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明細書 :通信システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5816960号 (P5816960)
公開番号 特開2013-058882 (P2013-058882A)
登録日 平成27年10月9日(2015.10.9)
発行日 平成27年11月18日(2015.11.18)
公開日 平成25年3月28日(2013.3.28)
発明の名称または考案の名称 通信システム
国際特許分類 H04L  12/725       (2013.01)
FI H04L 12/725
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2011-195594 (P2011-195594)
出願日 平成23年9月8日(2011.9.8)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成23年8月30日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会 2011年ソサイエティ大会講演論文集(DVD-ROM)」に発表
審査請求日 平成26年9月2日(2014.9.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】宮保 憲治
【氏名】篠崎 裕介
個別代理人の代理人 【識別番号】100119677、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 賢治
【識別番号】100115794、【弁理士】、【氏名又は名称】今下 勝博
審査官 【審査官】菊地 陽一
参考文献・文献 特開2007-184969(JP,A)
特開2009-278006(JP,A)
特開2005-064631(JP,A)
特開平07-087096(JP,A)
特開平09-191322(JP,A)
特開2008-048114(JP,A)
特開2011-176445(JP,A)
調査した分野 H04L 12/725
特許請求の範囲 【請求項1】
送信元装置と送信先装置の間のコネクションを確立し、コネクション単位にノード内遅延時間の保証が可能な複数のノードと、
前記送信元装置と前記送信先装置の間の許容遅延時間、前記複数のノードでのノード内遅延時間、及び前記複数のノードの間での伝搬遅延時間に基づいて、前記送信元装置と前記送信先装置の間の通信経路を選択して確立させるコネクション管理サーバと、
前記送信元装置とVPN(Virtual Private Network)接続回線を介して接続され、前記送信元装置が格納しているデータを複製して格納している複製装置と、を備え
前記送信元装置と前記コネクション管理サーバが選択した前記通信経路の間を接続するリンクでの帯域使用率が閾値を超えたとき、前記送信元装置及び前記送信先装置の間の許容遅延時間と同等な前記複製装置及び前記送信先装置の間の許容遅延時間が満たされたうえで、前記送信元装置に代えて前記複製装置から、前記コネクション管理サーバが選択した前記通信経路を介して、前記送信先装置にデータが送信されることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記送信元装置及び複数の前記送信先装置の間の許容遅延時間は、それぞれ複数の前記送信先装置から前記コネクション管理サーバに通知され、前記送信元装置及び複数の前記送信先装置の間の許容遅延時間が満たされたうえで、前記送信元装置から複数の前記送信先装置へとデータが同報通信されることを特徴とする、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記コネクション管理サーバは、選択して確立させる前記通信経路の複数の候補のうち、前記複数のノードの間での帯域使用率の分散を最小とする前記通信経路を選択して確立させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信元装置と前記コネクション管理サーバが選択した前記通信経路の間を接続するリンクでの帯域使用率が閾値を超えたとき、前記送信元装置が格納しているデータが前記送信元装置から前記複製装置へと転送されて複製されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、低遅延時間の保証を行なう通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークの大規模化・大容量化が進み、低遅延時間の保証を行なう必要が生じつつあり、低遅延時間の保証に対する要求が多様化しつつある。今後、低遅延時間を保証しつつ、ネットワークを効率的に利用できる、QoS(Quality of Service)制御技術が不可欠となる。特に、大規模災害時などにおいて、緊急のバックアップやシステムの高速復旧が重要となる。
【0003】
しかし、既存のIP(Internet Protocol)ネットワークにおけるQoS制御技術では、基本的には最大限配送努力型QoSを保証しているに過ぎず、延長上では遅延時間保証型QoSを実現するのは困難である。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第4135959号公報
【0005】

【非特許文献1】“SFQ技術を適用した次世代ネットワークノードのスイッチアーキテクチャ”、電子情報通信学会論文誌B、Vol.J92-B、No.11、pp.1725-1740、2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低遅延時間の保証を行なうネットワークを構成するにあたり、低遅延時間の保証を行なう交換ノードが不可欠となる。特許文献1や非特許文献1に開示された交換ノード及び近年の超伝導技術や半導体技術を適用された交換ノードは、低遅延時間の保証を行なえる。
【0007】
しかし、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、いかに低遅延時間を保証するのか、いかにネットワークを効率的に利用するのか、ネットワーク全体を俯瞰して十分な検討が進められているとは言えない現状がある。
【0008】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、低遅延時間を保証して、ネットワークを効率的に利用する、通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、許容遅延時間、ノードでのノード内遅延時間、及びノードの間での伝搬遅延時間に基づいて、通信経路を選択して確立することとした。
【0010】
具体的には、本発明は、送信元装置と送信先装置の間のコネクションを確立し、コネクション単位にノード内遅延時間の保証が可能な複数のノードと、前記送信元装置と前記送信先装置の間の許容遅延時間、前記複数のノードでのノード内遅延時間、及び前記複数のノードの間での伝搬遅延時間に基づいて、前記送信元装置と前記送信先装置の間の通信経路を選択して確立させるコネクション管理サーバと、を備えることを特徴とする通信システムである。
【0011】
この構成によれば、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、低遅延時間を保証することができる。
【0012】
また、本発明は、前記送信元装置及び複数の前記送信先装置の間の許容遅延時間は、それぞれ複数の前記送信先装置から前記コネクション管理サーバに通知され、前記送信元装置及び複数の前記送信先装置の間の許容遅延時間が満たされたうえで、前記送信元装置から複数の前記送信先装置へとデータが同報通信されることを特徴とする通信システムである。
【0013】
この構成によれば、各送信先装置ユーザに同一の内容が送信される同報通信であっても、各送信先装置ユーザが各許容遅延時間を設定することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、通信経路の候補が上記で複数あるとき、複数のノードの間での帯域使用率の分散を最小とする通信経路を選択して確立することとした。
【0015】
具体的には、本発明は、前記コネクション管理サーバは、選択して確立させる前記通信経路の複数の候補のうち、前記複数のノードの間での帯域使用率の分散を最小とする前記通信経路を選択して確立させることを特徴とする通信システムである。
【0016】
この構成によれば、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、ネットワークを均等に効率的に利用することができる。
【0017】
また、本発明は、前記送信元装置とVPN(Virtual Private Network)接続回線を介して接続され、前記送信元装置が格納しているデータを複製して格納している複製装置をさらに備え、前記送信元装置と前記コネクション管理サーバが選択した前記通信経路の間を接続するリンクでの帯域使用率が閾値を超えたとき、前記送信元装置及び前記送信先装置の間の許容遅延時間と同等な前記複製装置及び前記送信先装置の間の許容遅延時間が満たされたうえで、前記送信元装置に代えて前記複製装置から、前記コネクション管理サーバが選択した前記通信経路を介して、前記送信先装置にデータが送信されることを特徴とする通信システムである。
【0018】
この構成によれば、送信元装置へのアクセスが混雑するとき、複製装置へのアクセスが可能となり、低遅延時間を保証しつつ、緊急のバックアップに対処することができる。
【0019】
また、本発明は、前記送信元装置と前記コネクション管理サーバが選択した前記通信経路の間を接続するリンクでの帯域使用率が閾値を超えたとき、前記送信元装置が格納しているデータが前記送信元装置から前記複製装置へと転送されて複製されることを特徴とする通信システムである。
【0020】
この構成によれば、送信元装置へのアクセスが混雑するとき、又は送信元装置へのアクセスが混雑することが予測されるとき、緊急のバックアップがなされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、低遅延時間を保証して、ネットワークを効率的に利用する、通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1、2の通信システムの構成を示す図である。
【図2】実施形態1の通信システムの遅延時間を示す図である。
【図3】実施形態1の通信経路の選択処理を示す図である。
【図4】実施形態1、2の通信経路の確立処理を示す図である。
【図5】実施形態2の通信システムの遅延時間及び帯域使用率を示す図である。
【図6】実施形態2の通信経路の選択処理を示す図である。
【図7】実施形態3の通信システムの構成を示す図である。
【図8】実施形態3の通信経路の確立処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。

【0024】
(実施形態1)
実施形態1の通信システムの構成を図1に示す。実施形態1の通信システムは、サービス利用端末1、コンテンツ配信サーバ2、エッジルータ3、エッジルータ4、コア中継網5及びコネクション管理サーバ6から構成される。

【0025】
サービス利用端末1は、データの送信先である送信先装置に対応する。コンテンツ配信サーバ2は、データの送信元である送信元装置に対応する。エッジルータ3は、サービス利用端末1側のエッジルータであり、サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2の間のコネクションを確立するノードである。エッジルータ4は、コンテンツ配信サーバ2側のエッジルータであり、サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2の間のコネクションを確立するノードである。コア中継網5は、サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2の間に介在しており、図2で後述するように、サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2の間のコネクションを確立する複数のノードを含むとともに、複数のノードの間を接続する複数のリンクを含む。上記のノードは、コネクション単位にノード内遅延時間の保証が可能である、特許文献1又は非特許文献1に記載のノードである。

【0026】
コネクション管理サーバ6は、サービス利用端末1とコンテンツ配信サーバ2の間の許容遅延時間、複数のノードでのノード内遅延時間、及び複数のリンクでの伝搬遅延時間に基づいて、サービス利用端末1とコンテンツ配信サーバ2の間の通信経路を選択して確立する。コネクション管理サーバ6の処理を以下に説明する。

【0027】
実施形態1の通信システムの遅延時間を図2に示す。コア中継網5は、ノード51、52、53及びリンク61、62、63から構成される。リンク61-1は、ノード51とエッジルータ3を接続する。リンク61-2は、ノード51とエッジルータ4を接続する。リンク62-1は、ノード52とエッジルータ3を接続する。リンク62-2は、ノード52とエッジルータ4を接続する。リンク63-1は、ノード53とエッジルータ3を接続する。リンク63-2は、ノード53とエッジルータ4を接続する。

【0028】
サービス利用端末1がコンテンツ配信サーバ2に、256Byteのデータを要求するときの、ノードでのノード内遅延時間及びリンクでの伝搬遅延時間を、図2に示す。

【0029】
サービス利用端末1とエッジルータ3の間で、2Mbpsの帯域を利用できるとき、エッジルータ3での出力バッファ遅延時間は、256Byte×8/2Mbps=1msとなる。サービス利用端末1とエッジルータ3の間の距離は一般的に短いため、サービス利用端末1とエッジルータ3の間の伝搬遅延時間は無視することができる。

【0030】
コンテンツ配信サーバ2とエッジルータ4の間で、10Mbpsの帯域を利用できるとき、コンテンツ配信サーバ2及びエッジルータ4での出入力バッファ遅延時間の合計は、256Byte×8/10Mbps×2=0.4msとなる。コンテンツ配信サーバ2とエッジルータ4の間の距離は一般的に短いため、コンテンツ配信サーバ2とエッジルータ4の間の伝搬遅延時間は無視することができる。

【0031】
エッジルータ3とノード51の間(リンク61-1)及びエッジルータ4とノード51の間(リンク61-2)を説明する。距離はそれぞれ200kmであり、リンクでの伝搬遅延時間はそれぞれ5μs/km×200km=1msとなる。10Mbpsの帯域をそれぞれ利用できるとき、エッジルータ及びノードでの出入力バッファ遅延時間の合計は、それぞれ256Byte×8/10Mbps×2=0.4msとなる。遅延時間の合計は、それぞれ1ms+0.4ms=1.4msとなる。

【0032】
エッジルータ3とノード52の間(リンク62-1)、エッジルータ4とノード52の間(リンク62-2)、エッジルータ3とノード53の間(リンク63-1)及びエッジルータ4とノード53の間(リンク63-2)を説明する。距離はそれぞれ100kmであり、リンクでの伝搬遅延時間はそれぞれ5μs/km×100km=0.5msとなる。10Mbpsの帯域をそれぞれ利用できるとき、エッジルータ及びノードでの出入力バッファ遅延時間の合計は、それぞれ256Byte×8/10Mbps×2=0.4msとなる。遅延時間の合計は、それぞれ0.5ms+0.4ms=0.9msとなる。

【0033】
実施形態1の通信経路の選択処理を図3に示し、実施形態1の通信経路の確立処理を図4に示す。コネクション管理サーバ6は、エッジルータ3、4及びノード51、52、53から、ノードでのノード内遅延時間及びリンクでの伝搬遅延時間を取得する(ステップS1)。サービス利用端末1は、エッジルータ3を介して、コネクション管理サーバ6に、サービス要求及び料金プランに基づく許容遅延時間を送信する(ステップS2)。サービス要求は256Byteのデータであり、許容遅延時間は4ms以下である。

【0034】
コネクション管理サーバ6は、許容遅延時間を満たす通信経路を選択する(ステップS3)。コネクション管理サーバ6は、コンテンツ配信サーバ2からノード51を介するサービス利用端末1への通信経路での遅延時間を、0.4ms+1.4ms+1.4ms+1ms=4.2msと計算して、当該通信経路は許容遅延時間を満たさないと判定する。

【0035】
コネクション管理サーバ6は、コンテンツ配信サーバ2からノード52を介するサービス利用端末1への通信経路での遅延時間を、0.4ms+0.9ms+0.9ms+1ms=3.2msと計算して、当該通信経路は許容遅延時間を満たすと判定する。コネクション管理サーバ6は、コンテンツ配信サーバ2からノード53を介するサービス利用端末1への通信経路での遅延時間を、0.4ms+0.9ms+0.9ms+1ms=3.2msと計算して、当該通信経路は許容遅延時間を満たすと判定する。コネクション管理サーバ6は、実施形態2で後述するように、いずれかの通信経路を選択する。

【0036】
サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2は、通信経路を確立する(ステップS4)。コネクション管理サーバ6は、エッジルータ3、4及びノード51、52、53のうち選択したノードに、確立要求を送信し、エッジルータ3、4を介して、サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2に、確立要求を送信し、確立要求に対する確認応答を受信する。サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2は、通信を開始する。

【0037】
コネクション管理サーバ6は、許容遅延時間を満たす通信経路を選択することができないことがある。このとき、コネクション管理サーバ6は、サービス利用端末1に許容遅延時間を長くする変更を要求し、サービス利用端末1から許容遅延時間を長くする許可を受信し、長くなった許容遅延時間を満たす通信経路を選択すればよい。

【0038】
このように、コネクション管理サーバ6は、許容遅延時間、ノードでのノード内遅延時間、及びリンクでの伝搬遅延時間に基づいて、通信経路を選択して確立する。よって、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、コネクション管理サーバ6は、通信システム全体を俯瞰して、低遅延時間を保証することができる。

【0039】
コンテンツ配信サーバ2から複数のサービス利用端末1へと、データが同報通信されることが考えられる。このときも、コンテンツ配信サーバ2及び複数のサービス利用端末1の間の許容遅延時間は、それぞれ複数のサービス利用端末1からコネクション管理サーバ6に通知される。その後、各々のサービス利用端末1が要求する許容遅延時間を満たす経路の設定が可能な場合には、当該コネクションに対応する呼設定(コネクション設定)が行なわれる。そのうえで、コンテンツ配信サーバ2及び複数のサービス利用端末1の間の許容遅延時間が満たされたうえで、コンテンツ配信サーバ2から複数のサービス利用端末1へとデータが同報通信される。このように、各サービス利用端末1のユーザに同一の内容が送信される同報通信であっても、各サービス利用端末1のユーザが、各々の要求したサービス条件に基づいて、独立に同一又は異なる許容遅延時間を設定することができる。

【0040】
(実施形態2)
通信システムの構成は、実施形態1及び実施形態2で同様である。サービス利用端末1、コンテンツ配信サーバ2、エッジルータ3、エッジルータ4及びコア中継網5の特徴は、実施形態1及び実施形態2で同様である。コネクション管理サーバ6は、実施形態2においては実施形態1に加えて、以下の処理を実行する。

【0041】
コネクション管理サーバ6は、実施形態1で前述したような、選択して確立する通信経路の複数の候補のうち、複数のリンクでの帯域使用率の分散を最小とする通信経路を選択して確立する。コネクション管理サーバ6の処理を以下に説明する。

【0042】
実施形態2の通信システムの遅延時間及び帯域使用率を図5に示す。ノード51を経由する通信経路は、コネクション管理サーバ6が選択して確立する通信経路の候補となっていない。リンク61-1の帯域使用率は現在10%であり、リンク61-2の帯域使用率は現在25%であり、いずれも新たな通信経路の確立後で変化しない。

【0043】
ノード52を経由する通信経路は、コネクション管理サーバ6が選択して確立する通信経路の候補となっている。リンク62-1の帯域使用率は、現在20%であり、ノード52を経由する通信経路が確立すれば、40%に変化する。リンク62-2の帯域使用率は、現在10%であり、ノード52を経由する通信経路が確立すれば、30%に変化する。ノード53を経由する通信経路は、コネクション管理サーバ6が選択して確立する通信経路の候補となっている。リンク63-1の帯域使用率は、現在10%であり、ノード53を経由する通信経路が確立すれば、50%に変化する。リンク63-2の帯域使用率は、現在5%であり、ノード53を経由する通信経路が確立すれば、45%に変化する。

【0044】
実施形態2の通信経路の選択処理を図6に示す。通信経路の確立処理は、実施形態1及び実施形態2で同様である。実施形態2のステップS12、S13、S16は、それぞれ実施形態1のステップS2、S3、S4と同様である。コネクション管理サーバ6は、エッジルータ3、4及びノード51、52、53から、ノードでのノード内遅延時間、リンクでの伝搬遅延時間及びリンクでの帯域使用率を取得する(ステップS11)。

【0045】
コネクション管理サーバ6は、選択して確立する通信経路の候補が単数であれば(ステップS14においてNO)、サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2に候補をすでに絞った通信経路を確立させる(ステップS16)。コネクション管理サーバ6は、選択して確立する通信経路の候補が複数であれば(ステップS14においてYES)、複数のリンクでの帯域使用率の分散を最小とする通信経路を選択して(ステップS15)、サービス利用端末1及びコンテンツ配信サーバ2に候補をここで絞った通信経路を確立させる(ステップS16)。ステップS15について、以下に説明する。

【0046】
コネクション管理サーバ6は、複数のリンクでの帯域使用率の分散を、以下では例えばΣ(Li-La)/mで計算する。ここで、Liは、新たな通信経路が確立した後の各リンクの帯域使用率であり、Laは、新たな通信経路が確立した後の各リンクの帯域使用率の平均である。そして、Σは、全てのリンクについての和を示し、mは、全てのリンクの数である。コネクション管理サーバ6は、複数のリンクでの帯域使用率の不偏分散を、Σ(Li-La)/(m-1)で計算してもよい。ここで、標本値Liは母集団の一部として抽出されたものであり、標本数mは母集団と比べて極めて小さい。

【0047】
まず、ノード52を経由する通信経路が確立したと仮定する。つまり、リンク61-1、61-2、62-1、62-2、63-1、63-2の帯域使用率は、それぞれ10%、25%、40%、30%、10%、5%となったと仮定する。各リンクの帯域使用率の平均は、La=(10+25+40+30+10+5)/6=20である。複数のリンクでの帯域使用率の分散は、Σ(Li-La)/m={(10-20)+(25-20)+(40-20)+(30-20)+(10-20)+(5-20)}/6=158である。

【0048】
次に、ノード53を経由する通信経路が確立したと仮定する。つまり、リンク61-1、61-2、62-1、62-2、63-1、63-2の帯域使用率は、それぞれ10%、25%、20%、10%、50%、45%となったと仮定する。各リンクの帯域使用率の平均は、La=(10+25+20+10+50+45)/6=27である。複数のリンクでの帯域使用率の分散は、Σ(Li-La)/m={(10-27)+(25-27)+(20-27)+(10-27)+(50-27)+(45-27)}/6=247である。

【0049】
つまり、複数のリンクでの帯域使用率の分散は、ノード52を経由する通信経路が確立したと仮定したときには、ノード53を経由する通信経路が確立したと仮定したときより小さい。よって、コネクション管理サーバ6は、ノード53を経由する通信経路を選択するのではなく、ノード52を経由する通信経路を選択するのである。ここで、コネクション管理サーバ6は、実施形態1及び実施形態2を併用しても、通信経路の候補が単数に絞れないとき、ホップ数の最も少なくなる通信経路を選択すればよい。

【0050】
このように、コネクション管理サーバ6は、通信経路の候補が実施形態1で複数あるとき、複数のリンクでの帯域使用率の分散を最小とする通信経路を選択して確立する。よって、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、コネクション管理サーバ6は、通信システム全体を俯瞰して、ネットワークを均等に効率的に利用することができる。

【0051】
(実施形態3)
実施形態3の通信システムの構成を図7に示す。実施形態3の通信システムは、サービス利用端末1、コンテンツ配信サーバ2、エッジルータ3、エッジルータ4、コア中継網5、コネクション管理サーバ6、クラウドストレージ7、VPN(Virtual Private Network)回線8及びエッジルータ9から構成される。サービス利用端末1、コンテンツ配信サーバ2、エッジルータ3、エッジルータ4及びコア中継網5の特徴は、実施形態1から実施形態3まで同様である。コネクション管理サーバ6、クラウドストレージ7、VPN回線8及びエッジルータ9は、以下の処理を実行する。

【0052】
コンテンツ配信サーバ2がトラヒックを短時間で集中的に受け付けるとき、コンテンツ配信サーバ2とコネクション管理サーバ6が選択した通信経路(実施形態1及び実施形態2を参照)の間を接続するリンクでの帯域使用率が閾値を超えるため、ユーザの要求する許容遅延時間に見合ったサービスが実現されない可能性がある。

【0053】
このとき、コンテンツ配信サーバ2に代えてクラウドストレージ7から、コネクション管理サーバ6が選択した通信経路を介して、サービス利用端末1にデータが送信される。このときでも、コンテンツ配信サーバ2及びサービス利用端末1の間の許容遅延時間と同等なクラウドストレージ7及びサービス利用端末1の間の許容遅延時間が満たされる。クラウドストレージ7は、コンテンツ配信サーバ2が格納しているデータを複製して格納している。コネクション管理サーバ6及びクラウドストレージ7は、VPN回線8で接続される。コンテンツ配信サーバ2及びコア中継網5が、エッジルータ4で接続されるように、クラウドストレージ7及びコア中継網5は、エッジルータ9で接続される。

【0054】
実施形態3の通信経路の確立処理を図8に示す。監視情報の送受信、サービス要求の送受信及び通信経路の選択は、実施形態1から実施形態3まで同様である。コネクション管理サーバ6は、コンテンツ配信サーバ2とコネクション管理サーバ6が選択した通信経路の間を接続するリンクでの帯域使用率が閾値を超えたとき、データ送信元をコンテンツ配信サーバ2からクラウドストレージ7へと切り替える。

【0055】
コネクション管理サーバ6は、エッジルータ4を介して、コンテンツ配信サーバ2に、複製要求を送信し、複製要求に対する確認応答を受信する。コンテンツ配信サーバ2は、VPN回線8を介して、クラウドストレージ7に、データを複製する。

【0056】
コネクション管理サーバ6は、エッジルータ3、9及びノード51、52、53のうち選択したノードに、確立要求を送信し、エッジルータ3、9を介して、サービス利用端末1及びクラウドストレージ7に、確立要求を送信し、確立要求に対する確認応答を受信する。サービス利用端末1及びクラウドストレージ7は、通信を開始する。

【0057】
データ送信元をコンテンツ配信サーバ2からクラウドストレージ7へと切り替えるタイミングは、通信経路が新たに確立される前であることが好ましいが、通信経路がすでに確立された後であっても当該通信サービスの提供は可能である。後者の場合には、切り替えのタイミングによっては、コンテンツ配信が途切れる可能性が高くなるが、携帯電話通信技術におけるハンドオーバ機能と同等のネットワーク制御メカニズムを適用して、一定の時間のみコンテンツ配信サーバ2及びクラウドストレージ7をサービス利用端末1と接続する二重接続を行なえば、コンテンツ配信が途切れる可能性が低くなる。

【0058】
コネクション管理サーバ6は、コンテンツ配信サーバ2への集中的なトラヒックを事前に予測したときには、コンテンツ配信サーバ2からクラウドストレージ7へのデータの複製を事前に実行してもよい。コネクション管理サーバ6は、許容遅延時間を満たす範囲内で、コンテンツ配信サーバ2からクラウドストレージ7への切り替えを実行してもよい。

【0059】
このように、コンテンツ配信サーバ2へのアクセスが混雑するとき、クラウドストレージ7へのアクセスが可能となり、低遅延時間を保証しつつ、緊急のバックアップに対処することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る通信システムは、現在のIPネットワークやインターネット及び従来の回線交換ネットワークやNGNなどにおいて、低遅延時間の保証を行なう交換ノードを複数接続して、低遅延時間を保証できて、ネットワークを効率的に利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1:サービス利用端末
2:コンテンツ配信サーバ
3:エッジルータ
4:エッジルータ
5:コア中継網
6:コネクション管理サーバ
7:クラウドストレージ
8:VPN回線
9:エッジルータ
51、52、53:ノード
61、62、63:リンク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7