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明細書 :セラミックス膜、発光素子及びセラミックス膜の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4921242号 (P4921242)
公開番号 特開2008-285339 (P2008-285339A)
登録日 平成24年2月10日(2012.2.10)
発行日 平成24年4月25日(2012.4.25)
公開日 平成20年11月27日(2008.11.27)
発明の名称または考案の名称 セラミックス膜、発光素子及びセラミックス膜の製造方法
国際特許分類 C01G   9/02        (2006.01)
C23C  24/04        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
H05B  33/14        (2006.01)
H05B  33/10        (2006.01)
FI C01G 9/02 A
C01G 9/02 B
C23C 24/04
B82B 1/00
B82B 3/00
H05B 33/14 Z
H05B 33/10
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願2007-129294 (P2007-129294)
出願日 平成19年5月15日(2007.5.15)
審査請求日 平成22年4月26日(2010.4.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
発明者または考案者 【氏名】栗田 ふみ
【氏名】福島 英子
【氏名】藤田 恭久
個別代理人の代理人 【識別番号】100097113、【弁理士】、【氏名又は名称】堀 城之
【識別番号】100124316、【弁理士】、【氏名又は名称】塩田 康弘
審査官 【審査官】田澤 俊樹
参考文献・文献 特開2003-041363(JP,A)
特開2006-188046(JP,A)
特開2004-043893(JP,A)
特開2001-152360(JP,A)
特開2006-097087(JP,A)
特開2006-127780(JP,A)
調査した分野 C01G 1/00-99/00
C23C 24/00-30/00
B82B 1/00-3/00
H05B 33/00-33/28
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
結晶構造が六方晶の酸化亜鉛(ZnO)からなる金属化合物層を主体とし、非晶質基板の上に形成されたセラミックス膜において、下記の式を満足することにより、前記金属化合物相は実質的にa軸配向性を有することを特徴とするセラミックス膜。
X/Y≧1
ここで、
X:前記セラミックス膜のa軸に直交するいずれかの結晶面のX線回折強度の中の最大値
Y:前記金属化合物からなる粉末のX線回折強度が最大値となる結晶面と同一の結晶面における前記セラミックス膜のX線回折強度
【請求項2】
前記非晶質基板はガラス基板であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス膜。
【請求項3】
前記セラミックス膜が発光膜であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス膜。
【請求項4】
請求項3に記載のセラミックス膜を有することを特徴とする発光素子。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセラミックス膜の製造方法であって、アスペクト比が2~7の範囲の粒子を個数比で5~30%含む結晶構造が六方晶の金属化合物粉末を気体と混合してエアロゾルを形成し、減圧雰囲気でエアロゾルをノズルから被成膜体へ噴射し、被成膜体にセラミックス膜を形成するセラミックス膜の製造方法。
【請求項6】
前記金属化合物粉末が粒径0.05~1μmの一次粒子で構成されていることを特徴とする請求項5に記載のセラミックス膜の製造方法。
【請求項7】
前記金属化合物粉末のせん断付着応力が0.5~4kPaであることを特徴とする請求項5又は6に記載のセラミックス膜の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス膜とその製造方法並びに当該セラミックス膜を発光膜とする発光素子に関するものであり、特に結晶軸が特定の方向に配向した金属酸化物相を有するセラミックス膜及びその膜をエアロゾルデポション法を用いて製造する製造方法並びに当該セラミックス膜を発光膜とする発光素子に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子の発光膜に関する技術の一例が特許文献1に記載されている。この電界発光素子は、平面型画像表示装置(いわゆるフラットパネルディスプレイ:FPD)の一種であるEL素子として使用されるものである。なお、以下、本発明の理解のために発光膜に係わる技術を中心に説明をするが、本発明は発光膜のみに制限されない。
【0003】
特許文献1の電界発光素子は、透明電極間に発光層、誘電体層、電荷供給層を有し、その発光層は、例えばスパッタ法若しくはCVD法で、又は金属化合物(ZnO等)からなる蛍光体粒子を用いエアロゾルデポジション法で形成されている。
【0004】
近年、FPDの消費電流の低減及び画像品質の向上の要求に伴い、FPDを構成する発光素子に対しても発光特性や電気特性の向上が求められている。ここで、当該発光素子の発光膜を構成する金属化合物セラミックスは、結晶面の方向により電気特性、磁気特性又は誘電特性等の特性が異なるため、結晶配向を制御することで電気特性や磁気特性等を向上させた材料を得ることが可能となる。
【0005】
そこで、近年、上記発光膜又はインクジェットノズルを構成する圧電膜その他種々の機能性部材として用いられる金属化合物セラミックス膜の特性を向上させるため、特定の結晶面について配向させる技術の開発が行われており、その一例が特許文献2に開示されている。
【0006】
特許文献2には、常温で成膜しても、被成膜体への密着性が高く、緻密な膜を形成することが可能なエアロゾルデポジション法を用いた成膜方法が開示されている。すなわち、特許文献2の成膜方法は、原料の粉体を容器に収納し、前記容器にキャリアガスを導入することにより、前記原料の粉体を含むエアロゾルを生成する工程 と、前記生成されたエアロゾルの流路に磁場を印加することにより、エアロゾルに含まれる原料の粉体における結晶方位を配向させる工程 と、前記磁場が印加されたエアロゾルを基板に吹き付けることにより、結晶方位が配向した原料の粉体を前記基板上に堆積させる工程と、を具備する成膜方法である。かかる成膜方法よれば、原料粉体を含むエアロゾルに磁場を印加して粉体の結晶方位を制御するので、基板上に堆積した膜の結晶方位を所望の向きに配向できるという利点がある。
【0007】

【特許文献1】特開2006-127780号公報
【特許文献2】特開2006-97087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載されている成膜方法では、当該成膜方法を実施する成膜装置は、原料粉体を含むエアロゾルが流通する流路に磁場を印加するための超伝導磁石や冷却装置その他の設備備えている必要があり成膜装置が複雑化し、成膜コストが高価となる。更に、特許文献2の成膜方法においては、流路を通過するエアロゾルに含まれる全ての原料粒子に磁場が印加されるため、全ての原料粉体が配向することになる。ここで、所望の特性をもつセラミックス膜を得るために、配向性が100%である必要はない。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するために発明者が鋭意検討のうえなされたものであり、特定方向に結晶が配向した新規なセラミックス膜及びそのセラミックス膜を工業生産上より簡便に得ることのできる製造方法、並びに当該セラミックス膜を発光膜とする発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、結晶構造が六方晶の酸化亜鉛(ZnO)からなる金属化合物層を主体とし、非晶質基板の上に形成されたセラミックス膜、X/Y≧1(ここで、X:前記金属化合物相のa軸に直交するいずれかの結晶面のX線回折強度の中の最大値、Y:前記金属化合物からなる粉末のX線回折強度が最大値となる結晶面と同一の結晶面における前記セラミックス膜のX線回折強度)を満足し、前記金属化合物相は実質的にa軸配向性を有することを特徴とするセラミックス膜である。かかるセラミックス膜によれば、六方晶の金属化合物相を主体としたセラミックス膜において、上記式を満たすことにより前記金属化合物相は実質的にa軸配向性を有しているので、電気特性や磁気特性等に優れたセラミックス膜を提供することができる。例えば当該セラミックス膜を発光膜として用いた場合に、極めて低い電気抵抗を有する発光膜を具現することができるので、低消費電流のFPDを構成することが可能となる。この際、非晶質基板としては、ガラス基板を用いることができる。

【0010】
なお、セラミックス膜が発光膜である場合には、上記金属化合物相に希土類金属等の元素がドープされていてもよい。

【0011】
請求項4に係る発明は、上記発光膜として用いる場合に好ましい金属酸化物相を有するセラミックス膜で構成された発光素子である。かかる発光素子によれば、ZnOで構成されたセラミックス膜が発光膜となっているので、極めて低い消費電流で、発光することができる。

【0012】
請求項5に係る発明は、上記セラミックス膜の製造方法であって、アスペクト比が2~7の範囲の粒子を個数比で5~30%含む結晶構造が六方晶の金属化合物粉末を気体と混合してエアロゾルを形成し、減圧雰囲気でエアロゾルをノズルから被成膜体へ噴射し、被成膜体にセラミックス膜を形成するセラミックス膜の製造方法である。かかる製造方法によれば、金属化合物粉末を含むエアロゾルを被成膜体へ噴射し成膜するエアロゾルデポジション法において、結晶構造が六方晶である金属化合物粉末を用いることにより結晶構造が六方晶のセラミックス膜を形成でき、さらに当該金属化合物粉末のうち個数比で5~30%の粉末のアスペクト比が2~7の範囲とすることにより、上記a軸配向性を有するセラミックス膜を容易に形成することができる。なお、アスペクト比とは、金属化合物粉末の粒子の長径を短径で除したものである。
【0013】
上記製造方法において、金属化合物粉末に関する数値限定理由について説明する。上記製造方法でa軸配向性を有するセラミックス膜を形成するためには、アスペクト比が2~7の粒子を個数比で5~30%含んでいる金属化合物粉末を使用する必要がある。アスペクト比が2未満の場合には、粒子の形態が粒状に近いため、成膜時に一様な方向を向きやすく、a軸配向性を示さない。また、アスペクト比が7を超える場合には、粒子の形態が針状又は板状であるので、膜を形成することが困難となる。また、a軸配向性は、粒子のa軸方向が被成膜体と平行になるよう堆積することによって得られると考えられる。上記範囲のアスペクト比を有する粒子を含む粉体であっても、そのような粒子が個数比で5%未満の場合には、膜形成時に一様な方向を向きやすい粒子が多いので、a軸配向性を有するセラミックス膜が得られない。また、30%を超える場合は、膜形成時に粒子間の密着性に乏しくなるので、セラミックス膜を形成することが困難となる。より好ましくは、アスペクト比が2~5の粒子を7~30%含む粉末である。
【0014】
なお、上記金属化合物粉末の粒子は、0.05~1μmの一次粒子で構成されていることが望ましい。粒子径が1μmより大きいと、膜化に十分な衝撃力を付与することが困難となり、膜を形成できない場合がある。また、0.05μmより小さいと、一次粒子同士の凝集力が大きくなり、基板への衝突時に十分な密着力が得られない。
【0015】
更に、上記金属化合物粉末の粒子は、せん断付着応力値が0.5~4kPaであることが望ましい。ここで、せん断付着応力は、粉体流動性分析装置(シスメックス株式会社製 FT4)により測定したものである。せん断付着応力が0.5kPa未満の場合には、一次粒子同士がネック成長等の状態で強固に結合した粒子となっているので、膜化に十分な衝撃力を付与することができず、膜化が困難である。また、せん断付着応力が4kPaを超えると、粒子同士の凝集力が大きくなり、基板への衝突時に十分な密着力が得られないため、膜を形成できない。また、膜化できた場合でも均一に形成することは困難である。なお、かかるせん断付着応力値の範囲内の粒子は、金属化合物粉末を例えば熱処理して形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記説明のとおり結晶構造が六方晶の金属化合物相を主体としたセラミックス膜が実質的にa軸配向性を有しているので、電気特性や磁気特性等に優れたセラミックス膜を提供することができる。例えば、発光材料でセラミックス膜を形成した場合、当該セラミックス膜を発光膜とする低抵抗で、高発光効率の発光素子を構成することが出来る。また、上記説明した特定範囲の粒形態を有する金属化合物粉末を用いてエアロゾルデポジション法で成膜することにより上記セラミックス膜を極めて容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここで図1は本発明の実施形態に係る成膜装置の概略構成図である。
【0018】
成膜装置は、図1に示すように、成膜室1、エアロゾル生成室2、ガスボンベ3、真空ポンプ4で構成されている。成膜室1内には、被成膜体である基板5を固定するとともに水平方向に駆動させる基板駆動装置6、基板駆動装置6に固定された基板5にエアロゾルを噴射する、開口部を有するノズル7が配置されている。ノズル7は、エアロゾル生成室2と搬送管8を介して接続されている。なお、以下で説明する実験例においては、開口部の長さが5mm、幅が0.3mmのノズル7を用いた。真空ポンプ4は成膜室1に配管を介して接続され、成膜室1を減圧雰囲気にすることができる。エアロゾル生成室2は密閉容器であり、底部に設けられた振動器10を備え、更に配管を介して接続されたガスボンベ3からキャリアガスが供給される。
【0019】
上記成膜装置の動作について説明する。基板5を基板駆動装置6に固定した後に成膜室1を密閉する。また、エアロゾル生成室2に金属化合物からなる原料粉末9を収容する。振動器10によりエアロゾル生成室2に振動を与えながら、ガスボンベ3からキャリアガスを供給することにより、原料粉末9を含むエアロゾルを生成する。そして、真空ポンプ4を作動させることにより成膜室1を減圧雰囲気とする。すると、成膜室1とエアロゾル生成室2との圧力差により、エアロゾル生成室2から搬送管8を介してエアロゾルがノズル7に供給され、基板駆動装置6で水平方向に移動している基板5にエアロゾルが噴射される。以上により、エアロゾル中の原料粉末粒子が高速で基板5に衝突し、その衝撃力により基板5にセラミックス膜が形成される。また、基板5は基板駆動装置6で水平方向に移動しているので、所定の面積を有するセラミックス膜が形成される。
【0020】
次に、本発明に係るセラミックス膜の評価方法について説明する。
まず、セラミックス膜の結晶配向性についてZnOの場合を例にとって、説明する。まず、ZnO粉末を粒子の大きさが少なくとも10μm以下で、極端な微粉砕はせずに同一の範囲のサイズにそろえ、結晶の方位がすべての方向に均一に分布するように、X線回折用試料を準備する。
【0021】
次に、上記粉末試料と本発明に係るa軸配向性を有するZnO相で構成されたセラミックス膜を有する基板(配向性基板)とを、それぞれX線回折する。ここで、粉末試料のX線回折パターンにおいて、回折強度が最大となる結晶面は(101)であり、a軸に直交するいずれかの結晶面のうち、X線回折強度が最大となる結晶面は(100)であった。無配向性試料の場合、(101)面の回折強度に対する(100)面の回折強度の比(以下(100)/(101)強度比と表現する場合がある。)は、1未満である。配向性基板のZnO相のX線回折パターンにおいて、(100)/(101)強度比を求めることで、a軸配向性を評価することができる。
以上、セラミックス膜を構成する金属化合物相がZnO相である場合の、a軸配向性の評価方法について説明したが、結晶構造が六方晶であるその他の金属化合物粉末について、a軸に直交するいずれかの結晶面のうちX線回折強度が最大となる結晶面と、最も回折強度の大きい結晶面を表1に示す。
【0022】
また、セラミックス膜の電気抵抗は、プローブの間隔が約1mm及び電流100mAの条件にて、四探針法によって行った。
【0023】
【表1】
JP0004921242B2_000002t.gif

【0024】
上記原料粉末として用いる金属化合物粉末の評価方法について説明する。粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡によって粒子像を観察し、粒子の長径と短径を計測して評価した。粒子の個数比は、同じく走査型電子顕微鏡により粒子像を観察し、アスペクト比が2~7の粒子の個数とそれ以外の粒子の個数を計数して、計算した。一次粒子径は、同様に走査型電子顕微鏡により観察し、計測した。また、せん断付着応力の評価は、シスメックス株式会社製の粉体流動性分析装置(型式:FT4)により行った。
【0025】
以下、上記成膜装置1でZnO粉末を用いてガラス基板にZnO相のセラミックス膜を形成した実験例について説明する。ここで、表2、3に、以下の実験例1~7について、それぞれの成膜条件と特性評価結果を示す。また、表4、表5に、実験例8~12の実験条件と特性評価結果を示す。なお、本実施例では、セラミックス膜を成膜する被成膜体としてガラス基板を用いているが、金属製又は樹脂製の基板等を用いることができることは言うまでもない。
【0026】
(実験例1)
アスペクト比が2~7の粒子を個数比で30%含むZnO粉末を用い、表2に示すように、キャリアガスとして流量6L/minのヘリウムガスを使用し、成膜室1の圧力が0.2~0.8kPa、エアロゾル生成室2の圧力が40~50kPaの成膜条件にてセラミックス膜を形成した。なお、実験例1で使用したZnO粉末の粒子の形態は図2(a)に示すように、一次粒子径が0.05~0.3μmであった。成膜されたセラミックス膜についてX線回折測定を行った結果、(100)/(101)強度比は2であり、このセラミックス膜はa軸配向性を有することが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、15Ω・cmであった。

【0027】
(実験例2)
アスペクト比が2~5の粒子を個数比で10%含むZnO粉末を用い、表2の成膜条件以外は上記実験例1と同様にセラミックス膜を形成した。実験例2で使用したZnO粉末の粒子の形態は図2(b)に示すように、一次粒子径が0.07~0.6μmであった。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比は3であり、a軸配向性を有することが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、12Ω・cmであった。
【0028】
(実験例3)
アスペクト比が2~4の粒子を個数比で7%含むZnO粉末を用い、表2の成膜条件以外は上記実験例1と同様にセラミックス膜を形成した。実験例3で使用したZnO粉末の粒子の形態は図2(c)に示すように、一次粒子径が0.1~0.7μmであった。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比はであり、a軸配向性を有することが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、Ω・cmであった。

【0029】
(実験例4)
アスペクト比が2~3の粒子を個数比で5%含むZnO粉末を用い、表2の成膜条件以外は上記実験例1と同様にセラミックス膜を形成した。実験例4で使用したZnO粉末の粒子の形態は図2(d)に示すように、一次粒子径が0.2~1.1μmであった。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比は1であり、a軸配向性を有することが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、87Ω・cmであった。
【0030】
(実験例5)
アスペクト比が2~20の粒子を個数比で50%含むZnO粉末を用い、表2の成膜条件以外は上記実験例1と同様にセラミックス膜形成を試みた。実験例5で使用したZnO粉末の粒子の形態は図2(e)に示すように、一次粒子径が0.03~0.4μmであった。しかし、膜を形成できなかった。
【0031】
(実験例6)
アスペクト比が2~3の粒子を個数比で2%含むZnO粉末を用い、表2の成膜条件以外は上記実験例1と同様にセラミックス膜を形成した。実験例6で使用したZnO粉末の粒子の形態は図2(f)に示すように、一次粒子径が0.3~1.0μmであった。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比は0.5であり、a軸配向性を有しないことが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、265Ω・cmであった。
【0032】
(実験例7)
アスペクト比が1~2の粒子からなるZnO粉末を用い、表2の成膜条件以外は上記実験例1と同様にセラミックス膜形成を試みた。実験例7で使用したZnO粉末の粒子の形態は図2(g)に示すように、一次粒子径が0.5~1.5μmであった。しかし、膜を形成できなかった。
【0033】
【表2】
JP0004921242B2_000003t.gif

【0034】
【表3】
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【0035】
実験例1~5で形成したセラミックス膜のX線回折パターンを図3、X線回折結果から求めた(100)/(101)比と抵抗率の関係を図4に示す。表3の実験例1~7からアスペクト比が2~7の粒子を5~30%含むZnO粉末を用いることにより健全なセラミックス膜を形成できるとともに当該セラミックス膜の(100)/(101)強度比は1以上となり、セラミックス膜はa軸配向性を示すことが判った。また、実験例1~3から、上記粒子を構成する一次粒子径が0.05~1μmの範囲であれば、20Ω・cm以下と極めて低い抵抗率を有するセラミックス膜を形成できることが判った。このように抵抗率の低いセラミックス膜は、発光素子の発光膜として用いるのに適している。
【0036】
次に、ZnO粉末のせん断付着応力を検討した結果について、説明する。
【0037】
【表4】
JP0004921242B2_000005t.gif

【0038】
(実験例8)
アスペクト比が2~7の粒子を個数比で30%含み、せん断付着応力が3.81kPaのZnO粉末を用い、表4に示すように、キャリアガスとして流量6L/minのヘリウムガスを使用し、成膜室1の圧力が0.2~0.8kPa、エアロゾル生成室2の圧力が40~50kPaの成膜条件にてセラミックス膜を形成した。成膜されたセラミックス膜についてX線回折測定を行った結果、(100)/(101)強度比はであり、このセラミックス膜はa軸配向性を有することが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、15Ω・cmであった。

【0039】
(実験例9)
アスペクト比が2~5の粒子を個数比で10%含むZnO粉末を用い、せん断付着応力が3.25kPaのZnO粉末を用い、表4の成膜条件以外は上記実験例8と同様にセラミックス膜を形成した。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比は3であり、a軸配向性を有することが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、12Ω・cmであった。
【0040】
(実験例10)
アスペクト比が2~4の粒子を個数比で7%含むZnO粉末を用い、せん断付着応力が2.62kPaのZnO粉末を用い、表4の成膜条件以外は上記実験例8と同様にセラミックス膜を形成した。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比はであり、a軸配向性を有することが判った。また、このセラミックス膜の抵抗率は、9Ω・cmであった。

【0041】
(実験例11)
アスペクト比が2~4の粒子を個数比で30%含むZnO粉末を用い、せん断付着応力が4.56kPaのZnO粉末を用い、表4の成膜条件以外は上記実験例8と同様にセラミックス膜を形成した。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比は1であり、a軸配向性を有することが判ったが、このセラミックス膜の抵抗率は測定不可であった。

【0042】
(実験例12)
アスペクト比が2~3の粒子を個数比で%含むZnO粉末を用い、せん断付着応力が0.47kPaのZnO粉末を用い、表4の成膜条件以外は上記実験例8と同様にセラミックス膜を形成した。このセラミックス膜の(100)/(101)強度比は3であり、a軸配向性を有することが判ったが、このセラミックス膜の抵抗率は測定不可であった。


【0043】
表5に示すとおり、実験例8~10からせん断付着応力が0.5~4kPaの範囲の粉末を用いることで、本発明にて規定するところのX/Y=(100)/(101)強度比が1以上となり、a軸配向性を示し、低い抵抗率が得られた。発光素子の発光膜として用いるのに適する抵抗率の低いセラミックス膜は、アスペクト比が2~7の粒子を個数比で5~30%含み、せん断付着応力が0.5~4kPaのセラミックス粉末を用いて形成すればよいことが判った。
【0044】
【表5】
JP0004921242B2_000006t.gif

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に用いた成膜装置図である。
【図2】本発明の実験例に用いたZnO粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実験例の六方晶セラミックス膜のX線回折パターンである
【図4】本発明の実験例の六方晶セラミックス膜の抵抗率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1 成膜室
2 エアロゾル生成室
3 ガスボンベ
4 真空ポンプ
5 被成膜体(基板)
6 基板駆動装置
7 ノズル
8 搬送管
9 セラミックス粉末(原料粉末)
10 振動器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3