点数が低減でき、簡易な構成で接触位置を変更できる。

【0110】
(本実施形態に係る力覚提示装置本体13の変形例)
次に、変形例に係る力覚提示装置本体13の構成を説明する。図8は、変形例に係る力覚提示装置本体113の構成を示す概略斜視図である。なお、上記の力覚提示装置本体13と同様に構成された部分については、同一符号を付してその説明を省略する。

【0111】
変形例に係る力覚提示装置本体113は、力覚提示装置本体13のガイド42,43を変形したものであり、力覚提示装置本体13のガイド42,43に替えて、ガイド141,142,143を備えている。

【0112】
ガイド141は、親指の背側に配置されると共に親指の根元側から指先側に沿って延びている。ガイド141には、移動体41が移動可能に取り付けられている。また、ガイド141には、ガイド42,43のラック50と同様のラックが形成されており、駆動モータ44でピニオン52を回転されることにより、移動体41をガイド141に沿って移動させられる。

【0113】
ガイド142は、人差し指の背側に配置されると共に人差し指の根元側から指先側に沿って延びている。ガイド142には、移動体40が移動可能に取り付けられている。また、ガイド142には、ガイド42,43のラック50と同様のラックが形成されており、駆動モータ44でピニオン52を回転されることにより、移動体40をガイド142に沿って移動させられる。

【0114】
ガイド143は、中指の背側に配置されると共に中指の根元側から指先側に沿って延びている。ガイド143には、移動体45が移動可能に取り付けられている。また、ガイド143には、ガイド42,43のラック50と同様のラックが形成されており、駆動モータ44でピニオン52を回転されることにより、移動体45をガイド143に沿って移動させられる。

【0115】
ガイド42,43では、手指の指先側に配置された部位が、手指が曲がる曲方向に湾曲していたが、ガイド141,142,143は直線状に形成されている。なお、ガイド141,142,143は、手指の指先側に配置された部位が、手指が曲がる曲方向に湾曲していてもよい。

【0116】
ガイド141,142,143は、それぞれ、基端部(支持端部)が、支持体60に取り付けられた支持部材148に支持されている。ガイド142,143を支持する支持部材148は、支持体60に固定されており、ガイド141を支持する支持部材148は、移動可能に支持体60に取り付けられている。

【0117】
ガイド141,142,143の基端部と支持部材148との間には、ガイド141,142,143の基端部と支持部材148を連結する連結部の一例としてのヒンジ150が配置されている。

【0118】
ヒンジ150は、手指が曲がる曲方向及びその反対方向X1にガイド141,142,143の先端部を移動可能に連結している。

【0119】
ガイド141,142,143と支持部材148との間には、それぞれ、ガイド141,142,143の先端部を手指が曲がる曲方向及びその反対方向X1へ移動させる第2駆動部としてのリニアアクチュエータ152が配置されている。

【0120】
リニアアクチュエータ152の一端部は、ガイド141,142,143にそれぞれに取り付けられており、他端部は、支持部材148に取り付けられている。具体的には、リニアアクチュエータ152の本体が支持部材148に固定され、リニアアクチュエータ152の伸縮可能なロッド152Aの先端部が、ガイド141,142,143に固定されている。ロッド152Aが縮むことによりガイド141,142,143の先端部が曲方向に移動し、ロッド152Aが伸びることによりガイド141,142,143の先端部が曲方向の反対方向へ移動する。なお、リニアアクチュエータ152としては、例えば、電磁気やボールねじを利用したものや、導電性高分子・イオン性高分子を用いたソフトアクチュエータを活用することも可能である。

【0121】
以上の構成により、移動体40,41,45の接触部12が手指に接触する接触位置及び接触方向が変更可能となる。

【0122】
なお、図8においては、移動体40,41,45をそれぞれ概略的に記載している。また、ガイド141に移動体41が取り付けられ、ガイド142に移動体40が取り付けられ、ガイド143に移動体45が取り付けられていたが、ガイド141,142,143には、適宜、移動体40,41,45のいずれかを用いることができる。

【0123】
ところで、親指は、手根中手関節を支点として、手のひらに対面する位置と手のひらの側方位置との間を横方向へ動くため、親指の移動の自由度が高い。そこで、変形例に係る力覚提示装置本体113では、親指の手根中手関節を支点とした親指の移動の軌道に沿って、ガイド141を移動させる移動機構160を備えている。

【0124】
移動機構160は、支持部材148を支持体60に沿って移動可能に支持体60に取り付ける取付部162と、支持体60の外周面に形成されたラック164と、ラック164に噛み合うピニオン166と、ピニオン166を回転駆動する駆動モータ168とを備えている。

【0125】
この構成では、駆動モータ168がピニオン166を回転駆動することにより、取付部162、支持部材148、ヒンジ150、ガイド141が一体に、支持体60に沿って円弧状に移動する。これにより、ガイド141が親指の手根中手関節を支点とした親指の移動の軌道に沿って移動する。

【0126】
この構成によれば、ガイド141,142,143の先端部の向きを変えることより、移動体40,41,45の接触部12の接触位置に加えて、接触方向も変更できるので、提示できる力覚の自由度を高めることができる。

【0127】
また、動きの自由度が高い親指に追従してガイド141を移動できるので、提示できる力覚の自由度を高めることができる。

【0128】
なお、ガイド141を支持体60に沿って移動させるための駆動部は、種々の機構、機械要素を用いることができ、例えば、電磁気やボールねじを利用したリニアアクチュエータや、導電性高分子・イオン性高分子を用いたソフトアクチュエータを活用することも可能である。

【0129】
(変形例に係る力覚提示装置200の構成)
次に、変形例に係る力覚提示装置200の構成を説明する。図9~図11は、変形例に係る力覚提示装置200の構成を示す概略図である。なお、変形例に係る力覚提示装置200における力覚提示装置本体13及び支持機構70は、上記と同様の構成であるので、同一符号を付してその説明を省略する。

【0130】
変形例に係る力覚提示装置200は、図9及び図10に示すように、手指を有する手の手首周り(手首の軸周り)に回転可能に力覚提示装置本体13を支持する本体支持体202と、手首周りに力覚提示装置本体13を回転させる回転機構210と、を備えている。

【0131】
本体支持体202は、内径が、力覚提示装置本体13の支持体60の外径よりも大径とされた環状(円筒状)の第1支持部材204と、外径が第1支持部材204の内径よりも小径とされた環状(円筒状)の第2支持部材206と、を備えている。

【0132】
第1支持部材204及び第2支持部材206は、力覚提示装置本体13が装着される手の手首周りに沿って配置される。また、第2支持部材206は、図10及び図11(A)に示すように、第1支持部材204の内周側に配置されている。

【0133】
また、第1支持部材204には、図9に示すように、一端部が巻き掛けロール73に巻き掛けられた各ワイヤ76の他端部が取り付けられており、第1支持部材204は、支持機構70によって支持されている。このように、力覚提示装置200では、本体支持体202を介して力覚提示装置本体13が支持機構70に支持されている。

【0134】
第2支持部材206は、自らの軸周りに回転可能に第1支持部材204に支持されている。第2支持部材206は、例えば、ボールベアリングのように、第1支持部材204と第2支持部材206との間に介装された球状のボールによって回転可能に支持される。なお、第2支持部材206を回転可能に支持する構成としては、種々の構成とすることが可能である。

【0135】
第2支持部材206には、力覚提示装置本体13の支持体60が固定されており、第2支持部材206と力覚提示装置本体13とは一体に回転するようになっている。これにより、力覚提示装置本体13は、力覚提示装置本体13が手指に装着された状態においては、手首の軸周りに回転することになる。

【0136】
なお、本体支持体202としては、第1支持部材204及び第2支持部材206が環状に形成されたものに限られず、例えば、一部が切り欠けられていてもよく、種々の形状とすることが可能である。また、本体支持体202は、第1支持部材204のみで構成されていてもよい。この場合は、力覚提示装置本体13が直接、第1支持部材204に支持される。

【0137】
回転機構210は、図10及び図11(A)に示すように、第2支持部材206の外周面に形成されたラック212と、このラック212と噛み合うピニオン214と、ピニオン214を回転駆動するための駆動モータ216とを備えている。ピニオン214は、第1支持部材204に非接触とされた状態で、第2支持部材206と第1支持部材204との間に配置されると共に、駆動モータ216の駆動軸216Aに固定されている。駆動モータ216は、ブラケット218を介して第1支持部材204に固定されている。

【0138】
この構成によれば、駆動モータ216がピニオン214を回転駆動することにより、ラック212が形成された第2支持部材206を回転させる。これにより、力覚提示装置本体13が、手首の軸周りに回転し、手首の回転動作に対して、力覚を提示することができる。

【0139】
なお、回転機構210としては、上記構成に限られず、例えば、ワイヤやベルトなどの他の機械要素を用いた構成としてもよく、種々の構成とすることが可能である。

【0140】
また、力覚提示装置200においては、力覚を提示していないときには、第2支持部材206は第1支持部材204に対して回転自在とされており、力覚提示装置本体13が装着された手の手首は自由に動かすことができるようになっている。また、駆動モータ216には、エンコーダが取り付けられており、その回転量を測定することにより手首の回転量を測定し、現実の手首の実空間における回転位置を把握できるようになっている。

【0141】
変形例に係る力覚提示装置200は、回転機構210による力覚提示装置本体13の回転を止めるブレーキ220を備えている。このブレーキ220は、図10及び図11(A)に示すように、第2支持部材206の回転軸方向に沿った回転軸を有するカム222と、カム222の回転角を制御する駆動モータ224とを備えている。

【0142】
カム222は、第1支持部材204と第2支持部材206との間に配置されると共に、駆動モータ224の駆動軸224Aに固定されている。駆動モータ224は、ブラケット226を介して第1支持部材204に固定されている。

【0143】
また、カム222は、回転軸から距離が一定ではない外周を有しており、外周が第1支持部材204及び第2支持部材206に接触する接触位置(図11(B))と、外周が少なくとも第2支持部材206に接触しない非接触位置(図11(C))との間を回転するようになっている。

【0144】
これにより、駆動モータ224によりカム222を非接触位置に回転させることで、第2支持部材206が回転する際の回転負荷が生じないようにすることができる。
また、駆動モータ224によりカム222を接触位置に回転させることで、カム222の外周を第1支持部材204及び第2支持部材206に接触させて、力覚提示装置本体13の回転が制動される。これにより、トルクを急激に変化させることができるので、力覚提示装置本体13が装着された手の手首の回転動作に対して、より大きな力覚を提示することが可能となる。

【0145】
なお、カム222は回転角によって第2支持部材206との接触面積が変化するように構成されていてもよい。これにより、回転する第2支持部材206の制動力を調整でき、提示される力覚を調整可能となる。また、カム222の表面に、摩擦力を高めるための摩擦材を貼り付けて、制動効率を向上させるように構成してもよい。また、ブレーキ220としては、上記の構成に限られず、種々の構成を用いることが可能である。

【0146】
また、変形例に係る力覚提示装置200は、力覚提示装置本体13を備える構成であったが、力覚提示装置本体13に替えて、上述した力覚提示装置本体113を備える構成であっても良い。

【0147】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0148】
10 力覚提示装置(感覚提示装置)
12 接触部
13 力覚提示装置本体
20 力覚付与機構(感覚付与機構)
40 移動体
41 移動体
42 ガイド
43 ガイド
44 駆動モータ(駆動部)
45 移動体
113 力覚提示装置本体
141 ガイド
142 ガイド
143 ガイド
148 支持部材
150 ヒンジ(連結部)
152 リニアアクチュエータ(第2駆動部)
160 移動機構
202 本体支持体
210 回転機構
220 ブレーキ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10