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明細書 :微粒子搬送装置及びこの装置を用いた微粒子の浄化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5688651号 (P5688651)
公開番号 特開2012-091925 (P2012-091925A)
登録日 平成27年2月6日(2015.2.6)
発行日 平成27年3月25日(2015.3.25)
公開日 平成24年5月17日(2012.5.17)
発明の名称または考案の名称 微粒子搬送装置及びこの装置を用いた微粒子の浄化方法
国際特許分類 B65G  54/02        (2006.01)
H05H   1/24        (2006.01)
FI B65G 54/02
H05H 1/24
請求項の数または発明の数 16
全頁数 21
出願番号 特願2010-242718 (P2010-242718)
出願日 平成22年10月28日(2010.10.28)
審査請求日 平成25年8月9日(2013.8.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】高奈 秀匡
【氏名】篠原 圭介
【氏名】西山 秀哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100109807、【弁理士】、【氏名又は名称】篠田 哲也
審査官 【審査官】中島 慎一
参考文献・文献 特開昭49-025664(JP,A)
特開昭48-015262(JP,A)
特開平09-293682(JP,A)
特開2004-353619(JP,A)
特開2000-095346(JP,A)
特開2002-263472(JP,A)
調査した分野 B65G 54/00 - 54/02
H05H 1/00 - 1/54
H02N 1/00 - 2/00
B01J 10/00 - 12/02 , 14/00 - 19/32
B08B 1/00 - 1/04 , 5/00 - 13/00
特許請求の範囲 【請求項1】
微粒子を搬送するための搬送管と、
上記搬送管に配設される電極と、
上記電極に接続されて上記搬送管内の雰囲気を放電させる単相の交流電源と、
を備
上記電極は、上記単相の交流電源の一端に接続される第1の電極と上記単相の交流電源の他端に接続される第2の電極とからなり、
上記単相の交流電源により上記第1の電極と上記第2の電極との間に誘電体バリヤ放電を生じさせ、
上記微粒子が、上記誘電体バリヤ放電によって帯電した該微粒子に作用する静電気力により撹拌されると共に、上記誘電体バリヤ放電で生じるプラズマ誘起流により搬送され、
上記プラズマ誘起流の流速が、上記第1及び第2の電極の上記搬送管の軸方向に対する角度により調整され、上記微粒子の搬送量及び搬送速度が、上記単相の交流電源により制御される、微粒子搬送装置。
【請求項2】
微粒子を搬送するための搬送管と、
上記搬送管にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、
上記搬送管に配設される電極と、
上記電極に接続されて上記搬送管内の雰囲気を放電させる単相の交流電源と、を備
上記電極は、上記単相の交流電源の一端に接続される第1の電極と上記単相の交流電源の他端に接続される第2の電極とからなり、
上記単相の交流電源により上記第1の電極と上記第2の電極との間に誘電体バリヤ放電を生じさせ、
上記微粒子が、上記誘電体バリヤ放電によって帯電した該微粒子に作用する静電気力により撹拌されると共に、上記誘電体バリヤ放電で生じるプラズマ誘起流及びキャリアガスにより搬送され、
上記プラズマ誘起流の流速が、上記第1及び第2の電極の上記搬送管の軸方向に対する角度により調整され、上記微粒子の搬送量及び搬送速度が、上記単相の交流電源により制御される、微粒子搬送装置。
【請求項3】
前記第1の電極は前記搬送管の外側に巻回され、前記第2の電極は前記搬送管の内側に巻回されている、請求項1又は2に記載の微粒子搬送装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の電極は、前記搬送管の軸方向に対して90度より小さな角度をつけて配設されている、請求項に記載の微粒子搬送装置。
【請求項5】
前記搬送管は上部の壁と下部の壁と側壁とからなり、該上部の壁の表面には第1の電極が配設され、該下部の壁の表面には第2の電極が配設されている、請求項1又は2に記載の微粒子搬送装置。
【請求項6】
前記第1の電極は、前記上部の壁の外周部と該外周部に接続される複数の線状電極部とを有しており、該複数の線状電極部は、該外周部から前記上部の壁の中心部に放射状に伸びていて中心部側の各先端は互いに接続されていない、請求項に記載の微粒子搬送装置。
【請求項7】
前記第2の電極は、前記下部の壁の中心部と該中心部に接続される複数の線状電極部とを有しており、該複数の線状電極部は、中心部から放射状に伸びていて外周部側の各先端は互いに接続されていない、請求項に記載の微粒子搬送装置。
【請求項8】
前記第1の電極の各線状電極部は、該各線状電極のそれぞれに最も近接する前記第2の電極の各線状電極部と一定の間隔で互いに平行となるように配置されている、請求項の何れかに記載の微粒子搬送装置。
【請求項9】
前記搬送管の内部に電極支持部材が配設されており、該電極支持部材には、所定の幅の誘電体膜が螺旋状に巻回され、該誘電体膜に電極が形成されている、請求項1又は2に記載の微粒子搬送装置。
【請求項10】
前記誘電体膜の表面側には第1の電極が形成され、前記誘電体膜の裏面側には第2の電極が形成されている、請求項に記載の微粒子搬送装置。
【請求項11】
前記搬送管は、少なくとも一つ以上の入口を備えている、請求項1~10の何れかに記載の微粒子搬送装置。
【請求項12】
請求項1~11の何れかに記載の微粒子搬送装置を用いた微粒子の浄化方法であって、
大気と微粒子からなる被浄化物とが含まれている前記雰囲気を、前記搬送管に導入し、
前記雰囲気を前記単相の交流電源によって放電してオゾンを含む反応性ガスを発生し、
上記反応性ガスによって前記雰囲気中の被浄化物を処理する、微粒子の浄化方法。
【請求項13】
前記プラズマ誘起流の流速を、前記第1及び第2の電極の前記搬送管の軸方向に対する角度により調整する、請求項12に記載の微粒子の浄化方法。
【請求項14】
前記微粒子の搬送量及び搬送速度を、前記単相の交流電源により制御する、請求項12に記載の微粒子の浄化方法。
【請求項15】
前記被浄化物を、黄砂、煙、穀物、該穀物に付着した塵、有機物の何れかとする、請求項12~14の何れかに記載の微粒子の浄化方法。
【請求項16】
前記浄化を繰り返して行う、請求項12~15の何れかに記載の微粒子の浄化方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子搬送装置及びこの装置を用いた微粒子の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のガス流による微粒子搬送では,微粒子を内径数mmの搬送管に送り、搬送方向にガスを流して微粒子をガスによって搬送している。
【0003】
現在、サブマイクロメータ(サブμm)程度の微粒子を搬送する際には、静電気力で粒子を搬送する技術が知られている(特許文献1~3参照)。非特許文献1には、約30μmから100μm位の微粒子を直流の静電気力で搬送することが報告されている。
【0004】
しかしながら、従来の静電気力で微粒子を搬送する技術では、微粒子がチューブ内で摩擦帯電し、クーロン力により微粒子が搬送管壁面に付着や堆積が生じて、微粒子の供給量が時間的に変動したり、搬送管が微粒子によって閉塞される場合があった。
【0005】
さらに、近年、自動車の排気ガスや工場から発する煤煙などによる大気汚染が深刻化しており、環境への配慮が責務である産業界にとっては環境汚染対策が喫緊の課題になっている。汚染された大気中には粒子状物質が浮遊しており、吸入した場合には肺や気管などに沈着して、呼吸器に悪影響を及ぼすことが知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2000-95346号公報
【特許文献2】特許第3569553号公報
【特許文献3】特許第3684396号公報
【0007】

【非特許文献1】川本広行、関京悟、進行波電界による粒子の搬送メカニズム、日本機械学会論文集 (C 編)、Vol.71、No.704(2005-4)、pp.1161-1168
【非特許文献2】高橋幹二、日本エアロゾル学会編、エアロゾル学の基礎、森北出版株式会社、2003
【非特許文献3】Boeuf, J. P, Lagmich, Y., Callegari Th., Pitchford, L. P., EHD Force in Dielectric Barrier Discharges Parametric Study and Influence of Negative Ions、 AIAA paper 2007-183, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の静電気による微粒子の搬送では、微粒子が留まり易い箇所が生じたり曲がり管等の圧力損失部で微粒子が円滑に移動し難く、供給が不安定になったり閉塞したりするという問題を有していた。さらに、微粒子の長時間の連続搬送ができないことが問題となっている。
【0009】
従来の特許文献3の静電気による搬送では、例えば6相の交流電圧源が使用されており、装置が複雑で高価となっていた。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、効率のよい微粒子搬送を可能とする微粒子搬送装置を提供することを第1の目的とし、大気汚染微粒子等の除去を行うために、微粒子の撹拌搬送及び浄化を可能とする微粒子搬送装置を用いた微粒子の浄化方法を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、電極に電圧を印加して生じる静電界を利用して被覆用粉体を搬送し、被覆用粉体で被膜を形成する方法を見出した(特願2009-091593、平成21年4月3日出願)。本発明者等はさらに研究を進め、高効率微粒子搬送技術並びに大気汚染微粒子の除去方法の確立を目指し、空気を誘電体バリア放電(Dielectric Barrier Discharge)を用いて活性化させた搬送管内において、粒子の撹拌や搬送及び浄化が可能であることを見出し、本発明に想到した。
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の微粒子搬送装置は、微粒子を搬送するための搬送管と、搬送管に配設される電極と、電極に接続されて搬送管内の雰囲気を放電させる交流電源と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の別の微粒子搬送装置は、微粒子を搬送するための搬送管と、搬送管にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、搬送管に配設される電極と、電極に接続されて搬送管内の雰囲気を放電させる交流電源と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記構成において、交流電源は、好ましくは単相の交流電源である。
電極は、交流電源の一端に接続される第1の電極と交流電源の他端に接続される第2の電極とからなるように構成してもよい。第1の電極は搬送管の外側に巻回され、第2の電極は搬送管の内側に巻回されてもよい。第1及び第2の電極は、好ましくは、搬送管の軸方向に対して90度より小さな角度をつけて配設されている。
搬送管は上部の壁と下部の壁と側壁とからなり、上部の壁の表面には第1の電極が配設され、下部の壁の表面には第2の電極が配設されていてもよい。この場合、第1の電極は、好ましくは、外周部と該外周部に接続される複数の線状電極部とを有しており、該複数の線状電極部は、外周部から中心部に放射状に伸び、かつ、その各先端は互いに接続されていない。また、第2の電極は、好ましくは、中心部と中心部に接続される複数の線状電極部とを有しており、複数の線状電極部は、中心部から径方向に放射状に伸び、かつ、その各先端は互いに接続されていない。第1の電極の各線状電極部と該各線状電極部に最も近接して配設される第2の電極の各線状電極部とは、好ましくは、一定の間隔で互いに平行となるように配置されている。
別の構成として、搬送管の内部に電極支持部材が配設され、この電極支持部材には、所定の幅の誘電体膜が螺旋状に巻回され、誘電体膜に電極が形成されていてもよい。誘電体膜の表面側には第1の電極が形成され、誘電体膜の裏面側には第2の電極が形成されていてもよい。
搬送管は、好ましくは、少なくとも一つ以上の入口を備えている。
【0015】
本発明の微粒子の浄化方法は、上記の何れかに記載の微粒子搬送装置を用い、大気と微粒子からなる被浄化物とが含まれている雰囲気を、搬送管に導入し、雰囲気を交流電源によって放電してオゾンを含む反応性ガスを発生し、この反応性ガスによって雰囲気中の被浄化物を処理することを特徴とする。
【0016】
上記構成において、被浄化物は、黄砂、煙、穀物、該穀物に付着した塵、有機物など、何れであってもよい。浄化は繰り返して行ってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の微粒子搬送装置によれば、キャリアガスを使用しないで、かつ単相の交流電源による放電を利用した簡単な構成で、静電気力による微粒子の撹拌とプラズマ誘起流とによって微粒子の搬送を行うことができる。さらに、微粒子の搬送を交流電源による放電で行うので、微粒子を連続的に効率よく搬送したり、微粒子の搬送量や搬送速度等を精度よく制御して搬送することが可能となる。
本発明の微粒子搬送装置はキャリアガスを使用した場合にも適用可能であり、キャリアガスの圧力損失を低減化できる。
【0018】
本発明の微粒子搬送装置を用いた微粒子の浄化方法によれば、被浄化物を含む大気からなる雰囲気を高効率で搬送すると共に、被浄化物をオゾンで浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る微粒子搬送装置の構成例を示す図である。
【図2】搬送管に設ける電極を示す断面図である。
【図3】搬送管内の軸方向断面の電位分布を示す透視図である。
【図4】搬送管内のr-Z座標の電位分布を示す図である。
【図5】搬送管内のr-θ座標の電位分布を示す図である。
【図6】DBDプラズマチューブの変形例1を示す図で、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図7】DBDプラズマチューブの変形例2の内部を示す模式的な部分斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係る微粒子搬送装置の構成例を示す概略図である。
【図9】搬送管の印加電圧Vを変化させた際の管内放電発光の図で、(a)は電圧印加前、(b)はV=14.2kVpp、(c)はV=14.6kVpp、(d)はV=15.0kVppを示している。
【図10】搬送管内で放電時に生成されるO濃度を示す図である。
【図11】キャリアガスを用いない場合のDBDプラズマチューブによるアルミナ微粒子搬送の様子を示す図で、(a)は電圧印加前、(b)はV=14.6kVppの場合である。
【図12】PIVによる誘起流の平均速度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る微粒子搬送装置1の構成例を示す図である。
図1に示すように、微粒子搬送装置1は、搬送物となる微粒子2を搬送するための搬送管3と、搬送管3に配設される電極4と、電極4に接続されて搬送管3内の雰囲気5を放電させる交流電源6と、を含んで構成されている。

【0021】
本発明で対象とする微粒子2は、粒径が最大200μm以下の粒子である。微粒子2は、その粒径により種々の名称で呼ばれている。粒径が1μmから200μm程度までは、微粉体とも呼ばれる。微粉体は、具体的には、セメント、小麦粉、消石灰等が挙げられる。粒径が1μm以下の粒子は、超微粉体とも呼ばれる。粒径が最大数μm以下の粒子を、超微粒子やサブミクロン粒子と呼ぶ場合もある。本発明の微粒子2は、単体元素や化合物からなり、さらに、複数の成分から構成されていてもよい。複数の成分からなる微粒子2としては、タバコの煙、煙、油煙、カーボン粒子を含む粒子、有機物を含む粒子等が挙げられる。タバコの煙や油煙からなる微粒子2は、粒径が10nmから数μm以下位の粒子を含んでいる。

【0022】
搬送管3は、樹脂シート、ガラス管、セラミック等の誘電体からなる断面が円や角の形状を有している管である。搬送管3の両端側には、搬送物となる微粒子2が流入される入口3Aと搬送物が流出される出口3Bとを備えている。搬送管3をガラス管とした場合には、搬送管3の両端側に入口3A及び出口3Bとなる別のガラス管をガラス溶接によって接続してもよい。搬送管3の両端側にフランジを設けてガラス管を保持する場合には、入口3A及び出口3Bとなるガラス管や金属性の管を、フランジに配設してもよい。微粒子2が流入される入口3Aは、搬送管3の端部以外に設けてもよい。搬送物となる微粒子2が流入される入口3Aは、複数あってもよい。複数の入口3Aを設けた場合には、各入口3Aから種類の異なる微粒子2を流入させてもよい。以下の説明では、搬送管3の形状は円筒形状として説明する。

【0023】
図2は、搬送管3に設ける電極4を示す断面図である。
図2に示すように、搬送管3に設ける電極4は、搬送管3となる円筒形状の管壁の外側と内側にそれぞれテープ状の第1の電極4Aと第2の電極4Bを螺旋状に巻き、搬送管3の外側及び第1の電極4Aを絶縁テープ7で覆うという極めて簡単な構造を有している。つまり、電極4は、交流電源6の一端に接続され外側の電極となる第1の電極4Aと交流電源6の他端に接続され内側の電極となる第2の電極4Bとから構成される。図示の場合、第1の電極4Aは搬送管3の外側に巻回され、第2の電極4Bは搬送管3の内側に第1の電極4Aの巻回方向と同方向の螺旋状に巻回されている。

【0024】
図示するように、第1及び第2の電極4A,4Bは、側面視において搬送管3の軸方向に角度(θ)を持たせている。つまり、第1及び第2の電極4A,4Bは、搬送管3の軸方向に対して90度よりも小さな角度をつけて配設している。以下、第1の電極4A及び第2の電極4Bと搬送管3との軸方向に対する角度を、単に第1の電極4Aや電極4の角度と呼ぶ。

【0025】
交流電源6は、上記一対の第1の電極4A,第2の電極4Bに接続される単相の電源である。図示の場合、交流電源6の一端は、第1の電極4Aの一端に接続されている。交流電源6の他端は、第2の電極4Bの一端に接続されている。交流電源6の一端をホット側又は高電圧印加側と呼ぶ。交流電源6の他端をコールド側又はグランド側とも呼ぶ。交流電源6は、電極4に印加する電力、電力の印加時間、印加電圧等の調整ができる。交流電源6と、電極4との間には、インピーダンス整合のためにマッチングボックスを設けてもよい。直径が10mmで長さが15cm位の搬送管3を用い、雰囲気5を大気とした場合の一例として、交流電源6の周波数を1kHz位の低周波とし、電力を数Wから数十Wとすることで放電させることができる。

【0026】
微粒子搬送装置1では、電極4に交流電圧を印加することにより、第1の電極4Aと第2の電極4Bとの間に交流電界が生じ、帯電した微粒子2が外部電界による静電気力により管内で激しく振動して撹拌される。このため、微粒子2の壁面付着が抑制される。さらには、搬送管3の管内壁面上に沿面放電が生じ,沿面放電による誘起流(プラズマアクチュエータ効果)により、搬送管3にキャリアガスを流さなくても微粒子2を搬送管3の入口3Aから出口3Bの方向、つまり、円筒状の搬送管3の場合には断面の円の中心を通る所謂中心軸方向へ制御して搬送することができる。

【0027】
誘電体からなる搬送管3と搬送管3に配設される電極4との構成で内部に生じさせた放電は、誘電体バリア放電(DBD)と呼ばれている。搬送管3は、DBDプラズマチューブとも呼ぶ。DBDプラズマチューブ内の放電は、雰囲気5として種々のガスを用いることができる。雰囲気5としては、空気を使用するのが最も簡便である。この雰囲気5は大気圧や減圧状態とすることができる。

【0028】
微粒子搬送装置1では、搬送管3の管内の壁上にDBDプラズマ発生機構を有し、DBDプラズマによる誘起流によりプラズマアクチュエータ効果が生じる。DBDプラズマ中のマイナスイオンに作用するプラズマアクチュエータ効果は、非特許文献3に記載されている。非特許文献3は、単にDBDプラズマ中のイオンの挙動だけを解析した文献である。さらに、放電によって帯電した微粒子2に作用する静電気力(非特許文献1参照)により、微粒子2が撹拌される。そのため微粒子2は、攪拌しつつ搬送される。搬送管3に複数の入口3Aを設け、これらの入口3Aに複数の異なる微粒子2を流入させた場合には、搬送管3内で攪拌しつつ搬送されることで複数の異なる微粒子2が混合されて出口3Bから流出できる。

【0029】
放電によって帯電した微粒子2に作用する静電気力は、微粒子2に作用する電界に比例する。電界は電圧の関数であるので、静電気力は、交流電源6の印加電圧である例えばVppに比例する。Vppは、所謂ピークツーピーク電圧である。

【0030】
微粒子搬送装置1で搬送可能な微粒子2の最大粒径について説明する。
上記したように、DBDプラズマによる放電によって帯電した微粒子2に作用する静電気力により、微粒子2が撹拌して搬送される。この静電気力による搬送を妨げる力を検討した。このような力としては微粒子2を搬送管3の壁面に付着させる力であるファンデルワールス力や鏡像力(以下、壁面付着力とも呼ぶ。)がある。さらに、搬送を妨げる力として微粒子2自体の重力が挙げられる。

【0031】
具体的に、微粒子2に作用する静電気力を計算して、微粒子2に作用するファンデルワールス力、鏡像力、重力との比較を行った。
交流電源6の代表的な条件である印加電圧15kVppで計算した結果、微粒子2の粒径が3~5μmまでの粒径範囲において、静電気力は、壁面付着力であるファンデルワールス力や鏡像力、及び重力よりも大きくなることが判明した。これにより、微粒子2の粒径が3~5μmまでであれば、静電気力による撹拌ができ、微粒子2が搬送管3の内周面や内側の第2電極4Bに付着し難くなり、微粒子2が搬送される。微粒子2の粒径が3~5μmという値は一計算例であって、微粒子2の比重や、交流電源6の印加電圧、第1の電極4Aと第2の電極4Bとの間隔を変えて電界強度を調整することによって搬送可能な微粒子2の粒径を変えることができる。従って、搬送可能な微粒子2の最大粒径は、100~200μm程度とすることも可能である。

【0032】
微粒子搬送装置1では、微粒子2が搬送管3内で効率的に撹拌されるために、微粒子2の搬送時における閉塞を回避できる。

【0033】
微粒子搬送装置1では、搬送管3の雰囲気5を例えば大気圧の空気としてプラズマを生成できるので、特に搬送管3にはガスを流す必要がない。微粒子搬送装置1では、ガスを使用しないので、ガスの流量や圧力を管理するための機械的な部品を必要としない。

【0034】
次に、搬送管3内の電界について説明する。
DBDプラズマチューブ内の空気中の3次元電位分布は、下記(1)式の電位Φに関するポアソン方程式の解として与えられる。
∇・(∇εΦ)=-ρ (1)

【0035】
上記ポアソン方程式を、双共役勾配安定化法(Bi-Conjugate Gradient Stable Method, Bi-CGSTAB法とも呼ばれる。)を用いて解くことにより、搬送管3内の3次元電位分布を求めることができる。
条件として、印加電圧を7.5kV、搬送管3の内径を12mm、テープ状の電極4の幅を5mm、電極4と搬送管3の軸方向との角度を45°とした場合の搬送管3内の電位分布を図3~5に示す。図3~5では、電位分布を図の濃淡で示している。

【0036】
図3は、搬送管3内の軸方向断面の電位分布を示す透視図であり、図4は搬送管3内のr-Z座標の電位分布を示す図である。図3及び図4から明らかなように、Z軸方向にそって矢印で示す第1電極の箇所の電位分布が高いことが分かる。また、電極4間、つまり第1の電極4Aと第2の電極4Bとの間の電位勾配も大きく、高電圧が印加された第1の電極4Aの角部で強い電界が生じることが分かった。

【0037】
図5は搬送管内のr-θ座標の電位分布を示す図である。図5は、図4に示す第1の電極4Aの断面における電位分布を示している。図5から明らかなように、半径方向の電位勾配は大きく、中心に向かい急激に減少することが分かる。

【0038】
電極4の角度(θ)をより大きくすることで、誘起流速の軸方向成分はより大きくなることが判明した。電極4と搬送管3の軸方向とのなす角度θを調整することで、微粒子2の効率的な搬送や浄化が可能となる。図2に示すようなDBDプラズマチューブを用いた場合には、角度θを90°よりも小さな範囲で、かつ、できるだけ大きくすればよい。

【0039】
本発明の微粒子搬送装置1によれば、キャリアガスを使用しないで、静電気力による微粒子2の撹拌とプラズマ誘起流によって微粒子2の搬送を、連続的に行うことができる。従来の微粒子を静電気力で搬送する技術では、微粒子がチューブ内で摩擦帯電し、クーロン力により搬送管壁面に微粒子の付着や堆積が生じて、微粒子の供給量が時間的に変動したり、搬送管が微粒子によって閉塞される場合があった。しかしながら、本発明の微粒子搬送装置1によれば、微粒子2の搬送を連続的に行うことができるので、従来の微粒子搬送のように装置を停止する必要が無くなる。これにより、微粒子2の搬送を効率よく行うことができる。さらに、微粒子2の搬送をDBDプラズマチューブで行うので、微粒子2の搬送状態を交流電源6によって制御することができる。微粒子2の搬送状態の制御は、交流電源6の通電時間や印加電圧の制御で実施できる。このような交流電源6の制御は、交流電源6に接続されるプロセス用のシーケンサーやコンピュータによって精度よく制御できる。これにより、微粒子2の搬送量や搬送速度等を精度よく制御できる。

【0040】
(DBDプラズマチューブの変形例1)
DBDプラズマチューブの変形例1について説明する。
図6は、DBDプラズマチューブの変形例1を示し、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
図6に示すように、搬送管13は、対向する上部と下部の壁が円形、正方形、六角形、その他の多角形の扁平形状を有し、上部と下部との間に内部空間が設けられた縦型の搬送管として構成されている。図示の場合には上下部の壁が円形で、側壁が円筒形状を有している。上部の壁の表面側には、第1の電極14Aと入口13Aとが配設されている。下部の壁壁の表面側には、第2の電極14Bと出口13Bとが配設されている。搬送管13の筒内の内部空間は雰囲気5で満たされている。搬送管13は、搬送管1と同様に樹脂シート、ガラス管、セラミック等の誘電体からなる。

【0041】
第1の電極14Aは、上部の周縁側に設けられた円周部14A1とこの円周部14A1に接続される複数の線状電極部14A2から構成されている。複数の線状電極部14A2は、円周部14A1から円中心部側に向けて放射状に伸びており、その各先端は互いに接続されていない。図示の場合、複数の線状電極部14A2は、円を8等分するように8本の線状電極部14A2から構成されている。第1の電極14Aにおいて、上部の壁が円形でない場合には、円周部は壁の外周部とする。

【0042】
第2の電極14Bは、下部の中心に設けられた中心部14B1とこの中心部14B1に接続される複数の線状電極部14B2から構成されている。複数の線状電極部14B2は、中心部14B1から放射状に径方向に沿って伸びており、その各先端は互いに接続されていない。図示の場合、複数の線状電極部14B2は、円を8等分するように8本の線状電極部14B2から構成されている。

【0043】
第1の電極14Aの各線状電極部14A2は、それぞれ最も近接する第2の電極14Bの各線状電極部14B2と一定の間隔tで互いに平行となるように配置されている。

【0044】
第1の電極14Aは、図示しない交流電源6のホット側に接続されている。第2の電極14Bは、図示しない交流電源6のコールド側に接続されている。

【0045】
DBDプラズマチューブの変形例1において、交流電源6を印加するとプラズマが発生し、図6(b)に示す矢印の方向にプラズマ誘起流が生じる。これにより、DBDプラズマチューブの変形例1によっても、微粒子搬送装置1と同様に、静電気力による微粒子2の撹拌とプラズマ誘起流によって微粒子2の周方向への搬送を行うことができる。

【0046】
(DBDプラズマチューブの変形例2)
DBDプラズマチューブの変形例2について説明する。
図7は、DBDプラズマチューブの変形例2の内部を示す模式的な部分斜視図である。
図7に示すように、搬送管3は縦型の搬送管として構成されている。搬送管は、例えば円筒形状であり、上下の両端の壁には、それぞれ入口3Aと出口3Bとを備えている。搬送管3の内部の中央には、棒状の絶縁材料からなる電極支持部材18が上下方向に配設され、上下両端の壁に固定されている。絶縁材料としては、ガラスやフッ素樹脂等を使用することができる。電極支持部材18の外周には、誘電体膜19が螺旋状に巻回されている。誘電体膜19の内縁が電極支持部材18に固定されている。電極16は、所定の幅Wの誘電体膜19上に形成されている。誘電体膜19の表面側には、複数の第1の電極16Aが誘電体膜19の外縁から内縁側へ向けて所定ピッチで形成されている。誘電体膜19の裏面側には、複数の第2の電極16Bが誘電体膜19の外縁から内縁側へ向けて所定ピッチで形成されている。

【0047】
第1の電極16Aと第2の電極16Bとは、誘電体膜19の螺旋方向に交互に隣接して配置されている。複数の第1の電極16Aと複数の第2の電極16Bは、何れも内側の先端は互いに接続されていない。複数の第1の電極16Aは誘電体膜19表面の外縁側で互いに接続され(図示せず)、図示しない交流電源6のホット側に接続されている。複数の第2の電極16Bは誘電体膜19裏面の外縁側で互いに接続され(図示せず)、図示しない交流電源6のコールド側に接続されている。

【0048】
DBDプラズマチューブの変形例2において、交流電源6を印加するとプラズマが発生し、誘電体膜19の矢印の方向にプラズマ誘起流が生じる。これにより、DBDプラズマチューブの変形例2によっても、微粒子搬送装置1と同様に、静電気力による微粒子2の撹拌とプラズマ誘起流によって微粒子2の搬送を行うことができる。図7の微粒子2の搬送方向は、図示するように電極支持部材18の軸の一方から他方に向う方向である。この搬送方向は下方から上方であるが、この逆方向、つまり上方から下方でもよい。

【0049】
DBDプラズマチューブの変形例2においても、搬送管3に複数の入口3Aを設けてもよい。これらの入口3Aに複数の異なる微粒子2を流入させた場合には、これらの複数の異なる微粒子2が混合されて出口3Bから流出できる。

【0050】
(第2の実施形態)
図8は本発明の第2の実施形態に係る微粒子搬送装置10を示す概略図である。
図8に示す微粒子搬送装置10は、図1に示す微粒子搬送装置1にさらにキャリアガスを流す構成が付加されている。図8に示す微粒子搬送装置10は、搬送管3の入口3Aに、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部8を備えている。キャリアガスとしては、空気、窒素、アルゴン等のガス、これらのガスを混合した混合ガスが挙げられる。このキャリアガスは搬送ガスと呼ばれる場合もある。

【0051】
キャリアガス供給部8は、窒素等のキャリアガスのボンベ、このボンベに接続される圧力調整器及び流量計からなり、樹脂や金属からなる配管によって搬送管3の入口3Aに接続される。窒素ガス以外のキャリアガスとしては、空気、酸素、アルゴン、ヘリウム等を用いることができる。

【0052】
次に、微粒子搬送装置10の動作について説明する。
微粒子搬送装置10の動作は、図1に示す微粒子搬送装置1が雰囲気5となる大気のプラズマを発生するのに対して、プラズマを発生する際に、キャリアガスを流しながら行う点が異なっている。この場合、キャリアガスを流しているが、搬送管13の壁面近傍のプラズマ誘起流によってキャリアガス流の圧力損失を低減することができる。

【0053】
本発明の微粒子搬送装置10によれば、単相の交流電源6によるプラズマ放電を利用し、かつ、キャリアガスを流すという簡単な構成で、静電気力による微粒子撹拌とプラズマ誘起流及びキャリアガスによって微粒子2を攪拌しつつ搬送を行うことができる。壁面近傍のプラズマ誘起流によりキャリアガス流の圧力損失を低減できるので、さらに、微粒子2を効率よく搬送したり、微粒子2の搬送量や搬送速度等を高精度に制御することが可能となる。

【0054】
(第3の実施形態)
本発明に係る第3の実施形態として、本発明の第1及び第2に実施形態の微粒子搬送装置1,10を用いた浄化方法について説明する。
本発明の微粒子搬送装置1を用いた浄化方法は、以下の工程で行うことができる。
大気と被浄化物とが含まれている雰囲気5を、搬送管3に導入する工程。
雰囲気5を交流電源6によって放電してオゾンを含む反応性ガスを発生させる工程。
反応性ガスによって雰囲気5中の被浄化物を処理する工程。

【0055】
本発明の微粒子搬送装置10を用いた別の浄化方法は、以下の工程で行うことができる。
大気と被浄化物とが含まれている雰囲気5とキャリアガスとを、搬送管3に導入する工程。
雰囲気5を交流電源6によって放電してオゾンを含む反応性ガスを発生させる工程。
反応性ガスによって雰囲気5中の被浄化物を処理する工程。
微粒子搬送装置10を用いた浄化方法は、微粒子搬送装置1にさらにキャリアガスを流す点が異なる。キャリアガスを流す点以外は、微粒子搬送装置1を用いる浄化方法と同じである。

【0056】
微粒子搬送装置1の雰囲気5として空気を使用した場合には、DBDプラズマチューブ内では、空気中の酸素がプラズマ放電によってオゾン(O)が生成される。オゾンは強力な酸化作用を有している。このため、雰囲気5となる空気中に含有されている各種の物質、つまり被浄化物の浄化を行うことができる。被浄化物としては、黄砂やタバコの煙等、小麦粉や米等の穀物や穀物等の微粒子2等に付着した塵などが挙げられる。塵は、例えば有機物からなる。従って、微粒子搬送装置1を用いた浄化方法によれば、例えば、有機物の除去、タバコの煙の除去、菌やウイルスの殺菌や減菌等を行うことができる。さらに、オゾンによって有機物の脱臭、脱色等も行うことができる。

【0057】
本発明の浄化方法に用いる電極は、微粒子搬送装置1の電極や図6及び図7で説明したDBDプラズマチューブの変形例1及び2の電極を使用することができる。この場合、被浄化物の量に応じて、電極の形状を変化させるようにする。つまり、被浄化物の量が多い場合には、搬送管3が円筒状の場合にはその入口3Aから出口3Bまでの寸法を長くして、つまり、電極が配設される領域を延長することによってオゾンを含む反応性ガスとの反応時間を長くする。オゾンを含む反応性ガスとの反応時間を長くすることによって、被浄化物を大量に処理できる。

【0058】
本発明の微粒子搬送装置1,10を用いた微粒子の浄化方法によれば、被浄化物を含む大気からなる雰囲気5を高効率で搬送すると共に、被浄化物をオゾンで浄化することができる。

【0059】
被浄化物のオゾンでの処理は、被浄化物の量や被浄化物とオゾンとの反応時間で決めることができる。短時間の処理では、オゾンによって被浄化物の表面の浄化を行うことができる。短時間の処理では、交流電源6をパルス駆動して、被浄化物にパルス状のオゾンを照射してもよい。このようなパルス状のオゾンを用いた短時間の処理では、オゾンによって被浄化物の表面の浄化を行うことができる。

【0060】
長時間処理すれば、オゾンによって被浄化物を分解することもできる。長時間の処理には、搬送管3のZ軸に沿う長さを長くすればよい。さらには、一度オゾンで処理した浄化物を入口3Aに戻して処理をしてもよい。このような循環浄化は、微粒子搬送装置1,10の出口3Bと入口3Aとを循環させる循環配管の増設と、入口3A、出口3B及び循環配管の途中に電磁弁を備えた開閉バルブ等を設け、これらの開閉バルブをシーケンス制御して実施することができる。

【0061】
搬送管3に複数の入口3Aを設けてもよい。これらの入口3Aに複数の異なる被浄化物を流入させた場合には、これらの複数の異なる被浄化物を纏めて浄化できる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
表裏に幅2mmの一対の螺旋状の銅電極4を有する内径12mm及び20mmのテフロン(登録商標)製の搬送管3によってDBDプラズマチューブを製作した。一対の銅電極4の間隔は3mmである。搬送管3の肉厚は0.3mm、搬送管3の管長は100mmである。電極4の角度θは45°~75°程度とした。テフロン(登録商標)の比誘電率は2.1である。
【実施例】
【0063】
交流電源6は、正弦波で周波数を1.0kHzとした。搬送管3の雰囲気5が流れのない状態で大気圧、室温の下で放電を行った。印加電圧Vを変化させて放電を行い、生成した空気プラズマ中に含まれるO濃度は、搬送管3の出口3Bに接続したO濃度計12を用いて測定した。
【実施例】
【0064】
図9(a)~(d)は、搬送管3の印加電圧Vを変化させた際の管内放電発光の図で、(a)は電圧印加前、(b)はV=14.2kVpp、(c)はV=14.6kVpp、(d)はV=15.0kVppを示している。
図9(a)~(d)から明らかなように、印加電圧が大凡14kVppから15kVppの間で放電した。印加電圧の増加に伴い、局所的に放電部の発光が強くなると共に、手前から奥に向かって壁面近傍の空気プラズマの発光領域が広がる様子が観測された。
【実施例】
【0065】
図10は、搬送管3内で放電時に生成されるO濃度を示す図である。図10の横軸は印加電圧(kVpp)であり、縦軸は、O濃度(ppm)である。
図10から明らかなように、印加電圧が増加するにつれ、反応性ガスであるOの濃度はほぼ線形に増加し、15kVppを印加した場合、230ppm程度のOが発生した。
【実施例】
【0066】
図11は、キャリアガスを用いない場合のDBDプラズマチューブによるアルミナ微粒子2の搬送の様子を示す図で、(a)は電圧印加前、(b)はV=14.6kVppの場合である。なお、使用したアルミナ微粒子の粒径は30nmであり、放電前に搬送管3の中央に配置した。
図11(a)及び(b)から明らかなように、放電を行うことにより粒子が断続的に搬送管3の軸方向に搬送されることが分かった。これは、搬送管3の管壁近傍においてDBD放電による誘起流及び静電気力により帯電微粒子が輸送されたためである。
【実施例】
【0067】
次に、DBDプラズマチューブによるアルミナ微粒子搬送の様子をPIV(Particle Image Velocimetry)により可視化して調べた。アルミナ微粒子の流れ場をレーザーシート光とCCDカメラで撮影し、トレーサー粒子の運動を画像解析することにより、流れを可視化すると共にトレーサー粒子の速度計測を行った。トレーサー粒子としては、オイルミストを用いた。オイルミストの粒径は約10μmである。PIV測定には、フローテックリサーチ社製PIVシステムを用いた。
図12は、PIVによる誘起流の平均速度分布を示す図である。用いたDBDプラズマチューブの内径は12mm、電極4の角度は45°、印加電圧は14.3kVpp、周波数は1.0kHzである。図12から明らかなように、DBDプラズマによって、搬送管3の出口3Bにおいては斜め上向きに、最大で56cm/sの流れが誘起されることがわかった。
【実施例】
【0068】
上記実施例から、内径が12~20mm程度の搬送管3を使用し、粒径が30nmのアルミナ粉末を用いて、微粒子2の搬送ができることがわかった。上記実施例の寸法は一例であり、微粒子2の種類や搬送管3の寸法は、応用に際して適宜に設計できる。
【実施例】
【0069】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態で説明した、適宜に調整できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の微粒子搬送装置は、微粒子搬送装置,微粒子精密供給装置,室内の環境浄化装置に使用できる。また、微粒子は、医薬品、化粧品、各種トナー、粉体塗料、スス等に適用できる。
【0071】
本発明の微粒子搬送装置は、例えば工業用の微粒子の運搬にとどまらず、タバコの煙等を浄化する排煙等の分野にも適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1、10:微粒子搬送装置
2:微粒子
3、13、15:搬送管3A、13A、15A:入口
3B、13B、15B:出口
4、14、16:電極
4A、14A、16A:第1の電極
4B、14A、16A:第2の電極
5:雰囲気
6:交流電源
7:絶縁テープ
8:キャリアガス供給部
12:O濃度計
18:電極支持部材
19:誘電体膜
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図10】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図11】
10
【図12】
11