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明細書 :検出装置の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5897362号 (P5897362)
公開番号 特開2013-195233 (P2013-195233A)
登録日 平成28年3月11日(2016.3.11)
発行日 平成28年3月30日(2016.3.30)
公開日 平成25年9月30日(2013.9.30)
発明の名称または考案の名称 検出装置の製造方法
国際特許分類 G01N  27/12        (2006.01)
FI G01N 27/12 B
G01N 27/12 C
G01N 27/12 M
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2012-062597 (P2012-062597)
出願日 平成24年3月19日(2012.3.19)
審査請求日 平成27年2月27日(2015.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】原 和裕
【氏名】澤出 憲
個別代理人の代理人 【識別番号】100110928、【弁理士】、【氏名又は名称】速水 進治
審査官 【審査官】黒田 浩一
参考文献・文献 特開平08-278273(JP,A)
特開平07-318524(JP,A)
特開2010-249692(JP,A)
国際公開第2012/168444(WO,A1)
米国特許出願公開第2009/0020422(US,A1)
澤出憲、原和裕,空隙のある多層薄膜を用いた水素センサの研究,平成24年電気学会全国大会講演論文集,2012年 3月 5日,p.206
調査した分野 G01N 27/00-27/24
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に第1検出膜を形成する工程と、
前記第1検出膜上に犠牲膜を形成する工程と、
前記犠牲膜上に、第2検出膜を形成する工程と、
前記第1検出膜、前記犠牲膜、及び前記第2検出膜の積層膜の側部に第1支持部材を設けるとともに、前記側部に、第1導電部材及び第2導電部材を互いに離間して設ける工程と、
前記犠牲膜を除去する工程と、
を備え
前記第2検出膜を形成する工程の後に、前記第2検出膜を熱処理して前記第2検出膜を多孔質にする工程を有し、
前記第2検出膜を多孔質にする工程は、前記犠牲膜を除去する工程の前に行われ、
前記犠牲膜を除去する工程において、前記犠牲膜をウェットエッチングにより部分的に除去することにより、前記第1検出膜と前記第2検出膜の間に、前記第2検出膜を前記第1検出膜上で支持する第2支持部材を形成する検出装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の成分を検出する検出装置及び検出装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の二酸化炭素など、特定の成分を検出する装置としては、例えば特許文献1,2に記載されているように、薄膜ガスセンサがある。薄膜ガスセンサは、絶縁性の基板上に、検知膜としての金属酸化物の薄膜を体積法により形成するものである。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2008-57975号公報
【特許文献2】特開2011-21911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄膜を用いた検出装置では、検出感度は薄膜の表面積にほぼ比例する。このため、検出感度を高めるためには薄膜を大面積化すればよい。しかし、薄膜を大面積にすると、検出装置が大型になってしまう。
【0005】
本発明の目的は、大型になることを抑制でき、かつ検出感度が高い検出装置及び検出装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、基板上に第1検出膜を形成する工程と、
前記第1検出膜上に犠牲膜を形成する工程と、
前記犠牲膜上に、第2検出膜を形成する工程と、
前記第1検出膜、前記犠牲膜、及び前記第2検出膜の積層膜の側部に第1支持部材を設けるとともに、前記側部に、第1導電部材及び第2導電部材を互いに離間して設ける工程と、
前記犠牲膜を除去する工程と、
を備え
前記第2検出膜を形成する工程の後に、前記第2検出膜を熱処理して前記第2検出膜を多孔質にする工程を有し、
前記第2検出膜を多孔質にする工程は、前記犠牲膜を除去する工程の前に行われ、
前記犠牲膜を除去する工程において、前記犠牲膜をウェットエッチングにより部分的に除去することにより、前記第1検出膜と前記第2検出膜の間に、前記第2検出膜を前記第1検出膜上で支持する第2支持部材を形成する検出装置の製造方法が提供される。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型になることを抑制でき、かつ検出感度が高い検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る検出装置の平面図である。
【図2】図1のA-A´断面図である。
【図3】図1のB-B´断面図である。
【図4】図1のC-C´断面図である。
【図5】検出装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】検出装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る検出装置の平面図である。
【図8】第3の実施形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。
【図9】第4の実施形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。
【図10】図9の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。

【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る検出装置100の平面図である。図2は、図1のA-A´断面図である。図3は図1のB-B´断面図である。図4は、図1のC-C´断面図である。検出装置100は、基板110、第1検出膜120、第2検出膜130、第1支持部材140、及び2つの導電部材150を備えている。第1検出膜120は基板110上に形成されている。第2検出膜130は、第1検出膜120から離間しており、かつ第1検出膜120と対向して配置されている。第1検出膜120と第2検出膜130の間は中空になっている。第1支持部材140は、第2検出膜130を第1検出膜120から離間した状態で支持する。2つの導電部材150は、第1検出膜120及び第2検出膜130を並列に接続している。2つの導電部材150は、互いに離間している。検出装置100は、特定の成分の気体を検出する装置である。検出対象のガスは、例えば水素であるが、第1検出膜120及び第2検出膜130の材料によって、このガスは変わる。

【0012】
検出装置100では、第1検出膜120と第2検出膜130は互いに離間しており、かつ互いに対向している。すなわち第1検出膜120と第2検出膜130は平面視で重なっているため、検出装置100は大型にならない。また、第1検出膜120と第2検出膜130は互いに離間しているため、検出膜の表面積は大きい。従って、検出装置100の感度は向上する。以下、詳細に説明する。

【0013】
基板110は、絶縁性の基板である。基板110は、例えばサファイア、アルミナ、又はガラスにより形成されている。

【0014】
第1検出膜120及び第2検出膜130は、検出すべき成分を検出するための膜であり、金属酸化物、例えばWO、SnO、Fe、In、ZnO、Cr、及びNiOの少なくとも一つからなる膜、又はこれらの材料に添加物を添加した膜などを含んでいる。第1検出膜120の厚さは、例えば5nm以上100nm以下である。第2検出膜130の厚さは、例えば10nm以上200nm以下である。第1検出膜120と第2検出膜130は、同一の材料から構成されていても良いし、互いに異なる材料により構成されていても良い。本実施形態では、第1検出膜120は基板110上に直接形成されている。ただし、第1検出膜120と基板110の間に他の膜が形成されていても良い。また、第1検出膜120の上面と第2検出膜130の下面の間隔は、例えば10nm以上200nm以下である。また平面視において、第1検出膜120と第2検出膜130は同一の形状、例えば矩形を有している。

【0015】
第1支持部材140は、基板110上で第2検出膜130を支持している。詳細には、第1支持部材140の下端は基板110の上面に固定されている。そして第1支持部材140の上部は、第2検出膜130の側面及び上面の縁に固定されている。第1支持部材140は、例えば窒化シリコンや酸化シリコンなどの絶縁性の材料により形成されていても良いし、金属などの導電性材料により形成されていても良い。第1支持部材140は少なくとも2つ以上設けられているのが好ましい。そして2つの第1支持部材140は、第2検出膜130の重心を介して互いに対向しているのが好ましい。本図に示す例では、第1支持部材140は、第2検出膜130のうち互いに対向する2辺に設けられている。

【0016】
2つの導電部材150は、第1検出膜120及び第2検出膜130を並列に接続しており、かつ互いに離間している。詳細には、導電部材150の下端は基板110の上面に固定されている。導電部材150の下部は、第1検出膜120の側面に接続しており、導電部材150の上部は第2検出膜130の側面及び上面の縁に接続している。導電部材150は、例えばPt、Au、Ag、及びRuOなどの金属の少なくとも一つを含んでいる。導電部材150は、例えばPt、Au、Ag、及びRuOなどの金属から形成されている。本図に示す例では、導電部材150は、第2検出膜130のうち第1支持部材140とは異なる2辺に設けられている。

【0017】
図5及び図6は、検出装置100の製造方法を示す断面図である。まず図5に示すように、基板110上に第1検出膜120、犠牲膜160、及び第2検出膜130を、この順に形成する。第1検出膜120、犠牲膜160、及び第2検出膜130は、スパッタリング法、蒸着法、又はCVD法(プラズマCVD法を含む)などを用いて形成される。犠牲膜160は、第1検出膜120、第2検出膜130、第1支持部材140、及び導電部材150がエッチングされない条件でもエッチングされるような膜である。犠牲膜160は、例えば酸化シリコン膜、ガラス膜、Ta、Al、又はSiである。

【0018】
次いで、第2検出膜130上にマスクパターン(例えばレジストパターン:図示せず)を形成し、このマスクパターンをマスクとして第2検出膜130、犠牲膜160、及び第1検出膜120を選択的に除去する。これにより、第2検出膜130、犠牲膜160、及び第1検出膜120の平面形状は、検出装置100となるべき形状、例えば矩形になる。その後、マスクパターンを除去する。

【0019】
次いで、図6(a)及び(b)に示すように、第1検出膜120、犠牲膜160、及び第2検出膜130の積層膜の側面、基板110上、及び第2検出膜130上に、第1支持部材140となる膜を形成する。次いで、この膜の上にマスクパターン(例えばレジストパターン:図示せず)を形成し、このマスクパターンをマスクとして膜を選択的に除去する。これにより第1支持部材140が形成される。その後、マスクパターンを除去する。

【0020】
次いで、第1検出膜120、犠牲膜160、及び第2検出膜130の積層膜の側面、基板110上、及び第2検出膜130上に、導電部材150となる膜を形成する。次いで、この膜の上にマスクパターン(例えばレジストパターン:図示せず)を形成し、このマスクパターンをマスクとして膜を選択的に除去する。これにより導電部材150が形成される。その後、マスクパターンを除去する。

【0021】
その後、ウェットエッチング法を用いて、犠牲膜160を除去する。このようにして、検出装置100が形成される。

【0022】
以上、本実施形態によれば、検出装置100を大型にしなくても、検出装置100の感度を高めることができる。

【0023】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る検出装置100の平面図である。本図に示す検出装置100は、第1支持部材140を有していない点を除いて、第1の実施形態に係る検出装置100と同様の構成である。本実施形態では、導電部材150が第1支持部材140の機能を兼ねている。

【0024】
本実施形態に係る検出装置100の製造方法は、第1支持部材140を形成する工程を有さない点を除いて、第1の実施形態に係る検出装置100の製造方法と同様の構成である。

【0025】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、導電部材150が第1支持部材140の機能を兼ねているため、第1支持部材140を設ける必要がない。このため、検出装置100の製造コストを低くすることができる。

【0026】
(第3の実施形態)
図8(a)及び(b)は、第3の実施形態に係る検出装置100の構成を示す断面図である。本実施形態に係る検出装置100は、以下の点を除いて、第1又は第2の実施形態に係る検出装置100と同様の構成である。本図は、第1の実施形態と同様の場合を示している。

【0027】
まず、第2検出膜130は多孔質膜である。このため、検出対象となる気体は、第2検出膜130内の孔を介して、第1検出膜120と第2検出膜130の間の空間に到達する。なお、第2検出膜130を多孔質膜にするためには、第2検出膜130を堆積法により形成した後、第2検出膜130を熱処理すればよい。第2検出膜130の厚さ及びこの熱処理条件を調節することにより、第2検出膜130の多孔質化を制御することができる。なお、第1検出膜120もこの工程で多孔質化することがある。

【0028】
そして、検出装置100は、第2支持部材162を有している。第2支持部材162は、第1検出膜120と第2検出膜130の間に位置しており、第2検出膜130を第1検出膜120上に支持している。第2支持部材162は、犠牲膜160を部分的に除去することにより形成されている。具体的には、第2検出膜130は多孔質膜であるため、犠牲膜160をウェットエッチングするとき、エッチング液が第2検出膜130内を通って犠牲膜160に到達する。このため、犠牲膜160を部分的に除去して第2支持部材162を形成することができる。

【0029】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2検出膜130を多孔質にしているため、検出対象となる気体は、第2検出膜130内の孔を介して、第1検出膜120と第2検出膜130の間の空間に到達する。このため、検出装置100の検出感度を高くすることができる。

【0030】
また、第2検出膜130は第2支持部材162によって第1検出膜120上に支持されている。このため、検出装置100の耐久性を高めることができる。

【0031】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る検出装置100の構成を示す断面図である。本実施形態に係る検出装置100は、第2検出膜130を複数有している点を除いて、第1~第3の実施形態のいずれかに係る検出装置100と同様の構成である。本図に示す例は、第3の実施形態と同様の場合を示している。複数の第2検出膜130は、厚さ方向において互いに離間して配置されている。そしていずれの第2検出膜130も、側面が導電部材150によって支持されている。

【0032】
本実施形態に係る検出装置100の製造方法は、第1検出膜120上に犠牲膜160及び第2検出膜130を複数交互に積層する点を除いて、第1~第3の実施形態に係る検出装置100の製造方法と同様である。

【0033】
なお、本実施形態において、第3の実施形態に示した第2支持部材162を設ける場合、犠牲膜160をウェットエッチングする工程は、犠牲膜160及び第2検出膜130が一組積層されるたびに行われても良いし、犠牲膜160及び第2検出膜130が複数組積層されてから行われてもよい。

【0034】
なお、第2支持部材162を形成する工程において、ウェットエッチング液は、下層に行くにつれて届きにくくなる。このため、相対的に上に位置する犠牲膜160は、相対的に下に位置する犠牲膜160よりもエッチングされやすい。このため、相対的に上に位置する犠牲膜160を、エッチングされにくい材料により形成しても良い。例えば犠牲膜160にAlやSi34を添加し、この添加割合を上に行くにつれて増やしても良い。

【0035】
また図10に示すように、第1検出膜120を第2検出膜130より薄くし、かつ第2検出膜130を上に行くにつれて厚くしても良い。これに伴い、第1検出膜120と第2検出膜130の間隔を第2検出膜130相互間の間隔よりも狭くし、かつ、第2検出膜130の相互間の間隔を、上に行くにつれて広くしても良い。

【0036】
本実施形態によっても、第1~第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2検出膜130を複数段有しているため、検出装置100の感度をさらに高くすることができる。

【0037】
(実施例)
第2の実施形態に係る検出装置100を作製した。第1検出膜120及び第2検出膜130には、WOにTiOを10モル%混ぜた膜を使用した。また比較例として、検出膜として第1検出膜120のみを有する検出装置100を作製した。実施例と比較例を比較した結果、実施例に係る検出装置100は、比較例に係る検出装置100よりも、検出感度が10倍以上高かった。

【0038】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0039】
100 検出装置
110 基板
120 第1検出膜
130 第2検出膜
140 第1支持部材
150 導電部材
160 犠牲膜
162 第2支持部材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9